謎の彼女Xエロパロ2
0001名無しさん@ピンキー2013/01/02(水) 17:01:47.04ID:3j/JoFmv
age進行sage進行どちらでもかまいませんが作品投下時にはageてください。
恥ずかしい方はageなくても結構です。

【よくある質問】
エロパロ書くの初めてだけど・・・→誰でも初めてはあるもの、まずは書いてみる事が大事
作品投下してもいい?      →あなたの作品が投下されるだけで多くの方が喜びます。
短くて出来が悪いんだけど・・・ →当店は誰でもウェルカム、作品の質に貴賎はありません。
荒らしが来た!          →スルー推奨。
0558 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:20:39.46ID:d44Zpg/V
日が暮れる頃に俺と卜部は帰路についた。
家に着くと、お祖母さんは夕食を切り盛りしていた。
「お祖母ちゃん、今日のご飯何?」
「美琴の好きなものじゃけん、も少しで出来るよ」
何だろうかと夢を抱きつつ俺も食卓でじっと待つ。
暫くして皿の上に盛られた料理が運ばれた。
鯵の姿鮨、鯖鮨、味噌汁とお新香。豪華な魚づくしの料理に思わずよだれが出そうになった。
卜部は……少し口角から漏らしてしまったようだ。余程心待ちにしていたのだろうか。
「「いただきます!」」
二人威勢良く豪快に食べ始めた。
酢の甘さと鯖のしまりの良さ、鯵の肉から滲み出る美味さが食欲を掻き立てる。
「卜部、この鮨美味しいね」
「お祖母ちゃんの手作りなの、いつも作ってくれたから久々に食べられて嬉しいわ」
「へぇ……」
卜部の故郷ではいつもこんな美味いモノを誰もが食べられるのだろうか。
ふと、玄関の開く音がして誰かが入ってきた。
「ただいま」声の主はお祖父さんのようだ。
「お祖父ちゃん、おかえり!」
程なくしてお祖父さんも食卓へ向かう。
「美琴や、東京はどうや」
どっこいせと座ったお祖父さんは何処か貫禄のある人だった。
「おもっしょい(楽しい)よ、最初こそオジクソ(弱気)じゃったけど毎日ええもんやけん」
まさかの方言である。俺はビックリして卜部をじっと見つめていた。
「彼氏さんもスマンのぉ、美琴がかいらしくて(ぶりっ子などで可愛くない事、皮肉る時の言葉)くわる(疲れる)じゃろ」
「い、いえ!」俺はなんとなく文脈から意味を理解するとそんなことはない、と否定した。
「もう、彼氏にじゃらこい(しょうもない)事言わんといて!」卜部は口を尖らせた。

--
0559 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:24:12.70ID:d44Zpg/V
夕食を終える頃に、お祖母さんが今日の晩酌を持ってきた。焼酎の水割りがお祖父さんの好物らしい。
お祖父さんが焼酎を一杯飲み干すと、卜部に「ちいと飲むか」と酒を勧めた。
オイオイ、未成年なのにいいのかと思っていると卜部は「うん!」と笑顔で答えた。
卜部は自分のコップに氷を転がし焼酎を注ぐと、水割りを作って一口啜ってしまった。
「かーッ、美味い美味い!」
傍から見たら女子高生の皮を被ったおっさんである。
お祖父さんももう一杯口を付けると、突拍子もなくこんなことを尋ねた。
「美琴はもう、彼氏君とはオチャコ(XXX)したんか」
俺は思わず飲んでいたコーラを噴き出しそうになった。
「じゃらこい事訊かんと!」間髪無くお祖母さんから怒号が入る。
俺はどうしたらいいのか分からず口をモゴモゴさせるまでである。
その時だった。
「もう寝ました!」
卜部はイントネーションこそ方言のそれだったが、標準語で突っ撥ねて答えた。
お、オイオイ。酒の冗談ではなさそうだ。俺は危うく貞操の危機を感じる。
卜部は焼酎を一気に飲み干すと突如、ふぁぁとだらしない声を上げて机に突っ伏してしまった。
どうしたものかと困惑していると、豹変した卜部はどんと焼酎の瓶を目の前に置いた。
「明ァ、オメーもオジクソちゃうンなら一杯(イッペー)飲めェや」
うぐ。これは拙いぞ。どうにかして目を覚まさせなくては。
しかしお祖父さんも調子に乗って「おッええトコ見せてくれるんか」などと言う始末である。
仕方なく俺はコップを卜部に渡して水割りを作って貰った。そして手渡されたそれを一杯グイッと飲み干す。
ガツン!と頭を揺さぶられたような刺激がきた。喉が灼けそうだ。
一杯飲み終える頃には既にいい気分になってベロンベロンの卜部に寄り添う事にした。
「あッハッハ、オメーおもっしょい奴っちゃなァ!」
流石に卜部はハサミを使うことはないが、俺の耳許でゲラゲラと大怪笑を響かせていた。
「卜部、もう寝よう」
俺は頭痛に耐えながらよっこらせと卜部を持ち上げた。
「あいあい」
卜部もなんとか起き上がって寝室へと向かった。

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0560 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:28:09.62ID:d44Zpg/V
『此処は、何処だろう』

俺は真昼の太陽の照り付ける白い砂浜の上に立ち尽くしていた。

目の前に卜部がいた。
パンツとハサミだけを身につけて殆ど裸の彼女は、目の前で立ちながらこっちを見つめていた。
俺は何かを確信すると一歩歩み寄り、そっと卜部の肩を抱いて……

卜部の唇に、そっと接吻を重ねた。

すると、どうした事か。
彼女のハサミは急に錆びてボロボロになり、真白な砂浜の上に赤黒く錆びた粉となって落ちてしまった。

俺は彼女からそっと離れると、卜部が口を開いた。
「私達、やっと始まるのね……」
始まる。その予感に一抹の不安と期待を感じ、じっと卜部を見つめていると―

気がつくと、俺は部屋の中で目を覚ました。
月の光が、優しく俺を照らしている。
「夢、か……」
がっかりしたような気持ちと奇妙な雰囲気の中、眠ることも億劫になってきた俺はゆっくり起き上がる。酔いは覚めたようだ。
俺は階下へ降りると誰にも気づかれぬようそっと家の外に出て、海へと向かった。

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0561 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:31:28.15ID:d44Zpg/V
銀の砂を月の光が青々と照らす。
月に照らされる海は黒々しくうねり、昼間とは違った顔を見せる。
その対比をぼんやりと眺めていると、卜部がすぐ横にやって来た。
「起こしちゃった?」俺は卜部にそっと尋ねる。
「ううん、変な夢で目が覚めちゃったから」
暫し、二人の間に静寂が走る。
そして、その静寂を切り裂いたのは卜部からだった。
「さっきは、ごめんね」
「え?」
「椿君と寝たなんて嘘ついちゃった」
「ああ、その事か……」
「私達、キスもまだなのになんでだろうね」
俺達は貞操という概念で強く繋がり、深い絆で結ばれている関係だ。
しかし、俺達はその「一線」を超えられずにいる。怖いのだろうか。それとも……。
卜部が再び口を開く。
「椿君……私達、まだ始まってもいないのね」
始まってもいない。果たしてそうだろうか。
俺達が奇妙な縁で結ばれた以上、何かが変わりつつあるのは確かなのに。
あれこれ悩み抜いた末に、俺は大体こんな事を口走っていた。
「あのな……卜部、俺達は確かに始まろうとしているんだ」
「えっ?」
「始まるとか始まってないとかそういう事が大切じゃないと思うんだよね、一つの通過点を超すために今登り続けている……なんかそういう感じがするんだよ」
俺はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「だから焦る必要なんて無いんだ、俺達は今のままでいい……今を大切に生きたいんだ」
やっと紡がれた言葉の後に、俺はゆっくりと深呼吸して海を見つめていた。
「……そうね、そんな気がするわ」
卜部は静かに答えて、笑った。
その時だった。
青天の霹靂。突如として月は雲に遮られ、翳る。
雷の直後に大雨に降られた俺達は走って家路を急ぐ。
しかし雨足は強く、とてもではないが帰れそうにない。
「椿君、こっち」卜部が俺の手を引いた。
卜部に手を引かれて辿り着いた先はバス停だった。確かに此処なら雨宿りには丁度良さそうだ。
バス停の中、卜部はじっと此方を見つめていた。俺も卜部をじっと見つめていた。
すると突然、卜部は濡れたシャツを脱いで上半身を露わにした。
「平気で胸さらけ出すのもどうかと思うけどな」俺は思わず苦笑した。
「椿君になら見られても構わないわ」卜部は微笑いながら答える。
卜部と俺は顔を見合わせて、笑った。

--
0562 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:35:17.08ID:d44Zpg/V
楽しみに楽しんだ六日間はあっという間に過ぎ去り、俺達は東京へ帰ることになった。
「ほんじゃ帰りは送っていくけん」
「ありがとうございます」
お祖母さんが車を出してくれたおかげで帰りは多少楽する事ができた。
車で揺られる事20分。俺達は来週の予定なんかを話し合っていた。
窓の外に見える赤、緑、青、色とりどりのネオンは何処かもの寂しく、家路につく俺達を見送っている様だった。
「来週から宿題やらないとな」
「私は半分済ませたけどね」卜部は鼻高々だ。
「最終日また何処か行くか?」
「それは椿君に任せるわ」
果たして目の前に駅が見えた。
「では、気いつけてな」
「ありがとうございました」
「お祖母ちゃん、また来年もよろしくね!」
高速バス乗り場へ辿り着いた俺達は深々と礼をした。
暫くして到着したバスに俺達は荷物を投げ込み、搭乗手続きを済ませてバスに乗った。

隣同士の席に座った俺達は、少しだけ話をしてからいつもの日課を済ませようとした。
「今日は、椿君のも舐めていい?」
「え?あ、ああ……」
俺は卜部の口にそっと人差し指を挿し入れて、卜部は自分の人差し指を俺の口にそっと入れる。
そして、互いの口に自分の指を入れてよだれを舐める。
しゅわわ、と海の泡が弾け飛ぶ感触がする。心なしか甘くて、それでいて少し酸っぱい。
卜部も俺も、微かに頬を染めて笑った。
「椿君、また来年も連れてってあげる」
「おう、楽しみにしてるよ」
この夏、六日間は二人にとって最高の旅行になりそうだった。

【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 後編 -Fin-】
0563 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:39:48.60ID:d44Zpg/V
【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 後編 -あとがき-】
取り急ぎ、報告をば。前編執筆中に◆URBRTbKUxcのPCのHDDがぶっ壊れました。
幸いデータ側ドライブではなくOS側ドライブの不調なので助かりましたが、現在慣れぬLinuxにて執筆中であります。
現在使用しているのはMint LinuxですがWineの互換性がまぁまぁイイので助かっております。
さて話を戻して本作ですが、つい最近観た映画が基になっております。
北野作品の中でも白眉と呼ばれるに相応しい「Sonatine(ソナチネ)」、これがまた感動の名作なのですが北野武氏の死生観が綺麗に出ているとても素晴らしい作品なのであります。
(雨宿り中にヒロインが脱ぎ出すシーンもまんまソナチネですね)
今回方言を使う場面がありましたが、◆URBRTbKUxcの本籍地である徳島県を舞台にしたため徳島弁を入れました。
本当なら阿波踊りの描写も入れたかったのですが、あまりに冗長になるのと取材する時間が無かったため、削りました。
ところで、皆さんは方言で喋る女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0564 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:51:58.40ID:d44Zpg/V
sage進行のまま進めてしまい申し訳ございませんでした。
此方の作品もDropboxに用意させていただきました。
保管庫の方も引き続きよろしくお願いします。

https://www.dropbox.com/s/dhxsjtzwie13h6o/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%A5%8F%E9%B3%B4%E6%9B%B2%28%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%8D%29_%E5%BE%8C%E7%B7%A8%E3%80%91.txt?dl=0
0566 ◆URBRTbKUxc 2016/01/06(水) 14:13:57.93ID:Zy30YB/f
ちょっとしたショートショートを書きたくてやってみました。

1レス小説シリーズ【謎の「むにゅ」】

「卜部の胸を好き勝手してみよう」ふと俺、椿明はそんな事を考えた。
そんな悶々を抑えつつ、ある日の放課後の教室。
偶然にも用事を済ませた矢先に卜部はいつもの机の上で居眠りをしていた。今なら卜部の胸を好き勝手出来る。絶好の好機(チャンス)だ!
俺はそっと卜部の背後に回ると静かに胸へと手を伸ばし、そっと胸に触れた。
その時である。
「……んっ、ふ……ぅぅん……ぅ…………」
卜部は悶えたような声を出してふるふると小刻みに震えた。
俺は慌てて手を引っ込めると卜部の前に回って、その様子をじっと眺めていた。
程なくして卜部はそっと首をもたげる。口角から僅かによだれを垂らして起き上がった彼女は頬を染め、あどけない表情で此方を見ていた。
「……なに……?」卜部はふにゃふにゃの声で此方に問いかける。心なしか可愛い、そう感じてしまった。
「う、卜部……もう下校時間だぞ」俺は慌てて卜部の垂れたよだれを拭い取った。
「……みたい、ね……じゃ、一緒に帰ろ?」卜部はほんのり恥ずかしげな笑顔を見せた。
帰り道、二人は何時もの日課を済ませると卜部は足早に帰路へとついた。
卜部のマンション。その一室に果たして着いた彼女は自分の部屋のベッドに倒れこみ、ゆっくりと呼吸を整える。
「……私、なんて夢を観てたのかしら……だけどあの夢は嫌いじゃないわ、何処か甘くて切ない夢……」
暫くして卜部はベッドの上に寝転がり、か細く呟いた。
「椿君もえっちだけど……私も相当えっちなのね……」

ちなみに後程机に零れたよだれを発見したのは保険委員会の帰りだった丘だったが、そのよだれを舐めてしまい鼻血を出して倒れたところを上野に発見されたのは言うまでもない……。

【謎の「むにゅ」 -Fin-】

【謎の「むにゅ」 あとがき】
今日も元気だの人からインスパイアされた短文小説(ショートショート)です。
短い中にいかに沢山の情景を詰め込めるかの実験で、単なる思いつきでもあります。
ところで、居眠りしながらエッチな夢を観る女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0568 ◆URBRTbKUxc 2016/01/06(水) 17:52:27.06ID:Zy30YB/f
>>567
30行が大体ブラウザで読むのに適当かと思い、30行前後で内容を濃厚に盛り込む所謂「1画面ショート」に挑戦したかったので作りました。
構想含めてほぼ1日で書き上げたので多少アラはあるかもしれませんが概ね満足しております。
0569名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:15:14.80ID:GL7sUpLI
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
ヤンデレ卜部さん

唐突なのだが、俺こと、椿明は今、自分の彼女である卜部美琴によって監禁されている。何でこんなことになっているのか見当もつかない。
「なあ、卜部」
さっきから、正確には俺の眼が覚めた時からずっと俺の事を見つめている卜部に声をかけた。
「なあに?椿くん」
心なしか嬉しそうな声が返ってきた。
「何でこんなことをするんだよ、今の卜部はちょっとおかしいぞ!?」
いつもの卜部も普通とは言いがたいけど。
「何でって、椿くんを独り占めにしたいからだけど?」
「へ?」
自分の予想の斜め上の返答に思わず変な声がでてしまった。
「だ、だからってこんなことする必要ないだろ!」
じゃら、と俺の首に巻き付いている首輪の鎖が音をならす。この首輪のおかげで逃げることができない。
「そうかなぁ?」
「そうだよ!とにかく、これをはやく外してくれよ」
「それはダメ」
「何で!?」
「だって、そんなことをしたら椿くんがどこかに行っちゃうじゃない」
「は、はぁ?」
「椿くんは、これからずーっと私と一緒にここで暮らすのよ」
「こ、ここで!?」
「そうよ」
「食事とかトイレとかはどうするんだよ!?」
「食事は私が持ってくるし、トイレは椿くんのオムツを取り替えれば問題ないわ」
「へ?オムツ?俺はそんなのはいてないけど?」
「それじゃあ、ズボンを脱いでみて?」
う、卜部の前でズボンを!?
「無理無理無理無理!絶対無理だって!」
「つべこべ言ってないでさっさと脱いで。それとも、ハサミで切り刻んで欲しい?」
「わかりました!脱ぎます!脱がせてください!」
いつの間にか取り出していたハサミを突きつけられ、慌てて言った。
「うう、何でこんなことをしなくちゃ・・・ってあれ!?俺、パンツを履いてたはずなのに!?」
何で俺、オムツなんか履いてるんだよ!?
「椿くんが寝てる間に変えておいたのよ」
「うぇ!?ってことはつまり」
「ええ。バッチリ見たわ」
「さ、最悪だ・・・」
「別にそのくらい良いじゃない。今からもっと不謹慎な事をするんだもの」
そう言い、服を脱ぎながら近づいてくる卜部。
「ちょ、ちょっと待てよ卜部!よせ!早まるな!」
「本当はうれしいくせに」
まあ、そうなんですが。
「大体、キスもまだだっていうのにいきなりそういうことをするというのはどうなんだ!?」
そう言った途端、卜部はこっちに近づいてくるのをやめた。
「・・・そうね。さすがに急すぎるわよね。ごめんなさい」
「謝ってくれるのはうれしいんだけど、ついでにこの首輪も外s「それはダメ」・・・そうですか」
「なら、どうすれば外してくれるんだよ?」
「外して欲しいの?」
「も、もちろん」
0570名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:16:18.24ID:GL7sUpLI
言い終わるや否や卜部の指が俺の口の中に差し込まれた。口の中に物が入ったことによって反射的によだれがでてくる。
やがて俺の口から俺のよだれがたっぷりとついた卜部の指が抜き出された。そしてその指がそのまま卜部の口に吸い込まれるように入っていった。そして、俺のよだれをクチュクチュと音をたてて吟味していた。
やがて俺のよだれを飲み込み、開口一番
「嘘つき」
と言った。はい。嘘です。
「椿くんも、私の事を独り占めにしたいんでしょ?」
「そ、それはそうだけど」
「なら良いじゃない。それとも、そんなに首輪が嫌なの?それなら手錠にする?」
「そういう問題じゃないと思うんだけど・・・」
「でもこうでもしなきゃ椿くんが私をおいて何処かに行っちゃう。絆があるのに椿くんが盗られちゃう」
「卜部?」
「早川さんといい、今井百夏といい、諏訪野さんといい、私の椿くんを盗ろうとしてる人ばかり。でも、そんなことさせない。させるもんですか。絶対に椿くんはわたさない」
「お、おい?卜部?」
「ねえ、椿くん。私ね、今家出してるんだ」
「初耳だよ!というかさっきから話の脈絡がなさすぎ!」
「少し静かにしててくれない?椿くん」
素早くハサミを取り出し、僕に突きつける卜部。
「はい。すいません」
「親に、また引っ越しをするって言われたの。ほら、私って元々転校生だったでしょ」
「そういえば、そうだね」
「私は嫌だって言ってるのに、お父さんもお母さんも私を連れていこうとしてるの。お父さんもお母さんも私達の仲を引き裂こうとしているの」
「それは言い過ぎなんじゃない?」
「ううん。私は、引っ越しは嫌だって、1人でもここに残るって言ってるのにちっともやめてくれないの」
「それで、こんなことを・・・」
「ごめんなさい。でもこうでもしなきゃ愛し合う二人が離ればなれになってしまうから。それに」
「それに?」
「これなら椿くんを他の女に盗られる心配もないでしょ?」
「確かにそうかもしれないけど、そんなに俺って信用ないの?」
「信用していないわけではないのだけれど、私がいるのに早川さんの1日彼氏になったり、今井百夏とキスしそうになったり、諏訪野さんとよく2人きりになっていたりしているから、どうしても不安になっちゃうのよ」
「それは・・・ごめん」
「反省の意も込めてこのゴールデンウィークの間はずっとここで暮らしてもらうからね」
「ずっと!?」
ああ、俺は一体どうなってしまうんだろう。
0571名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:18:56.51ID:GL7sUpLI
謎の彼女xへの溢れる想いを形にしようと思っていたらいつの間にかこうなっていました。後悔はしていませんが気分を害してしまったようでしたら、お詫び申し上げます。
0572 ◆URBRTbKUxc 2016/01/09(土) 00:34:12.37ID:olQV76sA
>>571 もといヤンデラー様
乙であります。
こういうヤンデレな卜部も見たいと思っていてもなかなか見られないもので大変感激しております。
遠慮なさらずドンドン書いちゃって下さい。
0574名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 12:56:20.54ID:QttNztmS
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
謎の彼女Y誕生秘話

きっかけは映画研究部の新入生歓迎会だった。椿さんは自己紹介の時、『図書館大爆破』が、最近感動した映画だと言っていた。
『図書館大爆破』は文字通り図書館を爆破する映画なのだが、図書館の思い出、図書館だけが自分の居場所だと信じて図書館を守ろうとする人など、有名な俳優こそでていないが凄く良い映画だと私は思っている。
その事を友達に話したら、変な映画が好きなんだね、と笑われてしまった。凄く面白いのに何でわかってくれないのか不思議だった。
椿さんは私と同じような感性を持っているに違いない。そして、その事を裏付ける事実が判明した。
映研の会合の後、たまたま二人きりになることができた。いつかこんな日がくるんじゃないかと思って密かに鞄にしまっていた映画の本が本当に役に立った。
その時話題にあがったのは『FROG RETURNS』だった。RETURNSなのに1作品しか無いという少し不思議な作品である。
『FROG RETURNS』という映画は、自身の前世が蛙だという主人公が、本当に蛙になってしまうという作品だ。
作中に蛙になった主人公がヒロインに飼われるシーンがあって、私はそのシーンが好きだ。
そのシーンの中に、ヒロインが主人公の前で着替えだすシーンがある。その時、蛙となった主人公は、口を開けて驚き、目を両手で隠し、その状態で後ろへピョンピョンと跳んでいくのだ。
そして、その仕草を見ていたヒロインは、意味深に微笑む。私は、この時には既にこの蛙が主人公だと気付いていたのではないかと思う。
奇しくも、椿さんもこのシーンが好きなのだそうだった。他にも好きなシーンがあったのだが、そのほとんどが椿さんも好きなシーンだった。
0575名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 12:58:42.35ID:QttNztmS
椿さんと一緒にいると楽しい。手を握ると頬をちょっと赤らめるところがかわいい。
椿さんと付き合えたら、どんなに楽しいだろう。でも、それはもう叶わない幻。只の夢物語になってしまった。卜部美琴のせいで。
言ってしまえば、私は椿さんのストーカーだ。映研の会合の時からずっと見ていた。 見ているだけで良かった。
ある日、椿さんのクラスに転校生がやってきた。その人は椿さんの隣の席にいた。それだけでも羨ましかった。ところが、それだけに留まらず椿さんに机に残ったよだれを舐められていた。
悔しかったし、羨ましかった。しかも卜部美琴を起こした時、椿さんがドキッとしていた。それからしばらく経った頃、椿さんは暫く風邪をこじらせてしまい、会うことが出来なくなっていた。
その後、椿さんにある日課ができた。それは、卜部美琴のよだれを舐める事である。やがて二人は付き合うようになり、彼氏と彼女になった。
それなのに、何故かはわからないけれど、二人は付き合っていることは隠しているようだ。
二人の間には『よだれ』の絆があるという。だが、付き合っていることを隠したのが裏目にでて、椿さんは諏訪野亮子が好きなのではないかと他の男子には思われているらしい。
これはある意味チャンスかもしれない。あの二人の絆を映画にしてみよう。そして、ヒロイン役を諏訪野亮子に、主人公を椿さんに演じてもらおう。そうだ!題名を

『謎の彼女Y』

にしよう!

そして、紆余曲折して映画は完成した。私のよだれ入りスポーツドリンクは甘かったかな。そうだと良いな。やっぱり、椿さんのことは諦められなかった。
遂に私は、私だけの椿さんを手に入れた。
「俺はお前が大好きだぞ、穂」
私も大好きです。椿さん。ううん。明さん。
このキスは画面越しだけど、想いはきっと繋がってる。そうですよね、明さん。
0576名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 13:05:51.35ID:QttNztmS
またまた調子にのってお目汚しすいません。
懲りずに今度は松沢です。松沢の本名は松沢穂です。
謎の彼女Xでフルネームが出ているにも関わらず出番が少ないのは彼女くらいのものだと思います。悔しいね。
そういえば、2巻で初登場した時は、二人きりの時は『椿さん』と呼んでいたのに、9巻で再登場した際には終始『椿先輩』でしたね。
本当は好みの異性アンケートの話も入れようと思ったのですが、無理でした。誰かやってくれないかなぁ(ちらっ
0577 ◆URBRTbKUxc 2016/01/11(月) 19:36:01.82ID:CkRBW1MD
>>576
またまたゴチになりました。
異性アンケート云々は卜部にハサミでアンケート票を切り刻まれるオチが見えました。
0578名も無きヤンデラー2016/01/17(日) 10:28:35.34ID:xxz3CoGZ
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
〜理想の異性アンケート〜

「〜理想の異性アンケート〜」とは
謎の彼女X謎の小説版の謎の体操着において、新聞部がだしたアンケートである。
松沢が新聞部の友人(人見知り)の手伝いで椿に手渡した。
以下はアンケートの問である。
問1:異性のどこが好きか?
問2:異性のどんな仕草がグッとくるか?
問3:理想の異性のタイプは?
問4(切り取り可能な投票券):貴方の思う理想の相手の名前は?

本編版(?)
問1 描写なし
問2 描写なし
問3 体操着が似合う女子
問4 卜部美琴
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから!」
卜部「…ばか」
しかし、彼女はぎゅうとアンケートを抱きしめた。

ヤンデレ卜部版
問1 全部
問2 人を指差す時の仕草
問3 独占欲の強い女子
問4 卜部美琴
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから!」
卜部「…ばか」
そう言って、彼女はパンツに仕込んでいたハサミを取り出し、目にも留まらぬ早業でアンケートを切り刻んだ。
卜部「私達には絆があるのだから、わざわざこんなことをする必要はないと思うわ。それに、他の女からもらったアンケートに答える必要も無いわ」
椿「卜部、そんなことまで知ってるのか!?」
卜部「当然でしょう。だって私達には、絆があるもの」
そして、彼女はぎゅうと椿を抱きしめた。

おまけ 松沢版
問1 明るいところ
問2 物を抱きしめて持つところ
問3 映画好きな女子
問4 松沢穂
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから、俺と付き合ってくれない?松沢が俺の彼女になってくれたら……おれ松沢の彼氏になるから……って当たり前か!は、ははは…」
松沢「良いですよ。私、その言葉をずっとずっと待ってました」
椿「ま、松沢」
松沢「穂って呼んでくださいよ、明さん」
そう言いながら、彼女はアンケートをぎゅうと抱きしめ、椿に微笑んだ。
0579名も無きヤンデラー2016/01/17(日) 10:37:28.48ID:xxz3CoGZ
またまた調子にのってお目汚しすいません。これで3つですね。少しも成長がみられない(苦笑)。
俺の力では、これが限界です。今井百夏バージョン、早川愛香バージョン、諏訪野亮子バージョン、逆に椿がもらうバージョン等はする他の方に任せます。次は、謎の彼女Xロボに挑戦したいなぁ。
0580 ◆URBRTbKUxc 2016/01/17(日) 14:43:42.71ID:/n9Pgf2X
乙乙
そのうち長編も見てみたいなぁ
0581 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:14:10.96ID:+G+JmdQx
久々でもないけど投下します。酔っ払いハサミにあやかってみました。

【謎の酔っ払いハサミ partV】

「明ー?これから買い物へ行くけど何か要る物ある?」
日曜の昼、昼食を食べ終えて漫画を読んでいた俺、椿明は明日の家庭科の授業の事を思いだして階下の姉に叫んだ。
「適当に酒買っておいてよ、明日の調理実習で使うんだよーう」
「はいはい、日本酒でいい?」
「もっと強いヤツだって、菓子作りに使うんだから」
「りょうかーい」
俺は姉さんが買い物へ出掛けた事を確認すると、レシピを開いて軽くメモをとった。
俺達の班はジェラートを作る予定だったので、何らかの蒸留酒が必要だったのだ。
暫くして姉が帰って来たので、俺は1階へと降りた。
「明、買ってきたものはこれでいいかしら?」
姉さんが手渡した酒はホワイトラムの小瓶だった。
「うん、これでいいよ」
「そう、ならよかった」
俺はラム酒を受け取ると自分の部屋へ向かい、リュックサックにメモと一緒に詰め込んだ。

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0582 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:16:13.62ID:+G+JmdQx
今日の授業は早く終わった。
放課後、いつもの白いコンクリ橋で待っていると程なくして卜部が来た。
「椿君、一緒に帰ろ」
「おう」
二人はいつものルートで家路についた。

「もう九月なのに暑いな、卜部……」
「本当、見上げたしつこさね……」
俺達は公園に寄っていき、少し木陰のベンチで休む事にした。
蝉の音はもう聞こえないが、まだまだ陽射しが眩しい。
「……椿君の班はジェラートだったわね」
先に静寂を破ったのは卜部だった。
「卜部の班は……確かスコーンだっけ」
「丘さんの提案なの」
成程、丘らしい提案だな……しかも紅茶まで淹れてしまうのだから本格的だな。
「……喉乾いちゃった」
「へ?」
「椿君、何か持ってない?」
突然、卜部は俺のリュックサックをひったくるとガサゴソと中身を探り、酒瓶を取り出すと口をつけようとした。
「う、卜部!それはマズい!」
「大丈夫よ、これくらい……」
目の前で卜部は半分程残ったラム酒を一気に飲み干してしまった。
後に残ったのは空瓶ひとつ。卜部は暫くぼんやりと何かを眺めていた。
「……卜部、卜部?」
何の反応もない。再び暫しの静寂が訪れた。
「……ぷっ……くくっ…………」
え?
「……はははっ、あはははははははは!」
まさかの大怪笑である。また変な声でも聞こえたのだろうか。
「お、おい!卜部大丈夫か!?」
「あはははははっ、おい椿ィ、これから一杯やるぞ!」
またかよ。どうやら卜部は酒には強いが酒乱気味らしい。
一度スイッチが入ってしまうと彼女が倒れるまで切れる事はないだろう。
「……卜部、帰るぞ」
「なァーに言ってンだよ、これからだろォーがよ!」
俺は卜部に無理矢理引き摺られて近くの繁華街へと向かう。

「お、おい!何処まで行くんだよ!?」
卜部に訊いても答えない。暫く歩くと一軒の地下にある洒落たバーに着いた。
看板には「洋風居酒屋 Pannonica」とある。

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0583 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:20:00.63ID:+G+JmdQx
カウンター席に座らされた俺は異質な空気に包まれた。
厨房の中で燃え盛る炎の音、回転するジャズのレコード、疎らに聞こえる人声。
此処が大人の空間であるという事実に、一抹の不安が薄らよぎる。
しかし酒乱の卜部はそのような事意に介せず、渡されたお通しをバクバクと食べてしまい、挙句ピザまで注文してしまった。
……正直な所、卜部の胃袋は一体どうなっているのか不思議であるのだが。
俺はジンジャーエールを注文してチマチマと啜っていると、不意にすぐ横に座っていた気のよさ気なお兄さんが卜部に声を掛けた。
「いい食いっぷりだね、お隣さんは彼氏?」
「アハハ、こんなんでも私の彼氏だよーん」
卜部は相変わらずの上機嫌である。流石にこれ以上飲むつもりではなさそうだが。
すると突然、隣のお兄さんがマスターらしき女性に声を掛けた。
「隣の元気いっぱいなお嬢さんにシャーリー・テンプルを」
「かしこまりました」マスターのお姉さんはニコリと笑って応えた。
何やら、生姜のツンと鼻を刺す匂いがカウンター越しに伝わり、更に何やら赤いシロップがステイされた。
出来上がったカクテルがカウンターに置かれると、卜部は美味しそうにグビグビと飲んでいる。
「お、おいおい!そんなに飲んだら悪酔いするって!」俺は慌てて制止をかける。
「あら、大丈夫ですよ」マスターから一声が掛かる。
「このカクテルはアルコールが入ってないんです」
次いでマスターが俺に耳打ちした。成程、それで隣のお兄さんはあれを注文したワケだ。
「それよりも彼氏君、お腹空いてない?一杯料理もあるからお好きなモノをどうぞ?」
マスターは、少し上機嫌そうだ。卜部の事を気に入ったのだろうか。
俺はほうれん草とベーコンの和風おろしパスタを注文すると、ジンジャーエールをくいっと飲み干した。
「あはは、ははっ……」次第に卜部も酔いが回ってきたのか、今度はカウンターに突っ伏して寝てしまった。

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0584 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:21:31.16ID:+G+JmdQx
「……卜部?おーい、うーらーべー?」
俺は卜部に話しかけるが、何の反応もない。すっかり眠ってしまったようだ。
肩を揺すってみるが、卜部が起きる気配もない。
万事休す、か……そう思っていると突然、隣に座っていた紳士な老人がすっくとカウンター席から立ち上がった。
暫しその老人はマスターと料理長らしき人に話し掛けると、ピアノの前に座って蓋を開いた。
レコードの音量が絞られ、暫しの静寂が俺達を包む。
老人は静かにピアノのキイに触れ、そっと一小節を弾いた。
すると卜部はむくりと半身を起こし、伴奏に併せて口ずさんだ。
此処には英語が読めない自分が、後々適当に訳した意訳を記す事にしよう。

    あなたって気まぐれね
    夏の夕立のようにいきなりね
    どうしてそうなのかしら
    時々甘酸っぱくて 不意に優しくて
    私はあなたの言いなりね

    男の人には夢があるの
    でもそれは秘密の内
    誰かに打ち明けるまで
    全てが内緒の話
    かくれんぼにはちょっと
    私はついていけないわ

卜部、歌うの上手いなぁ……
カラオケに入っているような曲以外にも、卜部は色んな曲を知っているのか。
それにしても、バーの雰囲気にピッタリだ。歌詞の意味まではよく分からなかったが。

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0585 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:22:15.47ID:+G+JmdQx
彼女の唄に夢中になって聴いていると、料理長が俺のすぐ真横に来ていた。
「君が彼氏さんかい?」
「あ、はい」俺はそうだと答えた。
「歌が上手くて元気一杯の彼女さんが居るって、とても羨ましいよ」
「本当ですか?」確かに卜部は万能型と言っても差し支えないのだが。
「この曲は、きっと君に宛てた曲だと思うんだ」
「えっ?」
「あ、いや……少しばかり羨ましくってね、しかしこれ以上君の彼女に言及すると僕の家内にカミナリを落とされそうだなぁ」
料理長は苦笑しながら、俺の座っているカウンターに小さなショットグラスを置いて厨房に戻った。
置かれたグラスの匂いをそっと嗅ぐと、それは高級品の白ワインだった。
俺は人の優しさを痛感しながらくいっと飲み干す。
うん、美味い。甘酸っぱい恋の味だ。

    あなたって気まぐれね
    他の女(ひと)に目移りしてるんじゃないかしら
    どうしてそうなのかしら
    急に躍起になったり イタズラしたり
    まだあなたは子供じみてるわ

    僕達は常にかくれんぼして
    次第にうまいこと考えなくちゃね
    そして女の子について感じて
    手籠めにしたがっているのさ
    愛はそういうものだって、ヘンな話だけど
    間違った道に行っちゃったら、って臆病なんだよ

--
0586 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:24:30.24ID:+G+JmdQx
すっかり酔いから覚めた卜部はお冷を啜りながら、会計を済ませていた。
俺は電話を借りて、「友達の家にいるからもう暫くしたら帰る」と姉さんに連絡を入れた。
帰り道、繁華街を抜けると漸くいつもの帰り道に差し掛かった。
「なあ卜部、さっき歌ってた曲って……」
「ああ、あの曲?お父さんのレコードで聴いた曲なんだけどね」
「それ、どういう曲?」
「そうね……」
急に卜部は立ち止まると目を瞑って何かを空想するような仕草をとるとその場で自分のよだれを口から掻き取り、俺に差し出した。
「……舐めて?」
彼女のお願いに応じて俺はそっと指先の雫を口に含んだ。
すると、どうだろうか。
マーマレードのように甘くて仄かに酸っぱいよだれの味と共に突然俺達二人が一面の花畑に包まれている情景が脳裏に浮かんだのだった。
「う、卜部!何だよこの情景は!?」
「……あなたにも視えたのね?」
卜部は澄まし顔をしていたが次第に顔を綻ばせて笑顔になった。
……どうやら、あの情景は俺達二人が追いかけっこしていた様子を描写したものだったらしい。
不意に、卜部が此方に寄り掛かってきたので、俺はそっと両腕で彼女を包み込んだ。
……そうか、こういう意味だったんだ。
二人の鼓動がドキドキと大きく速くなる。俺達はこんなに甘い絆で結ばれていたんだ。
いつも何を考えているのか分からない彼女だけれど、こういうアプローチをしてくれた卜部を、もっともっと好きになった気がする。
「……卜部、俺いつかは―」
「いつかじゃダメよ……」不意に卜部が言葉を遮った。
「私は今か今かとずっと待ってるんだから、ね?」
卜部は顔を上げると、また赤面しつつも笑顔で俺にもう一歩をねだった。
「……分かったよ、美琴」
その一言を告げただけで、ニコリと笑った卜部の口角からは甘い雫が滴り落ちた。

    あなたって気まぐれね
    夕立のように激しくて
    でもあなたって不思議で好きよ
    時折魅せる優しさで胸がいっぱいなの

【謎の酔っ払いハサミ partV -Fin-】
0587 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:24:54.59ID:+G+JmdQx
【謎の酔っ払いハサミ partV あとがき】
どうしても皆様の酔っ払いハサミネタに便乗したくて作ってみました。
今回は、現在◆URBRTbKUxcが通っている洋風居酒屋、もといジャズバーの宣伝のために実際の店名を入れてみました。場所は岐阜県岐阜市の徹明町通りにありますのでお近くの方は是非お越し下さいませ。
原作で卜部はかなり歌が上手いそうなので、敢えて私の好きなアーティストのナンバーから一つ歌わせてみようと考えて誰も知らないが隠れた名曲を挙げてみました。
THE STYLISTICSより"You're as right as rain"です。
ttps://youtu.be/3euaLp_H9kw
意訳は◆URBRTbKUxcのオリジナルです。もし原文を知りたいのであれば検索して頂ければ出るかもしれません。(少し長いので此処には載せないでおきます)
皆様はジャズやシャンソンはお好きですか?もし聴いたことないという方でもこういう楽しみ方もあると一つ頭の片隅にでも留めて頂ければ幸いです。
ところで、恋人に振り回し振り回される関係の二人も可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0589名も無きヤンデラー2016/01/27(水) 22:42:19.25ID:F/PR6kqw
>>587
乙です!よし、俺も執筆活動(笑)を頑張ろう!(笑)がとれるようになるまで!
ジャズかぁ、あんまり馴染みがないけど聞かず嫌いや敬遠せずに聴いてみようかな
0590 ◆URBRTbKUxc 2016/01/28(木) 00:02:15.88ID:j4XoSXb4
>>589
重鎮だとハービー・ハンコック、軽いモノだとボブ・ジェームス辺りがツボだったりします。
You're as right as rainもボブ・ジェームスによってアレンジされてます。
実はこの曲も"Bob James: Two"というアルバムから知りました。
0591 ◆URBRTbKUxc 2016/02/02(火) 14:45:52.81ID:pFQdU4LL
思いつきでショートショート第二弾です、御笑納下さい。
【謎の「血の」絆】
俺、椿明は今眠れぬ夜を過ごしている。
あろうことに数日前の晩から奇妙な夢を観るのである。
卜部の裸体を好き勝手する夢を。
今夜もそんな夢で目覚めた俺はなす術もなく、途方に暮れていた。
「……そうだ」俺はある事を思いついて行動に移した。多少睡眠時間を犠牲にしつつ。
二時間とかからず、それは完成した。

あくる日の夕方、いつものようにコンクリ橋の上で俺は卜部と一緒に出会って帰路につく。
その途中、不意に卜部が声を掛けた。
「……どうしたの?椿君顔赤いよ」
「ええっ?ああ、実は……」また変な夢のせいでもあるのだが、今回はまたちょっと違う。
俺は勇気を出して口の中を指で軽く掻き回し、よだれをそっと差し出した。
「え?こ、これ……」卜部は一瞬戸惑いつつも差し出されたよだれを舐める。
その直後、ヌルッとした生暖かい真紅の雫が滴り落ち、俺の手の甲に伝う。
「椿君……これって」
「あ、ああ……実は昨晩、どうしても寝付けなくて……」
俺はリュックサックから一冊のノートを取り出すと卜部に見せた。その一ページにはお世辞にも上手くないが卜部がアッカンベーをしたまま座っているヌードが描かれていた。
それを見た卜部は顔を赤く染めて、モゾモゾとスカートの中のハサミを取り出そうとした。
が、ハサミは地面に落ちてしまい卜部はその場所にへたり込んでしまった。
「あのね椿君……いくら私の夢を見たからって、そういうモノを描くのは彼氏としてどうかとは思うわ……」
座ったまま固まってしまった卜部の口からは、トロリと一筋のよだれが溢れていた。
「う、卜部……でも……」俺は手に付いた卜部の鼻血をそっと舐め取った。心なしか甘く、ヌルッと……って俺まで鼻血が出てきたじゃないか!?
「っっていうか卜部!夢とはいえ彼氏でそういう妄想してるのは彼女としてどうかと思うんだが!?」おまけにそういう事をしているシーンが一瞬脳裏をよぎった。
「どうって、言われても私……私はそういう人だから!」
卜部は立ち上がると駆け足で一目散に逃げてしまった。
「卜部、どうして逃げるんだよーう!?」
俺は走って卜部の後を追いかける。
とまあ、今日も明日も、ずっと素性の知れない卜部は……謎の彼女、である。
【謎の「血の」絆 -fin-】

【謎の「血の」絆 あとがき】
ショートショート第二弾は鼻血ネタをやりたくて今日も元気ださんにあやかってみました。
本来なら椿はどエロチックなイタズラはあまりしないだろうと思いながらも時にはこういう二人も良いかなと思いついた結果こうなりました。
卜部の鼻血ネタで印象深いのはアニメ化された「謎の絆」ですが、頭に人形括り付けてするプレイは正直自分も羨ましいなどと思っていたり。
ところで、あらぬ妄想をしてる女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
追伸: 鼻風邪からの副鼻腔炎にはくれぐれもお気を付け下さい……

https://www.dropbox.com/s/zwmil095j3a3egm/URBRTbKUxc__Urabe_nude.png?dl=0

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0593 ◆URBRTbKUxc 2016/02/26(金) 22:41:43.94ID:J20fLR7s
第三弾!3のつく数字だけにアホ丸出しで書いてみました。

【なぞのかのぢょ×(ペケ)】
「……どうしたの?椿くん目にクマができてるよ」
帰り道。俺、椿明は彼女である卜部に寝不足を指摘される。
それもその筈だ。如何せん最近観る夢といえばすぐ真横の彼女とああいう事をする夢ばかりなのだから。
「最近夢見が悪くてさあ……卜部は寝る時そういう夢って観る?」
「私は夢観なくなっちゃった……でも少しなら手伝ってあげられるかも」
「そ、それって特効薬か何か?」俺は思わず言い寄った。
「みたいなモノね」卜部は鞄から試験管を取り出すと暫く口を閉じてからその中へよだれを流しこんだ。
「はいこれ、また寝る前に舐めてね……それと、寝る前に枕元に漫画かゲームでも置いておくといいかもしれないわ」
「サンキュ、卜部」俺は礼を言うと卜部は帰っていった。

その日の晩、俺は押入れの中を探るととあるゲームを取り出して枕元に置いた。懐かしいな、中学の頃に全クリして以来ずっと遊んでなかったっけ。
そしてそのソフトを枕元に置いて言われた通りに卜部のよだれを舐めた。
さあて、どんな夢が観れるだろうか……。

暗い背景に謎の街が見えた。何処からか不気味な音楽も聞こえる。暫しそんな状況が続いた後に何やらタイトルらしきものが見えた。
「なぞのかのぢょ……×(ペケ)?」
曲調がファンシーになる。目が慣れてくると、其処に少し長い道とサブタイトルが視えた。
『彼氏の欲望は パンツ・ハサミでしか断てない』
「……なんじゃこりゃぁあ!!(CV:松田優作)」怪しさ爆発であったが、取り敢えず前に進む事にした。
暫く前に進んでいると前方から何かがやってきた。ゾンビだ、やたらデフォルメされているがゾンビのようだ。
「取り敢えず殴ってみるか」俺は普通に右ストレートを繰り出した。ポカッとな。お、倒れた。取り敢えずはこれで進めそうだ。
更に進んでいくと何やら看板らしきモノが視えた。真っ黒な看板だ。その前に立つと、突然上の方から卜部がスピンしながら降りてきた。
「う、卜部!?」
ジャキジャキジャキッ!!卜部は落下しながらパンツハサミを発動させた。そして切り裂かれた看板は上の方から次々と崩れ、その看板の下から何やら文字が……。
『ざんねんでした☆
 夢の中でも椿くんは
 私のモノだからねっ!』
ええ〜〜っ!?俺は永遠に囚われの身ってワケかよ?しかも卜部のフキダシからは「ゴメンネ」の一言って……。
それにしても、卜部って独占欲強いよな。そんな事を想いつつ、目が覚めた俺は……今夜も、眠れぬ夜を過ごしている。

【なぞのかのぢょ×(ペケ) -fin-】

【なぞのかのぢょ×(ペケ) あとがき】
ショートショート第三弾はファンシー路線です。元ネタはかの有名な「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」から「あくまぢょおどらきゅらペケ」のパロディに挑戦してみました。
「なぞのかのぢょ」だけにファンシーな路線を目指したかったのですが、如何だったでしょうか。
ところで、夢の中にまで出てくる女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0595 ◆URBRTbKUxc 2016/03/09(水) 04:08:58.00ID:isDXyPQY
とある事情で作りました。短いのはご勘弁を。

【謎の失恋】

俺、椿明は今絶望の最中に居る。
早川の誘いに乗って文化祭に来たはいいが、早川には既に意中の人が居たのだ。
あろうことに卜部まで巻き込んで。最悪だ、俺って。
あの日から数日経った尚も、俺は早川の想い出と卜部への罪悪感の板挟みにされ、苛まれていた。
夢にすら、早川の泣き顔がハッキリと視え、そして消える―そんな日が続いた。
そんなある日の帰り道。
「……椿君、椿君?」
「……っ、な、何?」
「椿君の顔、すごく青ざめてるよ?」
「お、俺……?そうかな……」まあ、心当たりがない訳じゃないが。
暫し歩いていると、公園の前で卜部が立ち止まる。
「……椿君、今日の分―」
「待ってくれ、卜部!」俺は制止をかける。
「今、俺に卜部のよだれを舐める権利はないと思うんだ、だって―」
「……早川さんの事で胸が痛いの?」
完璧に見透かされていた。俺は仕方なくそうだ、と答える。
「……椿君、あなたの両目は前を見る為にあるのよ?」
卜部は言葉を矢継ぎ早に紡ぎ出す。
「私もそう、私は今の椿君が好きだし、過去に何があったかを咎める権利は私にはないわ」
「卜部……」
「だから、気にしないで……今日までの椿君も、これからの椿君も、ずっと大好きだよ!」
う、卜部……俺の為に……。ふと涙が溢れる。
「何も、泣かなくったっていいのに……」
卜部はそっと俺を抱き締めた。優しく背中を撫でて、卜部は笑っている。
「さ、もう泣かないで」卜部はそっとハンカチで涙を拭う。
何時しか、卜部がずっと大人に見えた。
胸に抱かれる感触は、卜部のよだれよりも、ずっとずっと甘かった。

【謎の失恋 -Fin-】

【謎の失恋 あとがき】
仮に早川にまだ恋していたら、というネタで作りたかったのでショートショートにしてみました。
つい最近◆URBRTbKUxcが彼女と別れたので例の洋風居酒屋で酒を飲みつつ閃いたネタでもあります。
思い出せば胸が痛いあの日をお持ちの方は、どうかあの日に帰るのではなく前を向いて歩いて欲しかったり。
そんな想いで軽く筆を執りました。
ところで、大人な彼女って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0597名無しさん@ピンキー2016/04/05(火) 14:41:59.95ID:jKJ7wlTu
謎の心情

担任の先生に促され、教室に入る。
ガヤガヤしていた生徒たちは次第に静かになり、視線をわたしに向けた。
先生は私の名前を黒板に書くと、さざめく生徒たちにわたしの名前を告げた。
「今日からこのクラスに転校してきた、卜部美琴君、だ。…じゃあ卜部、クラスのみんなに、何かひとこと!」
先生が何を言っているのか理解するのに、ほんの少しの時間を要した。
わたしは、自然とほほえみ、目の前の新しいクラスメイト達に向かって、挨拶を述べた。
「よろしく」

わたしは、両親の仕事の都合でこの学校に転校してきた。
新しい学校、新しいクラスメイト。
学校は勉強のために必要だし、クラスメイトも別にいてもいい。
でも、友達はいらないと思っている。
仲良く振る舞うことはできても、それは表面的なものだ。
真にわたしを理解できるわけではないし、そんな関係には意味がない。
わたしのことを理解してくれるのは、わたしのことを好きになってくれて、かつ私と特別な繋がり、「絆」がある人だけだ。
そんな人、今までわたしにいたことはないけれど…。
でも、それはクラスメイトが悪いわけではない。
誰も悪くない。
きっとわたしも。
さっきもクラスメイトの女子数人が、一緒にお昼を食べようと誘ってくれた。
彼女達には悪いとは思ったが、眠いから、と言って断った。
これでもう誘ってはこないだろう。
友達はいらないのだ。
でも、とわたしは思った。
隣の席の、椿くんと言ったっけ。
先生に促されて席に着くとき、自分の名前を名乗り彼は私に言った。
「何かわかんないことがあったら、なんでもきいてくれよ」
思いがけず話しかけられわたしはどきりとし、
「はあ…」
おぼつかない返事をした。
そして、なぜか、少し安心した。
実際にそうすることはないにしても、何かあれば彼にきけば、彼はわたしを助けてくれるのか。
自分では自覚してはいなかったけれど、新しい環境に緊張していたのかも知れない。
彼の言葉をまた反芻しながら、私は真昼のまどろみに身を委ねた。
0598名無しさん@ピンキー2016/04/05(火) 18:41:57.31ID:TH4tsGr3
午後の授業、教室内は漫然とした空気に満ちていた。
クラスメイト達には先生の話に集中する様子はなく、うつらうつらとしている人も何人かいる。
午後の日差しは柔らかく、まだ春先の空気がふわりと舞っていた。
わたしも授業から気をそらし、何とは無しに窓の方向を見やる。
窓からの光が何かを語りかけるように感じた。
光の前には彼の横顔があった。
眠そうな眼をしながら、頬杖をつく彼。
わたしは、彼の姿をなんとなく見ていた。
ただ、ぼんやりと。
突然、わたしの中に、何かが起こった。
何かが起こり、自分では思いもつかないような、突拍子もない考えが浮かんだ。
風がわたしにそれを吹き込んだのだろうか。
誰かの声が聞こえたのかも知れない。
少なくともわたしにはそう感じられた。
その声はこう言った。
彼が、そうだと。
彼が、わたしの…。
わたしの心は、それを理解した。
そして心がふわりと舞った。
目の前が拓けたように感じて、わたしは自分自身、それがとても可笑しくて、笑った。


わたしは、なぜ椿くんの事を好きなのか。
それを考えるとき、わたしはこのときのことを思い出す。
なぜ、彼を好きになったのか。
結局のところ、自分でもなぜかはわからない。
ただ、好きなのだ。
理由もなく、ただ、どうしようもなく。
この不思議な出来事を思うと、心が震える。
わたしに起こった小さな変化は、愛おしい小さな奇跡になったから。
だけど最近になって、わたしは自分の気持ちにひとつの説明をつけることに成功した。
つまり、わたしは、椿くんの人生の一部になりたいと、そう思ってるんだわ。

本当は、人が人を好きになるのに理由なんてないのかも知れない。
正解なんてないんだと思う。
絆を結ぶ理由にも、そのカタチにも、きっと。


<あとがき>
作品への愛を昇華させるため、初めて2次創作に手を出してみました。
謎カノは基本椿くん視点なので、物語冒頭をみっこん視点で表現してみました。
この作品で、誰かの心が潤ったならとても嬉しいです。
感想をお待ちしています。
0600名無しさん@ピンキー2016/04/08(金) 01:08:45.40ID:9R6PN7h1
>>598
GJ!

丁寧で優しい文章だと思います。

ただ、個人的にはもう少し改行が多い方が
読みやすいと思います。
0601597-5982016/04/10(日) 18:11:28.87ID:UTl83EtL
読んでいただきありがとうございました。
またいずれ書いてみたいと思います。
その時はよろしくお願いします。
0602 ◆URBRTbKUxc 2016/05/25(水) 00:03:30.33ID:XGQo5IrF
お久しぶりです。
>>597-598氏の「第一話導入」を美しくお書きになられたのですね。
同じく丁寧だと思いました。
0603名無しさん@ピンキー2016/11/18(金) 09:24:28.29ID:+2lU1nPk
久しぶりに来たけども半年近く書き込みが無いのは寂しいね
0604名無しさん@ピンキー2016/11/22(火) 01:14:07.12ID:WL+uc7yB
しょうがないね、管理人さん東方のSS書いてるみたいだし
0605 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:36:01.92ID:daNluOMO
お久しぶりです。大分間が空いてしまいましたが新作出来ました。

【謎のお月見どろぼう】

今日は十五夜。中秋の名月とも呼ばれるこの日、俺、椿は卜部の誘いに乗り放課後いつものコンクリ橋の前で待ち合わせをしていた。
まだ残暑厳しいながらも風が心地よい。さながら風流、とでも言うべきだろうか。こういう日にデートするというのは全国の少年少女からしてもなんとも羨ましい話だろう。
「お待たせ、椿君」
振り返ると其処には卜部がいた。摩訶不思議な幾何学模様をシャツやスカートに纏い、大きなリュックを背負って肩掛け鞄にはラムネ菓子のおまけにありそうなファンシーな玩具やカンバッジを山ほど付けている。
こういう彼女って、何処か新鮮だ。そんな想いに浸っていると卜部が手を引く。
「行きましょう、椿君」
「おう、でも何処に行くんだ?」
卜部に聞いても答えない。彼女はスタスタ歩いて行ってしまった。
俺は慌てて後を追うと、其処には少し大きめのマーケットがあった。
俺達二人は、中に入ることにした。

--
0606 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:36:28.07ID:daNluOMO
中に入ると、卜部は真っ先にお菓子コーナーに入っていった。買い物カゴにはこまごました駄菓子やファミリーサイズ菓子の類を入れている。
「そんなに買って、どうするんだ?」俺は不思議に思って尋ねる。
「ヒミツ。でもきっと楽しい事だから」
卜部はお菓子コーナーで買い物を済ませると安い缶ジュースを山ほどカゴに取り、カートに載せた。
俺はそんな彼女を不安気に見つめながら彼女の後を追い、レジに進んだ。果たしてリュックの中は一杯になってしまった。
次に俺達が向かった先はいつもの公園だった。
卜部は先程の菓子を小さな袋に詰め込んでいる。小さな子供達に手渡すような袋だが……これが卜部の言っていた楽しい事、なのか?
袋に菓子を詰め終わった卜部は不思議な模様のビニルシートを広げ、そこに座り、更にはプラカードらしきものを取り出した。カードには『お月見どろぼう 一人一つまで』と書かれている。
「卜部、お月見どろぼうって……何?」
卜部は答えない。やれやれと頭を掻きながら遠くで遊ぶ子供達を眺めていると、ぽつりと卜部が口を開いた。
「今夜、私達は不思議な体験をするわ」
不思議な体験?何だろう。突然俺達が空を飛んだりするわけじゃなさそうだが。
しばらくすると幾人かの子供達がこちらに集まり卜部に声をかけた。
「お姉ちゃん、これ貰っていいの?」
「いいよ!タダだから仲良く取っていってね」
卜部は笑顔で答える。続いて卜部は奇妙な事を口走った。
「その代わり、君のポケットに入ってるものをちょうだい?」
子供達は、ぎょっとした様子で恐る恐るポケットに手を入れた。
ポケットに何が入っているんだ?怪訝にその様子を眺めていると子供達はそっとポケットに入れた手を抜き、握った手をほどいた。
その掌には小さな光る石があった。
「ありがとう」卜部はそう言うと小さなバケツにその石を入れた。
石……?これが不思議な体験とどう関係するんだ?
しばらく眺めていると、お月見どろぼうに参加した子供達は皆、ポケットやポーチ、肩掛けカバン、卜部が言い当てたあちこちの場所に小さな光る石があった。
日が暮れる頃には全ての菓子がなくなり、バケツの中も石で一杯になっていた。
「卜部、この石……何?」
俺は卜部の行動全てが謎で仕方なかった。
卜部はその場を片付けながら不思議な事を告げた。
「今夜零時に、神社の前に来てね」
それが不思議な体験なのか?卜部の言う不思議な体験とは一体何だろうか?
「じゃ、また今晩ね」
卜部はそのまま紫に暮れる路地にフェードアウトした。
俺は卜部を見送ると、仕方なく帰路についた。
家につく頃には、既に夜の帳が降りていた。

--
0607 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:36:49.96ID:daNluOMO
夕食を食べ終え、夜をぼやぼや過ごし、風呂にも入ると問題の時間が近づいてきた。
俺は父親と姉に気付かれないよう抜き足差し足で鍵をポケットに忍ばせ家を出た。
風一つない月の輝く夜。神社へと路地を抜け長い道を進み続けると街灯が疎らになる。
次第に漆黒に包まれ、足元も見えなくなる程に暗くなると神社の鳥居が見えてきた。
人影が見える。卜部だ。そう確信する以前に卜部以外に考えられなかった。
「よう卜部、お待たせ」
「大丈夫、今来たところ」
俺はふと自分の左腕を見る。腕時計は23時58分を指していた。例の時間まであと僅かである。
「此処で、何が起こるんだ?」
「シッ、そろそろくる頃よ」
卜部が暗い路地の向こうを見つめる。その時、突然冷たい風が吹き荒れ、街灯から光が消え、ぞっとするような不安感に襲われた。
暫くすると路地の遠くに明かりが見えた。提灯?しかも行列だ。
誰なんだろう、と思っているとその大柄な人達は卜部の前にやって来た。恐ろしい顔の男、紙のお面をした細長い男、姿がよく見えないが大柄な男の影もあった。
やがてその行列が卜部の前で止まると、一番先頭にいた男が口を開いた。
「ワシ等を呼んだのは、お前さんかい」
卜部は「うん!」と元気よく返事をした。
「頼まれてた物はこれでいい?」
卜部は先程の光る石が詰まったバケツを手渡した。バケツの中の石は、不思議な淡い光を放っている。
「スマンのう、ほんじゃあこれ持って行きなよ」
バケツの代わりに渡された包みは何処か古めかしく、怪しげな雰囲気を漂わせていた。
「では、さらばじゃ」男達はそのまま去ると風は止み、やがて街灯に光が戻った。
後に残るは、俺達二人と何も変わらない神社前の路地だった。

--
0608 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:37:13.33ID:daNluOMO
「今の……なんだったんだ?」
俺は恐る恐る口を開いた。卜部は嬉々としながら先程の包みを大切そうに抱えている。
「神様よ、それも異形の神々」
卜部は踵(きびす)を返して歩き出した。俺も慌てて卜部の後を追う。
「あの神様達は流れ着いた神様だったり、忘れ去られた神様だったりするの」
卜部は説明を続ける。流れ着いた……漂着神というのは昔聞いた事があったが、関係あるのだろうか?
「あの神様達は鬼門を通じて旅を続けているの、今日偶然にも鬼門が開いて、私達に会える事となったってわけ……神様は子供達が大好きだから、十五夜というイベントには恰好の旅日和って事になるわね」
神様の好きなものは子供達……そうだったのか。
「ねえ椿君、今晩あなたの部屋に行ってもいい?」
「えっ、俺の部屋?う、うん……」
卜部は包みを持ち上げて俺に見せた。
「この包みの中身、気になるでしょ?」
「あ、ああ」
そういえばあの包みは何だったのだろうか。そんな事を考えながら歩き続けていると果たして俺の家の前に辿り着いた。明かりは既に消えている。
俺は鍵を開けると卜部を中に誘い、二人でゆっくりと階段を上がって俺の部屋へとやってきた。

--
0609 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:37:33.10ID:daNluOMO
「で、何なんだそれ?」
「これ?」卜部は包みの封を破いて慎重に中身を取り出した。
高さ20センチ位の、中心に目玉の様な物を埋め込まれたその怪しげな置物には、頂上に大きな水晶球が嵌め込まれている。
「幻燈機よ」卜部はその置物を嬉々としながら眺めている。
「げん……何それ?」俺はその置物を眺めながら首を傾げている。
「これはね、繋がれた人の意識や昔観た夢を映像として視れる装置ね、これを使えば私達の未来もある程度垣間見れるかと思ってね?神様にお願いしたの」
「この装置で俺達の未来が……」俺は一抹の不安と期待を感じた。
「さあ、始めましょう……椿君、スクリーンある?」
「おう、あるぜ」
俺は押入れから映写機用のスクリーンを取り出して壁に掛けた。
卜部はその間に幻燈機からホースを取り出して、中の皿に炭の塊の様な物と何かの乾燥した葉を詰め込んだ。
「準備出来たよ」卜部はホースの端のキセルの吸口にも似た物を咥えながら俺に手招きをする。
俺が卜部のすぐ横に座ると、卜部はマッチを擦って火を点けた。
「椿君、私の手を握ったら絶対に離さないでね」
「おう」俺は手が汗ばむ程に卜部の手をしっかり握った。
卜部の震える手がマッチで炭に火を灯す。
スクリーンが次第に白け、冥い中にノイズが入った。
やがて幻燈機からは幻燈の始まりを報せるカウントダウンが映し出された。

『3』

『2』

『1』

突然の爆発的な閃光と共に幻燈機は真昼間の如く輝きを放った。
俺達は突然の閃光に瞼を瞑る。
無限に続くかの様な光の膨張。重なりゆく二人の意識。
ざわめきの中に俺達は誰かの声を聞いたような気がした。
声は無数の風となり、頭の中を突き抜けていく。
雑多な思念。

静寂。

--
0610 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:37:52.97ID:daNluOMO
原初、俺達は小さな受精卵から始まった。
全く違う遺伝子から織り成された1つずつの奇跡。
次第に細胞分裂を続けるそれからはやがて胚が生まれ、人の形を成す。
緑。新緑の匂いと共に俺達は都立風見台高校で出会った。駆け出しの道は真っさらの白。
二人で歩けば歩く程に景色に色がつき、やがて大都市となった。
ガラクタを継ぎ接ぎした様な不思議な街には大勢の人々が集う。
山高帽子を被った人。狐の面を被った人。眼鏡をかけてバッグに人形を吊るした人。
人の形をしているのかすら怪しい者もいた。
看板の絵、大きな客寄せ人形、全てが此方を見つめている様な錯覚すら覚える。
ラスタスクロールする様な雲が風に流されると、すぐ横を路面電車がゆっくりと走っていく。
上野。丘。諏訪野。クラスメイト達が此方に手を振っている。
それでも俺達は真っ直ぐに進んでいく。道は、今出来たばかりの様に綺麗に舗装されていた。
これが俺達の道。俺達にしか作れない道。
そして道の終わりが近づくと、俺達は息を合わせて脚に力を込めた。

今、俺達は大きな翼で羽ばたいている。
最早道など必要無くなった俺達は自由な風に乗って脚で走るよりも高速に空を飛んでいる。
次第に街が遠くなる。街中の人々の意識が此方に手を振っている気がした。
俺達を光が心地良く包んだ。

『TO BE CONTINUED』

--
0611 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:38:10.82ID:daNluOMO
瞼を静かに開くと、既に幻燈は終わっていた。
「お、終わり?」俺は怪訝そうに卜部に尋ねた。
「終わり」卜部はそれだけ言うとそっと握った手を離した。
「ただの玩具にしてはよく出来ているんじゃないかしら」卜部は何も映っていないスクリーンを眺めている。
暫しの静寂。俺は何が起こったのかすら理解できず卜部を見つめていた。
「……本当は、こんな幻燈機要らなかったのかもね」
「え?ど、どうして?」
「そうじゃない?だって、私達の道が約束されている事なんて分かりきった事じゃない」
慥かにそうだけれど。だからと言ってそんな大切な物……。
「で、その幻燈機は捨てちゃうのか?」俺は卜部に尋ねた。
「捨てないわ、この幻燈機は宝物だし」卜部は大切そうに幻燈機を片付け、リュックにしまった。
「それに、あの幻燈を観た時、椿君がとっても嬉しそうにしていたから」
嬉しい……そうか、あの時俺は嬉しかったんだ。
ふと、卜部が俺の口に指を突っ込んだ。掻き出されたよだれを卜部が舐めた時、卜部が紅潮したのが暗がりの中でも分かった。
「すごく……甘い」卜部はぽつりと声を漏らした。
卜部はすっくと立ち上がるとそっと俺の手を握った。
「椿君……もしまた観たくなったら私に教えて」
「おう」
次はどんな夢が観れるのだろうか。
二人の恋路は、十五夜に輝く満月のみが知るのかもしれない。

【謎のお月見どろぼう -Fin-】
0612 ◆URBRTbKUxc 2017/01/09(月) 20:38:39.19ID:daNluOMO
【謎のお月見どろぼう -あとがき-】
お久しぶりです。タバコの消費量が増えた◆URBRTbKUxcです。
つい1年前に、新装版ディスコミュニケーションを全巻買いました。内容としてはアングラに近い何かを感じ、思わず読み耽ってしまった程でした。
植芝先生はつげ義春やYMOがお好きだったんですね。意外にも趣味がマッチした事も読み進めやすかった事とある程度関与しているのではないでしょうか。
今回登場したキーアイテム、幻燈機もやはりディスコミから引っ張ってきたものです。
原初、子供というのは神様の使いだったそうですね。その為お月見どろぼうというイベントを通じて神々と触れ合う機会を与えてみようと発案しました。
ところで、素敵な夢を観る女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0614名無しさん@ピンキー2017/01/10(火) 22:33:16.80ID:sQu+JHBy
GJ

まさかまだ謎カノのssを読めるとは思わなかったので嬉しいです。
0615597-5982017/02/16(木) 21:44:08.81ID:XG0/hk6b
ナゾカノってよりむしろディスコミ
でもGJ
0616 ◆URBRTbKUxc 2017/05/12(金) 18:54:47.33ID:dPeSixci
お久しぶりです。もう此処では2年目ですね。
ちょっと変わった事をしてみます。

【謎の色迷日記】

PREAMBLE:
KONO NIKKI HA ORE TSUBAKI AKIRA GA KOJIN NO KENGEN DE
HISOYAKA NI YOGOTO NO 'YUME' NI TSUITE WO SHIRUSHITA
MONO DE ARU.
MADA NARENAI PERSONAL COMPUTER... IWAYURU 'PASOKON' TO
NIHONGO DE SHITASHIMARETE IRU BUNMEI NO RIKI NITE
KAKITSUDURU RIYUU, SORE HA:

1.KONO NIKKI NO ARIKA WO TANIN NI SHIRARETAKU NAI KARA.
KONO COMPUTER NIHA LOGIN SURU TAMENO 'PASSWORD' GA
HISSU DE ARI, SORE NASHI NI HA NAKAMI WO NOZOKU KOTO NADO
TOUTEI MURI NA HANASHI DE ARU.
MATA, NOTE NADO NI SHIRUSHITA BAAI NIHA, ANE YOUKO GA
SOUJICHUU NI MITSUKETE SHIMAU, KANOJO URABE MIKOTO GA
HASAMI DE KIRIKIZANDE SHIMAU, NADO ONORE WO KIKEN NI
SARASHITE SHIMAU KOTO TO NARU NODA.

2.KONO NIKKI HA NIDOTO YOMIKAESHITAKU NAI KARA.
WAZAWAZA JIBIKI(EIWA OYOBI WAEI JISHO, HYAKKA JITEN, etc...)
WO TSUKATTE MADE SHITE, KONO KIKKAI NARU BUNSHOU NI
OTOSIKOMU RIYUU, SOREHA ONORE NO LIBIDO GA AMARINIMO
SHIGEKITEKI SUGIRU UENI, OMOIKAESHITE MONZETU SURU
KOTO NI NARIKANENAI TAME DE ARU.
YUME TOHA MAKOTO OSOROSHII MONO DE ARI, MARE NI YUME DE
OKOTTA DEKIGOTO GA SOUMATOU NO YOUNI TOTSUJO TO SHITE
GANZEN NI ARAWARERU, SOUNAREBA ONORE NO MI NI SEIDOU WO
KAKERU KOTO GA HIJOUNI MUZUKASHII.

SHIKASHI TATOE 'RO-MAJI' NITE KONO NIKKI WO TUDUTTA
TOKORODE SUGU NI YOMARETE SHIMAU KOTO NADO MIETE IRU.
MASHITEYA IKOKU NO KOTOBA NADO ORE NIHA TOUTEI RIKAI
DEKINAI TAME, KAKU KOTO SURA MAMANARANAI.

SHIKASHI, KORE NARA DOUDAROU KA.

"]{173]{! 1zz[-1 $]-[!/v84$]-[! vv0"
KITE-KI ISS-EI S-H-I-NBAS-H-I WO
(*鉄道唱歌より)

|<0/v0 `/<>L| /|/! |X!60[_] @12[_]1 ]-[4 5L|L|_/! [v]@_]!/21 /|/!
KO-NO- Y-O-U N-I KIGO-U A-R-U-I H-A S-U-U-JI M-A-JI-RI N-I
|x4!73 $#![v]@v X07<> [)3 74703 |<0/|/0 /V1|<|<1 /|/0
KAITE SHI-M-AU KOT-O DE TATOE KO N-O NI-K-KI N-O
@12!|x4 vv0 $]-[1/2@/23+3 [v]0, <#!$#!]{! /v45]-[1 /|/!
A-RI-KA WO S-H-I RA-RETE M-O, CHISHI-KI NAS-H-I N-I
^/4|<@[v]! [v]4[>3 `/0|v|@/23|2L| X070 }{4 ]{!`/[_][_] /|/1
NA-KA-M-I M-A-DE YO-M-A-RE-R-U KOTO HA KI-Y-U--U N-I
0vv412L| 70 !|_| ]{0+0 [)4.
O-WA-R-U TO I-U KOTO DA.
(|<0/|/0 ]{!}{0[_] vv0 'l33t' 70 ![_] 1245}{11.)
KO-N-O KI-HO-U WO 'leet' TO I-U RAS-HII.

--
0617 ◆URBRTbKUxc 2017/05/12(金) 18:57:51.97ID:dPeSixci
26th, April

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--
0618 ◆URBRTbKUxc 2017/05/12(金) 19:02:21.76ID:dPeSixci
3rd, MAY

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#@635#!XL| +4641 vv0 [v]0+0[v]3......

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0619 ◆URBRTbKUxc 2017/05/12(金) 19:04:46.31ID:dPeSixci
11th, MAY

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--
0620 ◆URBRTbKUxc 2017/05/12(金) 19:05:34.81ID:dPeSixci
乱丁発覚。

7th, MAY

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0621 ◆URBRTbKUxc 2017/05/13(土) 19:15:39.69ID:2KHi85cs
あれ?もうスレ一杯?
0622 ◆URBRTbKUxc 2017/05/14(日) 23:11:24.03ID:xNub5Uut
1st, JUN

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0623 ◆URBRTbKUxc 2017/05/14(日) 23:15:37.88ID:xNub5Uut
定期試験も終わり、暑苦しい夏がやって来た。そんなある日の事。
その日は答案が返されるだけの時間割だったので、午後からは皆思い思いの形で羽を伸ばす。
俺も荷物を片付けてさあ帰ろうと席を立とうとした矢先の事である。
「椿君、今日は時間空いてるかしら」
「え、今日?どうして?」
声の主は卜部だった。俺は彼女の方を振り向いて「空いてるけど、何?」と要件を尋ねた。
「今日、家に誰も居ないから椿君の家に行っちゃおうかと思って」
「ああ、そういう事なら」
俺は卜部と一緒に教室を出て何時もの帰路についた。
夏の蒸し暑さが俺達を包んだが、寄り道せずに真っ直ぐ俺の家へと向かった。

「んじゃ、上がって」
「お邪魔します」
俺は卜部を部屋まで連れて行くとエアコンのスイッチを入れた。
「何か飲む物取ってくるから少し待ってて」
「うん……あら?これは……」
卜部は俺を引き止めた。新調したパソコンに目が行ったらしい。
「ああ、少し前に部品を買ってきて組んだんだけどね」
「へぇ……」
「暇潰しに動画でも観てていいよ」
俺はログインパスワードを入力して卜部にパソコンを貸すと階下へと降りた。

--
0624 ◆URBRTbKUxc 2017/05/14(日) 23:17:36.28ID:xNub5Uut
暫く俺達は動画を観たり漫画を読んだりしていた。卜部は俺の知らないゲームや漫画が好きだとばかり思っていたが、意外にも有名所もしっかり押さえていた。
そんな卜部の新鮮な所を眺めていると、階下から玄関の開く音がした。
「明ー?ちょっといいかしら?」
「はーい、今行く!」
俺は卜部にちょっと行ってくると伝え階段を降り、暫し姉の手伝いをした。

「……あら?何かしらこのファイル」
一人になった卜部はふとファイル履歴に目を遣ると怪しげなテキストファイルを開く。
「え、こ、これ……」
卜部はその文字列に目を見開いた。
「ただいま!」
それとほぼ同時に椿が戻ってきた。
そして椿が見たのは、パソコンの画面を見ながら赤面する卜部の姿だった。
彼女は口元を押さえながら、鼻血を指の隙間から垂らしていた。
「あ、あの……卜部……?」
俺はその場で固まってしまった。卜部は物言いたげに瞳を潤わせじっと俺を見つめている。
「あのね、その……」
「……見ちゃった?」
「……うん」
卜部は吃ってしまい、俺の妄想に関して言及する気も失せてしまったらしい。
「……でもね椿君、私もなの」
俯いた卜部はモソモソとポケットから封筒を手渡した。
「え、これ……ごふっ!」
その封筒を受け取り、突如頭に血が上る感覚に陥った俺は盛大に鼻血を噴き出した。
「……私達、似たような夢を観ていたのね」
成程。どうやら封筒の中身は大体察しがついた。
「そんなに溜まってるなら私……オカズにされたって構わないから」
俺は言葉を失う。されど俯き姿勢の卜部は満更でもなさそうだった。
「椿君……また夢の内容教えてね」
「あ、ハイ」
謎めいた取引になってしまったが、これが恐らく恋という物なのかもしれない気がした。
色に迷い狂い果てた青春、そんな爛れた世界でも、卜部はずっと卜部として、俺の彼女としてあり続けるのだろうか。
そんなこんなで、卜部は今日も明日もこの先も、「謎の彼女」なのだろう。

【謎の色迷日記 -Fin-】
0625 ◆URBRTbKUxc 2017/05/14(日) 23:18:36.73ID:xNub5Uut
【謎の色迷日記 -あとがき-】
2周年ですね。あまり大した作品も出来ず皆様には申し訳ない気持ちであります。
夏も近づく八十八夜。皆様は五月病でさぞかし大変だろうとお見受けしますが、いかがお過ごしですか。
私◆URBRTbKUxcは持病の悪化で物忘れが酷く、今のところ対処療法も難しい最中です。
さて今回は新たな試みを試してみました。言葉遊びの一環と云いますか、アンダーグラウンドの雰囲気と云いますか。そんな目論見が成功したなら何よりです。
本当であれば去年の内に完成したかったのですが、如何せん夢の内容を事細かに書こうとすると膨大な量になってしまいました。スレに入りきるか心配です。
タイトルの「色迷」とは即ち性的な煩悩に惑わされるという意味であり、中国語ではショオミと呼ばれます。
解答編は別途うpさせて頂きますので是非悩みながら読んでみて下さい。
ところで、色づいた空想に悩む思春期の子供達って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0626 ◆URBRTbKUxc 2017/05/14(日) 23:20:46.85ID:xNub5Uut
保管庫管理人様へ一言: ごめん!
【Leet原文】
ttps://www.dropbox.com/s/qaep1ve3pz1nmb1/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E8%89%B2%E8%BF%B7%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%91_L33t.txt?dl=0
【Leet+ローマ字】
ttps://www.dropbox.com/s/u52g4txn3f86tnm/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E8%89%B2%E8%BF%B7%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%91_L33t%2BRoma-ji.txt?dl=0
0629 ◆URBRTbKUxc 2017/05/27(土) 00:17:11.97ID:qE1e+dp/
>>628
しかもディスコミみたいな世界観らしいですね。読みたい!
0630 ◆URBRTbKUxc 2017/06/06(火) 15:43:28.88ID:rdDgjibz
このスレの皆様方に暑中見舞い申し上げます。
ご笑納ください。
ttps://www.dropbox.com/s/dsuiogxa4tid5xc/Shochumimai_Nazo_20170606_%E8%BA%AB%E5%86%85%E7%94%A8.png?dl=0
0631名無しさん@ピンキー2017/06/12(月) 12:10:37.00ID:0JvTYZh0
すごいな。
絵上手いんですね。
0632 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:40:10.15ID:vxQuwYSu
空梅雨らしいので一本どうぞ。

【謎のサマーアプローチ】

止まない雨はないのだと人は言う。

雨はいつか虹を架けるのだとも言う。

日曜日。俺、椿明は窓から視える部屋の外をじっと見つめていた。
雨。しかも梅雨前線がもたらす雨は風情すら感じられない。
何の気無しにスイッチを捻ったラジオは梅雨入りを報せ、各地では雨がどうこう、洪水に注意せよだの。いくらチューニングダイヤルを廻しても同じような内容ばかりである。
俺はラジオのスイッチを切り枕元に投げ捨てると、居間へと降りて行った。
居間では姉の陽子が商店街の帰りだったらしく、一人季節外れの桜餅と柏餅をつまみながら渋茶を飲んでいた。
「あの、姉さん……また買ってきたの?」
「美味しいからついね、明も食べる?」
「あ、うん」
俺は姉の差し出した柏餅を食べる事にした。
しかし柏餅ひとつ食べたところで気が晴れるわけでもなければ、時計の針が素早く進むわけでもない。
やがて興醒めした俺はすぐに自分の部屋へと戻り、先週読み終えた雑誌をまた捲りながらぼやぼやと夕方までの時間を過ごす事にした。

--
0633 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:41:28.78ID:vxQuwYSu
明くる日の朝、朝食も程々に俺はトボトボと雨の道を進む。
赤、青、黒、色とりどりの傘の花が咲く中、白い校舎は煤けて物哀しさを見せる。
2-Aの教室は何時もと変わらぬ気怠さが広がり、男子達は猥談に励み、女子達は流行に胸をときめかせる。
その中で唯一、机に寝そべり一言も語らぬ存在があった。
卜部だ。彼女だけは最早他人などどうでもいい存在なのだろう。
程なくしてHRの時間が始まり、人混みは整然と席に戻る。

1時限目が終わると、雨脚は一層強まった。
校庭に降り注ぐ雨は川の様に流れ、ぞっとする不安を与えた。
「あちゃー、これ帰れるかな……」
声の主はすぐ隣の上野だった。
上野の自宅は少し離れている様だが、まあ帰れないわけではなさそうだ。
「上野、今日の2限目は移動教室じゃ?」
「おっと、そうだった!じゃあ椿も早く行けよ」
上野はそそくさと準備をして教室を出た。ほぼ同時に卜部も教室を出たので、俺も2限目の用意をして彼女を追いかけた。

--
0634 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:48:59.98ID:vxQuwYSu
昼食の時間。
果たして俺は無事に帰れるのだろうかという心配だけがあった。
丘と卜部が仲良く大きな弁当をつついているのを尻目に俺は一人小さな弁当を食べていた。
仲がいいのは兎も角、内心少し羨ましい感じもする。
「俺も料理作れたらなぁ……。」他人の才能を此処まで大きく感じながら、俺は溜息をつく。

5限目が終わり、掃除も済ませると雨は小降りになってきた。なんとか希望は持てそうだ。
さて帰ろう、とした時に卜部がいない。一足お先に帰ったのかと下駄箱へと向かうと其処に卜部がいた。丘と何やら話している。
俺は下駄箱の影で二人の会話を聞こうとしたが、あまりにも騒がしいので聞きそびれてしまった。
直ぐに二人は別れた。そこで俺は靴を履き替えて卜部と一緒に帰ることにした。

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0635 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:49:55.42ID:vxQuwYSu
帰り道。公園前まで来た二人に再び容赦なく強い雨脚と強風が襲い掛かる。
「きゃっ!すごい風……」
「仕方ない、雨宿りだな……」
俺達は急いで公園に駆け込み、大きな木の下の梢に身を寄せた。
容赦なく殴りかかる雨という雨は、梢すら突き抜ける。それを傘で防いではいるが如何せん風もある。
「……卜部、震えてるぞ」
俺は思わず卜部を抱きしめた。今日はハサミは飛んでこないだろうか、それだけは心配だったが。
「……ありがと」
卜部は安心した様子で俺に身体を預けた。良かった、ハサミは飛んで来なかった。
「……椿君、あったかいね」
卜部の声が弾む感じがした。心なしか、嬉しい。
そっと肩を抱いて暫くすると、雨脚が弱まった。強い風と共に、雲の裂け目が見えた。
「椿君、あれ見て!」
俺は卜部の指差す先を見た。其処には、大きな虹が掛かっていた。
綺麗だな……やはり雨宿りって、いいものなんだな。
「はい、椿君」
俺は彼女が差し出したよだれを舐めた。しゅわわ、と甘酸っぱい味が広がった。
「椿君、一緒に帰りましょう」
卜部は傘を畳むと足取り軽く砂地の公園をスキップした。
俺も小走りで、虹をバックに彼女を追いかけた。

--
0636 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:51:26.40ID:vxQuwYSu
1週間が経ったその日は奇跡的に晴れていた。
朝、テレビでニュースを観ていた姉、陽子は俺を見るなり小銭を渡した。
「明、今日は食中毒が心配だから何か買ってきなさい」
「とかいって姉さんも作りたくないんでしょー?」
俺はまだ寝癖の残る姉を見ながら笑う。
「しょうもない事言わないの、今日は例年を上回る暑さなんだから」
「へいへい」
俺は小銭を受け取り朝食を食べると手早く支度をして学校へと向かった。

白い風見台高校の壁は夏らしい陽射しに輝いていたが、今朝からやたらと蒸す事もあって其処まで意気揚々と入る気にはならなかった。
2-Aの教室に何時も通り入る。卜部は自分の机に突っ伏して眠っていた。
俺も自分の机に腰掛けると程無くしてHRが始まった。

--
0637 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:53:12.36ID:vxQuwYSu
昼休み、俺は机に散らばった教科書やノートを片付けて購買へと向かおうと教室の外に出た。
其処に卜部が教室から出て来た。何故か手提げ袋を持っている。
「椿君、ちょっといいかしら」
「え?ああ、うん」
俺は卜部の後を歩いて追い、下駄箱でスニーカーに履き替えて体育館脇のベンチまでやって来た。陽射しが梢に掻き乱され、風が心地いい。
「今日は、私と一緒に昼食にしましょう」
そう微笑いつつ卜部は弁当箱と水筒を出して俺の膝に弁当箱を置いた。
俺は恐る恐る弁当箱を開くと、其処には色とりどりのおかずがあった。
何よりも目を引いたのが、チキンライスだった。その上に乗っかったチーズに海苔で卜部の切り絵が施されている。
「わあ、すごい……でも卜部、今日は丘との弁当いいのか?」
「今日は丘さんは上野君と食べるらしいから、たまにはと思って」
卜部は自分の弁当を開けながら、答えた。
「そうなんだ……でも卜部、いいのか?」
「私は椿君の笑顔が見れるなら、それでいいわ」
卜部はそう言うなり黙ってしまい、弁当を食べ始めてしまった。
俺も恐る恐る卜部が作った弁当に箸を伸ばす。
う、美味い。こんなに美味しい弁当は初めてだった。
そして気がつく頃には、俺は卜部の弁当を空にしていた。

--
0638 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 15:54:53.08ID:vxQuwYSu
放課後、俺達はいつもの道を渡って二人が別れる交差点にまで辿り着いた。
「卜部、今日は弁当ありがとう!」
「……あれ位大した事じゃないわ、また作って欲しかったら何時でも言ってね」
そう言うと卜部は指先によだれを掻き出した。
俺はその甘い雫を舐めると、妙にニヤけたような笑顔になった気がした。
「じゃあ、また明日!」
「おう!」
俺は足取り軽く自宅へと戻った。
「ただいま!」
「おかえり明……その顔何よ」
「え、この顔?何か変かな?」
「とてもしまりのない顔してる」
「そ、そう……」
俺はスニーカーを脱ぐと洗面所に向かった。手を洗いながら鏡を覗くと、其処にはとてもしまりのない自分の顔があった。
「ああ、本当だ……」
俺はくすぐったい気持ちのまま、今日の弁当の事を想い出しながら部屋へと向かった。

--
0639 ◆URBRTbKUxc 2017/06/14(水) 16:03:32.81ID:vxQuwYSu
また埋め立てですかあ→あと*****秒待て!になってしまいました
続きはまた次回という事で。
0640 ◆URBRTbKUxc 2017/06/16(金) 02:26:53.39ID:vV3yjQpS
3週間後には梅雨も何処かに消え、風見台は炎天下の夏になった。そんな或る日の放課後である。
俺が卜部を捜しながら下駄箱まで歩いていると、急に上野から声を掛けられた。
「よっす椿!お前今年の夏はどうすんのさ?」
「俺?……ノープラン」
俺は適当に返事をするとそそくさと上履きを脱ごうとした。
「おめー暑中見舞い位送ってこいよなー?」
「暑中……見舞い?」
「ああ、俺もちょっくら旅行でもして来ようかとな……」
上野が何か目論むような顔で頭を掻く。
「……丘と、だろ?」
「げエッ!バレた!?」
そんな顔してりゃ誰だって察するだろ。と言いたかったが敢えて黙っておく事にした。
「俺はどーせお一人様ですよーだ」
俺はそそくさと帰ってしまう事にした。
「おーい!何か進展あったら連絡しろよなー!心の友だろー!?」
……俺は聞こえないフリをした。
「……卜部と、か」
俺はぼやぼやとこの夏行く場所について考えていた。
「海は卜部の家族が帰省で行くだろうから……山?それとも温泉街?」
あれこれ考えているうちに果たしてコンクリ橋の前に着くと、其処で卜部が待っていた。

--
0641 ◆URBRTbKUxc 2017/06/16(金) 02:30:18.25ID:vV3yjQpS
俺達は暑い中をゆっくりと歩き、やがて公園前までやって来た。
「椿君、少し休みましょう」
「おう」
俺達は公園の中の日陰になっているベンチに座った。
蝉時雨が遥か、炎天下越しに聞こえる。
俺は思い切って、卜部に話しかけた。
「なあ卜部、この夏……旅行でも行かない?」
「旅行……そうね、そういえば今年はお父さんも忙しくて帰省できないと言ってたから」
おおっ、食らいついた!もうひと押しか、手応えがあった。
「何処がいい?山なんかどう?それとも温泉街?」
「そうね……それは椿君に任せるわ」
やった!これでこの夏は先取りしたも当然だ!
「じゃ、じゃあ、また連絡するから―」
「椿君、じゃあ先にこれあげるね」
手渡されたのは切手も宛名もない葉書だった。その裏には卜部がパソコンで描いたであろう卜部の水着姿の絵があった。
「写真をなぞって描いてみたんだけど、どうかな?」
卜部、そんな事出来たんだ……俺は暫しその絵葉書に見とれていた。
「う、うん、上手だね!」
「……ありがとう」
卜部は照れながら眩しい笑顔を見せた。

--
0642 ◆URBRTbKUxc 2017/06/16(金) 02:32:42.92ID:vV3yjQpS
「ただいま!」
いつもの交差点で日課を済ませた俺は意気揚々と帰宅した。
「おかえり……明ー、まただらしない顔して」
「え?そ、そう?」
俺の顔はまたしまりのない顔になってしまっていたらしい。
洗面所に行き、手を洗っている最中に鏡を覗くと、やはり其処にはしまりのない顔があった。
「ああ、まただ……」
俺はニヤついた顔のまま、自分の部屋に戻った。
ベッドの上で少しばかり気の早い暑中見舞いを眺め、近づく夏休みの事を考えて。
俺は彼女の暑中見舞いを小さな額に入れて、意気揚々と家を出た。
全てはこの夏を卜部と楽しく過ごす為に。

よし、まずは旅行代理店に行ってみるか。大体の相場が掴めたら次は書店……ああ、夕方までにで回れるかな?
俺は先走る気持ちをなんとか抑えつつ、卜部の喜ぶ顔を空想した。
「今、俺達の夏が始まったんだ!」
青空に向かって叫びたいこの気持ち。その新鮮なスタートにたった今到達したばかりだ。

【謎のサマーアプローチ -Fin-】
0643 ◆URBRTbKUxc 2017/06/16(金) 02:37:34.95ID:vV3yjQpS
【謎のサマーアプローチ -あとがき-】
夏ですね。タバコが足りません。安タバコが美味しいこの夏です。
本作は元々2つの作品の予定でしたが、作っている段階であまりにも短くなる事が予想されたので、繋ぎました。
さて世間は空梅雨となり暑い陽射しが降り注ぐ今日此の頃ですが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
私めの事を申せば、今年はカオス極まる深夜アニメの数々、避暑地の憩い、皆さん思い思いの夏が来る事を祈りつつ筆を進める時分であります。
酷暑のみぎりくれぐれもご自愛のほど申し上げます。
ところで、夏を制する女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0644名無しさん@ピンキー2017/06/18(日) 23:16:07.71ID:bK/OoUMl
GJ
0645 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:11:17.58ID:f74HWXdS
これまでの集大成っぽい作品です。相変わらず混沌としているのはご愛嬌で。

【謎の悶絶彼女】

「全く、なんでこうなるかなぁ……」
今、俺椿明はとても無様な格好で2-Aの教室に居る。
今朝から鼻血の止まらぬ俺は家からティッシュボックスを持ってきて、鼻にティッシュを詰め込んだまま今日一日を過ごしている。
幸いにも今朝ほど出血はしていないものの、隣の卜部を見る度にまた大量に出血するのではないかという一抹の不安がある。
全く、昨日上野に変な事を吹き込まれなければこんな事態に陥る事もなかったのに。俺は友を恨んだ。
「おはよーぅ椿ィ、あれ……なんだお前?鼻血か?」
「ああ、本当お前のせいだよ……っ!」俺はヤケを起こして彼の鳩尾に拳を一発食らわせた。上野はその場にもんどり打って悶えた。
さて、事の発端は昨日の上野の会話である。あの時上野はずっと頭を押さえてうんうん唸っていたが……。

--
0646 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:17:20.53ID:f74HWXdS
「どうした上野?頭痛そうにして、丘と失恋でもしたか?」
「ち、違うんだ椿……実はな、この前丘が俺を夕食に誘ってくれたんだ……そしたらなんと丘の兄さんが帰ってきてたんだ」
「丘に兄さん……?で、それがどう頭痛と関係があるんだ?」
「……一杯、盛られた」
盛られた?それってもしかして……。
「う、上野お前酒飲んだのか!?」
「ば、馬鹿!声がでかいぞ……ああ〜〜またイタイ……」上野は頭を押さえながら悶絶した。
つまり事を整理するとこうである。
丘兄妹は二人とも酒が強い体質だった。ビール、酎ハイ、あれこれチャンポンしながらメートルを上げて収拾つかぬ状況に陥った時、丘の両親が席を外したのが運の尽き。
「上野君、もし歩子を貰いたいならこの一杯を飲み給え」
「え、ええっ!?しかしお義兄さん、それは……」
「貴様は歩子が欲しくないのか?」
この言葉に完敗した上野は仕方なく酒を一杯貰い、二人の目の前で一気に飲み干した。
「はっはっは、それでこそ漢というものだよ上野君」
すっかり調子に乗った二人に勧められるがまま上野はベロンベロンになるまで飲んでしまい、帰り道の記憶すら喪って気が付くとベッドの上で二日酔いを起こしながら目覚めたというわけである。
……正直、上野には向こう見ずな所があるのだが、これは流石に酷いものである。

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0647 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:20:48.80ID:f74HWXdS
俺は更に記憶の糸を少しずつ手繰っていく。
昨日も日照りの強い残暑日であった。青春を謳歌する多くの少年少女達の紅蓮の情念を封じ込めた様な白いコンクリ橋の上で辛辣なる太陽に炙られながら俺と卜部は落ち合い、帰路についた。
「ああ、暑い……椿君、また公園で休んでいいかしら」
「ああ、いいよ」
俺達は、公園の木陰のベンチに逃げ込んだ。
暫し、佇む。すると卜部がぽつりと口を開いた。
「丘さん……お兄さんと羽目を外して上野君を酔わせたらしいわね」
「ああ、上野から聞いた……」
「……椿君は、私が羽目を外した事知ってるよね」
「ああ、そんな事もあったな……」
羽目を外したとは何時かの帰省の話である。あの時の奇妙な夢は未だに俺の脳裏に強く焼き付いている。

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0648 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:27:18.04ID:f74HWXdS
「……ねえ、私が羽目を外した時、椿君はどう思った?」
「え?」突然の彼女の質問に俺は戸惑った。暫し黙り、決心した俺は答える。
「そりゃあ、あんな卜部見た時は驚いたし、気難しいものを感じたけど……」
卜部は暫し黙り、何か思いついた様に通学鞄の中からまた試験管を取り出しその中に自分のよだれを流し込んだ。
「……また、今夜も舐めて欲しいんだけど」
「う、うん」
卜部の意図は汲めなかったが、俺は大事そうにその試験管を受け取った。
俺達は再び帰路につくと、いつもの交差点で別れた。

その晩、俺はベッドの上で卜部の事について考えていた。
あのよだれにはどんな意図があったのだろうか。
羽目を外した卜部は、俺の考える彼女の可愛い面だったのだろうか、それとも……。
……駄目だ、答えが見つからない。こうなったら成すがままだ。あのよだれを舐めるしかない。
俺は枕元に置いていた試験管の栓を抜いて一気によだれを飲み干した。
「!? っは!」
変な味がする、腐ったわけじゃなさそうだが、頭を揺さぶられる味……これって……。
既に、意識は俺の手元から無くなっていた。
記憶の中の卜部はまた奇妙な夢の世界へと手招きして……。

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0649 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:33:02.80ID:f74HWXdS
熱帯夜の中の何処か知らない一室。
粗末な造りの和室の様な六畳間に俺と卜部が居た。部屋には卜部が座っているシングルのベッドがひとつと小さな古めかしいテレビが置かれ、そして小さな扇風機が廻転していた。
何故か卜部は黒のネグリジェを着ている。透けた布地から時折チラチラ視える曲線美が悩ましい。
「う、卜部……?」
俺はまじまじと卜部を見つめる。空き缶などのゴミが散らばった部屋に卜部が一層美しく視えた。
そしてあろうことに卜部の手指には煙草が挟まれていた。
「う、卜部!なんで煙草なんか吸ってんだよ!?」
「あら、私が煙草吸ってたら悪いかしら?」
卜部は顔色一つ変えず紫煙を空中に吐き出した。更に卜部は床の上に置いてあった缶酎ハイにも口をつけた。
「椿君……あなたが私にあらぬ感情を抱いて悶えるより、私は大人になりたくてもっともっと悶えているのかもしれないわ」
今の卜部と、大人の卜部……?俺は今どちらの卜部と向き合えばいいんだ?
……駄目だ、考えがまとまらない。
その時、突然卜部は咥え煙草のまま顔を近づけ、俺の口に煙草を咥えさせると両手でそっと頬を包んで、煙草の火を俺の煙草の先端に押し当てた。俺は思わず息を呑んだ。
『これが、大人のキスの味……』
その甘くて苦い味を感じ取った時、急に世界がゆらゆらと揺れ始めて……。

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0650 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:39:37.63ID:f74HWXdS
俺は、気が付くと自分のベッドの上で目を覚ました。
意味不明な程に混沌とした夢を観るのは最早何時もの事だが、今回ばかりは流石に色々と考えさせられる夢だった。
あの夢に出てきた卜部は本当に悶絶していたのだろうか。
いや、もしかしたらあの時悶絶していたのは本当は俺だったのか。
そんな事を考えているうちに妙にのぼせた様な感覚に陥り、ヌルっと……!?
「げ、鼻血!?」俺は鼻を押さえ、机の上のティッシュを取って拭き取った。
慌てて鼻に詰めたティッシュも数秒経てば真っ赤に染まり、ポタポタと血が垂れてくる。
「姉さん、鼻血が止まらないんだけど!?」俺は急いで階下に降りると姉を呼んだ。
「明、まずは座って鼻をつまんで!」
俺は言われた通り椅子に座って鼻をつまみ、暫くうつむいた。
間もなく鼻血は収まったが、数分に一度じわりと出てくる事に変わりはなかった。
俺は仕方なくティッシュを鼻に詰めて、ティッシュボックスを持って登校する事になり……今に至るというわけである。

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0651 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:42:32.61ID:f74HWXdS
放課後。恐る恐る鼻に詰めたティッシュを抜くともう鼻血は止まっていた。
俺は安堵し、いつもの様に卜部を捜してコンクリ橋の前までやって来た。はたして其処に居た。
「よう、卜部」
「あら……もう鼻血はいいの?」
「んー……何故かもう治っちゃったよ」
「……それならいいんだけど、それじゃあ一緒に帰りましょう」
……随分とあっさりだなあ。俺は仕方なく彼女と一緒に帰る事にした。

帰り道。今日の卜部を時折横目で眺めていたが、特に変わった気配はなかった。
「……卜部、公園に寄ってもいい?」
途中、俺は話をする為に休憩を打診した。
「そうね、寄って行きましょう」
またもやあっさりOKを出した。やれやれ、と俺は公園の中に入りベンチに腰掛けた。
卜部もすぐ横に腰掛け、俺達は蝉の鳴かない残暑日の中暫し風の気持ちよさに身を任せた。

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0652 ◆URBRTbKUxc 2017/08/29(火) 23:50:27.32ID:f74HWXdS
今日は此処まで。
ひろゆき氏はよう規制緩めてくれや。
0653 ◆URBRTbKUxc 2017/08/30(水) 23:58:01.53ID:nm6HUg1P
「……卜部、話があるんだけど」
「……何?椿君」
卜部は虚空を見つめたままだ。こんな状況で話が出来るのか不安だったが、俺は決心して話を続けた。
「あの夢……本当に卜部が思ってた事なのか?」
「夢……?」卜部は少し怪訝そうに此方を向いた。
「えっと……もし卜部が大人になりたい事を望んでいるなら、それを咎める事は出来やしない……だけど」
「……もしかしてその事で悩んだあまり鼻血が止まらなかったの?」
「えっ、あ、ああ……」
言い当てられてしまった。
「……嘘だよ」
「え?」
「う・そ」
嘘……?一体どういう事なんだ、何故嘘をつく必要があったんだ?
「ごめんね椿君……私はあの時丘さんと上野君がとても羨ましくて、椿君の夢の中であらぬ妄想を植え付けたのよ」
……そうだったのか。じゃあ俺は一体何を悩んでいたんだろうか。こんな純粋な気持ちに気が付いてあげられないなんて。
「椿君……もしあなたが気分を害したなら私、ぶたれたって構わないから」
俺は意外な一言に吃驚して目を見開いた。駄目だ。俺にそんな事は出来ない。
「……もし私を叩きたくないなら、他のどんな事でも耐えてあげる」

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0654 ◆URBRTbKUxc 2017/08/30(水) 23:58:44.70ID:nm6HUg1P
どんな事でも?卜部、まさか……。
俺はこの幼気(いたいけ)な彼女に何を仕出かそうというのだろうか。
何をしてやればいいんだ?俺はない頭であれこれ思考する。
……そうだ。
俺はある決心をして立ち上がると暫し目を瞑り、口からよだれを掻き出した。
「え?これ……?」
「ああ、舐めてくれ」
「……うん」
卜部は恐る恐る俺の指からよだれを舐めた。
直後、雷に打たれたかの如く硬直した彼女はがくりと俯いて鼻血をポタポタと垂らした。
「あのね椿君……確かにどんな事でも耐えられるとは言ったけれど、私に縄の痕を付けるのは正直逆効果だと思うわ」
そう。俺は制服姿の卜部を天井から吊るしてやりたいと思ったのだ。
俺が思い描いた情景は正中線に菱型を描く紅い縄、自由の利かない手足、そして……。
「……それと私、体中に人形を括りつけられてもどうしたらいいか分からないわ」
効果覿面である。我ながら理不尽な程意味不明な事を相手に望んだのかもしれないが、それでも卜部は「悶絶」したのだ。
「……椿君、そろそろ帰りましょう」
「ああ」
俺は立ち上がった卜部の肩を優しく抱き、歩幅を揃えて帰路についた。
「……これで、良かったんだな」
ふとそんな事を考えつつ、今日も俺は「謎の彼女」に恋をしている。

【謎の悶絶彼女 -Fin-】
0655 ◆URBRTbKUxc 2017/08/30(水) 23:59:59.25ID:nm6HUg1P
【謎の悶絶彼女 あとがき】
夏もそろそろ終わってしまいますね。私は9月に内視鏡検査が待っています。コワイヨー
さて大分間が空いてしまいました。正直申し訳ない気持ちです。
近頃何もかも思い通りにいかず、自棄食い自棄飲みという爛れた日々を過ごしていました。
この作品は、ある昼まだ缶の中に残っていたぬるい酎ハイを口にした時閃いたものです。
正直カオス過ぎて意味不明な事になっていますが、原作でもこれ位ぶっ飛んだ話があった様に感じたのでそのまま思いついた内容をアウトプットしてみました。
皆さんが彼女に望む事、それは極めて猟奇的であり、極めて清純な事なのかもしれません。
ところで、縄化粧した彼女って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。

追伸:植芝先生に例の暑中見舞いをお送りしたところお返事を頂きました。
https://www.dropbox.com/s/c1egmqmz6rkbtfh/Ueshiba_Hensho_20170821%28%E8%A4%87%E8%A3%BD%E5%8D%B0%29.jpg?dl=0
0656 ◆URBRTbKUxc 2017/08/31(木) 00:04:55.84ID:FqqP583U
保管庫様へ、そっと保存しておいて下されば幸いです。

【謎のサマーアプローチ】
ttps://www.dropbox.com/s/x1sq4gwkzol6yke/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81%E3%80%91.txt?dl=0

【謎の悶絶彼女】
ttps://www.dropbox.com/s/f3b6yg41ntuyg1y/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E6%82%B6%E7%B5%B6%E5%BD%BC%E5%A5%B3%E3%80%91.txt?dl=0
0658 ◆URBRTbKUxc 2017/09/17(日) 07:49:24.52ID:oqqbJWgX
【URBRTbKUxcの独り事】
内視鏡検査はポリープが一切見つからない良い結果に終わりました。ご心配おかけしました。
本題ですが最近小生以外にエロパロを執筆してくださる方が居ないのは誠に遺憾に存じます。
私としては話の通じ合う知人を経由して宣伝を行ったつもりでありますが、如何せん此の作品が極めて
マイナーであるが故に衰退の一途を辿っている事をひどく痛感しております。
本来であれば皆が青春時代に抱えたリビドーを此処で吐き出していくのが筋なのかもしれませんが、
私なりに良かれと作った作品達が何か問題を抱えているのではないかと自責の念にかられているのも
又事実であります。
名も無きヤンデラー様を含めた皆様がまた此処で作品を紡げる事が、今の私の望みであります。
秋の夕暮れは釣瓶落とし、気温もぐっと低くなりましたがどうか皆様方体調にご自愛下さいませ。

敬具
URBRTbKUxc
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