強化スーツ破壊
エヴァのプラグスーツとか
ヤマトの森雪のスーツも強化スーツに入るの? スーツを支配して触手化したり軟体化して着用者を責め立てるのが最近の流行らしい まどか、なのはみたいな魔法少女変身モノの変身服も強化スーツだと言えば言えるな
プリキュアとかセーラームーンも同じだが スーツの内側の緩衝素材がヌルヌルな触手とか好き
稼働限界超えるとエネルギー切れ起こした触手が着用者をグチョグチョにし始めるとか このスレは期待
>>7みたいなのが好きだけど>>1の嗜好は「破壊」の方にあるんだろうな つまり>>1は強化スーツを破壊されて着てる人間が絶望するのを見たいというわけか
セイバーの鎧を力づくで剥ぎとって絶望させるみたいなもん? ジンキ・エクステンドあたりのスーツだけを溶かす液体とかでしょうかね?
本編もこれがあれば大丈夫と信頼しているスーツが溶かされて貞操の危機って感じですし >>10
あれは原作のも良かったがアニメのもやたら力入ってて良かったな
ウンコアニメで唯一褒められる部分だった 強化スーツを剥いでいくなら、正義のヒロインを嬲るスレに良いのあったきがするな。
あっちの作者たち来てくれないかなー >>12
あそこも最近はほぼ作者いなくて死んだ状態だがな 衛士強化装備の設定は凄い
ぴっちり系の中ではある意味偉大
羞恥心を捨てるためあえてあのデザインってやつ?
公式設定なのかな >>15
うん。本編で言及がある
恥ずかしがらないように訓練するなんてもったいない話だけれども 衛士強化装備の設定って、ここはPINKだから知ってる奴も多いだろうけど
アニヲタ全体ではどのくらい知られてるんだろう >>18
あるにはあるんだけどね
トータルイクリプスを略してTEでエロパロとかいうスレタイにしてるもんだから、
気づいてない人もいるのか凄い過疎ってるよ 衛士強化装備って強化スーツなの?
パワードスーツみたいに筋力を強化できるの? >>20
身体能力の増幅はどうか知らんが、あのスーツを着ないまま戦術機に乗ると戦闘機動のGとかキツいらしい >>21
それもあるが、娯楽が乏しい世界観のためにテレビ等の映像を映す技術が低く戦術機にモニターはない、
代わりに網膜に直接映像を映すのであのスーツを着ていないと戦術機の外が見えないはず。 パワードスーツでぶいぶい言わせてたヒロインがその性能を解析されてボコボコにされるのは良いな
耐熱性を超えたレーザー浴びて灼熱化した腹部を抱えて悶絶して転がり回ったり、
全方位からショットガン浴びせられてピンボールみたいなあっちこっち翻弄されたり、
パワーアシストが切れてオーバーヒート起こして蒸気を上げるヒロインのフルフェイスヘルメットを鷲掴みしてパキピキいわせながら内部モニターブラックアウトさせたり >>23
実際にそういうシーンがあるアニメとかエロゲって無いの? >>24
いやこんなんあったら良いなという妄想なんでw
でもその原動力になったのは
古本屋にぐらいしかないがナポレオン文庫のエンジェルセイバー
特撮の時空戦士スピルバンのダイアナがピンチの回
とか良いピンチシーンだった
ってなんか熱く語ってるけど俺>>1じゃないんだよねw 最近じゃそういうヒロインが出てくる特撮とか無いからイメージふくらませるのが難しいね
ちょっと検索して調べてみたけど、>>23さんの言うようないかにもパワードスーツと言えそうなのを
身につけるヒロインのアニメと言うのは見つかっても古いのしかない感じだな
>>27
まあどれもそれなりの機能を持っているから強化スーツのカテゴリーじゃないかな? >>9『ヒロイン討伐VOL42』というAVの最後の方には
バトルフェーバーJのミスアメリカのようなヒロインが
敵組織の首領である謎の巨大生物の前に引き出され、マスクを首領に食われてマスクオフ状態に
なりながらも首領と戦うも、首領に呑み込まれ残ったスーツも全て食われた全裸姿で吐き出され
圧倒的な力の差を見せ付けられて諦めるという展開があるゾヨ
ヒロインを痛め付けるのに特化して、通常のエロ展開は期待できないシリーズだが・・・
あんまり話が膨らまないね。
強化スーツというジャンルがマニアックなので、オッサンの語りでしかスレが続かない感じ。
どうする?
強化スーツ破壊の小説を書くスレとして使うのもいいが、マブラヴとか、
作品個別のスレがある作品だと、どっちで書くべきか、という話にもなるよね? 質問
プリキュアor魔法少女まどかの強制変身解除は
このスレのカテゴリーに入りますか?
あと、フルメタルパニックのボン太くんは
強化スーツになりますか?
オレ的にはプリキョアや、まどかは変身解除よりも、あのコスチュームを
ビリビリに破いて全裸に剥いてほしい
スーパーメトロイドのゲームオーバー後のサムスを想像して興奮していた頃が懐かしいぜ。 プリキュアは知らないが、まどかのコスは
強制解除させられるのか?
ソウルジェムくだいてもコスは着たままだった気が >>33
いや、まどか達のコスは死亡(ソウルジェムの破壊)で解除されてる
マミが首がぷらーんした時も制服姿に戻っているし、ほむら周回途中でマミが杏子のソウルジェムを撃ち砕き、
マミをまどかがソウルジェムを射た時も両者とも変身解除してる まどかのコスチュームをビリビリに破いて全裸に剥くという展開は良いんだけど、
誰にコスチュームを破かれてしまうのか?ってのが壁になるんだよね。
魔女は元々は女の子だから、エロ目的で魔法少女のコスチュームを剥くってのが
考えづらいし。 まどかの服をビリビリに破くのにほむほむ以外浮かばない ほむらが魔法少女なのを学校の先輩に知られて、変身した格好でのセックスを要求されて、
あのタイツをナイフで切られて脱がされちゃうSSネタなら考えたことあるけどねw
同級生のまどかたちが体育の時間で校庭にいるときに、時間停止で時間を止めて
その真ん中でやらされるとか。
とうぜん集中力が切れて時間停止が解除されるとアウトw まどっちは可愛すぎていじめたくはないな。
ほむほむはいじめたいけどw
変身したときのほむほむのタイツ、あれ絶対俺たちキモヲタを誘ってるだろw スカイガールズのソニックダイバーも強化スーツとみなすべきか?
ワームに触手で捕獲され少しずつ破壊されてくソニックダイバー
機能が低下したソニックダイバーで必死に脱出を試みるも
ナノスキンが限界時間で崩壊を始め、触手に直接なぶられて恐怖する音羽みたいな。
>>22ならば戦術機のコクピットに侵入した触手が衛士を捕縛して
スーツを切り裂き、強化装備を破壊、外部が見えなくなり操縦もままならなくなったとこで
戦術機を破壊して、後は好き勝手という展開もありですか?
バブルガムクライシスのネネが戦闘中に仲間と分断され、ブーマーの攻撃を喰らって気絶
近くに隠れていたキモヲタたちが引っ張り込んだため、事なきを得たが
ネネの手当をしようとしたキモヲタたちが、ハードスーツを剥がすと
中から美少女が現れたため興奮したキモヲタたちに輪姦されるネネ・・・ここまでくるとスレの趣旨から逸脱してるか。 >>39
22です。アリはありだけど、戦術機のカメラとリンクしているので、カメラ自体を壊したほうが早いかも。
ついでなのでエロパロに使えそうな衛士強化装備の知識的なものを適当に引っ張ってみる。
知っている人が多いと思うが、訓練兵は最前線の男女混成部隊の時などに備え、
羞恥心を克服するために胴体が半透明の装備となり、股間以外は丸見えに近い。
これは負傷個所を確認しやすくもしている。
分解剤を使用すると素手で装備を破れる。訓練兵のそれはより分解剤の効果を受けやすい。
マニアックかもだが、排泄物は高伸縮排泄物パックとかいうものがカバー。
股間を隠しているパーツがそれなのかな?(容量は最大500g)
高度な伸縮性を持ちながら、衝撃に対して瞬時に硬化する性質をもった特殊保護皮膜だが、
圧迫には弱く、岩などに挟まれた時は無事でも圧迫により負傷したりする。
このことから、胸などを揉むのは問題なさそうに思える。
ついでに、BETAはハイヴと呼ばれる前線基地で人類を研究したりしていたが、
最後は脳みそと脊髄だけで保存されたりするので、BETA相手のエロパロは…ガンバレ! バブルガムクライシスとこのスレだと、ニューハードスーツみたいにスーツの下が裸。
衆人環視の中スーツが破壊されていって素肌が見え隠れする感じ?
>>39さんのは、デブやブサイクに犯される女のエロパロスレでしょうか?破壊じゃなくて剥がしてますし。
強化スーツ破壊といえば、競泳戦隊ミズギーズというガガガ文庫の10月新刊がそうでしょうか?
3巻目ですがスク水戦隊と戦って、ダメージをくらい過ぎると水着型バトルスーツがはじけ飛んで全裸になります。 バブルガムクライシスで検索したけどどんだけ昔のアニメなんだよw
オッサンくさすぎwww うるせえ、過疎になりがちなスレに必死に燃料投下したら
こうなったんだ。 ば、バブルガムクライシスいうてもTVシリーズの方やから… 衛士強化装備って、>>40読む限りでは防御性能がメインという感じだよな
スレタイの強化スーツという感じはしない
少なくとも、バブルガムクライシスのようなパワ−ドスーツの要素は全く無いといっていい
ちなみにマブラヴオルタなら俺も原作ゲームやったことあるけど、柏木晴子とか言うキャラが
BETAの溶解液で衛士強化装備ごと溶かされていたはず
分解剤が作動とかじゃなくて、BETAの溶解液が強力すぎて衛士強化装備ごと溶解した
たぶん即死
BETAが溶解液をもっと薄くして、衛士強化装備をじわじわ溶かすとかならエロ展開的に
ありかも マブラヴでは、涼宮茜の衛士強化装備姿がツボで何回も抜いたのはここでだけ言う秘密w
若いころはエヴァのレイとアスカのプラグスーツでも、狂ったように抜いたね 基本生存を主眼に置くとこうなりますよ。戦術機とリンクしてますし、戦術機と合わせて一つのパワードスーツと見るべき。
少しネタバレ的だけど、BETAは自分を生物と思っていないし、人類を害虫くらいにしか認識してない。
原作でも主人公の目の前に上半身だけのヒロインを串刺しにして、新しいサンプルを要求します。ってくらいやし。
人類の諍い系の方がエロい方に持って行けるんとちゃうかな?スーツ破壊とのコラボは難しいけど。
>>40バブルガムクライシス TOKYO 2040ですね。
1998年10月〜1999年3月なので普通ですよね。
というか、テレビでのリメイクなのOVAより見てる人多そう。 すいません47です。
>>40じゃなくて>>44でした。 バブルガムクライシスは最近、朝日ノベルズからラノベが出たが
ナイトセイバーズのメンバー全員が女子高生に変更され
リンナはシリアお嬢様のメイドで、ネネに至ってはレオン刑事の妹の
ツーテールのロリ娘でブラコン気味だが、ボーイッシュなプリス先輩にも
興味津々な百合属性もある。
そして、ハードスーツよりもゴスロリの描写の方が長かったりする。
・・・・・・マニア受け狙いすぎ
マニアックな話ゴメン バブルガムクライシスを見てたころはモロに思春期だったから妄想が捗ったなぁ
マッキーがスーツに細工して動けなくなったナイトセイバーズを一人づつ好き放題するみたいな
おねショタ方面の性癖も同時に満たせて一石二鳥やね 鎧は強化スーツといえるのか?
例えば、ファンタジーRPGで女騎士が着る聖なる力に守護された鎧とか。
それを、妖怪の精液で溶かされてしまうとかは強化スーツ破壊に入るの? 個人的には含まれると思うけど、女聖闘士は聖衣より仮面を気にしそう。
ところで星矢は聖衣装着→頭部パーツ紛失ばっかりだけど、パーツかけても大丈夫だっけ?
鎧なら、古すぎるけどサムライトルーパーの鎧擬亜とかも?
鎧自体に鎧パワー(弾動力)があって、それを引き出して戦ったし。
ラストで忠の貴力という鎧を迦遊羅が着けてた。 おまえらは、スーパーメトロイドのゲームオーバーシーンの
動画でも見てオナってろ。 >>54
自分は真・女神転生 STRANGE JOURNEYの機動班の女性隊員が触手悪魔にデモニカスーツを締め上げられて、
デモニカが圧壊してしまいシュバルツバースの大気にもがき苦しむというシチュで抜いてるんで >>54
俺は『魔界村』のアーサーの鎧が脱げるとこで抜いてます。
昔、PCエンジンで魔界村のシステムで、主人公が美少女な
フォーセットアムールというゲームがあったらしいが
入手に成功した奴、感想を聞かせてくれ。 メトロイドのHPが0になった時のサムスのスーツが
脱げる演出だが、ゼロミッション以降は
なんか違うんだよなと思うのはオレだけではないはず。
スーパーやフュージョンのようにサムスは
死亡時にパワードスーツが砕け散って
なんぼのキャラや >>58
ゼロミッション以降はどうなるの?
>>57
まさに女魔界村だなwww
骨にはならないが ヱヴァQでシンジが綾波クローンに会って早々に、プラグスーツ黒なんだね。似合うけど綾波に黒は云々喋り始めてコイツマニーだなと思ったな 何度もミスってスマん
綾波がなに着ようと勝手なのにシンジくんこだわりすぎw
さては白プラグスーツ着た綾波がオカズだったのか?w プラグスーツは強化スーツに含めていいんだろうか・・・
強化スーツと言うと、普通は筋力強化するパワードスーツのイメージがある
プラグスーツをネタにするなら、スレタイ的には綾波のプラグスーツを破壊するアイデアとかをエロい方向で話せばいいのかな?
綾波をレイプしたい男に力ずくで引きちぎられる展開がそそるとか、そういう話を? 新劇場版で零号機ごと使徒に食われたレイがプラグスーツを
溶かされてみたいな展開かな。
>>53
アンドロメダ瞬を女の子と妄想して、武器や聖衣を破壊されていく
アフロディーテ戦でハアハアしていました。 しかし、そのシーンでレイが生きてるのが不思議だよな
助けだされたときにプラグスーツ着てなかったということは
プラススーツは使徒の体内で消化されたんだろうけど、
そうなったら普通死ぬだろ このスレの住人は、女性ダイバーが海中で化け物に
襲われ、ダイビングギアやウェットスーツを
毟り取られて犯されるというシチュでも興奮しそうだな。 スーパーメトロイドのゲームオーバーシーンをよく見てみると
パワードスーツが砕け散った後、レオタードもお腹の辺りから
破れていってるように見えるのだが、まさか任天堂がやるわけないよな。 「スーパーヒロイン総合スレ」でかつて作品を投下していた者だけど、落とすのはここでいいのかな、っと… 変幻戦忍アスカを知ってるジジイの俺が来たぜ。
オッパイポロリが多く、少年ジャンプに掲載するのは際どいマンガだったな。
妹にあのエロいデザインの強化スーツをプレゼントする兄貴、変態すぎwwww
しかも、妹のスリーサイズ全て把握済みって、どんだけ変態なんだよwww
ていうか、いつ測ったんだよ。 日本・浪速県。午後2時40分、市街地からやや離れた場所にある近畿学院大学のキャンパスの正門から、一台のバイクが走り去って行った。
駆動音を響かせながら、バイクは市街地とは方向違いの住宅街へと向かっていく。
爽やかに吹く風が、彼女の着ているジャケットを揺らす。
10分弱ほどバイクを走らせると、辺りは大きめの一軒家が並ぶ住宅街だ。
その中の一軒の前で、ライダーはバイクを降りた。引き戸式の門扉を左側に開け、バイクを押して歩く。
ガレージに愛車を止めると、ライダーはヘルメットを脱いだ。肩の辺りまであるセミロングの黒髪がふわりと広がった。
ヘルメットを脱いだライダーは、透き通った美しい目、小ぶりな鼻、ふっくらとした唇をした若い女だった。
女は、「鷹野」と書かれている表札のインターホンを押してから、ジーンズのポケットから取り出した鍵で扉を開けて家に入った。
「ただいまー」
「由衣、おかえり」
由衣が家に上がると、個室から声が聞こえてきた。母親の真由美はいつも家で研究をしているのだ。
「母さん、父さんは?」
「お父さんなら今買い出し中よ」
「あー、それだったら電話して荷物取りに行ってあげた方が良かった?」
「いいわよ、そんなに量は無いと思うから」
真由美は国から災害救助用の強化スーツの開発を委託されており、もっぱら火事は父親の篤彦が担当している。
その篤彦は普段はホームページデザインの仕事で結構稼いでいるらしく、家計はかなり余裕がある方である。 「今日、撮影会が夕方からあるから、ご飯要らない」
「家で食べて行かないの?お父さんに頼めばすぐなのに」
「お父さんに頼んでばっかりじゃ悪いから」
「あ、そう」
「で、スーツの開発はどうなの?そろそろ?」
「今日か明日に試作品が出来るから、もうちょっとで上にデータを送る」
「分かった。頑張ってね」
由衣の自室は2階にある。白を基調とした部屋には、クマをモチーフにした可愛いキャラのカレンダーやイラストが飾られている。
「えっと、今日の集合場所は、っと…」
由衣は机の前に座り、パソコンを起動させる。最新式のCPUを記載しているだけあって、立ち上がるのが早い。
「18:00から江板スタジオで少人数撮影会、か」
撮影会のホームページの登録モデルの一覧を見ると、「森川栞」の名が見える。
「え、この子も登録してたの?」
大学の同級生である栞は、心理学部のオリエンテーションで席が隣になり、昼食をおごってあげた事から知人の関係になった。今は自分の家の近くのアパートに下宿している。
自分のパソコンのメールボックス、スマートフォンのメールをチェックしたが、新着メールは何も無い。
しばらくの間インターネットで様々なサイトを見ていると、内臓時計が16時をやや過ぎている事に気付いた。
「そろそろかぁ」
由衣は脱いでいたジャケットを再び羽織り、1階に降りた。
「じゃあ、撮影会に行ってきます」
「由衣、晩メシはいらんのか?」
「食べてくるから要らない」
由衣はバイクに跨り、フルフェイスのヘルメットを被ると、再び街中へと飛び出して行った。
「今日はここにしよっと」
定食屋チェーン店・さつき軒の駐車場にバイクを留める。
店に入って由衣が頼んだのは親子丼とうどんのセットだ。一応モデルを職業としているので、食事には気を遣っている方だ、と自負はしている。
10分弱経過しただろうか、由衣の座っている席に親子丼とうどんのセットが運ばれてきた
「いただきます」
由衣はパチンと割り箸を綺麗に割って、手をつけ始めた。
食べている途中、周囲の人間からの視線をチラチラと感じる。
(自分で言うのも何だけど、顔にはちょっと自信があるしね)
由衣は繁華街を歩いている時、芸能スカウトから名刺を貰うことがしばしばある。今までに7、8枚程度は貰っただろうか。
腹ごしらえを済ませると、由衣は再びバイクに乗ってスタジオへと向かった。 江板スタジオに到着すると、既にカメラマンが数人と、スタッフが待っていた。
「鷹野さん、こんばんは」
「由衣ちゃん、今日もお願いします」
カメラマンに向けて由衣もペコリと頭を下げた。何度も由衣を撮影している常連もいる。
「じゃあ一着目、撮影始めまーす」
一着目の由衣の服装は純白のワンピースに薄いピンクのカーディガンを羽織った姿だ。
口を閉じて微笑して見せたり、軽く歯を出して笑って見せたり、ウィンクをして見せたり、モデルのポーズ、仕草は千差万別である。
撮影スペースに置いてあるのは白い椅子だけだが、その椅子一つ取っても様々なポージングができる。
「鷹野さん、肘掛けポーズお願いします」
由衣はカメラマンに指示されると、椅子の背もたれに肘をかける。
動きの少ない仕事のように思えるが、カメラのフラッシュが焚かれる中、同じポーズを数分間崩さずにキープしなければならない。モデルとは集中力、体力の要る仕事である。
休憩を挟んで、二着目の衣装は緑と黒のチェックのスカートに黒タイツを履き、赤いカーディガンを身につけた姿だ。
黒タイツが由衣の長い美脚をより美しく見せてくれる。
部屋の柱から半身を出して挨拶をするようなポーズ、寝転んで男を挑発するようなポーズ、投げキッスをするようなポーズ、由衣は自分の思いつくままに様々なポーズを出していく。
「はい、お疲れ様でしたー」
スタッフが撤収を指示すると、カメラマン達は機材を整理し、その場から立ち去っていく。
「鷹野さん、また次も頼みますね」
「いえいえ、こちらこそ」
由衣は長時間のポーズ固定で固まりそうになった身体を柔軟体操でほぐしていた。 時計の針は午後9時を回っていた。由衣は別に夜の街に出て何か遊ぼう、というタイプでもないので、一直線に家路に向かう。
と、遠くから救急車のサイレンや、消防車のカンカンカンというサイレンが響いてきた。
(火事?私も火の元には気をつけよう)
そう思いながらバイクをふかそうとした所、突然、爆発音と震動がこちらに伝わって来た。
「きゃっ!」
驚いた由衣はバイクから落ちそうになった。こういう時は現場をさっさと離れないとロクな事にならない。そう思い、あらためてバイクを走らせる。
再び、爆発が起き、前方に路上駐車してある車が炎上し、由衣の道を塞いだ。
「な、何これ…」
熱風がこちらにまで伝わってくる。呆然としている由衣に向かって、前方の炎をかきわけて蛙がピョコン、ピョコンと飛んできた。
いや、その蛙は蛙というにはあまりにも大きすぎるものだった。人間の子供ほどの大きさだろうか、その蛙のように見える生物は、由衣を見るとまるで蛇か何かのように長い舌を出して威嚇してきた。
「いっ、嫌ああぁぁーーー!」
由衣は必死でバイクを反転され、その場から猛スピードで走り去る。蛙がバイクを追ってくるかどうか気にする暇は全く無い。
由衣は別に小動物を手で触る事に対する嫌悪感は無い。しかし、見た事も無いような大きな蛙がいきなり夜道で出てきては逃げ出したくなるのも無理はない。
20分以上は走っただろうか、由衣はようやく家に辿り着いた。震える手でインターホンを押す。 「た、ただいま…」
ヘルメットを脱いだ由衣の顔は冷や汗まみれだった。いや、顔だけではなく身体全体にびっしょりと冷や汗をかいている。
「父さん、母さん、無事なの?」
由衣が慌てて居間に駆け込むと、篤彦がいた。
「おお、由衣、無事だったか。お前にメールしても電話しても繋がらなかったから心配したんだぞ」
「ねぇ、母さんは?」
「地下でスーツの調整を…あっ、いや、何でもない」
篤彦は思わず口を滑らせてしまった。
「スーツ?地下?何の事なの?母さんはどこなの?ねぇ!」
動転している由衣は篤彦の胸ぐらにつかみかかりそうになる。
「落ち着け、分かったから落ち着け!父さんも一緒に行くぞ」
篤彦は由衣を連れて「地下」へと向かう。
「倉庫」とされている小部屋を開ける。そこはいつも空きダンボールや梅酒の瓶やら、何かの書類やらが置かれている。
「ここだ」
篤彦がキーを取り出し、壁面のパネルに差し込むと、床が大きくスライドし、階段が現れる。
階段を下りると、そこは広い空間になっており、真由美がデスクの前に座って何かを調整しているようだった。
「初めて見たよ、こんな所…」
「企業秘密だからな。母さん、由衣が帰って来たぞ」
篤彦の声に真由美ははっと振りかえる。
「母さん、無事だったのね」
「まぁ、今日は家から一歩も出てないからね。由衣こそ無事で良かったわ」
「もしかして、スーツって…」
由衣の視線が、縦向きに設置されているカプセルの中にある真紅のメタリックスーツに移る。
「え?なんだ、父さんがバラしちゃったのね。しょうがないわね」
真由美は事実の発覚を怒るような事もせずに、黙々とスーツの調整を続ける。
「ねぇ母さん、このままじゃあこの家もやられちゃうわよ!逃げようよ!」
「家の大事な機能は全部地下に移してあるわ。地上はガワのようなもんだし」
慌てる由衣を余所に、真由美はなおもスーツの調整を続ける。
「こりゃえらい事になってるな」
篤彦が真由美のPCのモニターを覗き込むと、画面の右下に小さくテレビのニュースが映し出されている。
由衣が先ほどまで撮影をしていた江板スタジオの周辺はかなり被害が広がっているようだ。 「ねぇ、由衣、あなた、このスーツ着てみようと思わない?」
「え?ちょ、ちょっと、そんな…」
いきなりとんでもない事を真由美は言って来た。
「実戦データが無いと上からも予算は降りないから研究が続けられないの。大丈夫、アンタに危険手当はたっぷりと出すから。誰もタダで働けなんて言ってないわ」
「それって、私にあの化け物と戦え、って事?」
「そう」
「真由美、いくら何でもそれは無理だ!大事な一人娘をどう思ってるんだ!」
普段はのんびりした性格の篤彦だが、流石にこれには顔色を変えて反論する。
「本当だったら明日ぐらいにテストしてくれる人を探そうと思ったんだけど、もうそんな事言ってられないわ。はっきり言ってあれは警察じゃ無理よ」
「私がやってみる!」
「おいおい、由衣、正気か?」
「だって、誰もやろうとしないんだったら私がやるしかないじゃない!」
「アンタならそう言うと思ったわ。そこの空いている方のカプセルに入りなさい」
由衣が決心すると、真由美はまるでその答えを待っていたかのように頷き、由衣をカプセルの方へと誘導する。
「しばらくその中に入ってなさい。戦闘用に転用するのに10分ちょっとぐらいかかるけど」
真由美はスーツと由衣のデータを合わせるために作業を急ぐ。
「由衣…」
押しの弱い性格の篤彦は真由美の勢いにもうこれ以上強くは反論できなかった。
「自分で言うのも何なんだけど、かなりの自信作よ。これさえあれば30人力、いや、50人力だから」
「なんだか…変な感じ」
カプセルの中でじっと立っている由衣のデータがスーツに転送されているようだ。まるで何かの力が身体から抜き取られていくような感覚だった。 「じゃ、スーツの装着を始めるわよ。準備はいい?」
「うん、始めて!」
カプセルの中にいる由衣に光が照射され、全身が防御フィールドの白い光で包まれる。あまりの眩さにたまらず目を閉じてしまう。
その中で、由衣の着ているジーンズ、ジャケット、ブラウス、靴下が分解され、光の粒子となって周囲に溶け込むようにして消えていく。
由衣は上下お揃いで、レースが入った純白の下着姿になった。だがその下着も光に溶けるように消え、由衣の一糸纏わぬ美しい裸身が露わになる。
形の良い胸、首筋から背中にかけての美しいライン、すらりと伸びた美脚が晒されている。
(身体が…なんだか…あったかい…)
優しく白い光に包まれ、由衣は身体の中から湧きあがるような温もりを感じていた。そっと目を開けると、目の前は真っ白で何も見えない。
まず、由衣の腰の前後に真紅のパーツが出現し、それぞれ尻と股間にぴったりと合わさる。女性として最も大切な部分をしっかりと保護するパーツである。
「うっ、あううっ・・・」
装着時の締め付け感に由衣は身をよじる。だが、その間にも次なるパーツが装着されていく。
つま先、脹脛、膝、太ももの順に彼女の美脚を守るパーツが装着されていく。腰にもパックルが装着され、由衣の腰回りを保護する。
両太股の装甲にはホルスターが付属しており、右側にはマルチマグナム、左側にはサイコブレードが内蔵されている。
下半身が全て装甲に覆われると、次は剥き出しの上半身も装甲で覆われる流れとなる。手がメタルグローブに包まれ、下腕部、肘、二の腕も真紅の装甲に覆われる。さらに、両肩にもショルダーアーマーが装着される。
次いで、背中の方から、胸の方から、腹の方から装甲が出現し、意思を持っているかのように由衣の上半身へと密着していく。
バックパック、姿勢制御機能を司る背部パーツが背中に装着され、次いで特に衝撃に対して強く作られた腹部・胸部パーツが背部パーツとぴったり合わさり、由衣の乳房を優しく包み込む。 「はうううっっ!」
確実に自分が違う存在に変容している、違う存在に生まれ変わる、その快感に由衣は声を上げてしまう。
首筋から下は全て装甲に包まれており、いよいよ頭部への装着が始まる。
由衣の黒髪がふわりとかきあげられたかと思うと、頭部の周辺にパーツが現れ、それが由衣の頭部を覆ってヘルメットとなり、黒髪も後頭部に収められた。
空気圧ロックが作動し、後頭部がロックされる。これで由衣の身体で露出しているのは顔面のみとなった。
口元にマスクが現れ、鼻と口が覆われる。マスクにはレスピレーターがあり、スーツ装着時の酸素吸入を補助すると共に、外部からの悪臭や有毒ガスを防ぐ働きも果たす。
目元に顔面保護及び、情報表示の役割を果たすゴーグルが降りると、外見から装着者の正体を窺い知る事は出来なくなった。
最後に半透明のバイザーが降りると、変身の終わりを告げるかのように防御フィールドがパッと弾け、全身に真紅の装甲を纏った由衣の姿が露わになった。
「終わったわね。出てきなさい」
真由美に促され、由衣は一歩一歩、慎重に部屋の床を歩く。
「私…」
由衣は大きな鏡の前に立ち、自分の全身を見渡す。
全身くまなく装甲で覆われており、素肌で露出している部分はどこにもない。
それなのに、装着した瞬間の締め付けられているという感触は今は無く、身体の奥底から暖かみと共に力が湧いてくる感触がした。
「コードネーム:レッドトルネード。由衣、あなたの新しい姿よ」
真由美はレッドトルネードを見て満足そうに笑みを浮かたる。傍にいる篤彦は何が何だか分からない、といった様子で呆然としている。 「レッドトルネード、そこのリフトに乗りなさい」
トルネードは真由美に言われるままにリフトへと歩を進める。リフトが上昇した場所は、由衣がいつもバイクを止めているガレージだった。
「私のバイクが、えっ?何、何これ?」
レッドトルネードー由衣の愛車は赤をベースとしたカラーリングになっており、何やら様々な機器も追加されている。
「レッドジェッターよ。そのバイクはトルネードとリンクしてるわ。つまりアンタが変身したらそのバイクもそうなる、ってわけ。さぁ、乗りなさい」
「母さん、いつそんな事したの?」
「話は後よ。ハンドルを握ってるだけで現場に着くから早く乗って」
「わ、分かったわ」
トルネードはレッドジェッターに乗る。すると、バイクが意思を持っているかのようにひとりでに動き出した。
「敵が暴れている現場は江板スタジオから南西500メートル…ジェッターでぶっ飛ばしたら5分とかからないわ」
「…で、由衣はちゃんと無事に帰ってくるんだろうな?」
「戻ってくるわよ。まぁ正座でもしてそこで見てなさいよ」
未だオロオロしている篤彦に対し、真由美は微笑を浮かべた。
「こ、これって緊急車両じゃないでしょ?道路交通法違反じゃないの?」
「後で私が申請しておくから、しっかりとハンドルを握ってなさい!ボーっとしてると振り落とされるわよ!」
トルネードの乗るレッドジェッターは、現場まで最短距離で到着するように自動操縦のプログラムが組まれている。
赤信号も無視して走るのだが、障害物があれば自動的に避ける仕様になっているので、事故を起こす心配は無い。
「なんだあのバイク!」
「危ねーぞコラー!」
そんなトラック運転手からの罵声が聞こえたような気がしないでもないが、今のトルネードにはそんな事を気にしている余裕は無い。 街のあちこちから黒煙が上がっていた。中にはまだ赤々と燃えている建物すらある。
辺りには人影は全くない。無人と化しつつ街並みを、巨大な二足歩行の蛙の化け物がのし歩いていた。
不気味な双眼が周囲を睨みまわした。次に獲物とする対象を探しているのだろう。
と、その時、辺りに凛とした声が響いた。
「そこまでよっ!」
ガマ怪人が声に気づいて振り返る。そこには人影があった。
しかし、その人影は既に人間の姿をしてはおらず、真紅の装甲に全身を包まれており、声を発した人間の表情を見る事は出来ない。レッドトルネードの登場だ。
「コイツがアンタの初めての相手。思う存分やっちゃいなさい。戦い方はスーツにインプットされているわ」
「分かった、って、どうしたら…あっ、そうか!」
真由美の指示に従うかのように、トルネードは右腰にあるマルチマグナムを抜き放つ。
ガマ怪人が、これでも喰らえ、とばかりに、周囲にでもいたのか、先ほど由衣が遭遇した巨大な蛙が次々と集まってくる。
トルネードのバイザーには、敵と認知された巨大な蛙にロックオン表示がされている。
「行くわよ!」
マルチマグナムから発射される光線が的確に蛙を捉え、そのたびに跡形も無く蒸発させていく。
ものの10秒ちょっとで蛙は全て融けて無くなった。
「次はアンタね!」
部下を全滅させられたガマ怪人は動揺したのか、少し後ずさりする。だが、顎を大きく上げて、何か粘液のようなものを飛ばす。
「きゃっ!」
トルネードのバイザーには、敵がこちらに危害を加えるような事を感知する機能がある。
スーツの性能も手伝って、トルネードの身体が素早く右へと飛び、その後を空しく粘液が通過する。
粘液が付いたアスファルトは煙を上げて凹んでいく。強酸性の溶液なのだ。
間髪入れず、ガマ怪人は眼を光らせて破壊光線を飛ばす。
「あっ、きゃあああっ!」
トルネードは反応しきれずに直撃を喰らってしまう。吹っ飛ばされこそしなかったものの、衝撃がスーツの上からでも伝わってくる。何かで殴られたような感覚がした。
さらにガマ怪人は長い舌を伸ばし、ムチのようにしならせて向かってくる。アスファルトが抉られかねないほどの強烈な叩きつけ方だ。 「奴は両生類よ、マルチマグナムで弱点を突けるわ!」
「蛙だったら…そうか、その手があった!」
トルネードのマルチマグナムから冷凍光線が発射され、ガマ怪人に直撃した。
あまりの寒さに動きが鈍り、それを見てトルネードが反撃に出る。
左手から繰り出されたパンチがガマ怪人の右目に直撃し、その右目が完全に潰れ、辺りに体液をまき散らした。
さらに、右脚で思いっきりキックをすると、ガマ怪人の身体は10数メートル以上後方に吹き飛んだ。
「トルネード、トドメよ。サイコブレードを使って」
「よおし、見てなさいよ!」
トルネードは左腰のホルスターからブレードを抜き放つ。ビーム状の刀身が伸びる。
「こんなもの!」
ガマ怪人は舌を伸ばしてくるが、ブレードがその舌を綺麗に断ち切った。
もはやトルネードに対する手段が無くなったと悟ったガマ怪人に対し、トルネードがブレードを振りかざす。
感情が高ぶり、全身の血が沸騰するかのような熱ささえ、由衣は感じていた。
眼の前の存在を、自分の全身全霊をもって消し去るような思いで技を繰り出す。
「トルネードスマッシュ!」
出力を高めたビームブレードを下から上に豪快に一閃すると、ガマ怪人の身体は縦に真っ二つに裂け、爆裂して辺りに汚れた液体をまき散らかした。
「ふぅ…」
どうやら初陣を勝利で飾れたようだ、と由衣はマスクの中で一息ついた。
「私がこんなに強くなるなんて…」
強化スーツのあまりの性能に驚いていると、再び真由美からの通信が入る。
「終わったみたいね。戻ってらっしゃい。スーツの解除方法を教えるから」
「そういう事は最初に教えてよ!」
「しょうがないでしょ、何もかも急だったんだし」
とにかく初めての任務を成功させたトルネードは、レッドジェッターに乗って家への路を急いだ。 「お帰り、トルネード、いや、由衣」
「よく帰ってきたな!よく帰ってきたな!」
無事帰還したトルネードを真由美と篤彦が迎え出る。
「で、変身を解くにはどうしたらいいの?」
トルネードはヘルメットをまさぐるうちに、左側にある小さなスイッチに手を触れた。
すると、中から水蒸気が勢いよく吹き出し、後頭部のロックが解除され、ヘルメットが手動で着脱出来る状態になる。
「ぷはああぁぁっ!」
中からレッドトルネードー由衣の素顔が露わになる。空気圧でロックされているヘルメットの中はいつの間にか湯気が溜まっているような状態で、由衣の顔は汗だくの状態だった。ひんやりとした空気が顔に当たり、心地良かった。
「あー、気づいちゃったのね。それ、ずーっと着っぱなしだと熱いから、時々そうやってガス抜き出来るようにしてあるの」
「で、どうやって変身を解除するの?」
「そうだったそうだった、また忘れる所だった。スーツ脱ぎたかったら『着装、解除!』って言ってみて」
「着装、解除」
由衣がそう言うと、再び白い防御フィールドが展開され、首から下が未だ真紅の装甲に包まれた由衣の全身を覆い隠す。
全身から装甲が剥がれ落ちるように離れていき、乳房を覆う胸部パーツも、女として最も大事な部分をしっかりと守る股間のパーツも、腕や肩を守る装甲も、美脚を守る装甲も、全てが光の粒子となって消えていく。
「はあぁぁ…」
中から現れたのはスタイル抜群の由衣の裸身だ。由衣は変身が解除されていく中、強張っていたものが緩んでいく感覚と、身体から力が抜けていくような奇妙な感覚を味わっていた。
変身時、光の粒子となって消えていた由衣の純白のショーツとブラジャーが再び着せられ、さらにジーンズ、ブラウス、ジャケットも再び元通りに着せられる。
防御フィールドが弾けると、由衣は閉じていた目をそっと開けた。変身する前の服装に戻っている。レッドトルネードは鷹野由衣という一人の女性に戻ったのだ。
強化スーツはというと、変身時に由衣が入っていた隣のカプセルに元通りに戻っていた。
「お疲れ様。後、アンタのスマホ、私に預けてくれない?今晩中にやっておきたい事があるから」
「メアドとか見ないでよ」
「そんなの見てどうするのよ。とにかく、これだけはすぐにやっておきたい事があるの。疲れたでしょ?お風呂湧いてるから入りなさい」
「由衣、父さんはもう寝るぞ。お前も早く寝なさい」
「分かったわよ」
変身を解いた由衣はドッと疲れたような気がした。気が付いたら肩ではぁはぁと荒い息をしていた。
「レッドトルネード、赤い竜巻、かぁ…」
由衣は浴槽に身を沈めながら、今日の疲れを癒そうとしていた。
湯の中で腹に「の」の字を描くようにしてマッサージをする。こうする事で全身の血の流れが良くなる。
今日は疲れたせいか、もう少し長く湯舟に浸かりたい気持ちだった。
「それにしても、あの化け物って何だったんだろう…今は考えても仕方ないか」
こうして由衣はしばしの至福の時に浸っていった。
レッドトルネードー鷹野由衣の戦いは、まだ始まったばかりだ。 以上です。スーツ破壊でも何でもないですが、ご好評であれば次回以降も執筆する予定です(一応プロットは考えてあるので)。 GJ
変身過程描くとは出来るヤツだな
やっぱボディスーツの下は全裸じゃなきゃな い、いや、サムスみたく肌着にもう一枚着ているのもアリだ 優しい朝の光が由衣の自室に差し込んでいる。カーペットの上に敷かれた布団の中で、由衣は身体をもぞもぞと動かしていた。
「由衣ー、早くシーツ出せよー」
階の下から篤彦の声がする。
「もうちょっと寝かせてよ、まだ8時半なのに…」
由衣は掛け布団にくるまりながらしぶしぶと起き上がる。今日は土曜日で由衣が取っている講義は無いのだ。
布団の下は全裸である。気持ちがいいし、身体に締め付けるものが無い方が調子がいいので、高校生の時からずっとそうしている。
布団にくるまったままパソコンの電源を入れ、スポーツ紙・サンサンスポーツのサイトをチェックするのが由衣の朝の日課である。
自分が好きなプロ野球関連の記事や、芸能関連の記事が一通りまとめられており、ここと同じくスポーツ紙のスポーツジャパンのサイトを見れば政治・社会以外の世の中の話題はそれなりに分かってしまう。
身体が温まって来た所で、由衣は布団を脱ぎ、下着を身につけ始める。室内とは言えひんやりとした空気が由衣の裸に突き刺さる。
「おはよう、父さん」
着替えを終えた由衣がシーツを持って洗面所に行くと篤彦がいた。
「おはよう。遅いぞ由衣、洗濯し始めた所だからシーツを入れておけ」
「母さんは?」
「地下にいる」
洗面所では全自動の洗濯機が回っている。一時停止のスイッチを押し、シーツをその中に叩き込むと、由衣は顔を洗いだした。冷水が眠気を覚ましてくれる。
居間のテーブルに向かうと、篤彦が作った出汁巻きが置かれていた。由衣は炊飯器からご飯をよそい、椅子に座る。
「いただきます」
目の前の皿に置いてあるキュウリの漬物をかじりながら、由衣は飯を食べる。何気ない鷹野家の朝であり、何気ない鷹野家の簡素な朝食である。 (何気ない日常って大事だね)
昨日のガマ怪人の襲撃に巻き込まれた人はそんな何気ない日常を味わう事が出来なかった。
だからこそ、こうして今のところは平常な生活を送れている自分は感謝しなければならない。由衣はそう思った。
ご飯を食べ終えた由衣はちゃんと食器を洗い、洗い棚に置いた。
次いで、歯を磨くべく再び洗面所の前に立つ。歯を磨きながら、櫛で髪の乱れを直していく。
髪を整えると、再び自室へと戻り、メイクを始める。普段、由衣はそれほど化粧に時間はかけない。厚化粧は好きでないし、長くても10分程度で済ませる。
化粧を終え、由衣は地下に降りる。昨日真由美に預けていたスマートフォンを受け取るためだ。
「由衣、おはよう
「おはよう、お母さん」
「はい、これ昨日アンタから預かっていたやつよ」
真由美は由衣に端末を手渡す。外見は以前自分が使っていたスマートフォンにしか見えない。しかし、色は以前の黒ではなく赤だし、微妙に形状も違う。
「これ、機種が全然違うじゃないの」
「スーツがそれに入ってるのよ。どこにいても変身できるようにね」
「ふーん…で、私の前のスマホは?」
「心配しなくても、ここにあるわよ。何かの予備にでも置いておきなさい」
由衣が以前使っていたスマートフォンが真由美から手渡される。カプセルの方を見ると、以前あったスーツが無くなっている。端末に収納されたからである。
「操作は前のと一緒だから大丈夫よ。高い所から落としても水に浸けても壊れないようになってるから、これ」
「要するに、変身ブレスみたいなものなの?」
「そういう事。だから、いつも大事に持っておきなさい。充電の必要も無いから安心してね」
「本当に?」
「本当よ、もう。空気中の光を吸収して自動的にエネルギーが充填される仕組みになってるんだから。それと、変身する時は前と同じ『着装!』、変身を解くときには『着装解除!』って言ってね」
真由美の説明を聞いている間、由衣は端末を少しいじってみた。前に使っていた機種とさほど操作感覚や方法に違いは無い。 「後は私が説明するよりも実際に自分で使ってみた方が早いと思うわ。母さんは研究を続けているから、何かあったらまた連絡して」
「ありがとう、お母さん!」
新しい装備を手に入れた由衣はワクワクしながら自室に戻る。以前使っていた機種を予備として机にしまいこむと、新しい機種を使いだしてみる。
念のためにメールアドレスや電話帳、ブックマークも見たが、全て以前のものがそのまま移されている。
「お母さん、やるなぁ…」
由衣がとにかく凄いと感心しながら端末をいじっていると、メールが送られてきた。
「ん?何だろ。母さんからか」
メールの題名には「注意喚起」とある。中身を見てみると、由衣の顔色が曇った。
【昨晩、浪速県阿波路区にて、変死体を相次いで発見。いずれも首には絞められたような跡があり、警察は殺人事件として捜査。
半径500メートル圏内で比較的短い時間内に発生している事から、警察は同一犯の犯行も視野に入れて捜査】
一見、ありがちな社会面の記事に見えるが、先日のガマ怪人による犯行も浪速県で起きていることから、関連性が疑われる、といった趣旨の事が真由美からのメールに書かれている。
となると、もしかしたらまた怪人が自分の近辺に現れるかも知れない。由衣は覚悟を固めた。
と、今度は電話がかかってきた。大学の知人・森川栞からの電話だ。
「はいもしもし、鷹野です…あ、森川さん?」
「由衣ちゃん、今日時間がある?」
「あ、まぁ、今から外に出ようと思っていたんだけど…」
「じゃあわたしと一緒に買い物に行かない?」
「いいよ。で、どこに行くの?」
「安部乃ミューズモール。新しく出来たんだけど、あそこ一日で回り切れないほど大きいらしいよ」
「じゃ、そこにしよっか。で、どこで待ち合わせるの?」
「由衣ちゃんの家でいいんじゃない?そこからニケツで行けば時間かからないでしょ?」「えー?私運転ヘタだし、まだ免許取って1年経ってないし、警察に見つかったらヤバいし」
「そうなの?残念だなあ」
「向こうで落ちあいましょう。着いたらまた連絡するわ」
「現地待ち合わせ?ま、いいっか。わたし、今から出発したら10時くらいには着くと思う」
「10時ね。分かったわ。じゃ、向こうで会いましょう」
外出した所で別に何をするというわけでも無かったが、モデルとしての活動のために、ブランド物の服の研究をするには丁度いい機会だ、と思い直した由衣は、外に着て行く服装を選び出した。
「お父さん、安部乃ミューズモールに買い物にいってくる」
「安部乃って、あそこか?新しく出来た所か?」
「せっかくだから、早い時間に見てくる。いくら遅くても夕方には戻るわ。行ってきます!」
台所で洗い物をしている篤彦に挨拶をすると、由衣はバイクに乗り、家から出発した。
「…ったく、ニケツで行こうなんて。私のバイクはタクシー代わりじゃない」
由衣は愚痴を漏らしながらも、愛車で颯爽と街中を走り抜けていった。 安部乃ミューズモールはいくつかの建物が合わさって出来た大型商業施設だ。
3階建ての広々とした建物が複数あり、出入口を把握するだけでも大変である。
「森川さんはどこかな、っと」
時計の針は9時55分を指している。由衣は先に1階の中央エントランスに先に着いたので、電話をかけようとした。すると、遠くから声が聞こえた。
「由衣ちゃーん!」
栞が端末で連絡しようとしている由衣の姿を見つけて駆け寄って来た。
水色の薄いワンピースに上着を羽織っており、黒髪は肩の上あたりまでしかなく、やや短めだ。
栞は由衣と同年齢ではあるが、160センチ前後と言う背丈、美人というよりは可愛い系、やや子供っぽい言動もあって実年齢より幼く見られがちである。
「おはよう、森川さん」
「待たせちゃってごめんね」
「別に待ってないわよ。時間にも間に合ってるし」
「20分くらい前に駅に着いたんだけど、そこから迷って迷って…ここの地下って巨大なダンジョンだね」
安部乃の街の地下通路は改修工事もあって回り道しなければならない所もあり、複雑に入り組んでいる。栞が迷うのも無理は無い。
「そんなに迷ったの?道案内の看板も一杯あるけど…」
「わたしの地元ってそんなに大きくないもん。というわけで、案内お願いね」
「無理よ、自分もここは初めてなんだし」
「じゃ、二人で行きましょ。迷いながらでも何とかなるでしょ」
「ちょ、ちょっと!」
先にショッピングモールの中に入った栞の後を由衣も追っていった。
「あー、スマホにオートマッピング機能って無いのかなー、自分が一度通った所を明るく表示してくれる機能とかさぁ。私のケータイって古いからそういうのって無いんだよね」「それに近いのだったらあるんだけど…」
「えっ、ホント?」
「私もこの機能使うの初めてなのよ、こないだ機種変更したばっかりだから」
二人は当てもなくブラブラとモール内を歩いていた。モール内は本当に広く、自分の現在位置を示してくれる目印が無いと迷いそうだった。
「あ、出たわ。ここよ」
「どれどれ、っと」
由衣の持つ端末には、周囲の建物の形状とともに、現在いる位置のマークが示されている。流石に周囲の店の名前までは表記はされなかった。 「このへんは全部レディスショップみたいね」
「そうなの?じゃ、片っ端から見て回るよ」
「片っ端?森川さん、全部の店を1日で見て回るつもりなの?」
「訓練されたモデルなら1店10分くらいで済むよ」
「訓練された、ねぇ…」
栞は手近なレディスショップを見つけると、由衣を置いてさっと中に入って行った。
まず目をつけたのは「奉仕品」と書いてある一角だった。ハンガーを動かし、自分にあったサイズを目定めする。
栞の手が「S」と書かれているタグがついているハンガーで止まった。栞の服のサイズ
はどうやら「S」のようだ。
「あ、これいいかも」
一方の由衣は、チェックのスカートと、赤のニットセーターを手に取っていた。会計を済ませ、店の外に出る。
栞はと言うと、ようやく靴下を一足持ってレジに立っていた。時計の針を見ると店に入った時から15分が経過していた。
(訓練されてるなら10分くらいで済むんじゃなかったの?)
この調子だと全部の店を回るにはどれぐらいかかる事やら。由衣はため息をついた。
「じゃ、次いくよ」
栞は由衣を連れて隣の店に入った。棚を一通り見渡す栞の目線はとてつもなく速く、由衣はそのスピードについていけない。
「ここはパス。次!」
「森川さん、もう終わり?」
「そう。素早く見て行かなきゃいくらあっても時間が足りない」
(早いんだか、遅いんだか…)
栞は買おうと決めた物は買うかどうかやたら時間をかける割に、興味のない物は本当に流し見程度でサッと済ませるのだった。
あちこちの店を回っているうちに、時間は11時30分を過ぎていた。 「森川さん、そろそろお昼にしない?」
「まだちょっと早いと思うけど」
「こういう所は昼時になるとどこも一杯よ。その前に食べちゃうのが基本だから」
「そうなんだ。じゃ、そうしましょ!丁度お腹も空いてきたしね」
二人はショッピングモール内のフードコートへと向かった。
フードコートには、長崎名物ちゃんぽんのリンボーハットや、うどんで有名な角亀製麺や、ラーメンの天下無双など、いろいろな店があった。
昼時が近くなり、客が大分増えてきたが、丁度いい所に二人分の空席があった。
「あー、買い物すると疲れるねー」
栞は手に下げていた大きな紙袋を床に置き、ドスンと椅子に座った。由衣の方はそれほど買ってはいない。小脇に抱えられる程度の量だ。
栞は小銭入れを取り出し、中身をまさぐった。そして、しまった、という顔をした。
「…由衣ちゃん。非常に申し訳ないんだけど、1000円貸してくれない?」
「もしかして、予算オーバー?」
「そう、その『もしかして』なの。電車代しか残ってない。バイトの給料が2日後に入るからその時返すわ。ねぇ、お願い」
「仕方ないなぁ」
頼まれると断り切れない由衣は、しぶしぶ1000円札を1枚取り出し、栞に手渡す。
酒も煙草もやらない由衣は普段それほどお金を使う生活はしていない。小遣いに加え、アルバイトでやっているモデルの収入もある。
しかも、先日ガマ怪人と戦った「危険手当」も入る見込みなので、懐具合にはかなり余裕がある。
席に戻って来た栞は長崎ちゃんぽん、由衣は天ぷらうどんをお盆に乗せていた。
「由衣ちゃんってあっさり物が多いね。身体に気を使ってるの?」
「うん。一応モデルの仕事やってるからね」
うどんを食べながら、由衣は足元にある大きな紙袋に目をやる。
「森川さん、いつも買い物にどれぐらい使うの?」
「その森川さんっていう言い方、堅苦しくてあんまり好きじゃないんだ。栞か、栞ちゃんでいいよ」
「じゃあ…栞ちゃん、いつも買い物でどれぐらい使うの?」
「最低でも4、5000円。もしかしたら1万円行くかも知れない。服だけじゃなくって、食べ物も買わなくちゃいけないし」
「そっか、栞ちゃんって下宿してるんだったね。自炊とかしてるの?」
「結構やってるよ。最初はずっと外食ばかりだったんだけど、スーパーで色々買うようになってからは逆に外に食べに行く方が面倒になっちゃったから」
「一人暮らしって何から何まで全部自分でやんないといけないから、本当に大変でしょ…あ、電話だ」
由衣が端末を手に取ると、真由美からの電話がかかってきていた。 『由衣、出動よ。敵が、怪人が出たみたいよ』
「母さん?母さんね。出た?どこに出たの?」
『都留橋って知ってる?』
「何年か前に行ったことはあるけど…」
『今、安部乃にいるんでしょ。そこからだと割と近いはずよ。急いで。何人かやられてるから』
「わかった。すぐ行く」
由衣は端末をポケットに入れると立ち上がった。まだ食べかけの天ぷらうどんが少し残っていた。
「由衣ちゃん、どこに行くの?」
「急な用事が出来たわ。また後でね!」
「ちょ、ちょっと由衣ちゃん!」
由衣は自分が買った荷物を引っつかむとフードコートを飛び出して行った。
階段を駆け下り、全速力でバイクが止めてある地下駐車場に向かう。
駐車料金は?と料金一覧表を見てみると、駐車から2時間は無料、と書いてあった。
今から後2分でちょうど2時間となる。つまりギリギリ無料で済んだと言う事である。
ツイてる、と感じながら、由衣は買った物をヘルメットの収納スペースに押し込み、懐から端末を取りだす。
身体を右に大きくひねり、端末を持った右手を前に出し、由衣は叫んだ。 「着装!」
誰に教えられたわけでもないのに自然と変身ポーズらしきものが出た。
言葉が響き終わった瞬間、端末が強く光り輝き、白い防御フィールドを生成して由衣の全身を包み込む。
身につけている靴が、靴下が、ズボンが、上着が、光の粒子となって身体から離れ、端末に吸い込まれていく。
由衣の身体に残されたのはショーツとブラジャーだけになったが、それもすぐさま白い光となって消えていく。
暖かい光に包まれ、一糸纏わぬ姿となった由衣は次なる変容に入る。
つま先から、手のひらから、何かが駆け上がっていくような感覚がする。
「くうううぅぅっっ!」
白い光の幕は膝から腰へと、肘から肩へと上がっていき、胸や首筋まで覆いつくすと強く発光し、白と赤のツートンのインナースーツへと変化する。
由衣はそっと目を開ける。ぴっちりとしたスーツが首から下をくまなく覆っている。
形のいい乳房、腰のくびれ、すらりとした脚など、由衣の身体のラインがくっきりと出ている。
(何だか恥ずかしい…)
だがその恥ずかしさを味わうまでもなく、装甲を受け入れる準備が整った由衣の変身は次なる段階に入る。
尻と股間を挟みこむようにして前後からパーツが出現すると、ぴったりと合わさり、由衣の大事な部分をカバーする。
次いで腰部にパックルが装着され、端末が内部に収納される。スーツの制御を補助するためである。
つま先、脹脛、膝、太ももに装甲が密着し、下半身の装着が完了する。さらに手、下腕部、肘、肩にも次々と装甲が装着されていった。
そして、背部パーツ、胸部パーツ、腹部パーツが出現し、由衣の身体を包み込むように密着し、上半身のスーツも完成した。
最後に頭部の装着である。ヘルメットの装着を受け入れるべく、由衣は目をそっと閉じる。
後頭部、左側頭部、右側頭部の三つのパーツが合わさってヘルメットの形になり、由衣の頭に装着される。
いよいよスーツの装着も完成段階に入る。口元にマスクが装着され、鼻と口が覆い隠される。最後に唯一露出した目の部分もゴーグルが装着されて覆い隠され、その上から半透明のバイザーが下りた。
防御フィールドが弾けると、そこには真紅の戦士・レッドトルネードの姿があった。
由衣の愛車も着装と同時に高性能バイク・レッドジェッターに変化している。
「都留橋…遠くはないと思うんだけどね」
レッドトルネードはレッドジェッターに跨り、地下駐車場を飛び出して行った。 「はいはい、危ないから近寄らない、近寄らない!見世物じゃないんだぞ!」
都留橋近辺はあちこちで警察官が警戒にあたっており、一般人の立ち入りは厳しく規制されていた。
多数の警察官があわよくば様子を見に行こうとする野次馬の排除に務めていた。
その都留橋に近づきつつあるレッドトルネードの視界にもその光景は見えている。
警戒区域内に奴が、怪人がいるに違いない。虎穴に入らずんば虎児を得ず。覚悟を決めたレッドトルネードはさらにジェッターの速度を上げる。
警察官の前で、トルネードを乗せたジェッターの車体が躍動した。
「そいやっ!」
レッドジェッターの車体は6メートル以上高く飛び、警察官の頭上を大きく飛びこして向こう側に着地した。
「ちょ、ちょっと君、どこに行くんだね?」
警察官の声はもちろんレッドトルネードには伝わらない。
「場所的にはこのあたりのはずなんだけど…」
レッドトルネードはジェッターを走らせるが、怪人は一向に出現しない。
『トルネード、上っ!』
「上?きゃあっ!」
いきなり真由美からの通信が入る。「バイクで走っている途中の真上」という、真由美もトルネードも全く想定外の場所からヤモリ怪人が出現し、ジェッターに乗っているトルネードに襲いかかった。
「くっ、うああっ、離れろっ!」
トルネードは蛇行運転をしてヤモリ怪人を引き剥がそうとするが、ヤモリ怪人の力は意外に強く、トルネードの背中にくっついて離れない。
そうこうしているうちに、目の前に建物が迫ってくる。このままでは衝突だ。
トルネードは本能的に急ブレーキをかけた。ジェッターの後輪が大きく横滑りし、その勢いでヤモリ怪人は振り落とされる。 「覚悟しなさい!」
トルネードはマルチマグナムをヤモリ怪人に向けて構える。ヤモリ怪人はそれを嘲笑うように、周囲の風景と自らを同化させて姿を消した。
姿を消しておけばほぼ不意打ち同然で攻撃出来る…そう思ってトルネードに飛びかかった。
が、次の瞬間、ヤモリ怪人の身体はマルチマグナムの弾丸を受けて大きく吹き飛んでいた。
「おあいにく様。こっちはアンタの動きなんか丸見えよ」
トルネードのバイザーにはヤモリ怪人の輪郭線がくっきりと映し出されている。熱源を、生体反応を感知しているのだ。
かなわない、と思ったヤモリ怪人は路地裏に逃げ込む。ジェッターでは追って来れない狭い所に逃げ込もうというのだ。
「もう逃げても無駄よ!」
マルチマグナムの弾丸がもう一発怪人に命中し、怪人は地面にもんどり打って倒れる。かなりのダメージを与えたようだ。
ヤモリ怪人はヤケになったのか、尻尾を大きく振り回してトルネードを打ちつけようとする。
しかしトルネードは尻尾をがっちり両手で掴むと、自分の身体を軸にして怪人の身体を大きく振り回し始めた。ジャイアントスイングである。
十分に回転した所で手を離すと、怪人の身体は100メートルほど先まで投げ飛ばされた。
よろめきながら起き上ったヤモリ怪人に、サイコブレードを抜き放ったトルネードが迫る。
「トドメよ!トルネードスマッシュ!」
サイコブレードの刀身が、怯えるヤモリ怪人の身体をまず左右に一閃し、さらに頭から真下へと切り下げられる。
ヤモリ怪人は何かを吐きだしそうな不気味な叫び声を上げたかと思うと、大きく爆散した。 「やった…のね」
トルネードはブレードを左腰のホルスターに収納し、腰部のパックルに収納されている端末を操作し、レッドジェッターを呼び寄せる。
それとほぼ同時に真由美から通信が入る。
「任務完了ね。とりあえず帰ってきなさい」
「分かったわ。すぐ帰る」
真由美からの通信を切ると、トルネードはヘルメットの左にあるボタンを押す。
プシュウウウウッ!
後頭部のロっクが外れ、水蒸気が勢いよく吹き出す。目元のバイザー、ゴーグルも、口元のマスクも解除され、由衣の素顔が現れた。
「ううーーっ!」
ヘルメットを脱ぐと、由衣は汗だくの頭を左右にブルンブルンと振り、汗を飛ばした。心地良い風が彼女の顔に当たった。
と、端末がメールを受信した事を知らせてくる。
「誰だろ」
由衣がメールの中身を見てみると、栞からのものだった。戻ってこないから先に帰る、という内容だった。
着信履歴を見てみると、不在着信が4件もあった。これも全て栞からのものだった。
由衣は人目に着かない場所にジェッターで移動すると、栞に連絡を入れた。
「あーゴメンゴメン、栞ちゃん?さっきはごめん」
「30分待っても戻ってないし、電話もつながらないし、本当にどうなってんのよ」
「本当に急な用事だったの。親にすぐに戻ってこいって言われたから」
「せっかくの休みが無駄になっちゃった気分なんだけど」
「またご飯おごってあげるからさぁ、怒らないで」
「まぁそれならいいけど…約束よ?」
「うん、約束する。じゃあね」
栞との電話を切った由衣はふぅと一息付くと、端末をパックルに戻し、ヘルメットを被り直す。後頭部がロックされ、マスク、ゴーグル、バイザーが装着され、再びフルフェイスの状態に戻った。
怪人との戦いはいつ何時あるか分からない。そのたびに由衣は何かと理由をつけて現場に向かわなければならない事はこれからも多々あるだろう。
(正義の味方って大変ね…ある意味24時間無休だから)
レッドトルネードを乗せたレッドジェッターは一陣の風のように街中を去って行った。 「ただいま」
「お帰り、レッドトルネード」
レッドトルネードとレッドジェッターが、リフトに乗って地下の研究室へと戻って来た。
「着装、解除」
トルネードがそう言うと、再び白い防御フィールドが全身を包む。その中で、由衣の身体が装甲から解放されていく。
ヘルメットのパーツがバラバラになり、由衣の素顔が露わになる。
上半身を包んでいた屈強な装甲も、しなやかな下半身を包んでいた装甲も、全てが光となって消えていく。
後には赤と白のツートンのインナースーツの由衣が残された。だが、そのスーツも輝きを発したかと思うと弾けるように消滅し、由衣のまばゆい裸身が現れた。
その裸の上からまずはショーツ、ブラジャーが身に付けられる。そして靴下、ズボン、上着と元の服装が身につけられた時、防御フィールドは消滅した。
レッドトルネードの変身が解除され、由衣の姿に戻ったのだ。
「お疲れ様。お風呂はまだ湧いてないけどね」
「いいよ。シャワーで済ませるから」
「あら、そう。篤彦にもただいま、を言いなさいよ」
由衣が台所に上がると、篤彦は出汁を取っている最中だった。
「おお、由衣か。おかえり」
「ただいま、父さん。今日の夕飯は何なの?」
「夕飯が出来るんじゃない。出来た物が夕飯なんだ」
「父さん、何言ってるのよ」
「まぁまぁ、見てのお楽しみだ」
こうして、今回も無事に任務を終えた由衣は再び何気ない日常生活を送る事が出来たのだった。 以上です。 今回もスーツ破壊でも何でもな(ry ご好評であれば次回も執筆いたします。 >>104
投下乙!
赤と白のインナースーツって鮮やかな色彩でエロいね おぉ?
>>104にもっとふさわしいスレがあると思ったけど、
意外と女性主人公特撮的無双な話を守備範囲にしたスレってないんだね こういうスーツが無双しているシーンとかの後で破壊シーン描かれたら凄い興奮するだろうな とある場所の地下に設けられた研究所にて、白衣姿で眼鏡をかけた男が試験管を手に、何やら熱心に研究に励んでいた。
背後には培養液で満たされた大型カプセルがいくつも並べられ、中には甲虫のような甲殻を纏った人型、蠍のような甲殻を纏った人型のようなものもある。
また、並んでいるカプセルの中の一つには全裸の少女が入っていた。
少女は胎児のように身体を丸め、目を閉じて培養液の中に浮かんでいる。意識は無いようだ。
その様子を見ていた少年が、男に声をかける。外見は中学生か高校生のようだ。
「三影先生、どうも我々の計画を邪魔する者がいるようです」
「ああ、あの赤い戦士だな」
「レッドトルネードと言うみたいですが…」
「あの技術の解析も始めなければな」
三影と呼ばれた男は、少年を振りかえる事も無く黙々と作業を続ける。
少年は研究室を出ると、「窪島佑」と札が下げられている自室に入る。四畳半の狭い部屋で、テレビ、本棚、小さなタンス、小さな音楽プレーヤーがある程度で、ポスターや調度品の類は一切無く、酷く殺風景な部屋だ。
「何か面白い事って無いのかな」
佑は、ゴロンと床に寝ころぶと、本棚から大きな本を取りだした。「生物辞典」と書かれているハードカバーの大きな本だ。
佑はパラパラとページをめくっていたが、あるページで手を止めた。そのページには「コブラ」について書かれていた。
その生態、特徴についてじっとページを見ていた佑の右手に黒い斑点が浮かんだと思うと、徐々にコブラの表皮のように赤黒く変化していく。それを見て、佑は何かを確認したかのように一瞬小さく笑った。
「レッドトルネードか…僕の出番はまだかな、まだかな」
佑はすぐに無表情に戻った。と同時に、腕も人間のそれへと戻っていった。 この日の浪速県内は雨がシトシトと降っていた。久しぶりの雨が乾いた大地を潤す。
由衣は今日は珍しくスカートをはいていた。
「お父さん、今日は遅いのね」
研究で忙しい真由美はあまり台所に立つ事は無い。家事はもっぱら篤彦の担当だ。
その篤彦がまだ起きてこないので、由衣は自分で台所に立つ。まな板と包丁を並べ、冷蔵庫の中からキャベツと卵、ハムを取りだす。
ハムを1センチ角に切り、卵をとき卵にし、キャベツを細かく千切りにする。
フライパンを熱し、ハムを軽く焦げ目がつくまで炒めてから千切りにしたキャベツを入れる。
ハムとキャベツが混ざり合った所で、火を弱火にし、とき卵をゆっくりと上からかける。卵がある程度固まれば完成である。ご飯を茶碗に入れ、お茶をお湯のみに入れると朝食が完成した。
「いただきます」
朝食を食べながら、由衣はテーブルの脇に新聞を広げる。まず最初に見るのはページをめくらなくても済むテレビ欄である。
あまりテレビは見ないが、野球中継には興味がある。由衣が好きな板金タイガースの中継は今日はテレビ浪速でやるようだ。尾張ドームで尾張ドラゴンズとの試合なので雨天中止は無い。
「尾張ドームのドラゴンズってなんであんなに強いんだろ」
そうボヤきながら、次にスポーツ欄を広げる。タイガースの試合結果も載っていたが、
0-6でドラゴンズに完封負けしていた。
社会面、国際面に一通り目を通し、由衣は朝食を食べ終えて食器を流し台に持っていく。
フライパンともどもきちんと洗い終えると、由衣は自室へと向かった。
「雨の日って化粧の乗りが悪いなぁ」
由衣は雨の日があまり好きではない。バイクに乗れないからである。
由衣が化粧を終えて1階に降りると、篤彦がようやく起きてきた。
「おはよう。今日は早出か?」
「あ、父さんおはよう。雨だから早めに出る。行ってきます」
由衣はお気に入りの赤の大きな傘を指すと、家を出る前に地下の研究室に寄った。
もう真由美は起きているのだろうか、と思いながら部屋に入ると、真由美はスーツの研究を続けていた。
「母さん、おはよう」
「おはよう、由衣…って、もうこんな時間か…」
真由美は1日中部屋に籠って研究を続けている事が多いので、時間感覚が無くなるのだという。
「母さん、やっぱりぴっちりしててなんだか恥ずかしいよ、あのインナースーツ」
「あれはね、スーツの電気信号を効率良く伝えるために必要なの。それと、万が一スーツが壊された場合に備えての生命維持装置の役目もあるわ」
「大事なのかも知れないけれど、やっぱりちょっと恥ずかしい」
「変身する時と解除する時のちょっとの間だけでしょ、その格好って。あ、それと由衣、たまに通帳見てる?ちゃんと危険手当が振り込まれてるはずよ。1回10万円だから」
「10万かぁ…」
命がけで怪人と戦った報酬が10万円というのは安いか、高いか。どっちにしろ、今の由衣にとっては大金である。 近畿学院大学は最寄りの地下鉄駅から10分ほど歩いた所にある。
地下鉄を使って大学に行くルートは、由衣の自宅からの最短ルートを避けるようにあるため、大きく回り道する形になる。
「ま、たまには電車で行くのもいいか」
降りしきる雨の中、由衣は大きな傘を指して大学へと向かった。
大教室では1限目の授業が始まろうとしていた。由衣はルーズリーフと教科書を広げ、大教室の前の方の席に座って教授が来るのを待っている。
開始時間ギリギリになって、栞が教室に入って来た。
「ふぅー、間に合った間に合った」
「おはよう、栞ちゃん」
「由衣ちゃん、おはよう。雨の日って嫌だよねー、足元濡れちゃうから」
「栞ちゃん、こないだ私が貸した1000円、覚えてる?」
「忘れてるわけないでしょ、ほら」
栞は1000円札と10円玉を取り出して由衣に渡した。
「この10円玉は?」
「一応、利子のつもりよ」
「いいわ、気持ちだけ受け取っておく」
由衣は10円玉を栞に返し、札を自分の財布にしまった。
「また何かあったら貸してちょうだいね」
「財布の中身ぐらい自分で管理しなさい」
図々しいのか礼儀正しいのかよく分からない性格だなあ、と由衣は感じた。
講義が始まると、教授は話をしながら、時々言葉を黒板に書いていく。
高校までの授業と違って、大学の講義の内容は板書されない。故に、集中して話を聞き、自分なりにその場で要点をまとめてノートに書き留めておく必要がある。
由衣は鉛筆を動かし、教授の話を自分なりにまとめていく。
講義が終盤に差し掛かった頃、ふと隣に座っている栞を見る。栞はシャープペンシルを握りながら机に突っ伏してすやすやと寝息を立てていた。
(ったく、この子は…)
大学の講義は1コマ90分授業である。高校までの1コマ45分の授業と違って2倍の長さがあるので、集中力が持たなくなるのも仕方が無いと言えば仕方が無い。
「…ん?うう…」
講義の終わりを告げるチャイムが鳴って、ようやく栞は目を覚ました。
「栞、起きた?はい、出席カード」
むっくりと起き上がった栞に、由衣は小さなカードを渡す。名前を書いたカードを教授の所に渡す事によって、初めて講義に出席したと認められるのだ。
「だってさぁ、あの先生の声って本当に聞いてたらすごく眠たくなるんだもん」
栞は眼が半開きの状態で出席カードに学生番号と名前を書いていく。
おまけにこの教室は大教室で、教室の後ろのほうに座る学生にも聞こえるようにするため、やたらマイクにエコーがかかっているのだ。
「あっ、そうだそうだ、由衣ちゃん、来週の日曜日の屋外撮影会に着て行く服ってもう決めた?」
教科書とルーズリーフを鞄にしまって席を立った由衣を、栞が後ろから呼び止める。
「由衣ちゃん、今日時間ある?」
「別に忙しくは無いけど…どうしたの?」
「講義終わってからさ、由衣ちゃんの家に遊びに行きたいの」
「私の家って別に何も無いわよ」
「そんな事無いと思うんだけど。結構大きな家だし、場所も知ってるから」
「な、なんで分かったの?」
「散歩しててたまたま前を通って、『鷹野』っていう表札があって、あ、ここだって分かった」
「…まぁ、上がってもいいけど、靴とかはちゃんと揃えて上がってね。ウチの親は結構厳しいから」
「えっ、いいの?楽しみだなあ」
栞はパッと目を輝かせた。 「ただいま」
「おお、お帰り」
由衣が家に帰ると、篤彦はホームページ作成をしていた。
「今日さ、私の友達が家に遊びに来るんだけど、いい?」
「ああ、いいぞ。由衣もついに恋人が出来たのか?」
「やだなぁ、女友達よ、女友達」
「そうか…じゃあ父さんがお茶とお菓子を用意しておく」
由衣が恋人の存在を笑って否定すると、篤彦はやっぱりな、という表情で戸棚に向かった。
「栞ちゃんね」
「こんにちは。御邪魔します」
鷹野家のインターホンが鳴る。カメラで確認すると、やってきたのは栞だった。由衣がドアを開けると、栞はきちんと靴を揃えて玄関を上がる。
「初めまして、森川栞です」
台所で冷蔵庫の整理をしている篤彦に、栞が学生証を名刺のように差し出して挨拶をする。
「森川さんか、こちらこそ初めまして。お茶を持っていくのでちょって待ってなさい。あ、コーヒー、紅茶、どちらがいいかな?」
「え、え、別にどっちでもいいです」
「じゃあ、こっちの気分で紅茶にしておくからね。由衣なら2階にいるぞ」
篤彦が丁寧に栞に希望を聞くと、栞は戸惑った。礼儀正しいというか、気配りが細かい家である。
「由衣ちゃん、私よ」
栞が由衣の部屋をコンコンとノックする。
「どうぞ」
由衣が返事をすると、栞が部屋に入って来た。そして、栞は部屋の豪華さに目を見張った。
白を基調とした部屋は間取りにもかなり余裕があって、由衣専用と思われるパソコンやテレビも置いてあった。
この家はかなり裕福な家庭で、由衣もかなり育ちのいい人間だという事がすぐに伝わって来た。
「ここって広いなぁ…わたしのアパートとは大違いね。月5万だし」
「月5万のアパートって結構いい方だと思うんだけど…」
栞が部屋の広さに見とれている間、由衣はバイク雑誌やファッション雑誌「nono」を読んでいた。
「森川さん、初めまして。いつも由衣が世話になっていてすまないわね」
「いえいえ、こちらこそ」
「まぁ、何も無い家だけど、ゆっくりしていってね」
部屋に上がって来た真由美が、二人分の紅茶とクッキーを持ってきてくれた。
「今度の日曜日さぁ、撮影会に着て行く服ってもう決めてる?」
次の日曜日、二人は天宝山公園での団体撮影会に参加するのだ。
「んー、この間安部乃で買ったのを着てみようかな、って思ってる。栞ちゃんは?」
「秘密」
「じゃあなんで聞いたのよ」
「その時の気分で決めるから。でも今度初めて由衣ちゃんと一緒にやるんでしょ、すっごい楽しみ」
二人が時間を忘れて話をしてうちに、時計の針は午後5時を指していた。
「あ、もうこんな時間だから、そろそろ御暇するね」
「え、ああ、もうこんな時間なの?」
由衣は栞に言われて初めて時間に気付き、慌てて立ち上がった。長時間座っていたので足がもつれそうになった。
「すいません、今日は本当に御世話になりました。では、これで失礼します」
「せっかくだから、今日はウチで夕飯を食べて行かないか?」
「いや、そこまでして下さらなくて結構です」
篤彦の夕飯の誘いを断って栞は家を出た。
「なかなか礼儀正しい、いい子じゃないか、由衣」
「私の前ではそうでもないんだけどね」
篤彦は栞にひとまず好感を持ったようだった。 日曜日の天宝山公園は晴天に恵まれ、絶好の撮影日和だった。
午前10時、由衣と栞を入れて7人のモデルが、集まった10数人のカメラマンの前に並び、軽く自己紹介をする。
「鷹野由衣です。初めての人は初めまして、久しぶりの人はお久しぶり、常連の方はおはようございます」
「森川栞です。19歳らしく何も恐れずに頑張ります!」
栞はウケを取ったつもりなのだろうが、一瞬場が静まり返り、それからまばらに拍手が起きた。
「栞ちゃん、野球の新人選手じゃないんだから…」
由衣に突っ込まれ、思いっきりスベった栞は赤面していた。
自己紹介が終わると、モデルごとにそれぞれ分かれて撮影が始まる。公園には様々な「オブジェ」があり、それをどう使うかでカメラマン、モデルの技量が問われる。
由衣は赤のチェックのスカートに、白のブラウス、栞は白のキュロット、グレーのシャツブラウスに、黒のニーハイソックスという格好だ。
「イエーイ、みんな見てるー?」
栞の方はというと、変顔を披露したり、大きくジャンプしたりと、とにかく動きまくるので、カメラマンをあちこち振り回していた。
「おおー」
「可愛いね」
撮影を続ける中、由衣の周囲にカメラマンが集まる。
首と頭に花のレイをつけて、手を胸の前で合わせて祈るようなポーズを取り、目をそっと閉じると、
それはまるで妖精か天使のような美しさを醸し出していた。
昼休みに入り、モデル達も休憩に入る。それぞれ持ってきた昼食を持ってきて、気分はちょっとしたピクニック気分である。
栞の昼食はサンドウィッチだったが、由衣の弁当はかなり豪華だった。三段重ねで、炊き込みご飯に出汁巻き、筑前煮、ほうれんそうのおひたし、デザートでイチゴまでついていた。
「由衣ちゃん、それ豪華過ぎるよー、全部自分で作ったの?」
「いや、お父さんに作ってもらっただけだから」
「ちょっと分けてくんない?」
栞にせがまれて、由衣は出汁巻きを少し分けてあげた。
「これ作った人絶対プロで金取れる。天才的」
「そんなに美味しかったの?」
口の中に広がる出汁の旨みを味わった栞が、親指を立てて見せた。 公園では多くの子供達も遊びに来ていた。何人かがカブトムシを追い回している。
弁当を食べ終えた由衣は食後の運動がてら、その様子を見にぶらりと歩く。
子供達は懸命にカブトムシを捕まえようとするが、なかなか捕まらない。カブトムシは他にも沢山おり、花の蜜や木の樹液を吸っているものもいる。
由衣は最初、その様子を微笑ましく見ていたが、どうもおかしな事な事に気付いた。
(なんでこんなに枯れた花や木が多いんだろう…)
木々が青々とした季節なのに、枯れ葉が次々と地面に落ちている。花が鮮やかな季節のはずなのに、花は大半が萎れてしまっている。
見ると、大半の花や木にはカブトムシがとまっている。
(いくらなんでも多すぎると思うんだけど…)
由衣が不審を抱いていると、栞が声をかけてきた。
「由衣ちゃん、そろそろ昼休み終わっちゃうよ」
「うん、今行く」
由衣はどうしても異常発生してるカブトムシが気にはなったが、ひとまずは撮影に戻る事にした。
撮影は午後3時過ぎに無事終わった。カメラマン、スタッフが解散を指示すると、皆挨拶を交わして帰ろうとしたが、
モデルの中の一人が、由衣達に声をかけてきた。
「これからカラオケで二次回しない?」
「わたし、行くよ。由衣ちゃんもどう?」
由衣としても、モデルと親交を深める格好の機会だったので、別に断わる理由などない。やれやれ、無事に終わった。そう思いながらカラオケボックスにモデル達と向かっていると、真由美から電話がかかってきた。
『由衣、出動よ。出たのよ、奴が』
「出た?どこに」
『アンタの撮影現場よ、そう、天宝山公園』
「公園に?」
『そう、怪人らしい反応が集まっているの、今すぐ向かって』
「分かった。現場で待機しておくわ」
後ろの方にいた由衣は、栞達に気付かれないようにスッと群れを後にし、撮影現場だった公園まで走りだした。
ふと栞が後ろを振り向くと、そこには由衣の姿は既に無かった。
「あれ、由衣ちゃんがいない…また急な用事かな」
この前からどうも由衣の様子がおかしい、と栞は思う。急な用事と称してフッといなくなるのはこれで2度目だからだ。 公園に戻った由衣は、園内の木々や花々の変わり果てた様子に驚いた。いずれも枯れており、全く生気が感じられない。
由衣が林の辺りを歩いていると、枯れた木のうちの1本の根元が軋んだ音を立てる。
「はっ!」
背後から倒れこんでくる木を由衣は右に飛んでかわす。倒れた木は土煙と共に轟音を上げた。
「これは一体…」
由衣が辺りを見回していると、空には大量のカブトムシがいた。撮影中、花や木の樹液を吸っていたものだ。やはり数が異様に多い。
そのカブトムシが徐々に一か所に集まりだすと、人のような型となり、茶色の堅牢な装甲、巨大な角を持った怪人に変化した。カブトムシ怪人だ。
この怪人は公園の花や木の樹液を吸い、栄養を満たし、頃合になった頃、完成体である怪人となった。
由衣が頭の中で整理を終えるか終えないうちに、カブトムシ怪人が巨大な角を突きだして突進してくる。
図体は巨大なのにそれを全く感じさせない、まるで地面をホバー移動しているかのような滑らかな動きで、逃げる由衣を追い回す。
カブトムシ怪人の角が由衣の身体を捉えると、まるでゴミでも捨てるかのように放り投げた。
芝生の上に落とされる由衣。やはり生身ではかなわない。挑発するかのような仕草を見せるカブトムシ怪人に向けて、眦を決し、戦士に変わる決意をする。
懐から端末を取りだし、身体をひねって端末を持った右手を前に付きだす。
「着装!」
由衣の叫びと共に、全身が白く光る防御フィールドに包まれる。
その中で由衣が身に付けているパンプス、スカート、ブラウスが、次いで、ブラジャーとショーツが光の粒子となって消え、由衣は瑞々しい裸体を晒す。
つま先、手から、光が駆け上がり、由衣の身体は赤と白のツートンカラーのインナースーツに包まれる。
装甲を纏う準備が整うと、股間部、臀部を保護する強固なパーツが、端末を収めるパックルが装着される。
つま先から上に向かって次々と装甲が装着され、インナースーツに包まれただけの上半身も腕、肩、そして胴と装甲で覆い隠されていく。
首から下が全て装甲に包まれた由衣はそっと目を閉じる。頭部付近に現れた装甲がヘルメット状となって由衣の頭を包み込み、後頭部がロックされる。
口元にマスクが装着され、ゴーグル、バイザーも装着されると、由衣の姿は完全に覆い隠された。
防御フィールドが弾け飛ぶと、そこには変身を完了した真紅の戦士・レッドトルネードの姿があった。 「行くわよ!」
カブトムシは昆虫であり、寒さには耐えられないはずである。レッドトルネードはマルチマグナムの冷凍光線をカブトムシ怪人に発射した。
しかし、表面が一瞬白くなっただけで、怪人はたじろぐ様子も見せない。怪人という事で強化されているのだろうか。
次いで、装甲の隙間を狙って破壊光線を発射する。しかしこれも強固な装甲にあっけなく弾かれてしまう。
カブトムシ怪人はこれに怒ったのか、反撃とばかりレッドトルネードに猛然と突進してくる。
トルネードは両手でガッチリと受け止めるが、予想以上に力が強く、強化スーツの力をもってしても弾き飛ばされそうである。
(外から殴れば内部に損傷を与えられる!)
トルネードはカブトムシ怪人に向かってパンチ、チョップ、キックを繰り返すが、いずれも大して打撃を与えられない。
すると、カブトムシ怪人は肩口からトルネードに向かってタックルをぶちかます。
「ぐあああっ!」
トルネードはタックルを左肩にモロに受けてしまい、後ろに大きく吹き飛ばされる。今まで経験した事も無いような大きな衝撃だった。生身であれば確実に脱臼していたであろう。
さらにカブトムシ怪人は角をアンカーのように発射し、倒れているトルネードの身体をワイヤーで巻きつける。
身動きが取れない状態で自分の手元にまで引きこんで始末してやろうというのだ。
「ま、負けるもんですか!」
トルネードは左腰のホルスターからサイコブレードを取りだし、ワイヤーを斬りつける。ワイヤーが外れ、トルネードの身体が解放される。
角を再び頭に戻したカブトムシ怪人は、身体を大きくのけぞられ、腹部から多数のカブト虫を放出する。
トルネードはまとわりついてくるカブトムシをブレードで斬ろうとするが、動きが非常に素早く、とても斬れるような物ではない。
逆に体中にまとわり付かれてしまい、カブトムシ怪人が不気味な声を上げると、トルネードの装甲にまとわり付いたカブトムシが小型爆弾のように連鎖的に爆発した。
「きゃああぁぁぁっっ!」
肩に、胸に、背に、腹に、脚に、一斉に爆撃を受け、トルネードはその場に倒れこんでしまう。想像以上に大きなダメージで、すぐには立ち上がれない。
『仕方が無い、これを実戦投入するわ。ジェットストライカーよ』
トルネードの苦戦ぶりを見かけた真由美が、研究室から新兵器を転送してくる。
2枚2対のカッター状の翼が、まだ全身から煙を上げているトルネードの背中に装着される。 『このジェットストライカーで空から攻めるのよ!』
「分かった。有難う、母さん!」
ジェットストライカーを装着したトルネードは、先ほどのダメージも忘れて、大きくジャンプした。空中で一時停止し、眼下にいるカブトムシ怪人を見据える。
カブトムシ怪人も空中戦では負けじと翼を出し、トルネードへと向かってくる。
戦いでは頭上を取った方が有利だ。トルネードは急降下し、急上昇してくるカブトムシ怪人に対してマルチマグナムを放った。
片翼が吹き飛び、カブトムシ怪人は地面に墜落する。
怒ったカブトムシ怪人は再び腹部を開け、多数のカブトムシ怪人を放出しようとする。
「二度もその手は食わない!」
トルネードのマルチマグナムが腹部に命中し、カブトムシ怪人は大きくもんどり打って倒れる。
すかさず冷凍光線で追い打ちすると、先ほどの様子が嘘のようにカブトムシ怪人は苦しみ始める。どうやら腹部が弱点だったようだ。
「さっきのお返しよ!」
トルネードはジェットストライカーで素早く飛び込むと、上空から勢いをつけてカブトムシ怪人の角に向かってチョップを入れる。角が頭部から綺麗に切り離され飛んで行った。さらに、トルネードは右脚を軸にしてコマのように回転し、カブトムシ怪人に連続キックを喰らわせる。
大きく吹き飛んだカブトムシ怪人はもはや立ち上がるのがやっとのようだ。
「よし、行くわよ!」
トルネードはサイコブレードを抜き放ち、刀身にエネルギーを集中させる。
そして、低空飛行でカブトムシ怪人に突っ込んでいく。
「トルネードスマッシュ!」
居合斬りのように一度、二度と斬りつけ、カブトムシ怪人を背にするようにレッドトルネードが着地すると、カブトムシ怪人は大きく爆散した。 「ふぅ…」
振り向いて、勝利をおさめた事を確認すると、レッドトルネードはブレードをホルスターに戻した。すると、そこには一人の少年がいた。見た目は中学生か、高校生のようだ。
「ふーん。君ってそこそこ強いんだね」
「あなたは誰?こんな所で何をしているの?」
「あ、レッドトルネードって女の人だったんだ」
「男の人だからと言ってどうしたって言うのよ!」
窪島佑…見た目は普通の少年だが、ただならぬ物を感じる。コイツは明らかに普通の少年じゃない。レッドトルネードは警戒を緩めなかった。
「何で私の名前を知っているのよ!」
「あんまり僕らの事をナメない方がいいと思うよ。じゃ、またね」
「待ちなさい!」
レッドトルネードは佑に向かおうとしたが、佑は背景に溶け込むようにその場から姿を消した。
「一体何なのよ、あの子…」
疑念は残るが、とりあえず戦いは終わった。レッドトルネードは人目に付かない場所に移動し、普段の姿に戻る事にした。
「着装、解除」
白い防御フィールドが展開され、ヘルメットも、上半身の装甲も、下半身の装甲も全てがバラバラに外れ、光の粒子となって消えて行く。
装甲から解放され、白と赤のインナースーツ姿となった由衣は、全裸になったような気分だった。
そのインナースーツも光を発すると共に分解され、一瞬ではあるが由衣の裸が露わになる。
下着、スカート、ブラウス、パンプスが元通りに装着されると変身解除は完了し、防御フィールドも消滅した。
レッドトルネードから由衣に戻った彼女の顔は汗だくだった。と同時に身体に疲労がどっと押し寄せてくる。
しばらくその場に座り込み、立ち上がろうと言う気にすらなれなかった。
余裕があればこの場で栞に電話をし、二次回に飛び入り参加させてもらおう、とも考えたのだが、今はそれどころではない。
とにかく家に帰って休もう。由衣の頭の中にはもうそれしか浮かばなかった。
こんな事で、これから激化していくであろう怪人との戦いに勝てるのだろうか?
心も身体も重さを引きずるようにして、ゆっくりと由衣は家路に向かった。 今回は以上です。スーツ破損までは行かなかったかな?ご好評であれば次回も(ry 大晦日に執筆ご苦労様です。新年からいいものが見られました^^
格闘シーン[E]です!
カブトムシ人間と聞くと某ジャングルの王者を思い出すのがアレでしたが 「母さん、おはよう」
「おはよう、由衣。もう行くの?」
「うん。道が混んでると困るから」
大学の1限目の講義に出席するべく、由衣は家を出る前に、いつものように地下の研究室にいる真由美に挨拶をしに行っていた。
「あれ、このカプセルは?」
壁面にカプセルがもう1個あり、中には薄緑色の培養液がなみなみと満たされていた。
ホルマリン漬けに使われるような容器を非常に大きくした感じだ。
「ああ、これ?高速治癒カプセルっていうの。サッカー選手とかが使ってる高酸素カプセルってあるでしょ。それをもっと高級にしたものなの」
「これに入ってたら傷の治りが早くなるの?」
「人間の自然治癒力の20倍以上の効果があるはずよ。…でも、なるべくならこんなものの出番が無いのが一番よ」
「そうね、母さん」
自分の身を案じ、万全のサポート体勢を整えてくれる母に感謝し、由衣は家を出る。 大学に到着し、教室の椅子に座って教授が来るのを待っていると、後ろに座っている数人の男子学生が何やら話をしている。
「おいお前、これ見ろよ」
一人の学生が写真週刊誌と思われる薄い雑誌を広げる。
「『真紅の戦士、天宝山公園に現れる!』…だってよ」
「俺、マジで現場目撃したぞ。特撮のロケかなって一瞬思ったけど、マジだったのか」
学生たちは「真紅の戦士」の正体が何者なのか、他にもどこかで見た事は無いのか、について話し合っている。
勿論、学生たちは前に座っている女子学生・鷹野由衣がレッドトルネードである事など知る由も無い。
(仕方ないけど、あれだけ人目に付く場所で戦ってたらバレちゃうよね。でも、真紅の戦士かぁ。そういう二つ名も悪くないわね)
由衣は自分をレッドトルネードと名乗った事は一度も無い。
それに、自分の戦いに多くの人を巻き込むべきではない。正義の味方は殊更に自分の事績をアピールする必要は無いし、今は目の前の事を一つ一つ確実に解決していけばいい。
由衣がそんな事を思っているうちに、講義の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
昼休みになって、いつものように由衣は学生食堂に向かった。座る席を探していると、既に栞が座っていて、こちらの姿を確認して手を振ってきた。
「あ、由衣ちゃん、一緒に食べよっ!」
「うん。でも今回は自腹よ」
「いくらわたしでもお昼代ぐらいちゃんと持ってるよ」
栞と由衣はレーンに並び、思い思いの物を取っていく。由衣はご飯に豚汁、鯖の味噌煮、揚げだし豆腐、栞はご飯に味噌汁、イカの天ぷらにほうれんそうのおひたし、肉じゃがを取っていた。
「栞ちゃん、かなり豪華ねぇ」
「モデルのバイトって割がいいしね。今日の夕方も仕事が入ってるし」
由衣も出来ればもう少し仕事を入れたいのだが、怪人と戦う「仕事」を優先しなければならないのでそうもいかない。
「由衣ちゃん、こないだの二次会なんで来なかったの?」
「あれね、家のカギを公園に落とした事に気づいて取りに戻ってたの」
「で、カギは見つかったの?
「見つかったわ。時間がかかっちゃったけどね。カギを探しているうちにしんどくなったから、二次会は止めておいたわ」
不審を抱く栞に対し、由衣は適当に理由をつけてはぐらかす。今ここで正体を明かすと面倒な事になるからだ。 由衣は3限目の講義を終え、バイクで家路に着こうとしていた。近所にあるやや大きめの公園を通りがかると、何やら喚くような声が聞こえてきた。
「オラー、タイマンしろよタイマン!」
「嫌です、やれません」
「ビビってんのか、コラ」
気になった由衣は道端にバイクを止め、様子を見る。
学生服を着た気弱そうな少年が、同じく学生服を着た2人の少年に絡まれている。外見からしておそらくは中高生だろう。
絡まれている少年は半泣きになっている。遊びやじゃれ合いといった類では無く、イジメであるのは明らかだ。
「やるのかやらないのかはっきりしろよ」
少年が尻に蹴りを入れられ、前によろめく。このままではエスカレートしていきかねない。
見るに見かねた由衣は、柵を乗り越え、掃除用具の倉庫の裏へと隠れる。少年たちはまだ気づいてはいない。
そして、戦士へと変わるキーワードを叫ぶ。
「着装!」
由衣の全身が防御フィールドの中で白い光に包まれ、着ている服が消滅していく。
入れ替わるように白と赤のツートンカラーのインナースーツに覆われ、下半身、次いで上半身とあっという間に装甲が装着されていく。
頭部の周辺にパーツが出現し、それがヘルメット状になって由衣の頭に被さる。
後頭部がロックされ、口元のマスクが装着され、目元のゴーグルが降り、半透明のバイザーが装着されると、防御フィールドがパッと弾ける。
「待ちなさい!」
凛とした声を響かせ、倉庫の裏側から姿を現したのは、全身を真紅の装甲で固めた戦士・レッドトルネードだ。
中学生たちは突然倉庫の裏から発せられた白い光に驚いていたが、目の前に突然現れた真紅の戦士にはもっと驚いた様子だった。
「な、何だお前!」
「通りすがりの正義の味方よ。アンタ達、こんな所で何をやっているの!」
「だ、だってコイツは俺らに金を貸そうとしないから…なぁ?」
「同意」を求められたイジメられている中学生は、それを否定するようにレッドトルネードの背後に隠れる。
「暴力で金を踏んだくろうっていうのは恐喝っていう犯罪よ!」
「お前、ちょっと生意気なんだよ!」
トルネードの正論に逆上した中学生が懐からナイフを取りだし、襲い掛かってくる。
だが、強化スーツに身を包んだトルネードにとって、そんな動きはまるで止まっているようにしか見えない。
右手首をがっちりと掴み、微動だにさせない。そのまま力を入れれば手首を折る事などわけもなかったが、一般人相手にそういう事をするわけにもいかない。手を振り払い、ナイフを遠くに飛ばす。
中学生はその勢いで地面に倒されてしまった。もう一人はそれに恐れをなしたか近づいてこない。
「こ、コイツヤバイぞ、逃げろ!」
「わ、わ、うわあっ!」
二人が逃げて行ったのを確認してから、トルネードはしゃがみ込み、泣きべそをかいていた中学生を見つめた。
「もう大丈夫よ、気をつけて帰ってね。今日の事はきちんと親に相談するのよ」
「わ、分かりました、有難うございます」
中学生はその場から走り去って行った。
事が終わり、レッドトルネードは再び倉庫の裏側に隠れると、普段の姿に戻る言葉を叫ぶ。
「着装、解除」
白い光の中で全身の装甲が溶けるように消えて行き、インナースーツ姿となる。
そのスーツも光ともに消え、一瞬裸身が露わになったが、すぐに由衣の服装に戻った。
初めて装着した時に比べると、装着までに必要な時間がかなり短縮されている。スーツも日々改良されているのだ。
「人助けをした後って、気分がいいね」
ごく短時間とは言え、レッドトルネードになった後は疲労感を感じる。だが、今はこの疲労感も心地いい。
そして、変身しておいて良かった、と感じた。最近の中学生の男子は発育が良く、腕力も強い。
二人がかりで来られたら、普段は普通の女子大生である由衣には分が悪すぎるし、余計な怪我を負いかねなかったからである。 その日の夜、窪島佑は、何をするわけでもなく、住宅街をうろうろしていた。
とそこに、暴走気味の運転の車が背後から突っ込んでくる。車は避けようとする素振りも見せない佑の脇をかすめ、急ブレーキをかけて立ち止まった。
「コラー、そこのガキ、気をつけろ!」
白い乗用車の運転席から、中年の男性と思しき怒声が佑に向かって浴びせられた。
佑は運転席の方を冷たい目でじっと見つめていると、車はそのまま走り去っていこうとした。
少しして、車の燃料タンクに穴が空き、ガソリンが流れ始める。
次いで、スピードを上げようとしていた車の左後輪が破裂し、大きな音が辺りに響き渡った。
車は制御が不可能になり、そのまま近くの住宅地の塀に激突した。
大爆発を起こした車から、ボンネットやタイヤが外れ、辺りに飛び散ったり転がったりした。
大破した車から黒煙が立ち上り、吹きあがる炎が、周囲の闇を赤々と染めていた。
「みんな死ねばいいのに」
佑は燃え上がる車の様子を無表情で見つめていた。車の主が生きているかどうか、佑はいちいち確認などしなかった。
佑の右腕は不気味に長く伸びており、先端には鋭い爪が生えていた。 午後7時30分過ぎ、夕食を終えた由衣は自室でくつろいでいた。横になりながら、テレビの野球中継の「板金ー横幅」戦を見ている。
「さぁ5回裏、1-2と1点ビハインドの板金、1アウト満塁で1打逆転のチャンス!打席は5番服留選手です!」
試合は中盤の山場を迎えていた。横になっていた由衣も起き上がり、応援に力を入れ始める。
「犠牲フライでもいいから、まずは同点に追いついて!」
ボールカウントは2-1、打者有利のカウントだ。とその時、電話がかかってきた。
「はいもしもし…って、母さんか」
『由衣、出動よ。怪人が出たわ。既に死傷者が出ているみたい』
「場所は?」
『江板スタジオから西に2キロほど離れた別のスタジオ近辺よ』
「分かった、今行く」
由衣はすばやく立ち上がり、ハンガーにかけてあったジャケットを羽織る。
「せっかくいい所なのに…」
野球観戦に邪魔が入った事を愚痴りながら、由衣は愛車で現場に急行する。 栞は夕方からスタジオで個人撮影会をしていた。モデルである栞本人、カメラマン2人、撮影スタッフ3人という小規模なものだ。
本日の栞の衣装は女子高生風の制服だ。いわゆるコスプレだが、栞は高校を卒業してから1年も経っていないので、まだまだ制服姿がサマになる。
(懐かしいなぁ、もう1度高校生やり直したい気分)
カメラのフラッシュを何度も焚かれながら、栞は高校生活を思い出していた。
やがて、撮影時間が終了し、栞はカメラマンやスタッフに礼を言ってスタジオを出る。
スタジオ最寄りの駅に向かうべく、住宅街を抜けて大通りに出ようとすると、栞の目に異様な光景が入って来た。
炎上した乗用車やバイクが何台か転がり、そのどれもが黒煙を上げている。熱気が栞の方まで伝わって来た。
「大事故かしら…」
心配になってこの場を素早く走り去ろうとした栞の背後から声がかかる。
「君、見物料も払わずに逃げる気かい?」
ぎょっとした栞が後ろを振り返ると、そこには右腕がコブラのそれと化している佑がいた。
まるで虫やゴミを見るかのような目で栞を見つめている。
(この人はただの人じゃない、逃げなきゃ!)
本能的にその場を離れようとした栞の首に、コブラの腕が巻き付いた。
「僕のこういう格好を見てしまったんだね。見てしまったんだね」
振りほどこうともがく栞の目の前で、佑の姿がみるみるうちに変化し、コブラ怪人へと変化する。
窪島佑はかつて普通の少年だったが、三影の手によって怪人態であるコブラ怪人への変身能力を身につけたのだ。
「見物料?そうだね、君の命でゆっくりと払ってもらおうかな」
目の前に突然現れた得体の知れない化け物に、栞は恐慌に陥る。
「い、嫌やああああ!離して!離してー!」
涙を流しながら、腕を首から引き剥がそうと、身体を左右によじって拘束から抜けだそうとするが、腕は全くびくともしない。 由衣は愛車で現場に向かっていた。真由美によるとこの辺りのはずだ。そう思って向こうを見つめると、赤々と燃える炎が視界に入る。敵がいるのは間違いない。
ヘルメットを被った状態の由衣は、戦いに入るべくこう叫んだ。
「着装!」
ズボンに入った状態の端末が反応し、バイクごと由衣の全身を白い光で包み込む。
ヘルメットが、由衣の衣服が光の粒子となって分解され、端末に吸い込まれていく。
首から下が赤と白のインナースーツに覆われ、その上から尻と股間部を保護するパーツが、端末を収めたパックルが腰部に装着される。
つま先から、手先から装甲が駆け上がるように一気に下半身と上半身に装着される。
最後に頭部にヘルメットが装着され、由衣の姿を完全に覆い隠す。それと同時に愛車もレッドジェッターに変化していた。
白い光が弾けると、そこにはレッドジェッターに跨ったレッドトルネードがいた。
バイザーの向こうには、コブラ怪人と、首を絞められている一般人がいる。もう一刻の猶予も無い。
レッドトルネードはジェッターから大きく飛ぶと、両手を握りしめ、コブラ怪人へと突っ込んでいった。
コブラ怪人はレッドトルネードのジャンピングパンチをまともに喰らって大きく吹き飛ばされた。
その衝撃で栞を締め付けていた腕も緩む。
「早く逃げて!」
後ろに倒れ込んでいるような姿勢の栞に向かって、レッドトルネードは叫んだ。突然の乱入者に栞はとっさに身動きが出来なかった。
「何をしてるの!早く逃げなさい!」
もう1度レッドトルネードが言うと、栞は慌てて立ち上がり、この場から走り去って行った。
「どうして…どうしてこんな事をするの?」
レッドトルネードはコブラ怪人と対峙する。まだ赤々と燃えている車やバイクが、辺りの闇を、二人の姿を明るく照らしていた。
「君はこうでもしないと出てこないからね」
「その声…あなた、この間の!」
コブラ怪人の声にトルネードは聞き覚えがあった。公園でカブトムシ怪人を倒した後にこっちを挑発してきた少年だ。 「まさか、私をおびき寄せるためだけに…こんな事を!」
「僕は人間扱いされずに生きてきた。だから、人間の決まりを守る必要も無い。そう思わないかい?」
「思わないわよっ!あなたが何者か知らないけど、人間を虐げる権利なんか誰にも無い!」
レッドトルネードはマルチマグナムを抜き放つと、コブラ怪人に向かって放つ。
コブラ怪人はそれを軽く跳んでかわすと、レッドトルネードに向かって飛びかかって来た。
地面に転がってかわし、起き上ったトルネードに、コブラ怪人はキックを繰り出してきた。
両腕で受け止めたが、肩まで衝撃が伝わって来た。
(コイツ、強い…!)
今までの敵とは明らかにパワーが違う。今度は尻尾を素早く振って来た。身をかがめてかわすが、起き上った瞬間、左側頭部にコブラ怪人の蹴りが直撃した。
「あぐぐううっ!」
首の骨がずれそうなほどの衝撃だった。生身だったら確実に頭が吹き飛ばされて即死していたのは間違いない。
ヘルメットにヒビが入っているかどうか、そんな事を確認している暇は無かった。
さらにコブラ怪人はレッドトルネードの首筋を掴み、家の壁に向かって力任せに叩きつけた。
顔面から叩きつけられたトルネードのバイザーが粉々に砕け散り、家の壁も大きく凹み、ヒビが入った。
「怒りは動きを鈍らせる、という事は学校で教えてくれなかったみたいだね」
よろよろと起き上がるレッドトルネードにコブラ怪人が迫ってくる。
トルネードが力を振り絞り、股間の下からコブラ怪人を蹴りあげる。ダメージがあったのかは分からないが、隙を作るだけの効果はあった。
トルネードの右ストレートがコブラ怪人の顔面に入り、間合いを詰めてさらに膝蹴りを2発入れる。
そして、コブラ怪人を力任せに大きく持ち上げ、背中から地面に叩き付けた。
追い打ちをかけようとするが、コブラ怪人もさるもの、トルネードの足を払い、転倒させる。
そして、サッカーボールを蹴るように、トルネードの右腰を思いっきり蹴りあげた。
「あ…がはあぁっ!」
骨盤が粉砕されそうな衝撃があった。5メートル以上吹き飛ばされたトルネードは咳き込み、胃液が逆流してくるのを感じた。
必死に立ち上がろうとするが、下半身に力が入らない。右腰に目をやると、右太股の装甲にヒビが入っているのが分かった。 (このままじゃ…負けちゃう!)
敵を見据えるトルネードだが、すぐ目の前には飛びかかってくるコブラ怪人がいた。
トルネードは反射的にマルチマグナムを抜き放ち、必死の思いで撃つ。
ほぼゼロ距離で破壊光線を受けたコブラ怪人の身体が思いっきり吹き飛ぶ。何とか間に合ったのだ。
とにかく相手に少しでも手傷を負わせるしかない。そう思い、トルネードはサイコブレードを抜き放つ。
まだ下半身がふらついているが、それでも気力で立ち上がる。
コブラ怪人が再び巨大な尻尾を振りまわしてくる。両手でしっかりとブレードを握り、裂帛の気合とともに振り落ろす。
「ぎゃああああっっ!」
コブラ怪人が、人間体の佑の時の姿からは想像もつかないような凄まじい叫び声を上げる。
ブレードによって綺麗に斬られた尻尾が体液を撒き散らしながら地面に落ちた。
「たぁっ!」
コブラ怪人が口を大きく開けて発射した毒液を、トルネードは地面を蹴り、高く跳んでかわす。上空から振りおろしたブレードがコブラ怪人の頭部を斬り裂く。
「目が、目があああああ!」
コブラ怪人は体液を頭部から流して苦しんでいる。この時を見逃すトルネードではない。
「行くわよ!トルネード・スマッシュ!」
トルネードが持つサイコブレードが普段よりも激しく光り輝く。
そして、その刀身をコブラ怪人に向かって下から上へと一気に斬りあげた。
しかし、斬ったのは胴体では無く左腕に過ぎなかった。コブラ怪人が最後の力を振り絞って回避したのだ。
「避けられた!?」
「勝負は…また…次にしてあげるよ…じゃあね」
コブラ怪人は斬られた左腕を抑えながら、どこかへとかき消えた。後にはまだ小刻みに動いているコブラ怪人の尻尾と左腕が残されていた。
とりあえず、何とか撃退には成功した。そう安堵したトルネードは、ヘルメットの左側のスイッチを押す。 プシュー…
ダメージでヒビが入り、空気圧が漏れていたからか、いつものように勢いよく空気が吹き出て来ない。
口元のマスクとバイザーは解除されたが、後頭部のロックも解除されないので、自分で強引に引き抜いた。
左側頭部に大きなダメージを受けたせいか、汗まみれの顔がグラグラし、視界が定まらない。
「はぁ…はぁ…」
ヘルメットを小脇に抱えた由衣は肩で激しい息をしている。いつまで経ってもその荒い息がおさまる気がしない。
カブトムシ怪人との戦い以上に凄まじい疲れ、そして味わった事も無いような痛みが肉体を襲う。
少しでも動くと首や腰に鈍く、しかし凄まじい痛みが襲いかかってくる。
強化スーツは装着中、筋力を成人男性の数十倍に増幅させるが、その分筋肉に溜まる疲労も大きい。
由衣は変身を解除してから家に帰ろうと思ったのだが、今ここで変身を解いてしまうと動く体力すら残っていないかも知れない。
考え直した由衣は、ガタガタになったヘルメットを強引に被り直し、レッドジェッターに乗って家へと帰った。
自動操縦でハンドルを握っているだけでジェッターが家へと向かってくれる。ハンドルを握っているのが精いっぱいで、もうまともに運転するだけの気力や体力は残っていなかった。 「レッドトルネード!大丈夫!?」
「はぁ…はぁ…母さん……あれを……」
レッドトルネードは息も絶え絶えになりつつ、地下研究室へと帰り着いた。
ヘルメット左のボタンを押し、中に溜まっていた空気を排出する。ヒビが入ったヘルメットを投げ捨てるように床に置くと、中から汗でドロドロになった由衣の顔が出てきた。顔の左半分辺りも腫れている。
「由衣、カプセルに入りなさい」
「は、はい…」
真由美に言われて、ふらふらしながら由衣はカプセルに入る。真由美は腰のパックルから端末を取りだした。
「スーツ姿だとしんどいでしよう、楽になりなさい」
真由美が端末を操作すると、まだ首から下に装甲をまとったままの由衣が光に包まれる。全身の装甲が一気に由衣の肉体から解き放たれ、赤と白のインナースーツ姿となる。
そして、そのインナースーツも光の粒子となって剥ぎ取られ、由衣は裸身を晒す事になった。
しかし今度は元の服装が復元されない。
「裸でいるのが一番効果が高いから」
真由美がカプセルのスイッチを入れると、下から薄緑色の培養液が上がってきて、全裸の由衣を少しづつ包み込んでいく。
真由美にしか分からないが、この端末は外部からも操作が可能で、装甲解除後はインナースーツ姿や、全裸状態にしておく事も可能なのだ。
右腰辺りに、赤黒くて見るからに痛々しい大きなアザがある。他にも、身体のあちこちにアザがあった。
液体が由衣の首筋まで上がって来たころに、口元にマスクが装着される。
(ううっ…何だか染みる…)
まだ冷たい培養液が傷口に染みてくる感覚に、由衣は身をよじる。
液体がカプセルの中を全て満たし、由衣の身体が完全に液体の中に浸かり、カプセルの中に浮かぶと治療準備は完了である。
「理論上では一日半で治るわ。由衣、おやすみ」
真由美がそう声をかけていた時には、由衣は既に目を閉じていた。 今回は以上です。だいぶスーツ破壊まで近づきましたね。 コブラ怪人との激闘から二日が経過した朝。篤彦が地下研究室に降りてきた。
「おはよう、母さん。由衣の様子は?」
「一応傷は治ってるから、液を抜いてみるわ」
「そうか、父さんは上に行ってる」
緑色の培養液が満たされたカプセルには、未だ全裸の由衣が眠っている。
篤彦はこれから目を覚ますであろう由衣に気を使ったのだった。
「1戦10万円じゃ安いかあ…いや、もはやお金の問題じゃないわね…」
真由美がカプセルのスイッチを入れると、中に入った培養液がゆっくりと排出されていき、中から由衣の肌が現れる。
口元にあったマスクが外れ、腫れていた顔も、右腰あたりにあった大きなアザも、傷跡も、全て跡形も無く消えており、由衣本来の美しい白い肌へと戻っていた。
「ん…んんー…」
全身を包み込んでいた培養液から解き放たれた由衣は、自分の肌に当たる空気の感覚を感じ、ゆっくりと目を覚ました。
目の前にはバスタオルを手に持って、心配そうに見つめている真由美の顔がある。
「由衣、おはよう。目は覚めた?」
「ここは…そっか、私の家だ」
「開けるわよ。出てきなさい」
真由美がカプセルを開けると、由衣はゆっくりとカプセルの外へと足を踏み出す。まだ身体に付着していた培養液がポタポタと床に落ちた。
「はい、これ」
真由美からバスタオルを手渡されると、由衣は身体についた培養液を拭き取る。拭きながら身体を見渡してみるが、アザや傷はどこにもないし、身体を動かしても全く痛みは無い。 「すごいね、このカプセル」
「まぁね。由衣のためならこれぐらいの事は当たり前だから。あっと、服ね。まだ端末の中に入っていたから」
真由美が端末を操作すると、由衣の身体に、二日前に着ていた服が着せられる。
「洗濯するからその服は着替えてきなさい」
「はい」
真由美から端末を渡された由衣は2階の自室へと上がる。
二日前の嫌な記憶を思い出したくないとばかりに、ジャケットを、ブラウスを、ズボンを放り投げ、下着姿となる。
それでもまだ足りないとばかりに、背面ホックのブラジャーを外し、ショーツを脱ぎ捨て、全裸になった。
まだ濡れている髪の毛が身体に張り付く。一糸纏わぬ姿になり、身体を締め付ける物から全て解放された由衣は、部屋のカーペットの上にぺたんと座りこんだ。
(正義の味方って、どうしてこんなに苦しい思いをしなきゃならないの?)
しかし、苦しい思いをしているのは相手も同じ事である。目標達成のためには邪魔者であるレッドトルネードを全力で排除しなければならず、その過程で痛く、苦しい思いをするのは当然だからだ。
今、自分がここで折れては怪人の侵略を止める者は誰もいない。自分がやらなければ誰がやる。そう思い、気持ちをもう1度奮い立たせようとする。
タンスから新しい衣服を取りだし、身につけようとしていると、電話がかかってきた。
「誰?あ、栞ちゃんね」
『もしもしー、由衣ちゃん?昨日電話しても出なかったんだけど、どうしたの?』
「昨日?普通に大学に行ってたけど」
『それはおとといでしょ、今日は日曜日よ』
「え?今日って日曜なの?土曜日って思ってた」
『ちょっと由衣ちゃん、しっかりしてよ』
「昨日はカゼで寝込んじゃってたからね、曜日感覚が無くなってた」
「まだカゼがちょっと残ってるから、今日は家にいるわ」
『えー、そうなの?じゃあ、また今度ね』
由衣は電話を切ると、部屋のテレビをつけた。放送されているテレビ番組は毎週日曜日に放送されているものだ。
由衣はここで頭を整理した。金曜日の夜に出動して、コブラ怪人と戦って、重傷を負って帰って来た。
カプセルの中に入れられて、起きたら日曜日の朝だった。
(つまり、私は丸一日あのカプセルの中にいた、って事か…)
戦いの中で仕方が無いとは言え、休みを丸一日損した事になる。このまま何もせずぼんやりとしていても仕方が無いので、タンスから新しい衣服を取り出して着ていった。 カプセルの中には左腕が無く、左目も潰れた状態の少年が、培養液の中に浸かった状態で浮いている。
コブラ怪人ー窪島佑だった。先日の戦いでレッドトルネードに重傷を負わされたのだった。
三影が当分かかるだろう、といった様子で見つめている。
別のカプセルには、全裸の人間の少女や、巨大な蜘蛛や、多数のクラゲや、人型のカマキリが浮かんでいた。
「変異細胞を自在に操れれば人間はさらに進化できる。何故だ…何故誰も分かってくれんのだ」
「僕は変わります。進化します」
「そうか。しかしそれにはレッドトルネードを倒す事が必須だ」
「僕は、子供が嫌いです」
「そうか、ならば子供を利用してレッドトルネードをおびき寄せろ」
三影は、傍にいるすらりとした長身の若者に呼び掛けた。 月曜日、外は雨が降っていた。由衣は部屋のカーテンを開け、今日は雨だという事を確認すると、ため息をついた。
「また雨かぁ…」
これではバイクに乗って大学に行く事は出来ない。地下鉄を使って大きく回り道する事になる。
「父さん、母さん、行ってきます」
今朝は篤彦も真由美も珍しく居間にいるのだった。
「由衣、ケガはもう治ったのか?」
「父さん、心配してくれて有難う。もう大丈夫よ」
由衣はにこと小さく微笑んで、玄関の傘立てにある、90センチの大きな赤い傘を持って家を出たのだった。
朝の地下鉄は通勤ラッシュで混み合っている。由衣のような近畿学院大学の学生や、一般のサラリーマンで車内は身動きも取れないほどだ。
やがて、大学の最寄り駅に電車が到着した。由衣は押し出されるようにして電車を降り、そのまま人の流れに沿うにして階段を向かう。
改札口に向かった所で、由衣は自分が持っているカバンのチャックが開いている事に気付いた。
定期券入れを取りだした所で、何かおかしい事に気づき、慌ててカバンの中をまさぐり始める。
(え、無い、無い!小銭入れが無い!)
いつの間にか開いていたカバンからこぼれ落ちたのか、それとも誰かにスラれたのか。中に入っている金額は数千円程度なので、最悪諦めれば済むのだが、由衣は半分パニックになってカバンの底まで探り始める。
(あー、今日はツイて無さすぎるよー!)
カバンのサイドポケットなどを探しても見つからないので諦めようとしていた由衣に、一人の男性が声をかけてきた。
「あの…これ、ホームに落ちてたんですが、もしかしてあなたのですか?」
男性が持っていたのは、まさに由衣が普段使っている、赤い小さな小銭入れだ。
「こ、これです!私のです!本当にありがとうございます!」
由衣は小銭入れの中身を確認する。どうやら中身は盗まれていないようだった。
何度も頭を下げると、男性はいいんだよ、という表情で返してくれた。
男性はスラリと背が高かった。180センチほどあるだろうか。
小銭入れをカバンに戻し、由衣は改札を出て出口へと上がった。男性はその後を付いてきていた。 「まだ結構降ってるなー」
由衣は大きな赤い傘を広げようとして、ワンタッチボタンを押すと、傘が勢いよく開き、後ろにいた男性に水滴がかかってしまった。
「わっ!」
「す、すみません、って、あなたは、さっきの…」
小銭入れを届けてくれた男性は、由衣がさしている赤い傘をじっと見つめている。傘を持っていないのだ。
「もしかして…傘を持ってないんですか?」
男性は黙って頷く。なかなかのイケメンだ。
「これから大学に行くんだけど、良かったら入って行きませんか?」
「はい」
「それじゃあ、行きましょう」
由衣と男性は相合傘で大学まで歩いて行った。端から見ればカップルにしか見えない。
90センチの傘はかなり大きく、二人は身体を密着させる事無く余裕を持って傘の中に入る事が出来た。
「あの、すいませんが、お名前は?」
「島崎、って言います」
「私は鷹野って言うの。島崎さんは、学生さん?」
「いや、違います。写真を撮りたい場所があるんで」
「写真かぁ、ウチの大学は広くて緑も多いしね、撮影スポットは多いと思うわ」
由衣はモデル活動を続けているので、写真を撮られるという事には馴染みがあるが、自分でシャッターを切る、といった事はほとんどしていない。
「じゃあ、私は授業があるので、このへんで。財布拾ってくれて本当に有難うね」
由衣が学舎の前で別れを告げると、島崎は深々と頭を下げた。
由衣が受講する科目は教養科目の「生命科学」だ。中教室に入り、ルーズリーフを広げて教授を待っていると、隣の席に島崎がやってきた。
「あ、あなたは、島崎さんね。こういう授業に興味ってあるの?」
「はい。動物や植物を撮るならこういう勉強も必要ですから」
「先生の話を聞いてみるだけならタダだからね」
やがて、教室に講師が入って来た。由衣が話の要点をルーズリーフにまとめて書き留めている間、島崎は講師の話をじっと聞いていた。 授業時間の90分が経過し、チャイムが鳴ると、由衣は教室を出て別の学舎に移動するべく教室を出る。雨は丁度止んでいた。
「島崎さん、雨止んでるわよ。良かったわね」
島崎に別れを告げようとすると、後ろから呼び止められた。
「あの…鷹野さん」
「なぁに?」
「写真を撮らせてもらえませんか?」
「写真?なんでまた…」
「素晴らしい作品が撮れると思うので是非鷹野さんを撮らせて下さい」
「私でいいんだったら、どうぞ」
由衣は突然の申し出に戸惑いながらも、学舎の外に出て、木々をバックに写真を撮ってもらった。
由衣は木の陰から身体を出すポーズ、髪をかき上げるポーズ、振り向くポーズなどを決めた。
「ポージングがいいですね」
「一応こういうバイトやっているけど、そんな大したもんでもないわよ」
島崎がデジカメに写真を撮り終えると、丁度2時限目の開始のチャイムが鳴った。
「鷹野さん、来週もここに来ます」
「来週の月曜日って事ね。分かったわ」
由衣は次の講義を受けるべく走り去って行った。島崎はその後ろ姿をいつまでも見つめていた。
(メールアドレスや電話番号を教えてくれではなく、写真に撮らせてくれ、という人も珍しいわね…でも、苦節19年、とうとう私にも恋人が出来るのかもね…)
由衣は2限目の講義を受けながら、思わず笑みを浮かべていた。 昼休み、大学の食堂で天ぷらうどんとかやくご飯を由衣が食べていると、チキンカツセットを盆に乗せた栞がやってきた。
「由衣ちゃん、ニコニコしてるけどいい事でもあったの?」
「まあね。ちょっとした事なんだけど」
「由衣ちゃん、最近噂のレッドトルネードって知ってる?」
「レッドトルネード?何それ?」
島崎との事を思い出していた由衣は、あくまでもレッドトルネードに関しては無関心を装う。
「知らないの?週刊誌にも載ってるよ。私、この間助けてもらったんだけど、格好良かったなあ。まるで特撮のヒーローみたい」
「ふーん…」
「なんか大学の近くで事件があった時によく出てくるみたいなんだけど、このへんに住んでるのかな」
「大学の近くで、っていうか、最近このへんで事件起こりすぎでしょ」
(この前の金曜日、助けてもらったんだけど、その時の声は明らかに由衣ちゃんだった。でも、まさか…ね)
栞は疑念を抱きながらも、まだ由衣がレッドトルネードである事に確信は持てない様子だった。 島崎は大きな運動場となっている公園に立ち寄っていた。公園内では子供達がサッカーをしている。島崎は子供達に背を向けるようにして、写真を撮り始めた。
地面の上を鳩が3羽、トコトコと歩いている。その可愛さに島崎は小さく微笑んだ。
と、その時、後ろからサッカーボールが飛んできて、島崎の後頭部に直撃した。カメラに夢中で避けられなかったのだ。手に持っていたカメラが衝撃で地面に落ちた。
「すいませーん、ボール取ってきてもらえませんか」
少年が島崎にボールを拾いにいくように頼むが、島崎はカメラをポケットに入れながら、少年を睨みつける。
「僕の邪魔をしたな…だから子供は嫌いなんだよ!」
撮影の邪魔をされたからか、大事なカメラを壊されかねなかったからか、島崎は凄まじい形相に変わる。怯える少年の前で、島崎の姿が変容し始める。
赤い装甲に、両手には鋭い鋏、長く伸びた毒々しい尻尾は明らかにサソリのそれだった。サソリ怪人に変貌した島崎は、尻尾をムチのように使い、少年の目の前で地面を叩きつける。
「ば、化け物だ、逃げろー!」
公園にいた少年たちは恐慌をきたして一斉に逃げだす。
サソリ怪人は尻尾をひたすら振り回して暴れだす。少年たちが全員逃げ去るのを確認すると、ようやく暴れるのを止めた。
と、その時、凛とした声が響き渡った。若い女の声だった。
「また怪人が現れたのね!覚悟しなさい!」
サソリ怪人が振り返ると、そこには真紅の装甲に全身を包んだ戦士・レッドトルネードの姿があった。 「レッドトルネードか、丁度いいところに現れたな!」
「えっ…」
レッドトルネードー由衣にはサソリ怪人の声に聞き覚えがあった。ややくぐもってはいるが、この間、傘をさして一緒に通学した写真好きの青年・島崎の声だ。
「ど、どういう事なの?」
「お前は僕の敵だ!」
レッドトルネードが戸惑っていると、サソリ怪人は口から何か赤い玉のようなものを吐き出した。
「はっ!」
レッドトルネードは後ろに跳んでかわすと、赤い玉はさらに多数の小さい赤い玉に分かれ、それぞれが連鎖的に爆発を起こした。小型のクラスター爆弾だ。
爆発を避けると、サソリ怪人は地面を勢いよく掘り起こし、地中へと潜った。トルネードはそれを追跡する術を持たない。
「どこ?どこなの?」
レッドトルネードが地面を見渡していると、足元の地面が再び盛り上がる。
真下だ。そう危険を察知したトルネードは高く飛ぶ。一瞬遅れてサソリ怪人が飛びあがる。
跳躍力ではレッドトルネードの方が上だ。頭上を取った形になったトルネードは、先に着地したサソリ怪人に対し、空中からチョップを仕掛ける。
「ぐわああっ!」
メタルグローブに包まれたレッドトルネードの右手によるチョップが、サソリ怪人の左手を叩き切る。
サソリ怪人は苦し紛れに尻尾を振り回すが、至近距離に潜りこんだレッドトルネードを捉える事が出来ない。
頭、胸、腹と的確にレッドトルネードのパンチがサソリ怪人を捉え、フィニッシュとばかりにハイキックが決まると、サソリ怪人の身体は大きく吹き飛ばされた。
「逃がさないわよ!」
レッドトルネードが追い打ちをかけるべくマルチマグナムを抜き放ち、破壊光線を発射する。
光線はサソリ怪人を捉え、爆発を起こす。しかし、あまり利いている様子はない。堅い装甲に阻まれたのだろうか。
「こうなったら!」
レッドトルネードはサイコブレードを抜き、トルネードスマッシュで一気に決着を付けようとする。
だが、サソリ怪人は激しい土煙と共に地面に潜ってしまい、そのまま姿を現さなかった。
「逃げられた…」
レッドトルネードが肩を落としていると、真由美から通信が入ってきた。
「怪人の反応が消えたわ…トルネード、一旦帰ってきなさい」
「…了解」
レッドトルネードー由衣は歯噛みしながらも、レッドジェッターに乗ってしぶしぶ家へと向かっていった。 (島崎さん、来てるかしら…)
次の週の月曜日、由衣は再び「生命科学」の授業を受けるべく、大学に来ていた。
しかし、授業開始の時間まで待っても、講義を受けるべく教室に入っても、一向に島崎の姿は見えない。
(やっぱり、恋ってそんなに甘くないのかな…)
由衣は島崎を信じて講義終了まで待ち続けたが、結局島崎は姿を見せなかった。
「モテるって難しいなぁ」
由衣がため息をつきながら別の教室に移動するべく、学舎を出ると、片手で写真を撮っている長身の青年の姿がいた。島崎だ。
「島崎さ…」
声をかけようとしたところで、由衣は島崎が左手にギブスを巻いているのに気付いた。
どこか怪我でもしたのだろうか。いや、この怪我はただの怪我ではない。
先日、公園で戦ったサソリ怪人の声と島崎の声が由衣の脳内で一致する。
その時、サソリ怪人の左手を叩き切った。島崎の左手に巻かれているギブス…
つまり、島崎がギブスを巻いているのは、戦いの中でレッドトルネードに傷を負わされたからだ、と。
まとめると、目の前にいる島崎=サソリ怪人 ということである。
僅かな時間でその事を理解した由衣は、こちらに気づいた島崎が目を合わせるか合わせないかのうちに、何も見なかった事にしたいかのように全速力で走りだった。
(嘘でしょ…こんなの嘘でしょ…!)
走り去っていく由衣の後ろ姿を見ていた島崎は、なんで逃げるんだろう、といった表情をしていた。 午後の昼下がり、島崎は大学の近くの川を流れる橋のたもとで写真を撮影していた。
遠くに鳥が三羽、群れをなして飛んでいる。シャッターチャンスなのか、島崎はカメラ越しに鳥の動きを見つめている。
鳥の動きは速く、モタモタしているとすぐに視界から消えてしまう。
もう少し右に移動しよう、そう考えた島崎が動くと、ドンッという鈍い音がした。そして、やかましい子供の泣き声が響いた。
島崎がカメラに夢中で周囲をよく見ていなかった結果、子供に足が当たって転倒させてしまい、泣かせてしまったのだ。
子供の親である中年の女性が島崎に怒りだす。
「ちょっとアンタ、ウチの子に何か用?ケガさせないでよ」
「…」
「アンタ、ちょっと何なの?泣かせてしまったんだから謝りなさいよ」
「…謝るのはそっちの方だ」
「何を逆ギレしてんの、最近の若い人は謝る事も出来ないの?」
「僕の邪魔をしたんですね!邪魔をしたんですね!」
「アンタ、いい加減にしなさいよ」
「帰れ…帰れ!」
中年の女性を睨みつけた島崎の姿がサソリ怪人に変貌していく。
「分かったらどくんだ、消えるんだ!」
サソリ怪人の姿を見て、橋の上にいる車や通行人が一斉に逃げ始める。
恐怖におののき、その場にへたりこむ中年の女性と子供に対し、サソリ怪人は尻尾を突き出して威嚇する。尻尾の先は鋭いドリルになっており、その先端が母子に突き付けられた。 「あ、由衣ちゃん…あんなに急いでどこに行くんだろう?」
下校途中だった栞は、バイクを道端に止め、橋のたもとに向かって全速力で走っていく由衣の姿を目撃していた。
「はっ、あれは…この前の!」
真由美から怪人出現の通報を受けて駆けつけた由衣の視界には、サソリ怪人の姿があった。
怪人とはいえ、もとは写真を撮ってくれた青年、島崎だ。戦って倒すしかないのか。
由衣は一瞬迷ったが、すぐ傍には母子がいる。人間の命には代えられない。
迷いを断ち切るかのように由衣はサソリ怪人の元に向かっていった。
「島崎さん!島崎さんなのね!」
由衣は彼の名を叫びながら、サソリ怪人の前に立ちふさがる。
「お前もコイツの邪魔をするのか!」
「島崎さん、元に戻って!私よ!鷹野よ!」
「それがどうした!」
サソリ怪人は由衣に覆いかぶさって押し倒し、上から組み伏せる形にした。
「早く…逃げて…!」
由衣の叫びを聞き、へたり込んでいた母子がこの場からようやく逃げ出す。
目の前に、サソリ怪人の尻尾のドリルが迫ってくる。
生身の状態で説得を試みていては殺されかねない。由衣はやむなく戦士に変わる決意をする。
「着装!」
由衣の叫びとともに、白い防御フィールドが発生し、由衣を組みふせていたサソリ怪人の体が弾き飛ばされる。
防御フィールドの中で、由衣の衣服が光の粒子となって消え、入れ替わるようにして赤と白のインナースーツが装着される。
目が眩んだサソリ怪人の目前で、由衣の全身が真紅の装甲に覆われていく。
ヘルメットが装着され、外見からは由衣である事が分からなくなると、防御フィールドが弾け、レッドトルネードの姿が現れた。
由衣が変身する様子を木陰で見ていた栞は、目の前で繰り広げられた光景がまだ信じられない様子だった。
「やっぱり…由衣ちゃんがそうだったんだ…」
栞は、レッドトルネードの正体が由衣である事を確信した。 「島崎さん…こんな格好、見せたくはなかったけど」
「そうか、お前がレッドトルネードだったのか、今まで僕を欺いていたのか!」
サソリ怪人が両手の爪から毒液を発射してきた。レッドトルネードが避けた後の地面に落ちた毒液は白煙を立て、地面のアスファルトを溶かす。
「僕は誰も殺したくなんかない、だがレッドトルネード、お前だけは駄目だ、僕たちを滅ぼす存在だからだ!」
「島崎さん、あなたは自分の価値を認めてくれる人と出会ってないだけよ!だからもう止めて!元に戻って!」
レッドトルネードの呼びかけにも関わらず、サソリ怪人は尻尾のドリルを突き出してくる。
ドリルの先端が一瞬回避が遅れたトルネードの左腕をかすめ、堅牢なはずの真紅の装甲の表面が抉られ、内部のチューブが露出する。
さらに、サソリ怪人は尻尾を下から上に振り上げ、アッパーのような形でトルネードの顎を叩きつける。
「あうっ!」
頭部に強い衝撃を受けたトルネードは、内部モニターが一瞬ショートしたような気がした。態勢を立て直す前に、サソリ怪人の尻尾がトルネードの胴体に巻きつけられる。
長い尻尾を自在に振り回し、サソリ怪人はトルネードを一度、二度と地面に叩きつける。サソリ怪人の尻尾はムチのようにしなやかな動きをする。
勢いよく地面に叩きつけられるたびに、トルネードの身体全体に衝撃が走る。
そして、サソリ怪人はトルネードを高く放り投げる。宙に浮いたトルネードの身体は橋の下にある川に水飛沫を上げながら落ちた。
「ここで私と戦って死のうって言うの…?あなたがやるべき事はそんなんじゃない…!」
よろよろと立ち上がるトルネードの装甲から水滴がポタポタと落ちる。半透明のバイザーは地面に叩きつけられた衝撃で粉々に砕け散っていた。 「トルネード、情けをかけないで、怪人を倒す事に集中して!」
「分かってるわよ!」
迷いを断ち切れとの真由美からの通信が入る。思いを新たに、レッドトルネードは再びサソリ怪人を見つめる。
「レッドトルネード、お前を殺してから僕も死ぬ!」
「今ここで死んじゃったらあなたは不幸になる!」
「人の幸せや不幸を他人が勝手に決めるな!」
サソリ怪人は再び尻尾を振り回してくる。しなる尻尾は至近距離の敵までは攻撃できない。トルネードは意を決して懐に飛び込んだ。
パンチがサソリ怪人の身体に決まり、サソリ怪人がたじろぐ。その隙を見逃すトルネードではない。
「はあっ!」
ワンツーをサソリ怪人の顔に決め、すかさずバネの利いたハイキックを何発もサソリ怪人に連発して叩きこむ。
サソリ怪人の身体は十メートル以上吹き飛び、堅い装甲がバラバラと剥がれ落ちた。
「ようし!」
レッドトルネードはマルチマグナムを取り出し、サソリ怪人の装甲が剥がれた部分に破壊光線を放つ。
前回の戦いでは装甲に阻まれていた光線が、今度はサソリ怪人に大きなダメージを与えた。
「島崎さん…許して…!」
レッドトルネードー由衣はヘルメットの中で涙を滲ませながらも、サイコブレードを抜き放つ。
サイコブレードのグリップの反対側からもう一本光の刃が出る。トルネードは両刃のブレードを棒術のように振り回し、サソリ怪人に向き直る。
「ダブル・トルネード・スマッシュ!」
レッドトルネードの両刃のサイコブレードが縦に回転し、光の軌跡と共にサソリ怪人の身体を何度も切り裂く。トルネード・スマッシュの改良型だ。
サソリ怪人は体液を苦しげに撒き散らしたかと思うと、四方八方にその身体を爆裂させた。
サソリ怪人を倒したトルネードは、ふと何か大切な事を思い出した。
島崎の持っていたカメラはどうなったんだろう、まだあるだろうか。そう思い、軽やかに高く跳び、橋の上に着地する。
地面を見ると、確かにカメラがあった。間違いなく島崎のものだろう。メタルグローブに包まれたレッドトルネードの右手がそれを拾い上げた。壊れていないかどうかは分からないが、この中には島崎が撮った写真があるのだ。
いつもなら、真由美からの「お疲れ様、帰ってきなさい」という通信が入る頃なのだが、今日は何も無い。
つまりはそういう事なのだ、とレッドトルネードは自分に言い聞かせ、レッドジェッターに跨った。 「ただいま」
「お帰り、レッドトルネード」
レッドトルネードは鷹野家に帰還した。右手にはカメラが握られている。トルネードは必死に平静を装ってはいるが、その声は震えていた。
「着装、解除」
半分涙声でトルネードは変身を解除した。10秒と経たないうちに装甲が外れ、赤と白のインナースーツ姿になり、そして裸になる。
着用していた衣服が元通りに復元され、由衣の姿に戻った。顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「おーい由衣、お風呂湧いてるぞ」
階の上から篤彦の声がする。篤彦も、帰って来た由衣に何があったかは真由美から聞かされていた。
由衣は一直線に風呂場に向かい、脱いだ服を全自動の洗濯機に叩きこむ。
「殺したくなんか無かったのに……」
由衣は風呂のシャワーの水量を最大にし、頭から一気に湯を被る。汗と一緒に涙も洗い流そうとした。
しかし、流れるお湯の下で、眼から涙が流れ続けるのを止める事は出来なかった。
シャワーを浴びた後、由衣はバスタオルのみを羽織った姿で自室に戻り、島崎のカメラをUSBケーブルでパソコンに繋いだ。
カメラは壊れてはいないらしく、内部の画像ファイルを通常通り見る事が出来た。
鶯が木の枝に止まっている写真。
蜂が花に止まり、蜜を吸っている写真。
自分が振り返って笑顔を見せている写真。
自分が木の幹から半身を乗り出して覗いているような写真。
このカメラの中には、島崎という人間の人生観、価値観が詰まっている。しかし、それに何かが新たに加わる事は、もはや、無い。
(でも所詮人間じゃないんだ、それに、男ぐらい何人でもいるんだ…)
由衣は自分の行為を必死に正当化しようとしたが、手の震えが止まらない。いつの間にか、再び涙も流れ出していた。
由衣は部屋のカーペットに手をついて嗚咽した。ポタポタ落ちる涙が、カーペットにいくつもの染みを付けていく。
装甲を纏い、真紅の戦士・レッドトルネードになるとは言え、由衣は戦いの訓練を受けたわけでもない、普通の女子大生なのだ。
怪人との激しい戦いの日々は、着実に由衣の心を蝕んでいくのだった。 職人さんGJ。ヒロインの人物設定も、だいぶ肉付けされてきましたね。
今後が楽しみです。 http://yamato2199.net/character_mori.html
強化スーツとはイメージが違うかも知れませんが、4月から始まるヤマト2199の
森雪のスーツもエロ的に妄想が膨らみます
ガミラスに捕まってスーツを破壊される、とかどうでしょうか 大人の姿に変身するヒロイン系で、変身するも捕まってスーツを破壊される的なモノはありますか? >>154
ブロッケンブラッド・・・ごめんなさいウソです。
昔年の魔法のアイドル物のエロ同人でも探してください。 大人化したうえで強化スーツにまで変身となると、そうそう無いだろ クリィーミーまみは変身後、よく分からんものと戦ってたなと
年齢高そうなレスをしようと思ったが
『アイドル雀士すーちーぱい』は変身だったような
エロゲ捜せば意外とあるかも。 HALOシリーズのアーマーをいじるたびにぶっ壊したくなる
もっと女性スパルタン増えて欲しいのう 繁華街にあるアミューズメントパークの1フロアには、大型筐体のガンシューティングゲームが多数並べられている。
けたたましいゲームのBGMや効果音のせいで、館内に流れているはずのBGMは殆ど聞こえない。
その中の一つ、「大量破壊ガンシューティングゲーム」というパネルが筐体上部に張ってあり、90インチの大型モニターの中では兵士が次々と撃ち倒されている。
由衣はマシンガン型のコントローラーを構え、足元のペダルを踏んだり離したりしながら敵を撃つ事に熱中していた。
(由衣ちゃんって、こんなゲームもやるんだ…)
その後ろで、栞がギャラリーとして由衣のプレイをじっと見ていた。ゲームに熱中している由衣は全く気付く様子もない。
画面内の砲台を破壊する事に気を取られて、敵兵士の攻撃サイトが点灯する事に気づくのが一瞬遅れた。
由衣はペダルを離したが、一瞬早く画面上にダメージ表示が現れ、コンティニューカウントが始まった。ライフが全て無くなってゲームオーバーになったのだ。
由衣は無言でマシンガン型コントローラーをラックに戻す。そして、後ろにいた栞に驚く。
「えっ、あっ、栞ちゃん、なんでここにいるの?」
「プリクラでも撮ってみようかな、って思って」
「いるならいる、って言ってくれればいいのに」
「だって、ゲームに夢中で邪魔しちゃ悪いって思ったもん。かなり巧かったよ、由衣ちゃん。なんで1クレであんな所まで行けるの?」
「まぁ、結構やってるからね、このゲーム」
「でさぁ、これから由衣ちゃんの家に行っていい?」
「いいけど…何の用?」
「え?分かんないの?あれでしょ、あれ」
「だから、あれって何?」
「講義ノートよ、ノート!見せてくんない?」
「私、バイクで来てるから、後で会いましょう」
「ニケツってまだ無理なの?」
「もうちょっと後でね。まだ1年経ってないから」
由衣は栞と別れを告げると、フロアの階段を降りて行った。
「あっついなぁ…」
外に出ると日差しが眩しい。季節は初夏から成夏へと移ろうとしていた。
由衣はバイクに乗る時はいつもズボンかジーンズ、上にはジャケットという服装をしているが、真夏にバイクに乗るにはちょっと辛いものがある。
由衣は収納スペースからヘルメットを取り出して、頭に被るが、やはり蒸し暑い。暑いものは暑いのだ。
(ちょっとバイク通学は考えないとね…定期券でも買おうかしら)
由衣はバイクのエンジンを吹かすと、家へ向けて走り去っていった。 「これでよし、っと…」
鷹野家の地下で日々研究を続けている真由美は、カプセルの中にある銀色の人型を見て満足そうに笑みを浮かべた。
予備の強化スーツが完成したのである。現在、由衣ーレッドトルネードーが装着している物と比べ、軽量化に成功し、より装着者への負担を減らしてもいる。
「怪人の出どころも気になるんだけどねぇ」
真由美は近隣の生物科学研究所、新薬研究所と思しき場所をあたってみるが、それらしい場所はどこも出てこない。
真由美が考え込んでいると、家のインターホンが鳴った。2階から由衣が階段を降りてくる音が聞こえてきた。
「お邪魔します、森川です」
「おお、森川さんか。お茶と菓子を2階に持っていくから、先に行きなさい」
栞は靴を丁寧に揃え、2階への階段を上がっていった。
「由衣ちゃん、待たせちゃってごめんね」
「別にそんなに待ってないけど、入っていいよ」
栞はきちんとコンコンと扉を叩いてから由衣の部屋に入る。
「あ、これってゲーセンで話題のガンシュー、バーチャポリス4じゃん!」
栞は由衣がパソコンでプレイしているゲームを見て、パッと目を輝かせる。
由衣はマウスで素早く照準を合わせ、クリックで弾を発射すると、モニター内の敵が倒れる。
「これってどこで売ってるの?わたしも欲しいなぁ」
「非売品よ。このパソコンのオマケ」
由衣のパソコンは最新型である。そのため、付属品もかなり豪華なものがついており、このゲームのそのうちの一つである。
「おーい由衣、お茶持ってきたぞ」
由衣がゲームに夢中になり、栞がそれに見入っていると、篤彦が緑茶といちご大福を2人分、木の盆に乗せて持ってきた。
「あ、父さん、ありがとう」
「わざわざありがとうございます、ありがたく頂きます」
栞は礼を言うと、カーペットの上に置かれた緑茶を啜り始める。由衣もゲームを中断して、いちご大福に手を付ける。
「この茶、淹れ方がいいなぁ」
「栞ちゃんも自分で緑茶って淹れるの?」
「自分では淹れないわよ。いやね、実家で出される緑茶は本当に苦くて苦くて、二度と飲みたくないって感じだし」
「ウチは和菓子とか和食とか、そっちの方が良く出るからね。父さんはこういうのに慣れてるから」
いちご大福を食べ、緑茶を飲みながら二人の会話は続く 「由衣ちゃんさぁ、この間もレッドトルネードが敵をやっつけたんだよ、大学の近くの橋で。私また見ちゃった」
「また見たの?」
「やっぱり何度見ても格好いいよね、レッドトルネード」
「うん、まぁね」
「そのレッドトルネードがさ、目の前にいたら面白いんだけどね。ねぇ、由衣ちゃん」
「そんなわけないでしょ」
由衣は笑って否定しようとする。
「そんなわけがっていうけど、そんなわけってあると思うんだ」
「どういう事?」
「だってさ、こないだ、由衣ちゃんが変身してサソリの化け物と戦っている所、見ちゃったから」
「…」
栞の表情がいつの間にか神妙なものとなっていた。由衣はついに来るべき時が来たか、という表情で黙りこんでしまった。
「もう分かってるのよ、レッドトルネードは由衣ちゃん、って事」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。ややあって、由衣が口を開いた。
「で、もし私がレッドトルネードだとして、栞ちゃんはどうして欲しいわけ?」
「由衣ちゃんって、ずっと一人で戦ってきたんでしょ?わたしも一緒に戦わせてよ」
「無理無理。やめといた方がいいわ」
「わたし、これでも高校時代バスケ部だったし、運動神経には自信があるから」
「栞ちゃんを戦いになんか巻きこめないわ」
緑茶を全て飲み終わった由衣はお湯のみを盆の上に置いた。
「っていうかさぁ、由衣ちゃん、そういう大事な事はもっと早く言ってよ。どうも最近不自然だと思ってたわ」
「あのねぇ、私や父さん、母さんの気持ちも少しは考えてよ!これは私の、鷹野家の問題なんだから」
「由衣ちゃんの家だけで済みそうにもない問題だからこうやって話してるんでしょ」
「何それ、レッドトルネードだけじゃ頼りないとでも言いたいの!」
「話をすり替えないでよ、わたしはただ、由衣ちゃんのために何か手伝えたら、って思ってるだけなのに!」
「私がやってるのは命がけの戦いなのよ!栞ちゃんには傷ついて欲しくないの!」
「せっかく人が協力してあげる、って言ってるのに!」
「とにかく、栞ちゃん、この話はもう無しにして!」
「もう知らない!勝手にして!」
栞は部屋に置いてある自分のハンドバッグを手に取ると、由衣の部屋を飛び出していった。
「由衣、森川さんが帰っちゃったぞ。何だか怒ってたみたいだけど、何したんだ?」
「別に。人のプライベートを細かく聞かれたら誰だって怒るでしょ」
「そうか…そうかもな」
篤彦は、由衣が秘密にしている事、すなわちレッドトルネードの事を聞かれたのだと理解した。
どうして言葉を選ばなかったんだろう。どうしてあんなケンカをしてしまったんだろう。どうして母さんに会って話をしよう、と言えなかったんだろう。
自分は今までレッドトルネードとして戦ってきた。その事は決して気安く口には出来ない。
その思いが邪魔をしてしまったんだろう。次に会った時、栞に何と言って謝ればいいんだろう。
自室のベッドの上に座り込んだ由衣は、後悔の念にかられていた。 翌日も、由衣は大学に行ったが、一度も栞と会う事はなかった。
謝りたいのは自分だけじゃなく、栞もだろう。でも、どう切りだしたらいいのか分からない。
苦しんでいるのはお互い一緒。でも、答えが見つからないのもお互い一緒。由衣は悶々としながら講義を受けていた。
「最近、うどん食べてないからなぁ、うどんにしようかな」
昼休み、由衣はキャンパスを出て、昼食を取るべく、店を探していた。
「はーい皆さん、ただいまローヤルゼリーの無料お試しをやっております」
黒いスーツに身を包んだ販売員の女性が、ギラギラとした日差しをものともせずに客引きをしていた。
「すっごくおいしい!」
「なんか思いっきりテンション上がってきた!」
何人かの女子学生がローヤルゼリーを飲み、そして喜びの声を上げる。
「一杯いかがでしょうか?無料ですよ」
黒いスーツに身を包んだ販売員の女性が、由衣にローヤルゼリーを勧めてくる。
「じゃあ、私も」
「どうぞー」
由衣もローヤルゼリーを一杯受け取り、喉に流し込む。ゼリーはとても甘いが、ベタつくようなしつこさはない。じんわりと口の中に残る優しい甘さだ。
そして、身体の中から暖かみと供に力が湧いてくるのが感じられる。夏の暑さにうんざりしていた由衣だが、そのだるさも一気に解消された気がした。
「商品は200ミリリットル2000円からとなっております」
販売員は由衣に微笑み、カタログである小さな冊子を渡す。由衣はそれを受け取ると、この場を後にした。
「あー、あんな美味しいもの久々に飲んだ」
由衣は上機嫌で昼食を食べる店を探しに、狭い路地を通り抜けて別の通りに向かう。
だが、すぐに何かおかしい事に気づく。足元がふらつき始めているのだ。疲れなど全く無いはずなのに。
「あれ…なんか…眠…たい…」
毒を盛られたのか。もしかしてあの販売員に騙されたのか。そう思って振りかえり、駆け寄ろうとするが、
その前に由衣の眼の前の景色が急速にぼやけ、そしてブラックアウトした。倒れる直前、販売員の女性が笑みを浮かべたようにも見えた。
タダほど高いものはない。その教訓を由衣は味わう暇も無かった。
気絶した由衣の身体を、二匹の巨大な蜂が掴み、どこかへと連れ去っていった。 「…あれ…ここ…どこ?」
携帯の着信音がけたたましく鳴る。その音で由衣は目を覚ました。
床のコンクリートの冷たさが身体に染みる。ぼんやりと目を開けてみると、目の前には鉄格子と錠前があった。
左右や後ろもコンクリートの壁で覆われている。ここは牢屋なのだ。
自分の足元には何人かの女性が倒れており、携帯電話の着信音はその中の一人のもののようだ。
とにかくここから脱出しなくては。そう思って、鉄格子に手をかけるが、カギがかかっておりびくともしない。
「やっぱりね…」
由衣は自分が閉じ込められた事を知り、どうしようかと思う。が、すぐにある方法に気づいた。
ズボンの右ポケットに手をやると、あった。レッドトルネードに変身するための端末だ。自分を捕えた奴が何者かまでは分からないが、そいつは所持品を没収するところまで手が回らなかったようである。
(良かった、端末が没収されてなくて…)
由衣はひとまず胸をなで下ろした。レッドトルネードに変身すればこの牢屋から脱出することなど簡単だからだ。
立ち上がり、ポケットの中の端末に手を伸ばす。そして、身体を大きく右にひねってから右手を前に突き出す。
「着装っ!」
その声に応じて、端末が光り輝き、白い防御フィールドが由衣を包み込む。
光の中で、由衣の衣服が光の粒子に分解されて端末に吸い込まれていく。
一瞬裸身が露わになるが、すぐに足元から、指先から、赤と白のインナースーツが駆け上がるようにして首筋から下をすっぽりと包み込む。
(はぁんっ…)
変身は何度もしてきたはずなのだが、暖かみと共に身体の中から力が湧きあがってくる感覚に、由衣は声を上げそうになる。
一介の女子大生から、真紅の装甲を纏った美しき女戦士・レッドトルネードへ。着装は由衣が戦士へと変わる儀式なのだ。
インナースーツ姿になり、装甲を受け入れる準備が整った由衣の身体に、再び足元から、指先から装甲が装着されていく。
下半身と両腕、肩の装着が終わると、背中、胸、腹の三方からパーツが出現し、由衣の胸を優しく包み込むように合わさる。これで露出しているのは頭部だけとなった。
由衣の長い髪がふわりとかきあげられ、頭の周囲に出現したパーツがヘルメット状に合わさっていくのにつれて、髪が後頭部へと収納される。
口元にレスピレーターが装着され、口と鼻が隠されると、由衣の身体の部分で露出しているのは目元だけとなった。
目元を保護するゴーグルが降り、半透明のバイザーが上から被せられ、装着が完了すると、防御フィールドが弾け、中からメタリックレッドの装甲に覆われた戦士・レッドトルネードの姿が現れた。 「ふんっ!」
レッドトルネードは錠前を力任せにむしり取る。錠前は簡単に壊れ、辺りに転がった。
次いで、柵に手をかけ、両手で一気に左右に押し広げた。
強化スーツにより、由衣の筋力は成人男性の30倍以上に強化されている。その筋力によって、鉄格子の柵がまるで飴細工のようにひん曲った。
「みんな、早く逃げて!」
トルネードは後ろで倒れている女子学生に大声で呼びかける。何人かが目を覚まして起き上がった。
出口を見つけ、全員を誘導して逃げようと思った。しかし、バイザーに怪人の反応が表示される。倒さなければならない敵がいるのだ。
怪人がいる場所に向かって、レッドトルネードは狭い通路をひた走る。
「何、あれ?」
遠くから蜂が2匹、トルネードに向かってくる。いや、それは蜂というにはあまりに大きい。赤ん坊の頭部よりやや小さい程度はある大きさだ。
バイザーが敵である事を指し示す。大きさといい、ただの蜂で無い事は明らかだ。トルネードはホルスターからマルチマグナムを抜き放つ。
蜂のうちの一匹が尾をこちらに向け、毒針を数本まとめて放ってきた。
針はレッドトルネードの胸部装甲に当たるが、装甲に弾かれ、全て乾いた音を立てて地面に落ちる。
「そんなもので私は倒せない!」
トルネードはマグナムの破壊光線で一匹を撃ち落とす。だが、もう一匹が熱線を撃ってきた。避け損なったトルネードの左上腕部を熱線がかすめる。
しかし、すぐにトルネードの反撃の射撃を受けて爆発した。
「避けきれなかったか…」
熱線を受けた左上腕部の装甲が熱で少し溶け、煙を上げていた。深刻なダメージではないが、気分のいいものではない。
こうしてはいられないと、さらに通路を急ぐ。バイザー越しに見えた、見覚えのある人影を察知したトルネードは足を止めた。
大学の外でローヤルゼリーを勧めていた、黒スーツの女性販売員だ。
怪人の反応が強くなっているので、この女は普通の人間ではない事は明らかだ。見ると、背中からも2枚2対の羽が生えている。
「アンタ…怪人だったのね!」
「あら、レッドトルネードがどうしてこんな場所にいるのかしら?」
女はトルネードの姿を見て少し驚いた様子を見せたが、すぐに不敵な笑みを浮かべる。
「私はあなたのような怪人が出れば、どこにも駆けつける!」
「すぐに来るとは知っていたけど、本当に来るのが早いわね」
トルネードの目の前で女の姿が歪み始め、たちまちハチ女の姿になる。女の正体はハチ怪人だったのだ。
「アンタ、こっちの動きについてこれる?」
ハチ怪人は地面からすっと浮かび上がり、猛スピードで奥の通路を逃げて行った。トルネードもすぐに後を追う。
「絶対に逃がさない!」
トルネードは全力疾走で後を追うが、目の前にあるのは大きな鉄扉だ。
怪人の反応はこの扉の向こうにあるので、怪人はここを通って逃げたのだろう。この向こうに怪人がいるに違いない。
そう考えたトルネードは、扉に向かって跳び、右足でキックを食らわせた。
頑強な両開きの鉄扉が、まるで薄い木の扉のように勢いよく開いた。 「あら、扉を開ける時ぐらい普通にすれば良かったのに」
トルネードが扉を蹴破った先で、ハチ怪人が待ち構えていた。
トルネードの耳に、崖下から川の流れの音が聞こえてくる。二人が対峙している場所は砂利があちこちに散らばっている駐車場だ。
(ここって、廃工場か何か、だったの?)
トルネードー由衣の目の前には、雑多に積まれている鉄骨やコンテナ、動くのか動かないのか分からないフォークリフトがある。
「こっちの都合のいいように動いてくれたわね。ここなら思う存分戦えるから」
「それはこっちだって同じよ!行くわよ!」
「ここに来た事を後悔させてあげる!」
ハチ怪人の挑発に応じるかのように、レッドトルネードが戦端を開く。ハチ怪人も背中から二匹の蜂を出し、事を構える。
「やあっ!」
トルネードは拳を繰り出そうとするが、ハチ怪人は後ろに飛びのいて避ける。そこに、蜂からの熱線がトルネードに命中する。
「ぎゃっ!」
腹部と左の太ももが熱によって溶け出し、煙を上げていた。レーダーは熱線を発射する直前にしか反応してくれないので避けられなかったのだ。
さらに、ハチ怪人がトルネードの腹部に蹴りを入れる。
「あぐっ…」
強烈な衝撃が装甲を通り越して胃に伝わってくる。胃が押しつぶされるような感覚を受けて、たまらずトルネードの身体がくの字に曲がった。
ハチ怪人が繰り出した右手の拳を左腕で受け止めるが、直後、強烈な左フックがトルネードの頭部を直撃した。
バイザーが粉々に砕け散る音と共に、トルネードの身体がアスファルトの地面に叩きつけられた。
「ううっ…強い…」
「ここは周りに何もない。という事は、私のかわいい蜂が最大限に生かせる、って事」
障害物の無い広い空間では蜂が自由自在に動く事が出来るのだ。そんなハチ怪人がゆっくりとトルネードに歩み寄る。
「ここに来た時点で、アンタの死に場所は決まっていたのよ!」
ハチ怪人が再び蜂を繰り出す。中途半端な場所にいては熱線にやられるだけだ。意を決したトルネードは懐に飛び込む。
ゴーグルに表示された警告を気にする暇は無かった。前に大きく跳んだトルネードの右拳が、蜂から発射された熱線を避けつつ、ハチ怪人の顔面を捉える。
ハチ怪人の身体が5メートル以上吹き飛び、背後にあったフォークリフトに激突した。
(よし!効いてる!)
トルネードはハチ怪人が起きあがる前に追撃を仕掛けようとする。とにかく接近戦に持ち込まないと分が悪いからだ。
首筋にチョップを打ち込もうとしたトルネードだったが、突然腹部に鋭い痛みを覚えた。まるで針を刺されたように痛い。いや、実際に太い針を刺されているのだ。
ハチ怪人の手の甲には鋭く太い針が仕掛けられていて、その針が腹部の装甲を貫通し、インナースーツにまで達しようとしていた。
「そんな!」
動揺するトルネードに、ハチ怪人は二度、三度とトルネードの頭部を殴りつける。
少しずつではあるが、トルネードのヘルメットに亀裂が入っていった。
ハチ怪人は片手でトルネードの身体を掴み上げると、積み上げられているドラム缶に向けて投げつけた。
トルネードをぶつけられたドラム缶が一つ残らずガランゴロンと音を立てて倒れ、地面を転がっていく。 「さあて、蜂というからにはこっちも飛ばないとね」
ハチ怪人は背中の羽を広げ、空高く飛び上がる。空中から下にいるレッドトルネードをなぶり殺しにしようというのだ。
「空だったらこっちも飛べるわよ!ジェットストライカー、転送!」
トルネードの叫びと共に、2枚2対のカッター状の翼が出現し、背中に装着される。そして、トルネードがハチ怪人の高さまで急上昇していく。
「アンタって戦い方が素人過ぎるわよ、さぁこの子たち、アイツを可愛がってあげなさい!」
ハチ怪人が背中から蜂を4匹射出する。
「この時が無防備なんだ!」
トルネードははっと気づいた。蜂を射出する時、本体のハチ怪人の足が止まる。
その隙を見て、トルネードのマルチマグナムが発射されるが、ハチ怪人の羽の一枚をかすめたに過ぎなかった。
そこに、下へと回り込んでいた蜂からの熱線がトルネードの右足に直撃する。
さらに、左に回り込んでいた蜂からは腰に、右に回り込んでいた蜂からは右肩に、上に回り込んでいた蜂からは背中の翼に、
それぞれ熱線が発射され、装甲を容赦なく傷つけていく。文字通り四方から撃たれたトルネードは空中で痛みと熱さに苦しんだ。
「空ってのはこうやって飛ぶものなのよ!」
ハチ怪人が手にレイピアを持って猛スピードで突っ込んでくる。避ける余裕などない。
トルネードは左手でサイコブレードを抜き放ち、イチかバチかで振りはらう。
ブレードはハチ怪人の羽のうちの1枚を切りはらい、虚空に飛ばしていた。
「羽が…よくもこっちの羽を!」
怒ったハチ怪人が、4匹の蜂をトルネードの後ろに回り込ませ、時間差で次々と背中のジェットストライカーに向けて熱線を発射していく。
「あああっ!」
1発目で羽がもう1枚吹き飛び、2発目と3発目でジェットストライカーの機能が停止し、4発目はトルネードの背中にぶち当たった。
まさに翼をもがれた形となったトルネードは地面に向かって墜落していく。
受け身の姿勢を取ることも出来ずに地面に叩きつけられ、大きく身体が弾んだ。
地面には砕け散ったジェットストライカーの残骸が転がっていた。背中のクッションになってくれたのか、まだ何とか立ちあがる事が出来た。 「素人にしては結構手間をかけさせてくれたじゃない…」
ハチ怪人の声は怒りを帯びている。よほど羽を傷つけられたのが悔しかったのだろう。
ハチ怪人が右手に持ったレイピアを何やら音符を書くような動きで動かす。
訳も分からずに見てしまったトルネードは、視界がぐらつくのを感じる。
これは催眠術の一種だ、ゴーグル越しとは言え見てはいけなかったんだ。そう思ったときには遅かった。
横積みにしてあった鉄骨のうちの1本を、ハチ怪人が蹴り飛ばしてきた。
鉄骨がトルネードのゴーグルに直撃し、左目の部分がついに割れ、由衣の眼が露わになった。
ゴーグルの機能まで停止した事がトルネードには俄かに信じられなかった。
そんなトルネードが態勢を立て直す間も無く、ハチ怪人のレイピアによる突きが襲いかかってくる。
「いやあああっ!」
その突きはメッタ突きのようで実に正確だった。トルネードの頭に、首に、胸に、腹に、膝に、腰に、確実に突き刺さっていった。
そのたびに装甲に穴が空き、内部のコードや基板が覗き始める。
一介の女子大生である自分を、レッドトルネードという女戦士に変えてくれる装甲が、
どんな怪人でも倒せる力を与えてくれると信じていた装甲が、今まさに戦士としてのプライドと共に壊されようとしている。
「も、もう、やめてえええっ!」
レッドトルネードはパニックに陥っていた。十数回ほど突かれ、トルネードの身体は白煙を上げながら地面にうつぶせに倒れ込んだ。
「さぁ、正義の味方とやらのツラを見てみましょうか」
ハチ怪人はレッドトルネードの頭を掴んで無理やり引き起こす。破損したゴーグルから由衣の左目が見えていた。
ハチ怪人の右手に力が入り、亀裂が入っていたヘルメットがさらに悲鳴を上げ始める。
「えっ、い、嫌だ、嫌ああっ!」
トルネードは頭を握りつぶされる恐怖感を感じ、さらにパニックに陥る。
ヘルメットの歪みがさらに増し、原形からかけ離れていく。そしてついに、分厚いガラスが割れるような音と共に、ヘルメットが粉々に砕け散った。
ヘルメットに納められていた由衣の長髪が広がって出てきた。その顔は汗と涙でグチャグチャになっていた。 今回は以上です。スレタイのスーツ破壊がとうとう実行されました。
さて、この話、皆さんはバッドエンド、グッドエンド、どっちがよろしいでしょうか?
(グッドエンドに向かう話の流れは既に考えてあります) 装甲ごと変身した蜂怪人の針に串刺しになるメタルヒロインはいかがでしょうか
痛々しいですがそそります >>168
乙!相変わらずいい感じですね。
エンドは、貴方が書きたい方でいいよ。読者に合わす必要なんかない。
といいつつグッドエンドを希望しておく >>168
GJ!
敵への懇願に、ついに正体バレとピンチの定番の連発で良かった
俺としては、スーツの性能頼みにぶいぶいいわしていたレッドトルネードの
完膚無きまでの敗北のバッドエンドが見てみたかったり
まあ迷うんなら両バージョン書いて投下とか、この手のSSではよくあるから悩む必要ないんじゃない 作者様乙です!
ハチ怪人の持つレイピアというのは細い弱弱しい剣なので、それで穴が空いてしまうレッドトルネードのスーツが意外に弱いのか,
むしろハチ怪人とレーザー蜂の攻撃力がすごいのか、よくわからないのですが,参考までにレッドトルネードのスーツは
どのレベルの強度を想定してらっしゃいますか?
金属加工用に作られた電動カッターやドリル使えば破壊出来てしまうレベルでしょうか?
金属加工道具がそろったどこかの工業高校にレッドトルネードが連れ込まれて、気がついてみたら工作台の上に大の字で寝せられている
怪人の手下になった不良男子生徒どもがニヤニヤしながらレッドトルネードの装甲を道具で切り刻んで裸に剥く、なんてのを妄想しました スーツ破壊という本筋に入った結果がこれだよ! 皆さん感想有難うございます
蜂怪人が使っているレイピアの先端は高速振動しているので、別次元の貫通力があります
トルネードの装甲は市販されている電動カッターやドリルでブチ抜けるレベルではありませんが
強化されるパワーやスピードに比べて、装甲の強度は重厚な見た目ほどは高くないです
現に4話でヘルメットや太ももにヒビが入ってますしバイザーは何度も壊されてます
…って、こういう事は本編で書いておくべきでしたね ハチ怪人は、ヘルメットを握りつぶされ、首筋から下だけが装甲に包まれた状態の由衣の頭を右手で掴んでいる。
強化スーツはヘルメットを含め、全て装着されてこそ、レッドトルネードとして本来の性能を発揮できる。
そうでない状態では、やはり一人の女性・由衣でしかない。
(このまま、私は…)
自分は目の前にいるハチ怪人に頭を握り潰されてしまうのか。涙目で目の前にいるハチ怪人の顔が霞んで見える。
ハチ怪人は由衣を軽く放り投げると、落ち際をサッカーボールのように蹴り飛ばした。
「ぎゃああああっ!」
由衣は鳩尾の辺りを思いっきり蹴られ、10メートル近く飛ばされた。確認する気持ちも暇も無かったが、スーツの制御機能を司る装置がある胸部装甲にもヒビが入っていた。
「うう…げほ、げほっ…!」
由衣は激しくせき込み、唾液、そして腹から逆流してきた胃液を地面に吐き出した。
息を吸う事は出来てもまともに息を吐く事が出来ず、立ち上がるどころの話ではない。
「まだまだこんなもんじゃ済まないわよ」
ハチ怪人は懐から2本の白いロープのようなものを出し、倒れている由衣に向かって投げつける。
ロープは意思を持っているかのように由衣の右手首、左手首にそれぞれ巻きついた。
ハチ怪人は身体を浮かび上がらせ、再び廃工場へと向かう。両手首にロープが巻きつけられている由衣の身体は仰向けの体勢で地面を引きずられる形となった。
「あっ、ああっー!」
地面を引きずられ、アスファルトと真紅の装甲がこすれ合うガリガリとした音が辺りに響き渡る。
「アンタはもう少し静かにしてなさい!」
ハチ怪人は背中から蜂を2匹射出する。叫び声をあげる由衣に向かって、右膝、左肩に熱線が照射される。
「あぎゃあああぁぁっ!」
痛みと熱さで由衣はさらに大きな叫び声を上げる。耐久性が落ちた装甲に熱線を防ぎ切る力はもはや残っていなかった。熱が装甲を溶かし、下に着ているインナースーツにまで伝わってきた。
「あら、余計うるさくなっちゃったわね。まぁいいわ」
ハチ怪人はレッドトルネードが蹴破って壊したドアから中に入り、がらんとした大きな空間まで由衣を引きずっていった。
(動いて…動いてよ、私の身体…)
ヘルメットが脱げた状態では、スーツの性能は本来ならフル装備状態の3割減程度で済む。
体調が万全ならロープを振りほどく事も十分可能なのだが、深刻なダメージを負った今の状態では無理だった。 「ここなら広々としてていい感じね」
由衣が引きずられていった先は製鉄所だった。広々とした空間に、天井から太く、赤茶色に錆びた鉄骨が何本もぶら下がっている。
「コイツをあそこにぶら下げて」
ハチ怪人は2匹の蜂に指示を出す。蜂はロープを掴み、由衣の身体を上空に持ち上げる。
天井からはフックが2つぶら下がっており、蜂はそれぞれ由衣の両手首に巻きつけられているロープを左右のフックに器用に巻きつける。
「いっ…痛いっ!」
熱線を受けた左肩の痛みが由衣に敏感に伝わってきた。
ハチ怪人側から見ると、由衣の身体はY字状に吊り下げられる形となった。
ロープは装甲込みで由衣の身体を吊り下げているが、全く切れる様子は無い。
「このロープ、クモ怪人から分けてもらったんだけど、やっぱりいい感じね」
そう言いながらクモ怪人は工場のクレーンを操作し、天井から吊り下げられている鉄骨の高さと、吊り下げられている由衣の身体の高さが合うように、由衣の身体を降ろしてきた。
由衣の目の前、胸の高さにはH型の鉄骨がある。これからこの鉄骨がどういう風に使われるか、由衣には勿論想像がついている。由衣の顔に、再び冷や汗が垂れていた。
『レッドトルネード、応答して、レッドトルネード、応答して!』
ベルトのパックルに内蔵されている端末から、ようやく非常事態だと気付いた真由美からの通信が入る。
「お母さん…私…もう…だめ…かも…」
由衣はもう遅いよ、とでも言いたげな弱弱しげな口調で返すのが精いっぱいだった。
もっと早く通信してくれれば助かったかも知れないのに、今となっては完全に手遅れで、より絶望感を増幅させるものでしかなかった。
自分一人で戦い続けている以上、もはや助けが来る見込みは無い。
後はどういう殺され方をするか、いつ殺されるか、もうそれぐらいしか由衣の頭の中には無かった。
「原始的だけど、まずはこれからやってみましょう」
由衣は地面から少し浮かび上がった状態で吊るされている。頭の中を整理し終わる前に、鉄骨が由衣の胸に迫ってくる。由衣は思わず目を閉じた。
「あうっ!…ああっ!…ああううっ!」
鉄骨が約4秒に1回、由衣の胸部に突き刺さる。それに合わせて、由衣が悲鳴を上げる。
レッドトルネードの胸部装甲は、装着者の由衣の胸に合わせてやや膨らみを帯びており、女性らしいフォルムとなっている。
その装甲に何度も鉄骨による衝撃が加わる。既にヒビが入っていた胸部装甲だったが、そのヒビが少しづつ広がっていく。
スーツの防御力はまだ多少は保持されているが、由衣にはもはや敵に抗う体力が残っていない。
(これから…どうなるんだろう…)
由衣はハチ怪人に嬲られるのをどうする事も出来ない。身体の余力が無くなるにつれて、心も折れようとしていた。 「意外に頑丈なのね」
単調な「作業」に嫌気がさしたのか、ハチ怪人が鉄骨をぶつけるのを止めた。
ハチ怪人は、ふと由衣の太ももの左右についているホルスターに眼をやり、笑みを浮かべる。
「そうか、いいものがあったわ」
(あっ、それは…!)
ハチ怪人は身動きの取れない由衣に近づき、右のホルスターからマルチマグナムを、左のホルスターからサイコブレードを取り出した。
「結構良さそうじゃない。耐久テストに丁度いいわ、これ」
ハチ怪人はマルチマグナムを手に取って、満足そうな笑みを浮かべる。
マルチマグナムとサイコブレードの威力は由衣自身が身をもって知っている。
この両武器でこれまで5人の怪人と戦ってきたからだ。その武器が自分の身に向けられたらどうなるか…想像するだけで背筋に寒気を覚えた。
「レッドトルネード、自分の武器でやられる気分はどう?」
「そんな、やめて…やめてよ…ぐぎゃああっ!」
ハチ怪人が撃ったマルチマグナムの破壊光線が由衣の腹部装甲に命中し、爆発と共に白煙が上がった。
衝撃と熱さが由衣の身体に容赦なく襲いかかる。身体を必死によじって、少しでも痛みと熱さから逃れようとする。
腹部の装甲は大きくヒビが入り、表面装甲も溶け出していた。
「では、もう一発」
「ぎゃあああっ!腕があぁぁっ!」
ハチ怪人はマルチマグナムの2発目、3発目を左肩に撃ち込んだ。左肩の装甲が粉々に吹き飛び、千切れたコードやチューブが露出していた。
由衣の左肩の骨は完全に砕けており、クレーンで吊り下げられている由衣の身体にさらなる激痛がはしる。
利き腕の方で無かったのはハチ怪人の情けなのかどうかは分からない。しかし、由衣が確実に敗北に向けて追い詰められているのは確かだった。
「一発おまけになっちゃったけど、まぁ、何発目まで我慢出来るかしらね」
「も、もう…やめ…」
涙目の由衣を一瞥したハチ怪人は、マルチマグナムの4発目と5発目を由衣の右膝、左膝に正確に撃ち込んだ。
「あああぎゃああぁっー!」
両膝から下が一瞬で千切れたような感覚があった。真紅の装甲が吹き飛ばされ、黒く焼け焦げた赤と白のツートンカラーのインナースーツが覗いていた。
骨が砕けているかどうかまでは分からないが、もう立って歩くことは出来ないだろう。 「さてと、次はこれで綺麗に剥いてあげるわ」
「あ…あうう…」
ハチ怪人がサイコブレードを手に、由衣に近づいてくる。腰のパックルに内蔵されている端末からは、真由美からの声がしているのだが、
今の由衣には届く事は無かった。返事をする気力も体力も無かった。
「いぎゃああっ!」
ハチ怪人はサイコブレードを由衣の左肩から右脇腹にかけて袈裟斬りにした。
刃先はインナースーツの表面だけを切り裂き、肉体までは深く達しなかったが、由衣は直接肉体が斬られたような痛みを覚えた。
腹部装甲の切れ間から血が流れ出し、脚を伝って床に垂れ降り、小さな赤い水たまりとなり始めていた。
「はい、次」
「ぐぎゃああっ!」
ハチ怪人は右太股、左太股をブレードで斬り裂く。割れた基板が散乱し、断ち切られたコードがだらんとぶら下がった。
「バランス良くやらないとね」
「そ、そんなの…駄目ええぇっ!」
ハチ怪人は由衣の背後に回り込み、尻から背中を勢いよく下から上に斬り上げた。
真紅のパーツがバラバラと床に落ち、中に着ている赤と白のインナースーツまで斬り裂かれていた。
「なんかもう面倒だから手で剥がすわ」
ハチ怪人はブレードを床に投げ捨て、ヒビの入った由衣の胸部装甲に手をかけた。嫌な音と共に、かろうじて原型をとどめていた装甲が決壊し始めた。
「そ、そこだけは、嫌あああっっ!」
由衣は泣き叫んだ。スーツの性能を司る最も大事な部分を壊されては、もはや自分はレッドトルネードで無くなってしまうからだ。
しかし、その最も恐れていた事は現実となった。ハチ怪人の右手に力が入ると、装甲が粉々に砕け散り、
コード、部品、チューブが複雑に絡まった内部機構が露わになった。ハチ怪人はそれを鷲掴みにし、力任せに引き抜いた。
内臓を引きずり出されるような感覚が由衣に襲いかかる。ハチ怪人の手によって、レッドトルネードでいられるものを支えてくれる装置が、何の用も為さない残骸へと変わり果てていった。
内部機構を握りつぶされたスーツの機能がこれで完全に停止した。
それと同時に、由衣が身に着けている赤い装甲の残骸が粉々に砕け散ったかと思うと、光の粒子になり、腰部のパックルに吸い込まれていった。 「う…ああぅ…うああ…」
由衣はインナースーツ姿になっていた。本来、鮮やかな赤や白の色彩で由衣の首筋から下を包み込むインナースーツは、あちこちが破れたり焼け焦げたりしている。
砕かれている左肩、針が刺さり、ブレードで斬られた腹部、そしてマルチマグナムで撃たれた両膝部分からは、痛々しく傷つき赤黒くなった肌が見え、血が流れ続けていた。
「あら?何かしら、これ」
ハチ怪人が由衣のベルトのパックルに眼をやる。他の装備はスーツの装着が強制解除される事により失われたが、ベルトのパックルースーツが内蔵されている端末ーだけは残っていた。
「ああ…そ、それ…」
由衣がかすかに声を絞り出す中で、ハチ怪人はパックルを力任せに引きちぎった。
蓋を開けると、中にはレッドトルネードの装甲が普段収納されている端末が出てきた。
「なんか、これスマホみたいね。三影先生にお土産として渡しとこう」
ハチ怪人は端末にそれほどの興味は見せない。由衣はレッドトルネードとしての全ての装備を剥ぎ取られた。端末まで奪われた事により、ほんの僅かに残っていたかも知れない望みも完全に断たれる事となった。
ハチ怪人の目の前にいるのは、もはや真紅の女戦士・レッドトルネードではなく、全てを失いつつあり、死を待つだけの一人の女性・由衣に過ぎなかった。
「さてと、最後はどうしようかな」
ハチ怪人が泣きはらしている由衣に近づき、インナースーツの右胸の破れ目に手をかけ、一気に裂け目を広げた。
裂け目の下から、由衣の形の整った美しい乳房が露わになった。
「やっぱりこの下にはもう何も無いか」
ハチ怪人はインナースーツの下が全裸である事を確かめると、それ以上スーツを破ろうとはしなかった。
本来、インナースーツは鉄よりも数段上の硬度を持ち、身体能力を成人男性の数倍に高める力も持つなど、
装甲が破壊されても由衣の身体を保護してくれるはずの性能があった。
しかし、由衣がここまで重傷を負い、インナースーツ自体も大きく破損してはもはや本来の性能を発揮する事は出来なかった。
(負け…たんだ…正義の…味方が…負け…たんだ)
これからやりたい事だってまだまだあるのに。父さん、母さんに言いたい事だってあるのに。何よりも、栞にまだ謝ってないのに。
やりたかった事が、そしてまだ生きたかったという思いが、由衣の頭の中を一気に駆け巡った。
「どうせなら、仕上げは派手にしないとね」
ハチ怪人は背中から蜂を一斉に射出した。7、8匹はいるだろうか。その蜂が四方八方から由衣を取り囲む。
(私…これで…死んじゃうんだ…)
目の前で、蜂が数匹と、マルチマグナムを構えているハチ怪人の姿を見た由衣は、ついに来るべき時が来た、と観念し、目を閉じた。
そして、蜂が時間差で間断なく熱線を照射し、マルチマグナムからも破壊光線が放たれた。胸に、腹に、脚に、背に、尻に、熱線と破壊光線が容赦なく襲いかかる。
鉄を遥かに超える強度を持つインナースーツと言えども、これにはひとたまりも無かった。 「ぐぎゃあああああーっ!!!」
廃工場から、由衣の断末魔の悲鳴が響き渡った。そして、声が止んだ後は、静寂だけが訪れた。
熱線とマルチマグナムの銃撃を受けた由衣の頭は前にがっくりと垂れている。黒髪が前に垂れ落ち、肉体は黒く焼け焦げていた。
赤と白の鮮やかな色彩であったインナースーツもより黒く焼け焦げたり、クモの巣のように破れたりして、ボロ切れのようになっていた。
「綺麗な顔してるわね…」
ハチ怪人は目を閉じた由衣の顔を下から覗きこみ、下卑た笑みを浮かべた。
「もういいでしょ、糸を切ってあげなさい」
2匹の蜂が、由衣の右手首と左手首にそれぞれ絡められている糸を切った。
由衣であった肉体が天井に吊るされていたクレーンから落ち、白い土煙を立てた。
うつぶせに倒れた由衣は身動き一つしなかった。その目が二度と開くはずもなかった。
ここに、レッドトルネードの完全なる敗北が決まったのだ。
「あー、どうせなら窪島君も呼びたかったけど、まだケガが治ってないから、仕方無いわね」
レッドトルネードが重傷を負わせたコブラ怪人も呼んでおけば、ハチ怪人とすればもっと楽しめたかも知れない。
ハチ怪人は惜しい事をした、と思いながらも、床に倒れている由衣であったものを見つめていた。
三影の研究によって発見された変異細胞による怪人の生産計画を阻止するべく戦っていた戦士、レッドトルネードはここに倒れた。
由衣の遺志を継ぐ者が出なければ、近いうちに、浪速県、そして日本は三影が生み出した怪人が跳梁跋扈する世界になるだろう。
その戦士が誰なのか、そしていつ出てくるのかは分からない。
しかし、これだけは確実に言える。レッドトルネードー鷹野由衣は三影の野望を阻止する事に失敗したのだ。
…END… という事でこちらはバッドエンドルートでした。
ここでレッドトルネードの戦いが終わりを迎えるのが残念だ、という人は、
>>167に戻ってから >>181にお進み下さい。 「この時期にちょうどいい花火大会をしてあげるわ」
ハチ怪人はゴミを捨てるように由衣の身体を放り投げた。
ヘルメットが無くなっても、まだスーツの機能は保持されているし、武器も健在だ。
その思いで由衣は必死に立ち上がる。しかし、こちらが仕掛ける前に、ハチ怪人の忠実なしもべである蜂が由衣の近辺を取り囲んでいた。
その数は10匹近くいた。ほぼ全ての蜂が、由衣を熱線で焼くべく、針を向けていた。
「第一陣!」
胸に、背中に、右腕に、左膝に、一斉に熱線が照射され、装甲が激しい爆発を起こす。
「あぎぃあああ…」
「第二陣!」
由衣が悲鳴を上げる間もなく、今度は腹に、腰に、左腕に、右肩に熱線が放たれ、激しい爆発と共に、スーツの破片を辺りに撒き散らす。
「第三陣!」
第二陣の間、一旦離れていた蜂が再び熱線を放つ。仕上げとして、再び胸で、背中で、腹で激しい爆発が起きる。
「あああああーっ!」
由衣のいた場所で爆発が起き、着ているスーツの爆発とあいまってさらに大きな爆発となった。
その爆風で由衣の身体が紙きれのように吹き飛び、廃工場のあった崖の上から、遥か下にある川の方まで落ちていく。
胸に照射された熱線でスーツの制御装置が破壊されたらしく、由衣の身体から真紅の装甲が全て剥がれ落ち、白く光り輝いて光の分子になって腰のパックルに納められる。
由衣はインナースーツ姿で崖下の川へと落ちて行った。
大きな水飛沫を上げ、由衣の身体が川の中に沈んでいく。川の流れは急で、水の流れる音が崖の上からでも聞こえてきた。
蜂を背中に収納したハチ怪人は、由衣が吹き飛ばされ、川に落ちたであろう場所を上から見やったが、由衣らしい人影は無い。
「綺麗な花火だったわね」
いくらレッドトルネードでもここまでダメージを受け、急流に叩き落とされては生きてはいまい。
ハチ怪人は勝利を確信したが、すぐに考えを改める。
「アイツの死体を見つけるまで作戦は終わりじゃない。探しなさい」
ハチ怪人は、川の下流に流されたかも知れない由衣を見つけ出すべく、蜂に指示した。 「やっぱり、由衣ちゃんにきちんと謝ろう…」
この前、由衣と喧嘩をした栞は、あれから一度も由衣に会っていない。
まずはメールや電話で、とも思ったが、やはり直接会ってきちんと謝った方がいい。
そう思った栞は、鷹野家の前に来ていた。意を決してインターホンを鳴らす。
「ん、森川さんか」
返事をしたのは篤彦だった。
「由衣ちゃんはおられますか?」
「…まぁ、中に入りなさい」
篤彦は由衣が家にいるかどうかについては何も言わない。篤彦が出てきて、家の扉と門のカギを開けると、栞は少し変だな、と思いながらも家の中に入った。
「森川さん、もう何が言いたいかは分かってるよ。付いてきなさい」
「え、どこにですか?」
「付いてくれば分かるさ」
篤彦は意図を読み取ったかのように、栞を地下の研究室に案内する。
倉庫から隠し階段を降りると、栞の前には海外ドラマにでも出てくるかのような研究室の光景が広がっていた。
「由衣ちゃんの家に、こんな場所があったなんて…」
栞はしばらくの間、目を丸くしていた。真由美はスーツの調整を続けていたが、篤彦と栞が降りてきたのに気付き、手を止めた。
「あなた、森川さんね。由衣だったら今留守よ」
「…この間の事を謝りに来たんです。直接言わなきゃいけないから」
そう切り出した栞に向かって、真由美は目を伏せた。
「これ…見てみる?」
真由美は自分のパソコンのモニターを指差す。モニターを見た栞の顔色が一気に青ざめた。
「ゆ、由衣ちゃん、由衣ちゃん!」
栞が見たモニターの画面には、河原でうつぶせに倒れ、かすがに身じろぎする由衣の姿が映っていた。
その姿だけで、栞は由衣に何が起こったかを理解した。
「由衣ちゃん、聞こえる!ねぇ、由衣ちゃん!わたしよ!栞よ!」
栞はマイクで必死に由衣に呼び掛ける。声は腰部のパックルに収納されている端末から由衣に聞こえるはずである。
だが、倒れている由衣が返事をする様子は無い。
「やられちゃったんだ…怪人に…やられちゃったんだ…このままじゃあ…由衣ちゃんが…死んじゃう…」
栞の両肩が小刻みに震えていた。目にはいつの間か、涙が浮かび始めていた。
「やっぱり、あの時、俺が強く止めなきゃいけなかったんだな…」
「本来戦うべき大人たちのかわりに、由衣は戦ってくれてるのよ。それがこうなったのは…私たちの責任だから…」
鷹野家で大事に育ててきた一人娘が今、死に追いやられようとしている。
篤彦も、真由美もそこまで言うと声を詰まらせてしまった。その沈黙を打ち破ったのは栞だった。 「二人とも、森川さんのためにスーツを用意しておいたとぐらい、言って下さいよ!」
栞はカプセルの中に入っている人型を指差す。真由美がもともとは由衣のために用意したものだった。
強くなっていく怪人に対抗するべく、普段由衣が着用しているものよりも改良されたタイプのものである。
「…本気で言ってるのか、森川さん」
栞に真意を確かめる篤彦の声は震えていた。
「じゃあ、誰が由衣ちゃんを助けるんですか!」
「まさか、このスーツを着ていこう、っていうの?まだテストもしていないのに、どんな不具合が出るかも分からないのよ」
「だったら私がその実験台になります!」
栞はあくまでもスーツを装着すると言って聞かない。
「森川さん、私の方からも聞くけど、本気なの?これがうまく装着できたとしても、
これから自分の時間って相当減ると思うわよ。遊びたい事だって一杯あるでしょ?
その時間が怖くて、痛いものに代わるのかも知れないのよ」
「スーツは壊れたとしても、ダメだったとしてもまた作ればいいかもしれない…でも、由衣ちゃんは…由衣ちゃんは、たった一人しかいないんです!」
一言一言を噛みしめるようにして話す真由美に対して、栞は心の底から、腹の底から声を絞り出す。
「どんな目に遭っても後悔はしません!由衣ちゃんを、いや、みんなを助ける力を下さい!」
「…そこまで言うんだったら分かったわよ。空いている方のカプセルに入りなさい」
「はいっ!」
栞の熱意に負かされた真由美がようやくスーツの装着を許可した。
栞は、自分がスーツを装着して由衣と共に戦うべく、むしろ篤彦と真由美にここに連れてこられたのではないか、という事を感じていた。
「パーソナルデータの書き換えに少し時間がかかるかも知れないけど、焦らずにじっとしててね」
カプセルの中に入り、様々なコードを繋がれた栞のデータがコンピューターに表示される。
どの程度の出力にまで耐えられるのか、射撃や格闘に対する適性はどうなのか、そういった情報を元に、真由美はスーツの調整を続けていく。
栞は緊張した面持ちで、パソコンに向かう真由美を見つめていた。
「由衣より身体能力は上みたいね…これで行くわ。森川さん、ちょっと覚悟しておいてね」
「覚悟…かぁ」
「これからあなたは変身するんだから」
真由美がカプセルを操作すると、カプセルの中にいる栞に白い光が照射され、全身を白く包み込む。 「あっ…」
白い防御フィールドに包まれた栞の身体から、着用していたTシャツ、スカートが光の分子に分解される事により離れていき、栞は上下お揃いの水色のブラジャーとショーツという下着姿を晒す事になった。
さらに、その下着もすぐに白い光の粒子となって弾け飛び、栞は全裸になった。
栞は由衣よりもやや小柄だったが、胸や尻は由衣よりややふくよかだった。
「何これ…?」
服が消え、裸になった事に戸惑う栞だったが、つま先から、指先から、光の粒子が駆け上がり、栞の白い肌をくまなく包み込んでいく。
「あ、あうっ…!」
肌をコーティングされていく感覚に栞は思わず声を上げてしまう。
光の中でそっと目を開けると、首筋から下まで、栞の身体は青と白の鮮やかな色彩のインナースーツに包まれていた。
胸の膨らみ、腰のくびれ、豊満な尻と、栞の身体のラインがぴっちりと出ていた。
「まだまだこれからだから、しっかりしてね」
真由美はこれからメインとなるスーツ本体の装着作業を始める。
栞の腰の前後に2つのパーツが現れ、挟み込むようにして、栞の股間に前後から密着する。栞にとって最も大事な部分を守るパーツだ。
さらに、腰回りにパックルが装着される。変身後はこの中に端末が収納されるのである。
「恥ずかしいよぉ…」
インナースーツは薄く、裸でいるのと感覚的にはそれほど変わらない。そんな栞へのスーツ装着はさらに進む。
つま先が、ふくらはぎがブーツ状のメタリックブルーの装甲に覆われ、次いで膝、太股も装甲に覆われる。
太股の左右の装甲にはホルスターがあり、マルチマグナムがそれぞれ入っている。
下半身に装甲が付着される間に、上半身でも装甲の装着が進んでいた。
栞の手がメタルグローブに覆われ、下腕部、肘、上腕部、肩と青い装甲で覆われていく。栞の胴体の前後から3つのパーツが現れ、酸素吸入を補助する装置や、バックパック装置がある背部パーツが、まだインナースーツ状態の栞の背中に密着する。
次いで、スーツの制御機能を司る胸部パーツと腹部パーツが、既に装着されていた背部パーツと合わさり、栞の胸をしっかりと包み込んだ。
「はあぁううぅぅっ!」
「森川さん、もう少しだから我慢して!」
胸をぴっちりと装甲の中に納められた快感で栞は大きな声を上げる。
真由美の言うように、スーツ装着もいよいよ終わりへと向かっている。
栞は首筋から下を全て装甲で包まれ、剥き出しになっているのは頭部だけとなっていた。
栞の肩の上あたりで切りそろえられた黒髪がふわりと巻き上がる。
頭部の上、右、左にそれぞれパーツが現れ、栞の頭部で一つに合わさってヘルメットの形となり、髪が後頭部に納められた。
後頭部で空気圧ロックがかかり、ヘルメットが固定される。口元と鼻を覆うマスクが前方から現れ、これで栞の素肌で露出しているのは目元だけとなった。
最後に残された目元には半透明の黒いゴーグルが下り、栞の姿は完全に覆い隠された。
スーツの装着がついに完了し、同時に防御フィールドが弾け飛んだ。 「終わったわね。出てきていいわよ」
真由美がカプセルの蓋を開ける。中から全身をくまなく青い装甲で覆われた栞がゆっくりと歩いてきた。
「なっ、何これ!」
栞は装甲に覆われた自分の手を見て、そして大きな鏡に映った自分の姿を見て驚いた。
姿はレッドトルネードと似ているが、災害救助用を急遽戦闘用に流用したトルネードのものと違い、
栞が着ているスーツは戦闘を主目的に再設計されたものである。外見もトルネードと比べるとより流麗で、より女性らしいフォルムを描いていた。
「森川さん、あなたは今からブルーサイクロンとして戦うのよ」
「ブルーサイクロン…」
「さぁ、ブルーサイクロン、レッドトルネードを助けに行きなさい。ジェットストライカー、転送!」
真由美がコンピューターを操作すると、ブルーサイクロンの背中に、2枚2対の翼が装着された。
ジェットストライカーはレッドトルネードのものと違って、砲門が4つあり、攻撃能力を付加した改良型だった。
「本来だったらジェッターを用意したいんだけど、時間も無いし、これで行ってね」
「どうやって…?」
「自動操縦になってるから、勝手に着くわ。そこのリフトに乗って」
「はっ、はい」
ブルーサイクロンは戸惑いながらも研究室のリフトに乗る。リフトがせり上がり、サイクロンは普段由衣のバイクが止められているガレージに出た。
「場所は蓑尾の山奥の廃工場、ジェットストライカーならすぐよ」
「え、えっ、きゃっ!」
ブルーサイクロンの身体がすっと浮かび上がり、ジェットストライカーのブースターの出力が上がる。
サイクロンは勢いよく浪速県の外れに向かって飛び去っていった。
「はっ、速い!」
ブルーサイクロンはジェットストライカーの速度に驚いていた。
サイクロンは強烈な風圧にも押し負けずに、上空を飛んでいく。眼下の景色があっという間に通り過ぎて行った。
「あれがそうなのね…由衣ちゃん、待ってて!」
サイクロンは遠くに見える山を見据えた。あの奥に廃工場があるのだろう。 「うああ…あう…う…」
川に叩き落とされた由衣は、どれぐらい時間が経ったのだろうか、ようやく目を覚ました。
「はぁ、はぁ…」
身体が鉛のように重い。立ち上がろうとしても立ち上がれない。
「うぅ…ごほ、ごほっ…!」
由衣は大量の水を飲んでいた。咳き込む事によって水が吐き出されるが、身体は全く楽にはならなかった。
装甲を破壊され、由衣はインナースーツ姿だった。そのインナースーツもあちこちが焼け焦げていた。
装甲を破壊され、ベルトと、腰についているパックルしか身につけている物は他にはない。
マルチマグナムも、サイコブレードも、スーツが破壊され、パックル内の端末に収納されて自動修理されている状態では使用できない。
「に、逃げ…ないと…」
由衣が流れ着いた場所は砂利が積もっている河原だった。
怪人から少しでも逃れるべく、這ってでも動こうとするが、身体を引きずるような動きしかできない。目の前の砂利を掴むようにして少しづつ動くのが精一杯だった。
何とか体力が回復するまで隠れ続け、誰かに見つけてもらえばもしかしたら助かるかも知れない。
一縷の望みを抱き、由衣は気力だけで這いずるようにして動く。熱線で焼かれた身体のあちこちが痛くて仕方が無い。
「だ、誰…?」
這って動く由衣の背後で、不意に砂利を踏みしめる音がした。自分を助けにきてくれた誰かだろうか。
由衣はそんな望みを抱くが、次の瞬間その望みどころか、自分の命運が断たれたのを知る事となった。
「やっと見つけたよ、レッドトルネード」
蜂の報告を受けて、ハチ怪人が河原に倒れている由衣を見つけにやって来たのだ。
「散々探したのよ、さぁ、起きなさい」
「うう…」
ハチ怪人は倒れている由衣の身体を引き起こす。左手で由衣の首を掴み、空いた右手で由衣の腹に拳を入れる。
「ぐわはあぁぁっ!」
ハチ怪人の拳が腹にめり込み、胃を押し潰すような感覚が由衣を襲う。
「水を一杯飲んでるんだから、吐き出させてあげるわよ!」
「ごぼ、がはあぁっ!」
もう1発拳が由衣の腹に入る。由衣は大量の水と共に逆流してきた胃液を地面に吐き出した。
鉄の数倍の硬度を持つはずのインナースーツ越しでも、ハチ怪人の拳は由衣に大きなダメージを与えた。
生身であれば一撃で内蔵が破裂して即死していただろう。
また、インナースーツは身体能力を成人男性の数倍に高め、装着者の体温も保ってくれるなど、万が一の時に備えた生命維持装置の役目も果たしているはずだった。
しかし、ハチ怪人との戦いで想像以上の大ダメージを受けた結果、インナースーツは本来の機能を果たし切ることは出来ない。
「も、もうやめてぇ…」
由衣の身体が力なく地面へと崩れ落ちる。 「このドリルで腹をぶち抜いたらどうなるんだろうねぇ」
ハチ怪人の手の甲には鋭く太い針がついており、その針が高速回転し始めた。
ドリルの役目を果たして、それが由衣の腹を貫くのだろう。その事を想像した由衣の顔が青ざめた。
展開していた4匹の蜂も尻尾についている鋭い針を回転させ、獲物に突き刺す時を待っていた。
「あら、これは何?」
ハチ怪人は由衣のベルトのパックルに眼をやると、パックルをこじ開け、中にある端末を拾い上げた。
「それだけは…それを取られちゃ…」
「あ、やっぱり大事な物だったみたいね」
このまま自分が敗れ、ハチ怪人にレッドトルネードの機密を奪われ、それが敵の手に落ちては、
もはや怪人たちを止める事は出来なくなる…由衣は考えただけでも恐ろしくなった。
「ふふん、この中にレッドトルネードの秘密が入っているみたいね。これを三影先生に渡せば後はもう思いのまま…」
端末は手に取ったハチ怪人は勝ち誇った。だが、直後に上空から女の声が響いた。
「誰が思いのままですって?」
「だ、誰だ?誰がいる?」
左右を見渡すハチ怪人は遥か上空にいる人影に気づいていない。
上空にいる人影は、地上でハチ怪人が展開している蜂に向けて狙いを定めていた。
「行くよ!」
ジェットストライカーの砲門から光弾が発射され、蜂がたちまち4匹とも爆散する。
「な、何っ?」
4匹のしもべを一瞬で失ったハチ怪人は動揺を隠せない。そこに、全身をメタリックブルーの装甲に包まれた人型が降り立った。
「正義の味方だったら、ここにもう一人いるわよ」
「まさか、レッドトルネードの仲間なのか!?」
「よく分かってるじゃない!このブルーサイクロンが、アンタを絶対にやっつける!」
「その声…まさか…栞…ちゃん…」
由衣が聞いた声は、多少くぐもってはいるが、間違いなく栞のものだった。 「お前もレッドトルネードのようにしてやる!」
ハチ怪人は残っていた4匹の蜂を全て射出し、ブルーサイクロンを囲ませようとする。
「そうはさせない!」
ブルーサイクロンのゴーグルに表示されているレーダーには、蜂の動きが1匹ずつ表示される。
レッドトルネードのレーダーよりも改良されており、より素早く、正確に敵の動きが分かるのだ。
サイクロンはいち速く両ホルスターからマルチマグナムを抜き取る。そして、両手で1丁ずつ持ったマルチマグナムから放たれた破壊光線が、4匹の蜂を全て正確に捉え、爆散させた。
「得意の空中戦で勝負してやるよ!」
「こっちだって!」
ハチ怪人は上空に飛び上がった。ブルーサイクロンも対抗してジェットストライカーで上空に飛び上がる。
「もうあなたに蜂は使えない!こっちの勝ちよ!」
ブルーサイクロンの飛行速度は、羽を1枚破壊されて速度が落ちていたハチ怪人よりも上だった。
ジェットストライカーから放たれた光弾が残る3枚の羽を全て破壊し、ハチ怪人は河原へと墜落していく。
ハチ怪人は大きな水飛沫を立てて川辺に墜落した。後からブルーサイクロンがゆっくりと着陸する。
「こっちにはまだこれがある!」
ハチ怪人はレイピアを取り出し、レッドトルネードに仕掛けたように先端の動きで催眠術を仕掛けようとする。
だが、蜂や羽を全て失って破れかぶれになったハチ怪人はもはやサイクロンの敵ではなかった。
マルチマグナムから光線が発射され、ハチ怪人が持っていたレイピアを右手ごと吹き飛ばす。これでハチ怪人の攻撃手段はほぼ失われた。
「よーし、行くよ!」
ブルーサイクロンはマルチマグナムを2丁連結させ、小型ライフルのような形状にした。
こうする事でより破壊力が増す光線が撃てるようになるのである。
「トルネード・バースト、行っけえええ!」
背中のジェットストライカーの4門の砲台と、サイクロンが持っているダブルマルチマグナムから光線が一斉に発せられる。
「こ、この私が…!!!」
5筋の光線を一度に受けたハチ怪人の身体に一瞬大きな穴が空いたかと思うと、次の瞬間粉々に爆散した。
ブルーサイクロンはマルチマグナムを分解し、トリガーに指を入れて回転させ、両ホルスターに戻した。
そして、河原に落ちていたレッドトルネードの端末を拾い上げ、自分のパックルに納める。
「由衣ちゃ…いや、レッドトルネード、大丈夫!?」
ハチ怪人を倒したブルーサイクロンは息も絶え絶えの由衣に駆け寄る。
「うう…あなたは…一体…」
「話は後よ、今は早く帰るわよ」
ブルーサイクロンは意識を失いそうになっている由衣の身体をしっかりと抱き抱える。
強化スーツによって栞の筋力は成人男性の40倍以上に強化されているので、由衣の体重を支える事などたやすいことだった。
「ブルーサイクロン、ジェットストライカーで一気に帰ってきて!まだエネルギーは帰る分ぐらいはあるから」
「了解っ!」
由衣を抱きかかえたブルーサイクロンが河原を飛び立ち、この場を後にする。
「お願い、間に合って…間に合って!」
サイクロンは由衣の身体を落とさないように抱きかかえ、慎重に、しかし迅速に、地下基地に向けて帰還していった。 「ブルーサイクロン、帰還しました!」
「早く、早くしてくれ!」
ブルーサイクロンは傷だらけの由衣を抱きかかえて地下基地に無事帰還した。由衣の姿を見ると、篤彦が大声で叫んだ。
サイクロンが由衣の身体を治療カプセルに入れ、口元にマスクを付け、真由美が蓋をしてスイッチを入れる。
カプセルの中に見る見るうちに緑色の液体が満たされ、すぐに由衣の全身を浸した。
「これ…由衣ちゃんのです」
ブルーサイクロンはパックルからレッドトルネードの端末を取り出し、真由美に渡す。
真由美は端末を操作し、カプセルに入っている由衣が身につけているインナースーツを脱がせて全裸にした。
「治療液が肌に直接入った方が効果が高まるからね…」
真由美はしばらくの間、治療液の中にいる由衣を心配そうに見つめていた。
「母さん、心拍数がこうなったぞ」
パソコンのモニターを見ていた篤彦が、治療カプセルの被験者の心拍数表示を見た。
それによると由衣の心拍数は少しずつではあるが通常の値に近づいている。
怪我の完治に時間はかかるが、現段階では命に別条はない、という事が分かり、サイクロンも、篤彦も、真由美もほっと胸をなでおろした。
「サイクロン、ヘルメットの左のボタンを押してみなさい。脱げるから」
「これ?」
真由美に言われ、サイクロンはボタンを押す。
プシュウウウーッッ!
後頭部の空気圧ロックが外れ、勢いよく蒸気が噴き出す。中から栞の顔が現れた。
中は蒸し風呂状態になっており、顔からはポタポタと汗が垂れ落ちた。
「暑かったでしょ、お疲れ様」
真由美は栞にタオルを手渡す。栞はそのタオルで汗を拭うと、カプセルの中にいる由衣を見つめる。
「由衣ちゃん、分かる?わたしよ、栞よ!」
治療液の中にいる由衣は口元に付けられたマスク越しに、ヘルメットを小脇に抱え、
首筋から下を青色の装甲で包まれた栞の姿を見て、かすかに微笑む。そして、ゆっくりと目を閉じた。
「ふぅ、とりあえず由衣は生きてはいるみたいだな」
安らかに眠っている由衣の姿を見て、篤彦は大きく息をついた。
「森川さん、変身を解くには『着装解除』、って言うのよ。やってみて」
「着装、解除」
真由美から教えられた通り、栞が変身を解除するキーワードを言うと、栞の全身が白い防御フィールドに包まれる。
全身を優しく包んでいた青い装甲が、胸から、背中から、腹から、腕から、肩から、脚から次々と剥がれ落ち、光の粒子となって消えていく。
後には青と白のインナースーツ姿の栞が残された。そのインナースーツも糸がほどけるように栞の全身から離れていき、光に溶け込むようにして消えていった。
一瞬、栞の全身が露わになったが、すぐに元の服装である下着、Tシャツ、スカートが復元され、栞は完全に変身前の姿に戻った。
「はぁー…、はぁ、はぁ…」
栞は全身にどっと疲労感を覚え、ペタンと床に座り込んでしまった。
「森川さん、もう疲れたでしょう。今日はもう帰って休みなさい。由衣の事と、スーツの事は私たちに任せておいて」
「では、これで失礼させてもらいます…」
由衣と、栞にとっての長い長い一日がようやく終わったのだった。 というわけで今回は以上です。こちらはグッドエンドルートです。
ご要望に応じてルートを分岐させてみました。
これから後半戦に突入しますが、このような文章でも付きあって下さる皆様には本当に感謝しております。 GJ!
二人目ヒロインの登場に腹パンにと読み応えあったよ。何気に属性のカバー広いねw
河原から傷ついた身体ひきずりながら逃亡とか、往年の特撮のスピルバンのダイアナレディのピンチを想起させられた
分かってるねwバッドエンドルート楽しみにしてます。お疲れ様 作者様乙です!
バッドエンドのほうの、鉄骨を打ち込まれて胸部装甲のヒビが大きくなる演出がいいですね
スーパーウェポンで強化スーツを破壊するのもいいんですが、鉄骨みたいなありふれた
道具で強化スーツが破壊されてしまうのも好きです お疲れ様!
読み返すとエロ要素がほとんどないんだけど
そんなこと全然気にならないくらい興奮したよ ホントだ…確かに凄い興奮して一気に読んだけど、エロシーンなんて欠片も無かったねw
我ながら業の深い…w
ドリルで腹をぶち抜きとか見てみたかったとか言ってみたりw 腹ぶち抜きいいですねw
メタルヒロインが装甲にインナーごと貫かれてしまうのは新鮮です。
無機質なスーツの腹から流血するというギャップも映えますし、
穴のあいた腹の痛みに苦しみながら必死に戦う(or逃げる)姿もいいw 「うぅーん…」
栞のガラケーから、アラーム音として使われているBGMが鳴り響く。その音で栞がゆっくりと目を覚ました。
「6時…半…か」
栞が住んでいるアパートは由衣の家に近い。歩いて5分もすれば着く距離だ。
上下お揃いの薄い水色のパジャマ姿の栞は、しばらくの間、ベッドの上に敷かれている布団にくるまりながら、昨日の事を思い出していた。
昨日、自分は初めてブルーサイクロンになった。スーツにインプットされた戦い方に従ったのもあるが、由衣を助けたい一心で半ば無我夢中で戦った。
生身の人間では絶対にかなわないような怪人を強化スーツの力であっさりと葬り去った。
こんな大きな力、本当に自分で使ってもいいのだろうか。自分の責任で扱いきれる力なのだろうか。
どうしても不安になってくる。しかし、すぐにそれを自分の中でしっかりと打ち消す。
戦うのは自分の意思で決めた事だから。どんな事があっても後悔しないと決めたから。
自分は何があっても戦い抜く。自分の決断が、篤彦・真由美の決断が、正しかったと証明するために。
何よりも、今の由衣を心身ともに支えられるのは自分しかいないから。
ふと時計に目をやると、そろそろ朝の準備を始めなければいけない時間になっていた。
布団から出て、パジャマを脱ぎ、普段着に着替える。これから自分は、学生とブルーサイクロンとしての戦いを両立させないといけないのだから。
栞は、いつものように大学に地下鉄で通い、講義を受ける。由衣とはよく一緒に講義を受けるが、その由衣は今はいない。
(なんだか、ちょっと寂しい…)
栞は、聞き逃した所や、分からない所をよく由衣に教えてもらっている。その由衣がいない光景を味わう栞は、心のどこかに穴が開いたような感覚を感じていた。
家で講義ごとに整理し直したファイルを開き、中のルーズリーフに講義の要点を書く準備をする。
自分はブルーサイクロンという戦士である以前に、勉強が仕事である一学生である。
普段の姿勢がいい加減では戦士である資格は無い。自分は変わる。今から変わる。
戦士としても、人としても成長したいから。戦士としてだけでなく、人として心から大事に出来るものを見つけたいから。
そう決心した栞は、今までに講義中に書いた事もないような量の文章をルーズリーフに書いていったのだった。
由衣が戻って来た時、自分の事で心配をかけてはいけないから。違う自分を見せたいから。
今まで由衣に助けられてきた分、今度は自分が由衣を助ける番だから。 栞は講義が全て終わると、由衣の家に寄った。由衣の容体を見るためである。
「あら、森川さん、丁度いい所に来たわ。あなたに渡したいものがあるの」
「真由美さん、それと由衣ちゃんは…」
由衣の様子を見ようと心急く栞に、真由美が手招きをしてきた。
「まぁ、今のところは順調よ」
真由美は栞を連れて地下研究室に降りた。
「由衣ちゃんはあと何日ぐらいかかりますか?」
「一日では良くならないわ。三日間か、四日ね」
「えっ、一週間かからないんですか?」
「このカプセルは人間の20倍以上の治癒力なのよ」
二人が話す中、治療カプセルの中にいる由衣は口元にマスクを付けられ、緑色の治療液の中に浮かんでいる。
由衣のケガは、10箇所近い重度の火傷、腹部の刺し傷および重度の打撲、胃の損傷、肋骨2本の骨折だった。
普通の医者ならお手上げ状態になりかねない所だが、総合病院などには一般公開されてない、真由美が開発した治療カプセルで、由衣の怪我は常識を遥かに超えた速度で完治するのだ。
「すぐには元には戻らないかもしれないけど…その時は由衣をよろしくね」
身体の傷は治ったとしても、心の傷は治るとは限らない。その事実を悟った栞はうつむきかけた。
「私としては…由衣を絶対に戦いの道具にしないようにしてきたつもりなんだけど…」
真由美も下を向き、唇を噛む。栞は、真由美の目に涙が浮かんでいるようにも見えた。
自分の一人娘が、人知をはるかに超えた怪人相手に命がけで戦っている。それなのに、自分は基本的に安全な所で何をしているのかと。
「真由美さん、顔を上げて下さい。ブルーサイクロンがいますから」
栞は顔を上げた。いつ戻ってくるかは分からないが、レッドトルネードがいない間は、自分がその分まで戦うのだ。
「で、真由美さん、渡したいものって?」
「ああ、そうだった、忘れていたわ。はい、これよ」
真由美が栞に手渡したのは、青いスマートフォンのように見える端末だった。
「これ、最新式のスマホじゃないですか!」
「そう見えるでしょ。確かにそうよ。でもね、この中にはあなたの強化スーツが入っていて、変身ブレスの役割も兼ねてるのよ」
「なんかよく分からないけど、スゴそうですね」
「これはあなたにとって命の次に大事なもの、って思いなさい」
「充電ってどうやるんですか?」
「する必要無いわ。光を勝手に吸収して充電されるから。ウチだけの専売特許よ」
「えっ?本当ですか?」
「本当よ。今あなたが使ってるのは予備として置いておくといいわ」
栞は渡された端末を少しイジってみる。スマホを店頭の試用品で少し使ってみた事はあったが、本格的に使い出すのはこれが初めてだ。
「どう?使いやすい?」
「んー…、まだちょっと…」
真由美に感想を聞かれた栞は苦笑いする。
「変身する時は『着装』!って言うのよ」
「そうなんですか…。で、カゼひいて声が変わってても大丈夫なんですか?」
「森川さん、いいところに気が付いたわね。これは高性能だから、カゼ声程度だったら普通に感知してくれるし、安心していいわ」
「ふーん…」
「それと、この間の戦いを見させてもらったけど、あなた、サイクロン・バーストを使ったでしょう」
「あ、あれですか?トルネード・バーストってやったらなんか凄いビームが出たんですけど」
ブルーサイクロンが、ジェットストライカーの4門の砲台とダブルマグナムを一斉発射する、サイクロン・バーストの威力には栞のみならず、真由美も驚く程の威力があった。
「あの技はまさしく必殺技なんだけど、エネルギーを凄く使うから本当に気をつけてね。最悪ジェットストライカーが動かなくなるから」
「気をつけます」
「最後に言っておくけど、くれぐれもブルーサイクロンの能力は悪用しないようにね。あなただったら分かっているとは思うけど…」
レッドトルネードも、ブルーサイクロンも、変身するのが由衣、栞だからこそ正義の味方でいられる、というわけである。 真由美が由衣を治療カプセルから出したのは、それから三日後の事だった。モニターの心拍数を始めとする表示も正常値を示していた。
「レッドトルネード復活の一歩よ」
真由美が、カプセルの中の治療液を抜き取り始める。緑色の液体がゆっくりと降りていき、
中から由衣の白い肌が出てきた。痛々しい火傷も、赤黒い打撲の跡も、全て綺麗に消えていた。
口元に付けられていたマスクが外れるとほぼ同時に、由衣がゆっくりと目を開けた。
「あ…あぁ…はぁ…」
「おはよう、由衣。もう大丈夫よ」
四日ぶりに目を覚ました由衣に、真由美が微笑みかける。
「あれから…一体どうなったの?」
「森川さんが助けてくれたのよ。ブルーサイクロンとしてね」
「私…どれぐらい眠っていたの?」
「四日よ」
真由美は全裸の由衣にバスタオルを手渡した。由衣は以前治療カプセルを利用した時にも増して、恐る恐る自分の身体を拭いていく。
由衣は自分の身体を見渡してみるが、傷はどこにも残っていない。痛みも無い。身体は元通りには戻っている。
「由衣、大丈夫?今はゆっくりと休みなさい」
「うん…」
由衣は力なく頷いた。そして、バスタオルを羽織って2階の自室へと向かう。
ベッドの上には、布団が綺麗に敷かれていた。バスタオルを放り投げ、ベッドの上に全裸でドッと寝ころび、ぼんやりと天井を見つめる。
本当に何もする気が起こらない。何をすればいいのか分からない。
自分の命は助かった、今はただそれだけでいい。そんな空虚な心が由衣を支配していた。
「由衣、お昼が出来たぞ」
「もうちょっとしたら行く…」
部屋の外から篤彦の声がする。由衣は力なく返事をした。
「ごめんな、こんな事しか出来ない父さんで」
「…別に父さんが謝る必要なんか無いわ」
服を着た由衣が1階の食卓に降りると、冷やし中華が2人分置いてあった。
「いただきます」
由衣と篤彦は冷やし中華を食べ始めた。何の会話も無く、二人は黙々と食べ続けた。
いつもと変わらない鷹野家の日常生活の光景である。このなにげない日常をまた過ごせる、そう思った由衣の目に再び涙がにじんでいた。
その日の午後、鷹野家のインターホンが鳴った。
「森川です。由衣ちゃんはおられますか?渡したいものがあるんです」
栞が家にやってきたのだ。
「由衣ちゃん、もうすぐテスト期間だよね」
部屋に上がり込んだ栞は務めて笑顔を見せる。由衣の気持ちを少しでも明るくさせるために。
「今日はね、由衣ちゃんに見せたいものがあるんだから」
栞はバッグから次から次へと何かを取りだしていく。
「え?ちょっとこれ、どうしたの?」
「わたしだって、このぐらいやればできるんだから」
由衣は驚いた。自分が休んでいる間、自分が受講している講義のノートが全てまとめられていたのだ。
決して上手な字とは言えないが、講義の要点は概ね的確にまとめられていた。
「これ、全部写させてくれない?明日になったら返すから」
「いいよ。単位取れるように頑張ろうねっ、由衣ちゃん」
栞はいつものように屈託のない笑顔を見せ、部屋を出ていった。
もうすぐ大学のテスト期間という事を思い出し、由衣は現実に引き戻されていった。
自分に心配をかけないため、栞はここまで頑張っていてくれた。その頑張りを無駄になんか絶対に出来ない。
由衣は机に向かい、ノートの複写を始めた。虚ろだった由衣の瞳に、少しづつ力が戻り始めていた。 幸い、テスト期間中に怪人が襲撃してくる事は無く、栞も、由衣も全ての試験を受け、レポートも無事に提出出来た。
テスト期間が終わって最初の週末、梅雨も明け、空からは強烈な日差しが降り注いでいた。
朝食を食べ終わった由衣がパソコンをいじっていると、栞が家にやってきた。
「ねぇ由衣ちゃん、夏休みだし、海行こうよ、海!」
「えー、今から?」
「何か用事が無いんだったら行こうよ、せっかく天気もいいんだしさ」
「今、水着出してくるから待ってて」
「別に誰も泳ぐなんて言ってないから」
由衣は2階に向かおうとする所で足を止めた。
「泳ぐんじゃ無いの?」
「海を見に行くのよ、海を」
栞はキャップを被り、ショートジーンズ、Tシャル、サンダルという服装に、小さなハンドバッグと日傘を持っている。
バッグの大きさからして、水着やバスタオルを持っている様子は無かった。
「由衣、行ってみればいいんじゃない?」
珍しく1階にいた真由美が由衣の後ろにいた。
「じゃあ、ちょっと待ってて、今すぐ準備してくる」
由衣は2階に上がり、着替えを素早く済ませる。
下に降りてきた由衣は、純白のワンピースに麦わら帽子、サンダルという格好だった。穏やかな風が、ワンピースの裾を揺らした。
「で、栞ちゃん、どこに行くの?このへんでいい所なんてあったけ」
「パーパーランド。近くに別の大きい所が出来たから、そこは穴場になってるの。由衣ちゃんは初めてだっけ?」
「私、海沿いなんか行かないから」
「そっか、初めてだったのね。じゃ、電車でゆっくり行きましょ」
栞と由衣は二人並んで歩き始めた。雲一つ無い、真夏の青空から日差しがギラギラと降り注いでいた。
「由衣ちゃん、テストの手応えはどうだった?」
「え?ああ、うん、まぁまぁだと思うわ。落ちなきゃいいかな、って感じ」
「由衣ちゃんのノートね、すっごく分かりやすかった!あれが無かったらわたし、絶対落ちると思う」
「そんなに役に立ったの?」
「うん。これがあったらもう講義聞かなくてもいいかな、ってくらい」
「ちょっと、講義はちゃんと聞いてよね」
「ハハッ、冗談、冗談」
栞は軽く口を開けて笑った。電車に揺られる中で、二人の他愛ない話が続く。普段の二人はどこにでもいる普通の女子大生なのだ。 二人はパーパーランドに着いた。電車で二駅ほど離れた場所に大型アウトレットモールが出来たので、その煽りを受ける形となったここは、夏休み最初の週末だというのに閑散としていた。
「やっぱ、これぐらいの人出の方がちょうどいいわ」
「栞ちゃんの実家って、田舎だっけ」
「うん。漁師町。周りの360度中、300度ぐらいは海がある所。二週間に一度ぐらい海を見ないと気分が悪くなるから、ここに結構来てるの」
栞はそう言うと、柵に手をかけ、海の潮の流れをじっと見ていた。
「…栞ちゃん、何してるの?」
「海を見てるのよ、海を。由衣ちゃんもどう?」
栞の横に立って、由衣も海を見つめてみる。時折、海から吹きつける風によって、白いワンピースが風に揺れる。
(綺麗…)
青々とした海。全てを飲み込みそうな海。自分を全て包み込んでくれそうな海。
寄せては引き、寄せては引き。その度に、波の音が聞こえてくる。その音を聞いていると、心が洗われる。
時々、何かの演出のように海面にクラゲが1匹浮かび、また沈んでいく。
人間なんて、海に比べたらちっぽけな存在だ。そう立ち止まって考えると、由衣は胸の中のつかえが取れ、抱え込んでいた悲しみが少しは晴れていく気がした。
「由衣ちゃん、そろそろお昼にしない?いいところ知ってるんだ」
「じゃ、栞ちゃんに任せるわ」
栞が入っていった店は、海鮮丼の専門店だった。お昼時だが、客の数はそこまで多くなく、二人が座る席にはまだ余裕があった。
「どれも美味しいけど、迷ったら日替わりがいいと思うよ」
由衣は栞にメニューを渡されて、どれにしようか考える。
「ここは味もコスパもいいからね。800円でこれだけ食べられたら十分過ぎる、っていうぐらい」
「じゃ、私も日替わりにするわ」
「決まりね。すいませーん、日替わり2つお願いしまーす」
由衣は迷った末、栞と一緒の物を頼んだ。
「栞ちゃんって、夏休みに実家に帰らないの?」
「お盆以外は帰らないよ。モデルの仕事結構入れてるし、実家の手伝いさせられるの嫌だし」
「実家って、栞ちゃんの家って漁師なの?」
「あれ?言わなかったけ?そうよ、グレート号で毎日漁に出てる」
「グレート号って…何それ…普通、〜丸とかじゃないの?」
栞の実家の漁船の名前を聞いた由衣は吹き出してしまった。
「漁船だからって、〜丸ってつけなきゃいけない決まりなんて無いよ。アルファベットだって使おうと思えば使えるし」
「なるほど、勉強になったわ。で、栞ちゃんは家業を継ぐ気は無いの?」
「継ぐ気があるように見える?」
「そりゃあ、どっちかと言えばそんなに…」
由衣と栞が話をしているうちに、日替わりの海鮮丼が2つ運ばれてきた。
「んーと、今日は甘エビとイクラとネギトロとサーモンね。それじゃ、いただきますっ!」
栞は瞬時に海鮮丼の中身を把握した。
「どう、由衣ちゃん、美味しいでしょ?」
「ええ、美味しいわ。栞ちゃんってこういう魚の味には敏感なの?」
「実家で嫌というほど魚が出るしね。本当に魚ばっかりだけど。でも、時々こういうのが食べたくなるの」
由衣は家で出た事のない海鮮丼を味わう。
(800円でこれだった相当いいわね)
値段以上の価値はある。由衣も栞も、美味しく海鮮丼を完食したのだった。
「あ、由衣ちゃん、今日はわたしのおごりだからいいよ」
「いやいや、自分で払うわ」
「いつも世話になってるからね、由衣ちゃんには」
レジで財布を出そうとする由衣を栞が制した。千円札2枚を店員に出し、釣りをもらう。 「栞ちゃん、小遣いは大丈夫なの?」
「デカい臨時収入が入ったからね、だって…えっ!?停電?」
ブルーサイクロンとして戦った「危険手当」が入ったから多少は使っても大丈夫だ、
そんな話を栞が振ろうとしていると、突然店内の電気が全て消えた。店内にいた他の客も一斉にざわめき始める。
「雷が落ちたわけでもないのに、一体どうなってるのよ」
由衣が店の外に出ると、他の店でも同様の事になっているようだ。店員と思われる人間が携帯電話で何かを問い合わせている様子も見える。
「まぁ、すぐに復旧するでしょ…この海ってクラゲこんなに多かったっけ?」
栞が海にふと目をやると、クラゲが10匹近く海に浮かんでいる。しかも、その数は時間が経つごとにどんどん増えていく。
その集まったクラゲが防波堤を越えて、由衣たちのいる陸に向かってきた。
「いつ気づくのかな、アイツ」
クラゲが集まる様子を建物の影で見ていた少年がいた。左目は義眼で、左手も義手だった。
「レッドトルネード…早く出てこい」
窪島佑ーコブラ怪人ーは過去の戦いで、レッドトルネードに敗れ、左目と左手を失うという重傷を負わされていた。
「由衣ちゃん、刺されるよ、逃げよう!」
「う、うん!」
ただ事ではないと悟った栞は由衣の手を引いて逃げた。海を見物に来ていた客も次々とその場を逃げだしていく。
『森川さん、出動よ!怪人が現れたわ!』
「真由美さん、敵が出たの?」
『そうよ、もう近くにいるはずよ!由衣は今どうしてるの?」
「わたしの側にいます!」
『無理して戦わないで、って言っておいて!』
怪人反応を察知した真由美から、栞へ電話がかかってきた。
「こんな時になんで出てくるのよ!」
栞が思った通り、陸に上がって来た無数のクラゲが一つに集まり、やがて人型となった。
胴体からは無数の触手が生え、獲物を探すかのように蠢いている。クラゲ怪人が現れたのだ。
頭部の中央には青白い核がある。この怪人は、あちこちの建物の電気を吸い取って自らの養分とし、こうして巨大化したのだ。 「由衣ちゃん、下がってて!わたしがやる!」
「栞ちゃん…」
心配そうに見つめる由衣を栞が手で制した。そして、右手に持った青い端末を前に突き出し、叫ぶ。
「着装!」
由衣の見ている前で、栞の全身は白い光に包まれる。その光の眩さに由衣は思わず目を閉じる。
白く、眩い光の防御フィールドの中で、栞の衣服が光の粒子となって飛び散り、栞は一糸まとわぬ裸体を晒す。
しかし、その裸身を保護するべく、すぐに足元、手先から光が駆け上がり、一気に首筋まで覆う。
青と白の鮮やかなインナースーツ姿となった栞は、装甲を受け入れるべく、そっと目を閉じる。
まず、腰、股間を保護するパーツが前後から現れ、挟み込むようにして栞の身体に密着する。
次いで、つま先、脹脛とブーツ状の青い装甲に包まれ、膝、太股にも装甲が装着される。同時に、手がメタルグローブに覆われたかと思うと、腕、肩と青い装甲が一気に覆っていった。
「あんっ…」
インナースーツに包まれた胴体が、背中、胸部、腹部の3つのパーツで挟まれるようにして覆われた。その時の締め付けるような体感に、栞は声を上げてしまう。
そして、頭部にもパーツが集まり、ヘルメット状となって栞の頭を覆う。
後頭部がロックされ、最後に露出していた栞の顔面にも、マスク、バイザーが装着されると、スーツ装着完了を知らせるかのように防御フィールドが弾け飛んだ。
「これが…栞ちゃん…」
由衣の目の先には、ブルーサイクロンの後ろ姿があった。栞は由衣の見ている前で変身したのだ。 「行くわよ!」
サイクロンは蠢く触手に向かってマルチマグナムを発射した。破壊光線が正確に2本の触手を断ち切る。
直後、別の触手がサイクロンに向かって振り下ろされるが、サイクロンは冷静に右にかわす。
そして、頭部に向かって再び撃った。頭部を構成していた一部の軟体が吹き飛び、地面に飛び散る。
しかし、クラゲ怪人は全く意に介さず、別の触手をムチのようにふるい、サイクロンの胴体を打ちつけた。
「きゃあっ!」
クラゲ怪人の触手は細いにも関わらず、太い鉄のロープで叩かれたかのような衝撃がサイクロンに伝わって来た。
サイクロンは触手に向かってマグナムをまた撃った。触手のうちの1本が吹き飛ぶが、その間に別の触手がサイクロンを打ちすえる。
「ああっ!」
攻撃を受けて、構えを崩されたサイクロンに、クラゲ怪人の何本もの別の触手が次々とサイクロンを殴りつける。
右から左へ、左から右へ。上から下へ。下から上へ。何本もの触手が途切れる事無くサイクロンをいたぶっていった。
そして、触手のうちの1本がサイクロンの胴体を締め上げ、高圧電流を流し始めた。
「いぎゃああっ!」
強化スーツを突きぬけ、栞の身体の芯を凄まじい痛みが駆け抜けた。
「何、君?レッドトルネードの偽物?」
地面に倒れ伏し、起きあがろうとするサイクロンを、佑が見つめていた。
ブルーサイクロンの外見は細部こそ違うが、おおむねレッドトルネードと似ていた。
「誰が偽物よ…」
サイクロンはゆっくりと起きあがり、佑を見つめた。しかし今度はクラゲ怪人が背部から触手を伸ばし、サイクロンの首に巻きつけた。
「うう…あうっ…」
強化スーツは首筋もきっちりと覆ってくれている。それなのに、息苦しさを感じる。
両手で触手を振りほどこうとするが、触手の力は強く、下手をすれば装甲ごと首の骨が破壊されそうだった。
「レッドトルネードは逃げたみたいだね。まぁいいか、今日はパチモノで我慢してあげるよ」
「パチ…モノじゃ…ない…」
苦しむサイクロンの目の前で、佑の姿が変化していく。蛇の化け物、コブラ怪人へと。
(あの時の…)
モデルの仕事帰りに自分を襲った奴と一緒だ。そうだ、あの時、自分は、レッドトルネードに助けられて…
サイクロンの頭の中に、あの日の出来事が一瞬にして思い出される。
首を絞められ、危うく死ぬかも知れないと思った時、レッドトルネードが助けてくれた。その時に近い状況に、今の自分は置かれている。でも、あの時と違って、今の自分はブルーサイクロンという戦士だ。もうただの女子大生じゃない。
(わたしは…わたしはこんな所で負けられない!)
ゴーグルの奥にある栞の目が、コブラ怪人をしっかりと見つめていた。
コブラ怪人の左手の鋭い爪が、サイクロンの腹部を狙う。爪は以前よりもより大きく、より鋭くなっていた。
その直前、力を振り絞ったサイクロンの蹴りが、逆にコブラ怪人の身体を蹴り飛ばした。今度は素早く向き直って、自分の首を絞めつけていた触手にチョップを振り下ろした。
触手が斬り飛ばされ、呼吸が楽になったサイクロンは、2体の怪人を睨みつける。
「何人でもかかってきなさい!」
「今時精神論かい?時代遅れなんだよ!」
コブラ怪人の尻尾が足元からサイクロンの顎を襲った。
「あがっ!」
顎が外れそうな衝撃がサイクロンを襲う。視線がグラつく中、クラゲ怪人が触手の間に集めた電気エネルギーを集め、大きな球状にしていた。
サイクロンのマルチマグナムで破壊されたはずの触手や頭部はいつの間にか完全に再生した。
そして、電気エネルギーがサイクロンを飲み込むようにして叩きつけられる。
「いやああああーっ!」
サイクロンは5メートル以上高く、10メートル以上遠くに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「うう…」
「やっぱりパチモノだね。だって弱いから」
サイクロンは身体の芯に痺れが残っていて、立ち上がろうにも立ち上がれない。
クラゲ怪人とコブラ怪人は、2対1でサイクロンを着実に追い詰めていった。 (このままじゃあ…)
建物の影で戦況を見守っていた由衣の手は、汗でびっしょりと濡れていた。
サイクロンで無く自分が戦っていたとしても、2対1では明らかに分が悪い。このまま放っておけばサイクロンが負けてしまうのは明らかだった。
サイクロンをー栞をー助けに行かなければならない。そう思うのは当然だった。
手が震えていた。完膚無きまでに敗れ、死をも覚悟した戦いの恐怖心がまだ残っていた。今、自分がこっそり逃げれば、自分の命だけは助かるかも知れない。しかし、栞を見殺しにする事など出来るはずもない。
ここで辛い事から逃げたとしても、このまま逃げたら先はもっと辛い事があるに違いない。だから今は逃げてはいけない。
そう思った由衣の右手が、新たなスーツが納められた端末に伸びる。そして、勇気を振り絞って叫ぶ。
「着装!」
由衣の叫びに応えるように、全身が白い光に包まれる。その中で由衣の衣服が、頭に被っていた麦わら帽子が消え、入れ替わるようにして赤と白のインナースーツが身体を覆う。
つま先から、指先から装甲が駆け上がり、瞬く間に首筋から下が装甲で覆われる。
その僅かな時間に、由衣は今までとは何かが違う、新たな力を感じ取っていた。
由衣の髪がふわりとかき上げられ、ヘルメットの装着と同時に後頭部に収められる。
口元と鼻がレスピレーター付きのマスクで覆い隠され、最後に半透明のバイザーが露出していた目元を覆い隠す。
白い光が弾け飛び、変身が完了した直後、レッドトルネードはコブラ怪人に向かって跳び、マルチマグナムを発射していた。
「ぎゃあっ!」
コブラ怪人が直撃を受けて倒れる。その隙に、クラゲ怪人に向き直ったレッドトルネードはサイコブレードを抜き放つ。
片刃を出し、直後にもう片方の刃も出して、トルネードは棒術のようにブレードを構えた。
前に着ていたスーツとは違う。内面から湧きあがる力が違う。その力が由衣に自信を与えていた。
クラゲ怪人の触手が多方向からトルネードに襲いかかる。トルネードは両刃のブレードを振り回し、的確に触手を斬っていった。
1本、2本、3本、4本と、ブレードが振るわれる度に、触手が地面に落ちていった。
「ブルーサイクロン!今よ!」
トルネードの呼びかけに応じて、サイクロンが膝をついたまま、両ホルスターのマルチマグナムを連結させて、小型ライフルのような外見をしたダブルマグナムに変形させた。
「行けえっ!」
サイクロンのダブルマグナムから発せられた太い破壊光線がクラゲ怪人の頭部を一撃で半分ほど吹き飛ばした。 「あなたのお望み通り、戻ってきてあげたわよ!」
「こんなに早いなんてね。でも、僕は昔の僕じゃないよ」
「あなたが昔のあなたでないように、私も昔のレッドトルネードじゃない!」
「お前も僕と同じような身体にしてやる!」
レッドトルネードのゴーグルの先に、義眼となったコブラ怪人の左眼と、義手となった左手が見える。コブラ怪人はトルネードに対する強烈な憎しみを胸に襲いかかってくる。
「はあっ!」
レッドトルネードが放ったサイコブレードの一撃が、振り下ろされてきたコブラ怪人の尻尾を叩き斬った。
前回と同じような敗れ方だ。そう思ったコブラ怪人に動揺が見えた。その隙を逃すトルネードではない。
「消えろっ!」
以前戦ったときに仕留め損ねた悔いを晴らすかのように、トルネードはサイコブレードの刀身にエネルギーを込める。
「ダブル・トルネード・スマッシュ!」
全ての思いを込め、コブラ怪人の肉体全てをこの地上から消し去ろうとの思いで、トルネードはブレードを振り下ろした。
しかし、コブラ怪人も最後の悪あがきとばかりに、口から猛毒の液体を吐き出していた。コブラ怪人の肉体も肩口から斜めに斬られていたが、トルネードも身体から力が抜けるような感覚を味わい、膝をつきそうになる。
胸元の装甲が毒液を浴びて溶け、白い煙を上げていた。双方相討ちだった。
「今度こそ…今度こそ!」
コブラ怪人はどこかへとかき消えた。レッドトルネードは詰めの甘さでまたしても勝ちを逃がしたのだ。
「よーしっ!」
ブルーサイクロンはというと、完全に自分のペースを取り戻し、マグナムでクラゲ怪人の触手を全て破壊していた。
残ったクラゲ怪人の頭部は徐々に再生していたが、そこにトルネードの援護射撃が飛び、青白い核が露出した。
「サイクロン、弱点はあそこよ!一気にトドメを刺して!」
「分かった!」
レッドトルネードに言われ、ブルーサイクロンは再びマグナムを連結する。そして、身体核に狙いを定める。
「サイクロン・バースト!」
ダブルマグナムから一筋の太い光線が発射され、その反動でサイクロンの身体が後ろへと下がる。
核を貫かれたクラゲ怪人の身体はジェル状の身体を四方八方に飛び散らし、その飛び散ったジェル状の破片もすぐに地面に吸われて消えていった。 「終わった…かな」
サイクロンはダブルマグナムを2つに分解し、両ホルスターに収めた。そこにトルネードが近づいてきた。
プシュウウウウッ!
レッドトルネードがヘルメットの左のボタンを押すと、蒸気が噴き出すと共にロックが解除され、由衣の顔が露わになり、長い黒髪がふわりと広がった。
戦いは終わった。それを見たブルーサイクロンも同じようにしてヘルメットのロックを解除する。
蒸気が勢いよく吹き出し、ヘルメットの中から栞の顔が現れた。
「やったあ!」
由衣と栞は未だメタルグローブに包まれた両手でハイタッチを交わした。
「由衣ちゃん、すごい汗だね」
「栞ちゃんだって」
由衣も栞も、空気圧でロックされていたヘルメットの中に加え、この暑さのため、どちらも汗だくの顔になっていた。
だが、勝利の後となってはこの汗も気持ち良い。吹きつける海からの風が、二人に清涼感を与えた。
「由衣ちゃん、お揃いなんだね、これ」
「あ、そういえばそうね」
お互いに強化スーツを身に付けている自分の身体を見渡す。由衣はメタリックレッド、栞はメタリックブルーという違いはあるが、構造は全く同じである。
勝利の余韻を味わっていると、腰部のパックルに収められている端末が反応する。真由美からの通信だ。
『由衣…無理しちゃいけない、って言ったのに』
「母さん、今は栞を助けて、一緒に戦って勝った。それでいいじゃない」
『そうね。そうよね。それじゃあ、二人とも気を付けて帰ってきなさい』
「了解っ!」
真由美からの通信に、二人は元気よく答えた。
「うっ…」
栞がガクンと膝を付き、その場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫!?」
「ちょっとまだフラフラするけど…大丈夫…」
電撃によるダメージがまだ身体に残っている栞は、気丈に微笑んで見せた。
クラゲ怪人を倒してから少しして、パーパーランド近辺の「停電」は復旧した。
無事に動いている帰りの電車の中で、戦い疲れた栞はいつの間にか眠ってしまっていた。
左隣に座っている栞の頭が、由衣の左肩にもたれかかってきている。栞は穏やかな寝顔で寝ていた。
「あー…、んっ…違う…」
栞の口から何やら寝言のような言葉が漏れる。
「夢でも見てるのかな」
電車が付くまで、今はそっとしておいてやろう。そう思った由衣はもたれかかってくる栞の頭を支え続けた。
戦いに対する恐怖心は完全に消えたわけではない。しかし、これまで一人で戦ってきた時とは違って、
今の自分には栞という仲間が、ブルーサイクロンという仲間がいる。
栞がいる限り、ブルーサイクロンがいる限り、どんな敵にも勝てそうだから。どんな困難だって乗り越えられそうだから。
「んん…ここはやっぱり税率90%…」
「何のゲームよ、それ…」
そっとしておかなくても良かったかな、と由衣は少し後悔した。
夕方になり、傾きかけた太陽の日差しが、電車の窓から降り注ぎ、いつもの女子大生に戻った二人の姿を照らしていた。 今回は以上です。このような拙い文章で興奮して下さって大変恐縮です。
極力あざとさの無い萌えと、なるべく等身大の人間を描くことと、
昔のカプコン・コナミのゲームにあったような、「きちんと自分のパターンを作れば勝てる」熱さを意識しております。
いつも変身時や治療時に脱いでるんですが、エロ要素が少な過ぎですか、そうですか… 渋谷のデリヘル ハプニング学園のあやちゃんエロくて最高!腰をくねらせてせがむ感じが◎
おっぱいでてるし マ○コも・・・
→http://www.cityheaven.net/tt/s-hpg/ いや、露骨なエロはいらないですよw
裸が好きな人は、そういうスレに行けばいい。 まあ強化スーツというフェチにその上破壊というシチュに興奮するというよりすぐりの変態達だからな
露骨なエロなんぞ取り立てて必要ないな
必要なのはスーツ描写 光線とかの照射を受けて、スーツの耐熱限界を越えてしだいに
照射されてる部分が灼熱化するとかいう描写が好き
エヴァQの冒頭とかそういうシーンがあって結構良かった
アスカは赤色の鮮やかなプラグスーツが凄く映えるし、旧劇エヴァで量産機に捕食された時の
ビクンビクンしてる姿といい、このスレを代表できるキャラだと思う でもQ冒頭のアスカは光線が当たった位置のプラグスーツが光ってる演出があっただけだし
プラグスーツが光線の熱で溶けるとかしたわけじゃないからね
あとプラグスーツは単なるピッチリスーツだし強化スーツといっていいのかわからないから
このスレには微妙じゃないか? >>213
あてはまるかわからんけど、グランセイザーだったかが
身体が灼熱化する敵に捕まれて、スーツごと真っ赤になる
シーンがあったが、あれはよかったと思う。
スーツがどろどろに溶けてしまうのはあまり好みじゃないけど、
灼熱化した後に常温に戻った際に煤にまみれて真っ黒になっているのは
いいかも。 つうか、強化スーツがそれだけ灼熱化すると、
着てる側もただじゃ済まないような気がするんだがw >>216
ただですまないのが良いんだよ
まあ生身の方は装甲の下のインナーがなんとか守って軽い火傷みたいな
灼かれた部分をかきむしりながら転げ回って悶えるヒロインとか最高やん? 眩く輝くくらいに灼熱化してもスーツはこれと行って機能異常起こしてないのに、
中身が完全に黒こげ炭化灰化してて死んでるとかなww >>216
インナーに守られるだろ
アーマーが熱でぼろぼろにされて(灼熱化や爆破等)、
インナーがむき出しにされてしまうのもいいな
ごついヨロイがボロボロと剥がれて、ぴったりとしたインナータイツに
包まれた身体が露わになるとか 由衣は河原にいた。少し前にいたはずの場所にいた。
足元には堆積した砂利が積もっており、すぐ脇には川が流れている。
「あれ?ここ、どこ…?」
由衣はその時、背後に気配を感じて振り返る。
そこには、ハチ怪人がいた。あの時、レッドトルネードである自分をさんざんいたぶったあのハチ怪人が、鋭いドリル状になった針を差し向けていた。
由衣の脳裏に、あの時の出来事が鮮明に思い浮かぶ。
「あ…ああ…」
由衣は思わず後ずさりする。だが、ハチ怪人の太い針が、すぐに自分の腹部へと突き刺さる。
「いっ、いやああ、やめ、やめえええっ!」
針が赤と白のインナースーツを突き破り、肌に穴を開けていくのを見て、由衣は声にならない悲鳴を上げた。
不思議な事に、痛みは感じない。ただ、鮮血が噴き出しているだけだった。
ハチ怪人はさらに力を入れ、より深く由衣の体内深くに針を突き刺していく。
そして、針は内臓にまで達し、腹部に大きな穴が空く。
「嫌あああぁぁーっっ!」
自分の腹から決して飛び出てはいけない、何か暖かいものが出てきたのを感じ、由衣は断末魔の悲鳴を上げた。
その瞬間、目が覚めた。
「あっ!…はぁ…はぁ…」
金縛りから解放されたかのように、由衣はベッドから飛び起きた。一糸まとわぬ彼女の肌は汗でべっとりと濡れていた。
そこは河原などではなく、いつもの自分の部屋だった。
針が突き刺さっていたはずの腹を慌てて確認する。いつもの白い肌があり、傷一つ付いていない。
「良かった…」
由衣は夢で良かったと胸をなで下ろした。しかし、この夢は悪夢。かつて、ハチ怪人によって死を覚悟するまでに追い込まれた敗北がもたらした、心の傷による悪夢。
身体の傷は癒えても、心の傷はそう簡単に消えるものではない。
忘れようと思っても、不意にその傷は、その悪夢は襲いかかってくる。
「ううっ…」
由衣は目に涙をうっすらと浮かべながら、再びベッドへと潜り込む。寝付けないかも知れないが、こうして布団にくるまっていれば、少しは傷が癒されるかも知れないから。 「由衣、おはよう」
「父さん、おはよう」
結局寝付けなかった由衣は、午前6時半に起床し、下の階に降りてきていた。丁度、篤彦も起きてきていた。
「今日はやけに早いな、由衣」
「暑いし、目が覚めちゃった」
「今日はどこかに行くのか?」
「うん。今日は水着撮影会だから、早めに出る」
「ご飯はどうするんだ?」
「自分で作っていく」
父と娘の他愛ない会話が繰り広げられる。鷹野家にとっての、由衣にとってのいつもの朝。
なにげない日常の生活を今日も送れる事に感謝の念を抱きつつ、由衣は冷蔵庫の扉を開け、朝食の準備に取り掛かった。
「ん?何これ」
由衣が家を出た後、真由美は居間の隅に落ちていた一冊の雑誌を見つけた。
拾い上げると、「GROW UP〜近畿学院大学論文雑誌〜」と書いてある。由衣が通っている大学からもらってきたものだろう。
「ロクに読みもしないのに…」
真由美はそれを拾い上げ、地下の研究室へと降りて行った。
「三影行雄、近畿学院大学、生物学准教授、か…」
雑誌の項目の一つに、「変異細胞(仮)がもたらす可能性に関して」というものがあった。
研究室の椅子に座りながら、真由美はその記事に目を通す。
「母さん、行ってきます」
「由衣、ちょっとこっちに来て」
挨拶をしに来た由衣に、真由美が手招きをする。
「落ちてたわよ、これ」
真由美は由衣に論文雑誌を見せつけた。
「あっ、落ちてたの?ごめんごめん」
「ごめんじゃないわよ、こういう物はちゃんと整理しておきなさい」
「気をつけるわ」
「由衣、三影行雄っていう先生が大学にいるみたいだけど、知ってる?」
「三影先生?名前だけなら聞いた事があるけど、講義は受けた事無いわ」
「学術雑誌って大学にあるでしょ?もらってきて。出来れば三影教授の論文がある号を全部」
「母さん、そんなのもらってどうするの?」
「そんなの、って言う言い方はないでしょ。それに、どうしても三影教授について気になる事があるから。時間がある時でいいから、もらってきてね」
「はーい」
(確かに、レッドトルネードとして戦わせている事は申し訳なく思う、でも…)
真由美の心配を余所に、由衣は撮影会へ出かけて行った。
いくら真紅の装甲を纏った戦士として戦っているとはいえ、あくまでもそれはそれ、これはこれ、である。 真夏の突き刺すような日差しの中、由衣は撮影会場のプールセンターに辿り着いた。
更衣室に入ると、栞を含め、他のモデルも既に水着に着替え終わっており、雑談に花を咲かせていた所だった。
「鷹野さん、おはようございます」
「由衣ちゃん、おはよう」
「みなさん、遅くなってすいません…」
由衣は更衣室にかけてある時計をチラっと見る。まだ時間に余裕はあるはずなのだが、
到着したのは自分が明らかに最後だ。出遅れたか、と思うと心の中に焦りが生まれる。
「別にそんなに待ってないから、ゆっくり着替えていいよ」
栞が焦りを見せる由衣に気を遣ってフォローを入れた。栞のそんなちょっとした気遣いが、由衣にとっては嬉しかった。
「お待たせ!さぁ、皆さん、行きましょう!」
(由衣ちゃん、やっぱりスタイルいいなぁ…)
由衣も栞も、お互いの水着姿を見るのは初めてだった。
上下お揃いで、腰飾り付きの真紅のビキニに身を包んだ由衣のスタイルの良さを見た栞は、自分の身体を見返した。
(やっぱり、まだちょっと子供っぽいなぁ…)
栞は水色のワンピース水着に身を包んでいた。由衣と比べるともちろん、他のモデルと比べても自分の身体つきがまだ子供に見える。
それを見た由衣が、気にしない気にしない、栞は栞よ、とばかりに目線を送った。
栞もそれに大して笑顔でうん、と力強く頷いた。
強烈な日差しがプールの水面に反射し、キラキラと輝く中、撮影は順調に進んでいった。昼休みになり、モデル達が仕出し弁当を食べていると、栞が由衣に話しかけてきた。
「由衣ちゃん、今度比良方に行かない?」
「比良方?あそこって遊園地以外何かあったっけ?」
「プールよ、プール!ドブーンって知らないの?あそこのウォータースライダー、一度行って見たいんだ」
「へぇー、そんな所ってあるんだ」
「時間あったら今度一緒に行こうよ!」
「うん、じゃあその時は案内してね」
栞と知り合ってから、由衣は一人でも外出する事が増えた。高校時代は内向的な部分があった自分を、栞は少しづつではあるが変えてくれている。そんな栞に、由衣はあらためて感謝した。 地下の研究室には、巨大なカプセルが縦置きに並べられていた。そのうちの3つには、全裸の佑、ムカデ、そして小学校高学年ほどに見える全裸の少女が入っている。
少女のカプセルには、「桐生美保」というパネルが貼られていた。
白衣の男ー三影ーは、そのカプセルの中の培養液を抜き取っていく。
培養液が抜け切った頃、中にいた少女ー美保ーが目を覚ました。
「起きたか、桐生」
「んー?今何時なの?」
「朝の8時過ぎだ」
「8時、かぁ…」
美保はカプセルの扉を開け、目を指で擦った。全裸である事は全く気にしていない。
三影はそんな美保にバスタオルを投げてよこす。頭からふわりと被さったバスタオルで、美保は濡れた髪の毛を拭く。
周囲を見渡した美保は、以前と比べて空のカプセルが多い事に気付いた。
「ねぇ、なんでこんなに空っぽのが多いの?」
「その理由を今から教えてやる。コイツらのせいだ」
三影は、モニターにレッドトルネード、ブルーサイクロンの姿を見せる。
6人もの同胞が犠牲になっているのに、未だにこの2人を倒す事が出来ない。
残りの怪人も少なくなってきた中、美保は三影にとって切り札のうちの一枚である。
「この人たちをやっつけたらいいんだね」
「そうだ。お前はなるべく人の多い所で暴れろ。そうすればアイツらは必ずやってくる」
「人の多い所?じゃあ、やるだけやってみるね!」
美保は同年代の少女に相応しい、無邪気な笑顔を浮かべた。 小学校の屋内プールに、紺色のスクール水着を着て、水色のスイミングキャップを被った美保がいた。
夏休み中、このプールは近隣住民向けに有料とは言え解放されている。
客は親子連れが大半で、25メートル8レーンの、そこそこの大きさがあるプールの中で、水をかけあって遊ぶ子供や、同伴の母親らの賑やかな声が響き渡っている。
窓の外から差し込む日光が、プールの水面に反射してキラキラと輝いていた。
美保は、プールサイドに座り込み、何をするでもなくその光景を見つめていた。
(自分のお母さんなんか、もういないんだ)
美保も佑と同じく、両親に売り渡され、三影の世話になっている。
親にどれほどの金が入ったか、親がどういう生活をしているのか、もはやそんな事に興味は無かった。
ただ一つ、確実に言えるのは、自分はレッドトルネードを倒すために、変異細胞を植え付けられた怪人に過ぎない事。
そのためだけに今日まで生かされ、この場所に来ているのである。
売り渡されたその日から、人並みの幸せを享受する事は許されなくなった。
普通の子供として生きる事は出来なくなった。自分をこんなにした世の中なんか、無くなっちゃえばいいんだ。
あいつらの幸せを奪い、自分と同じレベルの立場にまで貶めてやる。
美保の心に、何かのスイッチが入った。
「きゃああーっ、な、何よあれ!」
ある妙齢の女性の目の前で、美保の姿が、小学校高学年の人間の少女の姿から、異形のものへと変わっていく。
鋭い牙に何本もの脚を見た人々が、一斉にプールから上がり、逃げだす。
美保は本来の姿であるクモ怪人に姿を変えた。そして、プールから逃げ遅れた一人の女性に脚を突きたてる。
脚の先端は鋭く尖っており、女性の背中を突き刺す。鮮やかな紅がプールに広がっていく。
「ママー!」
刺された女性の側にいた女児が悲鳴を上げる。
女性は自分の娘と思われる女児を庇うように、クモ怪人に背中を向けていた。
その背中に、何度も何度も、執拗にクモ怪人の爪が突き刺さる。
「ああっ、ぎゃあっ!」
母親の叫び声は最初は大きかったが、何度も刺され、プールに流れ出る血の量が増えていくにつれて徐々に小さくなっていった。
やがて、母親の身体がゆっくりと水面へと倒れていった。
「ママー、ママー、ママー!」
おそらくは既に力尽きたであろう母親の身体を、女児は必死にゆすっている。
目の前にいるクモ怪人から逃げる、という所まで頭は回らないのだろう。
その女児を次なる標的とすべく、クモ怪人が牙を剥いた。 「今更なんだけどさぁ、1回戦ったら10万円入るみたいね。最初見た時マジで!?って思った」
「でも、死ぬかも知れない命がけの戦いで10万って微妙に安くない?」
「10万円ってさぁ、バイト何回分のお金だと思ってるの?」
栞は由衣の家に上がり込んでいた。怪人と戦う事による「危険手当」は由衣同様、栞にも振り込まれていた。そのお金で次はどのブランド品に手を出してみようか、そう栞が考えていると、由衣の端末に通信が入った。
『由衣、栞、出番よ。敵が出たわ。降りてらっしゃい』
「分かった。今行く」
真由美からの通信である。由衣はすぐに立ち上がり、栞も後に続く。
真由美はもう栞の事を「森川さん」とは呼ばない。今の栞はお客さんではなく、由衣と共に平和のために戦う戦士なのである。
「栞ちゃん、付いてきて。戦いよ!」
「う、うん!」
二人は普段は普通の女子大生だが、怪人が出たとなればいつでも駆けつけなければならない。戦士へのスイッチの切り替えは迅速に、いつでも出来るようにせざるを得ない。
「阿波路区西小学校の屋内プールにて、巨大蜘蛛が発生、子供を含む死傷者が出ている模様…!」
2人が1階に降りる途中、街の防災無線が事件を何度もアナウンスしていた。
鷹野家の外でも、消防車、パトカーのサイレンがけたたましく鳴り響き続けている。余程の大事件が起こったのだろう。
「二人とも来たわね。場所は阿波路区西小学校の屋内プールよ。行った事は無いかも知れないけど、ジェッターには登録してあるから」
「小学校のプール!?…それじゃあ、子供たちが!」
真由美が映し出したモニターには怪人のシルエットがあった。それを見た由衣も栞も危機感を抱く。
小学校で起こった事件とあっては、急がないと多くの子供たちの命が危ない。
「怪人はクモ型、母体以外に小さいのもいるみたいだし、気をつけてね」
「母さん、今は栞もいるし大丈夫だと思うわ」
「そうとくれば、由衣、栞、出動よ!」
「分かった!」
真由美に言われ、由衣と栞は顔を見合わせる。そして、戦士に変わるべく、お互いに頷く。 「着装!」
二人は懐の端末を手に取り、力強く前に突き出す。
白い防御フィールドが同時に展開され、二人はその中に包み込まれた。
着ている衣服が光の粒子となって身体が離れていき、由衣と栞は、お互いに一糸まとわぬ全裸を晒す事になった。
しかしそれも一瞬で、すぐに二人の身体にはインナースーツが装着されていく。
由衣には赤と白、栞には青と白の鮮やかなツートンカラーのインナースーツが装着され、ぴったりとした身体のラインを晒す事になった。
(由衣ちゃんって、こんな感じで変身するんだ…)
栞は、由衣がレッドトルネードに変わっていく過程を初めて近くで見た。
感慨に耽る間も無く、二人の身体にはメタリックカラーの装甲が次々と装着されていく。
脚に、腰に、腕に、肩に、背中に、胸に。眩い光の中で、二人の身体の首筋から下は全て装甲に包まれていった。
由衣と栞はあらためてお互いを見つめ合う。後は、今の状態にヘルメットが装着されれば素顔が隠され、変身が完了するのである。
(栞ちゃんが…ブルーサイクロンになっていく…)
普通の女子大生から、強化スーツを纏った美しき女戦士、レッドトルネードとブルーサイクロンへ。
その仕上げを受け入れるべく、由衣も栞もそっと目を閉じる。
空間からパーツが現れ、二人の頭部でヘルメット状に結合する。
後頭部のロックが空気圧でロックされ、口元と鼻を覆うマスクが装着される。
二人はお互いに最後に露出した目元を見つめあう。これから戦士となって戦うんだ、という意思を確認し終えたかのように、
目元に半透明の黒いバイザーが降り、二人の姿が完全に覆い隠された。
そして、防御フィールドが弾け飛び、レッドトルネードとブルーサイクロンがその姿を現した。
「トルネード、サイクロン、ジェッターが上にあるわ。乗っていきなさい」
「ジェッターって、レッドトルネードが乗ってるあのバイクの事?」
「そうよ。ブルーサイクロン用に2台目もあるわ」
「わたし、バイクの免許なんか持ってないよ」
「ブルージェッターは自動操縦で勝手に着くようになってるわ。ハンドルを握ってるだけでいいから。時間が無いから早く行きなさい」
「サイクロン、行こうよ!」
「は、はいっ!」
ブルーサイクロンは、レッドトルネードに言われるままにリフトに乗る。リフトがせり上がった先には、赤と青のバイクがあった。
「サイクロン、あなたのバイクは青の方だから」
「これ?」
サイクロンが戸惑いながらもブルージェッターに乗ると、自動的にエンジンがかかる。
「レッドトルネード、出撃!サイクロン、付いてきて!」
トルネードがレッドジェッターのエンジンを吹かし、基地を飛び出していくと、それにつられるかのようにブルージェッターも基地を飛び出していった。
「な、何、何なの、これ!?」
バイクに乗った事が無いブルーサイクロンは、ジェッターの挙動に振り回されていた。
対するレッドトルネードは、ジェッターのコンピューター制御にも助けられているが、普段からバイクを乗りこなしているだけあって、レッドジェッターを軽々と乗りこなしていた。
「サイクロン、ハンドルを握ってるだけでいいのよ!」
「りょ、了解!」
赤と青、二台のバイクはトルネード、サイクロンを乗せ、事件現場である小学校へと急行していった。 小学校のグラウンドでは、1匹の巨大なクモを相手に10数人の警官隊が応戦していた。
周囲は封鎖され、一般住民の立ち入りは固く禁じられていた。
「撃てー!撃ちまくれー!」
警察の特殊部隊は手持ちのサブマシンガンを撃ちまくる。だが、クモは何十発銃弾を受けてもダメージを受けている様子は無い。
弾巻が途切れた一瞬の隙を見計らったかのように、クモが脚を振り回し、最前列にいた数人の警官をまとめて吹き飛ばす。
「な、何だコイツ!」
クモは口から毒液を吐きだした。警官の一人が慌ててジュラルミン製の楯で防ぐが、その盾は10秒としないうちにドロドロに溶けてしまった。
「駄目だー!援護してくれ!」
応戦している警官のうち、また一人がクモが振り回した脚に吹き飛ばされる。
クモはどんな重火器による攻撃を受けても一瞬ひるむだけで、またすぐに暴れ出す。
特殊部隊の手持ちの火器では明らかに火力不足で、このままでは押し込まれてしまうのは明らかだった。
「このままでは、全員…」
弾数が尽きるのが先か、クモに殺されるのが先か。部隊長の顔にも焦りが浮かび始めていた。
「待たせたわね!」
その時、背後から聞こえた若い女の声と共に、上空から破壊光線が発射され、クモの巨大な身体が吹き飛ばされた。
マルチマグナムを上空から撃ち放った、全身を真紅の装甲で覆った戦士・レッドトルネードが、特殊部隊の前に降り立った。
ややあって、全身を蒼の装甲で覆った戦士・ブルーサイクロンも姿を現した。
「まさか、あのレッドトルネードか?」
「え?ああ、間違いない、そうだ!」
「でも、もう1人は誰なんだ?」
特殊部隊は降り立った2人の戦士の姿に驚いている。
「逃げ遅れた子供がまだプールに一人いるんだ!助けてやってくれ!」
部隊長が喉の奥から絞り出すようにしてレッドトルネードに叫ぶ。
「分かりました!ここは私達に任せて、早く逃げて下さい!」
「す、済まない!全員、直ちに撤退、撤退ー!」
部隊長はまだ動ける部下に指示をする。
「これ以上好きにはさせないんだから!」
ブルーサイクロンのゴーグルがクモの姿を捉える。機先を制してマルチマグナムを撃つが、脚に当たった破壊光線は簡単に弾かれる。何の効果も無い。
遠ざかっていく特殊部隊の足音を背後で聞き届けたレッドトルネードも破壊光線を放つが、腹部に当たった光線はダメージを与えてはいない。
直後、レッドトルネードのゴーグルに危機を知らせるサイトが点滅する。クモ怪人が毒液を吐きだそうとしているのだ。
ゴーグルが知らせてくれたおかげで、トルネードは余裕を持って攻撃を回避した。
サイクロンのスーツに内蔵されているコンピュータがクモの構造の解析を完了し終わり、ゴーグルにクモの弱点が表示される。
「頭よ!頭を狙って!」
「分かった!」
サイクロンの指示に従い、トルネードが再度マルチマグナムを頭部に撃つ。クモが大きくのけぞった。弱点に当たったらしく、効いているようだ。
「トルネード、サイクロン、どっちか一人が子供を助けに行きなさい!」
真由美から子供を助けにいくよう指示が出る。
「トルネード、ここはわたしに任せて、先に行って!コイツはわたしが片づける!」
「頼んだわよ、サイクロン!」
クモの相手を相棒に任せると、トルネードは100メートルを3秒未満で走り抜ける脚力で、走るというよりは飛ぶような感じでプールへと向かっていった。 トルネードは現場である屋内プールに到着した。その現場の惨状を見て、トルネードは思わず目を背けた。
プールの底に大人の死体が沈んでいる。その近辺には手足がバラバラになった、子供と思われる死体があった。
怪人の仕業に違いない。そして、その怪人はすぐそこにいる。レッドトルネードは気持ちを引き締めた。
「怪人反応が無いんだけど、母さん、どういう事なの?」
『そんなはずは無いわ。先ほどまでこのプールで怪人が暴れていたんだから』
真由美に言われ、トルネードはあらためて神経を研ぎ澄ます。やはり反応は無い。
だが、近くに隠れているかもしれないので、一瞬たりとも気は抜けない。
プール内の照明は全て落ちてしまっている。プールの窓から差し込む光が、トルネードのメタリックレッドの装甲を煌めかせている。
しんと静まりかえったプール内で、トルネードの足音だけが響いていた。
トルネードのゴーグルが、生命反応がある物体を捉えた。さらに調べて見ると、怯えきった表情をし、べそをかいている少女がプールサイドの隅にいた。
それを見て、トルネードは少女の元に駆け寄った。
「泣かないで。もう大丈夫よ」
「お姉ちゃん、誰?」
「レッドトルネードよ。あなたを助けにきたの」
小刻みに震えている少女に対し、トルネードはしゃがみ込み、優しく語りかける。
「…お姉ちゃん、おんぶしてくれない?」
「おんぶ?いいわよ」
トルネードは少女を背中に背負い、プールの出口に歩き出す。
「怖いよぉ、怖いよぉ…」
「早くここから逃げましょう。しっかり掴まっててね」
少女は未だにトルネードの背中で泣きじゃくっていた。
まずはこの子を安全な場所にまで移動させ、それから怪人を倒しに行こう。
そう思いながら歩いていくトルネードだったが、そのうちにある疑念を感じ取っていた。
逃げ遅れた子が一人いると聞いたが、それがこの子なのだろうか。
みんなが逃げ去ったような場所で、殺された人もいるような場所で、
なぜこの子だけ完全に無傷で、しかも一人でいるのだろうか。あまりにも不自然だ。もしかして、この子は… 「トルネード、気をつけて!怪人が近くにいるわ!」
「あぁ、あううっ!」
真由美から通信が入った後、一瞬の事だった。トルネードが考えをまとめる間も無く、背中の装甲に蜘蛛の鋭い爪が突き刺さる。
トルネードが背負っていた少女の姿は、たちまち異形の者へと変わっていった。
完全に相手の不意を突いた形となり、背中にへばりついている状態のクモ怪人が容赦なくトルネードへ襲いかかる。
強化スーツの装甲は堅牢で、クモ怪人の爪をもってしても貫通するのはたやすい事ではない。
しかし、へばり続けられていては明らかに不利な戦いとなる。
「はっ、離れて!」
トルネードは背中に張り付いたクモ怪人を引き剥がそうとする。しかし、クモ怪人の力は想像以上に強い。
鋭い爪が生えた手足で、後ろからトルネードを羽交い絞めにする。
「くううっ、ああっ!」
トルネードは壁の柱に背中側から何度もぶつかる。こうする事で痛みに耐えかねたクモ怪人が離れてくれると思ったのだ。しかし、クモ怪人は離れてくれない。
逆に、クモ怪人の方がトルネードをコンクリートの壁に向かって投げ捨てた。いや、投げ捨てたというよりは叩きつけた、というべきか。
分厚いコンクリートの壁が砕け、瓦礫となって崩れ落ちた。
凄まじい衝撃がスーツを襲う。ヘルメットが耐えきれず、バイザーが割れたような気もしたが、
トルネードのヘルメットやバイザーには、ヒビ割れどころか傷すら付いていなかった。
(良かった。まだ…)
トルネードはスーツが無事である事に安堵する。しかし、叩きつけられた衝撃までは完全に遮断出来ない。
「お姉ちゃん、遊んでよ、ねぇ」
クモ怪人が今度は口から糸を吐き出し、トルネードに絡みつかせる。
「しまった!」
クモ怪人の吐き出す糸は超合金よりも強度が高い。トルネードの強化スーツの力をもってしてもそう簡単に引きちぎれそうもない。
さらに、クモ怪人のハイキックが身動きの取れないトルネードの胸に決まる。
避けようが無かったトルネードはプールに転落し、大きな水飛沫を上げた。
「ねぇ、なんで人を殺しちゃいけないの?ねぇ、どうして?」
「あなたがやったのね!あなたがやったのね!」
物言いから、トルネードはプール内の出来事の仕業が目の前にいるクモ怪人の仕業だと確信した。
「そんなの決まってるじゃない!痛いからよ!苦しいからよ!自分がやられてみないと分からないの!?」
「ふーん、そうなんだ…」
「だったら、私が今から教えてあげる!」
トルネードの強化スーツは本来、災害救助用として設計され、あらゆる環境に適応できるようになっている。
よって、水の抵抗があるはずのプール内でも、トルネードは陸上と同じように活動出来る。
「あれ?レッドトルネード、もう終わりなの?」
しかし、クモ怪人に絡みつかされた糸は未だにほどけない。糸にも毒性があるのか、装甲が煙を出し、少しづつ溶け出し始めていた。 「サイクロン・バースト!」
ブルーサイクロンが、2丁のマルチマグナムを連結させたダブルマグナムから、太い破壊光線を放つ。
光線はクモの頭部を直撃し、深く貫いた。クモの頭部に大きな穴が空き、直後その身体を四散させた。
汚い液体が周囲に飛び散り、八本の脚は大きく吹き飛び、地面のあちこちに突き刺さった。
「…サイクロン、至急プールに来て!早く!」
サイクロンが勝利の余韻を味わうまでもなく、トルネードからの通信が入った。
派手な水音と、泡の音と、ノイズが入り混じった声だった。トルネードはプール内で苦戦しているのだろう。
「分かった!今すぐ行く!」
サイクロンは遠くに見える建物に向かって駆ける。強烈な怪人反応がするので、あの建物の中がプールに違いない。
最短距離で、一直線に走ると、ガラス越しに、クモ怪人とトルネードが戦っている様子が見えた。
出入り口は近くにはない。かといって出入り口を探しているような余裕はない。
サイクロンは、どうせガラスなんか放っておいても怪人に壊されるんだ、と自分に言い聞かせ、肩口からガラスに体当たりをした。
物凄い音と共に、ガラスの1枚が粉々に砕け、ブルーサイクロンが姿を現した。
「サイクロン!」
ガラスが割れた音に反応して、トルネードはサイクロンの姿を見つけた。
サイクロンが放った破壊光線が、トルネードを縛り付けていた糸を撃ち抜いた。
強度が弱まった糸をトルネードは力任せにふりほどき、ようやく自由に動けるようになる。
「ここまでどうやって…まさか、あの子を倒して、ここまで!?」
「あの子?ああ、アンタの手下ね。とっくにやっつけたわよ!」
クモ怪人はサイクロンを前にして、まさか、という表情をしていた。
「わたしたちは一人でも強い!でも、二人揃えばもっと強い!行くよ、トルネード!」
「分かった!」
サイクロンが啖呵を切り、トルネードがそれに応える。サイコブレードを取り出し、素早くクモ怪人の脚に切りつける。
マルチマグナムの破壊光線を受け付けなかった脚が、サイコブレードの一撃で斬り飛ばされた。
「う、うっそ!?」
クモ怪人が動揺した声を出す。その隙を見逃すトルネードではない。返す刃で脚をさらに2本斬り落とす。
「サイクロンの力、教えてあげる!」
サイクロンの破壊光線が弱点である頭部に命中し、大きなダメージを与える。
「今日はもう帰るね。バイバイ」
トルネードがサイコブレードで、必殺技であるトルネード・スマッシュを放とうしているのが見えた。
それを喰らえばほぼ間違いなく死に至る。不利を悟ったクモ怪人はその場から姿を消した。 「逃げられた…」
トルネードとサイクロンはプールから上がり、悔しさを噛みしめながら真由美に通信を入れる。
「二人ともお疲れ様。戻ってらっしゃい」
「申し訳ないです、逃がしてしまいました」
「…サイクロン、反省は後でしましょう。署の人間がもうすぐ現場検証に来ると思うから、早く帰ってらっしゃい」
反省したい気持ちはトルネードも同じだった。二人は立ち去ったが、後には、大きく壊れたコンクリートの壁、プールの中にある2つの死体、大きく割れた窓ガラスが残され、この場で起こった事の凄まじさを物語っていた。
プールの外に出た二人は、人目につかない物影で、ヘルメットの左についているボタンを押した。
後頭部から勢いよく蒸気が噴き出し、二人はロックが外れたヘルメットを脱いだ。
汗だくになった二人の素顔が現れたが、お互い、先日のクラゲ怪人を倒した時のような笑顔はみじんも無かった。
由衣は、プール内で起こった事を少しづつ栞に話していった。
「ねぇ栞…私って正義の味方に向いてないのかな?」
由衣は絞り出すようにして言葉を出した。騙された。よく考えもせずに、全く無警戒で近づいた自分がバカだった。
いい年してるのに、正義の味方なのに、なんであんな事ぐらい見抜けなかったんだろう。
「…由衣ちゃん、やった事は間違ってなんか無い。ただ、バカな奴に出会っちゃっただけ」
ややあって、栞が返事をした。敵を逃したという事以上に、由衣の優しさ、善意が無残に裏切られたという事実が、お互いの心に深い影を落としていた。
「ここにずっといてもしょうがないから、今は帰ろう。そしてゆっくり話そうよ」
栞が務めて由衣に笑顔を見せる。それを見た由衣は、無理しながらも笑みを浮かべようとしていた。 今回は以上です。バトル物の脚本を書く人って本当に凄いんだなあ、って思いました。
一番のキモだと個人的に思っているスーツの装着シーンですが、皆さん興奮して頂けていますでしょうか? >>232
GJ!
微妙に蜂女の時の敗北のトラウマを抱えてる由衣が良いね
破壊描写は薄味風味だったけど、毎回色んなパターンを揃えてきてるんだな GJ!!
変身シーンが具体的でいいですね^^
これだけ細かく変身シーンを描写している作家はなかなかいないですよね
欲を言えば、インナータイツがツートンでなく一色のほうが好みですが…
(鮮やかな装甲とは反対に、黒がシルバーか白の一色が好みです)
今回は通常回という感じですが、また激しいクライマックスを期待します。 粘液爆弾とか良いよね
トリモチみたいなのを胸に直撃を受けて、壁に貼り付けられる強化スーツヒロイン
そしてジジッって粘液が着火音を立てるのに気付くが、身動きが出来ないまま零距離で爆発
張り付かれていた部分の装甲は吹き飛び、棒立ちになっていたヒロインが一拍遅れてガクッって両膝ついて倒れるみたいなシチュ 敵に高性能バトルスーツを解析されて開発された、同系統だが自分の物よりハイスペックなバトルスーツに
全ての面での能力を圧倒されて正義の象徴であり自信の拠り所だったスーツを剥ぎ取られるヒロイン ナボレオン文庫のエンジェルセイバーが、そんな話だったな。
敵により強力なスーツを作られて、装備を少しずつ潰されていき
敗北陵辱。 >>239
エンジェルセイバーの翼もぎ取りは名シーンだった ナボレオン文庫のエンジェルセイバーが、そんな話だったな。
敵により強力なスーツを作られて、装備を少しずつ潰されていき
敗北陵辱。 スーツが良くても、中が甘ちゃんの女じゃあなぁ!
スーツを残して逝っちまいなぁ!糞女がぁ! スーツの中に入り込んじまえばこっちのもんだぜー!ひゃっはー! 敵『これを喰らえ』
ヒロイン『ウソ、装甲が貫らぬかれるなんて』
敵『貴様のスーツの中に、これを注ぎ込んでやるよ』
ヒロイン(な、なに、酸?それとも毒ガス・・・え!ヌルヌルした物が
胸に吸い付いてくる・・いやぁ・・股間にも)
ヒロイン『いや・・・はぁん・・・だめ・・』
敵『どうだこいつの味は。次はそのスーツを切り開いて
貴様の素顔とヌードを拝ませてもらおう』
ヒロイン『あああ・・・やめ・・て・・・はあん』 そういえば昔、レリックアーマーレガシアムというアニメで、ヒロインがロボットアーマーの中に入って戦うんだが、
除装の仕方が分からなくてオーバーヒートを起こしているのに中から出られずに高熱に苛まれて、
ようやく開放して貰った時にグッタリしている姿は異様にエロかった つまり、粘着爆弾や熱線で装甲を破壊され満身創痍になっていく強化スーツ
遂にダメージが限界に達しオーバーヒートして機能停止する強化スーツ
只の拘束衣と化し、除装機能もぶっ壊れた強化スーツを強引に引っぱがしていくと
汗の臭いと共に、インナースーツを汗でグッショリ濡らしたヒロインが
半分気絶した状態で現れるという展開を期待していると。 >>245
ゴテゴテのロボットアーマーの中身が
美少女というのがいい。 Gガンダムのメカニックのレインが整備中に敵に襲われて、急遽代理で出撃するシーンで、
格闘家仕様のパイロットスーツを着用しようとして負荷のキツさに悲鳴あげて跪くとことかエロかった 強化スーツじゃないけど、エヴァンゲリオンの綾波がどこかの軍隊に誘拐されて、
プラグスーツをアーミーナイフでびりびり切り裂かれて裸にされるのを妄想してオカズにしてます ジュネちゃんの聖衣は破壊されると、素っ裸にならないか? 聖衣はまちがいなく強化スーツと言えるだろうから、スレ的にはアリだろうな
むかしシルバー聖衣の魔鈴さんで抜いた事あったわ俺w
魔鈴さんのシルバー聖衣って、パンティーみたいになってるでしょ?
俺がカシオスみたいな身長2メートル超の屈強なセイントくずれで、
魔鈴さんの両脚を開いて、パンティーの形のシルバー聖衣の上から
固くなったチンポをフルパワーで押し付ける
パンティー形のシルバー聖衣にびきびき亀裂が入っていって、ついに貫通 【六分儀座】を英和辞典で調べたら [ the Sextant; Sextans ]だった
これだけ読むとエロそうだけど、Sexってのは6を意味する接頭語でもあるしな ネタが無いと何でもエロく見える。
聖闘士星矢のアンドロメダ瞬を美少女と妄想して、装備や聖衣を破壊されていく
アフロディーテ戦でハアハアしtれみたり・・・
アニメ版の瞬の声はベジータだけどよ。 GIGAのAVは戦隊ヒロイン物はそれなりにあるが、メタルヒロイン物は殆ど無いんだなぁ。
メタルスーツは戦隊スーツに比べ制作費がかかるから
9000円程度の販売価格では元が取れないのかな?
薄利多売を狙おうにも購入層が限られてるしな。 GIGAとか勘弁してくれって感じ
デザインダサいし、女優は棒だし、エロはつまんねーし、延々同じ動作繰り返してハァハァヤメローとかやってるだけじゃん とはいえ、半壊した強化スーツ姿で犯されるヒロインというジャンルが少ないのも事実
二次元ドリーム文庫は殆どが魔法少女か怪盗物だし
メトロイドのエロ同人は殆どゼロスーツサムスだし
バブルガムクライシスの同人は皆無だし。唯一、GANZのエロ同人に期待かな。 ( ^∀^) ◆YtEYPux7ggさんは廃れたエロパロスレの希望の光やで! 魔法少女ものに比べて強化スーツ少女ものが少ないのは
女性の支持を得られないせいだろうな。
基本、一部例外を除きロボットものを支持するのは男だしな。
ファーストガンダムに女性ファンが殆どいないのがいい例。
とにかく、女は魔法や吸血鬼は好きだがゴテゴテした機械や
それをおもわす物には拒絶反応を示す場合が多い。
と、攻殻機動隊を一緒に見てくれる女がいない寂しい男がいってみた。 >>268
>ファーストガンダムに女性ファンが殆どいない
当時の腐女子に人気で、シリーズ初期の厳しい時代を支えたのは有名な話なんだが 変身スーツだとダメージ増加で起きる現象は
破壊ではなく解除しちゃうから書きにくいのかな?
変身しない強化スーツとなると結構減るし ファーストガンダムを支えたのは、腐女子ではなく、シャアをはじめとする男性キャラに
熱を上げていた普通の女性ファンだったと思ったが
いずれにせよ、>>268の知識には誤りがあるけど ファーストガンダムが女子に支持されていたとは知らなかったです。
ガンダムには種から入ったオレの勉強不足。 キャラスーンとフラニーさんの爆死シーンにはお世話になってしまった……
撃墜されたモビルスーツがコクピットごと爆発するとき、
爆炎でパイロットスーツとアンダーウェアがビリビリに溶け破れて
おっぱい丸出しになりながら爆炎の中に消えていくシーンで何かが目覚めた 俺はスーパーメトロイドのゲームオーバーシーンで
全身を防護するスーツが砕け散り
衝撃で髪留めが外れて、長い髪が広がり
スーツの下に着込んだレオタードすら破れて全裸になって
光の中に消えていくサムスに大興奮。 このスレは、スーツ破壊か。。。俺は、スーツは、そのままで
中身が破壊されている方が好きなんだが。。。 >>276
あれだ
スプリガンの最後の方でマッスルスーツが衝撃を透過させてくる気功の使い手に全く防御力を発揮せずに、
主人公の肉体の内部に炸裂してダメージ与えてたみたいな感じじゃねーの?
スーツの防御力を頼って自信満々なヒロインが生身の爺さんがひょいって腹に手をあてただけでドンッって
吹っ飛ばされて、膝がくがくいわせながら立ち上がろうとするとか スーツを切り開くと、ヒロインだった肉片&内容物が流れ出す。。。 オレはスーツもろともヒロインを破壊してほしい。
鉄壁の防御力を誇るスーツに、ものをいわせ
ブイブイいわせていたヒロインが
スーツをぶち抜く兵器を敵に開発され、異常者を改造した敵が使用
スーツもろとも腕や脚を吹っ飛ばされて、ダルマにされ
命乞いするヒロインの胴体も粉砕されて絶命
最後に残ったヘルメットを叩き割ると
苦悶の表情のヒロインの首が出てきて、敵が戦利品として回収。
・・・というのを妄想したが、ダルマになった時点で
スーツを剥ぎ取られて犯されるというのもいいな。
腕や脚が無くなって抵抗できななくなり、ヘルメットやスーツを
切り開かれていき、インナーも切り裂かれて裸も同然の姿に剥かれた後
薬を打たれて欲情させられて、異常者の敵や、その手下に輪姦され
絶望と苦痛と快楽を同時に味わいながら死んでいくヒロイン。
只の無力な女になりメスブタよばわりされ、快楽に流されたり
気絶すると傷口を刺激して無理矢理目覚めさせられ、心が折れたヒロインが
「○○(両親、兄弟、姉妹、恋人)助けて」いったりすると、尚いい。 オレはスーツもろともヒロインを破壊してほしい。
鉄壁の防御力を誇るスーツに、ものをいわせ
ブイブイいわせていたヒロインが
スーツをぶち抜く兵器を敵に開発され、異常者を改造した敵が使用
スーツもろとも腕や脚を吹っ飛ばされて、ダルマにされ
命乞いするヒロインの胴体も粉砕されて絶命
最後に残ったヘルメットを叩き割ると
苦悶の表情のヒロインの首が出てきて、敵が戦利品として回収。
・・・というのを妄想したが、ダルマになった時点で
スーツを剥ぎ取られて犯されるというのもいいな。
腕や脚が無くなって抵抗できななくなり、ヘルメットやスーツを
切り開かれていき、インナーも切り裂かれて裸も同然の姿に剥かれた後
薬を打たれて欲情させられて、異常者の敵や、その手下に輪姦され
絶望と苦痛と快楽を同時に味わいながら死んでいくヒロイン。
只の無力な女になりメスブタよばわりされ、快楽に流されたり
気絶すると傷口を刺激して無理矢理目覚めさせられ、心が折れたヒロインが
「○○(両親、兄弟、姉妹、恋人)助けて」いったりすると、尚いい。 鍛えられた肉体を持つ者のみが着用に耐えられる強化スーツを、ヒロインの親友ポジの一般人が悪戯半分に着用して
肉体を締め付ける人工筋肉に悲鳴を上げ、制御できない程上昇した運動能力に七転八倒し、
情動をコントロールする薬物投入の媚薬効果の強さに、暴れ回るスーツの内部でグチャグチャにイキまくって
ようやく救出された時には、全身骨折し筋肉は断裂して再起不能になってたりとか 大ケガしたヒロインの代わりにヒロインの親友が
強化スーツを装着して戦うも、スーツの力を上手く扱えず
敵にボコボコにされるという展開はいいな。
スーツの中身が違うことに気づいてもらえず
いつもの怨みとかいわれてボコられて
情報を聞き出すために連れ去られたり。 着用者の魔力やら生命力が動力源で、カスみたいな貯蔵量しかない親友はすぐにガス欠になるんだが、
戦闘OSが戦闘続行を優先して強引にそれらを絞り取ってくるので許しを請うとか 逃げ場の無い、スーツの中で汗だくの涙目で気絶している
ヒロインはエロいな。 >>286
ガンダムF91で大人用の宇宙服の中に、空気を入れないまま赤ちゃんを放り込んで窒息させかけるシーンあったな リョナ好きが多いな・・・と思ったが、強化スーツを纏ったヒロインが
ボコられた揚句、自分を正義のヒロインにしている強化スーツを剥ぎ取られ
絶望するシチュなどリョナ以外の何物でもないな。 ここはメキメキ…とかバキバキッ!とかいう擬音がよく馴染むインターネッツですね 『イクサーガール イクセリオン』や『超光速グランドール』といった
ウィッキにすら見捨てられたアニメを救済する過疎スレというのは、ここですか? レッドトルネードの作者です
規制されまくりなのでSS深夜VIPの強化スーツ破壊スレに移動します
気が向いたら覗いて見てください ( ^∀^) ◆YtEYPux7gg です
規制されっぱなしなのでこっちに移動します 気が向いたら見に来て下さい
SS深夜VIP
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1376913791/ 有りじゃね?
コントロールメタルに一撃食らって、機能不全を起こした殖装にグチョグチョにされる女ガイバーとか ガイバーって厳密にはスーツではないんだけど・・・
こまけぇ事はいいよな!触手エロいしな! ガイバーって俺が高校生の頃から連載してるんだよな。
今は中学生の息子が読んでるがw ヴァルキュリアは原作のよりアニメ版のほうがエロくて好きだ >>302
スーツの種類にもよるけど
やっぱ回路露出とか、普通に物理的破壊が無難かなと ≫303
スーツの種類というと生体装甲かメカニックかの違いって事ですか。 >>304
戦隊系のスーツかメタル系のスーツかな
ガイバーみたいな生体装甲だったら剥がすとか溶かすとか 一番印象に残っている、スーツが破壊される場面って何ですか。 ガイバーワンの晶がメタルをはぎ取られて強殖細胞に喰われていく所 スピルバンのダイアナレディが一人でいるところを強襲されて、ボコボコにされて
鉄球みたいな手の怪人に頭部を庇うものの、関係なく何度もぶん殴られて次第にゴーグルにノイズが走りだすとこ ガイバーといえば女でもないし破壊とはちょっと違うんだけど
エレゲンがアプトムに吸収される場面で俺のこっち属性が目覚めたような >>310
初期OVAの女ガイバーの最期をOVAシリーズのクオリティで見たかったな
あの内部から破裂するように暴走する描写すごい好き >>309
『幕張』でスペースガチョピンスーツの中で屁をこいた総理が
あまりの臭さに死亡するとこ。(彼は以前、握り屁で外務大臣を殺害している) ソルジャンヌのスーツが好き
インナーをもっとタイトにすれば・・・ スーツのインナーは、ボディースーツタイプが好きという人が多そうだが
スーパーメトロイドのサムスみたいな水着のようなデザインも好きなんだよ。俺は。 >>315
プラグスーツは強化スーツの仲間に入るのか? このスレ、やたらとプラグスーツの話題に噛みついてくる奴がいるけどなんなの? プラグスーツは強化スーツじゃ無くて戦闘衣装なだけだからじゃ無い? そう。
強化スーツというのは身体能力を強化する意味で言うとおもうから、操縦する時に着るだけのスーツは違うんではないの?って話。
アムロがガンダム乗るときのスーツを強化スーツっていったらおかしくないか? まあ強化スーツもパイロットスーツも見た目的にはそれほど差はないとは思うんだけど
スレ的にはパイロットスーツは場違いなのは間違いない エヴァの機体が強化スーツに近いんで
プラグスーツはインナー 衞士強化装備ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!! 衛士強化装備だって、強化の文字が入っているだけで、実情はプラグスーツと変わらんじゃん 進撃の巨人のミケがちょっとした油断から足を折られて身動きとれなくなって
たった三体の巨人(これより前のシーンで五体の巨人をあっさり屠っている)に
嬲られるように食われるシーンはこのスレ的にどうなの? あまり広く扱うと、魔法少女のコスチュームや宇宙服まで
入れなければならなくなって、収拾がつかなくまるはな。 いわゆる変身ヒーローがこのスレに該当するんじゃない? せめて変身ヒロインで…
ある意味類似スレ?
[アーマー]メカ×少女[パワードスーツ]
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1194425452/l50
まぁ、もっともなんか崩壊してたけど >>332
いや、何か変身ヒロインって言うとセーラームーンとかプリキュアが浮かんできてな…
そっちのスレはコテコテのアニメヒロインだよね
役割分担するならこっちは純粋に特撮ヒロインにしてもいいと思うけど 魔法少女ものでも、コレクター・ユイのエレメントスーツは
強化スーツになるのでは。 ゲーム界の忘れられた強化スーツヒロインといえば
任天堂ゲーム『P・N・03』の主人公ヴァネッサだろうな
同じ任天堂強化スーツヒロインのサムスが時代を越えて愛されてるのに
ゲーム発売が今世紀(うろ覚え)なのにヴァネッサが忘れ去られているのは
ゲームオーバシーンがエロくないからか。 栞の住んでいるワンルームアパートは由衣の家から5分ほど歩いた近所にある。
そのアパートの自室のベッド上で、栞はゴロゴロしながらチラシを見ていた。
床やテーブルにはファッション雑誌が数冊散らかっている。
『最近太った…胸が小さい…足が太い…そんなお悩みの方、ボルタック整体所をどうぞ!
ただいま開業記念キャンペーン中!キャンペーン中は治療費2000円から!』
「2000円から、かぁ…」
エステのチラシに書かれている価格に嫌でも目が行く。ブルーサイクロンとしての「危険手当」は受け取ってはいるが、学費の事を考えるとその手当は無駄遣いは出来ない。
アルバイトでやっているとは言え、モデルは体型が命である。しかしエステは一般的には高額で、大学生がそうそう行けるような場所ではない。
「2000円ぐらい、いいよね」
2000円なら本当にちょっとした体験程度だろう。栞はそのチラシの「ボルタック」という店の場所を端末で調べ始めた。
栞の部屋にはパソコンはない。15インチの液晶テレビならあるが、別に好きなテレビ番組があるというわけではないので、スイッチを入れる事はさほどない。
「由衣ちゃんにも教えてあげよっと」
一通りの事を調べた栞は、メールを由衣の端末に送った。
「ん?…誰からなの?」
買い物の帰り、コンビニエンスストアで涼んでいた由衣の端末に着信音が鳴った。
栞からメールが来ていた。由衣はメールの中身を読み、はぁとため息をつきつつ、
その場で素早く文章を打ち込み、返信をした。
アパートにいる栞の端末の着信音が鳴る。栞はどんな返事なんだろうとワクワクしながら端末を取った。
『2000円のエステ?そんなの無い無い。行っても損するだけ』
由衣からのつれない返事に栞は閉口した。 「全く、いつになったら涼しくなるのよ…」
由衣は、日傘をさしながら家への帰路についていた。成夏を過ぎつつあるとは言え、太陽の日差しはまだまだ激しい。
立ちのぼるような熱気の中では、流石にバイクで移動するのは辛い。
「こんな暑さでよく遊べるわね…」
通りがかった近所の公園では、子供が数人元気に遊んでいる。その中の1人が、手にヤカンを持っていた。
「コイツ、これをかけたら一発だから」
子供は、どこからか持ち出していた小さなヤカンから、地面を這いずるムカデに向けて注ぐ。
その液体は湯気を立てている。おそらく熱湯なのだろう。
ムカデは湯をかけられた直後、激しくのたうち回っていたが、その動きも徐々に小さくなっていった。
「こらー、やかんをどこに持って行ってるの!」
遠くから中年女性が怒鳴り声を上げながら子供の方に向かってくる。おそらくは子供の母親であろう。
(へぇ、ムカデって熱湯が効くんだ、殺虫剤じゃないんだ)
由衣はムカデを見た事はあるが、刺されると大変な事になると篤彦によく言われていたので、見たらすぐに逃げるようにしている。
と、由衣の上でボトっと何かが落ちてきたような音がした。
「えっ、何?」
由衣が日傘を振ると、目の前には毒々しい色をした毛虫が落ちてきた。
「わっ!」
おそらくは木の上から落ちてきたのだろう。毛虫は由衣の目の前で不気味に蠢いていた。日傘をさしていたからいいものの、刺されていればタダでは済まなかっただろう。
(このへんはまだまだ自然が豊かなのかも知れないけど、こういうのは勘弁して欲しい…)
由衣は一息つくと、家に向かう足を早めた。 真由美は研究室でパソコンに向かっていた。傍らには由衣が大学から貰ってきた三影の論文が掲載されている本――「GROW UP〜近畿学院大学論文雑誌〜」――があった。
(『三影総研』…新薬、生物の総合研究――今こそ人間の新しい可能性を追求するべきなのです。)
真由美が見ているホームページはその「三影総研」のものだった。
代表者とされている三影行雄の経歴には、近畿学院大学(助教授)というものもある。
(そう言えば、強い怪人反応がここから発生した事もあるけど、うーん…)
真由美はパソコンの前で腕組みをする。点と点は見つかっている。しかし、どうしても線にはならない。
そうしているうちに、家のインターホンが鳴り、しばらくして由衣が地下室へと降りてきた。
「母さん、ただいま」
「おかえり、由衣。暑かったでしょ」
「うん。本当にもう、蒸し暑過ぎるよ」
「父さんが冷やしみたらし団子を買ってきてるわ。冷蔵庫にあるから」
「ありがと」
由衣は台所に上がり、冷蔵庫の中から皿に盛られている冷やしみたらし団子を取り出す。スプーンで蜜ごと団子を一つ、口に運ぶ。冷えた蜜と白玉の組み合わせが絶妙だった。
「どう、由衣、団子はおいしいか?」
由衣が団子を味わっていると、篤彦が台所に入ってきた。
「由衣、食べながらでいいから聞いてくれ」
「ん?なぁに?」
「県内でな、行方不明者が相次いでいる、って事はもう知ってるだろ。それでな、警察も動き出したんだ」
「えっ、警察?という事は、私たちの活動も知られてるって事?」
「あれだけ派手に戦っておいて知られないはずはないだろ」
篤彦が言うように、もはやレッドトルネードの戦いは鷹野家だけの範疇で済むような問題ではなくなっていた。
「えー、警察の取り調べとかあるの?」
「由衣はそういう事は心配しなくていい。母さんが全てやってくれる。いつも通り過ごしなさい」
(怪人と戦っている時点で「いつも通り」じゃないと思うんだけど…)
「最近はこの近辺で若い女性が行方不明になる事件が多発している。怪人絡みかどうかはまだ分からないけどな。由衣も気をつけてな」
「分かった」 「ここかぁ…」
左肩にカバンを下げ、右手にチラシを持った栞はお目当ての「ボルタック整体所」へとたどり着いた。
最近出来たと思われるそのエステサロンは市街地の中心部からやや離れた、入り組んだ路地の中にあった。
栞がそっと扉に手をかけると、中には誰も先客はいない。扉が開いた事に気付いた女エステティシャンが声をかけてくる。
「いらっしゃい、どうぞ」
栞は声に導かれ、ドアをくぐった。
店内はベージュを基調とした色合いとなっており、天井や壁の照明からの光がやさしく部屋全体に降り注いでいる。
ベッドは3つあり、全て綺麗に整えられていた。
「靴は脱いで下さいね」
「あっ、すいません」
土足で店内に入り込もうとすると、店主に呼び止められた。靴を脱いで、あらためて店内に入る。
「こちらへどうぞ」
女主人は栞に右端のベッドに座るように促す。栞は言われるままに座ろうとすると、女主人が再び声をかけてきた。
「もしかして、緊張してます?」
「べ、別に…」
「その様子から見るとエステは初めてでしょうね。でも、ご心配なく」
「は、はい…」
「本日はどちらのコースにいたしましょうか?2000円からでいろいろございますが…」
「じゃあ、2000円で」
「2000円でも内容には自信がありますから。では、服を脱いで下着になって下さい」
肌にうるおいを与えるのだから、なるべく肌を露出しなければならないのは分かっている。でも、いざ脱ぐとなるとやはり恥ずかしい。
でも、栞にとっては何もかもが初めての体験だ。言われるままにしないと事が進まない。 「下着、ですか…」
「恥ずかしがらなくてもいいですよ」
エステティシャンはにっこりと微笑む。栞はカバンを脇に置き、顔を赤らめながら、ブラウスを脱ぎ、次いでスカートのホックを外した。
「ベッドに仰向けに寝て下さいね」
上下お揃いの薄い水色のブラジャーとショーツ姿になった栞はベッドの上に横たわる。
「綺麗な肌をしてるわね。これからもっと綺麗になるんだけどね」
「そんなこと無いと思います…」
「あなた、学生さん?」
「そうです」
「肌年齢はほぼ実年齢だと思います。ボロボロの人は本当にボロボロですからね。では、これからマッサージを始めます。深呼吸して力を抜いて下さいね」
「はい」
栞は大きく深呼吸をして、天井の照明を見つめる。
「あ、そこは!」
エステティシャンの手が栞の胸にかかると、栞は思わず声を上げる。
「ここはね、特にマッサージしておかないといけないの」
「ああぁん…」
胸を揉まれる快感が伝わり、栞は地声とは違う甘い声を上げてしまう。
「うらやましいわね、大き過ぎる事も無く、小さすぎる事もなく…それでいて感度もいい感じ」
「うぅん…」
「じゃあ、次は下着を脱ぎましょう」
「下着って、全部?」
「そう、全部。身体を締め付けるものは無い方がいいからね。さぁ、早く」
人前で脱いだ事の無い自分が、下着姿どころか、一糸纏わぬ姿まで晒そうとしている。そのあまりの恥ずかしさに、栞は耳たぶまで真っ赤になっていた。 「どうしたの?脱がないと続きが出来ないわ」
「は、はい…」
エステティシャンに促され、栞はブラジャーの後ろのホックに右手をかけて外す。
ブラジャーがはらりと床に落ちたが、栞は左腕で胸を隠している。
「下の方も脱いで下さいね」
エステティシャンは栞に目線でも脱げ、と指示する。
視線を感じた栞は観念して、ショーツに手をかけ、ゆっくりと下に降ろしていき、足を上げてつま先から抜き取った。
「そう、それでいいの。ベッドの上にうつぶせになって下さいね」
栞は人前で裸身を露わにするが、すぐに瑞々しい乳房を左手で、股間の黒い茂みを右手で隠した。
ブルーサイクロンに変身する時に一瞬全裸にはなるが、その時とはまた違う恥ずかしさがあった。
「あなた、本当にいい体してるわねぇ。真っ赤になっちゃって本当に可愛いわ」
エステティシャンは栞の身体に再び手をかける。
「深呼吸して、身体の力を楽に…では、まず脚からね」
栞は太ももを揉みしだかれると、快感で再び声が出てしまう。
「んっ…あっ」
「お尻の部分も念入りにマッサージしておくわね」
「いっ…いっ…あっ…」
栞は身体を揉まれるたびに不思議な感覚を覚えていた。気持ちいいと言えば気持ちいいのだが、徐々に身体から力が抜けていくような感覚だった。 「気持ち良すぎて寝ちゃいそうでしょ?」
「う…ん…」
「そう、あなたはこのまま寝ちゃうのよ。ここで、ずーっとね…」
「えっ…ずーっと…?」
「そう、ずーっと」
栞は身体を動かそうとした。だが、ゆっくりとしか動けない。身体から力を抜き取られていたのだ。
「悪いけど、あなたはもう逃げられないわよ」
「そ、そんなの嫌だ…」
「諦めなさい…もうあなたは逃げられないんだから」
そうこうしている間にも自分の身体からはさらに力が抜けていく。
「あ、あなたは一体…」
「別に分かる必要も無いでしょ?」
栞がエステティシャンに疑念を持っていると、カバンの中にある端末が、怪人出現の警報を鳴らした。
このままでは自分は力を全て抜き取られて死んでしまう。ブルーサイクロンに変身すればもしかしたら助かるかも知れない。
端末は口が開いたカバンの中の、割と上の方にある。大声で叫べば端末が反応してくれるかも知れない。
そう望みを抱いた栞は、腹の底からこう叫んだ。
「着装っ!」
栞の叫びに応えるかのように、カバンの中の端末が白く輝き、栞の身体を防御フィールドで包み込む。
まばゆい光の中で、一糸纏わぬ姿の栞の身体がより一層激しく輝く。
足元から、指先から光の帯が駆け上がり、青と白のツートンカラーのインナースーツに変化する。
成功したんだ、と栞が安堵する中、その上からメタリックブルーの装甲の装着が始まる。
まず股間と臀部を保護するパーツが装着され、次いで美脚を守るフットパーツ、レッグパーツが栞の身体に密着していく。
端末はというと、次いで装着された腰部パーツに付属しているパックルに吸い込まれていった。
下半身のパーツが装着されている間、同時進行に近い形で上半身の装着も進んでいた。
手がメタルグローブに覆われ、そこから上に駆け上がるように下腕部、肘、上腕部、肩の装甲が装着されていく。
次いで、前後から背部パーツ、胸部パーツ、腹部パーツが現れ、インナースーツに覆われた栞の身体に前後から挟み込むように密着していく。
首から下の装着が完了し、後は頭部を残すのみとなった。
その頭部近辺にも、ヘルメットのパーツが現れ、栞の髪が巻き上げられると同時に後頭部に収められる。
後頭部が、顎がロックされ、栞はほぼブルーサイクロンの姿となった。
そして、口元にレスピレーター付きのマスクが装着され、残された目元を半透明のゴーグルが覆うと、防御フィールドが弾け飛んだ。
そこには先ほどまでいた全裸の女子大生の姿は無く、全身をメタリックブルーの装甲にくまなく包んだ戦士の姿があった。
耐衝撃、耐熱、耐寒、あらゆる環境に適応できる戦士、ブルーサイクロンに栞は変身したのである。 驚くエステティシャンをゴーグル越しに見据えたブルーサイクロンは、身体の中から暖かく、かつ力が湧きあがってくるのを感じていた。
「…あなたがブルーサイクロンだったのね」
エステティシャンは驚きを隠せない。
「アンタ、ここで何をしようとしていたの!」
ブルーサイクロンの右手がホルスターにあるマルチマグナムに伸びる。
「今から逝くあなたが知っても意味ないでしょ?」
エステティシャンの眼が怪しく輝き、周辺の空間が歪みだしたかと思うと、数秒後には毒々しい色をし、多数の脚が付いている二足歩行の怪人に変化していた。
「やっぱり怪人だったのね!」
「そっちが本気でいくなら、こっちも本気で行くわ」
本性を現したムカデ怪人が身体を丸め、ボール状になって飛びかかってくる。
「きゃあっ!」
突っ込んでくるムカデ怪人に反応しきれず、サイクロンはまともに攻撃を受けてしまう。壁際にあるベッドが、吹っ飛ばされたサイクロンに当たって粉々に砕けた。
さらにムカデ怪人は、ボール状の身体で部屋のあちこちを反射するように動き回る。
床、壁、天井をビリヤードの球のように反射し、サイクロンを翻弄する。
「どこ?どこなの?」
「こっちよ」
「はっ…あうっ!」
サイクロンの背中にムカデ怪人の強烈な体当たりが決まる。背骨がズレ、内蔵が口から飛び出そうな衝撃を受けた。
「あああっ!」
サイクロンは、今度は体当たりを右側頭部に受ける。モニターの機能は一瞬ブラックアウトした後、すぐ復帰したが、
衝撃がヘルメットだけでは吸収しきれない。視界がグラついて見える。 「全部避けられるかしら?」
ムカデ怪人は二足歩行の状態に戻ると、そのトゲが身体から離れ、一斉にサイクロンに向かって放たれた。
サイクロンは横っ跳びでかわす。トゲが鋭く壁に突き刺さる。
起き上がろうとしたサイクロンの眼の前にはさらにトゲが飛んできていた。場所は狭い室内であり、遮蔽物もない。反射的に両腕でガードをする。
「フフ…」
ブルーサイクロンの腕や身体に無数のトゲが突き刺さる。すると、トゲが刺さった場所の装甲が紫色に変化していく。
「あ…あ…ううっ…!」
サイクロンは身体から力が抜けていく奇妙な感覚を再び味わっていた。先ほどまでエステティシャンに身体を揉まれていたのと同じ、あの感覚だ。
「あなた、ムカデに刺された事ってある?無いでしょうけど」
「こんな…もの!」
せせら笑うムカデ怪人に反撃すべく、サイクロンは必死に立ち上がる。スーツの防御機能が働き、トゲが全て抜け、床に落ちた。だが、スーツのエネルギーをかなり消費してしまった。
「負けない…から」
サイクロンは両手でそれぞれマルチマグナムを抜き放ち、二丁同時にムカデ怪人に向かって破壊光線を撃つ。もはや店が壊れるとか、そんな事は気にしていられない。
「無駄よ」
ムカデ怪人はとっさに身体を丸める。破壊光線が命中し、爆発とともに店内の照明や観葉植物が粉々に吹き飛ぶが、
煙の中から現れたムカデ怪人は全く手傷を負っていなかった。 「えっ!そんな!」
「大事な事を今から教えてあげるわ」
動揺するサイクロンに向かってムカデ怪人が飛びかかってくる。
床に倒され、組み伏されてしまったサイクロンを、ムカデ怪人は締め上げ始めた。
「関節は、いくら強化スーツを着ていても防げないから」
「あぐああっ・・・」
サイクロンの右腕、左脚が別の方向に引っ張られ、栞の肉体に凄まじい負担がかかり始める。いわゆるバックブリーカーの形である。
ダメージがスーツにかかり、火花が飛び散り始める。内部部品がショートし、スーツから煙が出始めた。
「はぁ、ああ、くああっ!」
サイクロンは逃げようと必死に身をよじる。だが、ムカデ怪人の力は異様に強く、抜けられそうもない。
「あなた、首も凝ってるんでしょう、マッサージしてあげるわ」
ムカデ怪人はフラフラになったブルーサイクロンに馬乗りになると、首から顎を掴んで海老反り状にした。キャメルクラッチだ。
「う、うああ、ああううっ!」
サイクロンの首に、背骨に、腰に大きな負担がかかり、スーツがさらにダメージを受ける。
小さな爆発が断続的に身体のあちこちから起こり続ける。ゴーグルにはスーツが多大なダメージを受けている事を示す警告が表示されているが、分かった所でどうしようもない。
「もうダメ、もうダメ、死んじゃう、死んじゃううっ!」
スーツが破壊されるのが先か、首や背骨を折られて死ぬのが先か、怪人に自分の命を脅かされているサイクロンはパニックになっていた。
「あっそ。じゃあ、死ねば?」
「やだ、やだ、離してええぇっ!やだああぁぁっ!」
サイクロンの視界にノイズが入り始める。初めは小さかったノイズが、徐々に大きく、その本数も増えていく。
「はい、これで終わりっ!」
「い、いや、あ、あああああぁぁっー!」
ムカデ怪人がひときわ強く、サイクロンの上体を上に逸らす。
栞の断末魔の悲鳴と共に、既に煙を上げていたメタリックブルーの装甲の数か所から大きな爆発が起こった。ついにスーツの耐久力が尽きたのだった。
ブルーサイクロンの身体が光り輝く白い防御フィールドに覆われたかと思うと、ボロボロになった青い装甲が、ヘルメットが、バラバラのパーツになり、ベルトのバックルに吸い込まれていく。
フィールドが解除されると、そこには青と白のツートンカラーのインナースーツ姿になった栞がいた。 「あなたも私の若返りに協力してもらうわよ」
ムカデ怪人が倒れこんでいる栞に歩み寄る。
「若返りって…何の…」
「あなたはね、一人じゃここから逃げられないんだから、もう諦めなさい」
ムカデ怪人は質問を遮るかのように栞の首筋にトゲを伸ばす。強化スーツを破壊された今の栞は無力な少女に過ぎなかった。
もう怪人に抗う手段は無い。自分はこのまま負けてしまうのか。栞は絶望した。
「確かに一人じゃあ、ここからは逃げられないわね」
ムカデ怪人が栞の生気を吸い取ろうとする直前、部屋の入り口の方で凛とした声が響いた。
ムカデ怪人が聞きなれない声に驚き、後ろを振り向くとそこには、メタリックレッドの装甲に全身を包み、頭部もフルフェイスのヘルメットで覆われた人影がいた。
その人影は、ムカデ怪人を見るなり言い放つ。
「レッドトルネードが来たからにはもう大丈夫よ!」
「トルネード!」
栞がレッドトルネードの姿を見て希望を取り戻す。 「シャワーでも浴びなさい!」
「な、何をする、やめろ!」
トルネードの声を聞き、マルチマグナムを構える仕草を見たムカデ怪人が急に怯え始める。
「あなたの弱点、もう分かってるのよ!」
トルネードのマルチマグナムから、もうもうと湯気を上げる熱湯が発射され、ムカデ怪人に浴びせられた。
「あぎゃああっ!」
熱湯を浴びたムカデ怪人は激しく苦しみ出す。その声も、今までの若々しい声とは違い、老婆のようなしわがれ声に変わっていた。
「まだまだぁ!」
トルネードは二発、三発と熱湯をムカデ怪人に浴びせかける。
ムカデの弱点は熱湯だ。先日、子供がムカデに熱湯を浴びせて遊んでいたのを見た、その観察が生きた形となった。
「トドメよ!」
レッドトルネードが左のホルスターからサイコブレードを抜き放つ。グリップの両方から光の刃が伸び、トルネードが刀身を一回転させて構えを取る。
「はっ!」
サイコブレードの刀身が、マルチマグナムの破壊光線すら弾き返した硬い皮膚を貫く。
「ぐおおぉっ」
ムカデ怪人は醜い呻き声を上げる。すぐ目の前には今まさに、刃を降り下ろそうとするレッドトルネードの姿があった。
「ダブル・トルネードスマッシュ!」
両刃のサイコブレードが、一回転、二回転三回転と、ムカデ怪人の身体を両断する。
仕上げに、X字状にムカデ怪人の身体を斬ったトルネードが後ろを向き、構えを解くとほぼ同時に、怪人の身体は跡形も無く爆散した。 「栞ちゃん!」
勝利の余韻に浸るまでもなく、レッドトルネードはインナースーツ姿でへたりこんでいる栞に駆け寄った。
「ううっ…うっく…」
栞はべそをかいていた。大ダメージを受けて強化スーツの装着が解除されてしまったのだろうが、命に関わるような怪我を負っている、というわけではなさそうだ。
「さて、と…」
レッドトルネードのゴーグルには別に生命反応が表示される。ムカデ怪人に捕まって行方不明になっていた人たちのものだろうか。
ほんの微かではあるが、声も聞こえてくる。
トルネードは、ゴーグルの表示通りにその場所へと向かう。まだ生きている事を祈って。
(もしかして、この裏に…)
サロンの棚の裏から確かに生命反応が確認できた。
トルネードが棚と棚の隙間に手をかけ、左右に押し広げると、そこには引き戸があった。間違いなく、この奥に捕らわれた人々がいるのだろう。
もう躊躇する理由などない。引き戸にはカギがかかっていたが、律儀にカギを探す必要などない。
「はあっ!」
トルネードは強化スーツの力で無理やり戸を引く。カギが壊れた派手な音とともに、扉が開いた。
「あれ?ここってどこ?」
「何してたんだろう…?」
中には全裸の若い女性が数人おり、ゆっくりと起き上がってきた。外傷は無いようだ。ムカデ怪人が倒された事によって、一種の催眠術が解けたのだろう。 「栞ちゃん、大丈夫!?」
「怖かったよぉ、怖かったよぉ」
レッドトルネードは行方不明だった女性たちの無事を確認すると、あらためて栞のもとに駆け寄った。
プシュウウウッッ!
トルネードはヘルメット左にあるボタンを押す。顎の、後頭部のロックが解除され、トルネードはヘルメットを脱いだ。
後頭部に収められていた由衣の髪がふわりと広がる。
「ふぅっ…」
由衣は汗だくの顔を左右に振って汗を飛ばす。その目の前には、死の恐怖から解放された栞の姿がある。
助かったことを実感した栞が、目に涙を浮かべて由衣の胸に覆いかぶさってきた。
「由衣ちゃん、ごめんね、ごめんね、本当にごめんね」
インナースーツ姿の栞は、未だ首筋から下が装甲に覆われているレッドトルネードの胸の中で泣いた。
「栞ちゃんのせいじゃないよ」
「でも…」
「反省会なら帰ってからよ。さ、帰りましょう」
「う、うん…」
トルネードはヘルメットをかぶり直し、再びフルフェイスの状態になる。
栞も大破した店内に転がっている自分の靴を見つけ出して履いた。
「ジェットストライカー、転送!」
トルネードの叫びに応じて、二枚二対の翼が出現し、背部に装着される。
「しっかり掴まってて!」
栞の身体を抱きかかえたトルネードは、静かに地面から浮いたかと思うと、次の瞬間急上昇し、鷹野家の方角へと飛び立っていった。 「ただいま」
栞を抱きかかえたレッドトルネードが鷹野家の地下室へと帰ってきた。
「お帰り、レッドトルネード」
栞も、行方不明だった女性達も無事だという事が分かり、真由美は安堵の表情を浮かべていた。
「着装、解除」
栞を床に降ろし、トルネードは本来の姿である由衣に戻る。
白く輝く防御フィールドの中で、ヘルメットが、装甲が、無数の光の粒子となり、腰部に収納されたバックルへと吸い込まれていく。
装甲を纏う時と同様、由衣は赤と白のインナースーツ姿となったが、そのインナースーツも光の粒子となって飛び散っていく。
スーツから完全に解放された一糸纏わぬ姿の由衣が現れ、その中で変身前に着ていたブラジャー、ショーツが、次いでスカートとブラウスが復元される。
完全に由衣の姿に戻ると、防御フィールドが消滅し、視界も普段のものに戻った。
「栞、今晩はカプセルの中に入った方がいいと思うわ。スーツがあれだけやられてて身体の方が無傷で済んでいるはずがないから」
「は、はい…」
悄然とした栞がカプセルの方へと歩を進める。
「良かった、良かった、栞ちゃんが助かって…」
あらためて栞の無事を実感した由衣の目に涙が浮かんでいた。
「あのエステティシャンね、80代のおばあさんだったみたい」
「は、80代!?」
「後はもう…分かるでしょ」
栞が入ったカプセルに緑の液体が満たされていく間、真由美は由衣に事件の背景を話す。確かに、ダメージを与えたときの声はしわがれていたが、それにしても80代とは。由衣が驚くのも無理はなかった。
「若い時のキレイなままでいたい、年をとってシワシワになっていく自分を認めたくなかった…って事ね」
「そう、それで若い女の子を誘って若さを吸い取っていた、ってわけ」
真由美からそう聞かされた由衣はため息をついた。モデルをやっているこの美貌も、年をとれば必ず失われてしまうのだ。
「美はいつかは無くなっちゃうものなの。でも、気立てはいつまでも無くならないわ。
確かに美にこだわりたくなる気持ちだって分かるけど、それよりも大事なのは中身だと思う」
「中身…ね、分かった」
「で、その中身なんだけど、由衣、単位は大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だって!…多分だけど」
(落としたんじゃないかと思う単位があるなんて言えないよね…)
真由美に図星を突かれ、由衣は戦いの時とはまた違った冷や汗をかいた。 というわけで、皆様本当にお久しぶりです。規制騒動がおさまったみたいなので投下してみますた。 >>351
お帰りなさい
やっぱ強化スーツヒロイン良いわ
GJ! >>351
待ちわびましたぞ!
また前のようにIFで完全敗北ENDなんかも見てみたいッス! スーツは完璧だけど、整備員や開発者サイドの女性(母親や親友)の無力かつ生身の肉体に
強化スーツヒロインに向けるための責めを叩き込んでぶっ壊して堕として、スーツに細工させて
無力化は当然として視界などのセンサー停止、内部爆発、電流感電、神経制御介入で性感帯弄りまくり
こちらは指一本とて出す事なくヒロインは大ダメージ戦闘不能
最後の力を振り絞って繰り出すノロノロパンチを敢えて受ける事すらせずに装甲貫通ボディーブローカウンターでぶっ倒す
こんな話読みたい >>355
敵に一方的に敗北する話が好みって事ですか。 完全敗北の話は見てみたいですね。
装甲ごと串刺し状態になってもがく姿、
装甲を破壊されてだんだんと人間のシルエットに近づく姿など
いいかもしれません。 高性能巨大ロボ
おびき出された建物自体が巨大な敵で
逃げ場の無い敵の中で四方八方から攻撃される。 強化スーツとは直接関係ない話ですが、
「ロックマンX」である敵を弱点である武器で攻撃すると、
装甲が外れるのですが、
そんな感じで特殊な攻撃で装甲が外れたりして無防備になるってのはどうですか。 そういえばタイトル忘れたけど電撃文庫で強化スーツを纏った企業の広告塔のアイドル同士がバトルする作品があったな
あんな感じでヒロインが相手のスーツ破壊をして陵辱するのが勝利条件のキャットファイトする話とか 石を熱した後、水で急に冷やすと熱膨張率の違いで内部にヒビが入って
割れやすくなると言うけど、強化スーツにそれをやるってこと?
つまりレッドトルネードのスーツに熱と冷気の波状攻撃みたいな感じですか
おもしろいけど、俺じゃ文章ヘタだから書くの無理だわw
特撮ヒーローの番組とか見ないからレッドトルネードの人みたいに
オリジナルでイメージが膨らまない
特撮ヒーロー路線のメカニックっぽい強化スーツは無理なんで、ほかに
強化スーツのアイデア無いですかね? 俺は昔、メタル系の正義の味方ではなく、怪盗スーツを纏った正義の怪盗少女というのを考えた。
スーツのデザインは、エヴァのプラグスーツみたいなボディスーツに
バックパックとゴーグルという感じで、筋力増幅機能の他に
銃弾を防ぐ程度の防護力や暗視装置、ステルス機能が備わってるが
宿敵の悪の大富豪にスーツを解析され、金にものをいわせて作った
ステルス機能を無効化する装備やら、より高性能なスーツを装備した
用心棒たちにボコられて、スーツを完全破壊された後、輪姦、薬漬けにされ
闇市場に奴隷として売られる。 俺の気に入っているシチュをいくつか
1.戦闘によって破損した装甲の一部が敵に回収、解析され固有振動数がばれる。
次の戦闘でその周波数の音波を受けスーツが共振してしまい・・・
2.ドロドロベタベタの粘液を受けてしまいスーツがほとんど動かなくなってしまう。
センサーの能力も低下し、武器もベタベタになり取り出せなくなる。さらに銃系の武器は銃口に粘液が詰まり使用不能になり・・・
3.スーツがところどころ損傷しエネルギーもほとんど使い切るが、なんとか強敵を倒し疲労と安心感でその場に倒れてしまう。
気が付くと鎖で縛られ、不良(もしくは雑魚敵)に囲まれていた。本来なら鎖を壊すのも、そいつらを倒すのも簡単だが、エネルギー不足でそれができない。
また、彼らには装甲を壊す力は無いが、先ほどの戦闘でできた傷口から徐々にスーツが破壊されていく・・・
後はありきたりですが、電撃でスーツがショート、敵が透明又はステルス又は超高速で移動可能で捉えられず一方的に攻撃を受けてしまうなどでしょうか。
長文失礼しました。 普通にエネルギー弾とか、力で破壊される姿が見たい。
真向から挑んで破壊されるヒロイン。
ごつごつとした装甲姿から、だんだんと全身タイツ風のインナー姿に剥かれていくヒロイン。 ここ以外で強化スーツ破壊の話がのってるサイトとかってありますか? >>372
悪いですが、ご存じありません。
「強化スーツ 破壊」とでも検索すれば見つかるかもしれません。 なんか爆発とかエネルギー波の直撃みたいなのでスーツが破れて中の美少女が一気に全裸に、
オッパイたゆんと揺らしてそのまま気絶した彼女に敵が襲いかかってヤっちゃう
みたいなストレートな感じなのが個人的には常用物品 そこんとこは屁理屈で誤魔化す設定をひりだしたので、それで書いてみてる
強化スーツではないこともあって、このスレには投下できないが 宇宙刑事ギャバンにあったと思うが、強化スーツ着て敵に処刑されるってのもおもしろいかも
強化スーツのヒロインが敵に捕らえられてベッドのような処刑台に両手両足を固定されて寝せられ、
「処刑開始!」の宣言と同時にレーザーを浴びる
レーザーが当たった強化スーツから火花が飛ぶ むしろ中の人は衝撃のダメージとか受けてグロッキーなのにスーツは無傷で、
AIとかが強制的に装着者の快楽中枢を刺激して覚醒させて強引に戦わせるとかも最高やん? いっその事、スーツごと中身も内蔵ぶちまけて粉砕ということで。 『開花のススメ』は、このスレの住人的には、どうなの? 単なる脱衣K.O.的なものはこのスレの守備範囲外なのか >>383
ヒロピンで括ればそれもアリなんだけど、ここはあくまで強化スーツ破壊スレだからね 殺生石(SS)
私の親友の公恵は、裏で私の彼氏の新庄くんと付き合っていました。
酷い、裏で二人して私の事を笑っていたのね。ハム恵なんて死んじゃえ、えい!
私は、新庄君とハムエの三人でピクニックに行った崖の上から二人を突き落としてやりました。
ふう、ゴミは片付いたわ。え、何、今ハムエの死体が動いたわ。てっ、ハムエの死体が
物凄い勢いで崖を登って来るじゃない、助けて。
思わず逃げ出した私の後ろで崖を登りきったハムエが、私を追って走り出した足音が
が聞こえたかと思うと、物凄い勢いで近づいてきます。
私は必死で逃げたつもりですが、あっいという間にハムエに追いつかれ押し倒されてしまいました。
振り返ると、ハムエが崖から落ちた衝撃で潰れて目が飛び出した顔に殺意をみなぎらせ
私に拳を振り上げようとしています。
(神様助けて、死にたくない)
私がそう思った瞬間、私の身体は眩いばかりの閃光に包まれ、閃光が消えると
私の身体は、白いフリルの付いた黒いゴスロリドレスに包まれていました。私の右手には
いつの間にか剣が握られていて、頭では黒のヘッドドレスが揺れています。
(何、これ)
と思った私ですが、すぐに分かりました。おそらく、このドレスは精霊の力が宿った強化スーツ
多分エレメントスーツという名前、右手の剣は光の聖剣ルミナスレイピア
状況からみて、私は正義のヒロインになってしまったようです。 殺生石2
私が渾身の力でハムエにルミナスレイピアを振り下ろすと、ハムエは光に包まれて消滅しました。
ルミナスレイピアは凄い威力です。
しかし、私は悪の力を侮っていました。突然、私の足下に黒い穴が開いたと思うと私は、その穴に
呑み込まれ、闇の中を物凄い勢いで落ちていき、衝撃で私の手から離れたルミナスレイピア
が闇の中に消えていきます。
「そんな・・・待って」
消えていく唯一の武器に手を伸ばそうとした私に冷気が吹き付けられます。
(寒い)
私が、そう思った瞬間、私を護ってくれる光の鎧であるエレメントスーツのいたる所に
虫食い状の穴が開いたと思うと物凄い勢いで拡がっていきます。
(いや・・・裸になっちゃう)
もう、私は武器を回収するどころじゃありません。只のボロ布に成りつつあるエレメントスーツを
押さえて海老のように身体を曲げ、頭の中には、助けてという言葉しか浮かびません。
そんな私を追い込むように、突然闇の中から現れた逞しい腕が私の身体を無理やり
開かせます。
(まさか、この闇は人の心を読むの・・・寒がったら剥かれ、恥ずかしがると辱められる・・・)
突然、響いた布地を引き裂く音が私の思考を中断させた。引き裂かれたスーツから覗く私の
胸を逞しい腕が握り潰さないばかりの力で掴み私は思わず悲鳴を上げる。
(こんな、乱暴されているようなのなんて、いや)
私は思ってはいけない事を思ってしまいました。
突然、閃光と共にタカ&トシさんが現れ、トシさんが私の両腕を押さえつけると
タカさんがボロ布と化したエレメントスーツを毟り取って、全裸にすると
二人の手が私の胸や股間を這い回り蹂躙していきます。意外なことに二人はテクニシャンで
私は電気が奔った様な衝撃で嬌声を上げ、気が付くと自ら腰を動かし、膝には私の分泌液が
垂れだし、意に反して私は高みに向かっていきます。
(こんな人たちにいかされるなんて絶対嫌)
私がそう思うと、再び閃光がはしり、私は嵐のメンバーたちに輪姦されていました。
そして、私は二宮くんに後ろから衝かれまくっていってしましました。
おわり GJ!!
このスレで求められるすべての要素をバランス良く満たした最高傑作である。 邪神少女レナ
この日、日本国総理大臣の木村は都内で行われた政治集会に出席した後、前後をSPの警護車両に
挟まれた首相専用車で首相官邸に向かっているところだった。
車列が環状7号線を外れて脇道に入った時突如、専用車を異変が襲う、その異変に最初に気づいたのは
運転手だった。脇道に入った途端、晴天だった筈のフロントガラスの向こうに一寸先も見えない
霧が広がっているのに驚いた彼は思わずブレーキを踏む、その頃には車内の他のSPや秘書、首相本も
この異変に気づいていた。前後にいる筈の警護車両や他の自動車、人の気配すらいつの間にか消えている。
意を決したSPが周囲の様子を探ろうと外に出た時である突然、SPの身体が浮き上がったかと思うと彼の身体は
目に見えない腕で放り投げられたように霧の中に消え、閃光がはしったかと思うと専用車は4メートルはありそうな
2体の巨大なロボットと、メタリックグレーに輝く甲冑を着けた西洋の騎士のような3体の人影に囲まれていた。
まるで、SF映画のような光景に固まっていたSPがホルスターから拳銃を抜いた時である
1体のロボットそう、2本の腕と脚を持つ黒いそれは、まさにマンガの世界から抜け出してきたかのような
巨大ロボであるが腕を動かすと同時に専用車は閃光に包まれ車内にいた人間は全員意識を失った。
「2015年の日本国首相も随分と簡単にさらうことができたわね」
集団のリーダー格らしい騎士の鈴の音ののような声は間違いなく女性のものだった。
数分後、東京ドームから駆け出してきた女性が走りながら、その顔にかけたサングラスに投影された情報を
見て叫ぶ
「あいつら、2015年の首相をさらうなんて調子乗りすぎ」
幼さが残るその声は彼女がともすれば少女に近い年齢であることを物語っていた。 悪の仰天
長い内戦で荒廃したこの国でシスターになった私、そんな新米シスターの私に学校で子供たちを教育するなんて素晴らしい仕事を与えてくれた神様ありがとう、ルンルン花の子。
「シスターマリア大変だ」
あら、あなたは裏の家のセバスチャンさん。ナンパだったらアバラ叩き折るわよ。
「シスターマリア、通学中の学校の子供たちが旧政府軍残党にさらわれた。奴ら子供たちを兵士にするつもりだ。」
「なんですって、子供はこの国の宝、人殺しの道具になんて絶対させない」 敵の攻撃を適度に軽減して、けれど装着者のヒロインにも結構なダメージが通っていて
敵が「忌々しい強化スーツめ…」とかって更なる協力な攻撃を繰り出していくみたいなバランスが一番だな 防御力は最高、でもHな攻撃に弱いってのはアリだよね…。
そしてそんなのを纏った敵女戦士を弱点を知っている主人公だけが ここの人は戦隊ものみたいなピッチリ系のスーツとアイアンマンみたいないかにも機械なスーツどっちが好きなの? スキンタイトタイプも良いよね…
ゴッツイ系も良いよね…
パイロットスーツ系も良いよね… ゴッツイっていうとビーファイターみたいな感じかな? >>400
そりゃまあ…女性として隠しておきたい部分だけを壊して辱めるとか
股間と胸のパーツだけ壊してインナースーツも破って
胸ポロアソコポロ。 あんまり易々とスーツがぶっ壊されても有り難みが薄いんであれだな
ある程度はスーツの機能、防御力に敵が手を焼く描写があるのが良い
まあ仮面ライダーアギトのG3みたく、満を持して出動しながらもいきなり初陣から強力な敵にズタズタにされるってのも良いっちゃ良いけど スーツを破壊するのに使ってみたいロックマンシリーズのボスの武器ってありますか。 今まで無敵だったのが、戦力を調べ尽されて一方的にやられるってのはどうです。 やっぱりぴっちり系のスーツが裂かれたり溶けたりがいいなぁ アーマーは無事だけど中の女の子が…とか
大股開かされて股関節脱臼とか
投げ技で叩きつけられてとか バブルガムクライシスやガイバーみたいにアーマーが暴走して元の怪物になったりとか
破壊とは違うか メトロイドみたいにフルフェイスのメタリックボディで身体ラインを完全に隠すスーツの中身が美女ってのは有りだな もし自分が敵なら、まずハンマーなどである程度損傷させてから、
ゆっくりと生身を傷つけないように装甲とかを剥がしていくが。 電気ショックで気を失わせて、活け造りみたいに切り開いていくってのも良いね。 衝撃波で徐々にひびを入れていって、ヘルメットはハンマーとかで一気に壊す。 >>420
君、分かってる?書き込みする時にメール欄にsageって打たないからスレが上昇して業者の書き込みの的にされるようになったんだよ
外国の人?単発紋切りの書き込みじゃなくて、もうちょっと会話できない? >>415
串刺し、戦闘不能になったヒロインに無数の敵が群がって装甲をむしり取り
装甲を失った傷だらけのヒロインに蹴りが入れられるなんてのがいいな。 思いっ切りお腹を殴って気絶させるのもありかと思うのですが。 気絶させたヒロインの強化スーツを引っぱがし、途中まで剥ぎ取ったところで
あえて覚醒させ、スーツの機能が殆ど停止し弱体化したヒロインを
いたぶって楽しむというのもいいな。
気絶させる手段としてはオレ的には、装甲を貫通する槍や剣を刺していって
最後に、それらに高圧電流を流して気絶させるというのがグー。 冷凍ガスや粘着剤などで腕などを固定してから、
ドリルで胸や腹をぶち抜く。 ある程度装甲を破損させて気を失わせてから、
高く放り投げて一斉掃射して楽しむのはどうかな。 投げ技食らいまくりでスーツは無事でも中身はグロッキーとか メカ系のスーツに電流とか流して内部から破壊なんていいかも >>428
ようやく機能停止したスーツを切り開くと
汗まみれ、涙目、失禁の豪華三点セットのヒロインが
半分気絶した状態で現れる現れる。
いい! お前らさ、GENTZ(ジーンズ)って知ってる?あれもいいと思うが。DATE・A・LIVEのワイヤリングスーツ
もあるぞ! せっかくのエロパロ板だ…もっとエロくしようぜ
ということで強化スーツ内に淫具テレポートさせてやろうぜ。
ぴっちりスーツの所為で大事な処に押し付けられちゃう。
ずらす事も儘ならない。 では、敵に捕まりスーツの中から引きずり出されて凌辱されるヒロイン
なんとか隙を見て逃げ出し、スーツを奪還して脱出を図るも
スーツの中には謎のスライムという罠が仕掛けてあった
スーツの中でスライムに纏わり付かれ凌辱されるヒロイン
戦闘もままならないヒロインはデータを取って用済みになった強化スーツもろとも破壊される。 >>415
残酷シーンはどこまで大丈夫か?
手足を吹っ飛ばして抵抗できなくした後、スーツを切り開いて
中のヒロインを白目剥いて気絶するまで犯しまくる
までいっても大丈夫。 強化スーツとは名ばかりのイロモノファッションを着せられ戦闘に向かわされる少女たち。
正義をお題目に謎の組織との戦いに。
相手の組織も唆された少女たちが…。 メタルヒロインで
スーツのコンピュータにウィルスを侵入させて
内部から破壊とか 邪神少女ポチ
私ポチ、NASAで宇宙飛行士を目指す宇宙妖精
NASAの受付の日本人女は超上から目線でむかつく、4トン車で轢き殺してやる。
ドカーン
大変、怒りに我を忘れて殺しちゃったけど、私は何という事をしちゃったの
捕まったら死刑になっちゃうわ、取り合えず違う州に逐電よ。
4トン車を飛ばして、ケネディー宇宙センターがあるフロリダ州から隣のジョージア州に逃走した私
こうなったら、米国の三大田舎の一つモンタナ州(他の二つはオレゴン州、サウスダコタ州、ワイオミグ州のどれか)
の山奥に逃げ込むしかないね。
マクドナルド・ジョージア店の駐車場の駐車場で休憩しようとした時です。
『お嬢さん、そこのお嬢さん』
なに、私の事?
『僕と車を交換しませんか』
えっ?シボレーコルベットじゅあない!?4トントラックなんかと交換していいの。
車を交換した私、よし、これでモンタナまで一気に突っ走るわよ・・・・
て、この車、ブレーキが全く効かないじゃないの。キャー、元同級生の溝口くんの家にぶつかるわ。
ドカーン
溝口くん、溝口姉、溝口父、溝口母、溝口祖父久しぶり
て、車からガソリンが漏れてるじゃない!え、引火・・・大変、溝口ファミリーが火だるまじゃない・・・
なんか、焼肉が食べたくなちゃったわ・・・そんな事考えてる場合じゃないわ
NASAから持ち出した強化スーツ・・・じゃなくて消防署に電話しなくちゃ 邪神少女ポチ2
トゥルルルル・・・ガチャ
『はーい、私、リカちゃん・・・今・・・里子を殺してるの』
ガチャン
ちょっと、911をダイヤルしたら何でリカちゃん電話に繋がるのよ。
気を取り直してもう一度
トゥルルルルル・・・ガチャ
『ハーイ、私リカちゃん・・・今、外にでてるの』
ガチャン
何で、またリカちゃん電話に繋がるのよ・・・さっきと台詞が違ったようだけど・・・
気を取り直して、もう一回
トゥルルルル・・・ガチャ
『はーい、私リカちゃん、今、あなたの後ろにいるの』
えっ・・・わあ、リカちゃん、押し入れの中に隠れていたのね。脅かさないでよ、もう。
つづく? 強化スーツもいいけれど昔のH系RPGであったようなアーマーブレイクがやりたい。
最近だとクイーンズブレイドとか閃乱カグラだっけ? >>440
影牢ダークサイドプリンセスも忘れずにな。トラップの配置によっては
女侵入者の鎧を破壊した後、木馬責めにもっていけるナイスなゲームです。
あと、昔の格闘ゲームのファイティングバイパーズのハニーのアーマー破壊に
成功すると大興奮だったな。 戦闘の中で次々にスーツを破壊されて少しずつ裸に剥かれていきながらもなお戦い続けるヒロインと、
戦闘が決着した瞬間に全身のスーツが粉々に弾け飛んで一気に全裸になり、そのまま抵抗能力も失ってただ敵に犯されるのを待つだけのヒロイン
どちらがエロいだろうか? 自分は後者が好みでよく書いているんだが、前者も開拓してみたいと思ってはいる 個人的には戦闘出来なくなってから(敗北その他の理由なんでも)、スーツを破壊されていくのがエロくて好きです チートな性能の強化スーツに、強化スーツをまとった正義を謳う女の子たちが次々とやられていってほしい。
破壊された強化スーツは再生のため、纏った女の子を贄とし体中の穴を犯し精気を奪っていく。
(その事は知らされておらず、身を持ってその時に知ることになる) 確か昔ブライオーっていう漫画あったな、生体装甲だけど
装甲内は触手で包まれてて、長時間装着してると皮膚呼吸ができなくて呼吸困難になるっていう
残念ながら女性の装着者はいなかったけどね 強力な力場を発生させ攻防に使用可能。
ただし服自体は普通の素材の為破れたりする。
そして破れると能力的に落ちたり使えなくなったりする。 ビーファイターみたいなメタルヒーローってもうやんないのかな >>448
今の仮面ライダーが昭和ライダー+メタルヒーローみたいな感じだからな
ソルジャンヌみたいな露骨なまでの女性型スーツはこの先ないんだろうなぁ 地上波放送では難しいかなぁ…
禅やGIGAと言ったメーカーのヒロピン物を探すのが早いだろうね。 強化スーツに守られているのは顔と上半身のみ
下半身はインナーのレオタードとタイツのみ >>453
フォーセットアムールのコルク・ランスが・・・ 誰か仮面ライダースレ立てられる人いない?
あれテンプレが妙に凝っててうかつに立てられないんだよね
誰だよ現行ライダーのセリフ使ってテンプレ作った奴・・・ 仮面ライダーマリカの死亡シーンの湊さんの脚のエロさが素晴らしかった。 露出全くなしの強化スーツがボロボロにされて肌の露出が…っていいよね どこが人体であれば人間であると認められるのか?
頭?脳?心臓?性器? >>461
手脚が機械ぐらいだったら義腕・義足と見なされそう
さすがに脳が機械化されてたら人とは呼べないでしょ 女性型サイボーグが手足をもがれるのはグロになるのか? 生身の女ならグロシーンだが、サイボーグの場合はメカバレで様式美だろうなw 最近DVD化された女バトルコップ見たけどなかなかいいな
逆さ吊りにされてマシンガンやショットガンで蜂の巣にされたり
超能力で操作された重機に押しつぶされたり、かなりの好リョナ作品
ロボコップみたいにバラバラに解体された所も見たかったな 強化(性的な意味で)スーツ
女の子の身体にぴったりフィット。 サイボーグだと強化スーツを着る必然が薄れませんか。 (防御力)強化スーツ or (攻撃力)強化スーツ
好きな方をどうぞ 破壊するという前提なら防御力を上げる強化スーツは厄介だな。 防御強化スーツがあるから大丈夫という希望を打ち砕くのもまた良し 強化スーツという点では外れるかもしれないが
戦闘員的な全身タイツ系スーツの女戦闘員を打ち倒してHなトコを刺激したい。
戦闘員改造されてるとはいえ、自分が女である事を意識せざるを得ないような…
どんな声で鳴いてくれるんだろう…
イーッイーッみたいな奇声かな…素の女性に戻ってあえぎ声上げるんだろうか…。
嫌がって消滅しちゃうんだろうか…。 ダイアナレディってある意味衝撃的だったな、変身前も後も 戦闘能力を高めるため過剰のアドレナリン・ドーパミンを着用者に発生させる機能を備えた強化スーツ。
ただし、その過剰なアドレナリン・ドーパミンは、着用者の精神を蝕んでいく。 女性として隠したい場所だけが壊れるのが好み。
マスクの下では羞恥の表情してるんだろうな。 性的な快感で強度が脆くなってしまうってのはどうですか。 超光速グランドール、変身シーンで全裸になったり、
やられた時にスーツが砕け散って裸になったり、
捕まってスーツ剥かれたり、
人質取られて、スーツ脱がされたりして、
エロを突き詰めてれば、もっと人気でてたのかな? スーツがあるからこそエロいのであって
全裸や全裸に近いのでは全く意味がない。 ロボット兵器が撃墜されて、女パイロットのスーツが破れて裸になっちゃうのは? でもほとんどが透明で裸に見える(大事なところが隠れてるだけ)スーツって言うのも浪漫やん。 >>485
そりゃもう自意識過剰な悪役美女様に着てもらって
見事なやられシーンを見せてもらうんだよ。 暇つぶしにやってみたが、、一人だけ凄い奴がいた、想定外の奇跡だゎ・・
お前も超本命ならできる確立高いな
▲をnn2に変える
s▲ch.net/s11/078momo.jpg ロボットと見間違う程の重装備を纏っているのが、10代前半の少女ってのはどうですか。 異星連合地球侵略軍団の超シブイ声のメカ将軍が16話ぐらいで
ヒーローチームとの戦いで破壊されると中身は体操服とブルマとハチマキの女子小学生星人。 >>489
全身タイツ状の強化スーツの戦闘員部隊。
局部だけ破壊して露出した局部をスーパーパワーで蹂躙。
通常のセックスでは味わう事の出来ない快楽に身を焦がす。 あるアニメで鎧兜を纏った幹部が背中のボタンを押されて、
鎧が強制的に脱げると、女である事がばれるってのがあったけど。 股間にコードのようなものが纏わりついて、
電流を浴びせられるのってはどうですか。 股間に僅かな隙間があるのでそこにバイブレーターソードを押し込んでやっつけるとかいいよね。 装甲って砕くのが好みですか。
それとも、少しずつ剥がしていくのが好みですか。 >>499
別に批判するわけじゃないんだけどさ
前から延々質問して何がしたいの? >>499
スーパーメトロイドの死亡時よろしく、
景気良く砕け散って欲しい 短めですが、書いてみました。
分厚い装甲も今はただの重りと化して、
「皆に連絡・・・無線が壊れている。」
体を起こそうとするが、敵は徐々に迫って来ており、
「し、しまった。」
どうにか立ち上がる事が出来た少女は咄嗟に銃を構えて2、3体撃破するも、
とうとう追い詰められてしまい、
「ど、どうしよう。」
ロボット兵達は一斉に装甲を撃ち抜いていき、
少女は一命を取り留めたものの、立つのがやっとで、
「(皆の忠告を聞いていれば・・・)」
それから間もなく、少女に向けて無数の光弾が放たれるのであった。 ゴテゴテの装甲剥がしたら『楽園追放』のアンジェラみたいな女の子が出てきたらいいな\(^ー^)/ >>502
つまり、原型を留めないって事じゃないですか。 グロい描写があります。
基地の所在が敵に知られ、
「第1、第2区域、突破されました。」
「こうなれば撤退・・・」
爆発で数名の隊員達の体が砕け散るが、
その肉片を踏み潰しながらカマキリのような怪生物が現われ、
生き残った隊員達は怪生物に銃を発砲するのだが、
怪生物は平然と青い装甲を纏った女性隊員の方へ歩み寄り、
棘のある腕で抑え込むと、ヘルメットごと頭を噛み砕いていき、
「そ、そんなウソよ。」
「早く退避しないと我々も・・・」
ふと後ろを振り向くと、怪生物が5、6体近づいており、
隊員達は自分達の命運が尽きたのを悟るのであった。 生命維持機能を最大限に酷使してやられるシチュがいいです。 スーツが破壊される場面でお勧めなのってありますか。 仲間が一瞬でやられ、敵がどこから攻撃をするか分からないまま、
追い詰められていくって展開はどうでしょう。 >>510
壁に張り付けにされた状態で、
そのまま、ビームなり衝撃波なりを浴びせられ続けて、
アーマーを少しずつ剥がされていっていく ゴテゴテの装甲系か、肉体にピッチリフィットしたスキン系か、ミックスしてもいいな。 下半身ゴテゴテの上半身ピッチリなスキュラ系か…
上半身ごってりの下半身フィットなハーピー系か…
ゴテゴテ系アーマーを削ってる間にピッチリ系が耐えられなくて破けるとか良いよね。 >516
あ、その分類いいなぁ。
昔考えたのは下半身が蛇の強化服女サムライ。 サムライって事は…天羅万象かはたまたシャドウランか…。
天羅万象と言えばヨロイ乗りはこのスレ向きかもね。 >518
あ、天羅WARです。
それはそれとしてシャア板のなりきりで、脚の代わりに蛇腹の生えたジオングにボコられたことも。 天羅WARだとそんなキャラもできるのか…
天羅零とテラガンまでしか知らないからなぁ…。
強化服ってロケレンが使ってたようなスーツとはまた違うのかな? >520
サプリで追加された、なんか女性っぽいフォルムの甲冑型機面ヨロイを無足化したのをそう表現しました。
それはそれとしてロケットレンジャーのゴツいアーマーを引っぺがしたらおねーさんってのもそれはそれで。 ロケットレンジャーは「オークタウンの吸血鬼」っていう所為があったから薄い本的ヘイトが溜まってるからなぁ。 見た限り、ここって全身アーマー系が主流なのかな
個人的にはもうちょい軽装の艦これヒロインやセーラームーンみたいな
変身ヒロイン系のコスチュームもイケるんだけど・・・ ボディスーツはいいけど肌部が多いスーツはダメだと思うの >>524-525
あくまで強化スーツだからいいんじゃね?
引っぺがすと普通になっちゃうからなぁ…それをどうするか…。 強化スーツと書くと布っぽいけど、破壊と書くとアーマー系の感じがする。まあどっちでもいいんじゃないかな。
ただアーマー系の方がパーツごとに破壊してじわじわ脱がす描写は書き易い。スーツだと肌を傷つけずにキレイに脱がすには工夫が必要。
例えば変身魔法少女なら、ダメージを受けると魔力が低下して変身解除されるとか。超能力者同士でサイキックバトルとか。
流血や残酷シーンは苦手の人も多いので、リョナ・グロ専用スレに投下するか、投下前に注意書きを明記して欲しい。 >>524
軽装はいいけどセーラームーンはちょっと違うかな。あれはコスチュームでパワーアップしてるのではなく、自身の潜在能力で変身しているのだと思う。
たとえば、バットマンはバットスーツを着ることでパワーアップするので強化スーツだけど、スーパーマンが変身して超人的な力を発揮するのは、コスチュームの力ではなく宇宙人の超能力なので強化スーツではない。
セーラームーンは後者のスーパーマンタイプではないだろうか? 俺には強化スーツでパワーアップしているとは思えない。
セーラームーンを否定するつもりはないが、変身ヒロインを扱ったスレは他にもあるので、参考までに提示する。
・正義のヒロインを嬲る
・変身ヒロインとラブラブなSS
・オリジナル魔法少女陵辱スレ 2015年も残りわずか
来年はSS投下されますように 設定は思い付くんだけどストーリーにまとめられないんだよな >>532
キルラキルはこのスレ向きだね
OKだと思うよ 昔の映画に出てくるビキニアーマーってどうなんでしょうか。
あまり肌を露出させ過ぎているので、このスレでは扱いにくいと思うのですが。 >>535
どっちかというと外付け的な能力で戦って…
それが剥げると無力化する…
ってのがこのスレの要望なのかな?
強いシーンと弱いシーンの2つが楽しめるみたいな。
「ビキニアーマーのヒロインを脱がす」っていうだけだったら…どこだろう。
『ファンタジー世界で戦う女(女兵士)総合スレ』辺りなのかなぁ… >>536
自分としてはせめて物理的に破壊する描写があればと思うけど。 アーマーブレイクやられ好きだよ
ライディとか
最近あまりないんだよなぁ…そういうの…。 って…そういえば結構あるか
クイーンズブレイドとか戦忍カグラとか、
メダロットでも何故か使い手の女の子コスチュームブレイクできるってあったな…。 アクティブレイドってアニメが該当するみたいだけど。 銀河お嬢様伝説ユナってゲームにもあったな、強化スーツ破壊。 急激な温度変化で装甲を脆くさせるって結構良いと思うけど、
そういうのあまり見た事無いな。 普通中の人が耐えられるレベルの温度変化じゃねーから
中の人凍らせたり消し炭にしたらつまんね 傭兵「クソ!現在G森、敵の部隊に包囲されたようだ、敵の気配はするが姿が見えない!」
ハッカー「どうやら、敵は最新鋭のステルススーツを装備してるようだ
今敵の指揮車両にハッキングをかけた。敵のステルスを限定にだが解除できる!」
傭兵「限定的…?」
ハッカー「ステルススーツは有事に素早くトイレを済ませることが出来るよう
股間からお尻の周囲までを開放できるように設計されている。当然生身の体…目視できる」
傭兵「よし!敵の位置が…丸見えだ…」
ハッカー「それと、その森には昔、研究所から逃げ出した遺伝子改良を受けたダニが生息してる
便所に行きたくても立ションなんかするなよ!茂みで立ションした少年のペニスが1か月
3倍に腫れ上がったことがあるらしい」
作戦報告書
A基地に侵入したスパイをG森にて「特別テクノロジー機動群」が包囲
作戦中、ステルススーツが何者かにハッキングされ機能の一部が制御不能に
股間のからお尻の周囲が露出する事態に。その際、森に生息するバイオダニに露出部分刺される。
なお、スパイは包囲を突破し逃亡。
被害
17名(全員女性) 陰核肥大化、陰毛の脱毛、膀胱炎、性器から肛門周囲の腫れ アイアンマンだとペッパーにもスーツがあるんだと。
つまり、そういう事だ。 すいません、アイアンマンはあまり知らないのですが。 知らなくてもいい。
アイアンマンに出てくるメルターって敵はなんでも溶かせる、たとえばアイアンマンのスーツをだ。
要するに、ロバート・ダウニーJr.はセクシーだよな? メガロマンって特撮もので、
敵がそれぞれの能力でメガロマンに勝ってしまうって事があったけど、
攻撃を弾くあるいは吸収する、装甲を砕くなど役割を分担する事で、
数体がかりで戦う敵ってどうだろうか。 あ、似たようなのは「ハンターキャッツ」にいたな。
*攻撃担当の二挺拳銃
*二挺拳銃のマガジンを手早く交換
*すごく分厚い防弾コートでカバーリング
という三人組が。
っていうか、転ばせて切って薬をつけるカマイタチじゃないか。 強化スーツは溶かせても人間の身体は溶かせない…
そういうことですね。 スーツは溶けても身体は溶けないってヤッターマンみたい。 電気で強化スーツ破壊というと…
OL特捜エンジェルLipかな?
主人公の技が電撃系で、敵のスーツが結構壊されてたな。 北斗の拳みたいに自分で強化スーツ破壊するのは有りか? 強化スーツを破壊出来る生身があったら強化スーツの意味ないやん
と思ったけど、新たな可能性があるのか……? 敢えて余計な被害を出さないための拘束服とか、ウイングスーツ他特殊環境対応だとか、加速装置とか、色々。 装着者の生体エネルギーをパワーアップさせる強化スーツで、着ると運動能力が飛躍的に上昇する。
さらにリミッターを解除して最大出力を発揮すると、エネルギーの過剰供給で強化スーツ自体は破壊されてしまうが、バーストモードが発動して肉体の持つ力を極限まで高め、必殺技が使用可能になる。
しかしバーストモードは数分間しか持続しないので、それが終わると強化スーツ無しの状態に戻ってしまうという設定。
本当は巨乳がボイ〜ンと弾ける描写が書いてみたいだけです。 強化アーマーだと思ったら実は拘束衣でしたって…なんだったかなぁ
と思ったけど…
富樫の幽遊白書か… エヴァンゲリオンのもそうだよね。
そうそう、TORGのDr.メビウスが趣味でヒーローやる時、わざとパワーを押さえるコスチュームを使ってる。 チョバムアーマーやリアクティブアーマーのように、あえて壊れ易い装甲を破壊することで、本体へのダメージを軽減する強化スーツなんていいんじゃないか? >>563リアクティブアーマー壊したらビキニアーマーが出てきたとか
じわじわ破壊するのにはいいんじないかな? でもビキニアーマーを破壊したらジャンプスーツになる。 アーマーが破壊されてインナースーツが破かれてくのが好き ハイテクパワードスーツで武装して原住民を虐殺していた女兵士が逆襲されるお話 無敵のはずのスーツが原住民のナニによって破られるのか…。 銃弾とかレーザーとかビームは防ぐが破れやすい素材なんだよ。 「耐酸性能は抜群だが耐水性皆無」ってか。どこの「ゴジラ伝説」だ。 強化スーツというと宇宙服みたいなのが思い浮かんだんだが、宇宙や月を舞台にすると、強化スーツ破壊したら女の子が死んじゃうんだよな
企画倒れ スーツやぶくのはヒロピンものでよくあるけど、アーマー破壊するのってどんなのがあるだろう? >>577
昔あった女の子モンスの出てくるRPGとか?
(ライディとかドラゴンナイト2とか) 攻殻機動隊がハリウッドで映画化されるようで
予告編見てるとヒロインのあれは強化スーツ?それとも人工皮膚? ラブブレイカー!愛の鎧を打ち砕く
愛を喪った女はただの牝。オスの力に平伏すのみ 全身ガチガチの強化スーツを破壊したら中は女性だったってのでもいいのよ
でもそんな強化スーツを破壊するだけのダメージ与えて中身の女性は大丈夫なんだろうか。 このスレはアーマー破壊が好きなひととリョナが好きなひとがいるからね
オレは中身は傷つけずにきれいに脱がす方がいいな 最近のアニメでネタになりそうなの無いかな…
ファンタジーだと鎧だろうけど…
SF系のアニメってあったかな? いいんでない?
ブラゲの女の子キャラが増えたのか
結構アーマーブレイクも増えたような…
どうなんだろう ゴツゴツしたスーツが損壊してやっと女だと分かるってどうでしょう。