戦国BASARAでエロパロ 信者10人目
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しさん@ピンキー2012/12/02(日) 19:29:32.21ID:YRICLD1N
戦国BASARAのエロパロを読みたい人、書きたい人のスレでございます。
エロに限らず本番無しの話、ほのぼの甘々な話、小ネタも歓迎しておりまする。よしなに。

話を投稿する場合は名前欄にて以下の旨を明記してくだされオヤカタサムァー。
・カップリング
・陵辱、強姦などの話
・その他、特殊な設定で話を創作した場合

ウホッ! な話は数字板の「ビデオ棚」スレに投稿してくだされオヤカタサムァー。
史実嫁ネタ、オリキャラを中心とした話はご勘弁下さい。
荒らしは「するぅ」ですぞ! それとsage推奨でござる。
女体化やその他の特殊な設定を使った場合は下記の避難所に投下するでござる!

えしどののさんせんもずいじぼしゅうちゅうですよ。

いくらexcellentな作品でも無断転載は御免だぜ。まぁ常識だがな。

前スレ
戦国BASARAでエロパロ 信者9人目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284745106/

過去スレ

戦国BASARAでエロパロ 信者8人目 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266230131/
戦国BASARAでエロパロ 信者7人目 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1247841960/
戦国BASARAでエロパロ 信者6人目 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241161410/
戦国BASARAでエロパロ 信者5人目 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1218640918/
戦国BASARAでエロパロ 信者4人目 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181545589/
戦国BASARAでエロパロ 信者3人目 ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1160419654/l50
戦国BASARAでエロパロ 信者二人目 ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156098217/l50
戦国BASARAでエロパロ ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123869802/l50

保管庫
戦国BASARA-エロパロ保管庫 ttp://www12.atwiki.jp/bsr_e/

※落ちたときの避難所 兼 女体化等特殊設定投下スレ http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/6047/1283058085/
※保管が間に合わない時の緊急ログ置場 ttp://65.xmbs.jp/bsrshelter/
0087松に鶴:前編(元就×鶴姫)5/122013/02/07(木) 23:10:02.33ID:Qve+S95I
 厳島を巡る戦い。

 自軍に数倍する戦力の敵軍への奇襲をかけた毛利軍は、海上を敵船が埋め尽していた
ことが逆に功を奏し、複雑で狭い海域の中に敵船を誘い込むことで相手の退却を防ぎ
つつ、次々と戦力差を覆していった。

 地形、天候、敵の布陣全てを計算に入れた策を練る智将、毛利元就の面目躍如である。

「敵軍は厳島に籠ったか。退路を塞ぐ。狼煙を上げよ。水路の要所に軍船を向かわせる。」
「元就様、……畏れながら、背後のみ、手勢が足りぬかと……」
 高い矜持と、己の策に対し絶対の自信を持つ主は手駒に意見されることを好まない。
 それを知る家臣が慄きながらも進言する。

 しかし、元就はその家臣を咎めるでもなく、海岸に敷いた陣から海の彼方を見遣った。

「なんだ……あれは。」
「まさか、敵の援軍か!?」
「いや、あれは……」

 厳島の背後に迫る、数十の船団。
 掲げるは薄紅色の、折敷三文字紋の旗。

「伊予河野の軍だ!」
「我等の援軍だ! 来てくれたんだ!!」

 普段は気難しい主を恐れて畏縮しがちな毛利家の家臣達から、喝采が飛んだ。

「も、元就様、これで!」
 感極まった家臣の一人が、本来ならとても恐ろしくてできないような、満面の笑みで
主を振り返り言葉を賜ろうとするという行動に出た。

「ふん……全ては我の計算通りよ。」

 答える元就の薄い唇に上った笑みも、しかし満更では無さそうなのであった。



 毛利家が厳島を制し、そして安芸を完全に掌握する足掛かりとなった戦。
 そしてその最大の助勢となったのが、大三島の伊予河野家であった。

0088松に鶴:前編(元就×鶴姫)6/122013/02/07(木) 23:12:03.84ID:Qve+S95I
「伊予に援軍……ですか。」
「二度は言わせるな。河野の伊予支配に口を出す国人勢を平らげれば、勢力図は自ずと
 収斂される。その最大勢力となる河野を毛利の手勢とすれば、いずれは四国平定の
 足掛かりともなろう。」

 やはり、この主は単純に恩返しなどと言い出すタマではなかった。
 毛利の家臣、それも元就の怒りに触れること無く彼の側に仕え続けられる者となれば、
それなりに見通しのきく者は多数いた。

「鎮西の大友は如何致しましょうか。」
「あれらは当分、島津との睨み合いが続くであろう。
 こちらの出方を牽制はしても、実際に手は出さぬ筈。無論、斥候は放つがな。」
「我らが土佐を攻めることによって、結果的に長曾我部の利になりはしませぬか。」
「それこそ、伊予が良い緩衝地となる。今は長曾我部も迂闊には動けぬ故、横槍の入る
 虞は無い。四国全土に長曾我部が台頭して来るまでに、山陽の海岸線の掌握を
 播磨まで拡げる。畿内への海運を制すれば、四国に対する睨みも効く。」

 元就はそれだけを言うと、苦境に立たされた河野への援軍として遣わせる兵の人数、
兵種、具足等の概要のみを家臣に伝える。

 元就は滅多なことでは兵を名で呼ばない。
 使い捨てる駒と割り切っている為であった。
 故に軍事に於いては主に彼等の数、能力、特徴のみが彼に認識される。

 その布陣の「中身」に肉を付ける――実際に兵の指名を行なうのは、元就に「使える」
と評価を受けた重臣である。

 しかし、彼等はこの冷血の主君に従い続ける。

 安芸を囲む外敵を全て退け、この中国の平定を成したのが、この駒をつまむ冷たき
手であるが為、只それ故に。


0089松に鶴:前編(元就×鶴姫)7/122013/02/07(木) 23:13:07.33ID:Qve+S95I
 伊予への援軍を差し向け、戦に勝利した翌年の正月。
 厳島神社の客間に伊予河野の当主とその一家を迎え、毛利家は珍しく祝宴の明るい
空気の中に在った。

 しかし客を歓待するその華やかで豊かな饗応すらも、この智将の計算の内であったが。


 伊予に対する救援への礼を、河野の当主が恭しく述べる。
 そしてそれは同時に、伊予河野が完全に毛利の軍門に降った事を示していた。

 元就は普段滅多に浮かべぬ穏やかな――と言っても精々、相手を射るが如きの眼光の
鋭さを抑える程度の――表情でそれを受け、ふと河野一族の最後列に控える者に目を
向けた。

「その娘は……」
「この場に幼子、しかも女子を連れて来るなど無礼は重々承知。
 ですが、この娘だけはどうか同席をお認め頂きたく……」

 平伏する河野の当主からは最早関心は失せ、元就の切れ長の瞳はその少女に注がれて
いた。

「手前共の一門、大山祇の大宮司を務めます、大祝の娘に御座います。
 この娘、少々不可思議な力が御座いまして、それ故に外に出さず社にて育てて
 参りましたが、この度は何かしら毛利様の御役に立てることがあればと……」

 河野当主の言葉は半分、元就の意識の表層を滑って流れて行った。


 そうか、この娘、あの時の赤子か。


 元就の脳裏に、家督を継ぐ前に大山祇の社で見かけた赤子の姿が蘇る。
 周囲の強豪に比して家自体の力は決して優勢とは言えぬ河野は、あらゆる手札を
用いてでも毛利の庇護を求めたいのであろう。

「娘、顔を上げよ。」

 元就の声に応じ、少女は肩口で切り揃えた栗色の髪を揺らし、顔を上げた。


 その無垢なる瞳は、あの時の赤子の面影を確かに宿していた。
0090松に鶴:前編(元就×鶴姫)8/122013/02/07(木) 23:14:33.37ID:Qve+S95I
 何の気紛れか、宴の後、元就は館の自室にその幼い少女を招いていた。

 河野の当主が言った「不可思議な力」とやらに興をそそられたことも一因であった。

「娘、そなたの持つ不可思議な力とは何だ。」

 聞けば齢数え九つだという少女は、大抵の人間が震え上がる元就の視線にも、全く
臆した様子は無かった。

「わたしには、鶴という名前があります! 鶴とよんでください!」


 元就は言葉を失うという、これまでの人生でも極めて珍しい部類に入る反応を
強いられた。

 この毛利の当主に、ものを問われてこのように返す者など、少なくとも彼が家督を
継ぎ、冷徹なる希代の智将として恐れられるようになってからは只の一度も出会った
ことはない。

「……では改めて問う。鶴よ、そなたの持つ力とは何だ。」

 元就は、普段であれば持ち合わせない、こういう場に於いての忍耐力を奇跡的に
発揮し、幼い少女に重ねて訊ねる。

 すると、栗色の髪の愛らしい少女は、先程までの膨れた頬をもう笑顔で一杯に
満たし、快活に答えた。

「わたし、ずっと先のことが『見える』んです。」

 一瞬で得心が行った。

 神に仕える者ならではの、預言の力か。


 日輪を崇める元就であったが、それ以外の神仏とそれに対する他人の信仰心もまた、
彼にとっては計算、謀略の材料でしかない。

 伊予の当主と大祝の一家が隠し巫女として育てる以上、単なる幼子の戯言では
あるまいが。

 ――試してみるか。

「鶴よ、では我の行く先は見えるか。」

 少女は愛らしく首を傾げ、元就の切れ長の瞳の奥まで見透かすように、その栗色の
視線をひたと向ける。

「……あなたは……ずっと、長生きをされて、そしてあなたの子どもの人たちも、
 うーん……色々あるけれど、ずっとずっと先まで『つながり』があります。」
0091松に鶴:前編(元就×鶴姫)9/122013/02/07(木) 23:26:26.14ID:Qve+S95I
 幼子ならではの稚拙な語彙とたどたどしい物言いではあったが、元就の頭脳がそれを
補って解釈した。

 ――つまりは、我自身も長寿、そして越えるべき災難はあろうとも、子々孫々まで
この毛利の家系が続くということか。

 冷徹ではあっても、自身とそれに付随するものに対する高評価には弱いという一面を
元就は持っている。

 滅多には呑まぬ酒が入っているせいもあったか、元就は平素であれば心の奥底に
押し込めて強固に封じている「情」を、少しだけ解放する。

「そなたの力が真のものであれば、それは朗報だな。」

 未来のことなど、現在の己自身の振舞いで、いくらでも変わり様はある。
 心ではそう評しながらも、元就は幼い少女の預言に対し、彼なりの形で礼を言った。

 先は読めても人の心の奥底までは読めぬのか、少女はぱっと愛らしい顔を輝かせる。
「よろこんでいただけて、よかったです。」


 その笑顔の残した光が、元就の固く閉ざした心中の扉の隙間に、僅かに差し込む。


「あの……」

 少女の言葉で、元就は己が彼女の顔に視線を合わせたまま、暫しの時間を過ごして
いたことに気付く。


 ――何だ、今我は何を見ていた。


 元就は己に対し僅かな不快感を覚えながらも、少女の物問いたげな風情に応じる。
「何か言ったか。」

「はい。毛利……さま? のお名前は、なんとおっしゃるのですか?」

 通常、武家や公家に於いては目下の者が目上の者の諱――本名を直接呼ぶのは不敬に
当たる。
 それ故に様々な二人称、相手の座す場所であるとか官職名、更には通称として用いる
字が使われる。

 この場合に於いては、本来元就はこの少女に対し、己を呼ばせるには姓でなければ
字である「少輔次郎」を使わせるべきであった。

 しかし、何度めの気紛れか、元就はこう答える。

「そうだな……。そなたが『鶴』であれば、我を『松寿丸』と呼ぶが良い。」
0092松に鶴:前編(元就×鶴姫)10/122013/02/07(木) 23:28:25.28ID:Qve+S95I
「しょうじゅまる……?」

 ぱちくりと、愛らしい瞳を瞬いて少女は反復する。
 元就は背後の屏風を示してみせる。

「松に鶴。目出度きものの例えぞ。」

 少女は切れ長の瞳の智将の後ろに置かれた屏風に目を向けた。

 緑青で力強くも繊細に描かれた松の枝。
 それに沿うようにすっくと立つ凛々しく美しい丹頂鶴が二羽。

「実際には鶴は松に巣をかけぬ。
 飽くまで縁起を担ぎ様式の美を求めた組み合わせであるがな。」

 日輪以外の物事に対しては徹底して現実を見詰め合理を求める彼らしい補足を加え、
元就は眼前の少女に説明する。

「松寿丸は我が幼名。
 松の葉の常盤なる如く、その寿が永劫に続かんが為の想いを込め我が親がつけし名ぞ。
 そなたの言う我が毛利の繁栄が永く続く予見が真であれば、これ程相応しい
 名も無かろう。」

 少女の瞳は、松の緑の鮮やかさと、鶴の清廉な美しさから暫く逸らされることは
なかった。

「そなたの名と予見に免じ、我が幼名を呼ぶことを許してやっても良い。」




 全く以て、酒とは人を蝕む毒に他ならぬ。




 元就は、この宵のやり取りを、再び心の扉の奥にしっかりと仕舞い込み、冷たく重い
閂と錠前にて固く閉ざしてしまったのであった。
0093松に鶴:前編(元就×鶴姫)11/122013/02/07(木) 23:29:41.19ID:Qve+S95I
「大谷さんは、わたしのこと、褒めてくれたんです。
 ……でもそれも全部、嘘だったとしたら……」
 
 世の汚いもの、悲しいものから遠ざけられ、箱庭の中で育てられた幸せな姫君。
 幼少の頃より苦労を重ね、常に外敵の脅威と戦ってきた元就とは、あまりにも異なる
その境遇。

 無知は罪であるという。

 それならば、この千歳の先まで見通すという力を神に授かりながら、容易く他人の
甘言に乗せられる小娘の、なんと罪深いことか。


 元就の瞳が一層細く鋭くなり、その冷たい輝きを増した。


「お願いです、本当のことを教えて下さい、毛利さん……
 いえ、松寿丸さま。」


 そしてその細い瞳が見開かれる。


「……覚えておったのか、貴様。」


 意図せず言葉を漏らすなど、智将の名に相応しからぬ屈辱であった。

 そしてその屈辱は、またしてもこの眼前の小娘によって、己自身が封印した心中の
扉を開く切欠を齎されたことにも起因していた。


「はい。わたしは、この瀬戸海を護りたいんです。
 ここには綺麗な海のままであってほしいんです。
 ……でも、ここを護るわたしが、汚いことに手を染めてしまっては、
 綺麗な海は護れないでしょう?
 わたし、正しくない人には、手は貸せません。」



 ――どこまでも、この小娘は我を苛立たせる!


 元就の鋭い瞳が、怜悧な冷たさよりも寧ろ、苛烈な熱を帯びた。
0094松に鶴:前編(元就×鶴姫)12/122013/02/07(木) 23:31:05.92ID:Qve+S95I
 聞けば聞く程、この世間知らずの小娘の綺麗事には悪心を催す。

 国、或いは地方一つを護るに当たり、どれだけの謀略や姦計に手を染めねばならぬと
思っているのか。


 元就の細い身の内で、地獄を一つ呑むかという炎の柱が瞬時に沸き起こり、そして
上辺だけ鎮まった。


「……わかった。それだけ言うのであれば、貴様には真実を伝えよう。」


 栗色の瞳が、明るさを取り戻す。

「本当ですか!? ありがとうございます! 毛利さん!」


 再び氷の冷たさを取り戻した瞳が、その栗色の瞳を射抜く。

「……ただし、この場でという訳にはゆかぬ。我が館の一室を貸し与える故、
 詳しい話は宵に語ろう。」

「わかりました!」

 あの頃と少しも変わらぬ笑顔で、伊予河野の姫御前は答えた。




 空にあった日輪は傾きかけていた。

 厳島神社の壮麗なる丹の柱の映える海が、その輝きを受けて複雑な反射の光を辺りに
散らす。

 彼方に見える島々も、遠く青く夕の空気に霞む。



 まだ先のように思えていた宵は、すぐそこまで迫って来ていたのだった。
0095名無しさん@ピンキー2013/02/07(木) 23:53:58.00ID:BPJ1ar3k
七夕さん毎度ありがとうございますー!
後編もすごく期待してます
鶴と松…確かに縁起いい組み合わせだ
0101この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)1/72013/02/13(水) 21:40:21.54ID:V/rGMCFy
七夕(仮)です
御期待のお言葉を頂き大変恐縮で有難く存じますが、松と鶴後編に苦戦してますorz
思った以上に毛利をエロで動かすのが難しいorz
場持たせではありますが、某所に投下した長曾我部×鶴姫をこちらでも
投下させて頂きます(文字数の関係で某所投下時とはタイトルを変えてあります)
・現代パロディ
・毛利と長曾我部と鶴姫が兄妹(ただし、長曾我部のみ他の二人と血が繋がってない)
・エロなんて無い
・ノリが少女漫画
・モブですがオリジナルの方々が出ます
以上でもかまわねーぜ! という男気溢れる野郎共の方は無聊の慰めにして頂けますと
幸いでございます。好みに合わない場合はぺぺやー
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(……っあー、こりゃやべえかもな)

 朦朧とする意識の中、軋んで悲鳴を上げる腕を無理矢理動かして脇の下から体温計を
取り出し、声も出せない元親は胸中でぼやいた。

 40度2分。

 「やばい」どころではなく、これが初めて気付いた状態であれば即刻病院に担ぎ
込まれるべき体温であった。

 実際は既にこの家のかかりつけ医の往診を受け、薬も出されている。
 ただ、いくら最近のインフルエンザ治療薬が優秀とはいえ、明日のセンター試験
二日目を受けるまでには即効の回復は見込めない。そもそも、他者への感染を防ぐ為に
解熱後も暫くは外を歩けない身の上である。

(……二浪決定か、くそ……)

 額の上に張られた冷却剤はとうに温くなり果ててその用を成していない。そもそも汗で
ぬめって今にも落ちそうなその感触は、ただ気持ち悪いばかりである。

(……また一年間クソ兄貴の嫌味と小言が続くのか……)

 唸りながら、大きな指では押しにくいボタンを押して体温計の電源を切るのも億劫な
元親は額の冷却剤と共に枕元にそれを放り出す。

 冬の夕方は日の光の橙も淡く、カーテン代わりの障子を閉めていることもあって、
薄暗さだけが室内を満たす。
0102この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)2/72013/02/13(水) 21:41:34.17ID:V/rGMCFy
 がんがんと外側から殴られるような痛みと、きりきりと内側から刺すような痛みに
苛まれる頭を枕に沈め、元親は最後の余力を振り絞って布団を大きな身体の上に
引き上げる。
 高熱の為にすぐに汗が噴き出るが、同時に感じる凄まじい寒気のせいで毛布一枚
肌蹴ることもできない。
 軽く頭を動かしただけで脳をぐるり、と揺さ振られるような眩暈に、寝た状態ですら
悩まされる。

 ここ数年はインフルエンザにかかることがなかったが、去年の秋は予備校での
追い込みで忙しく、予防注射に行くこともできなかった。
 体力に自信のある元親が己の健康を過信したのも一因であったが。




 にいさま?


 霞んだ意識の端で、妹の声を聞いた気がした。


 にいさま、つらいのですか? なにか飲み物を持って来ましょうか?


 耳の奥が塞がれ、その声も幾重もの壁を通して聞こえて来るようだ。


 にいさま、ごめんなさい、わたしのせいで、ごめんなさい。


「……ばーか、おまえのせいじゃねえよ、きにすんな。」

 辛うじてそれだけを口にできたであろうか。

 額の汗をぬぐう乾いたタオルの感触と、新しく貼られた冷却剤の新鮮な冷たさの齎す
心地良さを感じたのを最後に、再び元親の意識は闇の中に沈んだ。
0103この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)3/72013/02/13(水) 21:45:09.35ID:V/rGMCFy
 けほけほ、と咳き込むのも辛そうに、鶴姫が細い身体を布団の中で折り曲げる。
 咳一つにも、肋骨辺りの筋肉と横隔膜と、荒れた喉が激しく痛むのだ。

「ぬるま湯と薬持って来たぞ鶴。今起こすからな。ちょっと我慢しろよ。」

 インフルエンザに感染した家族を世話するに当たっての医師からの指示通り、
家の中でもマスクをした元親は掛け布団を捲り、可愛らしい桃色のネルのパジャマに
包まれた身体をぐったりと横たえた妹の背中に逞しい腕を差し入れ、出来得る限り
そっと起こす。
 その背の汗に湿った感触に、元親は微かに眉を顰める。
 この分ではまた新しい寝間着に着替えさせた方が良さそうだ。
 だが着替えすらも今の鶴姫には辛く、また互いに年頃でもあるせいで、兄妹とはいえ
寝間着を脱がせて着せてやるまでは手伝ってやれない。

「あり、がとう、もとちか、にいさま。」

 普段は鈴を転がすように愛らしい鶴姫の声も、すっかり荒れてかすれてしまっている。

「ばか、気にしなくていいんだよ。無駄に声出すな、辛いだろ。」

 左手で鶴姫の背中を支えたまま、元親は妹にぬるま湯の入ったコップを渡す。零さぬ様、
また寝ながらも飲めるように蓋とストロー付きである。

 喉を湿らせた鶴姫に、次は吸引式の薬を詰めた専用の用具を渡し、代わりにコップを
一度受け取る。畳の上の盆にコップを置き、妹が粉薬を吸い込む間、炎症を抑える錠剤を
飲む分だけ、器用に片手だけでぱきりとシートから折る。
 鶴姫が使い終わった吸引具を盆に戻し、元親は錠剤と、続いて再びコップを渡した。

 喉を下る薬とぬるま湯の感触にすら可愛らしい顔を顰め、鶴姫は熱い息をつきながら
潤んだ目で背を支える兄を見上げた。
「にいさま、ありがとう……」
「わかってるからもう喋んな。……寝汗が酷いみてえだが、着替えられるか?」

 鶴姫は一瞬黙り、暫く間を置いた。やはり辛いのだろう。
 しかしやがて、小さくこくりと頷く。

「よし、じゃあ新しい寝間着出してやるから。箪笥の何番目の引き出しだ?
 ……あー、あと、なんだ、その……同じ段に、一緒に……下着とか入ってたとしても、
 今回だけ大目に見ろよ?」
「だい、じょうぶ……べつ……うえから、にばんめ、です……」
0104この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)4/72013/02/13(水) 21:45:47.49ID:V/rGMCFy
 元親はそっと妹の身体を離し、部屋の隅にある箪笥の上から二番目の引き出しを開ける。
きちんと畳まれた薄い緑の寝巻と、並んで入っていたバスタオルを取り出して閉め、
布団の上に何とか上半身を起こしたままの姿勢を保っていた妹の側に戻る。

「ほら、まずは汗拭けよ? 暫くあっち向いててやるから、終わったら
 畳叩くなり何なり音出して知らせろ。」
 言って元親はバスタオルと新しい寝間着を妹の目の前に置いてやる。
 鶴姫は健気に頷き、緩慢な仕草で今着ている寝間着のボタンを外し始めた。

 元親は部屋の隅でどっかりと胡坐を組み、壁に視線を投げる。
 背後からぜえぜえと響いて来る妹の荒い息が痛々しい。

 健康な人間にとっては、そして身内の身を案じる者にとっては焦れる程長く感じる
時間の末に、こんこんとコップで盆を叩いているのであろう音が元親の耳に届いた。

「終わったか。」
 元親は振り向いて、薄い緑の寝間着に着換えた妹の側に戻り、酷い頭痛に苛まれて
いるであろう彼女の頭に極力負担をかけぬ様、背と共に支えながら、そっと寝かせてやる。
 掛け布団を鶴姫の肩まで引き上げ、細い腕を仕舞い込む。

 汗に濡れた桃色の寝間着と、寝汗を拭いたバスタオルをくるくると丸めて左脇に抱え、
元親は用の済んだ盆を右手に持って立ち上がる。

「じゃあ、今晩はもう寝るだけだからな、ぐっすり休めよ?
 何かあったら携帯で知らせろ。メールとか打たないで鳴らすだけでいい。
 こっちもいちいち出ねえから。」

 布団から頭だけ出した鶴姫が、微かに頷いた。
 途端にまた体を折り曲げて咳き込むその不憫さに、元親も取り繕うこと無く痛ましい
表情を浮かべる。左目を覆う眼帯と、鼻から下を覆うマスクによって殆ど露出の無い
その顔にも、変化が明らかに見て取れる程に。
0105この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)5/72013/02/13(水) 21:46:24.71ID:V/rGMCFy
 センター試験一日目、元親は苦手科目の文系の問題を解きながら、刻一刻と酷くなる
寒気と全身を襲う筋肉痛に、鶴姫からの感染を回避できなかったことを悟った。

 インフルエンザは通常の風邪に比べ発症後、症状が悪化するまでの時間が非常に短い。
 体調の不調に気付いた時には既に遅く、健康時に比べての違和感程度であった状態から
数時間、或いは数十分程で一気に体温が上がり、全身に筋肉痛が広がることも稀ではない。

 家を出る時までは然程体調は普段と変わらないように思えた。
 変化に気付いたのは最初の科目が始まった時だ。
 答案用紙の名前欄に、現姓の「毛利」ではなく、「長曾」まで書いたところで元親は
鉛筆を走らせるのを止めた。

 去年はついうっかりと、答案用紙に旧姓を書いたまま提出して試験後に大騒ぎと
なったが、今年になっても同じミスをしでかしたことで、元親は自身の思考能力の変化に
気付いた。
(あんだけ元就の野郎に嫌味言われたってのに、また同じヘマをやらかすなんて、
どうかしてんのか俺は)

 そして実際にどうにかなってしまったことに気付いたのは、問題用紙の細かい字が
徐々にだぶって見えるようになってきた辺りである。

 その後は孫悟空の気持ちがわかるような、頭を容赦なく締め上げる痛みと鼻から喉、
耳の奥に至るまで侵食するいがらっぽさ、悪寒と発汗が次々に湧き起こり、元親に
自身のインフルエンザの発症を知らしめたのであった。

 念の為、マスクはしたまま試験会場には来ていた。しかし、発症してしまった状態では
かなりのウイルスを振り撒いてしまった懸念は拭えない。
(わりーな、一緒の教室になっちまった奴、電車の中で俺とすれ違っちまった奴……)


 去年は単純に学力の不足が原因で一浪する羽目になった。姓を間違った件については、
答案用紙に書いた旧姓も現在の姓もあまりに特徴的だったためにセンターとの確認は
何とか取れたのであるが、自己採点後に志望校の志望学科の目標点に届かぬことを早々に
知ってしまった。
 理工学部を志望する元親は数学こそ得意であるが、興味のないことにはとことん
目を向けないので、暗記の必要なタイプの文系科目には弱い。
 両親の影響もあり、国際的な事柄そのものには興味は深いが、英語自体はそれ程
得意ではない。

 一念発起して兄の元就の敷く針の筵に耐えつつ予備校で猛勉強し、模試を重ねて
志望校への合格率8割台にまで実力を付けた元親であったが、思わぬところ――
出来事自体は世間によくあることではあったが――から障害が発生した。


 今年中学二年生になる、妹の鶴姫がインフルエンザにかかったのだ。
0106この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)6/72013/02/13(水) 21:47:11.34ID:V/rGMCFy
「だったら、俺が世話すりゃいいんだろ。」
「阿呆か貴様。貴様も大学入試を控えておろう。また一年間浪人する気か。」
「今から伝染る落ちると決めつけてんじゃねーよ!
 大体、家政婦さん達だって小さい子や親の介護抱えてる母ちゃんとかが多いんだろ?
 うちのこともやってもらわなきゃならねえし、伝染させる訳にいかねーよ!」
「それだけ言うのならば、医師の指示通り、貴様一人が鶴姫の看病を担当することに
 なるのだぞ。貴様、去年予防注射を受けなかったであろう。」
「仕方ねーだろ、忙しかったんだから。
 あんたこそ鶴の看病する訳にいかねえじゃねえか。公演控えてんだろ?
 お弟子さんに伝染すのも避けないといけねえしな。」

 家の中でも和服をまとう古風で厳格な兄と、卓を挟んで向かい合いながら、元親は
口論にしか見えない形で元就を説得した。

 日本舞踊の家元である兄の元就には普段の稽古の仕事も、会場を予約しての公演もある。
 彼が妹を世話して感染する訳にはいかない。
 またこの家に仕事で務めている者達にも、雇用主としての倫理上の点もあり、
感染させるわけにいかない。

 そうなれば鶴姫の看病ができるのは自分だけだと、元親は主張した。


 そしてその結果がこれであった。


 どうやって家に辿り着いたのかも覚えていない程の朦朧とした状態で、元親は広い
自宅の引き戸を開いた。
 そして重い音を立てて上がり框(かまち)に倒れ込む。

「元親ぼっちゃま? お帰りですか? ……きゃああ! ぼっちゃま!
 どうなさったのですか!?」

 普段はおっとりと穏やかな家政婦の張り上げる声すらも、今の元親には頭に響く。
 彼が鶴姫の看病をしていたことを思い出した家政婦が、
「ぼっちゃまが! 多分インフルエンザです! 早く御医者様を!」
と叫びながら家の奥に戻って行くのを意識の遠くの部分で元親は聞いていた。

 やがて家に務める使用人の中でも特に力の強い庭師の男性が、元親の身体を引き起こす。
「ぼっちゃん、しっかりしなされ!」
 家政婦達も何人か集まって来たが、元親は普段から掠れた音質の上に、今では荒れに
荒れた声をマスク越しに張り上げる。
「いいから! 伝染らねえようにあんた達は離れてろ!
 特に家で小さい子どもとか、じいさんばあさんの世話を抱えてる人は!」

 それが最後の力であったかのように、元親の身体からがくりと力が抜ける。

「ぼっちゃんの仰る通りだ。家政婦さん達は離れてな。ここは俺が一人で運ぶから。」
 庭師の男性が力の抜けたことで余計に重さの増した元親の大きな身体を、庭石を
持ち上げる膂力を発揮して支える。
「でも、吉川さん一人で……」
「俺は仕事柄身体大事にしなきゃなんねえから予防注射も受けてる、大丈夫だ。
 それより旦那様は……」
 遠巻きになりながらも心配そうにその場に留まる家政婦の後ろから、柔らかくも冷たい
声が投げかけられる。

「何だ。何の騒ぎだ。」
0107この季節はご用心(元親×鶴姫:健全)7/72013/02/13(水) 21:48:16.86ID:V/rGMCFy
「旦那様!」
 家政婦達が一斉に振り返った。
 廊下の奥から、この家の主が摺るような足取りで近付いて来る。
「旦那様、ぼっちゃんがインフルエンザになっちまったようで。」
 庭師が目線で離れるようにと警告し、元就は歩を止め、その柳眉を顰める。
「……あれ程言ったのに、この、馬鹿が……」

 元親が感染した経緯を知る家政婦達は気の毒そうな目で元親と元就を交互に見遣ったが、
この兄弟の普段からの確執も知る為、口は出さない。
「……とにかく旦那様、今天野さんが医者を呼びに行きましたから、
 ひとまずぼっちゃんを自室に寝かせに行きますんで。」
 庭師も余計な事は言わず、そのまま元親を彼の部屋へと運ぼうとした。

 そこにもう一つ、ぱたぱたと足音が近づいて来た。
「元親にいさま? にいさま!? ……やっぱり、わたし伝染しちゃったんですね!?」

 元親の看病の甲斐あって今は全快している鶴姫が、庭師に抱えられた兄に急いで
駆け寄る。
「お嬢様!」
「鶴姫……」
 家政婦達と元就の止めるような視線にも、鶴姫は臆さない。
「大丈夫です、わたしは一度かかって治りましたから、自分が伝染したインフルには
 今年はもうかからないはずです!」
 庭師を手伝おうとするものの、鶴姫の華奢な身体ではとてもではないが元親の巨体は
運べない。
「お嬢さん、大丈夫ですから。
 それより、ぼっちゃんの部屋に布団を敷いて来て頂けますかね。」
 家政婦達が庭師の言葉を聞いて各々の成すべき仕事に戻る。
「布団なら私敷いて来ますから、ひとまず旦那様とお嬢様は御部屋にお戻り下さい。」
「ストーブ焚いて来ますね。」
「もうすぐ、御医者様来るそうです!」

 庭師と鶴姫に付き添われて運ばれて行く元親を見送った後、一人その場に残った元就は
深くため息をつく。
「……つくづく馬鹿め。」

 明日のセンター試験の日程に、元親の志望する学科に於いて最も重要な数学と物理が
予定されていることを、元就は知っていた。


 元親が気付いた時には、寝間着に着換えさせられ、枕元に携帯電話と体温計と
ペットボトル入りのスポーツドリンクが置かれた用意周到の状態で寝かされていた。

 意識は朦朧としながらも、大方の経緯を察し、元親は熱い嘆息をつく。

(……ま、後悔はしてねーよ)


 あの潤んだ瞳で見上げられた時、この妹の為なら何でもしてやりたいと思ったのだった。
0109製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)1/72013/02/14(木) 22:45:04.10ID:maRh2gGp
七夕(仮)です。連投済みませんorz
ちゃんと戦国時代を舞台にした話に比べると現代パロディは好みも分かれると存じますが、
どうしてもこのネタだけは「現パロで」「今日中に」上げないと無理で無意味だと
思ったので、推して参りますorz
・現代パロディでバレンタインネタ
・某所へ投下したものの再録(タイトルは変えてあります)
・いつきと政宗が義理の兄妹
・エロは無いが政宗が重度のシスコン
・ノリがやっぱり少女漫画
以上でもNo Problem! な伊達男はそのままHere we go! 無理なら華麗にスルー願います
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 その場に居合わせた者は、靴箱から綺麗な包装紙に包まれた物体が大量に雪崩を
起こして零れ落ちるという、少女漫画の古典のような光景を目にすることとなった。


「すげーな伊達。毎年のことだけど。」
「って言うか、すごいのは後の方になって入れた女子じゃね?
 あれだけの先客を見ても怯むことなく突っ込むとか、崩さないように押し込むとか。」

 野次馬をまるで意に介すことなく、政宗は周囲に散乱した物体を掻き集め、慣れた
もので予め持参してあった紙袋に纏めて放り込む。

 周囲の好奇と羨望と嫉妬の眼を背に、政宗は登下校口を後にした。

 市内の中心部を流れる河川の蛇行した堆積部に建つ高校から、政宗の自宅は近い。
 と言っても自宅は市街地を見下ろす山の頂上にあり、自転車での通学は困難である。
冬になって雪が積もれば尚更であった。
 16歳になると同時に、高校のすぐ裏手にある自動車学校にて自動二輪車の免許を
取得した政宗であったが、彼の高校ではバイク通学が禁止されている。
 レトロなデザインの小型の観光バスが丁度自宅と高校の前を通るのであるが、季節に
よっては観光客で溢れるそのバスを利用することは滅多にない。
 ゆえに社長御曹司という身の上ながら、彼は徒歩で通学している。

 しかしこの今日は、彼が校門を出たところで携帯電話が鳴った。

「Hellow?」
「政宗様、小十郎です。只今美術館の駐車場におります。今どちらにおられますか?」
「丁度校門出たところだ。」
「ではすぐに向かいます故。」
「いいよ。こっちから行く。そのままそこで待ってろ。」

 それだけ言うと政宗は電話を切った。
 そして道路を挟んで高校の隣に在る美術館に向かう。
0110製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)1/72013/02/14(木) 22:45:52.91ID:maRh2gGp
「別に迎えに来なくたっていいのによ。」
「ですが毎年、この日には大荷物になりましょう。」

 小十郎は、彼が開けたドアから後部座席に乗り込む政宗が抱える、通学鞄以外の荷物を
見ながら言った。

「荷物っても大した重さじゃねぇよ。そりゃ花束大量とかだったらアレだけどな。」
「……せめて昔のように男子校のままでしたら、このような御面倒を
 おかけすることもなかったのですが。」
 政宗と同じ高校の出身である小十郎は溜息をつきながら運転席に座り、車を発進させる。
 彼が通学していた頃は、政宗の高校は普通科の公立進学校としては全国でも珍しい
男子校であったのだ。尤もこの傾向はこの市特有のもので、以前まで主な公立伝統校は
男女とも別学であった。それらが共学化されたのは、ごく最近のことだ。

「別に面倒でもねぇよ。面倒なのは態々迎えに来たり、事後処理を手伝ったりする
 お前のほうだろ。」
 その『事後処理』こそが一番の面倒であることを暗に示して、もう一度小十郎は溜息を
ついた。


「政宗、お帰りなさい!」
「おう、いつき、良い子にしてたか?」

 玄関をくぐると同時に駆け寄って来た妹に、政宗も普段は近寄り難いまでに眼光鋭い
容貌を破顔させる。

「また今年もいっぱいもらったべな。」
「Jealousyか?」
「まさか、たくさん『おしょうばんにあずかれる』からうれしいんだべ!」
「Oh……ちょっとは妬いてくれたっていいだろ?」

 恐らく政宗が貰ったチョコレートのどれよりも甘い兄妹の会話に、後ろに控えていた
小十郎は本日三度目の溜息をついた。


「28、29、30……」
 ダイニングのフローリングに敷いた古新聞の上に、いつきが紙袋から出した
チョコレートを並べて数えていく。
 下駄箱に入れられていた上に一度登下校口の床に落としてしまった為、食事をする
テーブルには直接並べられないのだ。
「……41! 政宗ー! 41個だったべ!」

 それを聞いて小十郎が遂に天井を仰いだ。
0111製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)3/72013/02/14(木) 22:46:55.83ID:maRh2gGp
「御苦労さん。……まぁよくもそれだけ突っ込んだものだな、あの狭い下駄箱に。」
「ちっちゃいのも沢山あったからでねえべか。」
 今度はいつきがメモ帳を用意しながら包装紙を開けていく。

「政宗、やっぱり名前書いてないチョコもいっぱいあるだよ。」
「直接渡さねぇ上に無記名とか、意味ねぇだろうにな。
 そもそも直接渡しに来た奴は今年も一人もいなかったぞ。」
 台所で鍋などを準備しながら政宗も呆れた声を出し、小十郎がそれに応じる。
「また返礼に手間取ることになりますな。」
「仕方ねぇよ。向こうも承知の上だろ。
 どうせもうすぐ卒業するし、オレも東京行っちまうからな。」
「……二次試験を終えられて解放感に浸られるのは宜しいのですが、
 合格発表をご覧にならないうちから皮算用は早いのではありませぬか。」
「お前こそ縁起でもないこと言ってんじゃねぇよ。
 センターの自己採点も二次試験も、予想より出来が良かったんだしよ。」

 頭の上を通り過ぎる主従の遠慮ないやり取りを余所に、いつきはチョコの差出人の
名前や大きさ、特徴などをメモ帳に控えていく。
「手作りは18個だったべ!」
「……割と多いな。」
 政宗が顔を顰める。
 仕事は有能だが家事能力に大変問題のある母の手料理で食中毒を起こした経験から、
女性の手料理が苦手なのだ。

「どれ、どんなんだった?」
 顔にまったく似合わない花柄のエプロン姿で、政宗はいつきの前に広げられた
女子生徒達の涙ぐましい努力の結果を覗き込む。
「Hmm……ま、そこそこDesignも凝ってるし形も整ってるのが多いな。」
「手作りのは全部、一つ一つ写メにとって名前もひかえただよ。」
「Good girl. お前は相変わらず有能だな。」
 政宗はいつきの頭をぐりぐりと撫で、いつきがそれを振り払い、小十郎が溜息をつく。
いつもの光景であった。

「じゃ、Cookingの開始といくか。」
 言うと政宗はチョコのうち、手作りだという18個をまとめて金属製のボウルに
放り込んだ。
0112製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)4/72013/02/14(木) 22:48:09.68ID:maRh2gGp
 既にコンロの上で温まっている大型の鍋にはった湯にボウルを入れ、チョコを湯煎で
融かす。傍らでは小十郎が、薄力粉に卵にバターといったスポンジケーキの材料を
冷蔵庫やキッチンの下の引き出しから取り出す。
「いつき、changeだ。チョコ融かしててくれ。オレはスポンジ作るから。」
 難易度の高い作業を担当する為、政宗が妹を呼ぶ。
 可愛らしいひよこ柄のエプロンを着けたいつきはコンロに駆け寄ると、鍋つかみを
嵌めた手でボウルを押さえ、兄から渡された泡立て器でチョコを融かす作業を始めた。
 コンロは、いつきの身長でも何とか無理のない高さではあるが、小十郎が量りや
ラップやクッキングシートを準備しながら、しばしば目線を送って見守る。

 政宗はいつきの隣に立ち、もう一つの鍋でやはり湯煎しながら慣れた手つきで卵を
かき混ぜる。阿吽の呼吸で小十郎が差し出す分量通りの砂糖を入れて更にかき混ぜ、
火を弱めて仕上げにかかる。
 小十郎がレンジで温めたバターと牛乳を政宗の脇に置き、オーブンを予熱し始めた。
続いて薄力粉と篩も準備する。
 政宗が鍋を火から下ろし、その薄力粉を篩にかけながら卵の中に落とし入れ、ヘラで
かき混ぜながらいつきに声をかけた。
「いつき、ちょっとチョコくれ。」
「わかったべ。」
 融けたチョコを大さじに掬って、卵と薄力粉の入ったボウルに垂らし、すかさず政宗が
素早くかき混ぜる。それを政宗が良いと言うまでいつきが繰り返した。

 政宗はバターと牛乳も加えた粉を型に注ぎ入れ、何回かキッチンの台に叩きつけて
空気を抜いてから、小十郎が温めておいたオーブンで焼き始める。
「一旦火止めていいぞいつき、スポンジ焼き上がるまで小休止だ。」

 政宗は健気にチョコをかき回し続けていたいつきに声を掛け、ダイニングのテーブルに
着きながら小十郎が既に用意していた紅茶のカップに手を伸ばした。
0113製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)5/72013/02/14(木) 22:48:52.99ID:maRh2gGp
 その後も作業は続けられ、出来上がったチョコレートケーキは、材料となったチョコを
贈った女子生徒にいつきが同情を送りたくなる程に、見事な出来栄えだった。
「……食べてもらわずに捨てられちまうよりはマシだべか……」
「Ah? 何か言ったか?」
 エプロンを外しながら尋ねる政宗に、いつきがふるふるとかぶりを振る。
「人気者のにいちゃんを持っておらは幸せだべ。」

 広いこの家には台所が二ヶ所ある。
 もう一つの台所では、今頃家に務める料理人の手によって夕食の準備が整えられている
筈だ。
 ちなみに規模の小さなこちらのキッチンの方は元々使用人用であったが、同居家族が
減った今は使用人の分の食事も家族用と同時に作らせて彼等も夕食を家族と同じ場所で
摂る為、現在のここは、ほぼ政宗の趣味専用の場と化している。

「じゃ、ケーキは食後のお楽しみだ。そろそろ夕飯だな。」
 政宗に促され、いつきと小十郎が彼に続いて食堂に向かう。

 兄に手を引かれながら、いつきはちらちらと横目で彼の顔を見上げた。
 右手でいつきの手を引く政宗の表情は、彼女からは良く伺えない。
 政宗が右目に眼帯をしている為だ。

 しかし、いつきの顔が直接見えていない筈の政宗の薄い唇の端がにっと吊り上がる。
「……何か言いたそうだな、いつき。」

 いつきがはっとして咄嗟に視線を逸らす。
 政宗がくるりと顔を傾げ、少し紅潮した妹の横顔を見下ろした。
「『楽しみに』しておくぜ。」

 それを今この場で言ってしまっては野暮というものでしょうと、声には出さずに今日
何度目かの溜息だけで小十郎が指摘した。
0114製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)6/72013/02/14(木) 22:50:11.40ID:maRh2gGp
 夕食の後、食休みを取ってから、政宗と小十郎といつきが小さいほうのダイニングに
集まる。小十郎が紅茶を淹れ、いつきがケーキを切り分ける。
「そうだいつき、オレが東京行くことになったら、お前も連れて行くからな。」

 小十郎が危うくポットから紅茶を零しそうになった。

「えー!? せっかく今の学校でも友だちできたのに、また転校するんだべか!?」
 2年程前に青森から引っ越してきたばかりのいつきが不服の声を上げる。
「おら、来年度で六年生だべ、せめてあと一年はここにいて、そのまま卒業したいだよ。」
「だからこそだろ。あっちじゃ中学でも受験とか普通なんだぜ?
 早いうちに慣れといた方がいいだろ。」
「……おらそんな、せかせかしたところに着いて行く自信ないだよ。」
「お前は賢いから大丈夫だ。心配すんな。」

 小十郎が最早隠しようもなく、こめかみと唇の端を痙攣させる。
「……輝宗様は何と仰ったのですか?」
「快諾したぜ?」
 息子の勉学面での教育はしっかりするものの、その他の点については微妙に甘いと
言わざるを得ない当主の判断に、小十郎はとうとう大きな掌で強面の顔を覆ってしまう。

「そんな、急過ぎるべ……」
「あと1ヶ月以上あるから大丈夫だろ。ダチとは文通でもメールでもやって
 付き合いを続ければいい。」
 強引な兄の言葉を受けて尚もぶつぶつと呟くいつきへと心底憐れむ視線を送り、
小十郎が彼女の切り分けたケーキの皿をテーブルに並べていく。

 甘くて少しほろ苦いケーキは、それでも美味しく三人の腹に収まった。
0115製菓業界の思惑に乗る日(政宗×いつき+小十郎)7/72013/02/14(木) 22:50:56.96ID:maRh2gGp
「……あの、政宗……」
「Ah?」

 リビングで大きなソファ型クッションに埋もれて映画を見ていた政宗に、いつきが
おずおずと声をかける。

「さっきケーキ食べたから、今日はもうおなかいっぱいになっちゃったべか?」

 政宗は背後に立つ少女を、ぐるんと上体を仰向けに倒して逆さまに見上げた。

「I'd been waiting for you.」

 英語の過去完了形などまだわからないいつきだが、雰囲気で意味は察した。
 逆さまの政宗の顔は、それでも見栄えが良く、笑う口の形は三日月を連想させる。

「……でも、やっぱり、女の子の手作りはイヤなんだべ?」

 恥じらいゆえか、往生際悪くもじもじする妹の顔に、政宗の長い腕が伸びる。
 そのままいつきの銀髪の頭を引き寄せ、つられるままに身を屈めたいつきに、間近で
政宗が囁いた。
「You're kidding! お前の作る物、オレが嫌がる筈なんかねぇだろ?」
 早く寄越せよ、と催促する兄に、遂に観念したいつきは後ろ手に隠し持っていた
チョコレートを渡す。

「……手作りなんて初めてだったし、一番かんたんなセット選んだから、
 政宗のとは比べ物にならねえくらいへたくそだけんど……」
「上手い下手よりまずは気持ちだろ? 直接渡す度胸も無いお嬢ちゃん方のより、
 お前のくれる物の方が何百倍何千倍も価値がある。」

 歯の浮くような台詞を平然と口にすると、政宗はいつきを手招いて隣に座らせる。
「い、今ここで開けるんだべか?」
「あと2時間程で日付変わるだろ。今食わないでいつ食う。」
 包み紙の中から取り出した可愛らしい一口サイズのチョコレートを、しかし政宗は
いつき自身の唇に押し付ける。

 その仕草に、やっぱりいらないんだべか、といつきは悲しげな表情を浮かべたが、

「Hurry. Feed me.」

 ――口移しで食べさせろ――

 そう言われたことを察してしまったいつきは、一気に顔を真っ赤に染める。

「そ、そ、そったらことできるわけねえべー!!」

 じたばたともがくいつきの肩をしっかり抱いて離そうとしない政宗は、取り落とす
懸念を避ける為にやむなく自分でそれを口に含むが、そのままいつきにクッションで
何度も殴られて「Wait! Calm down! 落ち着けいつき!」と慌てて宥め始めた。


 暫く賑やかにじゃれ合う兄妹の背後に、重い足音が遠くから近付いて来る。

 とうとう堪忍袋の緒が切れた御目付役が、「御自重なされよ!」と毎度の雷を落としに
来るまで、それ程の時間はかからなかった。
0116名無しさん@ピンキー2013/02/14(木) 22:52:43.53ID:maRh2gGp
申し訳御座いませぬ、>110は2/7です。書き込み寸前でオートで
名前欄がもどりおった……

以降は大人しく時代物に戻りますorz
0118名無しさん@ピンキー2013/02/14(木) 23:38:18.48ID:qh6CtiML
GJ!バレンタインネタいいよいいよー!いつきちゃんかわいいよー!
0119うpろだ小ネタの御連絡2013/03/01(金) 00:46:47.64ID:Vm2PxwE9
七夕(仮)です

いきなり泣きから入りますが、エロを書くのはは非エロの5倍から10倍の
体力精神力を消耗する為、ここのところ消化不良な話ばかりで申し訳有りませんorz

投下したいネタは有るのですが、「全部伊達いつ」「全部エロ無し」という有様で
流石にエロ無し話6連発、同一カプ(ほぼ)4連発はマズいだろうと思いましたので
ここには直接投下せず、うpろだに上げさせて頂きます

パスはつけません、フリーです
三つの話を一緒くたにしてテキストファイルにしましたので、お暇でご興味を示して
頂ける方は大変お手数ですが、エロパロ専用うpろだまで御足労願います


http://u3.getuploader.com/eroparo/download/191/%E4%BC%8A%E9%81%94%E3%81%84%E3%81%A4%E4%B8%89%E6%9C%AC%E8%A9%B0%E3%82%81+.txt



『臥待月を待たずして』
某所に投下したものの再録。添寝の話ですがエロ度は皆無。
書いてる時には宇都宮さんちその他に虎が一杯出てくることを
すっかり忘れておりました。

『雪深く』
上記の続き。筆頭が原形を留めて無い程にオトメンでポエマー。
ただ、上記よりは甘めな話です。エロくはないですが。

『白い狐』
書いた後に酷いミスがいくつもあることに気付いたので、ここで申し開きを致します。
・筆頭が梵天丸で数え七歳→話の中での実年齢計算したら5歳だった。色々無理があるかも。
・小十郎が梵天丸の傅役についたのは史実では梵天丸が数え九歳の時。
・右目を抉りだした時期がいくらなんでも早過ぎるかも。そもそも史実では抉ってないとか。
・伊達いつと言い張るのが申し訳ないような話
・そもそも二人が出会ってすらいない(大事な事なので2回(ry)
0120名無しさん@ピンキー2013/03/30(土) 23:42:08.40ID:V8qtbFuK
刑部の娘がムルァの嫁だった史実をBASARAで想像したら噴いたw

久しぶりに保守。
0123五月五日の菖蒲(元親×鶴姫)1/52013/05/06(月) 20:10:54.23ID:aFA5y6RI
七夕(仮)です
過疎となっているようですので恐れ入りますがageさせて頂きます

祝4発売!
職人様方の誕生&再臨を願って、枯れ木も山のなんとやらで投下致します

注意書き
・学バサでもない独自設定現代パラレル
・誰特な男同士の猥談
・下品だが直接的なエロそのものは(今回も)無い
・某所投稿作の再録(題は変えてあります)

以上でも差し支え無ければ無聊の慰みとして頂ければ光栄です

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 目覚ましのアラームではなく、ただ一人の為に設定している着信メロディが鳴り響き、
二日酔いで昼まで寝ていた元親を叩き起こした。
 持ち主にとっては興味がないが、彼の義妹が好んでいる流行りのポップス曲だ。
 ちなみに義兄の番号からの着信音は葬送行進曲である。(どうせ鳴る事はまず無い)

「……あー、俺だ。」
『元親にいさま! またお酒飲んでお昼まで寝ていたんですね!?』

 出る前からわかっていた声の主が、電話越しにでも元親の声の濁り様を察して鋭く
指摘する。

「仕方ねーだろ、サークルの付き合いなんだからよ、ふぁああ〜〜」

 布団の中で寝たままの姿勢で話しながら大欠伸をする次兄に、快活な末妹が尚も
言いつのる。

『どうせまたお布団敷きっぱなしで、掃除機もかけてなくて、
 キッチンのシンクには洗ってないお皿が山積みで生ゴミも溜まってて、
 カップ麺の空き箱が重なっているんでしょう!?』

 まるで見ているかのように状況を正確に言い当てた妹に元親は内心舌打ちをする。

『わたし、お掃除しに行きますから。』

 元親はそれまでの弛緩した姿勢から跳ね上がるようにして飛び起きた。

「ちょ、余計な事すんな! 今日まとめてやるつもりだったっての!」
『いーえ、ダメです! にいさまのことだから、どうせまた趣味に没頭して
 一日を過ごすつもりでしょう。』

 連続して図星を突かれ、思わず元親が黙り込む。
『元親にいさまがダメって言っても、もうそこまで来ていますから。
 今日こそは! バシッと!! 片付け敢行です!!!』

 黙ったままの兄に止めを刺して通話は切れた。
0124五月五日の菖蒲(元親×鶴姫)2/52013/05/06(月) 20:11:52.86ID:aFA5y6RI
 ぼふっと布団にスマートフォンを叩きつけ、元親はその周りに散らばったゴミやら、
年頃の娘の目に触れさせてはならないような若い男性にとっての必需品を掻き集め、
それぞれ屑かごや押し入れに放り込む。

 実家からの仕送りに頼らず(家出同然で飛び出した身であるし、仕送りなどを
許してくれるような義兄ではない)バイト代で借りられる程度の学生用のワンルームは
収納場所も大して多くはない。
 そしてこの狭い部屋を、元親が大学の講義の一環やらサークル活動やら趣味やらで
組み立てた手製の機械類が大量に占拠している。
 言わば我が子同然の可愛い作品ではあったが、緊急事態に元親はそれらをひっつかみ、
或いは蹴飛ばすようにして部屋の隅に追い遣り始めた。

 そうこうしている内に玄関のチャイムが鳴る。
「おい待てっ、まだ……」
開けるな、そう言おうとしたが間に合わず、無慈悲にも合鍵によってドアは解錠され、
思い切りよくノブが引かれた。

 春の終わりの清々しい空気と共に愛らしい声が、埃っぽく狭い室内に流れ込む。
「来ましたよ! 元親にいさま!」

 凛々しく腰に両手を当て、鶴姫が新緑の目映い光を背にそこに立っていた。


「ああーもう! やっぱり散らかってるじゃないですか!」
 やっぱりわたしが居ないとダメですね! そう言いつつ腕捲りをしながら良家の
お嬢様は義兄とはいえ血の繋がらない若い男の家に有無を言わせず上がり込む。
 そして固まる元親を余所に、早速部屋の隅に立てかけてある掃除機を引っ張り出していた。

「ほら、にいさま、邪魔です。そのガラクタを片付けたら、お部屋の外に出ていて下さい。」
「おっ、お前、ひとの大事なモンをガラクタ呼ばわりたぁ……」
「ガラクタはガラクタじゃないですか。大体本当に大事な物なら、こんなに散らかして
 埃まみれにさせるはずありませんっ!」
 鶴姫は言いながら、用意周到な事に持参したバッグの中から取り替え式の埃取り
ワイパーを取り出して元親へと放り投げた。
「そんなに大事なら、そのガラクタは自分で掃除して下さいっ。」
 そして自分は一応床が見えているところから掃除機をかけ始める。

 自業自得ではあるが舞い上がった埃にむせつつ、元親が窓を開け放つ。
「鶴の字! 狭い部屋で掃除機かける時は窓開けるもんだろっ!」
「偉そうなこと言うなら自分でちゃんと毎週かけて下さいね!」
 ガーガーと鳴る掃除機に負けぬ様、兄妹が声を張り上げて言い合う。
 元親はぐうの音も出ずに『大事な物』の埃をワイパーで落とす作業に集中することにした。
 この妹にも、古馴染みの年上の女友達にも、(ついでに義兄にも)口で勝てた試しはない。

 床にまだ置かれていた『ガラクタ』と兄の大きな身体を、掃除機のヘッド部分で
容赦なくぐいぐいと押しながら鶴姫はお嬢様らしからぬ手際の良さで部屋を綺麗にしていく。

「もう! せっかくいいお天気なんですから、外にお布団干さなきゃ勿体ないでしょう!」
 掃除機をかけ終えた鶴姫は部屋の隅に畳まれて、というか乱雑に積み重ねられた布団を
よいしょと持ち上げ、開け放たれた掃出し窓からサイズの合わないサンダルを履いて
ベランダに出る。大型の布団を苦労して手すりに広げ、大きな身体を小さくして機械類の
手入れを続けていた室内の兄へと振り返る。
0125五月五日の菖蒲(元親×鶴姫)3/52013/05/06(月) 20:12:45.30ID:aFA5y6RI
「にいさま、わたしお布団押さえてますから布団ばさみ取って下さい。」
「お、おぅ。」
 元親は押し切られる様にして立ち上がり、室内物干しにかけてあった二つの布団ばさみを
取って片手を伸ばす妹へと渡した。

「お掃除とお片付けが終わったら、久しぶりに一緒に外に行きましょうよ。
 いつもお部屋の中で機械ばかりいじってるから、そんなに身体に似合わず
 生白いままなんですよ。」

 再び室内に戻って胡坐をかきかけた元親は、ベランダに立てかけてあった布団叩きで
威勢よくぽんぽんと布団を叩き始めた妹の指摘にまたもぐっと詰まる。
「お、お前……人の気にしてる事を……大体元就だって顔色悪いじゃねえかよ。」
「元就にいさまはいいんですよ。ああいう顔と身体付きですから。
 それに元就にいさまは日向ぼっこ好きですけれど焼けないんです。
 体質だから仕方有りません。」
「そんなら俺だって体質だ! 海に釣りとかサーフィンに行っても全く焼けねえんだぞ!」
 どんな些細な事柄でも義兄と比べられて自分ばかりが何か言われるのは気に食わない
元親は抗議する。
「オイルとか塗ってみたらどうですか? 色黒になりたいんでしたら。」
 間髪を入れず手も休めずに鶴姫がそれを一蹴した。
「いや、俺みたいな図体の奴がテカテカ光ってたら気持ち悪ィだろ、いかにもって感じで。」
「だって気にしてるんでしょう? 色白を。さっき自分で言ってたじゃないですか。」

 元親はこの日、そして通算何度目かわからない程の敗北を喫した。

「さ! 敷布団だけじゃなくて、毛布とかも虫干ししますよ。そこ退いて下さい。」
 ベランダから室内へと戻った鶴姫が、押し入れの襖に手をかける。
 それを肩越しに振り向いて見た元親が慌てた。
「おいやめろっ! 今開けんな!」

 しかし鶴姫は聞かずに襖を開けてしまった。
 掛け布団と一緒に押し込まれていた物体がばらばらと床に落ち、その一つを年頃の少女は
手に取る。
「……何ですかこれ……?」
「馬鹿やめろ見んな!」

 義兄の物理的な制止すらも間に合わなかった。
 元親の大きな手に塞がれる前に鶴姫の大きな目は手にしたものを見てしまい、
「きゃああああああああああ!! にいさまの不潔!!!」



 駆け寄った元親の頬を、鶴姫は手にした雑誌で思い切りひっぱたいたのであった。
0126五月五日の菖蒲(元親×鶴姫)4/52013/05/06(月) 20:13:29.15ID:aFA5y6RI
 大学の学生食堂で、元親は笑い続ける悪友を眇めた右目で睨んだ。
「笑い過ぎだろ、てめえ。」
「Sorry. あまりにもベタな話なんで感動すらしたぜ。」
 大盛りの定食を前にした元親と裏腹に、政宗は手製の弁当を広げている。
 元親とて料理はできなくもないのだが、眼前の友人は見かけからは想像できない程に
マメな性質らしく、毎日異なるおかずを詰めた弁当を持って来る。その上、それは自分で
作ったものだと言うのだ。

「そもそも、現物を溜め込むアンタが迂闊だろ。ネットとか色々あんだろうが。」
「うるせえな。スマホじゃ画面小さくて物足りねえだろ。」
「ノートPCとか持ってないのかよ。」
「同じ機械でもそっちには金をかけたくねえんだよ。
 どっかのお坊ちゃんと違って自活してる苦学生なんだぞ俺は。」
 一部分だけ聞けばごく真面目なやり取りを、色々な意味で『食べ盛り』な大学新入生が
繰り広げる。

「じゃ、想像に頼れよ。丁度向こうから食材がやって来てくれた訳じゃねぇか。」
「おいコラ、何の話だ。」
「久しぶりに会ったんなら記憶も更新されてイメージimageもし易くなっただろ?」
「だから何の話だってんだよ!!」
「酔った勢いで与太を話したんじゃねぇなら、惚れたって聞いたが、アンタのい」
「てめえそっから先言いやがったらぶっ飛ばすぞ!!」

 流石に他の学生からの白い目線の束が突き刺さり、元親は我に返って黙った。
 薄い唇と左目に性の悪い笑みを貼り付けた年下の悪友に鬼神の表情を向けるが、当の相手は
蛙の面に水とばかりに受け流す。

「……あのなあ、もしそうだとしても妹でヌくとか人としてどうなんだよ。」
 元親は低く押し殺すことで迫力の増した声を政宗に投げた。
「別におかしくはないんじゃねぇのか。血が繋がってる訳じゃないんだろ?
 実際にヤるならともかく、ネタになら実の姉妹でも使ってる奴は多いんじゃねぇか?」
 政宗は同じく声量を落としながらも、整った顔立ちが見事に台無しになるような言葉を
しれっと返した。

「あ!? そういうもんなのか?
 普通、実の身内にはそういう気って起こらねえもんだろ……!」
 また声が大きくなりかけたことに途中で気付いた元親がデクレシェンドで問い質す。
「実じゃないっつっても実際身内に『そういう気』を持ってる訳じゃねぇか、アンタは。」
「実かそうでないかは大事なとこだろ……!」
 っつーか義理であってもおいそれとできる訳ねえよ……!」
「何cherry boyかマタイの福音書みてぇなこと言ってんだよ。
 頭ん中でヤる分には構わねぇだろ。」
「お前の頭ん中こそどうなってんだよ。
 本気で惚れた相手だからこそ汚したくねえとか、結構良くある話だろ。
 ましてや義理でも妹相手とか、罪悪感や自己嫌悪半端ねえだろ……!」
 会話の間にも食事の手は止めず、男子学生二人の品の無い応酬は続く。

「やれやれ、見かけによらずromanticistなんだな、アンタ。
 本気で惚れちまったら妹でもその気になるってのも割とよくある話だろ。」
「あってたまるかよ。いつの時代の話だよ。何の為に法律ってもんがあると思ってんだ。」
「そんなにおかしなことかねぇ。義理なら問題ねぇだろ。」
「大有りだろうが。例えばお前、自分の妹相手にそういうことできんのか?」
「いや普通にやってるぜ?」
0127五月五日の菖蒲(元親×鶴姫)5/52013/05/06(月) 20:14:02.97ID:aFA5y6RI
 元親は大きな白身魚のフライの欠片を危うく喉に詰まらせかけた。
「おい、ちょ、待てよ! お前んところの妹って……!」
「アンタんとこと同じく血は繋がってねぇんだからno problemだろ?
 実際に手を出した訳じゃねぇんだし。」
「いやそこじゃねぇよ! 歳だよ歳! 確かまだ小学生とかじゃなかったか!?」
「女子っつーのはやっぱ成長が早ぇんだよな。
 数年前はこんなだったのにもうかなり女らしくなってきてるんだぜ?」
「いやいやいや! だとしてもまだランドセルしょってんだろ? 有り得ねえって!」
「有り得まくりだろ。
 どんだけ小学校から保護者への痴漢出没注意喚起が回ってきてると思ってんだよ。
 世の中にそういう連中が多いからだろ。」
「……お前自分で言ってて情けなくならねえのか?
 犯罪者予備軍だって自白してるようなもんだろ。」
「実際にやらかす奴が馬鹿なんだよ。そこで見守ってやるのが男ってもんだろうが。」


 例え義理でも小学生の妹にそういう気を抱いただけで充分馬鹿だろうが、という言葉を、
元親は最後の米飯と共に飲み込んだ。






 広い公園は都心でも豊かな緑を湛える。
 快晴の太陽が投げる光の中、踊るように跳ね歩く後ろ姿を見ながら、元親はぼんやりと思う。

(今はいいんだよ、遠く離れていて。たまにこうして会うだけで)

 だが、家の中で毎日顔を合わせているなら却って抱くこともなかったであろうこの感情が、
こうやって着かず離れずの距離になったことで余計に募るようになったことも事実であった。

「にいさま! 見て下さい! ほら、あそこ!」

 妹の指差す方を見れば、池のほとり、一面に咲いた菖蒲の紫が緑の中鮮やかに隻眼を焼いた。

 綺麗です、来て良かった! と無邪気にそこへと駆け寄る妹の白いワンピースが晩春の風に
翻り、元親の心に彼を悩ませる想いとはまた別の、郷愁とも違う『何か』を呼んだ。

(……何だ? 今の感じは)

 しかし彼を呼ぶ鶴姫の声に促され、元親は軽く頭を振ってその『何か』を振り払うと、
すっくと真っ直ぐの緑の葉と艶やかな紫の花を持つ、菖蒲の群に寄りそう妹の元へと向かった。
0128名無しさん@ピンキー2013/05/09(木) 22:36:44.10ID:17cb4Zb7
乙です
押しかけ女房な鶴姫ちゃんかわいいよ

待望の4も発表されたことだしまた賑やかになったらいいね
0129名無しさん@ピンキー2013/05/11(土) 18:32:39.89ID:eVChLLst
おお!いつきちゃんの職人様が降臨なさっていた。
毎回ながらGJ!!
0132鵲(かささぎ)の橋(政宗×いつき:健全)1/42013/07/09(火) NY:AN:NY.ANID:ElCP/pWi
七夕(仮)です、まだエロが書けません御免なさい
4の新キャラが発表なのに過疎では寂しいので職人様住民の皆様の招来祈願
新キャラ以上に既存の女性キャラが気になって仕方ありません
鶴ちゃんと孫市姐さんの続投は、いつきちゃんと濃姫様の復活はあるのか!?
・某所投稿作の再録
・前述の通りエロは無いのですが、去年投下した「七夕節句」(緊急保管庫収録済み)
 の前日譚です
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「長らく、お世話になりましただ!」

 お転婆な常らしくも無く、畳にちょこんと三つ指をついて深々と頭を下げる童女。
 その揺れる二つの銀のお下げ越しに彼女を見下ろし、私室の脇息に凭れる城主は
一見鷹揚な笑みを浮かべて答える。

「Ah,こっちに居る間お前にも色々とやってもらったからな、お互い様ってやつだ。
 だからそう畏まるこたぁねぇ。」
 ただ、主人の腹の内を手に取るように察する腹心は、それでも城主の右、いつきに
とっての左の脇に控え、瞑目したまま無言を保っていた。

 卯月に入り、最北端の村でも間もなく田植えを迎える時候とあって、約半年の期間
滞在した米沢城に、ついにいつきは暇を告げることとなったのだった。

「今から起てば明後日には村に着けると思うだ。」
 顔を上げて言ういつきに、政宗は左の眉と眼帯の間に皺を刻む。
「……おい、まさか徒(かち)で帰るつもりか。」
 きょとんとした顔でいつきがそれを受けた。
「当たり前だべ。おらここに来る時も歩きだっただよ。」
「後で小十郎が土産を沢山持たせる気でいるんだ。馬乗ってけ。」
「ええ!? そんな、勿体ないべよ!」
 銀のお下げがぐるんぐるんと揺れる程に、童女がぶんぶんとかぶりを振る。
 そこで、今まで沈黙を保っていた竜の右目が口を開いた。
「……村の株に新しい種や苗を掛け合わせれば、上手くいけばより強い株が育つ。
 遠慮はいらねぇ、持って行け。」
「だども……」
 尚も反論しようとするいつきに、政宗が身を乗り出していつもの企むような形に
唇の端を引き上げて提案する。
「じゃあ、その種と苗でできた最初の収穫を、オレ達にくれるってのはどうだ。」
 ぱちくりと大きな瞳を瞬きし、ぱあといつきが愛らしい顔一杯にお天道様の表情を
浮かべる。
「うん! そうするだ。じゃあ、お言葉に甘えて頂いて行くべ!」
「決まりだな。厩に行くぞ。」

 そして再びいつきが目を瞬いた。
「……お土産は頂いて行くだども、歩きで帰ることに変わりはないべ。
 わざわざ馬を借りるなんて悪いだよ。」
「だから、荷物になるっつってんだろうが。」
「平気だべ! おら、村一番の力持ちだもの。」
0133鵲(かささぎ)の橋(政宗×いつき:健全)2/42013/07/09(火) NY:AN:NY.ANID:ElCP/pWi
 素朴で頑固な村娘に政宗は溜息をつく。
「お前の馬鹿力にとっちゃ軽い荷物でも、かさばりゃ道中の邪魔になるだろ。
 それから、小娘一人に大荷物を持たせて歩きで帰したとあっちゃ、夜盗に
 襲わせに野に放つようなもんだろうが。」
「山賊だの何だのなんて平気だべ。返り討ちにしてやるだよ。」
 三月前の正月でやっと数え十四になったばかりの童女はけろりと言ってのける。

 小柄で華奢な童女の神がかった膂力を知る政宗は、その言葉に毛筋程の疑いも
持つことは無かったが、それでもこう言わぬ訳にはいかなかった。
「そこらの男共が束になっても敵わねぇお前のべらぼうな強さも承知の上だが、
 戦いでもないのにオレの膝元でオレの民を無駄に危険に晒すなんてこと、
 オレが看過するとでも思ってんのか。」

 いつきもその細い眉の間に微かに皺を寄せ、怪訝そうに小首を傾げる。
「変だべ。前はおらに無謀な戦いでも『やって見せろ』って言ってたでねえべか。
 強いおさむらいさん相手におらをけしかけて置いて、只の夜盗を怖がれって
 言うだか?」

 ついに小十郎も軽く咳払いをした。
 政宗の左眉と眼帯の間の皺はいよいよ深くなる。
「聡いのは結構だが、屁理屈捏ねんのも大概にしろ。
 どうしても歩きで帰るってんなら……」

 主君がどう続けるか、既に竜の右目には予想がついていた。

「オレが直々に送ってくぞ。」



 厩の柵の中に並ぶ伊達軍自慢の軍馬の列と、その最奥の青毛の一頭を政宗が自らの
手で引き出す様を見ながら、いつきは呆れと畏れ多さと感謝とどの感情を一番多く
表すべきか迷いながら、既に鹿毛の一頭に馬具を着け終えていた小十郎を振り返った。
「……止めなくていいんだべか。」
「一度こうと決められたら、それを貫くのがこのお方だ。
 ならばそれを迅速に安全に滞りなく済ませるようお力添えするのが、結局は
 最短で最良の道だ。」

 いつきは実直な竜の右目に託された農作物の種や苗の袋を包んだ大きな風呂敷を
背負い直しながら、所在なげに足元に視線を落とす。
「だども、わざわざお殿様に送ってもらうなんて、おら申し訳ないだよ。」
 本来の立場であれば、その言には肯定と同意の言葉を返すべき小十郎であったが、
その大きな手を童女の銀の頭に軽く置き、
「この半年、何を見て来たかを思い出すんだな。」
それだけを告げて主の方へと視線を戻した。
0134鵲(かささぎ)の橋(政宗×いつき:健全)3/42013/07/09(火) NY:AN:NY.ANID:ElCP/pWi
 卯月の野山を二頭の駿馬が駆ける。
 青毛の一頭は前に童女、後ろに蒼衣の国主を乗せて。
 鹿毛の一頭はその腹心と、童女に託す荷を乗せて。

 八本の健脚は米沢の盆地を抜け、急流の難所として名高い最上の川に出る。
「気に入らねぇ土地だ。さっさと通り過ぎるぞ。」
 言って政宗は前に抱えたいつきの身体に回した左腕に力を込め、右手だけで手綱を
鳴らした。
 両の脚だけでも馬を操る程馬術に秀でた政宗の命に答え、漆黒の竜馬が更にその
速度を上げる。
 それに遅れること無く、小十郎の操る鹿毛の馬も続く。

 関所を避け、山の深くへ。
 並の者なら迷うような細い獣道ですら、二頭の駿馬は大して速度を落とすこと無く
速足で駆け抜けて行く。
 背後に感じる政宗の体温を気にかける暇も無く、いつきは通り過ぎる木々の枝から
身を避けるように首を竦め、逞しい馬の首の黒光りする筋肉の躍動に見入りながらも
必死にその鬣(たてがみ)を掴む。

 木々の間を抜けて山の尾根へ出ると、先の割れていない単蹄にも関わらず、二頭の
馬はまるで羚(かもしか)かという巧みさで岩の道を進む。
 人の誰にも咎められることなく、奥州の城主とその腹心は、親族でありながらも
敵と言える羽州の地を只管に北上して行った。



 朝に起ち、日が空の真上に差し掛かった頃会いに小川の畔(ほとり)で一度昼餉の
休息を取り、夕の気配の忍び寄って来た辺りでついに二頭の馬は津軽の地へと入った。
「……本当に速いだなぁ、伊達の馬は。」
 村に居る農耕用の小柄な馬ならいつきも乗った経験がある。更に米沢に居た頃に
他の侍達、また時間を作った政宗によって直に馬術を基礎から教えられていた為、
単に乗るだけでなく、自身で或る程度は自由に馬を操ることはできる。
 だが、鍛え抜かれた南奥州の駿馬と、それを巧みに操る騎馬軍を率いる奥州筆頭の
道行の速さに、いつきは改めて感嘆の息をついた。
 その童女の素直な憧憬にも、誇り高い竜がにこりともせず「当然だろ。」と返した
素っ気なさの理由を知るのは、小十郎ばかりであった。


「あ! 村が見えて来たべ!」
 竹を斜めに切った形に似た馬の両耳の間から、いつきは故郷を見晴かす。

 晩春から初夏へと移り変わる季節の緑に萌える野山の向こう、見慣れた柵、
その奥に並ぶ家々。

 一昨年に侍の襲撃で焼かれた村も、その活気を大分取り戻しているようだった。
 その復興の様を見た政宗はいつきの身を抱えながら密かに安堵の息を漏らす。
 昨年の戦いで相馬と南部と津軽も、伊達の支配の及ぶ地としていたが、各地の
隅々まで具(つぶさ)に見て回る機会は駿馬を駆る奥州筆頭と言えどもそう多くは
ない。
0135鵲(かささぎ)の橋(政宗×いつき:健全)4/42013/07/09(火) NY:AN:NY.ANID:ElCP/pWi
 夕陽の投げる赤味がかった黄金の光を受けた二頭の馬が、村の柵へと辿り着いた。
 近くの田を耕していた村人の何人かが気付き、腕を大きく振る。
「おおー! いつきちゃん、帰って来ただかー!!」
「みんなー! お待たせしたべ、ただいまー!!」
 童女の張り上げる声による振動を感じながら、政宗は彼女を抱えたまま、身軽に
馬から降りる。

「ありゃ! まさか、伊達の殿様だべか!」
「まあまあ、こっただ所までわざわざ御自らおいで下さるとは!」
「どうすべ、お礼しようにも今丁度何にもねえしなあ。」
 集まって来た村人が、政宗の眼帯と蒼衣、そして腰の六の刀を見て目を見張る。
「Don't bother. どうせすぐ帰るから気にすんな。」
 いつきの身を放した政宗はひらひらと手を振って見せる。
 そんな彼をいつきは振り返って見上げ、
「せめて少しだけでも休んで行かなくていいべか?」
と心配そうに尋ねた。
「Ha! 普段の行軍のこと考えりゃ、これっぽっちどうってことねぇよ。」
 鹿毛の馬から降りた小十郎が村人に種と苗の入った包みを渡す横で、政宗は
いつきの銀の頭をぐりぐりと撫でる。
「だども……」
「わあ、いつきちゃん送って下さっただけでなく、こんな物まで頂いていいべか!?」
 村人たちの驚きと喜びの声がいつきの躊躇の言葉を遮り、傍らのやり取りに紛れて
政宗は身を屈めていつきに間近に顔を寄せた。

「今は別にもてなしはいらねぇ。いずれまたすぐ会いに来るからな。」

 え? と呟き、いつきはすぐ傍まで迫った隻眼を見詰める。

「すぐだ、三月後、乞巧奠(きっこうでん)の節句にでもな。」
 その呼び名に馴染みがないのか、尚も大きな瞳をぱちくりと瞬かせるいつき。
「七夕って言った方がわかるか?」

 いつきはこくりと頷きながらも、
「……でも、忙しいべ? お殿様がそんなに何度もこっただ端っこの村まで
 来られるべか?」
とやはり申し訳なさそうに言うのであった。

 半年の間、文字通り寝食を共にしながらも素朴な弁えを失わなかった村娘に、
奔放な国主は再び不敵な笑みと共に彼女の両目に隻眼の光を差し込んで、

「Don't worry. オレが簡単に約束を破るような男じゃねぇってことは、
 この半年で見せた筈だろ?
 最上の川が雨で溢れようが、戦で矢や槍が降ろうが、来るっつった以上
 必ず来るさ。鵲(かささぎ)の橋を渡ってな。」

 軍神の言葉じゃないが、と付け加えて童女のふっくらとした頬を軽く摘んで
から立ち上がった主君に、包みの中の袋を村人たちへと配り終えた小十郎は
ちらと視線を走らせ、予想の範疇であったと言わんばかりに平然として、その
傍らに控えた。

 暮れゆく西の空では、沈む夕日を追って三日月が細くその身を輝かせていた。

―終―
0137名無しさん@ピンキー2013/07/16(火) NY:AN:NY.ANID:/afIiPpk
乙費
0138名無しさん@ピンキー2013/08/30(金) NY:AN:NY.ANID:wCs561zN
不思議に思うんだけど、なんでピクシブで公開済みの作品をタイトル変えてまで投下すんの?
それがルール違反というわけではないのだろうが、どっちかにしないの?なぜ?
あと>>2をもう一度読むのをオススメする
0139七夕(仮)2013/08/30(金) NY:AN:NY.ANID:RKx7FS0y
>>138
去年の12月15日以降、残念ながら自分一人しか書き手がいない状況です
慣れ合いにしか見えない長い前書きで御不快な想いをさせてしまったことは
お詫び申し上げます

その舌の根も乾かぬうちに言い訳じみたことを申し上げて大変恐縮ですが
未熟な自分一人では書けるネタや量、登場人物やカップル、シチュエーションもやはり
限界があり、そうそう簡単には作品の量産はできない状況です

あちらのSNSに投稿を始めたのは、あまりに自分の作風が特定のキャラ、
エロ無しのシチュに偏り過ぎてきたためにこちらで連続投稿するのが
憚られるようになったのが一因です
ですが、自分を育てて下さったこの場所も過疎のままでは寂しいので
何とか住人の皆様、書き手様に戻ってきて、あるいは新しく住み着いて
頂きたいと思い、お目汚しながら拙作のご提供をさせて頂いた次第です

今後、前書きはできるだけ簡素にするよう努めますので、作品そのものが
お気に召さない場合は、何卒スルーをお願い致します


それから、他にここをご覧の方々がいらっしゃいましたら、どうか雑談だけでも
楽しんで行って下さらないでしょうか?
折角4の発売が決定したことですし、またこちらには以前のように賑わって欲しいのです

いち書き手からのお願いでした
0140名無しさん@ピンキー2013/08/31(土) NY:AN:NY.ANID:u3ui/kFU
僕は支部は見ないので気にしませんが

雑談ですか
柴田勝家とお市と言ってみる
0141名無しさん@ピンキー2013/09/01(日) 00:21:28.66ID:/hgRcwnE
>>140
その二人、なんつーかこう「雪割りの花」並みの鬱になりそうな気がするんだよな…
(※主人公が恋人事故死で記憶を失くした憧れの女性のために恋人のフリをするお話。
BADEDのヒロイン飛び降り率の高さで有名)
0143名無しさん@ピンキー2013/09/06(金) 17:32:20.32ID:E1nceVc7
自分は書き手(すげー昔に官兵衛×鶴を書いた)で、この場所も未だにちょいちょい
覗かせて貰ってるよ
ここ数年どうにも忙しくて書けてないが、思いつきにくい面白い組み合わせは見たいし
書きたいので、書ける状況に戻れた時にココが細々とでも残って欲しいというのは
自分もあるかな
頻繁に書けない自分がどうこうは言えないけども

4、直虎が幸村と絡める女キャラなのかお館様とのやりとりが濃いのか
気になってる
左近と直虎も面白そうだ
0144名無しさん@ピンキー2013/09/07(土) 22:58:07.36ID:yyzuh77r
新キャラ達も勿論だが幸村と直虎の絡みすげー楽しみだ
エロなしでも男女カップリングは大好きだから、4が出てもっと盛り上がるといいな
0145名無しさん@ピンキー2013/09/22(日) 14:35:50.55ID:xwcOSleV
来年の大河ドラマは軍師黒田官兵衛。
備中高松城の水攻めを羽柴秀吉に献策したのは黒田官兵衛とのこと。
大河ドラマにちなんで備中高松城の水攻め復元模型を製作した。
http://mirai660.net/castle/
0147名無しさん@ピンキー2013/09/25(水) 01:23:31.09ID:2gjp94qf
>>143
俺にお婿さん候補になってほしいって事?に萌えた
チャラ男×ツンデレって鉄板だよなあ

井伊軍モブ女性に鶴姫の中の人がいたらしいので鶴姫出るかな
出るなら鹿之介と絡んで欲しいな
同い年っぽいし住んでる場所近いしどっちも天然っぽいので仲良くなれそうな二人だ
0149名無しさん@ピンキー2013/11/07(木) 12:26:59.13ID:+XhwfpBc
女キャラ二人目来たな!
長政の姉らしいけど、台詞を見るに悪の女幹部みたいなキャラなのか?
0150名無しさん@ピンキー2013/11/07(木) 13:27:23.65ID:xMff01ka
長政の姉のはずなのに銀髪三つ編み声が沢城さんと、いつきちゃんを連想させる要素が
沢山入ってることが気になる
たいした意味はないのかもしれないが

政宗を布で拘束して口付けを迫ったらしいしエロ方面での新境地開拓できそうなキャラではありそう
0151名無しさん@ピンキー2013/11/07(木) 23:49:01.94ID:g9QZmoQ7
新女性敵NPC、京極マリアの性格が高飛車処じゃないらしい。
女王様キャラで迫るもよし、逆に屈服させるもよしでエロ的においしいな。
0152名無しさん@ピンキー2013/11/08(金) 05:45:18.70ID:27qGMMUJ
長政が一気にエロゲ主人公に…
薄い本が厚くなりそうだ
0153名無しさん@ピンキー2013/11/11(月) 21:49:34.03ID:/rW8XDy1
>>152
ヤンデレ嫁
女王様姉
美脚義兄嫁
これに浅井3姉妹足せばエロゲ1本できるな。

できればツンギレ夫細川忠興とカルト嫁ガラシャ夫婦も出して欲しい。
これに変態舅光秀がからむと思うと胸熱
0154名無しさん@ピンキー2013/11/12(火) 15:33:51.27ID:mEpNLP34
又兵衛は明智や松永先生と違って俗なゲスって感じだから
リョナ方面で期待したい
0155名無しさん@ピンキー2013/12/05(木) 21:56:14.52ID:cxlhXQeJ
4のOPスクショの直虎のアングルがえろい

あの衣装どうなってんだ
0158名無しさん@ピンキー2013/12/06(金) 22:08:14.83ID:EeUleNRn
佐助→かすが→謙信→←お館様←直虎

こうですか


直虎と幸村が気になる
公式情報でもツーショットが多いし
0159名無しさん@ピンキー2013/12/07(土) 06:02:42.08ID:l6ME4iXr
(BASARAの)信玄と謙信はそろそろ公式でくっついても構わない気がする
0160名無しさん@ピンキー2013/12/08(日) 23:32:12.09ID:YNr1OhmI
新映像の幸村、直虎に対して
「恨むのは筋違いでござろう!」とかえらく真っ当に反論してたな…
色々と絡みに期待したい
0162名無しさん@ピンキー2013/12/22(日) 23:27:24.33ID:5/fBLdd2
将軍×マリアのアダルト漂うエロを期待している
弟夫婦を巻き込んだ乱交物とか見てみたい
直虎関連は公式推し?の幸村×直虎は勿論だけど
チャラ男と堅物女の組み合わせ好きにはたまらない左近×直虎も楽しみ
あと鹿之介と鶴姫が一緒に並んでるスクショが可愛かったので
この二人の子供同士な可愛いセックスも見たい
総括すると4が楽しみ
0163名無しさん@ピンキー2013/12/23(月) 15:35:48.96ID:P9zy9cP4
将軍には大人が嗜むって感じのエロを期待したい
女を正しく愛でる、って感じというか
0164名無しさん@ピンキー2013/12/25(水) 02:23:03.42ID:+Qww2eDX
直虎ちゃんは凌辱ネタが似合いすぎる…

マリア様に素直に魅了されてくれる男があの中にどれだけいるかは疑問だけど
可愛い一面とかも見せてくれると嬉しいなあ
0165名無しさん@ピンキー2014/01/01(水) 11:51:03.04ID:4msa74o8
あけおめことよろ
今年は新作が発売されるからこの板も活性化されるといいな
0166名無しさん@ピンキー2014/01/07(火) 12:35:07.97ID:J7tGtj1w
あけおめ
今年はちょっと書こうかな…。
蘭いつをチラシの裏に書いてるぞ
0167名無しさん@ピンキー2014/01/07(火) 13:03:28.82ID:J7tGtj1w
できた
書きこもう
0168名無しさん@ピンキー2014/01/07(火) 13:36:54.56ID:J7tGtj1w
よく読んだら変だ…ネタを書くからだれか…

本能寺で信濃死ぬ→蘭逃げる→いつきにであう→蘭思春期→いつきに
エロいいたずら

みたいな
0169名無しさん@ピンキー2014/01/07(火) 15:29:09.02ID:iElePtto
>>2読めばわかると思うけどリクのクレクレと馴れ合いは程々にな
それにそこまでプロット出来てるなら自分で書きなよ、あと基本sageてね
0170名無しさん@ピンキー2014/01/07(火) 17:30:35.79ID:gd8Ft472
新しい職人さんは大歓迎ですよ
無理はしなくていいけれど頑張って書いて盛り上げて欲しい
0172名無しさん@ピンキー2014/01/24(金) 22:33:57.95ID:Drw0VcFV
直虎が忠勝に好意を寄せてる設定に滾るが
エロパロでやるとなると直虎が大変な事になるなw
0173名無しさん@ピンキー2014/01/25(土) 00:35:56.73ID:hF38HHHC
4関連のカプいくつか思い浮かんでるだけど
ゲームのネタバレ書いてしまう事にもなるので暫くは投下やめといた方がいいかな?
0174名無しさん@ピンキー2014/01/25(土) 03:24:41.18ID:9GUQ99ql
冒頭にネタバレ注意の注意書きがあれば大丈夫じゃないですかね

柴田勝家好きなんだけど、如何せん弱くてドラマルートの最後めちゃくちゃ苦労したorz
でも妄想が捗るキャラだから気合いで頑張った
0175名無しさん@ピンキー2014/01/25(土) 12:48:04.93ID:9JMWYD6Z
こないだの声優イベントで
強い女性キャラについてどう思うか?(一応キャラ視点も交えてほしいなというニュアンスあり)
という質問があって
義輝(池田さん)は「ぼくはちゃんと守ってあげます」と回答してたので
ものすごく滾ったんだが
キャラ的に愛ではしても守るということをする人だろうか?と疑問符なんだ
誰か守る剣帝を書いてくれないだろうか(チラッ
大人なキャラだからエロなしも創造つかん
そうすると余計守る要素を見出しづらくてなー…
0176名無しさん@ピンキー2014/01/27(月) 17:04:52.16ID:wUEpyuOP
>>173
注意書きしたら大丈夫じゃない?
いくつかの詳細が聞きたい
同人スレで少しノマの話題になってたのに、
別の話題で荒れたせいで、すぐ流れてちょっと寂しかったんで
0177名無しさん@ピンキー2014/01/27(月) 23:14:00.02ID:GRPfmDoJ
>>175
声優イベント行ってないんだがそんな質問あったのか
というか4プレイしてみたら将軍様こんなええキャラとは思いもしなかった
0178名無しさん@ピンキー2014/01/28(火) 00:10:08.00ID:Rp0sRbsc
将軍が予想外に子供っぽくてこれは甘えプレイもありだと思った
今回慶孫が全面に押し出されてて慶孫好きな自分にとってはご褒美過ぎたわ
鶴姫と直虎は男性キャラとの絡みが多いので妄想が捗る捗る
鹿之介の温泉ルートは完全にハーレムラノベとかギャルゲの展開だったな
女子キャラ四人相手(戦闘)にして「僕の体…持つんでしょうか…」と呟いた時にはワロタ
ところでおやっさんがメスだと判明したのだがおやっさんもここの仲間入りなのか?w
0179名無しさん@ピンキー2014/01/28(火) 01:00:05.03ID:NJF2j3xW
所詮(一応史実が元ネタではあるが)自分の妄想でしかないと思っていた
就鶴っぽいギャグシーンが公式で実現したようで感涙でござる
0180名無しさん@ピンキー2014/01/28(火) 02:08:40.18ID:WkWMjeId
>>177
トークの流れでさらっと出た質問だった
又兵衛役の人(三木さん)に振られた質問で
その後すかさず池田さんにも質問ふったという流れだったよ
池田さんは役どころ的にもご自身も御大だし振る話題もかなり気を使ってたから
余計におかしみが出て楽しかった

大半の若いお嬢ちゃんはその場のノリと礼儀でもって歓声を上げはしたものの
実際はそんなにピンときてなかったかもね
自分はここに居ていい歳だしwおっさんキャラに滾っているので
ご褒美すぎて妄想が留まるところを知らない状態
ええキャラすぎるわ
色々不満じみた部分もあったが全部帳消しにしてくれる位おいしい
0181名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 02:55:56.48ID:6ypRXUWS
4の新キャラ達みんなおいしくて嬉しい
将軍とマリアの大人エロスたまらんし
直虎はSっ気がたまらん
又兵衛は女謙信リョナってほしい
女性陣と鹿之助の絡みもいいよー
0182名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 08:18:10.85ID:DEqNMJFe
勝家の市への想いが一方通行すぎて、
逆にこれは美味しいと思うようになった
0185名無しさん@ピンキー2014/01/30(木) 03:33:10.26ID:4dATOaT3
>>183
直虎はいざ同衾すると緊張でガッチガチになり、まな板の上の冷凍マグロ状態になりそう
恥じらいよりも緊張の方が大きいと予想する
0186名無しさん@ピンキー2014/02/01(土) 23:51:45.70ID:uchiaOi2
放送禁止になったキノコのCM、いつぞやのまつ姉ちゃんと間男で再生されるんだが、なぜじゃぁ

直虎って花嫁の白なイメージだから、処女喪失の赤が映えるね
やったねナオちゃん!
0187名無しさん@ピンキー2014/02/02(日) 02:32:55.94ID:5UqFaTqr
直虎ちゃん鹿之介にもうちょっと大きかったら婿候補に入れてたとか言い出したw
しかし鹿之介本人はお淑やかな子の方が好みとか言い出すし
大きくなったらかすがをお嫁さんに貰いたいとかぶっちゃけるし何だこの二人www
鹿之介は温泉ルートといい鶴姫ストーリーといいマリアとの繋がりといいメスのおやっさんといい
今までのバサラにはいなかったラノベ系ハーレム主人公属性だな
エロパロ板的には今後最も出番が多くなりそうなキャラの予感
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況