【何発でも】腹責め専門SS・その12【叩き込め】
レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
例えば、
◆強気な優等生娘がスケバングループに拉致されて腹を殴られて悶絶したり、
◆格闘娘が手足の自由を奪われて、鍛えぬいた6パックの腹を延々と殴られて腹責め拷問されたり、
◆憎い仇の子種を孕まされた女戦士が、切腹して自害したり、
◆悪の女幹部が、その黒い腹を正義の拳で断罪されたり
というような、腹パンチから切腹にわたる腹責めシチュSSのスレです。
オリジナル・二次問いません。
小説以外にも、腹責め系のネタなら大歓迎。(プロット投下など)
まとめサイト
ttp://thinker.web.fc2.com/index.html
腹責め専門SS避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1241429062/
前スレ
【何発でも】腹責め専門SS・その11【叩き込め】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1348582025/
【何発でも】腹責め専門SS・その10【叩き込め】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334395803/
【何発でも】腹責め専門SS・その9【叩き込め】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321531910/
【何発でも】腹責め専門SS・その8【叩き込め】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1303793228/
【何発でも】腹責め専門SS・その7【叩き込め】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1279806388/
【何発でも】腹責め専門SS・その6【叩き込め】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244442849/
【何発でも】腹責め専門SS・その5【叩き込め】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229223999/
【ソフトでも】腹責め専門SS・その4【ハードでも】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209903187/
【嘔吐】腹責め専門SS・その3【子宮潰し】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196431261/
【嘔吐】腹責め専門SS・その2【子宮潰し】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174024879/
腹責め専門SS
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150474532/ 落ちてたんで立てました。
楽しく使ってね
仲良く使ってね
チンポ とりあえず即死回避
どうもau規制中らしいね、珍しい -−_─ - ─_−_─ - ─− ̄─ - ─_−_─ - _−-
-  ̄─_─ ̄─ -- = ─ -- = ─− ̄-
─ ̄ -−-- ─− ̄─−--− ̄−-
-  ̄─_─ ̄─ -- = ─ ─− ̄-
チンポ ─ ̄ -−-- ─−--− ̄−-
∧∧
(´・ω・`) 新スレです
三三三 楽しく使ってね
三三 仲良く使ってね そういえば前に三次画像貼って叩かれてた人が居たけど、俺的にはあれ好きだったんだが
ここって三次から妄想したりはナシ派が多いのかな 支援
ここは腹パンスレだけど男の腹を殴る系の需要を感じたことはない
やはり子宮がある無いの差は大きいのか >>8
別にいいんじゃね?2次元限定とか書いてないし。何事にも難癖をつけるやつがいるから
基本的に無視でいいと思うぞ。 もうすぐ腹パまで1ヶ月
今回は前回よりも参加人数増えそうだね
AwA氏はオリジナル漫画、55氏は東方の二次創作が今のところ確定っぽい 申し込み締切が10日だから、サークルリストもそのあたりかな
ヒとか見てる感じだとスレで話題に上がる人らはわりと申し込んでそうだね よく見たら55氏は腹パじゃなくて例大祭か
行く予定あったからのぞいてみるかな 55氏のは委託って言ってるし腹責めじゃないんじゃないの? 55さんのはWeb公開のと合同誌の推敲だってさ
ブログに書いてある
腹パは55さん、ミヤビさん、ヤンデレさん、ミストさんとここでよく名前が出るSS作家勢は皆出るみたいだし楽しみだわ ゾンビとか吸血鬼のしもべになった女の子たちを腹パンチで打ち抜いていきたい。
美貌と不老不死を得んが為に邪神と契約した魔女を…
(死なないだけで痛みとか感じるのは人間と同じ…だって願った相手が邪神ですもの) その設定はいいな。腹責めの∞ループ。
書きようによってはダークな展開にも、なんたらクエストみたいなほのぼのコメディチックにもできる。 吸血鬼はともかく、ゾンビは腹殴るとモツがはみ出てきそうで躊躇する。
まあ、それで「ごめんね、出ちゃった///」って恥じらうゾンビっ娘はそれはそれで萌えるが。 あの漫画は腹パンはなかったがへそ責めに特化した感じで
あれはあれで好きだ。 宮内ミヤビは一々アピール色が強くて笑えます。
求道的な俺格好良い!がやりたいなら黙ってやれよ女々しい 小腹空いたので湯漬けかきこんでる
↑何で一々報告すんの?っつか『湯漬けかきこんでる』最中にツイートですか?(笑 器用ですね(笑 途中で送信してしもた
俺的にはトレーニングマシンに手足拘束してボディブローの腹責め特訓なんて
シチュがたまらんのだが >>26
いいボディだとは思うけど、やっぱり好みの違いのせいかあまりグッと来ない…
自分は、適度に引き締まってる位がいい。腹筋がうっすら見える程度の柔らかさがいいなぁ。
そのシチュエーションは凄く好きだけど。 >>26
いい腹筋
格闘技の女子部とかのシチュで、女同士ボディ責め喰わせてほしい いい腹してるなぁ
力の入ってない腹を殴るのもいいけど、こういうのを屈服させるのもいい ミヤビ大先生は次々アイディアが出てきて止まらないみたいな事を散々言ってるけど、
その割にはどっかから丸パクリしたネタだらけなのはどうして?
元看板娘(ことパンッ!が身内受けしてからはあっさり降ろされたけど(笑)のキャラは、常にジャケット姿で、勝利後に赤い帽子放り投げてオッケー!って叫ぶんでしたっけ?
流石アイディアマンですね。
あれはあくまでアメリカンなキャラだから格好良いんであって、日本人がやってもダサイだけなのに、そんな事もわからないんですか。
言動もリスペクトも常に表面だけ。 おっとまた早漏送信してしもたw
俺的萌えシチュとしては、セクシーな腹が売りのグラビアアイドルが、
ライバル事務所が雇った暴漢に自慢のボディを散々痛めつけられて、
自慢の締まった腹部を醜い痣だらけにされてグラビア廃業、なんて妄想しちまうw 暇なら酒喰らって女抱いて寝る。それでいいだろ。
(ハードボイルド気取りの宮内ミヤビ大先生のツイートより) 最近は星名美津紀みたいな女の子のお腹をドボンドボンしたい 膀胱と子宮内に水大量に入れさせて殴ったら酷いことになるんだろな…。 小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい っしゃあああ55氏の新作きたあああああああああああああ!!
皆早く読もう!! 面倒だからここに転載してくれ
そしたら読んでやらん事もない 疑問なんだが、ここに投下もしなければ腹パにも出ない書き手いるじゃん?
そういうのの価値って何? ここも腹パも発表の場の一つであって何処で活動しようが本人の自由だろ 放課後
晶「帰んのかよー、どうせ暇だろ健介ww」
健介「まぁ…」
晶「ちょっとこっち来いよ」
健介「勘弁してください」
晶「おっし、ここは滅多に誰も来ねーからさw」ヌギヌギ
健介「体育倉庫…いや、なんで脱いでるんですか」
晶「あー、勝負下着じゃねーけどお前だからいいだろww」
健介「意味が…」
晶「いーじゃねーかおめーも期待してたんだろwwwほれほれ、興奮してんだろ童貞ww」
健介「説明を…」 7年間必死に小説書いてきて、気付いた事がある。
これが………悟りか…………。
という具合に、随分前に悟りを開いたと宣言してた宮内ミヤビ先生の新作に期待しよう!。
相変わらず少し長くなると即グダグダになる文章でも気にするな! >>51
tentsuも知らない誰だ?
つか基地っていうなら何した奴なのか書けよ tentsu 55やシャーのサイトに粘着してる池沼 口癖は「オイッ!!」
小山 一撃や原監督のサイトに粘着してる池沼 口癖は「一番好きです」
砂雪 メンヘラストーカー >>54
ここに常駐してる荒らしが誰なのか確定したな ネヲチでやれよ
今回の腹パはSSだと誰が出てるっけ 粘着多すぎだろwwwww
お前ら腹パだと誰注目してる? >>56
ヤンデレ氏
ミスト氏
ミヤビ氏
55氏
ここでよく名前が上がるメンツだな 初参加らしいしミストさんは気になるね
あとは55さんはやっぱり注目
あとは悪い意味だとけいおんカットの人がホームページ空っぽでダミー臭い
それとコスロムの人がまた来てる事かな… >>58
ありがとう
名前はよく見るけど、もしかしてここに投稿してるのってミストさんだけ? >>60
名前変えてたかもしれないけどヤンデレ氏と55氏も投稿してたはず
コスロム前回買わなかったんだがそこまで微妙だったのか
SS以外で名前みるのはあとAwA氏シャー氏あたりか
参加サークルも20越えだし今から楽しみだな >>62
コスロムはサンプルだけ見て結局買ってないけど、なんか腹パンって感じではなかった
前スレに感想があった気がする
ヤンデレさん55さんのがあるなら読みたいわ、まとめwikiにある?
>>61
そういえば一撃さんも初参加か
カットに書き下ろしありって書いてあるし期待だな コスロムはひどかったぞ
サンプル見させてもらったけど、ほとんど売り子の女がオナニーしてる映像
腹パンも申し訳程度にはあったが、ペチペチ叩いて女がギャーギャー叫んでるだけ
カットにリベンジって書いてあるからその辺修正してるのかもしれんが
SS組は55氏は東方の二次創作、ミヤビ氏はひらひら氏とのコラボ、ミスト氏はオリジナルっぽいね。ヤンデレない氏はまだわからんけど
サンプル見る限り55氏のはまたアタリだろうな 『人より優れた所のある人に』やって欲しくないのは〜ってツイートに対して、僕のことですね耳が痛いです!と公言してしまうゴミヤビ先生 宮ウンチ先生から、事実上敗北宣言のメールが届きました。
うつ病の薬が足りないそうです。
皆、腹パで恵んであげるように。 ミヤビの話題で盛り上がってるのおまえ1人だけってことにそろそろ気づけ ほっとけほっとけ
55氏の東方は例大祭の話じゃないの?
合同誌の再編ってツイートを見た気がする コスロム買う価値ないのか次こそはで買うべきか
>>64
ヤンデレ氏のは前に腹パで出した短編集のうち1つをイベント開始にあわせて載せてた
55氏は前スレの文化祭でナンパされて〜みたいなやつ
作家女体化ネタの流れで呟いてたから多分あってる >>69
例大祭と腹パンオンリー用って言ってたは
流石に新刊2冊はねーよ ヤンデレ氏は前にDL販売はしないって断言してた気がする
55氏も前に今後はどうするか迷ってる、みたいなツイートしてたから微妙かも
割る奴が出てくるからなあ… 割る奴はなに考えて割ってるのかな
本人に得は無いだろ イベントあるんだから買いに行けばいいじゃん
書いて出してくれる人らの手間に比べたら安いもんだろ やっぱ趣味で作ってる人からすると形にしたいのかもね
DL販売の方が金はかからないんだし
通販とか委託販売してる人は居ないっけ? DL販売は55氏 夜凪氏 mos氏あたりか?
委託販売はAwA氏と合同誌しか知らん そういえば、ニッチ性癖系は部数作らないし売れないからあんまり委託受けて貰いにくいって聞いたな
やっぱりイベントに買いに行くのが一番なのか 藤沢さんってharapa出るんだっけか?委託?
あと腹パン関係ないけど
使用状況に関係なくアカウントの管理はしっかりやっておいた方がいいぞ
特にフリーメール
+ブログ系な、fc2とかツイッターとか ソシャゲーもな
ワンタイムパス等あればかけるべき
被害をよく見かけるようになってきたわ 宮内さんと組むひらひらって誰?
つうか、またあんなイラストか >>80
前回の腹パに出てた人
小説サークルの絵に文句言ってもしゃーない、それほど報酬が出せるわけでもないから知り合いに頼むもんだろ ミヤビの新刊、表面上はニコニコして買うけど、その後は燃やすわ。
燃えてる様子はつべにでもUPするからよろしく また会場で、「腹責めスレ見てます?」「あー知ってます書き込みはしないけどwww」って嘘吐き大会が見られるのも楽しみ 全部買えばいいよ
コスプレ除けば20サークルだし、諭吉ありゃ多分足りる うむ、参加する以上は残ってる分だけ全種類買うのが礼儀ってもんだ。 問題は、だれから攻めるかだな。
人によっては部数が凄い少ないとか、DL販売等の予定がない人もいる。 小説系+αで上から順に思いついただけ書く
hhb
前回が超人気で列発生&完売、今回も並ぶかもしれない
通販や委託がないはずなので行くなら早め
さるみあっき
混雑も完売も多分しない
ただ通販やDL販売をしてないので、欲しければ会場で
電脳ちょこれーと
合同誌が目当てで混雑するかも
委託あるし、即完売は多分ない
流星小学校PTA
人気、遅い時間だとだいたい完売
再販やDLないはずなので欲しければ早めに
WHITE JEWEL
初参加なのでダークホース
今まで初参加サークルは混むパターンが多い
魔女の棺
混雑は多分なし
ゲームの時はDL販売してたけど、今回小説っぽいので不明
Яoom ИumbeR_55
安定して人気だし、遅い時間だと完売もありえる
おそらくDL販売もあるので、そっちでも入手可
hhbとか流星小学校PTA、WHITE JEWELあたり狙いの人は早めに動いた方がいいかもね あとはTwitterとか見て、コピー誌だって言ってるとこは部数少ないかと Twitterで部数の話が出てるね
少ないとこは早めに行かなきゃ AwA氏と一撃氏は部数多めっぽいね
ああやって大体の部数出してくれると並ぶ順番考えやすくていいな 一撃氏のは200らしいからわりと買えそうだよね
AwA氏はコピー本出すかも、みたいなツイートがあったから、そっちも欲しければ早めに行くようだろうね
SS組だと
55氏→東方二次+オリジナル総集編(オフセット)
ヤンデレ氏→オリジナル(オフセット)
ミヤビ氏→オリジナル(コピー本)
ミスト氏→不明?
って感じか
コピー本のとこってすぐなくなるからなぁ… プロ気取りの宮内先生の本が買えるだけで有難いんだから、真っ先に行くべきだろ。
ちなみ俺は客第一号を狙ってる。 ミスト氏はオリジナルであお氏、藤沢氏の委託ありか
AwA氏のコピー本はモバマスっぽいな
日々新しい情報が上がってきて追うのが大変だがそれもまた良し ついにごミヤビ大先生に会えるうううう!!!!!!
1時半頃行くから、逃げずに待ってろやああああああああ!!!!!!!! まぁ、遠いもんな。無理すんな。
腹パンオンリーなんて一昔前じゃ考えられもしなかった話なんだ。まぁ、
この調子でいけば、規模も大きくなって、東京以外の都市での開催もあると信じようぜ。
俺だって、大昔にあきらめた作品を買うことが出来たんだ。人生何が起きるか分からん。 今回もまあ良かったんだけど、なんとなく不作だったイメージだな
欠席とか新刊なしのサークルもかなり多かったし
SS組では55氏は新作二本で内容も安定してたしミスト氏も初参加で厚い本が出てて良かった
ただ、ヤンデレ氏はコピー誌もあったとはいえ新刊が半分再録、ミヤビ氏はコピー誌で小部数だから即完売
イラスト漫画組は良かったんだけど、
シャー氏は想定よりかなり短いらしいし、たいじ氏の新刊は片方かなり人を選ぶ内容だった
コスプレのとこは前回見てないけど、わりと頑張ってるんじゃないか?
次回あたりそこそこのもの出して来たら買うかも
全体として常連組がわりと微妙だったイメージ
その分、初参加の人や見た事無い人は当たりが多かったかな 55氏しか実用に足るものがない。
その55氏もどうせネット販売するし、オワコンイベントだな 当たり外れ大きかったんだな
可能なら全サークルのレポお願いしたい
今回休み取れなくて行けなかったんだ…… >>104
欠席が多かった訳じゃなくて遅れて来た人が何人かいただけだよ サンライズビル、狭い範囲でいくつもあるからな。
しょうがないっちゃしょうがないが。
なんか低評価ばっかり出てるが
不作とか、誰のしか、とか言う程ではなかったよ。
まだ全部しっかり読めてないけど個々の色が出ててみんな読み応え十分だ。
俺は今回初めて行ったけどまた行きたいと思った。 1回目は楽しい、2回目は満足。
それが3回4回と持続出来るかどうかなんだよな〜 別にサークルを叩くつもりはないんだけど、素直に数は増えたけど数の割に不作だったと感じた
前回前々回が当たり過ぎたんだ、なんとなく
nns氏のは漫画のDL用アドレス置いてあったよ >>110
>>109の内容は客の立場だけじゃなく
作家さんたちにも当てはまると思うから
そのスタンスは心の中で留めといてほしい
小さなことだが大切なことなんだ 腹パ否定する奴はそもそもこのスレに来んなよ。
何の為のスレだと思ってんのか。 誰か否定とかしたっけ?
ミスト氏イベントに参加したって事はここへの投下はやめるのかな 行った奴は買った本の感想を良いのも悪いのも全部書けばいいんじゃね
作者がここ見て褒められてれば嬉しいだろうし
悪いこと書かれてても自覚があることなら勝手に直すだろ 書く側としては悪かった所も含めて感想くれると嬉しいけどなー 与えられるだけで自分で楽しもうとする事すらしない奴らに感想求めたって無駄だよ プロでも無いくせに「ゲラチェック」とか専門用語使っちゃう身の程知らずな宮クソホモビくん 遅めだけどSS組の感想を
ヤンデレ氏
再録は前の本持ってないから特に気にならなかったけど、短い短編3本だけだから他に比べて高い気はした
中身は読みやすくていい感じ
コピー誌の方は原作知ってれば楽しめるし知らなくても読める作りだと思うけど、やや腹責め薄めだった
ミスト氏
ファンタジーもので、新しいものに挑戦した感じ
腹責めに関してはやっぱり安定のクオリティ
いつもの投稿作とは少しイメージ違うけど、やっぱり腹責めが上手いから安心して読めた
ただ文字がでかくて逆に読みづらかった感じもある
あお氏
ミスト氏の本に同掲
かなり硬い文章だから人を選ぶかも
読み込んだら悪くなかったけど、正直娯楽として気軽に読むにはハードル高いわ
ただ純文系とか読む人ならそんな抵抗ないのかも
55氏
東方の方は完売で買えず…
オリジナルの方はいつも通りといえばいつも通りだけど、リョナエロそれぞれ良かった
finalって書いてあったけどなんとなくこの先続きそうな雰囲気もいい感じ
やっぱり総合的には一番高いレベルでバランス取れてると思う
ちなみにミヤビ氏は完売で買えず
さすがにもう少し数を用意して欲しかったな >>120
レポ乙
人のレポって見てて楽しいよね
小説漫画混在だけど当日の感想とレポ
・hhb
デビサバのアイリ本
女の子がかわいいし、体のラインがえろい
腹パン分もあるがおっぱいとか太もも分も十分にあるし
レイパー要素もあって抜ける
・limelight
未入手
サークルカットを見るに合同誌に載ってた人か?
・atemism
ほとんどがブログに載っていた絵なのと高値なのはネックなものの
絵も綺麗だしコレクションとして欲しかったので購入
書き下ろし漫画は短いながらも当身と無限ループがよかった
次があるならもっと書き下ろしを増やしてほしい
抜ける
・OC-BLACK
未入手
・雄猫屋
gifアニメ漫画
腹パン連打部分が使い回しなのは微妙だがクオリティは高め
連打だけを抜き出したgifアニメも入っていたのは嬉しい
柔腹好きだがめり込みが深く柔らかそうだったので抜ける枠
・3rd imagination
キャミィ本
迫力ある容赦ない腹責めがいい、抜ける
折れた腕や叩かれまくった腹の跡がどんどん増えていくのはいいな
テンポもよくストーリーも面白い
・さるみあっき
オリジナル本
良い意味ですっきりとした読みやすい文体が好み
惜しむべきは新刊の半分近くが再録なことか……
コピー誌は変ゼミ本
>>120が言うように腹責め分は薄めだが変ゼミ好きな者としては楽しめた
好きだが抜けない、エロより萌えに近いのかも
・すがれや商店
未入手
・ダゴン秘密教団with田中屋さん
未入手
三次はちょっと……
長くなってしまったので分ける ・電脳ちょこれーと
いつものあげちん本
相変わらずえげつない責めをする(褒め言葉)
殴られた跡やゲロが増えていくのがいい
内臓へのダメージもしっかり描かれているのが評価高い
コピー誌はモバマス本
腹パン描写もエロいし気軽に臨場感が味わえて良かった
AwA氏のは安定して抜ける
合同誌も買ったがこっちまで書くと長くなるので割愛
・流星小学校PTA
前回の続き?
絵もかわいいしシチュもいい
ただ漫画になると絵が適当になるからCG集とかを出して欲しい
HARAPAの表紙の人
・殴ってみてみて
未入手
・purgatory
オリジナル本
安定の腹パン率
最初から最後までオール腹パン、抜ける
最後のオチも秀逸
次作も楽しみだ
・B級河川
特撮ヒロインCG集
……腹パンなくね?
・BOOK&WALL
未入手
・WHITE JEWEL
合作小説とCG集
ミスト氏の小説は安定の高クオリティにいつも以上の執念が加わった感じ
ダークで腹責め向けの設定がまた抜ける
あお氏の小説は冒頭部の無駄に硬い文体が損をしていると感じた
腹責め部分に入ってからは堅苦しい言葉遣いが抜けてきてまあまあ楽しめた
小説は文字がでかすぎて読みにくかったのが難点
藤沢金剛町氏のCG集はかわいいし女の子がうずくまる様がよかった
おまけも好みなのがいくつかあって満足、抜ける ・撲
女の子同士のキャットファイト本のみ入手
おっさんはな……
硬くない腹が好きだから普段のよりこれくらいの腹の方が好み
迫力ある安定のクオリティ、抜ける
・魔女の棺
未入手
・monochrome
進撃の巨人のミカサコピー誌
鍛えられまくって割れた腹筋は好みではないものの
完全に腹を性器として腹パンで責め立てる内容は十分抜ける
もっときちんとした本になってたら嬉しいんだが……
・りんご同盟
森羅万象本
絵は可愛いんだがコピー誌以外はリョナですらないただの陵辱
前回もそんなだったし次はないかも
・Яoom ИumbeR_55
いつものシオン本
リョナエロどちらも入りつつどちらも満足いく描写がいい
小説ではミスト氏と並んで一番抜ける
挿絵は途中に入っていたほうが良かったな
最初と最後にまとめられたことにより臨場感が減ってしまったのが残念
随分と長くなってしまったが今後の参考にでもしてくれ
常連はどんどん上達しているし新規も良作があった
次回開催日も決まっているようだし楽しみだ
他にもレポ書けるやついたらよろ 55氏の東方本は売り切れ間近を買うことができたけど、あれは機会あれば読んどけ
wikiにも書いてあったけどマジで痺れるほどヤバい
合同誌でも文章だけなら読むことできるしな 地味に魔女の棺の感想って上がってないよね
そんなに完売早かったの? 20冊の争奪戦は無理ゲーだな…
挨拶で本交換したりするのも考えると頒布はもっと少なかったんだろうし 20は無理ゲー過ぎる……
買えた人のレポ聞きたいな 腹Pa不参加ってマジかよ……
小さいイベントなんだから全部買ったってたいした額にならねえだろ
せっかく合同誌にエコバッグにと腹界を盛り上げてくれてたのにな
もうあの人の腹責め本読めないってなったら恨むぞマジで おはなしするときは、ほかのひとがわかるように、はなしましょう。 要するに産業でまとめると
身内でデータ化して回してる奴らを見かけた
さすがにキレたのでDL販売はやらない
次回は腹パ参加しない
とこういうことか
シャー氏も転売対応であたふたしてたし、今回なんか凄いな データで回してるっぽいとこ本当すぐ引っ掛かるなw
確かにこれは文句言われるわ これで腹パン作家が身内だけで楽しむようになったらどうするんだろうな
AwA氏の対応なんてモロそれを連想させてるじゃねえか
感想はいわないが批評はするデータは流すじゃここみたいに見限られてもおかしくないわ 久しぶりにこの言葉を使うけど
ここは糞スレだとおもう スレが進むほどに腹パの話題がしつこくなり、投下は減っていくな。
何のために建てたのこのスレ。落としたままで良かったじゃん。 そう思うなら自分でSS落とせば?
腹パ参加者と住人が被ってるし
腹パのでも感想書いた方がSS作家勢が戻ってきてくれそうだけど わりと皆ここ見てるみたいだから、規制で書けなかったり腹パとか合同誌の原稿じゃないの? こういう時は、読んでみたい腹責めシチュを挙げてみるといいんじゃないかな。
俺は、東方の輝夜みたいな不死身かつ高貴な娘が、ストーカーから出会うたびにボコられる小説。 ここの人間が、そういう建設的な方向に協力しないのは、もう解ってるだろ。
文句言うかスレ違いの話を繰り返すしか能のない連中だよ。 個々の人間じゃなくて一人の基地外がいつも喚いてんだよ そうか?逆だと思うぞ、>>146の意見はある程度的を得てると思うが。
腹パの話をとか別にして、とにかく投稿されてない時の雑談の仕方は下手だ、このスレは。
例のアドレスの奴もこういう時には出てこなくて、むしろ投下された後の感想の流れを妨害するかのように出てくる。
逆だろ。盛り上がってこない時やこういう流れの悪い時に出てこいよ。
例を挙げればキリが無いが、そういう非建設的な習慣が付いてるのに気付いてないのが現実だろ。 あれ、解除されてた
月末まで再規制されなかったらなんか考えるね 例のアドレスの奴が来ましたよw
今腹責めキャラ候補として注目してるのが進撃の巨人のミカサ
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=35549314
くぅうううたまんねっっw ミカサがやられる場面を想像できない
公式で強キャラすぎるのは困りものw 訓練と称してサンドバックになることを命じられるミカサとか素敵やん ミカサ『エレンの訓練のためなら、私のこの腹を思う存分使うが良い』 >>150
楽しみにしてるね。少なくとも俺は待ってる。 ギルティ償いし俺に助けられた奴等よ征け
あの星蒼海へ 合同誌の締切も過ぎたしそろそろSS作家勢が何か投下すると信じてる ……5年前の約束を……
今……
果たせたよ…………
…………彩………………。 二次創作というか既存の同人誌の内容を別キャラ視点でなぞったSS
ってあり? >>168
誘い受けはエロパロ板だと嫌がられる傾向あるから辞めた方が良い
乱暴な言い方になるけど、やりたいと思ったならやればいいと思う そういや前に55氏のキャラで二次創作したいって人がいたな >>169
単純にマナー違反だったらやめとこうと思ったんだ
問題なさそうなんでできたら落としにくるよ
ありがとう 今にも雨が降り出しそうな曇り空を割って、二つの巨大な光が降ってきた。
首都のど真ん中である。歩道や車道も関係なく人であふれかえっていたが、われ先にと逃げ出す者はむしろ少数派だった。
今目の前で繰り広げられている光景は現実であると分かっていながら、どこか夢に見ていたというか、人々の表情は恐怖よりも好奇心の色が濃い。
遠く離れている家族や友人たちからの安否確認の電話に、人々は例外なくこう答えた。
「スクール水着と怪獣が戦ってる」
人間が言うところのスクール水着を身にまとっているのはもちろん女である。
「ここ、なんて星……?」
姿は人間とほとんど変わらない。海のように青いショートヘア、無邪気そうな雰囲気を漂わせる顔立ち。
この星の基準で換算すれば、彼女は年齢にして十五歳だ。どちらかといえば小柄な方だが、それは母星での話である。
身長三十八メートル。いわゆるスクール水着は彼女の一族にとって一種の民族衣装で、なにも恥ずかしいことではない。
脚は裸足ではなく膝下まで覆うブーツで、ほどよく肉付いた太ももがやけに艶かしい。
若いが全体的に肉感的で、肌の血色もよくみずみずしいエネルギーに満ち溢れている。ただし絶望的になだらかな胸だけが貧相だった。
彼女はウルトラスイマーという種族で、ミウというこの国でも女寄りの名前をしている。だが、この星の言語では発音すらできない。
「なんだこのちっぽけな星は」
もう一体は牛の頭をした怪獣である。ミウよりも遥かにがっしりした体格で二足歩行。腕や脚の太さは周囲に建つビルとほとんど変わりない。
「バッファル、ここだとみんなに迷惑がかかるわ。どこか広いところに――」
ミウが街を見渡しながら提案する。しかしバッファルと呼ばれた牛顔の怪獣は、
「アホか。そんなこと言って水の多い場所に移動するつもりだろうが」
「くっ、バレバレ……!」
図星である。ウルトラスイマーは水が重要なエネルギー源であり、母星では豊富に存在する。
仲間の警告を無視して宇宙を徘徊していたミウは、不運なことに敵対勢力のバッファルと遭遇してしまった。
そして母星に引き返す最中、この星の重力に引きずり込まれてしまったのだ。
その際青々とした水の領域を視界に捉えていたが、これまた運悪く都市圏に落下してしまったらしい。
「もう、なんなのよここ。水は見当たらないし石造りの建物ばっかだし空気は汚れてるし空は暗いし!」
対比すると周囲が小さいため当然声も響き渡るが、言語が違うため人間たちに意味は伝わらない。
「観念するんだなウルトラスイマー。ここをキサマの墓場にしてやる!」
バッファルが足元にあるものを蹴散らしながら突っ込んでくる。
ミウはしかし避けることを拒否した。自分よりも一回り大きな巨体を両腕で受け止める。
「ぐううっ!」
ブーツの底が二車線道路に沈んだ。ミウは凄まじい衝撃に吹き飛ばされそうになったがぎりぎりで堪える。両腕には痺れるような痛み。
「フハハッ、この星の住人を守るつもりか」
彼女の背後にある高層ビルに気付いたバッファルは愉快そうに笑った。彼もビル内の人影を捉えたであろう。いや、最初から分かっていのかもしれない。
「ここは彼らの星! よそ者が荒らしていいわけない!」
「先に落ちたのはキサマの方だぞ」
「だから、わたしには責任があるの!」
ミウの決意は燃え上がっていたが、彼女の体は次第に高層ビルへと接近しつつあった。
「うう、ぐうぅう――!」
押されている。
バッファルの体がやけに重く感じる。自分の体も。降下するときも引っ張られるような感覚があったし、母星よりもはるかに重力がきつい。
そのためか実力の半分も出しきれていない。その点はバッファルとて同じはずだが、彼はパワー馬鹿ともいえる肉体派なのであまり関係なかった。
「あっ……!」
背中に硬い感触。少しずつ押され続け、ついにビルと密着してしまった。足元の道路や申し訳程度の木々がほとんど剥がれてしまっている。
「ほらほらどうした……む?」
力負けしているミウだったが、むしろその高層ビルによって体を支えられる結果となった。この星の建造物は割と丈夫らしく、壁が軋む音は聞こえるが倒壊するには至らない。 「ぬう、ならば」
バッファルもそれを悟り、一旦を体を引いた。押し返そうとしていたミウが前のめりによろけたところ、その腹部へ拳を突き込む。
めりっと腹筋が沈み、ビルを背にしたスクール水着の中央に深々と凶弾が埋まった。
「ぉっ……! ぐぶぁっ」
口内に湧き出た唾液が吹き出る。
自然と目が大きく見開かれ、体がくの字に折れた視線の先、筋肉質な腕が突き刺さっている腹部が視界に映った。
「げほっ! げふっ!」
重く咳き込む巨大ヒロインは、背後で何かが崩れるような音を聞いた。心臓が跳ねる。
腹部を押さえながら振り向くと、そこに佇んでいたはずの高層ビルが、ただのガレキの山と化していた。
殴られた際の衝撃が、ミウの体を伝ってしまったのである。
「ひどいやつだな。お前がしっかり耐えないからだぞ」
他人事のように言い放つバッファルに、ミウは彼だけでなく自分自身にも怒りを募らせた。
悔しさもだ。他の惑星に被害を及ぼしてしまったという事実が、心を後悔の鎖で締め付ける。
不適に笑っている敵を睨みつけ、彼女は腹の痛みを無視しながら叫ぶ。
「うああああああああ!」
空の彼方まで届きそうな叫び声は、半径百メートルにも渡って家々や住人たちの鼓膜を震わせた。
怒りに任せて飛びかかる。一瞬気後れしたバッファルの顔面めがけ、感情を乗せたストレートパンチをお見舞いした。
「グゥッ!」
思いのほか強烈な攻撃だったのか、彼の表情に苦痛の色が差し込んだ。
一気に攻め立てるチャンスと見て、ミウは連続攻撃をしかけていく。
「なんとも思わないの、あんたは!」
横腹にミドルキック。ブーツに包まれた足が分厚い胴体を薙ぐように打ち、巨体がたたらを踏んだ。
「みんなを巻き添えにして、なんとも!」
続いて牛顔の頬を左右から殴りつける。その度にバッファルの頭部が振り子のように揺れた。
星の重力下でミウは本来の力を出し切れていないはずだが、燃え上がる激情がポテンシャルを高めている。
敵の巨体がぐらりと傾いた。仰向けに倒れ行く先にも当然建造物が立ち並んでいる。ミウは彼の腕を掴んで無理矢理引き寄せ――
「ぐあっ!」
牛顔が猛然と接近してきて額と正面衝突した。さらにもう一度。
「調子に乗るなよ小娘がぁ!」
二度目の頭突きは脳を震わせた。揺れる視界、左半分が赤く染まる。額が割れて出血し、左の瞳に入ってきた。
「ぐう、うぅっ……!」
右目だけはかろうじて維持するが、それでも視界が定まらない。よろめくミウの両肩が掴まれ、腹部に太い膝が打ち込まれた。
「げふっ……!」
両足が浮くほどの威力。肋骨がみしりと軋み、ミウは苦悶する。
さらに二発、三発と連続で膝が埋まり、その度にみずみずしい肢体が浮いたり、折れ曲がる。
腹部全体が押し上げられると同時、内臓も揺さぶられる。
「ごっ! げはっ……! ぐっ、ぷ」
休みなく腹を蹴り上げられたため、胃や肝臓がめまぐるしく動き回り、渦巻くような嘔吐感が生まれていた。
唇の両端から透明な唾液が流れ、歩道橋に降りかかっていく。
「ひゃう!?」
崩れ落ちそうになったミウの体が、変な悲鳴と一緒にびくんと引きつった。下半身に硬い感触。
スクール水着の股下に、バッファルが頭部を押し込んでいた。 「ちょっと、なに――ひゃわっ!」
バッファルは変態行為に及んだわけではない。ミウを背負いこむようにした後、驚異的なパワーでもって真上に放り投げたのである。
四十メートル近い肢体がロケットのごとく上昇していき、この都市のシンボル的な赤いタワーの頂点にまで並んだ。
「あっ、あぁ……」
あとは星の重力に従うのみである。
くもり空の下、タワーの先端を視界に捉えた途端、上昇する浮遊感とは真逆の急降下する感覚にパニックを引き起こした。
こんなの初めてだ。ある程度は飛行もできるウルトラスイマーだが、この重力は予想以上に負荷が強すぎる。宙に体を固定させることもできない。
ミウの意志に反して、体が猛然としたスピードで真っ逆さまに落下していく。
「ひっ……」
地表へ近づくにつれて彼女の表情に恐怖の色が浮かんだ。大の字になって降下していく視界には一部損壊した街並み、そしてバッファルが――
右腕を引き絞りながら待ち構えている。
「待って、や、やだ……!」
激しい空気抵抗で身動き一つとれないミウは、ただひたすら敵めがけて落下していく。次第に大きくなっていく牛顔の巨体。
彼は口の端を吊り上げていた。
大の字に伸びた肢体――無防備にさらけ出されたスクール水着の中心を、槍のごとき猛打が突き上げる。
落雷のような打撃音が轟き、巨人だがしなやかな肢体が九十度近く折れ曲がった。
「ぇ゛お゛お゛ぉぉぉぉ!? ぐぶはっ、ぁ゛……!」
びしゃ、と胃液が盛大に吐き散らされる。
黄色くにごった粘液が建物や道路に降り注ぎ、街並みを汚した。
「ハハッ、いい手応えだ」
大地に穴をあけるほどのパワーを備える彼の拳と真正面から衝突し合って無事でいられるはずもなかった。腹の中に鉄球が埋められているような重量感。
強烈なボディアッパーによって腹筋は断裂し、腹膜も突き破られ、内臓器官がまとめて抉り潰された。
「ぐぼっ、ぇぉっ、ぉ゛ぼおっ」
特に胃などは背骨と密着するほど押し込まれて、ごつごつな拳に挟まれてぺしゃんこにプレスされている。
周囲の皮膚が着弾地点に向かって引っ張られ、スクール水着には肋骨がくっきりと浮き上がっていた。
それらは今もめきめきと悲鳴をあげている。
「げぇっ……! ごぼっ……!」
断続的に痙攣するたび、壊れた蛇口のように透明になった胃液が零れ落ちた。唾液と混ざって粘着性を増し、地上との間に糸を引いている。
灰色の空の下で突き上げられた、くの字に折れ曲がるスクール水着。人間たちは、自分たちと同じ姿をした彼女のあられもない光景を見て何を思うだろうか。
「俺の勝ちだ」
めちゃくちゃになった内臓の感触を楽しんだバッファルがようやく腕を下ろし、ミウは地上に降りることを許された。
投げ出されるようにして解放された体は受身など取れるはずもなく、道路をヒビ割りながら二転、三転する。
「ぁがっ、か……ぅぶっ……ごぽっ」
壮絶な一撃を受けた腹部には大きな拳の痕。
放心状態なのか患部を押さえることもしなければのたうち回ることもしない。
スクール水着は地上に吐き散らされた胃液溜まりで薄汚れ、彼女の若々しいエネルギッシュな生気は見る影もなくなっていた。 細くなった瞳孔が完全に閉ざされる瞬間、嘔吐感が渦巻いている腹部に再び激痛が湧き上がり、ミウの上半身が跳ね上がる。
「ぐばぁ!? があ゛あ゛あぁぁぁあぁぁ――――!?」
消えかけていた意識が強引に覚醒させられる。陥没していた腹部を、大木のようなバッファルの足が踏み抜いていた。
ズン、と踏みつけられた腹の下、地上に大きなクレーターが生まれた。周囲のビル郡や家々、道端に転がる車両などがオモチャのように崩れたり宙を舞う。
「眠ってんじゃねえぞ、おい!」
全体重を乗せるようにしながら、バッファルはもう一度ミウの腹を踏み貫く。
ぼぎっ、と鈍い音が街中にこだました。
「ぶぐっ!? げぼほ!」
体内から響く絶望的な音と痛み。水着の上からでも見て取れるほど浮き上がっていた肋骨のうち、左右二本ずつがへし折れていた。
激痛に悶絶する彼女の腹を、バッファルの足がぐりぐりと踏み荒らす。
「ぇぼっ! がはっ、ぁ、も、やめっ、ごぼっ、やめ、てっ……!」
折れた肋骨がその身を砕きながら腹腔内を傷つけていく。
うすっぺらく潰されていた胃が裂かれ、痙攣する肝臓に突き刺さった。
一際大きく咳き込むと、青ざめた顔とは対照的な、熱い真っ赤な血がほとばしる。
「げぼぉっ、お゛ぇっ」
どろりとした血液が噴水のように吐き出され、クレーターになった地表に赤い池をつくりだした。
バッファルが足を離しても、灼熱を帯びたような痛みは消えない。
かろうじて呼吸はできるが、酸素を少しでも取り込むだけで内臓がぐちゅぐちゅと音をたてる。
細くなった瞳孔はくもり空を見上げるだけ。人間たちからみても彼女の敗北は確定的だった。
「そろそろとどめだ。この星のヤツらに、無様な姿を見てもらえ」
再び足を振り上げていく牛の怪獣。ダメだ。今度こそ心臓さえ潰されてしまう。
「ぁっ――ッ――」
いやだ、死にたくない。漠然とした恐怖が全身に染み渡る。
痛みとは別の涙が溢れ出して、引きつったような嗚咽が吐血とともに漏れ始める。
逃れようと必死に体を動かしても、両足のブーツがただ地上を滑るだけだった。
「おわりだ! ウルトラ――グワッ!?」
最後の一撃はしかし、踏み落とされなかった。爆発音が聞こえたかと思えば、バッファルの巨体がフラフラと後ずさっていく。
何が起きたのか。短く呼吸するミウは薄暗い上空を何かが超高速で横切るのを視界に捉えた。大気が震え、鳴いている。
「なんだ、キサマら!」
バッファルが鬱陶しそうに視線を泳がせている。人間的にいうならば虫でも探しているかのような。
確かにそれらは虫同然だろうが、この星、ひいてはこの国にとっては外敵に対する有効な兵器なのだった。
鋼鉄の鳥。朦朧とする意識の中で、ミウは飛行するものをそう認識した。
母星の鳥と大きさは同じくらい。だけど血が通っている生物にはとても見えなかった。
しかもその鳥たちはさらに高速な物体をバッファルへ発射していく。命中すると激しい爆発を起こし、牛顔が苦悶しながらよろめいた。
「クソッ……! どうして俺だけを攻撃する!」
爆音が轟く中で、ミウの鼓膜を別の何かがノックした。 「――――――!!」
それは人間たちの声。危険極まりないことに、この状況で住人たちは戦闘区域付近で行列をつくっている――
付近といっても、ミウたちからすればの話で、実際は相当距離が離れているのだが。
それでも、ちっぽけな人間たちの声はしっかりと届いた。知らない言語だし、もちろん意味なんて分からない。
だけど想いが伝わってくる。
「あ……?」
ぽつ、と頬に何か付着した。水滴である。空から水が降ってきている――それは次第に強さと激しさを増していった。
「なんだこれは! どうなっているんだ!」
この現象を二人とも知らない。ただウルトラスイマーであるミウにとってはまたとないチャンスである。
体中の血管が活性化するほど熱を帯びた。狂ったような叫びをあげながらバッファルへと飛びつく。
「うぅああああああああああ!」
傷ついた内臓たちがごろりと蠢いたが、痛みを強引に押さえ込んだ。
圧倒的なパワーを有するはずのバッファルだが、突如として大きな力を振るい始めたミウを引きはがすことができない。
それどころか体が浮き上がっていくという事態に牛顔が驚愕の色に染まる。
「バ、バカな! どこからこんな力が!」
「んぎっ、ぃぎいぃぃぃぃ!」
新たな血を唇から垂らしつつも、ミウは自分よりも大きな敵を持ち上げていく。散々痛めつけられた内臓は破裂寸前だし、両脚が今にも崩れ落ちそうなほど震えていた。
それでも顔を真っ赤にして歯を食いしばる。全身がばらばらになりそうな苦痛に耐え、腕の血管が膨れ上がるほどめいっぱい力を込めた。
「だぁりゃああああああああ!」
気合一閃、巨体を投げ飛ばす。雨にうたれながら舞い上がっていく姿を睨みつけながら、両手をがっちりと握り合わせた。
人差し指だけ伸ばした形。人間たちには、銃で照準をつけているように見える。
指先に水玉が出現した。エネルギーを集めているのだ。街全体に降り注ぐ水が吸い込まれるようにして水玉へと収束していく。
「必殺! スプラッシュ光線!」
水玉がビームとなって撃ち出され、宙に浮かぶバッファルへと叩き込まれた。
「グオオオオアアアアァァァァ!」
激流がバッファルを彼方へと連れ去っていく。雨をはじき、灰色の空を突き抜けたとき、雲が割れて太陽光が一瞬降り注いだ。
「クソッ――おのれ――絶対――ッ――!」
怒号はもうほとんど聞こえず、いつしか大気圏外まで押し出された彼は、宇宙空間でついに爆散した。
怪獣は命尽きるとき爆死する。強力なスプラッシュ光線に耐え切れなかったのだ。
「はあっ……はっ……げふっ、ごほっ」
はるか空の上に完成した爆煙。ミウは必殺技の構えを解くと、ズシンと両膝をつく。水を浴びたとはいえ、内臓が深く傷ついた状態で無理をしすぎた。
彼女を中心にして広がる、倒壊した建造物やえぐれた道路。遠慮がちに見ても被害が少ないとは言えない。
「くっ……なにが、荒らしちゃいけない、よ」
全部自分が悪いんじゃないか。重力の引き寄せられ、この星に下りてきてしまった未熟な自分が。
不可抗力なんて言い訳は通用しない。住人たちだって――
「WAAAAAAAAAAAAAAA――――――!!」
心臓が震えるほどの大歓声。閉じこもろうとしていたところを引っ張り出される思いだった。
はっ、として顔を上げると、人間たちがずぶ濡れになるのも構わずに声を張り上げている。
上空では鋼鉄の鳥たちが、喜びを表現するように編隊を組んで踊っていた。
地上ではに彼女に手を振る者、右手を額に添えたポーズで微動だにしない者、みんな口々に同じ単語を連ねている。
おそらくそれは感謝の言葉だ。だってこんなにも胸が暖かくて、感情があふれ出しそう。
「ア――アッ――ト――?」
ミウだって同じ気持ちだ。むしろこちらが感謝してもしきれないほど。敗北しかけた際、手を伸ばしてくれたのは他ならない住人たちなのだ。
そして水が降るという現象。この星そのものが救ってくれたと言っていい。
母星の言葉ではなく、彼らの言語で伝えなければ。腹部の痛みをこらえつつ、最大限の笑顔を咲かせて。
「――アリガト!」
声援の熱量はこのとき、頂点に達した。 アイデアノート5冊あるとか散々自慢してる割には独創性皆無なクソ内ホモビ先生? >>178
GJ
巨大ヒロインが責めに耐えきれずに背後のビルを巻き込んで壊してしまうとこが良かった
建物を庇おうとしても守れず、自分の身体で潰しちゃうとかは巨大ヒロイン物のピンチの醍醐味だよね 乙です
同じく巨大ヒロインが自分のせい?でビルを壊してしまうところからの転落劇が良かったです
浮遊能力があるのに重力に負けて落下……というのも絶望感あってドキドキしました 妄想をキーボードに叩き込んでると笑いが止まらなくなる人種です。
これが……才能か……。 ある同人誌の内容を別キャラ視点でなぞったものです。
同人誌の著作者からの承諾済みです。 「言い訳してんじゃねーよ!!」
パンッという小気味よい音がした後、少女の結われた髪がふわりと揺れた。
突然叩かれた左頬を押さえながら、黒髪の少女は反抗的な目をこちらに向ける。
――女生徒による集団リンチ――
この状況を見た人はまずそう思うだろう。
黒髪の少女の周りには退路を塞ぐように3人の少女が立っていた。
1人目は先ほど黒髪の少女に平手打ちを食らわせた、随分と肉付きの良い少女。
2人目は太い少女とは対照的に、ヒョロリとした釣り目の少女。
そして残る1人はピンクショコラの髪に
学校指定ではないセーターを着込んだ、愛らしい顔を持つ小柄な少女だった。
この出来事よりも1時間ほど前。
面倒な午 後の体育が終わり、アイロンでピンクショコラの髪を巻いていた時のこと。
こっそりと持ち込んでいたスマフォに
メール受信を知らせるランプが光っているのに気がついた。
「……ばっかじゃないの」
メールの差出人は、この学校の先輩でもある彼氏の一人だった。
いわゆるDQNと呼ばれるような人種だが、頭が軽い分フットワークも軽く
学校生活を送るのに便利そうだし……と付き合っていた相手だ。
メールには隠れていたタバコが見つかり
危うく停学処分になりかけたことへの愚痴が連ねられていた。
この男はそろそろ切り時かな?
『ゎ→ω、ヵゝゎレヽそぅ。・゜・(ノД`)ヽ(>ω<=)
後τ〃まゅヵゞTょ<〃±めτぁけ〃る(*/∇\*)))))ネ♪』
本心を隠した まま、画面上で指を滑らせて言葉を綴る。
送信ボタンを押してすぐ、着信を知らせようとスマフォが震えた。
やる気なく開いたメールには、思いがけない一文が書かれていた。
『ォレ等をチクったの、まゅちゃωのクラスの女子らしぃ(´pq`*)』
続けて書かれていたのは、確かに見覚えのある名前だった。
常に人に囲まれている自分とは対照的に、窓際の席でいつも1人で本を読んでいるあの子。
艶やかな黒髪を二つに結び、赤い蝶飾りをつけていた。
群れる訳でもなく、ハブられる訳でもなく
マイペースに日々を過ごすあの少女のことは、前から少しだけ気になっていた。
同じく真っ黒な瞳を携えた目を伏せながら
本の世界に没頭するその姿は、時折美しく見えるこ とすらあった。
――久しぶりに、楽しもうかな。
あまり感情を出さない彼女が一体どう乱れるのか、それを想像しただけで胸が高鳴った。 「顔だけはやめときなね。
後でいろいろとめんどうだし、さ」
釣り目とデブに指示を出す。
こいつらは自分の取り巻きの中でも特に聞き分けの良い2人だ。
万が一このことが外部に漏れてしまっても、
この2人なら身を挺してでも自分を庇ってくるだろう。
私はリンチには非協力的ですというポーズだけは取りつつ、
2人が自主的に彼女に危害を加えるようにと誘導する。
「狙うならこっち、だよね?」
釣り目が彼女の制服の裾を持ち上げながら、こちらを伺うように見てくる。
晒された白い肌は先ほど の体育のせいか、ほんのりと汗ばんでいた。
腹筋の薄い腹部の中央には、小さく縦長のヘソが埋め込まれている。
「い、いやぁ!!
やだっ! やめてぇぇええッ!!!!」
「ぅるッせぇよ!!!!」
叫びだした彼女を遮るようにして、デブの太い腕が彼女の腹部へと打ち込まれた。
「うっぷ!?」
不意を疲れた彼女の口から空気が漏れる。
ケンカどころか暴力とは無縁な生活を送ってきたであろう彼女の体は、
何の防御もせずに拳を受け入れたようだった。
「うっ……うぅぅぅ…………」
上半身を大きくくの字に曲げながら、片手で腹を押さえて痛みに耐えている。
髪と腕を掴まれて無理やり起き上がらせていなければ、
恐らくトイレの床に座り込み腹を抱えてい たであろう。
そう予測させるくらいの痛がり方だった。
「あんまり騒がれると、先生きちゃうかも」
「えぇ〜……あ、そうだ。
声がうるさいなら、口をおおっちゃえばいいんじゃない?」
「さっすがァ、名案〜♪」
彼女の後ろに回った釣り目が、両脇から腕を差し込むようにして彼女の肩を抱え込み
そのまま口を覆う。
「んン゛ッ ん゛ん゛ん゛ーーッ!!」
「なんかこれ、レイプしようとしてる人みたぁい♪」
両腕をばたつかせて逃れようとする彼女を嘲笑う。
「まぁ、あたしらはそんな無粋なことしないけど、ね♪」
その瞬間、再び太くでっぷりと肉の乗った拳が、彼女の腹へと打ち込まれた。
拳が埋め込まれた部分は周囲の生地を巻き込んで、放射線状の 皺を作り出した。
「ぅぶぶッ!?」
「うわっ きったねぇ!!」
釣り目の両手指の間から、先ほどまで彼女の体内に納まっていた吐瀉物が滲み漏れる。
「ぅぶぐッ!
ぅぐっ! ぶッ、ぐぼッぼぐぅぅぅ゛……ッ」
吐いた汚物は釣り目の両手によって出口を遮られ、
再び口内や食道に押し戻されるが、それにえずいてまた吐き戻される。
口だけでなく鼻まで覆われてしまっている手の中で、
彼女の吐瀉物が暴れているのが分かる。
釣り目が両手を離すと、
黒髪の少女はトイレのタイルに膝を付くようにして座り込んだ。
「うぐっ
う゛、うぇぇえ゛え゛ぇ゛っ!!!!」
ビチャチャチャッ
タイルを叩く水音がトイレに響く。
お昼に食べた給食を全て出 し切るかのように、
口から酸味のある液体をこれでもかというほど吐き出す。
小さな口からは限界まで舌が突き出され、可憐な顔を歪めていた。 ――かわいい。
「はっ……はっ、はっ……」
お腹に叩き込まれた苦痛を吐き出すかのように、彼女は荒い息を繰り返す。
口から流れ出た吐瀉物が、彼女の口端、顎、喉、鎖骨と更に伝い流れる。
その両目には涙が浮かび、それどころか鼻からも
鼻水と吐瀉物が入り混じった奇妙な色の粘液が垂れていた。
――かわいいッ!
今まで感じたことのない、ゾクゾクとした感覚が背筋を登った。
「……あはっ」
思わず、熱い吐息が漏れる。
SEXでイく時に近い、でもソレとはまた違う不思議な快感が体を走る 。
え、なにこれ?
なんでこんなにゾワゾワするの??
疑問と、この快感を逃したくないという焦りが頭を占める。
黒髪の少女にハンカチを差し出し、顔についた吐瀉物を拭ってやった。
「えっなに……?
その、私きたな……」
突然のことに動揺する彼女を尻目に、
顔を拭きながらずっと触ってみたかった彼女の黒髪を撫でる。
軽く癖のある髪はそれでも柔らかく、梳かした指の間をさらりと抜けた。
この快感は――この子は、絶対に逃がさない。
「制服、いっぱい汚れちゃったね」
「う、うん……」
愛しい物に触れるような優しい口調で彼女に語りかける。
「このままじゃ、おうちに帰れなくなっちゃったね?」
「うぅ……」
不可抗力 とはいえ、同じクラスの女子に自分が吐いた汚物を
こんなにも至近距離で見られて恥ずかしくない訳がない。
頬を赤らめた彼女は言葉を濁し、涙を蓄えた目を伏せて反らす。
「返事は?」
「…………う、ん……」
促されて同意した彼女に笑みを投げると、釣られて彼女も小さく笑った。 「じゃあ、この制服はもういらないよね?」
「えっ?」
想定外の問いに言葉に詰まる彼女の制服の裾を持ち上げ、頭上へと一気に捲り上げる。
制服の裾を硬く結ぶと、彼女の上半身はすっぽりと制服に覆われてしまった。
「えっ?
な、やめっ!?」
巾着――もしくはたまねぎとも呼ばれるいじめ作法の一種だ。
丈の長いスカートなどを豪快に巻くり上げ、そのまま頭上で 結ぶことで
対象の視界と上半身の自由を奪いながらパンツなどの下着を露出することができる。
といってもこの学校の制服はワンピース型の上着の下に、別途スカートを履く形状のため
パンツではなくブラジャーが露出する形になる。
白の綿素材のブラジャーには赤いワンポイントだけがついており、
清楚な彼女にはとても似合って見えた。
先ほど服の上から殴られた箇所はほんのりと桜色に染まり、僅かな色気を醸し出している。
――こんなに興奮したの、久しぶりかも。
新しい玩具を見つけた子供みたいなドキドキと一緒に、未知の快感への期待に背筋がゾクリとした。
終 文学少女が理不尽な暴力にさらされる
描写も好みで上手いしこれは面白いとわくわくしながら読んでいたら、
いきなり
「終」
ショボン(´・ω・`) 承諾済みとはいえ同人誌の中身丸々なぞるのも……ということで冒頭で区切ってみました
なにか書いたらまた投下しに来ますね 乙
ちょっと責めが物足りなかったけど、ゾクゾクする感じはすごくよかった SS勢が活発になってきていいね
投稿もあったし、55氏の合同誌SSも良さげ
あそこで終わりでもいいのに、あの後どう続けるのか見ものだわ ミスト氏やヤンデレ氏も規制に巻き込まれてるようだけど、合同誌とは別で何かいろいろ書いてるみたいだしね
一時期の人の居なさはやっぱり腹パと合同誌があったからか 最近の小説は無駄が多すぎる。
殴った!!
ドボッォオ〜!!!
これで十分抜けるだろ。 流石に無理がある。
「殴った!!」て。はっけよいのこった!じゃあるまいに。 今回の55氏の合同誌向けSSって私小説なんだよな
読む限り大手ファッションブランドの社員っぽいね 『萌芽』
カツ。カツカツカツ。コツ。
黒板を叩くチョークの音。
彼女は自分の名前を書き終えると緩慢に振り向いた。
「……イオノアキホです。よろしくお願いします」
彼女、庵野秋穂は『よろしくお願い』しているようには見えない、気怠げな動作で会釈をした。
教室はそれを沈黙で返す。
転校生を迎えるに相応しくない、剣呑な雰囲気。
理由の一つは彼女自身の姿にあった。
無愛想な黒縁の眼鏡と、べっとりと染み付いた目の下のくま。
艶やかなセミロングの黒髪はよく手入れされているように見えるが、
むしろそれさえ不気味な印象を引き立ててしまっている。
真偽不明の噂が真実味を帯びる程度には。
「はい、では皆さん……まあ、ぼちぼち上手い事やっといて」
気の抜けるような担任の言葉に、小さく笑い声が上がる。
しかし、教室の中のぴりぴりとした空気は収まらなかった。
「んじゃぁ……庵野さん、あそこ、廊下側の一番後ろの席で」
「はい」
秋穂は静かに歩き、席へついた。
何人かは彼女の方を目で追ったが、すぐに授業が始まり、前に向き直った。 秋穂の転校する数日前。
学校の中にふと、転校生に関する噂が流れ出した。
『今度来る転校生は、暴力事件に巻き込まれ、転校した』
刺激の少ない女子校だったことも影響したのだろう。
その噂は瞬く間に広がった。
いじめの被害者だったとか、レイプされたとか、通り魔に合って入院していただとか。
同級生に暴力を振るい前の学校を退学になった、という噂も流れたが、どちらかというとそれはごく少数だった。
そして実際に転校して来て一日、秋穂はただ静かだった。
静かに授業を受け、休み時間になるといつのまにか席から姿を消し、授業が始まるといつの間にか席に戻っている。
噂を信じず好意的に接しようとしていた面々も、一日が終わる頃には彼女を怪訝な目で見るようになっていた。
放課後。
授業とホームルームが終わり、秋穂は周囲に目もくれず下駄箱へと向かった。
「……ねえ」
まだ誰もいない廊下の中。引き止める声。
金髪に近い色まで脱色した髪の活発そうな少女と、
その横、一歩後ろに立つ茶髪のおどおどとした少女の二人組。
金髪の少女は言葉を続けた。
「ちょっと、来てくれない?」
秋穂は頷きもせず、二人に歩み寄った。 音楽室、理科室、放送室。
特殊教室が並ぶ、この時間は人気の無い区画。
二人と秋穂は向かい合った。
「あ、警戒させてたらごめんなさい。別にカツアゲしようってんじゃないの。私、静。あ、こっちは私の友達で、奈月」
金髪の少女、静は少し息を吐き、にこやかに言った。
おどおどとしたもう一人の少女、奈月は静の後ろに隠れるよう、一歩後ずさった。
「えーと、ほら。庵野さん……秋穂さんでいい? 休み時間とかすぐにどこか行っちゃうから。強引だったかもだけどさ」
「………」
「ちょっとお話してみたくて。変なウワサも流れてるから……気になってたの」
無反応を通す秋穂の態度に、静のにこやかな表情から僅かにトゲが覗く。
「……えーっと、転校してきた理由は暴力事件に巻き込まれたからだ、とかそんな噂が流れてるのね」
探るような目。
黙っていた秋穂が口を開いた。
「……もう、済んだ?」
空気がすっと冷える。
静は目を細めた。ぴくりとこめかみが震える。
奈月はさらに一歩後ずさった。
静は左手で秋穂の胸倉を掴み、引き寄せた。
その勢いのまま秋穂の腹を右手で殴る。
制服のカーディガンがぼすんと音を立てた。 「……ナメてんの?」
耳元へ囁くように言い、秋穂の身体を軽く突き放す。
そしてそのまま右足を振り上げ、いわゆるケンカキックの体勢で、彼女の腹へと上履きに包まれた足裏を捩じ込む。
秋穂の身体は後ろへ突き飛ばされ、床へと倒れた。
全身への衝撃、そしてなにより胃袋の辺りへと押し込まれた打撃が容赦なく吐き気を呼ぶ。
「ぐふっ、ゴホッ……うっ……」
秋穂は口元を抑え、必死に込み上げるものを飲み込んだ。
酸っぱく苦いものが広がり、目に涙が滲む。
「へぇー。あんだけ無表情やってた割にちゃんと苦しがるんだ」
「し、シズちゃん……」
不安げに声を掛ける奈月を気にも留めず、静はケラケラと笑った。
「で、結局のとこどうなのよ。まあアレでしょ? その感じじゃ。どうせ誰かにちょっと殴られたからってウチへ逃げて来たんじゃないの」
笑い続ける静。
秋穂は近くに転がっていた学生鞄を抱くように引き寄せ、ゆっくりと身体を起こした。
乱れ髪の隙間に光る、じっとりとした暗い視線。 「……ねえ、何されたか、教えて欲しい?」
そう言って、秋穂は静に一歩二歩と歩み寄り、手に持った鞄を顔面目掛け振り回した。
静は両腕で顔を覆い、鞄を受け止めた。
「っざけん! ……うっ、く!」
怒鳴り返そうとした静は苦しげに呻いた。
顔を隠した瞬間、虚をついた秋穂の右拳が彼女の腹へと深くめり込んでいた。
その手には、しっかりと握られた栄養ドリンクの瓶。
「ちゃんと苦しがるのね?」
「……っく、ふぐっ」
静はぎりぎりと音が鳴るほど奥歯を噛み締めた。
頑丈なガラス瓶を握り込んでの打撃は涙が出そうなほどの痛みと強烈な嘔吐感を彼女に与えていた。
どくどくと身体の中身が脈打つ。
痛みが落ち着かないまま、秋穂の右足が臍の近くへと抉り込まれる。
「ぐぅえっ!」
強烈な意趣返しに、声を抑える事すら出来ず廊下へ転がる。
口の中へ広がる胃酸の味。静はそのままそれを吐き出した。
吐瀉物がびちゃびちゃと床を打つ。
「ぐえっ、おげっ……うあっ……はぁ、はぁ……」
「あ、せ、先生呼んでくる!」
奈月は叫び、逃げるように駆け出した。 「えーと……シズさん?」
秋穂は今までと同じ静かな口調で言った。
むしろ、彼女の表情はこれまでより柔らかくさえ見えた。
「みっつ、教えたげる。まずひとつめ。わたしが転校して来た理由は、そうね、あなたの言う通り殴られたから引っ越して来たの」
そう言い、秋穂は静の腹を軽く蹴った。
静はびくりと震え、口から透明な、唾液と胃液が混ざったものを吐き出した。
既に胃の中身はほとんど戻したらしい。
「ふたつめ。本当に故意で、痛めつけるつもりで殴られたり蹴られたりするのってすごく痛いの」
足を上げ、踏みつぶすようにして踵を振り下ろす。
「うぎぃっ! ゲホッ、ゲホッ!」
脇腹に今までとは違う鋭い衝撃が走る。
骨を伝わり響く、肋骨が折れたのではないかという程の痛み。
静は腹を抱えるようにしてごろごろと転がった。
「みっつめ」
秋穂は手に握った瓶の口を壁に叩き付けた。
細くなっている飲み口が砕け、割れたガラスが飛び散る。 「これは……そうだな、質問かな?
そう言いながら秋穂はじりじりと静へ近寄る。
「わたしが前に、言われた事なんだけどね」
無愛想な黒縁の眼鏡と、べっとりと染み付いた目の下のくま。
艶やかなセミロングの黒髪。
その隙間から覗く、不気味に優しげな視線と微笑みを浮かべた口元。
「ところであなた、処女?」
「や……嫌ぁ……」
静は這うようにして後ろへ逃げようとしたが、秋穂はゆっくりと歩み寄り、静の足を掴んだ。
振り払う事が出来ない力ではなかったが、恐怖のあまり力が抜ける。
そっと、見せ付けるようにしてガラス瓶が持ち上げられる。
鋭い切り口が静の腿をそっとなぞる。
「お腹と、処女、どっちが守りたい?」
「……ぃっ!」
ひんやりとした感触。
全身が鳥肌立つ。
頭の中で、腹へとガラス瓶が押し込まれて行く様子を想像してしまう。
悪趣味な映画のように、ぶつぶつと皮膚を切り、血をにじませながら押し込まれて行く冷たい茶色の瓶。
ぎざぎざとした破片が肌を裂き、腹の中を掻き混ぜる。
熱く感じるほど痛い。
瓶を伝って血がゆっくりと流れ出し、それと共に全身が冷たく、重くなり……。
「あなたたち!」
ばたばたという足音と教師の声。
静は安堵し、意識を手放した。 「……うあっ!」
静は掛け布団を跳ね上げ、身体を起こした。
薄黄色のカーテン。白いベッド。消毒液の臭い。
恐る恐る腹へ手をやるが、傷も、傷跡もない。
「……夢?」
「あら、起きた?」
カーテンを開け、入って来たのは保険医だった。
「……ねえ、話して大丈夫?」
「あ、はい……」
保険医はふうとため息を吐き、しかし優しげに微笑んだ。
「まず、冗談でもお腹なんて殴っちゃだめよ。これは誰のでもだけど……彼女、いろいろ複雑だから」
さらにため息。
静は無意識に自分の腹を撫でた。ずきりと痛む気がした。
「なんていうか……頭に血が昇っちゃったんだって。先に手を出したのはあなたみたいだし、お互い様って事で許してあげて、ね?」
違う。彼女はきっと、頭に血が上ってなんかいない。
そう思うが、微笑みながら続けられた保険医の言葉に全て吹き飛んでしまう。
「でも良かったわぁ、仲良く慣れたみたいで。彼女も、帰り際に『今日みたいに仲良く』して欲しいって言ってたわよ」
すっと背筋を冷たいものが走る。
ずきりと、腹の奥が疼いた。
帰り道、一人歩く秋穂はにたにたと笑みを浮かべていた。 おわり
ID変わっちゃったので、まとめ読みは>>203-210で
よければその10に投下したSSも一緒にどうぞ >>202
乙です
二択を迫る所、興奮しました
その10を読み返して二度おいしかったですw
腹責め被害者の後日談っていいですね 今日だけで653248kb書いたのか……。
まだ遅いな。
精進しないと。 お前ら、腹パの準備はいいか!
さあご一緒に!
腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ! 崩壊を始めた俺を癒すのはお前
否
つまりは俺自身という事か そういえば投下されたSSのキャラの二次創作SSとかファンアート、SSの漫画化ってどうなんだろうね
投下した人的には嬉しいのかな、やめて欲しいって人もいるのかな 作者に許可取ればいいと思うよ
上の一華氏のもAwA氏の二次創作だし
連絡取れない人のは諦めろ 軍隊用語的な意味で童貞を捨ててない女の子には、一切魅力を感じない。 美咲の声を初めて聞いたのは、彼女が発する悲鳴からだった。
今にも噛み付いてきそうだったあの表情が、今は苦痛に歪んでいる。
天井からの照明に明るく照らされた闘技場の周囲は、
スーツ姿の男達と、連れ添いの女達で埋め尽くされている。
初めて足を踏み入れた時、金持ちってのはこんなにも暇を持て余しているのかと思った。
観戦者の野次は煩かったが、美咲の苦悶の声は俺の耳に届いてくる。
どこかにマイクでも設置されているのだろう。
悲鳴はおろか、彼女らの身体がぶつかり合う音から、
腰から漏れる卑猥な水音さえもが、はっきりと聞こえた。
闘技場の真中に転がされた美咲のホットパンツを、対戦相手の女が踏みにじっている。
相手の足に力がこめられる度、彼女のホットパンツの中心が徐々に盛り上がっていくのが判り、
俺の目は思わずくぎ付けになる。
それはまるで、彼女の股間で男根が鎌首をもたげ始めたかのようだ。
いつもはきつく結ばれていた、美咲の瑞々しい唇が開かれて、悲鳴が漏れる。
思っていたよりもずっと可愛らしい声だった。
美咲は悲鳴をあげながらも、両手を下半身に伸ばしていた。
ホットパンツを内側から突き上げる男根を押さえて、「ひぃっ、ひぃっ」と喘ぎながら、
振動するそれを体内深く押し戻す。
彼女を踏みつける女が、その足に更に力を込めたが、
美咲は悲鳴をあげながらも必死に太股の間を抑え続けた。
やがて女の方が根負けした。
舌打ちを一つして、美咲の身体に膝から体当たりする。
ニードロップってやつか?
膝は美咲のホットパンツとビキニブラの丁度中間にずっぽりと埋まった。
多分胃の辺りだろう。その証拠に美咲の両頬が微かに膨らんだ。
再びきつく結ばれた唇の隙間から漏れた液体が、水鉄砲のように飛ぶ。
さっき無理やり飲まされていた水が逆流してきたに違いない。
女が自分の上から離れると、美咲はたまりかねたように辺りを転げ回った。
「うっげえええええ」
俺の物になった筈なのに、ロクに声さえ聞いた事のない相手。
その彼女が上げる無様な声。
びちゃびちゃと音を立てて垂れ流す胃液。
胃と股間を抑えてのたうちまわる醜いその姿に、
何故だか俺は酷く興奮していた。
女ばかりが立て続けに3人。男児に恵まれない事を親父はいつも嘆いていたそうだ。
それなりの商才はあったらしいが、昭和育ちというか、昔気質な所も多かった。
バブルの時期に一山当てて、その後もそれなりに。強引な事もやって一代で財を築いた。
一番上の姉が産まれて10年。
親父の呼称も社長から会長に変わった頃、ようやく待望の男児が産まれた。
親父の喜び方は尋常ではなく、その後の落胆は更に常軌を逸していた。
医者は、生きて10歳までだと言ったそうだ。
後継者を欲していた親父の希望に、俺は生まれながらにして背いたわけだ。
お袋は悲しみ、親父は怒りの余り生まれたての俺を殺そうとした事もあったらしい。
今もその産婦人科に勤めている、よく太った看護士が話していた。
いかにも人の良さそうな風体でいながら、余計な話ばかり聞かせてくれる。
小学校に入る頃には、なんとなく気付いていた。
お袋の異常な過保護ぶり。親父の俺に対するよそよそしさ。自分の余命。
お袋は、俺が10年目の誕生日を迎える前に逝った。
ついに俺以外の男児に恵まれなかった親父は、3人の姉達の育成に力を注ぐようになった。
10を過ぎて、医者の俺に対する言葉が20歳を越えられるかどうかに変わった。
お袋の愛情の賜物だとか適当に理屈をこねる姿が滑稽だった。
そしてその20を過ぎて今尚しぶとく生きている俺を見たら、あの世の親父はなんと思うだろう。
10年経つごとに言うことを変える医者を殺しに来るだろうか。
姉達ではなく俺を後継者にすべきだったと思い直すだろうか。
親父が逝った時、姉達には会社のポストと遺産を、俺には何故か屋敷と姉達以上の遺産を残した。
誰もお前の面倒は見ない。その代わりにこの金をくれてやる。
俺にはそう受け取れた。
豪遊もしてみた。しかしどれだけ散財しようが、俺の短い人生で使いきれる額ではない。
投資の話も腐る程持ちかけられた。
だが、先のない人生でこれ以上金を増やした所で馬鹿馬鹿しい。
車も買った。医者も買った。女も買った。どれも壊しては捨てた。
俺のような腐った人間が発する匂いがあるのなら、その匂いを嗅ぎ付ける種類の人間もいる。
その日、俺はその事を知った。
男が、俺の元を訪れてきた。
「人間を買ってみませんか?」
男は言った。詐欺や宗教の勧誘も数多く相手にしてきたが、こいつとの会話が一番奇天烈だった。
「具体的に言えば女を買いませんか? という事です。
ご趣味が違えば男も揃えられますが」
「女の斡旋なら間に合ってるよ」
「性的な意味合いだけではありません。
失礼ですが貴方は、刺激に飢えていらっしゃいませんか?
面白い賭け事があるのですよ。参加資格は人間の所有です」
「どこの国の話だよ」
「この国での話ですよ。例えるなら、時代劇のように娘を1人買って頂く。
互いに娘を持った人たちが集い、あるいは金を賭け、あるいは見せ合う場があるのです」
この国でそんな奴隷商売みたいな事が?
疑う視線に相手は慣れているらしかった。
脇に抱えていた山高帽を被り、平然と俺に誘いをかける。
「まずは一度、ご覧になっては如何ですか?」
この国の人間で山高帽が似合う奴もいるんだなと、変な所に感心した。
いや、言葉が上手いだけで、この国の生まれではないかもしれないが。
結局俺は、好奇心に負けた。 「残念ながら、形勢不利のご様子ですね」
背後で男の声がした。山高帽をかぶった男だと声で判ったが、俺は答えなかった。
男のいう所の特別席、俺1人貸切りの部屋から、闘技場を食い入るように見つめる。
美咲を襲っていた女が、別の獲物に向かうのを目で追った。
今度は美咲より年下とおぼしき少女を狙うつもりらしい。
背も胸も無く、制服姿の少女は、少し離れた場所でのびている。
「せめてシャンパンや女はサービスさせて頂きますよ。必要な物はございませんか?」
続く声も無視して、少女の行く末を見守る。
女は少女のスカートの中に手を伸ばし、下着を剥ぎ取ろうとしているらしい。
少女が抵抗すると、女は制服越しに小さな胸を鷲づかみにした。
「ひぎぃぃぃ!」
少女の絶叫が貸切部屋にも響き渡る。
どうやら胸の先端をひねり潰されているようだ。
制服の下にブラジャーはつけていなかったのだろう。
女の手が離れると、少女は胸を隠すように両腕でそれを抱えた。
その隙に女が少女の足を抑えて、ショーツを脱がす。
ピンク色の愛らしいそれを投げ捨てると、
今度はサッカーのフリーキックでもするように少女の身体を蹴り飛ばす。
少女の身体が一瞬浮き上がった。
「げぼぉっ・・・」
花も恥らうなんて枕詞が似合う女は、もうこの世にはいないと思ってはいるが、
それでもこの少女に対する俺のイメージを表すなら、可憐かつ儚げだ。
その彼女の口から漏れるのは、おおよそ似つかわしくない嗚咽。
自分の鳩尾につま先をめり込ませた女の足に向かって、盛大に嘔吐し始めた。
「そんな所でこっそり吐いてないで、皆さんにちゃんとお見せしなさい」
女が観客にアピールする。
そして、ゲロを吐く少女を背後から抱き起した。
制服とスカートの間でちらちらと覗く臍。
その少し上辺りで、少女を抱える両手を握り合わせる。
飲みすぎた奴を相手に、トイレで俺もやった事がある。
女は両手で、少女の胃を強く圧迫した。
「ぶげええええええええ!!」
少女は、その小さな口が胃液を噴き出す様を、たっぷりと観客に晒した。
少女も美咲と同様に、吐きやすいよう、あらかじめ水をたっぷりと飲まされているのだろう。
制服が黄色く汚れていく姿に、観戦者達が興奮の声をあげる。
下卑た趣味だ。
しかし、自分の下半身が反応するのは俺自身も止められない。
視線は汚されていく少女の姿から動かす事が出来ない。 「お邪魔だったようですね。引き続きお楽しみ下さい」
山高帽の男の足音が遠ざかっていく。
闘技場では、胃液を出し終わった少女に対して、女が責め方を変えていた。
スカートをまくしあげられて、埋め込まれたバイブレーターが半分だけ顔を覗かせている。
「なぁ・・・。どうして俺をここに誘ったんだ?」
目を動かすことなく、俺は声を出してみた。
山高帽からの返事は、少し遅れてやってきた。
「貴方のお父上には、大変お世話になったものですから」
あの堅物の親父がここに?
視線の先では、完全にグロッキーな少女の下腹を、女が踏み潰していた。
「ぐべぇっ」と潰れたカエルのような悲鳴が聞こえる。
「お客様としてではなく、出資者としてですがね。
勿論、目的は伏せたままですが。莫大な額の出資をして頂いたのです」
山高帽の声とともに、少女の股間が震え、押し出されたバイブレーターが床に落ちる様子が目に映る。
女が少女を踏みつけたままで、誇らしげに腕をあげていた。
厳格であろうとし、抱え込んだ金に見合うだけの品格と家柄を築こうとやっきになっていた親父。
その親父が、騙されてこんな所に相当額の金を流し込んでいたとは。
その収益の一部は、今も姉達の元に集まっているのだろう。
親父も姉達も、現実を知ったらどんなに怒り狂うか。
しかも末弟の俺が、今そこで金を落としているのだ。
『バイブが落ちましたので、芽衣は失格です。残った美咲と希の勝負となります。オッズは・・・』
アナウンスががなり立てる音量も、耳を通り越していく。
ガラスの反射で、自分の顔に笑みが浮かんでいるのを知った。
湧き上がってくるドス黒い感覚が、楽しくて仕方ない。
「気が変わった。女と煙草を用意してくれないか」
笑いながら、俺は山高帽に語りかけた。
「どういったお相手がよろしいでしょう。
大人しく隣に座らせますか? この場で発散なさいますか?」
「煩くない奴がいい。黙ってずっとしゃぶってるようなのはいるか」
「ご用意致します。煙草の銘柄にご指定は? 葉巻もありますが」
「マルボロでいい」
山高帽と移動する時、俺はいつも嫌味なベンツに乗せられる。
窓にスモークの張られた後部座席に押し込めれば、何処へ向かうのかも判らないのが理由だろうが。
最初にそこに連れて行かれた時、山高帽は俺の前に女を並べた。
10代から30代まで年齢もまちまちで、服装もチャイナから制服、ランジェリーから水着まで。
まずは好きな女を1人選べと言われた。
俺が目に止めたのは、制服姿の女だ。高校生位だろう。
「制服がお好みでしたら、同じ年齢で他にもう少し場慣れしたのがおります。
その娘は賭場にも1度出たきりですから、正味なところ、最初に買うにはお奨めしません」
美咲という名は後で教えられたが、俺が選んだその娘の制服には見覚えがあった。
お嬢様連中が多いらしいと、高校時代に有名だった。
それがどういった経緯であんな所に並ばされていたのかは、今も知らない。
「最初は、ある程度他のお客様の所にいた人間を買うのが楽ですよ」
持ち主が飽きた娘は、半額で店に売られ、また新しい相手を買うシステムだそうだ。
隣で山高帽が説明している間も、彼女はずっと俺を睨み付けていた。
気位の高さはまだ失っていないらしい。
相手を突き刺すようなその視線が気に入って、俺は結局彼女に決めた。
「お好みでしたら止めませんがね。慣らすには時間がかかりますよ?
まぁ、その年にしては立派な胸を持っているのが救いですか」
最後まで文句を垂れる山高帽を笑い飛ばして、俺は彼女を買って帰った。
屋敷の一室を貸し与えると、彼女はベットの上で座ったまま動かなかった。
相変わらず突き刺すような視線で俺を睨み続けている。
「賭けに使う以外でお前をどうこうする気はねぇよ。
逃げ出しさえしなけりゃ、好きにやってていい」
もともと俺の身体には、どうこう出来る体力も精力もない。
その日は動きすぎたのだろう。
初日以来、美咲の顔を見る事もなく、3日程寝込んだ。
10代の頃は毎朝目が覚めて、生きている事を神に感謝した。
20を越えてからは、まだ俺を連れていってくれない死神を呪いたくなる。
ようやく立ち上がれるようになった後、一度だけ美咲とすれ違った。
風呂上りだったらしい。バスローブに身を包んで、乱れた髪を整えながら歩いていた。
客室にもシャワールームはあるが、浴場を使ったのだろう。
俺に気付くと、ローブの前面をきつく抑えた。
厚いバスローブ越しでも胸の形がわかる。
成る程、確かに年の割に大したサイズだ。
今にも噛み付いて来そうな顔をする娘の横を、俺は鼻を鳴らして通り過ぎた。
彼女とはそれきり、賭博の日まで顔を合わせていない。
芽衣を踏みつけたまま、希は観客に向けて勝利のアピールを繰り返している。
スタイルの良さを見せつける女王様ルックにブーツといい、相当このイベントに向いている。
芽衣は希の足の下で、泣きながら今もげぇげぇやっている。
美咲はというと、何時の間にか希の後ろに立っていた。
こいつだってあれだけゲェゲェ吐かされていたのに、瞳はまだ鋭い。
希が振り返ったと同時に、その頬をグーで殴りつける。
結構いいパンチだ。
張り倒されて尻餅をつく希に向かい、すかさず蹴りを飛ばす。
スニーカーのつま先が、レザー製のショートパンツの股間にめり込んだ。
希の秘唇にも、もちろんバイブレーターが埋め込まれている筈だ。
それが思い切り奥まで捻じ込まれたらしい。
お嬢様かと思っていたが、案外えげつない攻撃をする。
蹴った美咲自身も、バイブレーターが動いたのだろう。
少し内股になっていた。
「ひゃひぃぃぃ! お、奥に・・・奥にぃ! 抜いてぇ!」
希が叫ぶ。レザーパンツの隙間から液体が漏れ出していた。
失禁したのか、尻の穴から浣腸液が漏れているのかは、ここからでは判らない。
美咲は肩で息をしながらも、泣き叫ぶ希を冷徹に見下ろしていた。
レザーパンツに手をかけて、それをひきずり下ろそうとする。
希が手を伸ばして必死にそれを防ぐ。
しばらく力比べが続いたが、美咲が先に諦めた。
立ち上がって、腹立ち紛れか希の腹を踵で思い切り踏みつける。
希も、他の二人と同じく飲まされた水を吹き上げてのたうった。
さっきとまったく逆の立場だ。
しかし、見下ろす美咲の顔が心なしか青ざめている。
普段より心持ち突き出た下腹に手を当てた。
腸が暴れ出したらしい。
美咲は明らかにとまどっていた。
出てくるのは流し込まれた液体だけだろうが、
それでも大衆の面前では耐えられないのだろう。
「力比べしたからねぇ。苦しいなら私が出してあげるよ」
美咲がハッと顔をあげた所へ、希のミドルキックが飛んできた。
よろめいて後退し、壁に背をぶつけた。
盛り上がったホットパンツに慌てて手を伸ばす。
「ひぅぅ・・」
小さな喘ぎ声をあげて、体外へ流出しようとするバイブと液体を指で押し止める。
細く白い指を、自分の股間と尻の合間に食い込ませる美咲の姿に、
俺の黒い欲望が渦を巻く。 賭博が行われるのは月に一度。山高帽が迎えに来る。
美咲はその日も制服姿だった。
適当に服を買うか、姉達の物を使わせようとしたが、従わなかったようだ。
会場に着くと、美咲は控え室に、俺は特別室とやらに通された。
室内から円形のスペース−闘技場と呼んでいるそうだ−と、
それを取り巻く観客席が見える。
観客席には既に何人ものスーツが、女連れで座っていた。
あのスペースで女同士を争わせて、その勝敗に賭けるらしい。
女は常時バイブを装着して、それを抜き取られた方が負け。
とんでもねぇルールだな。
「あの制服のまま戦わせるのでよろしいですか?」
説明の終わった山高帽が尋ねる。
美咲はあの服しか着ない。あれが破れたりしたら困るだろう。
「適当にあいつの好きなの選ばせてくれ」
「準備しましょう。時に、スカトロはお好きですか?」
相変わらず平静な顔でとんでもない事言うなこいつ。
「興味ない」
「では腸内洗浄させておきましょう」
「そんな事までさせるのか?」
「水気が多い方が、喜ぶお客様が多いものですから。
試合前には水を飲ませたり浣腸液を流し込んだり、当方も色々と工夫しています」
世も末だ。
「貴方がお持ちの娘はまだ経験が浅いですから、
オッズ調整のために二人一組で一人の相手と戦わせます。
どちらか一方でも勝てば配当金が入りますが、
上乗せは、まぁしない方がよろしいでしょう」
更に、負けた娘は相手オーナーがその場で犯しても構わないそうだ。
示談金で回避も出来るシステムにしているが、前例は皆無に等しいらしい。
あの凍りついた顔を思い浮かべて、俺は一つ尋ねた。
「美咲はそのルール、知ってるのか?」
「勿論。彼女は前回敗北して公開レイプされましたから。
前のオーナーがその場で売り払った後、貴方の目に止まったわけです」 「んっ」と、足の間で声があがった。
俺は、呼び寄せた女の頭を固定し、そのまま黙って続けるよう促す。
「ただじゃ負かさないよお前!」
スピーカーから闘技場の声が届く。
希が怒りも露に美咲の腰を抱え上げた。
結構パワーがあるらしい。
股間を抑えままの美咲の腰を、自分の膝に突き落とす。
美咲の腰と太股から浣腸液がしぶきを上げるのがわかった。
「はぐうっ!」
希の太股に乗せられた体勢で、美咲の目が大きく開かれる。
唇がパクパクと開閉を繰り返していた。
子宮まで捻じ込まれたのではないかというバイブの刺激と、
菊口から吹き出る液体の感触、それに伴う激しい恥辱。
それらを同時に味わって、美咲の脳がパニックを起しているのだろう。
彼女の唇から唾液が流れ落ちるのをゆっくりと眺める希。
彼女はもう一度、それが見たくなったらしい。
獲物の腰を抱えて、またも膝に落とした。
「はぐうぅっ!!」
再び飛び散る何種類かの液体。
ひぃっという喘ぎ声を十数回連続させられた後、美咲の身体は希に抱きかかえられた。
次はどんな責めに晒されるのか。
もう一人の俺が期待に蠢く。
希は、美咲のホットパンツを引き摺り下ろす。
淡い茂みを剥き出しにされた美咲は、慌ててそれを両手で覆い隠す。
希は構わず彼女の身体を、振り子のように揺らし始めた。
何度か左右に振って、振り子の幅が最も大きくなった所で、自分の肩へ仰向けに抱え上げる。
タワーブリッジ?
或いはアルゼンチンバックブリーカというのだろうか。
どうやら希はプロレス技がお好みらしい。
完全に立ち上がる事は出来ずに、半ばおんぶしているような格好だが、
それでもやはり大したパワーだ。
美咲は顎と太股を掴まれて、背骨を徐々に反らせていく。
ビキニブラに包まれた大ぶりの乳房が、プルプルと震えた。
強制的に開かれた秘唇から、振動する男根がゆっくりと押し出されていく。
ミシミシと背骨が軋む音が聞こえてきそうだ。
「ぐえぇっ・・・うぶぅ・・・」
意味を成さない低いうめきが繰り返される。
きつく結ばれてばかりいた美咲の口が、
今はだらしなく開いて、こぼれる唾液は泡となっていた。
もはや美咲の敗北は間違いなさそうだ。
賭け金をフイにされるが、俺の分身は女の口の中で嬉しそうに震えている。
「これがトドメだなんて思わないでね。
お前はただじゃ負かさないよ」
希の呟きが聞こえた。
美咲の太股を掴む指が、その付け根に向けられる。
目をこらすと、バイブを吐き出す美咲の唇、
そのすぐ上を、希の指が器用に割り開いていくのが判った。
恐らくつい先日までのお嬢様高校生にとって、性経験はここへ来てからだろう。
しかし試合前から膣内を刺激され続けていたのだ。
割り開かれて芽を出す突起は、さぞ充血して膨らんでいるに違いない。
その初々しく敏感な性器を、希の長い指が3回程ノックした。
「ぐびぃぃぃ!!」
それだけで、苦痛のうめきと恐怖の悲鳴が、美咲の口から一緒くたに吐き出される。
希はノックした指で、剥き出しのクリトリスを左右に擦り始めた。
まだバイブの残る体内からの刺激に、外部からの強烈な刺激がシンクロする。
「ふぁ・・。だ、だめっ! イヤ! イヤ、ひぐぅ!! ひぐぅぅぅぅ!」
美咲の腕が必死に伸ばされるが、背中をへし折られて届かない。
淫靡な粘着音が次第に強く響き渡る。
仰け反った頭を左右に振り乱して、美咲は静止の悲鳴をあげた。
涙が左右に飛び散る。
或いは強すぎる刺激に耐えているのかもしれない。
ぷしゅっと音を立てて、バイブレーターが水分と共に床に落ちた。
咥える物のなくなった美咲の秘所が、ヒクヒクと蠢く姿を観衆に晒す。
勝負は決した。
しかし希はそのまま美咲の背骨を軋ませてつつ、
快感を得るためだけにある部位をこねくり回す。
バイブが落ちた時と同様の音を立てて、
お嬢様の股間が漏らす汁が、女王の指を濡らした。
「ヤァッ、イヤァ。もう・・・ひっ・・もうヤメ・・ひうううん!
見るな、見るなァーーー!!」
負けて尚晒される自分の姿に美咲は絶望しているのだろうか。
冷徹な表情と突き刺すような視線の、制服を着た女はなりを潜め、
今そこにいるのは、淫靡な責めによがり泣く半裸の女。
残された唯一の着衣をボリュームのある胸が揺らし、ガクガクと震える腰は潮を吹き始める。
「皆さぁん。ご覧下さい。美咲嬢の潮吹きでぇす!」
希が大声を張り上げて、美咲の腰を周囲の観客に見せて回る。
その言動に興奮したのか、或いは希が特別な刺激を与えたのか。
身も世も無い声をあげて、美咲の腰は一際盛大に潮を吹き上げた。
刺激され、ヒクつく股間がついに痙攣し、あえなく絶頂に導かれる。
氷の仮面を被っていた筈の少女が、たかが指一本のクリトリス責めに屈し、
こうも簡単にイカされてしまうとは。
愛液と小水の入り混じった液体は、観客席近くまで飛ばされた。
「ふあああああああああああああ!」
歓声を上げる観客を前に、美咲の絶叫は長く響いた。
その声が途切れる前に、「うぶっ」っと声を漏らして足元の女が顔を離した。
抑えた口元から白い粘液が零れ落ちている。
「申し訳・・・うっ・・ございません」
「気にすんな。こんなに出したのは俺も初めてだ」
すがるような視線を手で追い払うと、俺は意識を美咲に戻した。
希に投げ捨てられた少女は、腰を突き上げた格好でうつ伏せに倒れている。
押し殺した嗚咽が聞こえて来た。
余韻に未だ腰が震えている。
しばらく立つ事もままならないだろう。
向きが違うので、蠢いているであろう秘唇は残念ながら覗く事が出来ない。
部屋から出ようか。
考えているとノックの音がした。
山高帽の声が聞こえる。
「入ってもよろしいですか?」
「いや、俺が出る。下に行こう」
俺は身なりを整えてから、部屋を出た。
観客席では配当の還元が始まろうとしていた。
闘技場では希が、そのオーナーと思しきスーツの横で手を振っている。
芽衣は胃液に汚れた服をきつく握り締めていた。
傍目にも判る程小刻みに身体を震わせながら、ちらちらと観客席に視線を送っている。
視線の先では、長髪で細身の青年が静かに座っていた。
こっちは芽衣のオーナーか。
芽衣の、オーナーを見る瞳は、恐怖で今にも泣き出しそうだった。
美咲に目をむけると、彼女は突き出していた腰を降ろして、
誰の目にも触れないよう、両手で大事な部分を隠している。
涙に濡れていても、その瞳は俺を睨みつけていた。
『これより配当金をお配り致します。勝利者希のオーナー様にはお楽しみタイムです』
馬鹿馬鹿しい内容のアナウンスが平静な声で響く。
美咲の瞳の奥で、何かが揺れた。
芽衣は滑稽な程ビクっと震えた。
希と、よく肥えたそのオーナーが、芽衣の制服に手をかける。
拒絶する少女を二人掛かりで裸に剥くと、オーナーは即座に腰をぶつけ始めた。
いきなり挿入しているらしい。
芽衣の絶叫が響く。
小さな少女が観客の前で陵辱されている。
その間も、美咲は噛み付いてきそうな表情で俺を見つめている。
俺も美咲に視線を向けたままだった。
希のオーナーが声を上げると、しばらくして芽衣の叫びが嗚咽に変わった。
射精まで終えたらしい。
「おい。俺の女は二人相手に勝ったんだ。二人とも犯っちまって構わないんだよな?」
典型的なダミ声が俺と美咲に近づいてくる。
豚のように肥えた男の手が、美咲の肩を掴んだ。
その時俺は、俺を睨む瞳の奥で揺れるものの正体が判った。
恐怖だ。
「はい。示談金が払われない限りは、お好きにして頂けるルールです」
俺の隣で山高帽が答える。
豚は嬉しそうに鼻を鳴らすと、美咲のビキニを剥ぎ取りにかかった。
白くて柔らかそうな果実が揺れても、美咲は声ひとつあげない。
全体のボリュームに比べると小さく思える乳首に豚がしゃぶりついた。
恐怖が身体の芯から侵食を開始しているのだろうが、美咲は動じない。
ダメだ。これでは俺の身体は反応しない。
「示談金を払うからその口をどけてくれないか」
同じ事を2回言った後、ようやく豚が、マヌケた顔をこちらに向けた。
2回も聞いてまだ言葉の意味が理解出来ていないらしい。
美咲の方がとまどっていた。
「オイオイ、馬鹿な事言うなよ兄ちゃん。そんなに時間もねぇんだ。
そろそろ本番やらせてくれよ」
「幾らだ。幾ら払えば引き下がってくれる?」
「どうせお前にゃ払えねぇよ。恥かく前に黙りな」
「幾らだ」
豚が明らかに苛立っていた。俺も苛立っている。
「1億!! どうだ、1億払ったらやめてやるよ小僧」
「払おう」
喚く豚に即答した。
ジャケットから小切手を取り出し、山高帽にボールペンを要求したが、
その手がやんわりと押し戻される。
「申し訳ございませんが、示談金は購入金額の半額までと明記してございます。
お二人ともその金額でご納得下さい。
大した娘でもございませんので、遥かに小さい金額ですが」
山高帽が説明すると、豚はつまらなそうに美咲を突き飛ばし、希を連れて闘技場から去った。
俺もここを去る事を山高帽に告げる。そろそろ体力が限界に近い。
帰りの車中で、美咲は唇をきつく噛んで、涙を零していた。
「貴様なんかに、助けられたくなかった」
何度もそう繰り返している。
うとうとしながらずっと聞き流していたが、何の気まぐれか、俺は一度だけ口を開いた。
「悪かったな」
言い終わらないうちに、俺は座席に押し倒された。
制服姿の女子高生に、簡単に馬乗りされてしまう程の筋力しか持ち合わせていない。
「お前なんて殺してやる!!」
美咲の両腕が俺の首を握りつぶそうとした。
同席していた山高帽が慌てて間に入り込む。
「いいさ、殺せよ。どうせ明日目が覚めるかも判らない命だ。
今ここで終わらせてくれ」
「自殺志願も結構ですが、車を降りてからお願い致します」
山高帽の心配はもっともだが、俺は本気で美咲に任せるつもりだ。
どうせまたしばらく、ベッドで覚醒と睡眠の繰り返しだけの生活になる。
目覚める度に味わう絶望から解き放って貰えるなら、それもいい。
しかし、期待した程の力は首にかかってはこなかった。
「貴様なんか・・・」
そう呟く眼前の女に、軽く失望した。
「本当はあの豚野郎に犯して欲しかったのか?」
「なっ!?」
顔を赤くして怒り始める制服女。
俺に馬乗りになったままのスカートに手を突き入れる。
「相手の指たった1本でよがり狂ってたもんな。
クリを擦られるのがそんなに好きか?
何分耐えれた。5分か? 3分か?」
俺は手の平に美咲の秘部を乗せて、割れ目を擦ってやった。
怒りの視線が動揺に変わる。
「擦ってやるからここでまた潮を吹くか?
それとも今度は奥に捻じ込まれたいのか」
下着越しに指の先だけ突きこんでやると、
美咲は悲鳴をあげて俺を突き飛ばした。
そして座席の隅に顔をうずめ、すすり泣き始めたが、
やがて大声を上げて泣きじゃくった。
「貴方は、調教の才能をお持ちかもしれませんよ」
山高帽が自分の席に戻って笑みを浮かべる。
俺は鼻を鳴らして身を起した。
平然としているつもりだが、スラックスの内側にいる俺はずっと前から反応している。
「この娘もじき、喜んで貴方の前で自慰に耽る日が来そうですね。
そうなったら売価よりも高値で買い取っても結構ですよ」
堕ちた女に興味はない。
心の中で答えた。
既に口を開くのも億劫になっていた。
「初参加は残念な結果でしたが、次回も是非ご参加下さい。
気に入っては頂けたと思いますから」
車から俺と美咲が降りると、男は山高帽を外してそう言った。
「ああ、また迎えに来てくれ」
頷いて山高帽を被りなおす男には、知る由もないだろう。
俺は、親父が憎む下卑た世界で親父の金を削ってやりいだけなのだ。
その名声を地に貶めてやりたかった。
ちっぽけな復讐心が少しでも満たされるなら、俺の腐った金など幾らだって落としてやる。
その為に山高帽を利用するつもりだ。
しかし、ふと思う。
山高帽はそんな事等とうに知っているのかもしれない。
知っていたからこそ、俺に声をかけてきたのではないだろうか。
離れていくベンツを見ながら、そんな考えがよぎった。
世界がぼやけていく。
願わくば、次にまたこの世界を目にしなくて済むように。
祈りながら俺の意識は暗闇へと落ちた。 >>240
乙。
このスレでここまで暗い話も珍しいな
なかなか新鮮でした エロかったし好きな題材っぽいんだけど、ちょっとオサレ感を出してやろう的な意図が鼻につく感じ
上手に文章を書こうというのが本意なんだろうけど、高尚な官能小説ならともかく
オナネタにしたいSSにはそこまでクドい文はいらないかなと俺は思う
あともう少し腹パンとかをメインに据えた感じの話とかにできないもん?
色々グチグチすまんがまあ一つの感想という事で勘弁。ゴメンね
GJ!お疲れ様 乙
腹よりエロメインなのかなって感じはしたけど面白かったよ >>240
この作品はkさんかな? お久しぶりです! 投下乙でした!
昔HPに掲載されていた作品の様な気がします。手直しされたのかな?
突然HPが無くなって心配しておりました
時々でもよろしいので、昔掲載されていたSSの続きでも投下してくれたらうれしいです >>240
随分昔に別のスレで書いたヤツですね。
誰かが転載したようです。
私は投稿してません。 転載でしかも元の投下スレが別のところならまとめから削除した方がいいんでね? 小説書きたくて堪らないとアピールしまくってるミヤビ大先生は、何で滅多に投下しないの?
口だけなの? いい加減特定の書き手への誹謗中傷は辞めろ、カス。
見ててイライラする。 おまえらリアル腹パンできるチャンスだぞ
ttp://nan-net.com/fuzoku/bbs/s/msg/8/CU-5dAX/ 宮内さんはホモと聞いたんですが、本当にですか?
本当だとしたら、気持ち悪いです…。 次回の腹パ参加する予定だから、オススメの作家教えろください
女子格闘よりは一方的な虐め系とかSM系? みたいな方が好き >>262
>>120-123
格闘要素がないのだと
ヤンデレ氏・ミスト氏・AwA氏・流星小学校あたりか
今回は誰が参加するのかな >>263
ヒで見た感じだとミストさんは一般予定、AwAさんとヤンデレないさんは同日別イベ参加っぽい
新規さん来ないともしや初の減少か 何度も言わせるな。
このスレと関係ないイベントの話は辞めろ。
隔離所でやれ。 LR見ておいでよ、エロ妄想萌え談義は板の趣旨に沿ってるよ
スレのルールでも小説以外の腹責めネタOKだしね
>>1を読み直して思ったけど、切腹系切断系とかはあんま人気ないのかな
それこそ氏賀Y太みたいなグロ系とか 何を言っとるんだ君は;
エロ妄想でも萌え談義でも腹責めネタでもなく、外部の事情をくっちゃべってるからスレ違いだと言ってるんだ。 流れを止めたならともかく
停滞してる雑談可のスレなんだからそうカリカリするなよ
ここから発展して267好みの談義になるかもしれないだろ
俺はグロも好きだから切腹切断も好きだな
腹責め合同誌はソフトもグロもおいしくいただけたクチ 内臓出ちゃう奴とかおもいっきり人を選ぶからなぁ
腹パンチはまだSMとかのくくりでいいと思うけど 転載されたとこにわざわざ書きに戻って来るかねえ…来て欲しいけど
イベント前はまた静かになるだろうし、そろそろ投下に期待したいな(チラッチラッ
合同誌とかイベントなんか見てると書き手はグロも行けるって人多いよね
よく話題に上がるSS勢もだいたいグロ書いてるし 他スレでもよく言われてるけど、pixivなんかに分散してる感はあるよ
腹パンオンリーなんてイベントもあるからオフでの同人活動もやりやすくなっただろうし みんなは最近の3D格ゲーキャラで責めたいと思うような下腹部の持ち主っているか? 3D限定か…
2DならI-NOとかいいコスチュームと体型なんだけど
モンスターファームのピクシーはいいお腹だし体型変えられるのも良かった、
しかし格ゲーじゃないし最近でもねえな お話の最中に大変、失礼を致します。
投稿させて頂きたいと思います。
皆様、今回も宜しくお願い致します。 ――――“『 さあ今回、注目のターゲットはこの子!!』”――――
PM.8:00。
18畳のリビングダイニングキッチン。
明かりも点けずに少女はテレビの前に居た。
テレビの中はゴールデンタイムに相応しい、賑々しく華やかな雰囲気。
しかし直後それは一転する。
――――“『 り゛ょ゛う゛さ゛ん゛ 』”――――
少女・涼の顔を暗い赤色が照らす。
軽やかで明るかった司会者の声色は突如、重く不気味なものになり。
その声がテレビの前の少女の名前を挙げた瞬間、テレビの中は赤と黒が支配する世界に塗り潰されていた。
「 …… 」
眉ひとつ動かさずにテレビを見詰める涼。
やがて画面は暗転、暗転後に色を取り戻した画面が映す映像は深夜のコンビニエンスストア、その店内。
「あっ……」
店内に入ってくる自分の姿。
それは覚えのある限り、日記の示す限りでは前例の無い事だった。
この番組では涼が殺される所だけを放送してきたはずだ。
だが、今テレビが映しているのはそれより少し前のシーンから。
「この人、人……やっぱり人間なんだ」
この例外が涼に与えた影響は殊の外、大きかった。
何よりも涼の興味を惹いたのは画面端に映る男性の存在。
グレーのジャケット。下には白、黒、濃紺のボーダーシャツ。ブラックのリジッドジーンズ。
黒髪ベリーショートのニュアンスカールエアで、眼鏡はハーフリムフレーム。
痩身……切れ長の目、何処か知性的な印象を受ける顔立ち面持ち。
自分以外の人間が居ない世界。
おそらく異形に襲われるだけの世界で生きて永らく、これ程に心強いと思った出来事は無い。
少なくとも少女はそう感じていた。
――――“「 な、なんで!! 」”――――
涼が思いを巡らせている間にもテレビの映像は進み、彼女が殺される場面に差し掛かっていた。
少しでも有益と思われる事柄を日記に残す為、毎回、最後まで観る彼女なのだが今回は別だった。
「あの人に……会いたい……」
少女は自室のある2階に向かうべく部屋を後にした。
〜 AFTER 24 〜
W
『 窓 』 PM.8:54
“『 日記を書き始めて22日目 』”
自室に戻った涼は今回の出来事を日記に綴った。
自分以外の人間と会えた事、会った場所、その人間の特徴などを事細かに残す。
そしてあの青年のイラストまで書き上げた所で手を止め、それを眺める。
「 …… 」
眼鏡を掛けた知性的な雰囲気を漂わせる青年。
顔立ちは整っていた、美形と言って差し支えない。
こんな状況でなければ涼はまた別の感情で心を支配されていたかもしれない。
「行かなきゃ」
涼は一人、決意を固めていた。
――――――――
PM.11:52。
自室の北側にある窓……それを眼前に捉えられる位置に立ち、時を待った。
(……会って何になるの?)
自分に問う。
会って事態が好転するとは思えない。
今いる涼の世界……同じ世界に存在する人間ならば、自分と同じ状況下にある可能性が極めて高い。
この世界から出る方法を知っているなら出会う事それ事態がありえないのだ。
有益な情報は何も得られないかもしれない。黯然銷魂たる事実を知る事になるだけかもしれない。
そもそもあの赤い雨が降っていない世界が異常ならば、こちらの世界が本当の世界なのだろうか?
自分の知らない内に、世界は改変されてしまったのか?
同じ場所を選んで同じ場所に通じる確証も無い。
様々な思惑が涼の頭の中を駆け巡る。
(それでも、あの人に会いたい)
それでも、涼が出した答えはやはり変わらないものだった。
――24:00。
―― バリィンッ! パァンッ! ――
家中からアナログ時計に付いているカバーの割れる音がこだまする。デジタル時計が『24:00』を表示する。
――… ポッ、ポツ、ポツ …――
24:00の赤い雨が降り始める。
――… ザアアアアアァァァ …――
―― ドオオオオォォン ――
紫色の稲光が、不安と恐怖に染まった少女の顔に色を足す。
――“『 ただいまー 』”――
玄関から聞こえる父親の声が、恐怖だけを拾ってきた心の上に伸し掛かかった。
――“『 ただいまー 』”――
前回と同じ場所に出ると仮定した場合、寸前まで引き付けてからでないと逃げられない可能性が出てくるだろう。
涼は焦燥する気持ちを抑え、お腹にぐっと力を入れて足を踏ん張った。
――“『 タダイマー 』”――
――……ガチャ……――
(明日になったら忘れる―― 今やらなきゃ!!)
意を決して振りかぶり、全力で椅子をガラス窓に投げつけた。
―― バシャアンッ!! ――
粉々になったガラス片がきらきらと赤い光を反射しながら四散する。
涼はすぐさま窓際に移動し、飛び降りる準備をした。
――……トン……トン……トン……トン……――
――「 タダイマー 」――
階段を上がってくる足音と、すぐそこまで迫る低い声。
「お願い……!」
涼は昨日と同じ場所に出る事を願いつつ宙に身を投げ出した。
―― “ドシャッ” ―― 前のような異常な精神状態ではない。この時点でしっかりと確認できる。
飛び降りたすぐ下に地面があったような感覚。
赤い雨もやんでいる。振った痕跡すら無い。
前回と同じ……どうやらここまでは上手くいったようだ。
二階の自室に人影が伸びるのを確認すると、涼は急いで鋳物門扉のある南側に向かい
家を飛び出した。
――――――――
薄暗い夜道の向こうに明かりが見える。間違いない、あのコンビニエンスストアの明かりだ。
涼はここまで酷使してきた足を休める事なく……
むしろ、これまでより足を急がせその光に向かって走った。
しかし――
「え!?」
コンビニエンスストアの建物全体を視界に入れた時に目を疑う。
店内に急いだ。
「そんな! そんな!!」
品物棚の間の通路を全て確認する為に店内を蛇行しながら駆ける。
「こんな事って!」
男子トイレまで覗く。
「いない…………?」
だが前回、本のコーナーで雑誌を読んでいたはずの、あの男性の姿はどこにも見つけられなかった。
――少し考えを巡らせれば想定できたはずの事態だ。
しかし涼はそれとは別の危惧に気を取られていた為に考えが及ばなかった。
……いや、ひょっとしたら考えないようにしていただけかもしれない。
あの眼鏡の男性が居なければ全てが徒労に終わる。涼がいちばん恐れていた最悪のケースかもしれない。
「どう……なるの……私…………?」
昨日の事を考えれば。自ら日記に残した事柄を思い出せば。
答えは自動的に導き出される。
涼の中に恐怖心が湧き上がった。
その時。
「いらっしゃいませ」
レジの方から声が聞こえた。
「あ……!?」
涼がトイレの前からレジの方を見ると、そこには店のYシャツを着た眼鏡の青年の姿が。
「あ、あのォ!」
声を掛け、地面を蹴る。
次の瞬間に消えてしまうのではないか。そんな気持ちで走り距離を詰めた。
走りながら確認する。
黒く短い髪でニュアンスカールエア。眼鏡はハーフリム。リジッドジーンズ、黒。
上着はコンビニのYシャツで分からないが、ボトムスは同じ物。
痩身、切れ長の目で美形。シャープで知的な印象。
おそらく間違いないだろう、同一人物だ。
「君」
「探してたんです! 貴方を! 私、貴方に会いに来たんです!!」
悠揚迫らない態度で涼を呼んだが、逸る涼は彼を遮って詰め寄った。
―――――――― バックヤード、休憩室。
涼は青年にいきさつを話していた。
自分の家の事。父親の事。2日以上、記憶が続かない事。殺されても死ねない体。今、自分が居る世界。
答えを得る為に必要と思う事はどんな些細な事でも打ち明ける。
男性はそれを静かに、黙って、ただ聞いていた。
そんな彼は涼の目から見てとても頼り甲斐があるように映った。
クールで落ち着いた大人の雰囲気。自分の話を真剣に聞いてくれている姿勢。この世界で、自分以外の唯一の人間。
面識は無かったが、これほど有り難い存在は無かった。
「何か知っていたら教えてほしいんです……私、この世界から出たいんです。 元の世界に戻りたいです!」
涼はまるで神様にでもお願いするかのように自分の意思を伝えた。
聞いた青年は……驚くでもなく憐れむでもなく困惑する様子もなく、切れ長の目でただ涼を見つめる。
そして少しばかりの間の後、ぽつりと告げた。
「出られない」
……落胆はしなかった。それは涼も予想していた答えだから。
もしそうならば、こうして人間と出会えたチャンスを最大限に活かしたいと考えていた。
一人ではどうにもならない事でも、二人なら出来る事があるはずだ。
力を合わせてなんとか抜け出す方法を模索したい。
涼はそう提案しようと考えていた。
しかし次に青年の口から出てきた言葉は少女の想像を大きく超えるものだった。
「出てもどうにもならない。君の居た世界は壊滅している」
「えっ…………?」
「少なくとも人の足で地面を踏みしめ生きている者はごく僅かだ」
彼は追い討ちをかけるように尚も話を続ける。
「君は選ばれなかった。だから俺は――…… 」
淡々と説明の言葉を繋ぐ男性。
だが彼の言う事はもはや涼に届いていなかった。
(世界が滅んでる? なんで? え、なに言って―― )
いつかは帰れるとどこかで信じていた。元の生活が戻ってくると思っていた。
それだけを心の拠り所にしていたのに、帰る世界も帰ってくるはずのものも壊れてしまっていると聞かされたのだ。
涼は突き付けられた無慈悲な現実の虜となり、思考は停止してしまっていた。
「……――君はこの世界で生きた方が良い」
相変わらず彼の声に抑揚は無い。まるで何も感じていないかのように。
「俺はもうここには来ない。次は別の場所を選ばなければいけない」
目の前で呆然と座る少女に言い放つ。
「あの家に戻るんだ」
それだけ言うと彼は両肘をテーブルにつき、顔の前で手を組んでそれに額をつけた。
「 …… 」
涼は虚ろな瞳で席を立ち、休憩室から出る。
そして売り場に戻った所でしばし立ち尽くした。
(“俺はもうここには来ない。次は別の場所を選ばなければいけない”)
つい今しがた聞いた言葉が、ふいに頭の中で自動再生される。
(もう……会えない……?)
ハッとして我に返った。すぐさま思い直し、慌てて休憩室に戻る。
(ダメ!! このままじゃ帰れない!!) 「あ、あの、名前!!」
休憩室を視界に入れると同時に言葉をかける。が、彼の姿が見えない。
「あ…………はっ!?」
休憩室の中に足を踏み入れた所で気付く。ついさっきまでとは一変した状況に。
男性は涼に背中を見せ、壁に向かってうなだれるように立っていた。
後ろを向いているが、男性の体格や衣服は同じ。
しかし別人と断じざるを得ない。
短髪だった髪だけは、今の長さに至るまで一切の手入れを怠ったようなちぢれた長髪になっていたからだ。
短くなるなら未だしも、こんなに短時間で長くなるのは考えられない。
背筋に悪寒が走る―― そんな程度では無かった。
顔を、頭を、心臓を。
頭のてっぺんから足先まで順番に、凍った掌で鷲掴みにされたような……圧するような重く冷たい衝撃。
涼はこの異様な光景に戦慄した。
「あ、わ……」
思わず呻く。その小さな声に、男性は背中を向けたまま反応を示す。
“彼”は壁を向いたまま緩慢な動作で頭を上げた。
(あ……あ、あ……)
涼は逃げる事も忘れ、ただ願う。
(…………振り向かないで…………!!)
……彼は振り向いた。
「うわああっ!!」
先程まで話していた男性ではなかった。
人間では、なかった。
顔のそれぞれのパーツは人間のもの。
しかし、ふたつの目はふたつの口に。
鼻は逆さまに。
本来、口のある場所にはふたつの耳が上唇と下唇を成すかのように上下に付いている。
そしてふたつの目は耳の位置に移動しており、カメレオンのように飛び出た眼球が両側から涼を捉えていた。
――異形。
また。まただ。また、同じ事の繰り返し。
「……もお……何なの、何なのよ、あんた達はああァー!!」
記憶は無い。それでも分かってしまうのが悲しい所だろう。
情報は自分で残してきたのだ。一度、殺された事を覚えているのだ。
自分の生を脅かす存在だという事は分かってしまう。
「私に何の恨みがあるの!? 私があんた達に何したっての!? もう放っておいてよォ!!」
涼は悲痛な訴えと共に……これまでの鬱憤を晴らすかのように異形の腹部に拳を叩きつけた。
拳だけでなく、足の裏で、つまさきで。
ただただ腹部に攻撃を加えた。
長髪の異形は棒立ちで難無くそれを受けていた……が。
「はゥッ!!」
出し抜けに涼のみぞおちに拳をめりこませていた。
涼の嵐のような連打がそれを合図に止む。
「ぅ……ごおッ……」
衝撃を受けた横隔膜が、神経集網が、血管が、一斉に悲鳴を上げる。
呼吸困難。激痛。急激な血圧の変動による苦しみ。
苦痛のパレード。
涼は目を見開き口から涎をたらしながらゆっくりと崩れ落ちるが、長髪の異形はダウンを許さなかった。 「あむ!」
涼の口元を右手で掴み、壁に叩きつける。
そして耳元にあるふたつの目で壁に磔にさせた涼の胴体を凝視すると、制服の前を左手で乱暴に破った。
「んんむ!!」
健康美に光る涼のお腹が露に。
口を塞がれた涼はもごもごと拒絶を示すが佳肴にありついた異形はお構いなし。
「ぶうぅっ!!」
人間の柔らかく弱い部分を強烈に打つ音と共に“びくんっ!”と震動する肢体。
異形の右手からくぐもった声が休憩室に響く。
次に狙われたのはおへそだ。
形の良いおへそを押し潰す左の拳は、女の子の薄く儚い腹筋などまるで問題とせず、涼のお腹に深くその身を沈めていた。
重たい激痛がおへその所に埋め込まれる。
みるみるうちに皮脂腺から、無駄に、大量に、粘ついた汗が分泌され涼の額に無数の輝く玉を作った。
涼に対する異形の暴行は続く。
「あぐ! ご!! ぶッ!! ぎゃぅッ!! おッ!! ぉうっ!!うッ……!!」
正中線上に集中砲火。
機関銃のような拳に少女の肢体が踊る。
突き抜けた衝撃がそのたび壁を鳴らす。
少女の口元を覆う掌と顎のすきまから涎が漏れ出し、許しを乞うような瞳が頬に涙を伝わらせる。
お腹の深刻なダメージと戦慄する心がほっそりしたふとももを濡らす事で現れる。
生物の人間の弱みであるお腹。その更に弱点をめった打ちだった。
異形の右手が邪魔で自分のお腹が見えづらい涼は胴体の前で両腕を泳がせるが
パンチは無情にもそれを全てかいくぐり、ことごとくお腹にハードヒットする。
長髪の異形は一心不乱に、むちゃくちゃに、お腹へと拳を打ち込んでいる。
“彼”は涼のお腹に夢中だった。
異様な容姿に反しそれは化け物の力ではなく、ごく一般的に人間が持ち得る事のできる力。
体格、性別、年齢。それに相応しい身体能力のみ。
「ぐええ…………っ!!」
だからこそ、ただの女の子である涼のお腹に用いるには酷すぎる暴力となった。
「ぶべべっ! ぶええぇ! うげーーーーっ!!」
彼の右手から解放され床に倒れこんだ涼は、お腹の内容物を惜し気もなく口から迸らせる。
少女は全身を激しく震わせながらお腹の悲鳴を上げていた。
「ぶべッ、はがあっ……痛い、いたいよ、もうヤだ」
涼は立つ事が出来ないほどのダメージを負ってしまった為、涙と涎にまみれながら彼に背を向け地面を這って逃げる。 「ひいぃっ」
しかし彼はそんな憐れな少女を床から剥がすように引き上げ、強引に机の上に寝かせた。
腰のあたり……お腹の裏にちょうどテーブルの端が当たり、お腹を反るような体勢だ。
胴体を反らされているため少女の張りのある肌は引っ張られ、綺麗なお腹がより美しい光沢を放つ。
お腹を狙いやすい体勢が整った所で、彼は次の行動に移る。
懐から素早く注射器を取り出すと、そこへ狙いを定めて構えた。
本来、耳である場所から見つめる瞳は少女のおへそを捉えている。
「や、やめ」
―― “ズブリッ” ――
「ぐッは…………!!」
おへそから全身へ激痛が駆け巡り、一瞬、全身を激しく痙攣させ限界まで目を見開く。
「あぎゃああ―――――――――――ッ!!!!」
喉が張り裂けんばかりの長い絶叫。
鋭い針は根元まで丸ごと涼の中に入っていた。
この注射は何かの下準備とでも言うのだろうか。
涼は反射的にそう思ったが、注射の効果はすぐに現れた。
―― “……じわ……” ――
「ぅ……うああああああああああ!!」
お腹の中を直接、苦痛が襲う。
麻酔のような痛みを緩和する物ではない。注射剤そのものが毒だった。
注射針を根元まで刺した時点で異形の意図は読み取れる。
血管も筋肉も関係ない、お腹の中に入りさえすればどうでも良かったのだ。
注射針がおへそから血の糸を引きつつ抜かれる。
異形は、涼の両腕をテーブルに押し付けるように押さえ
今度は目の位置にあるふたつの口を、まるで視覚しようとするかのようにお腹の上にもっていく。
「分かった、からぁ……痛い、から、痛いから、苦しいから……もぉ許してよお……!」
殴られ刺された痛み、お腹の中で染み付く痛み。
自分の中で渦巻く痛みを悲痛に訴えるが、それで止まる訳もなく彼は放埓に身を任せる。
右口をくわっと開けると、無数の鋭利な歯の間から細く長い舌を垂らす。
「なん、なあっ」
どこまでも垂れ下がり続ける長い舌。
もはや普通の舌とはかけ離れた物……そう、舌ではなかった。
“ぼとっ”
舌がちぎれて肌の上に落ちた。
涼のお腹の上で蠢くそれは、チロリ科の多毛類のような生き物。
筋肉の筋で構成されたような細長い生物だった。
ただし頭と思われる先端部は肉が鋭く尖る。
触手のような生物は小穴を目指し、ミミズのように体を波打たせながら、汗ばむすべすべの肌の上で移動を始めた。
「ぎゃあああ、やだ! やだやだあ、やめて、やめてええええええええ!!」 両腕を封じられているため身をくねらせ、お腹から振り落とそうとする涼。
だが抵抗も空しく、細長い生物の先っぽがお腹の穴に潜り込む。
「 イッ!! い・だ!? 」
それと同時に涼のおへそには激痛が走った。
「うがあ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
おへそを突き破られるという事もそうだが、自分の中に気持ち悪い生物が入っていく状況など普通なら想像もしたくない事だろう。
それが今、涼には現実に起こっている。
涼はおへその激痛と精神的ショックで気が狂いそうなほどのパニック状態に陥っていた。
細長い生物はお腹の上で、体の後ろ側を暴れさせながら、みるみる内におへそに収まっていく。
そしてその身を少女のお腹の中にすっぽりと入れてしまうと、少女に嵐を齎した。
「ううえ!! うげげ!! うげげえっ!!」
過去に例の無い、未経験の不快感と苦痛が涼のすべてを支配する。
細長い生物はこの世で最も美しい皮袋の中、嬉々として暴れ回っていた。
「ごぽごぼっ、ごぶぶッ! こぽぁ!!」
せり上がってくる物を抑える事もできず、暴れるホースのように口からぶちまける。
喋れない涼の代わりに、胴体はじゅぷじゅぷとお腹の湿った音を立てて苦痛の声を上げる。
「「ハア〜、ハア〜、ハア〜」」
それを見て昂ぶる彼は二つの口から蒸気のような吐息を漏らすと、黒いリジッドジーンズをおろし下半身を露に――
そこには強靭な心臓の鼓動に合わせどくどくと脈打つ、無数の血管に覆われたグロテスクな陰茎がそそり立つ。
「かは! おうぅ、こはっ」
吐く物がなくなったのか、涼は気持ち悪さに咳だけを吐いていた。
そうしている間に彼は涼の腕から手を放し、今度は涼のお腹を両脇からがしっ!と掴んで固定する。
「うぐ――あっ、あ! だ、ダメ、やめてッ!!」
彼の股間にある物に気付くと涼は急ぎ股をガードして拒絶を示す。
が、彼はいったん腰を大きく引いてから勢いよく前に反り返り一気に押し込んだ。
――“ドプっ!”――
「ぼひゅ!!」
涼の口から飛び出す太い空気の塊。
それもそのはずだ。
彼が陰茎を押し込んだ場所は、これまで痛めに痛めつけてきたおへそだったのだから。
お腹に入ってきた質量のぶんだけ、押された物が口から出て行ったのだ。
「なぁん……でえ……っ」
彼は精力的な腰の動きでそのまま涼のお腹を犯し始めた。
「「ウオオ、ウオオ」」
「おおええ! ……そ、そこじゃない、そこ違うゥ、違うーーッ!!」
化け物と言えど人の形を成していたからだろうか。
その佇まいと行動からいわゆる男女のまぐわいを連想してしまったのだろうか。 混乱のあまり、涼はかぶりを振りながら見当違いな言葉を発した。
「「オオオ、オオオ、オオオゥ」」
激しい腰のピストン運動により、乱暴に出し入れを繰り返す異形の男根と涼のおへその隙間からは
白濁したどろどろの精液が溢れ出す。
また、お腹に精液が入ってきた事で中の生物はまるで歓喜にのたうち回るように動きを活発なものにしていた。
「ぐえっ、ぐえっ、ぐ! ぐう!」
お腹に渦巻く耐え難い苦痛。
涼は揺れる視界の中、必死に彼の陰茎を強く握り締める。
「ぅ、くあッ!!」
そして自分のおへそから引っこ抜く為に、力の限り上に引っ張った。
が。
――“ずるっ”――
白くぬめる粘液のせいで滑り、結果的に表面を撫でただけで終わる。
「あっ! ああ!」
――“ずるっ。ずるっ。”――
涼は慌て、何回も、何回も、同じ事を試みた。
「ああ、あぁあ、あああああああああ」
――“ずるっ。ずる。ずる、ずるずるずるずるずる”――
だが、いくら力を込めようと涼の思うように動かす事は敵わない。
「あああぁあぁあぁあぁあ抜けない、抜けないいいいいいぃぃ」
精液まみれの両手で彼を握り締めながら天を仰ぎ号哭した。
もはや涼に打つ手は無かった。
何ひとつ、涼の思い通りにはならなかった。
「「 はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、ハア……っ!! 」」
異形のふたつの口から昂奮の吐息が、腰の動きに合わせリズミカルに発せられていた。
――健康で清らかだった涼のなかみがぐちゃぐちゃに汚されていく――
異形は何時間にも渡って、お腹にある可愛らしい小穴を使い、涼を犯し続けた。 「…………ぐぷっ…………こぷ…………ぽぉ…………」
血混じりの涎が口の端から首筋にかけてだらしなく伝う。
血色の良かった肌は過剰に血の気が抜け落ち、全身には苦痛により搾り出された汗が纏わり付く。
お腹のダメージで体力を奪われた肢体に力の入る部分は無く。
重力に任せて腕はだらりと落ち、胴体は反らされ、座らない頭は後ろに垂れ下がっている。
瞳は既に光を失っていた。
拳。針。毒。蟲。男根。
お腹を陵辱され尽くし、弱りきった少女がこの苦痛から逃れる術は
身体機能の低下で死が訪れるのを待つ他に無かった――
――――――――
PM.7:01。
偽りの我が家。その玄関で横たわる涼が目を覚ます。
(……会わないと……あの人に……あの人に、会わなきゃ……会いたい……)
虚ろな瞳で虚空を見つめる涼。
正解の無い選択を迫られる事を知った少女は5時間後にどうしているだろうか。 以上です。
ありがとうございました。
当然ながら諸々の事情があったり、思う所があると考えますが、
私もkさんの投稿を望んでいる一人です。
本当にお気が向きましたら……という事で構いませんので、その際はどうか宜しくお願い致します。 MR・R指定!!
今夜はGALとオール・ナイト・ロ〜ング
これ・マジ・・・ 「愛してるよミヤビ…」
「ああ、俺もだぜ彩……!」 ゴミヤウチゴミヤウチゴミヤウチ
ゴミヤウチゴミヤウチゴミヤウチ
ゴミヤウチゴミヤウチゴミヤウチ
ゴミヤウチゴミヤウチゴミヤウチ
ゴミヤウチゴミヤウチゴミヤウチ
ゴミヤビ 小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい
小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい小説書きたい そういや、ニートのシャーって全く名前聞かなくなったけど、生きてんの
かじる脛無くなってくたばた? そしてこのスレも、一人のニートの所為で朽ちる運命か。 宮内先輩のツイッターってマジキモイッスねwww
まんまキモヲタじゃねえッスかwwww 捻じ曲がった愛だけど、本当に彼の事が気になって仕方が無いことだけは伝わってくる >>307
どこに投稿しようとしたのかだけ教えてくれ >>309
趣味悪いな
>>310
聞いてもおもしろくない
実況行ってここ見たら狂った >>307
人間やめた感じがそそる
腹パンして変顔の顔面踏み付けながら犯したい SS投下された後は何も言わんで数日放置なのに人の文句とかだとすげぇ勢いあんのな 投下後に乙が付く人数しかここにもう残ってないんだよ
プラス粘着1名な もう誰も帰ってこないよ
というか今活躍してる職人は全員サイト持ってるからここが無くなろうが困る奴はいない イベントもあるし合同誌もあるしpixivもあるしな ランサー氏や夜凪氏が下地を作って
55氏が腹パン同人誌の可能性を見せて
イベントが始まって年々規模が大きくなって
荒らしやデータコピー厨が湧いて
そして誰もいなくなった どうせ腹PAが始まったらまた盛り返すんだから、気楽に行こうや。
元々書き手の投下に頼ったスレではないだろ此処は。 よし、じゃあ久々にやるか!
腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!
腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!
腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!腹パ!
はい皆さんご一緒に!!! クロさんのサイト数年ぶりに見た
戻ってきてほしいね 今最も人気のアニメーション「囮物語」にも腹パンするぞ!という表現が出奔した事からするに、
腹パンという用語もいよいよ全日本的な知名度が付与されたという考えを有する可能性がが大きい。
有りか無しか、皆さん? 正確な書き出しを意識してそれを行うならば、アニメーション「囮物語」の表現は「殴るか、腹を」という音声を伴ってのシーンでした。
不正確な表現で適度な理解を所持できない場合を恐れ、加えて記入しましたかしこ。 話題ないしwikiに載ってる職人情報とか更新しようぜ
と思ったけど最近活動してる名有りの職人ってミスト◆rwH8YN9ojw氏と◆54541QUsxA氏くらい?
あとは無名の職人ばっかだよね
たぶん名乗ってないだけだとは思うんだけど だれかポスト55氏になれよ
新しいSSが読みたいんだよ 恭子の人、K氏、ランサー氏、ミスト氏と続いて一番新参の55氏がデビューしてからもう3年か
確かにSSでは55氏以降新規参入はないかもな ここ数年での新参組だけど、スレではともかく合同誌とかイベントとかpixivとかでいろんな人が書いてるような
それただの懐古じゃね? で、どの投下作が一番好き?
投下作以外でもいいけど、今から探せる範囲で。 昔、三吉なんたら四畳半
ってゆう小説サイトあったんだが
もう見れないよな?
そこの責めは好きだった >>334
ランサーさんのプールサイドとナイトプリンセス
これ読んでSSもいいなと思った 自演乙としかいえんw
寧々さんとか割と好きだな俺は
SS職人はどこ行ったのか、消えちゃったのかね 55氏はイラストがSS以上に神レベルだからなぁ
純粋なSS作家と言えるのかどうか 同人誌の売上の7割は表紙イラストで決まるって、ベテラン同人作家が言ってた。 同人に限らず本やゲームはパッケージ買いするやついるからな
「もしドラ」とかモロにそれ
内容はそんな面白くないのにパケ買い勢とステマでやたらと売れてた 同人誌は表紙がしょぼいと手にとってもらえない
SSも出だしがしょぼいと続き読んでもらえない 俺も同人小説は正直買う気しないな。
プロの小説なら一応は何かの賞取ったり、ネットの超人気作家だったりするわけだし、
編集の目も通ってるから、ある程度の信頼が置けるけど、同人は解らない。
勿論それは漫画とかでも同じなんだけど、イラストはぱっと見で実力解るからね。
じっくり読み進めないと面白いか判別できない小説は、買うリスクがでかすぎ。 表紙にいいイラストがあれば小説でも買っちまうな、絵はやっぱり偉大
同人の小説はあんまり金を出して買うって感じしないよな つまり55は、大金払って描いてもらったイラストのお陰で人気を保ててるわけか。
じゃない方芸人みたいだな。 つまりって言うと総意っぽく聞こえるね
まあ、なんでもいいですけれど
版権もののキャラの腹責めSSってあんまないよね 何がイラストのお陰でだ。
55氏の場合、絵師の方から挿し絵書かせて下さいって懇願されてるの知らないのか?
nnSとか一撃とかな。 かーっ
リア充爆発しろって言われ過ぎてつらいわー
非リア共が僻みすぎなんだよなー
かーっ 相変わらずここは混沌としてるなぁ。賑やかなわりに実のない話をグダグダと。 とんとSS投下されなくなったよねぇここ
みんな自分のサイト持ったりしてる 腹パンブームとか、完全に下火になっちゃったからな。
腹パ消滅も遠くない。 一人カス粘着が住み着いてるだけなんだがな
他のやつのカキコも少ないから混沌に見えるだけ 『他の奴の書き込みも少ない』って、それがまさに盛り上がってないって証拠ずゃん。
荒らしの有無は関係ない。 いや、関係ないだろ。
勢いある所は荒らしがどれだけいようが勢いがある。
ワンピースも黒子のバスケも、荒らしは質量共に凄いが、勢いはトップだ。
逆に勢いのない所は、荒らしがいようがいまいが、盛り上がらない。 ワンピや黒子と一緒にすんなよ
ああいうジャンプ系みたいなメジャージャンルは住人の数が圧倒的に多いから
荒らしがいくら頑張ろうと物量作戦で荒らしレスを流して押しきれる
さほど住人の多くないスレに粘着マジキチ荒らしがとりついたら
延々荒らしのレスばかり続いてますます住人が遠退き廃墟化なんてことは
ざらにある >>362
あー、なる。
確かにそうだな。
でもどっちにせよ、誰かが動かないと状況は改善しないだろ。
せっかく腹パなんて専用イベントを開催されても、回を追う毎に白けムードになってる体たらくじゃ、
荒らしがどうこう言う資格ないと思うぞ。
他人頼りの全員が自覚なき荒らしだ。 あ念の為言っとくと、俺はスレの外で『動いてる側』の人間だからな?
口だけじゃないんで、そこはヨロシク。 (´・ω・`)知らんがな
匿名掲示板でそんなこと言われても… いや、言わなかったらオマエら、『お前も同じだろ偉そうに言うな』とか誤魔化して終わるじゃん。 あらら、全員黙っちゃった。
論破は大人気なかったか^ ^;
まあ、説教はこの辺で終わり。後は個々人の宿題って事で。
全の中の個って考えは社会出てからも重要だから、一度しっかりと考えといた方が良いよ。
んじゃま、とりあえずは良い週末を! うわあ
最近の投下作だとウルトラスイマー好きだわ
名無しの人だけどまた書いてくれないかな >>368
その人ブログで他にも書いてるよ
検索すりゃ出てくる 正直、なんでここまでブーム去ったとか騒ぎ立てるのかが解らん。
今はちょっと谷の時期なだけで、またそのうち55氏が時代を先導して盛り上げてくれるだろ。 腹Paも回を重ねるごとに参加人数増えてるじゃん
ここが異様なだけで腹責めは廃れてないよ、リョナ勢では最大派閥のひとつだと思うぞ だから一人の粘着嫉妬荒らしと、それに構うバカがいるからスレが荒れて見える
荒らしのレスは臭すぎてすぐ分かるから徹底放置
同じレスするなら妄想ネタでもレスすればいい ここ以外腹責めスレ2つもあるしwikiもあるのに拘る必要なくね? 腹監督のところにもSS置き場があるしね。
個人的にはあそこも結構お気に入り。 最近はピクシブで腹パンチ小説漁ってるわ
結構あるもんだな 変身ヒロイン物でネタが浮かんだ。
特殊能力で、意識する事で体が硬質化して敵の攻撃を防いだり、攻撃を弾きかえす事が出来るっていう
受身な能力で今まで化物や怪人と戦ってたけど、透明になれる敵に襲われて、
敵の攻撃を明確に意識できないと硬質化して防げないから力を込めてないお腹や急所に
拳がズボズボ埋まっていき悶絶、終いには完全のノックダウンしてしまうような話がみたいです。はい。 自分でかけるものなら書きたいのだけど、書けなくて非常に申し訳ない。
せめてネタだけでもと思って。 >>385
拳がズボズボ埋まっていき悶絶っていうのは素晴らしいと思うぞww
良いネタとは思うけど、書いてくれる人いるのかな…
wiki見てると、前は結構リクに答えて書いてくれる人いるっぽかったよね
『前は』…ね… リク答えるのは嫌いじゃないけど今ここでやっても感想や悪いとこの指摘も付かないじゃん?
それならPixivなりブログなりの方が見てもらってる数も分かるしなあと思ってしまう
何が言いたいって悪いとこでもいいから感想くれくれ >>387
感想書くんで書いて下さいお願いします! その設定ナイトプリンセスのスーツみたいなもん?
圧迫だと対処できなくて腹の中掻き混ぜられて果てるみたいな 実際383みたいに読む側もこんなの読んでみたいーってどんどんネタを出しちゃっていいんじゃないかな リクエストもここの方が頼み易いしな
ブログのコメ欄でリクエスト出すのって何か失礼な気がするし… >>388
まず投下されたSSの感想でもなんでも書いてから言えよ
正直同じ労力で何か書くならいつも感想くれる人がいるとこに書きたいと思ってしまう
個人的にはリクエストって刺激になるから嬉しいけどさ
いつも見てくれてて感想もくれるような人からリクエストされるのといきなり知らん奴からあれ書いてって言われるのとはやっぱ違うわ 一言一句まで同意。
しかもこのスレに投下すると、荒らしに目をつけられるっていう明らかなデメリットまである。
今のこのスレに投下する奴は、よっぽど酔狂な奴だけだ。 紛らわしい言い方して申し訳ないです。
あれ書いてとかじゃなくて、こんなネタどう?ぐらいの感覚でした。
絵も文章も書けないけど、妄想でネタだけ浮かんできたから、なんか勿体なくて。 いや浮かんだネタ書くのはいいと思うんだけどさ
>>388みたいなクレクレっぽいのはちょっとないわと思った こういうの読んでみたいんだよね、みたいなネタ
→参考になるし、もしツボだったら書くかも
よければこういうの書いてくれませんか? みたいな常連やいつも良くしてくれてる人からのリクエスト
→本当に書くかはその時の気分だけど、一応考えはする
知らん奴からのXXするから書いてください!(感想書くとかリンクするとか宣伝するとか)
→うるせー死ね
くらいの差があるわ、個人的には とある廃病院で、黒きモノと対峙する一人の少女。
「やぁっ!」
自分の足に伝わる鈍い感触。また一人、敵を倒した。
ふと、違う気配。
どん!という振動が身体に伝わる。別の敵に懐に潜り込まれ、お腹にパンチを入れられたみたい。
この威力、もし硬質化していなければ、悶絶は免れないね。
「ざーんねん!」
お腹を殴ってきた敵の後頭部にかった〜い肘を撃ち下ろす。
すると、ヒトのような黒きモノが、肘の当たった個所から霧散していった。
私は、硬質化能力者、香坂雫(こうさか しずく)。一応高校生なのに、何故か政府系組織の依頼でこんな仕事をやらされてる。
「も〜、汗すっごい・・・」
周囲に敵がいなくなったことを確認して、自分の身体を見下ろす。
チューブトップで締め付けても尚、腹がほとんど見えなくなるほどに育った胸は、密かに私の自慢だったりする。・・・きついけどね!
両手で胸を掻き分け、谷間に溜まった汗をお腹へ流す。
そのまま腕で胸を抑えて、汗の流れを追うと、鳩尾、縦筋が入って引き締まったお腹へと順に伝っていき、縦長のへそへと収まった。
「・・・タオルでも持ってくれば良かったな。失敗した〜」
今日の昼までは学校をエンジョイしてたのに。昼休みに急に呼び出すんだもん。準備してないよ藤堂さん! ※依頼者
・・・30体はいたかな?こんなに多かったの久しぶり。長く動き回ったせいでジーンズもビショビショ。
セミロングの黒髪を手櫛でかきあげると、やっぱり汗でべっとりしてる。
「全部倒したし、帰ってシャワー浴びよ。はぁ・・・」
「帰すと思う?」
「ぇ?・・・・・・うんっ!?」
突然の衝撃に、自分のお腹を見る。
「・・・・・????」
何故か、臍の部分が凹んでる。・・・殴られた?
・・・それよりも、感触はあるのに、なんで何もないの!?
「ふん!」
謎の声と共に、固いものが、より奥へと押し込まれた。
内臓がぐにゃりと蠢くのを感じる。
「ふうっ!」
「・・・この丸出しのお腹は見た目だけなの?香坂さん」
「うく・・・その声・・・関根さん?」
「ご名答」
ずぼりと私のお腹から固いものが引き抜かれると、黒髪を腰まで伸ばした制服姿の美少女。関根さんが、何も無い空間から姿を現した。
関根さんは、同じクラスの図書委員。本が大好きで、知識量も豊富で、話していて面白い人、だった。
「・・・まさか、透明化能力者?」
私はダメージが抜けないお腹を手で抑えつつ、関根さんに尋ねた。
「またまたご名答。その顔だと、透明化を見るのは初めてみたいね。珍しいから仕方ないのだけど。・・・それにしても、能力者が同じクラスにいるなんて驚きよ」
「能力者なら・・・味方じゃ・・・」
「世間知らず。世の中には、能力を持っていてもあなた達の敵である人は、いっぱいいるの」
「・・・友達だと思ってたのに」
「私も、あなたとは友達だと思っていたのだけどね。・・・さっきまでは」
その瞬間、関根さんの顔が憎悪で染まった。
「同志の恨み、覚悟することね。この犠牲のお蔭で、あなたの弱点は理解した。硬質化しても無駄よ」
・・・本当ならまずいかも、場合によっては逃げないと。
「私の弱点なんて、分かってないくせに。ブラフなんて意味なし!」
「まず、あなたの意志で、首から上以外は自由に硬化出来る。ただし、数秒だけ。また、一度硬質化した部位は、2分経たないと再び硬質化出来ない」
・・・完全にばれてる。
「くすくす、なんとも弱点の多い能力ね。能力を使わなくてもあなたを倒せるけど、可哀想だから使ってあげる」
「・・・!!私だって一生懸命鍛えてきたんだっ!」
あの馬鹿にしたような笑いで、これまでの私を否定されたような気がした。
頭に血が上り、関根さんに殴りかかる。
「短気は損気、ね」 ふっ、と関根さんの姿が消えた。
「しまっ・・・・・くふううっ!」
硬質化してなかった私のお腹は、関根さんの拳を簡単に受け入れた。
「ん、はぁ・・・」
臍の上に拳を埋められた苦痛で、涙が頬を伝う。
「一生懸命?これが?」
「う・・・るさい」
拳を硬質化し、関根さんのいるであろう位置を殴りつける。
しかし関根さんは離れたようで、拳はただ空を切るだけだった。
「卑怯者!隠れないで出てこい!」
叫んでも返事がない。
「!」
目の前に気配を感じ、お腹を硬質化する。
「・・・?」
確かに気配を感じたのに、何もしてこない。
数秒が経ち、硬質化が解ける。
・・・・あ・・・。
「2分、ね!」
「はぁっ!」
レバーを抉られ、呼吸が止まる。
「ぐぶ!」
腹直筋を貫かれ、涙が溢れる。
「ごぼっ!」
鳩尾を抉られ、意識が薄れる。
ずぼっ!ずぼっ!
「ぐはあ!うむぅ!」
どぼっ!どむっ!
「うぶぇ!うぐぅ!」
見えない敵に、腹の急所を幾度も抉られる。
ずぼっ!ずぼっ!めりっ!
「おげえ!うぶぅ!はあっ!」
容赦なく、腹の急所を幾度も突かれる。
「お・・・ぐ」
攻撃が止んだ隙に、なんとか腕でお腹を抱えて下を向く。
「ご、ごぷ・・・2分・・・早、く」
「見た目は引き締まってるから期待したのだけど、なんとも柔いお腹。能力に頼りすぎなのね」
「・・・」
「鍛えるというのは、こういうこと」
姿を現し、制服を捲る関根さん。
「・・・な・・・」
普通の女子高生だと思ってたのに。
関根さんの腹筋は見事に割れており、私なんか比べものにならない、とてつもない力強さを感じさせた。
「私がただの透明女だと思ってた?例え能力者でも、この程度は必要なのよ」
「っ・・・」
「・・・まぁいいわ、弱くて話にならない、早く終わらせましょう」
「・・・こ、のおっ」
拳を硬質化し、姿を現したままの関根さんを渾身の力で殴る。
だが、関根さんは軽やかに体を曲げて避けた。
どずっ!
「お゛う゛んんっ!」
鳩尾の奥深くまで拳が抉り込まれる
衝撃で胸を包んでいたチューブトップが落ち、解放された胸がゆさりと左右に広がった。
「だらしない胸ね」
関根さんはそう言うと、片腕を私のお腹に埋めたまま、左胸の先端を摘まんで引っ張り、弄ぶ。
「ぐぶ・・・やめ・・・」
もう、駄目・・・。苦し・・・。
「・・・ゆ、ゆる、じで」
「許す?無理ね。頑張って私を倒しなさい」 そう言って、関根さんは透明になる。
「・・・う、う・・・うああああああ!!」
錯乱した少女は、ふらふらとした足取りで、ぶんぶんと無我夢中で腕を振り回し、必死に敵を探る。
「ぐぶぅぅぅ!」
見えない敵に、両脇腹を同時に抉られる。
「ごはあああ!」
背中を抑えられ、腸を掻き回される。
「おやすみ。香坂さん」
「ぐぶっ!?おっ・・・お・・・げええぇぇぇぇ!!!」
胃を握り潰され、遂に少女は力尽きた。 >>397~399
短編だろうから話の筋には目を瞑るとしても、殴られてる側の見た目くらいはちゃんと描写した方がいい
その方が場面も想像し易いし 文法については、色々と噂の宮内ミヤビ氏に学ぶと良い。
先生をつけて本格的に勉強してるらしいからね。 GJでした!
普通に戦っても絶対勝てない力量差ある相手に、さらに能力まで使われて
為すすべなく腹を責められて倒されるヒロイン物。ありがとうございます! >>397さん
投稿、お疲れ様です。
短い……だけではないですね、凝縮された腹パンSSだと思いました。
腹パンシーンは、あらゆる角度から嵐のように拳を叩き込む様を想像でき、読み応え十分でした。
あと、バストは大きい設定のようですがそれ以外の容姿が説明されていないぶん都合よく想像できて自分は逆に嬉しかったですw
汗の描写もすごく好きですし、私的にとても満足できるものでした。
少なくとも自分は読ませて頂き、規制がかかっていない時は感想を落とすようにしていますので、
これからもお付き合い頂けると大変うれしく思います。
よろしければ是非また投稿して頂きたいです。
ありがとうございました。 >>397
手軽に読めて面白かった。
キャラや設定なんかも好き。
見た目に関して、これはそれぞれの好みの問題だと思うけど、
俺は事細かに説明されるより、だいたいの特徴が判るくらいが
想像の余地があって好き。
397みたいに行動の節々で身体的特徴を滑り込ませる書き方好きだよ。
GJでした。 ふぅ……
連打とか続けざまに殴られるの好き
GJでした なぜこれほど腹を責めることに性的興奮を感じるのだろう 「なぜこれほど腹を責めることに性的興奮を感じるのだろう」どすっ
「アんっ!お、押し込まれてるぅ.....もっときて」
会心のストレートだった。
腰の切れも、腕のピンと伸びきった感触も、言うことなく。
しかし笑香(えみか)さんは、それを難なく捌いてしまう。
そして捌いたその右手が二度、俺の前をチラついた。
「ぐ!」
動けなくなる。
そこに至って初めて、俺は笑香さんの突きを食らっていた事に気がついた。
鳩尾と人中、ほぼ同時に一発ずつ。
静止した時間の中で、笑香さんの左手が握りこまれる。
そして次の瞬間には、その拳はもう俺の顔面へ迫っていた。
殴られる――!
そう覚悟した直後、顔の横を風が通り抜ける。
チリチリとした熱さが頬の皮膚を炙る。
視界一杯に広がる拳。寸止めの正拳だ。
「…………参り、ました。」
俺はそう呟いた。負けを認めるしかない、圧倒的な敗北だったからだ。
俺の言葉を聞き届けた笑香さんは、そこで残心を解いて拳を引いた。
「フッ……まだまだね、良介くん」
そう言って、彼女は笑う。
笑香という名前の通り、とても綺麗に笑う人だ。
まるでアナウンサーやスチュワーデスのように、洗練された笑み。
その一方で彼女は、軍隊格闘やフルコンタクト空手など、実践的な格闘技をいくつも修めている。
だから荒事にはめっぽう強い。ヤクザの事務所に、身ひとつで乗り込めるぐらいには。
笑香さんは私立探偵だ。
浮気調査といった小口の仕事も請け負うが、金になるのは裏の仕事。
警察が動かない事件に対し、依頼人の要望に応じて犯罪の証拠を掴むケースが一番多い。
俺はふとしたきっかけで笑香さんに助けられ、そのまま流れで彼女の助手をやっている。
その日の仕事は、ストーカー被害の調査だった。
まだ実際に被害が出ていないという理由で警察が動かず、被害女性は笑香さんに泣きついた。
そこで、女性のボディガードを兼ねてストーキング現場を押さえようという訳だ。
数日ほど女性に囮となってもらったところ、犯人はすぐに特定できた。
なんとも冴えない中年オヤジだ。
背丈は十人並み。腹の肉はたるみ、腑抜けた顔でふらふらと歩く。
異常なのは、被害女性の後をつけながら、道行く人間に自分の映像を撮らせている事だった。
特にカップルを狙い、デジタルカメラを渡して、被害女性と自分が同じフレームに収まるよう撮影させる。
そして気味悪そうにカメラを返すカップルを、にやにやと見送る。
俺はその様子を繰り返し見ているうちに、段々と腹が立ってきた。
見るからに弱そうで、たとえ殴り合いになっても勝てるだろうという打算があったのも事実だ。
その結果俺は、とんでもない間違いを犯すこととなる。
別ルートで男を追っている笑香さんに連絡を取ることもなく、単独で男を追い詰めたんだ。
場所は薄暗い路地裏だった。
いつも通りのニヤケ面で徘徊するストーカー男を、俺は大股で追いかけた。
足音でさすがに気付いたんだろう、脂ぎった顔がゆっくりとこちらを振り向く。
「何かな?」
男は薄ら笑いを浮かべたまま、可笑しそうに俺を見つめている。
それを睨んでいるうち、俺は自分の中の怒りが膨らんでいくのを感じていた。
正義感とか、そういった類のものじゃない。ただ生理的に、殴りたいというだけだ。
「惚けてんじゃねぇよ、このストーカー野郎」
俺はチンピラさながらに凄んだ。自分の方が強いという、根拠のない自信が満ち満ちていた。
「ほぉ。……ほぉ」
男はいよいよこちらの神経を逆撫でする声を出し、急に身体を揺らす。
注意深く見れば、それが単なる身震いの類だと判っただろう。
しかし人間不思議なもので、すっかり臨戦態勢に入った状態で相手が急に動くと、それを攻撃と勘違いする。
結果、俺は男へと安易に殴りかかっていた。
まずい、という直感があった。
先に手を出した事が、後々法的にまずい事もある。
けれどもそれ以上に、殴りかかる動きがあまりに雑すぎた。
フックでもストレートでもない、大袈裟にカーブを描くテレフォンパンチ。
反射的に殴りかかった、隙だらけの一撃だ。
男は当たり前のようにそれを避けた。今になって、その身のこなしに驚愕する。
明らかに戦い慣れた、ロートルの傭兵のような回避行動だ。
半身になって攻撃をかわした中年体型が、今度は攻撃に移る。
下膨れの胴体の後ろから現れる、腕。
どうして、気付かなかったんだろう。
セーターに包まれたその上腕の筋肉は、ゴリラのように膨れ上がっている。
にたり、とオヤジの笑みが視界に映った。
その直後。
凄まじい衝撃が、俺の腹部を襲う。
「む゛っ…………!」
反射的に声が漏れた。大型のトラックに激突されても、きっと俺は同じ声を出すだろうと思えた。
爪先が地面から離れた感覚の後、地面に尻餅をつく。
腰から下の筋力が一切なくなったかのように、どうしようもない尻餅だった。それが怖い。
そしてもっと怖いのは、そうして状況を認識している一方で、まだ腹部に痛みがない事だ。
頭の中でジェットコースターが思い浮かぶ。
やばい、やばい、やばいやばいやばいやばい。
頭は嫌というほどそれを理解しているのに、決定的な衝撃はまだ訪れない。
俺は知っている。認識は間違っていない。わずか後に、ヤバイと思った以上の衝撃が、きっと来るという事を。
「げはっ!!」
先に口が開き、唾液が地面に飛んだ。
そしてその直後、恐れていたダメージがようやく訪れる。
腹筋はおろか、内臓という内臓が押し潰されたような感覚だった。
2度とまともにメシが喰えないだろうな、という予感めいたものが脳裏にチラついた。
体の深くで核爆発でも起きたような膨大なダメージ。でもそれは大丈夫だ。
あまりにも規模がでかすぎて、まだまだ脳が処理しきれていない。
咀嚼できるようになった後で、死ぬほどのた打ち回るんだろうが、とりあえず今この瞬間の問題じゃない。
問題は腹部以外。
肺が下半分をミキサーにかけられたかのようになり、息ができない。
空気を吸っても吸っても、下側の穴から通り抜けているようで、陸にいながら溺れそうになる。
そして、恥骨周り。
直撃を受けた腹部につながるジョイント部分が、外れかける寸前の悲鳴を上げている。
立つことなどとても出来ない。蹲っていて、ようやく人のカタチを保てるような状態だ。
ここまで分析が進んで、ようやく腹部の痛みがゆっくりと襲ってきた。
猿の脳味噌をゆっくりと舐め溶かすにつれ、じわじわとその苦味が認識されるかのごとく。
俺は絶叫してのたうち回った。
いや、正しくは『その筈だった』。
俺に認識できるのは、一瞬にして涙で滲んだ視界と、吐瀉物が撒き散らされる地面。
そして『あ゛−っ、あ゛−っ』という、どう聞いても普通でない、カラスのような呻き声だけだ。
ただ胸を大きく上下させ、吐くことしか出来なかった。
視界の上端で、男の靴がかすかに動く。
俺はそれに心底恐怖した。
この路地へ来た時の威勢のよさはどこへやら、俺はあの男に怯えきっていた。
もう一度殴られたら、俺は絶対に耐えられない。心と体がそう確信しているからだ。
「良介くん、何があったの!?」
その時、路地の脇から声が飛び込んできた。俺はそれにさえ絶望を覚える。
おおよその未来が解ってしまうからだ。
「!!」
賢い笑香さんは、この状況を一瞬で理解する。
そして彼女はこちらに走り寄るだろう。
「へっ、えへえへっ、えへっ…………」
男は気味の悪い笑みを浮かべながら、路地から逃げ出す。
「待ちなさいっ!」
笑香さんはそれを追いかける。
男に続いて路地を曲がる瞬間、俺の方を心配そうに見やりながら。
でも、違うんだ。今彼女が心配するべきなのは、俺なんかじゃなく、自分の方。
俺だって、これでも一時期ボクシングをやってたんだ。今もトレーニングは欠かしていない。
普通の喧嘩でボディブロー一発で沈むなんてこと、ありえないんだ。
ほぼ毎日、笑香さんに格闘技の手ほどきを受けている俺だから解る。
笑香さんは確かに強い。けれどもあの一見冴えない親父は、それともまた別格にヤバイ。
ジムのインストラクターのように引き締まった身体をした笑香さんでも、防御力には限界があるだろう。
むしろ、男である俺の方がいくらかフィジカルは強い可能性もある。
その彼女が、あの引き締まった腹部が、あの打撃を喰らったら……。
俺はただ祈り続けた。
次第の遠のく意識の中で、必死に。
意識が途切れる最後の瞬間、路地の奥から女性の悲鳴が聴こえたのは、きっと、気のせいだろう。
※
それから一週間。
俺は事務所で1人、笑香さんの帰りを待ち続けた。
警察には勿論伝えたが、芳しくはない。
俺の腹部の怪我をもとに、傷害罪の疑いで捜査するとは言っていたが、言外にやる気の無さが見て取れた。
最初は誠意たっぷりに対応してくれたんだ。
腹部の怪我を見せた瞬間真っ青になり、憤ってくれた若い巡査もいた。
けれども男の特徴や素行を挙げるたび、その反応は変わって言った。
若い巡査は視線を惑わして上司の顔色を窺うようになり、その上司は一度、小さく首を横に振った。
『関わるな』……はっきりとそう読み取れる具合に。
一週間が経つその日もまた、例の現場へ出向こうと支度を進めていた時だ。
不意に事務所のポストへ郵便が届けられた。
虫の知らせ、というのだろうか。嫌な汗が背中を伝い落ちる。
しかし、仮にも探偵事務所のポストだ。
また何かのセミナーや備品の広告が来たか、あるいは依頼の封書が入っているのかもしれない。
俺はそう自分を納得させ、震える手で郵便受けを開けた。
封筒が一通だけある。
裏返しても送り元はない。いよいよ震えながら封を切ると、一枚のDVDが頭を覗かせた。
プレイヤーに差込み、そのDVDを再生し始めてしばし。
俺は声にならない悲鳴を上げていた。
冒頭に映っていたのは、あの親父。そしてその遥か向こうの道を歩く、ストーカーの被害女性。
この光景を、俺はよく覚えている。
不審がるカップルにデジカメを渡し、無理矢理に撮影させていたものだ。
つまり……あの悪夢が始まる、十数分前の映像という事になる。
映像は一旦途切れ、別の場面に変わった。
今度は、吐瀉物塗れで地面に這い蹲る俺の姿が映されている。
奴はあの時、撮影していたんだ。ダウンした俺を見下ろしながら、あのデジカメで。
そしてまた場面が切り替わる。
この後となれば、笑香さんが男を追いかけていった以後の記録だ。
僅か数秒の暗転が、俺には永遠に思えた。
心臓が締め付けられるように痛み、息をすることさえ苦しかった。
映像が映し出される。
「あ……あああっ!?」
俺は知らないうちに悲鳴を上げていた。
映像には紛れもなく、懐かしの笑香さんが映っている。
ボロボロだった。
服は乱れた状態。靴は片方がなくなり、ストッキングで直に地面を踏んでいる。
あの一撃をすでに喰らってしまったらしく、右手で腹部を押さえたまま内股で立っている状態だ。
いや、立っているとも言えない。袋小路となった場所の配管に背中を預け、かろうじて直立を保っているだけだ。
左腕は完全に折れているらしく、ファージャケットに袖を通したままでぶらりと垂れ下がっていた。
口元から喉にかけては、吐瀉物に塗れている。
当然だ。非難しようがない。俺だって、吐きまくったんだんだから。
あの地獄の苦しみが記憶に甦る。そうか、あれを喰らったのか、笑香さんも……。
『はぁっ……はぁっ、はっ、は……はっ…………!!』
笑香さんは肩で息をしながら、必死に袋小路から逃れようとしているらしかった。
当然だ。破壊力のある相手に、回避できない場所など死んでもいやだ。
しかし、抜け出せない。
笑香さんは右にフェイントをかけて男の左をすり抜けようとするが、男が間一髪ショルダータックルで阻む。
そして壁に叩きつけられた笑香さんに向けて、拳での一撃を見舞った。
十分に切った腰の付け根に拳をつけ、それを打ち出すようなレバーブローだ。
『ぼぅはっ…………!!!』
反則的なその打撃力は、笑香さんを軽々と宙に舞わせる。
そして赤茶けたドラム缶に背中から衝突させ、ボロ雑巾のように地面を這わせる。
『…………あ゛っ』
まずは俺自身も経験のある、圧倒的なダメージを脳が処理し切れていない状態。
そしてその数秒後、身体中が激痛で燃やし尽くされる。
『ああ゛あ゛ーーっ! ああ゛っ、あ゛ぐぁっ…………があ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!』
笑香さんは、俺でさえ聞いた事のない低い呻きを上げはじめた。
這った状態のまま腹部を右手で抑え、咳き込むようにして地面に嘔吐を繰り返している。
顔中にびっしょりと脂汗を掻いている様は、異常としか言いようがない。
男はそんな笑香さんにゆっくりと近づき、髪を掴んで引きずり起こした。
そして逆の手で笑香さんの喉輪を掴み、壁に叩きつける。
『かはっ…………も、もうやめて………………もう、やめで…………!』
笑香さんは怯えきった瞳で男を見下ろし、懇願する。
衝撃だった。俺の中で笑香さんは、とても強い憧れの人だったから。
俺の今まで関わったなかで、笑香さんほど気が強い人はいなかった。
酒の席でさえ、イジるなんて事はとてもできないほど。
その人がこうなるまでに、一体どれだけあの重撃が打ち込まれたのだろう。
よく見れば、彼女は身体中が痣だらけだった。
受けや捌きに精通した笑香さんが、一切防御行動を取れなくなるほど、身体がガタガタなのだろう。
そんな哀れな俺の師匠を前に、男はいよいよ嬉しそうな笑みを浮かべる。
そして、カメラの向こう……俺に見せ付けるかのごとく、笑香さんのシャツを捲り上げた。
多分男の思惑通りなのだろう。
俺は思わず震え上がった。
笑香さんの鍛えられた腹部は今や、無数の隕石が墜落した平原を思わせる有様だった。
至るところが赤黒く変色し、体の線に沿わない酷い隆起がいくつも見られる。
俺だったらその半分もダメージを負わないうちに、もう殺してくれと哀願するに違いない。
ボクシング時代、フックを受けて腋腹の一部が赤く盛り上がっただけで、入浴も寝ることさえ出来なかったのだから。
その打撃を何十発も受けて、その結果が笑香さんの惨状なんだ。
それはもう、どれほど気が強くても折れて当たり前だ。
『いやぁ、面白いねぇ……。泣きを入れさせるのに随分手こずったけど、ようやく第一段階クリアだねぇ。
ここでもう、こんなに強い女が手に入るとは思わなかったよ。あのハイキックは、いやぁ効いたねぇ。
やっぱり狩りはいい。餌を良くする毎に、もっといい獲物が手に入る。
…………なぁ、キミもそう思うだろう?』
男はそう言って、カメラの方を振り向く。けれども、俺に向かっての言葉では恐らくない。
この映像の撮影者……この男のバックにいる何者かに向けての言葉だ。
あるいは警察が動かないのも、そうした勢力の影響なのか。
……いや、警察だけじゃない。俺もまた、どう動けばいいのか解らない。
呆然とした頭で、俺はただ映像を見続けるしかなかった。
笑香さんが絶望に満ちた瞳で、なおも腹部を殴りつけられる様を。
嘔吐するものさえなくなり、空嘔吐のまま口の端から涎を零すさまを。
視線がぐらりと斜め上を向き、光を失う様を。
男はなおも笑いながら、笑香さんの喉輪を外す。
そして力なく崩れ落ちた身体を肩に抱え上げ、路地の暗がりへと姿を消した。
画面にはただ、笑香さんの苦悶の残滓が映し出されるばかり。
そして数分後、また別の映像へと切り替わる。
黒髪を靡かせて街中を颯爽と歩く、笑香さんの姿。
公園で俺に稽古をつけながら、綺麗に笑う笑香さんの姿。
そして……この事務所を訪れる、ストーカー被害の依頼人の姿。
俺は、すべてを理解した。
終 とても良かった、GJ!
中年オヤジは一体何者・・・ 乙。面白かったよー
色々な設定が見え隠れする雰囲気がなかなか新鮮。
笑香さんもどうなるのか。あれこれと考えてしまうな 俺がよく女を変えてるからって、リア充爆発しろって言ってくる奴はイラッとする。 >>417
絶妙にぼかした感じがよかたです!くう〜たまらん >>409さん
遅い感想ですが、失礼いたします。
メインの腹パンチの前にまず受け手を男にし、腹パンチの魅力を引き出されていたのでまた一風変わった満足感がありました。
笑香さんへの腹パン描写や台詞は少ないのに、反応や台詞にとても説得力を感じます。
良介くんの焦燥が良いスパイスになっていますね!
あと、思わず読み返してしまいましたw
すごく良かったです、投稿お疲れ様でした。 女騎士「くっ、殺せ…」
オーク「いや、潰す」
女騎士「なっ…」
どすん!
女騎士「ぐぶぅぅっ!」 女騎士「く…ぉ…」
オーク「人間、実に弱い生き物」
女騎士(内臓が…暴れているようだ…それでも…)
女騎士「オーク…ち、力は認めよう…。だが、我々は弱くない!」
オーク「ほう…」
ぼすっ
女騎士「おぐぅっ!」
オーク「では、中身が飛び出すまで続けるとしよう」
女騎士(私は…負けない…) 言い忘れたけど続き特に無いです。
ただ、もし良ければ誰か書いてくれると嬉しい。 名前からして、55氏すら超える最高のリョナ作家誕生の予感 >>425さん
テンプレからも読み取れる通り、小ネタもOKだと思います。
陵辱モノでオークと女戦士って王道ですよね。
腹パンの擬音が自分好みでした。
腹パンチ変換してくださりありがとうございます! <<407
俺以外にもそういう風に考えてしまう奴がいたんだな。
答えなんか出ないもんかもしれんけど、本当に不思議だよな。
考えるとホント不思議だ、なんでだろうな? ミヤビとハマサンダーの会話、
オセロ中島と占い師の会話とそっくり過ぎる。 ハマサンダー「読者の意識を自在に誘導するメソッドを見つけてしまった。これはヤバイ!自分が怖い!」
ミヤビ「何年も小説書き続けてるうちに、文章の真理が解ってきた気がする。
これが…悟りか…」
流石の師弟 ハマサンダーって何者なの?
サイトに乗ってる作品も大したの無いし、出版社の編集の人がなんか?
まさか素人じゃないよね? 誰だよハマサンダーてw
好きな書き手がペース遅くてつらい >>437
何ら功績がない時点で、素人と考えた方が妥当。
説得力持たせる意味でも、何か結果残してるなら言わない訳がない。
じゃあ何を根拠にあれだけ上から目線で俺理論説いてんだって話になるが、中身のない奴ほど偉ぶりたがるしな。
そしてそのあからさまに胡散臭い俺理論を頭から信じてしまう辺りが、昔から一貫して回りの見えてないミヤビらしい所。 【速報】恭子の人もプロ気取りだった件。
あの程度の井の中の蛙な実力で、仕事依頼とか来るわけねーだろボケ そもそもお前ら何なん?お金を払ってでも読みたいレベルの腹責めSS読みたくて吠えてるの?
そういう輩は消えてくれ。ハードルが高くなって、拙くても書きたいっていう人までいなくなって、
結果だれも書かなくなる。そしたらまた荒れる。良い事なにもないだけだぞ。 >>443
前々から常々思っていたワケだが。
気持ちは分からんでもないが、わざわざそうやって反応するのは荒らしを活性化させる為のエサ撒いてるだけだぞ。
こんだけ魂胆見え見えの荒らしにわざわざ構う奴の方が少ない。
ついこの間も自演バレしたばっかだろ?
皆分かっててレスしないんだよ。
お前も同じ荒らしかもしれんが、一応こうして発言しとくわ。 ここが地球か。
太陽系よりも遠く離れた宇宙からやってきたファンケル星人、クレイは真上にある太陽を眩しそうに見上げた。
地球人と同じ姿なのは、あらかじめそのように体の細胞構成を変えたからである。
「太陽がこんなに近いとは。すごいですね、お嬢さま」
彼が振り向いた先には円盤型の物体が転がっている。それもかなりの大きさだ。
その出入り口らしき部分から、お嬢さまと呼ばれた人物が顔だけひょこっと覗かせてきた。
「なに感心してんのあんた! 今の状況分かってんの? わたしたち墜落したのよ! つ、い、ら、く!」
二人が搭乗していたこの飛行物体はところどころ煙が噴き出している。大きさはたいしたものだがあまり綺麗に手入れされておらず、元からガタがきていたとしか思えない。
「仕方ありませんよ。今時こんな円盤型のモデルを使っているなんてお嬢さまくらいのものです」
「誰のせいよ誰の! あんたが任務を成功させないからランクアップしないんでしょーが! 同期はもう遥か上に行ってるってのに……!」
「いやはや、現実は厳しいものですね」
「どの口が言ってんの! いいからさっさと指令された任務をクリアするわよ。まさかとは思うけど忘れてないでしょうね?」
「地球人を拉致すること、でしたよね?」
「そうよ。こんな辺境の星に住んでるヤツらなんてどうせたいしたことないからわたしが行ってもいいんだけど、あいにくこのポンコツを修理しなきゃいけないのよ。だからお願いね」
「はっ、承知いたしました」
反論すると彼女の頭からも怒りの煙が噴き出しかねないので、クレイは即座に背中を向けて駆け出した。小高い山の中は荒れ果てていたが、苦もなく駆け下りていく。
地球人を拉致する。それが二人に課せられた使命だった。
どちらかというとなんの名誉にもならない任務なのだが、母星での社会的地位が低空飛行を続けているクレイたちにとっては昇進するためのまたとない機会である。
ものの十数秒で人間が住んでいると思われる街を見下ろす地点まで下りてきた。目の前には整備された道路が横切っている。
「む、これは好都合」
クレイは人間ではあり得ない視覚や聴覚を駆使し、右方向の先から地球人が歩いてくるのを感知した。
ほぼ同時に、頭の中に主の声が響き渡る。ファンケル星人特有のテレパシーだ。
『ちょっと待ちなさいクレイ。あんたどうやって拉致るつもりなの?』
本来であれば飛行物体に標準搭載されている、対象物を強制転送させる装置を使うのだが今はそれを頼りにできない。
だがクレイはにやりと笑みをつくった。
「ご安心を。地球人については既に調べつくしております。田舎の星ゆえ十分な資料がなく時間がかかりましたが」
『あーっ! だーからあんた出発の日まで姿を見せなかったわけね! おかげでわたしがどんだけ雑務で苦労したと……!』
「申し訳ありませんが、そのお話はまた後ほど。雌型の人間を発見しました」
クレイの並外れた視力は、この星の単位でいうところの百メートルほど先にいる少女を捉えた。数少ない資料で得た知識の海を探ったところ、どうやら彼女は日本人。
肩より下まで伸びた真っ黒な髪や色白の肌、年齢は十代半ばだろう。一見地味っぽいが、この国で言えばカワイイとかいう部類に入るだろう。
詳しく載っていなかった部分ではあるが、ジョシコーセーなる人種であるらしい。上半身は白い衣類に赤いリボン、下半身は紺色で妙にヒラヒラしたものを履いている。
確かセーラー服とかいうファッションだったか。そこから伸びる両脚や露出している二の腕からして細身であることが窺えた。
『で、一人で勝手に調べてたあんたはどんな方法を思いついたのかしら?』
「私の視界とどうぞ同調なさってください。一部始終をご覧にいれましょう」
自信満々で答えたクレイは車道の端へと降り立ち、こちらの方へ歩いてくるジョシコーセーを待った。 すぐ目の前まで近づいてきたとき、クレイはいかにも困った風な表情を浮かべて声をかける。
「失礼、少しよろしいですか?」
「え、は、はい。どうぞ」
少女はまず警戒したようだったが、クレイと視線を合わせると若干頬を染めながら微笑んだ。
これも計算の内。『イケメン』なる顔や体格に変身しているクレイは小さくほくそ笑む。このジョシコーセーはおそらく男性に声をかけられるなんて経験はほとんどなかったろう。そんな雰囲気をしている。
絶好のタイミングを彼は見逃さない。
「御免!」
少女が咄嗟に反応できない速度でもって、クレイは右の拳を突き放った。
狙いはがら空きの腹部。セーラーなる衣服の中央。殴られるなんて微塵も感じていないであろう少女は、抵抗なくそれを受け入れることになった。
「う゛っ……!?」
常人では捉えることもできないボディブローは掬い上げるような軌道を描き、ジョシコーセーの腹へと突き埋まる。
柔な肉を打つ音と共に、ぐちゃっ、とあまりにも異様な異音が少女の体内から木霊した。
「ぅぐっ……、げぼっ……、ぉ゛……!」
両目がこれ以上ないほど見開かれ、口から熱い血液が迸った。その吐血量も尋常ではない。
道路にぶちまけられた赤を見たクレイは動揺を隠せなかった。
「うわ、しまった……!」
咄嗟に右腕を引くと、少女は糸が切れた人形のように力無く倒れこんだ。うつ伏せになった口元からはいまだにどろりとした血液が溢れ、円形に広がっていく。
『このバカ! バカタレ! なにしてんのあんた!? 殺してどーすんのよ!』
「い、いえ。スマートに気絶させるつもりが……」
しかし地球人というのは予想していたよりもずっと脆い肉体をしているようだ。
クレイ的には軽く小突いたつもりだったのだが、この少女の内臓器官はもちろん、心臓まで破裂させてしまったのだ。
『なーにがスマートよ。ていうかマジでどうすんの、殺したら宇宙問題になるでしょ!』
その通り。いくら辺境とはいえ他の惑星の住人を殺害することは宇宙法律において重罪だ。
「い、いえ、バレれなければ犯罪にはなりませんよ」
『ふざけないで、こういうのは隠し通せるものじゃないの! あーもうしょうがないわね、ほら!』
苛立ちの収まらない思念が一瞬止むと、直後にクレイの目の前――空中に錠剤のようなもの出現した。主人が何か転送してきたのである。
「お嬢さま、これは」
『蘇生薬。こういうときのために持っておいたのよ。その女の子に使いなさい』
「さすがはお嬢さま! 部下である私のためにサポートまで行うとは上司の鑑!」
『おちょくってんの!? いいから早く飲ませなさい!』
青いカプセルを掴み取りつつ少女を抱き起こす。なんて軽く、細い体。
肌がうっすらと白く変色し始めているジョシコーセーの口の中へと、強引に蘇生薬を押し込む。
するとどうだ、少女の血色が瞬く間に健康そのものとなり、肌のツヤまで取り戻し始めた。クレイの耳には心臓の小さな鼓動も聞こえている。
つい今しがたまで生命を停止させていた彼女は、やけに美形な男性に体を支えられているという状況に頬をそれこそ血みたいな色に変化させながら飛び起きた。
「ひあっ! あ、あの」
「ああ、大丈夫ですか? あなたは突然倒れてしまったのですよ。いや、今日は陽射しが強いですからね、はっはっは」
地面に付着している血液に気付かれないよう、クレイはできるだけ少女との間合いを狭くした。
「はわ、あ、ありがとう、ございます! わ、わわわ私、急いでますから!」
異性に慣れていないことは明白だった。彼女は鞄を拾い上げつつ、途中で転びそうになりながらもダッシュで車道を駆け下りていく。
これはこれで結果オーライか。
「危ない危ない。一時はどうなることかと」
『他人事みたいに言ってんじゃないわよ。もう少しであんた宇宙犯罪者になって賞金かけられるところだったんだからね。感謝しなさい』
「はっ、お嬢さまには頭が上がりません」
『まったく……ちゃんと力を抑えなさいよ。蘇生薬はもうないんだから』
怒りよりも、心底呆れているといった思念が飛んできた。さすがのクレイも己の不甲斐なさを生まれて初めてようやく自覚し、主人のために決意を新たにする。 「む、お嬢さま、向こうからまた人間の女がやってきます」
『クレイ、あんたの肉体組織を地球人レベルまで落としなさい。それならさすがに殺すことはないでしょ?』
「ごもっともですが、お嬢さま、私を信用なさっていませんね?」
『どの口が言ってんのよ! いいから言う通りにしなさい! 次失敗したら減給するからね!』
「ははっ、お任せあれ!」
己の胸を叩いて決意を示す。これ以上給料を減らされては死活問題なのだ。主人に隠れて飼っているペットを食わせていけなくなってしまう。
しばし目を閉じてイメージする。あらかじめ調査しておいた、地球人という生物の生態を思い出し、筋肉や身体能力を一般人の基準に調整していく。
なんとなく体が重くなっていく気がする――人間は常にこんな状態で生活しているのか。
調整を済ませた彼は目を開く。燃えたぎるような視線を近づいてくる女へと移した。
先ほどのジョシコーセーよりも年齢は少し上だろう。黒い長髪。白いブラウスに黒のタイトスカート、ストッキングにパンプス。オーエルとか呼ばれているんだったか。
あれはカワイイというのではなく、ビジンと言われる類だろう。目つきや歩き方からしてどこかキツそうな雰囲気をかもし出している。
背は特別高いわけではないが脚が長くスタイルがいい。胸はあまり目立っていないけれども。
その女性が持つ性格に合わせて、腰を低くしながら尋ねた。
「す、すみません。道をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「……どうぞ」
見た目通り尖った口調だが、透明感のある声だったため不快には感じられない。
しかしジョシコーセーのように純粋ではないらしく、若干身構えている。
クレイはあらかじめ用意していた質問内容を口にする。
「ここから一番近いガソリンスタンドはどこにありますか?」
「ええと、あっちに――」
女性が歩いてきた方角へと指差しながら視線を動かした瞬間、クレイは握り締めていた拳を打ち放った。
「御免!」
しかし。
クレイの視界にはなぜか薄く青い空が広がっていた。次いで背中に激痛と衝撃。
「いっ! ……は?」
『ちょっとクレイ! 大丈夫!?』
ワケが分からずにクレイは呆然となった。主人に返答できないほど。自分は今背中を地面に密着させている……倒された?
「女にいきなり殴りかかるなんて、最低ね」
女性の鋭い眼光が見下ろしてくる。
彼女の鳩尾に打ち込まれるはずだった拳は、その手首を小さな手で力強く掴み取られていた。クレイの脳内データベースが高速でページをめくる。
――セオイナゲ。攻撃を逆に利用されてしまったのだ。
なんという反応。今はこちらも人間レベルにまで身体能力を落としているとはいえ、一応は一般男性の基準値だ。
それなのにこの女は。
「何者……!」
「それはこっちのセリフよ。これが見えない?」
彼女はクレイの手首を離さないまま、片方の手で胸ポケットから手帳を取り出した。真っ黒な生地の前面になにやら文字が書かれている。
ぎくり、とクレイの鼓動が跳ねた。
「なっ、まさかケーサツカンか!」
なんということだ、この地球における守護者の名称ではないか。不運にも程がある。ばったり出会った人物がよりにもよって。
なるほどオーエルに変装していたというわけか。侮りがたし。
「むむ……!」
クレイはなんとか手を振りほどきつつ、痛みによろめきながらも立ち上がった。
「あら、あれだけ思いっきり背中を打ちつけてたのに。体だけは丈夫なのね」
「いえそれほどでも。いやはや、人違いでした。すみません」
「見苦しすぎるでしょその言い訳。一体誰と間違えれば人のお腹殴るのよ」
確かに。クレイは苦い顔を浮かべて新しい言い訳を探した。
「あとさ、それ、血だよね」
「は? あっー! しまった!」
迂闊すぎた。先ほどのジョシコーセーの吐血をまだ処理していなかったのだ。
傍目から見れば何かしらここで殺傷があったのだと気付くだろう。なにしろこの女はケーサツカン。
「あなた何か知ってるわね。詳しく聞きましょうか」
そういうわけにはいかない。ここで捕まってしまっては減給どころの話ではないだろう。クレイは咄嗟に両拳を構えた。 ふっ、と女が微笑む。
「やる気? さっきあっさり投げられたくせに。もっと痛い目みないとダメかな」
彼女は慣れたようなファイティングポーズを取った。格下の相手だと確信しているのか、馬鹿にしたような笑みで見返してくる。
『大丈夫なの? その女、ヤバイ存在なんでしょ』
「ええ、しかしケーサツカンに目をつけられた以上逃げるのは困難なのです! なんとか撃退しなくては……!」
「誰と話してるのよ。それに撃退されるはあなたの方!」
女は表情を真剣な色に変えると、即座に殴りかかってくる。今や一般人の反射神経にレベルを落としこんでいるクレイには、そのパンチがあまりにも速く見えた。
「ひいっ!」
情けない悲鳴をあげつつギリギリのところで避ける。運が良かった。ここぞとばかり彼は――脱兎のごとく逃げ出した。
「あっ、こら待ちなさい!」
当然地球の守護者は追いかけてくる。
『結局逃げるんじゃないの! こっちに連れてこないでよ!』
「違います! 今、別のデータを探しているところで! 一度テレパシー切りますよ!」
一般男性の能力では太刀打ちできないと判断し、クレイは脳内地球人データーベースに検索をかける。ケーサツカンに対抗できそうなものはないか。
再び山の中へと入り込んだが、女の追跡は全く衰えない。あいにくとケーサツカンのデータは不足していてそれを肉体に宿すことはできない。どうする。
「いでっ!」
検索しながらの逃走はやはり無理があったか。クレイはわずかな土の盛り上がりに足を引っ掛け、無様に転倒してしまった。
すぐ背後で足音が停止。
「はあ、はあ……ほら、起きなさい」
腕を引っ張りあげられる。されるがまま、クレイはよろめきながら立ち上がった――瞬間、即座に体ごと女へと振り向く。
ズン、と重い音が木々の間を駆け抜けた。
「……ぁっ」
女は何が起きたのかすぐに理解できなかっただろう。目の前の男が突如として機敏な動きで反応したかと思うと、自分の体を鈍い衝撃が貫いたのだ。
くの字に折れ曲がっている女。彼女の腹部を、クレイは拳で容赦なく突き上げていた。
「かっ……はっ……!?」
次第に開かれていく両目と薄い唇。勝てると分かっていて油断していたのか、それともクレイのボディアッパーの威力が予想を遥かに超えていたせいか。
とにかく、この一撃は女の戦意を半分以上奪っていた。
「よし!」
勝利を確信したクレイは拳を引き抜いた。げほっ、と大きく咳き込んだ女は腹を抱えてよろよろと後ずさる。
なんとかデータのインストールが間に合った。この地球における様々な戦闘属性の要素を検索し続けたところ、『ボクサー』というものに辿りついたのだ。
このボクサーなるもののパンチ力は一般人を遥かに凌駕しているが、それでも地球人レベルの許容範囲内である。たとえ本気の一撃でも殺害してしまうことはないと見た。
これはある意味で一石二鳥だ。元の力では人間をあっさり殺してしまったが、これならきっとこの女が気絶、そして拉致できる――
「けほっ、い、一発、入ったくらい、ぇほっ……!」
「なっ、なんだと……」
息を呑む。ボクサーパンチをボディに受けて、ケーサツカンの女は倒れていなかった。
腹部を押さえ、内股の両脚が小刻みに震えているものの、敵意に満ちた眼差しが死んでいない。さすが地球の守護者。
「むむ、仕方がない!」
それならば気を失うまでやるしかない。実際のところ女は反撃する体力さえ失っているだろうから、たたみかけるなら今だ。
再び戦闘体勢に入ろうとした女の右腕を掴み上げ、体前面をがら空きにさせる。
さっきの一撃は威力を抑えすぎたのだ。失神させるなら、もっと強く――クレイは右のボディブローを打ち込んだ。
「ぇうっ……!」
白いブラウスの中心に拳が着弾する。しかし腹筋を固めていたのか、思いのほか沈み込まなかった。
すでに致命的な一撃を貰っているはずなのに、まだ抵抗する力があるとは。
「ぬうう、ならば!」
クレイは狙いを変更し、彼女の左脇腹へと拳をフック気味に叩き込む。
「げおぉっ!?」
想定外の痛みだったらしく、変な声が漏れた。
女の体が前ではなく横へとくの字に曲がり、クレイの拳には肝臓を抉る感触が伝わる。
「げっ、ぇほっ……がっ……!」
だが女の足は震えながらもまだその体を支える力を失っていない。しぶとすぎる。
なかなか思い通りに事が進まず、苛立ちが募っていく。 「ええい、一体どこを殴れば気絶するんだ! ここか!」
次に狙ったのは臍がある位置のやや下、子宮と呼ばれる器官。振り下ろすような拳を突きこむ。
「ああうぅぅうぅ!」
びくん、と女が喉を晒しながら仰け反る。痛みとはまた違う色の呻きと反応だ。
奥で何かがぴくぴく動いている。気を失わせるどころか何かしら刺激を与えてしまったらしい。
「ち、違った。こっちか!」
続いて鳩尾。焦りを感じ始めたクレイの拳が、胸の下、くぼんだ急所へと抉りこまれる。
「ぐぷっ……! ぉ゛あ゛っ、ぁあ゛……!」
より深く女の引き締まった肢体が折れ曲がった。紫に変色した唇から唾液が散り、次いで小さな舌が突き出される。
腹肉の内側で、柔らかい物体を歪ませる感触が返ってきた。胃袋か。
きっとこれだ。もっと強い打撃を与えてやれば今度こそ気絶する。
はっ、とクレイは気付く。引き抜いた拳が震えていた。もしかしたら恐怖を感じ始めているのかもしれない。ケーサツカンという恐るべき存在に。
「うおおおおおおおおおおお!」
その弱気な感情を吹き飛ばすように叫びながら、最大限の力を込めて再度鳩尾を突き上げる。
「ごっ……!?」
度重なる打撃で柔らかくなってしまった女の腹筋が、ぼぐっ、と陥没した。
固く握り締められた拳がブラウスを巻き込み、腹肉と腹膜を突き抜け、内臓器官の中へと沈み込む。
「ぁ゛はっ……! げぼっ……!」
またしても胃袋を抉られた女の口から粘ついた液体が漏れ出す。
飛び出した舌をつたって地面へとぱたぱたと垂れ落ちていくそれは、少し黄色がかっていた。
もう両脚から力が抜けているが、クレイが拳で支えているため崩れ落ちない。
目の焦点が合わなくなってきた女はしかし、まだ意識がある。どういうことだ、得た知識に間違いはないはず。
「ぬううう! まだまだああああ!」
女を抱きかかえるようにしながら、拳を強引に腹の奥へと突き進めた。
陥没した腹筋に抵抗力はほとんどなく、まるで受け入れるかのようにクレイの拳を飲み込んでいく。
「ぐぅぶっ……! ぇぼっ、げぉおぁぁっ……!」
あの透明感のある声は、今や苦痛で濁りきっていた。母星でも聞いたことのないような醜い呻き声と、粘液が溢れ続けている。
やがて柔らかな胃袋は体内の奥深く、背骨にまで達した。
「これでどうだああああああああ!」
拳と背骨に挟まれて苦しげに蠢くその小さな胃を、クレイは腕全体でひねり上げた。途端に様々な音が彼の鼓膜を叩いていく。
ブラウスのボタンが弾け飛ぶ。肌と肉がこすれ、ねじれる。
肋骨が軋む。肝臓が巻き込まれる。潰された胃袋がさらによじれる。
「むぐっ……! んっ! ぉぶっ……! 〜〜〜〜〜〜!」
瀕死の小動物みたいな呻き声。見開かれる両目。大きく脈動する喉元から、ごぽっ、とくぐぐもった水音。
女の青ざめた表情が一瞬だけ停止して。
「ぉえええぇえぇぇぇぇぇ! ぇ゛ふっ、げえ゛っ……!」
突然、ぐっちゃりした白っぽいものを彼女が嘔吐し始めた。
「ひいっ!? な、なんだこれは!」
小さく悲鳴をあげたクレイは、大きく動揺して思わず拳を引き抜いた。
支えを失った女はヘコんだブラウスの中心をかばうように抱えて、どさりと両膝をつく。
「ぐふっ、うぇほっ、ぐえ、え゛え゛ぇぇぇぇぇ……!」
うずくまった後も嘔吐は続いた。胃に入っていたものが飛び出したのだろうか、びちゃびちゃと土に吐瀉物が広がり、異臭が漂い始める。
断続的に痙攣している女を見下ろしながら、クレイは青ざめた。食べ物がこんなに溶けてしまうなんて、もしや地球人の胃袋はなんでも消化してしまうのか?
ならば今吐き出しているのは―― 「さ、酸だ……! 酸だあああああああ!」
女に背中を向けて、脇目も振らずに走り出す。逃げ出したと言った方が的確だ。足をもつれさせながらも木々の間を駆け抜けていく。
無意識のうちに地球人のデータを消去して、元の自分の身体能力へと戻していたようだ。数秒のうちに彼は主人が待つ艦の墜落地点へと辿りついた。
「あっ、クレイ! テレパシーを受信拒否するなんてどういうつもり――」
「お、おじょ、お嬢さま! 修理は終わっているのですか!?」
「はあ? ああ、まあね。あんたがもたもたしている間にちゃちゃっと」
「でしたら一刻も早くこの星から脱出しましょう! ここは危険です! 地球人は危険すぎます!」
主人の腕を掴んで飛行物体に乗り込む。制止の言葉を聞いている暇さえ惜しい。各システムのチェックをすっ飛ばして、クレイは艦を発進させた。
離陸した直後、猛スピードで空の彼方へと飛び上がっていく。
「任務はどーすんの! 手ぶらで帰ったら今度こそわたしたち最低ランクに落とされるわよ!」
「そんなこと言っている場合では――あ、そ、そうか。そうだったのか……!」
わなわなとクレイの唇が震える。思えば地球とかいうド田舎の惑星の住人をなぜ拉致しなければならないのか、彼にはずっと疑問だった。
分かった。これはファンケル星政府の陰謀なのだ!
「上層部はおそらく、私たちを事故に見せかけて抹殺するつもりなのです! でなければこんな危険極まりない生物が住む星に送りつけませんよ!」
「あんたね……映画の見すぎよ、それかマンガの読みすぎ!」
呆れかえっている主人の言葉に、クレイの耳がぴくりと反応する。
「お、お嬢さま、マンガをご存知で?」
「あんなに面白いもの、わたしが知らないとでも? でもアレはフィクションなのよ。空想。作り話。だから陰謀とかいうのも考えすぎ。つーかあんたどこで読んだの」
「いえ、この地球もそのマンガなるものが有名なので、敵を知るために」
「あらそうなの? こんなところにもマンガって存在するのね。さすがマンガは伊達じゃない――ちょっとあんた、まさか、ここ調査するときに」
「ええ、地球に関する書物が皆無といってよかったので、マンガなるものを取り寄せて……」
ごくり、とクレイは唾を飲み込んで一呼吸置いた。窓の外では宇宙空間の星々が次々と横へ流れていく。
見る見るうちに主人の表情が、目をそらしたくなるほど険しく変化していった。
「お嬢さま、腹を殴ると気絶するというのは……」
「この……! フィクションに決まってるでしょバカタレー!」
主人の怒声が響き渡り、艦の外壁から黒い煙が噴き出した。
終わり 良かった、腹を殴られて気絶したケーサツカンはいなかったんだ(笑
GJ 責めも良いし設定もおもしろいね
なんか新鮮だGJでした こういうのずっと読みたかった。
めっちゃ面白かったよ。
GJです! 55氏の総集編が出ると聞いて来てみたら誰も話題にしてなかったでござる 期待してるよ
あの人のことだからまんま再録はしないと思うし >>446さん
宇宙人側の視点で描かれていたのが面白かったです。
最初のジョシコーセーへの腹パンが、想像以上におなかが弱いという描写で好き……
心臓にまで影響を及ぼすという、大胆な表現はすごいですね。
独特な作風で、楽しめました。投稿、お疲れ様でした! 腹パンはリョナのジャンルではメジャーだよな
たぶん リョナの中ではライトな方だから見たら吐くレベルで無理って奴が少ないだけ メジャーとかマイナーとか、どっちでもいいよ
どうせこの性癖から離れられないんだし 聖夜にサンタさんが女の子のおなかに酷いことするSSはよ >>467
ブラックサンタがミニスカサンタをぶちのめす漫画どっかで読んだな りょなけっと第一弾サークル発表きたね
腹パン界の大御所は出揃った感じか さっき見たけど腹責めでイベント出てる人もわりと参加してるね
ミスト氏とヤンデレ氏は不参加なのかな ヤン氏は主催だから本作るひまないんだろ
ミスト氏は不明
シャー氏は新刊っぽいけど、55氏も総集編だから新しい小説やイラストは無いだろうな 自治するのはいいけど話題振るなりしないとスレが落ちるだけだぞ
腹責め、イベントもだけど渋とかにも増えてきたね 仕上げ人、それは報酬と引き換えに人殺しを請け負う、ひらたくいえば殺し屋である。
ときに仕掛人、あるいは仕事人とも呼ばれる彼らはだがしかし、依頼を受けて殺す相手は生きていては世の中のためにならない悪党だけと決めている。
そんな仕上げ人のひとり、若いが腕利きの仕上げ人として“その筋”では名の通っている冴の家を茅野の亀右衛門が訪れたのは、よく晴れた昼下がりのことであった。
「婆さんとわしの手作りだ、どうぞ口にしてやっておくんなせい」
そう言って背中から下した野菜籠を縁側に置く亀右衛門はどこからどう見ても気のいい百姓爺そのものという風体だが、数年前までは目黒から渋谷、麻布にかけてを縄張りにしていた香具師の元締めであった。
冴も幾度か亀右衛門の依頼で“仕上げ”をしている。
その亀右衛門もいまでは縄張りを子分にゆずりわたし、目黒の碑文谷に引っ込んで古女房と二人して百姓仕事を楽しんでいる、と、冴は聞いていた。
「ところでお涼さんは?」
「涼なら出ていきましたよ」
居間にあがった亀右衛門に茶をすすめながら、相棒が出ていったにしては明るい笑顔で冴はいう。
実は仕上げ人仲間の榊新三郎という浪人が涼の生き別れの父親だったという事実が発覚し、すったもんだのあげく和解した二人は浅草の外れに居を構え、親子水入らずで暮らすことになったのである。
「そりゃあよござんした」
冴の話を聞いて、亀右衛門も笑顔になった。
「こんな稼業、足を洗うことができるならそれにこしたことはございません」
空になった自分の湯呑をちゃぶ台に置き、冴は表情を引き締めた。
「それで亀右衛門さん、今日ウチに来た用向きは…」
亀右衛門の目に、鋭い光が宿った。
「本来なら隠居した爺が出る幕じゃねえんですが、義理があってどうしても断りきれないので、恥をしのんで頼みにやってまいりました」
「仕上げですか?」
亀右衛門は無言で頷き、ふところから取り出した包みを差し出した。
「半金の二十両でございます」
前金で二十両ということは仕上げが終わればもう二十両、しめて四十両が冴のふところに入ってくることになる。
「それで相手は?」
「鬼川部屋の鬼王山」
冴の目が、わずかに動いた。
「あの、大関の?」
「左様で」
鬼王山はその無類の強さで平幕から大関までの昇進最短記録を作りながらも、素行の悪さから横綱になれなかった男であり、悪い噂には事欠かない。
さらに言うなら、過去の仕上げの経験から依頼人と仕上げ人の間を取り持つ仲介人としての亀右衛門は、十二分に信頼のおける男であると、冴は思っている。
鬼王山が生かしておいては世の中のためにならない悪党というのは、まず間違いのないところであろう。
「お引き受けしましょう」
冴は包みを手に取った。
「フン、少しはできるようだが所詮は女子供だな」
「グ…うぅ……」
無意味に大きく胸を張り、両腕を組んで仁王立ちする鬼王山。
その足元には傷だらけの冴が倒れ伏している。
腕っぷしの強さではその辺の荒くれ者などものともしない冴だったが、さすが大関は格が違った。
「それにしても色っぽい恰好してやがる」
冴を取り囲み、好色な笑みを浮かべる鬼王山配下の褌担ぎたち。
冴の仕上げ人コスチュームはいちおう和服には見えるものの、過剰なまでに肌を露出させたシロモノであった。
その細見だが要所要所はむちむちぷりんな肢体をじっくりと眺め、鬼王山は舌なめずりをする。
「いっちょう“かわいがって”やるか」 ズンッ!
稽古場に引き出され、褌担ぎに羽交い絞めにされた冴の前で、鬼王山が四股を踏んでいる。
「ふしゅるるる〜〜…」
不気味な音を立てて呼吸を整えつつ、ゆっくりと右腕を持ち上げる鬼王山。
肩口まで上がった腕が後方に引かれると同時に弓を弾くように半身を捻る。
「いくぜ」
鬼瓦を硫酸に浸してオーブンで焼いたような異相がニタリと笑った。
「せいやぁ!」
ズバァンッッ!
強烈な掌底が、冴のせくしぃに括れた腹部のど真ん中に打ち込まれた。
「が…は……」
冴の身体が「く」の字に折れ曲がった。
呼吸が止まり、口の中に酸っぱいモノがこみ上げる。
「もういっちょう!」
バスンッ!
「げぼぉっ!」
「もういっちょう!」
ボフッ!
「え゛ろぉあぁああ゛……」
目と鼻と口からあらゆる種類の体液をボタボタと垂れ流しながら、美しい顔を苦痛に歪めて喘ぎ悶える冴。
だが大関は容赦しない。
「そりゃ!そりゃ!そぉりゃあぁ!」
「グフッ!ゴハッ!ゲボォッッ!」
異常に発達した筋肉に包まれた両の腕が気色悪いほどに滑らかな動きで回転し、重く無慈悲な掌底の連打が少女の腹を正確なリズムで破壊していく。
鬼王山の突っ張りを受け止める度、冴は黒髪を振り乱してのたうち、着物の前を大きく盛り上げる二つの豊かな膨らみがブルンバルンと踊り跳ねた。
「これで−」
ひときわ力を込めた突っ張りから、異常に太い指を冴の腹に食い込ませる。
「どぉうだぁあ!」
そして腹筋ごと鷲掴みにした臓腑をぐりゅん!と捻った。
「ヒギィィィィ――――――――――ッッ!?!」
自身の口から迸った豚のような悲鳴をどこか遠くに聞きながら、冴の意識はまったき暗闇の世界を転げ落ちていった。
ttp://rara.jp/image_view/e7595dd67c5fd6c8611967f56d0e117e/2572128
元ネタ
冴:仕上げに殺陣あり(原作・中山文十郎 漫画・今ノ夜きよし)
茅野の亀右衛門:梅安針供養(池波正太郎)
鬼王山と鬼川部屋のみなさん:バイオレンスジャック(永井豪) >>480さん
新年トップバッター、お疲れ様です!
世界観が手短に分かり、腹責めの激しさも伝わってきますね!
仕上げの「ぐりゅん!と捻った」、すごく良いです。
元ネタへの誘導もありがとうございました。 マイクパフォーマンス中のお姉さんにドボンして、イベント会場中に苦悶の声を響かせる 481をハメようとして失敗したのか。こんな荒らしも常駐してるって知っておいた方がいいな オイオイ俺の能力を其の程度だとたかばって居るのか?
屠るぞ ごめんなさい言い過ぎました許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください
許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください
許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください ありがとうございます優しい。
本当にすみませんでした かなり前にnnSさんがランサーさん作品のイラスト描いてたけど
いまだに家宝だ
また描いてくれないかな あいつは色白で華奢な女子高生が
胃液を吐いて気絶してもどぽんどぽんビクンビクンしてるようなSSにしか食いつかないよ
もっともそういうのが新しく上がれば釣れるかもな しかし55氏はまたとんでもない絵師をつれてきたな
あの絵師との人脈はどこから来るのか・・・ 人脈というか、金の力だね。
これぞと思う絵師にメールで頼み込んで仕事依頼してるって前に言ってた。 そろそろまたホモ内ゴミヤビでも追い込もうかな。
まあ獲物は誰でも良いんだが。 ハラパの功罪だな
このスレで発表する意味が薄れてるし
嫉妬バカが常駐してるから作家さんも投下もしたくないだろ
曲解されないように捕捉すると功は認めてるからな いや単純に規制がひどくて金払ってでも愚痴りたい奴しか残らなくなっただけだろう んなわけねーだろ
嫉妬厨とそれに構うバカのせいで書き手が離れたんだよ
Water boarding……それは世界中で最も重宝されている拷問の一つだ。
いわゆる水責めの一種だが、頭を逆向けにしたまま水を飲ませるため効果が高い。
人間の脳は、頭を下にして水を飲んだ場合、即座に溺死の危険を察知するようにできている。
反射的なパニック状態からの自白率は極めて高い。
そのため各国特殊部隊では、こぞってWater boardingの訓練を行っている。
某国においては特殊部隊のみならず、軍属の者すべてがこの特訓への参加を義務付けられているほどだ。
この風潮にほくそ笑むのがバドという男だった。
階級は中尉ながら、態度だけは将官クラスと揶揄される男。
彼は敵地にてWater boardingの尋問を受け、それに耐え抜いたという逸話がある。
実際には、今まさに尋問を受けようとしていたところを救出されただけなのだが、真実は彼のみぞ知るところだ。
このように虚偽と欺瞞で自身を塗り固めたバドには、眼の敵にしている同僚がいた。
レスリー・リセント。
バドと同じ中尉でありながら、こちらは物が違う。
レスリーには華があった。
やや垂れ目気味ではあるが眼光は鋭く、意思の強さが顔つきに表れている。
顎までの長さで切り揃えられた金髪は陽によく煌めく。
首から上は映画女優と言っても違和感がない。
しかし、鎖骨から下に視線をやれば、その煌びやかなイメージは一変する。
現役軍人さえ目を見張る、鍛え抜かれた肉体がそこにある。
弛みのないボディラインが美しい。
特に腹筋の発達は顕著であり、酒宴の後でさえしっかりと8ブロックに分かれているほどだ。
自分を甘やかさず、面倒見もいい彼女は部下からの人望も厚い。
バドもまたレスリーに惚れた一人だ。
『貴様はマシな女だ。特別に今のうちから、私の傍に置いてやろう』
この調子で高圧的に交際を申し入れ、あえなく一蹴された経緯がある。
それはバドのプライドを傷つけた。
以来バドは、いつでもレスリーへの報復を画策し続けている。
とはいえ真正面から争って敵う要素はバドにはなく、歯軋りする日々を過ごしていた。
その折に飛び込んできたWater boarding訓練は、彼にとってまさに天からの恵みだ。
彼はここぞとばかりに上層部に訴えかけ、自らの逸話を元に訓練教官の座を勝ち取った。
教官の肩書きがある限り、訓練中に限ってはバドが部隊の最高権力者となる。
レスリーとて一時的に指揮下へ入らざるを得ない。
たとえ、どのような仕打ちを受ける破目になろうとも……。
Water boardingの特訓に大掛かりな仕掛けは必要ない。
対象者は傾いた台へ頭を下にして寝かされ、身体の各所を拘束される。
その際両手は体前部のどこかに置き、薄い円状のプレートを握る。それだけだ。
水責めに耐え切れなくなった被験者は、ギブアップの印としてプレートを落とす事になっている。
プレートを離せば溺死の恐怖から開放される訳だ。
鍛えに鍛えられた特殊部隊の男といえど、この『溺死の恐怖』を平然と乗り切る者など居はしない。
顔に布が被せられ、水が注がれはじめてからプレートが落ちるまでの平均タイムは僅かに4秒足らず。
しかしこれを不甲斐ないと思うべきではない。
貼りついた布が顔から引き剥がされた時、被験者の顔は一様に恐怖に引き攣っているものだ。
目と口を裂けんばかりに開いたその表情は、Water boardingという拷問の恐ろしさを見る者に焼き付ける。
レスリーはこの拷問を、数十人分に渡って見せ付けられた。
彼女の順番は最後の最後。
名目上は上官であるゆえだが、その実は残り時間を気にせず嬲り者とするためだ。
「…………っ」
膝の上へ乗せられたレスリーの手に、刻一刻と力が篭もる。
いかに気丈な女軍人といえど、圧し掛かる恐怖が尋常ではないのだろう。
単に水責めへの恐怖だけではない。
大勢の部下が見守る前だ、無様など晒せない。ギブアップ制度など無いに等しいと思うべきだ。
「……さてレスリー、私が誰か解るかな?」
台に横たわったレスリーを見下ろしながら、バドは下卑た笑みを見せる。
レスリーは嫌悪の表情を作った。
「ええ、教官殿。盗撮とボディ・タッチが御趣味だそうね」
レスリーの言葉で、どこからか笑いが漏れた。
バドは顔を見る間に赤らめ、目を剥いて周囲を威圧しながら続ける。
「ふん、いいだろう。ともかく、とうとう貴様の番だ。
散々見て知っているだろうが、ギブアップなら宣言の代わりにプレートを投げろ。
もっとも、それを投げる行為が『仮想敵への屈服』を意味する事は忘れんようにな。
上官たる貴様が、もしもそのような不甲斐ない姿を晒した場合……教育的指導をせねばならん」
バドの顔に再び歪んだ笑みが浮かぶ。
言動共にいやらしい男だ。
「言われなくても、理解してるわ」
レスリーの眉間に皺が寄る。
バドは満足げに頷きながら、周囲の男達にレスリーを台へ拘束するよう命じた。
男達はバドお抱えの隊員だ。
バドも下衆として知られる男とはいえ、それはそれで同じ人種からの人気がある。
特にあのレスリー・リセントを嬲れるとあれば、その気のある者は嬉々として馳せ参じる。
太い拘束帯がレスリーの鳩尾へと巻きつけられた。
これにより、レスリーの女らしい胸が否応なく強調される。
支給のタンクトップは深く皺を作り、肩口からインナーが覗く。
すべて白一色の無味乾燥なものではあるが、女気のない特殊部隊においては充分すぎる興奮材料だ。
「へへへ……中尉殿の胸に、こんだけのボリュームがあったとは驚きだ」
「ああ、いやらしく上向きに突き出してやがる。もっと早くから拝んどくべきだったぜ」
「仕方ねえだろう。真面目な中尉殿の胸なんぞ覗けば、どんなお叱りを受けるか解ったもんじゃねえからな」
男達はレスリーを前に辱めの言葉を口にする。
「お前達、誰の事を言ってるつもり? 随分と良い根性してるじゃない」
レスリーから貫くような視線を向けられてもなお、臆する素振りはない。
まるでこの特訓の後も、レスリーに叱責される恐れはないと確信しているかのごとく。
男達はさらにレスリーの腰周り、そして腿の付け根を手際よく固定していく。
身動きを封じるよう厳重に拘束する中、腹部にだけは拘束帯を巻かないのは、特別な意図あってのことだろう。
訓練を監視すべき軍医がひとつ欠伸をする。
本来ならば拘束段階から神経を張り詰めておくべきところだが、彼もすでに買収済みという事らしい。
初めからレスリーに勝ち目などない勝負、しかし退けない。
レスリーを慕う部下達が、遠巻きにこちらを見ているのだ。
彼らの前で無様を晒すわけにはいかない。バド相手に降伏の意思を示すことさえ恥だ。
レスリーは、今まさに手の上へ乗せられたプレートを強く掴んだ。決して離すことのないように。
「さあ、しばし空気とお別れだ」
男が下卑た笑みを浮かべつつ、レスリーの顔へと赤い布を被せた。
すかさず別の一人がその端を押さえつければ、布地は隙間なくレスリーの顔面を覆う。
今は布が乾いているため、布越しの呼吸もかろうじて可能だ。
しかしそれが一度水を含んだが最後、たちまち未曾有の地獄が襲い来ることとなる。
バドが舐めるような足取りでレスリーに近づいた。
「どうだレスリー、まさか怖いのか? そう硬くなるな、私でさえこの尋問を耐え抜いたのだ。
その私をあろうことか軟弱などと罵った貴様なら、何の問題もなかろう」
陰湿にそう囁きかけ、レスリーが布越しに唇を噛みしめると、傍らの男へと合図を送る。
「やれ」
男はすかさず水を垂らした。
まずはタンクトップの胸の部分……フェイントを兼ねた性的な嫌がらせだ。
「!!」
レスリーの身体がびくりと反応し、バド達の笑いを誘う。
タンクトップは水に触れた分だけ透け、余った水は一筋の流れとなってレスリーの首を伝う。
「へ、興奮するぜ」
ペットボトルを握る男は喉を鳴らしながら、再度レスリーの上でボトルを傾けた。
今度は頭の上でだ。
銀色に光る流れが、顔を覆う布の表面で弾けていく。
一秒。二秒。三秒。
恐ろしく長く思える時間の中、刻々と男達の限界タイムが近づく。
当然、レスリーも苦しみを隠せない。
下腕が持ち上がって拘束帯を軋ませ、布の張り付いた顎が喘ぐように尖りを見せる。
「止めろ」
五秒経過時、バドの号令で給水が途切れた。
そして素早く顔の布を取り去れば、そこにはかろうじて溺死を免れた、生々しい女の顔がある。
「ぷはっ……!! はぁ、はっ……は、あ゛っ…………!!」
目を見開き、奥歯さえ見えるほどに口を開いて短く空気を求めるレスリー。
しかしその鬼気迫る表情にも、やはり凛々しさが残っている。少なくとも今までの男とは別物だ。
「死地から舞い戻った気分はどうだ?」
「…………そのニヤケ面を見るぐらいなら、布があった方がマシね」
見下ろすバドの問いに、レスリーは憎々しげな表情で告げた。
元より負けん気の強い性格が、バドを前にしてさらに頑なになっているようだ。
しかしその気丈さがまた、バド達の嗜虐心をくすぐる。
「ほう、そうか。ならば続けよう。水は、まだいくらでもある」
バドは満面の笑みを浮かべたまま、再び布でレスリーの視界を奪った。
数分が経ってもなお、レスリーは良い見世物となっていた。
引き締まった健康的な身体をしているだけに、苦悶する様子も見応えのあるものだ。
中でも目を惹くのがやはり腹部だった。
日々100回×6セットの腹筋を自らに義務付けているというだけあり、均等に8つに割れた腹筋。
それが捲れたタンクトップの裾から覗いている。
ちょうど拘束帯の隙間にある白い肌は、下手に露出が多い格好よりもよほど性的に映った。
おまけにその腹筋は、溺死の苦しさを表すように、激しく上下に形を変えるのだ。
「この腹、やっぱ堪らねぇな」
男の一人がついに我慢の限界を迎えたらしい。
レスリーの腹部に手を近づけ、臍周りを軽く押し込む。
直後、レスリーの腹部が激しく震えた。唐突に触れられた驚きか、あるいは苦悶の動きの延長だったのか。
いずれにせよ、その反応がバド達を刺激してしまう。
「ふふふ、良い反応をするな。……そうだ、名案を思いついたぞ。
よく鍛えているこの女には、ただの水責めなどでは手ぬるかろう」
バドは芝居がかった口調で呟きながら、レスリーの腹の上で拳を握りこむ。
彼の目はちらりと軍医を見やったが、軍医が表情を変えることはない。
ただ新調した金縁眼鏡を拭いているだけだ。
なんと残酷な事だろう。
バドが腕を振り上げる瞬間と、レスリーの顔から布が取り去られる瞬間はまったく同じだった。
幾度目かの溺死から開放されたレスリーは、激しく咳き込みながら視界にバドを捉える事だろう。
今まさに振り上げた太い腕を、自らの腹部へと振り下ろすバドを……。
「ぐぅうええ゛お゛!!」
状況把握もできぬまま、レスリーから苦悶の声が搾り出される。
一方のバドは恍惚の表情を禁じえなかった。
充分な弾力のある、ゴムタイヤのような腹筋が己の拳を受け止めている。
拳が弾かれる感触は異常な心地よさだ。
おまけに眼下では、憎きレスリーが苦しみ悶えている。
右目を細めて左目を見開き、大口を開けた、『当惑』そのものの表情で。
それはバドの歪んだ心をよく満たした。
自分よりも有能で、人望があり、強い女を苦しめる……その望みが叶っているのだと実感できる。
堪らない。
バドは再度拳を握り締めながら、周りの男達に合図を送った。
混乱の渦中にあるレスリーの瞳が、再び赤い布に覆い隠されていく。
その後にバドが拳を叩きつければ、赤い布は歪な形での尖りを見せた。
「お゛ぁああ゛……っ!!」
発声の不自由そうな悲鳴も漏れる。
これから彼女が徐々に水を飲んでいけば、その悲鳴と腹部の感触はどう変わっていくのか。
バドはそれが気になって仕方がない。
「ああ愉しみだ……レスリー、まだまだお前の肉を叩いてやる。
女だてらに生意気に鍛え上げた腹部を、殴って殴って、メス本来のやわらかい肉に戻してやるぞ!!」
下劣な本性を剥き出しにしながらバドが吼えた。
その横暴を止められる者はいない。
軍内部の上下関係は絶対だ。レスリー自身も、それを慕う部下達も、訓練教官であるバドに抗議などできない。
たとえ、どのような状況になろうとも。
※
拳が打ち込まれるたび、明らかに腹筋は張りを失っていった。
ただでさえ水を飲まされている最中だ。
胃の中へ少しずつ飲み下した水が溜まっていき、体力の消耗も著しい。
いかに鍛えた肉体とて、いつまでも腹筋の硬度を保っていられるはずはない。
「ぼはぁあっ!!」
レスリーの口から水が吐き出され、赤い布を通して染み出てくる。
布越しに目をきつく瞑っている様子が透けて見えた。
しかし、レスリーはけして手にしたプレートを離そうとはしない。
むしろ苦しくなればなるほど、指先が白くなるほどに強く握り締める。
「しぶとい女だ。そうでなくてはな」
バドは嬉しげに腕を振り上げた。
ドツン、とでも形容すべき音と共に、彼の拳はレスリーの腹筋を突き破る。
腹筋は、拳を緩やかに内へと呑み込むような動きを見せた。
レスリーの均整の取れた身体が痙攣する。
布の下から妙な音も聞こえた。排水溝が詰まったような音。
「ほう?」
バドはその変化を聞き逃さない。
打ち終えたばかりの肉体を酷使し、素早くもう一打をレスリーに見舞う。
ドブ、と鈍い音が響いた。
鈍い音、しかしそうであればあるほど効果がある事を、兵士達は日々の格闘訓練で知っている。
今のはまずい……多くの者がそう感じただろう。そしてその予測は正しい。
「も゛ごぉおう゛っっっ!!!」
レスリーの上げた呻きは、それまでのどんなものよりも苦悶に満ちていた。
拘束された膝下が暴れて拘束台を軋ませる。
腹筋が左右に揺れながら痙攣する。
ここまでは今までどおりながら、今度はとうとう喉元までが激しく蠢いている。
「お゛は……っ!!」
レスリーが発したその“音”の意味を、誰もが一瞬のうちに理解しただろう。
嘔吐。
どれほどの美女でも醜男でも、その音は同じだ。
かくして、レスリーの顔を覆う布から一筋の吐瀉物が流れ出す。
大量に水を飲んでいるため、ほとんど水に等しい薄黄色の流れだ。
それがレスリーの美貌を横切り、陽に煌めく金髪の合間へと伝い落ちていく。
「ひゃはははは、こいつとうとうゲロ吐きやがった!!」
「ああ。実技訓練の時、おもっくそ腹に蹴り入れても平気で反撃してきやがる女がな。
まったく水責め様様だなぁ、いいもん見たぜ!」
「貴様等、私の拳の威力だとは考えんのか? ……まぁいい」
バド達は鬼の首を取ったように騒ぐ。
逆にレスリーを慕う者たちは、怒りと嘆きをそれぞれの表情に宿している。
「教官、もう止めましょう! 中尉は嘔吐までしているんですよ!?」
兵士の一人が堪らず叫んだ。
それに対し、バドは蔑みの視線を寄越す。
「何を言うか。実際にこの拷問を受けた時、嘔吐した程度で解放されると思うのか?
貴様等雑兵は溺死体験だけで済ませたが、この女は違う。
階級の高い人間は、重要な機密を知らされて作戦に望むものだ。
当然、自白によって我が軍が被る損害は、貴様等などとは比較にもならん。
ゆえに訓練とはいえ、より実践的なものにせねばならんのだ。
それとも、どうだ中尉、もう降参か。貴様にはその権利もある。
私の時は……そのような物はなかったがな」
バドは建前を並べ立てた上で、巧みにレスリーを挑発する。
その物言いをされては、レスリーに選択肢などない。
「ひっ、ひっ、は、はひっ、ひ……ひっ、はっ……まさか!!」
短い呼吸を繰り返しながら、気丈に叫ぶレスリー。
涙と汗、そして吐瀉物に塗れているとはいえ、美貌は崩れていない。
むしろその穢れた美女の顔は、いよいよバド達のサディズムに火を点けていく。
「中尉は続けて構わんそうだ」
バドが命じるまでもなく、取り巻きの男はレスリーの顔に布を被せ直していた。
空気を遮断されるその直前、レスリーは決死の表情で大きく息を吸う。
恐怖はあるだろう。
しかし、降伏を示すプレートは未だ固く握られたままだ。
見守る者の中には、その姿に涙を浮かべる者さえ現れていた。
そして、満面の笑みで拳を握り締める男も。
バドは足を肩幅に開いたスタンスで、大きく肩を引き絞る。
斜めになったレスリーの腹部へ、垂直に近い角度で拳を打ち込めるように。
一方彼女の頭部付近では、やはり容赦のない水責めが再開されていた。
「おら、たっぷり飲めよ」
満面の笑みを湛えた男が、布を被せられた口周りにペットボトルを宛がう。
水は静かに布へと染みこんでいく。
「っ!!!」
声にならない叫びと共に、レスリーの顎が左右に揺れた。
男はそこで一旦ペットボトルを離し、布を押さえる役が位置を調節する。
そしてまた男がペットボトルを宛がい、注ぐ。
何度も何度も、飽きるほどに繰り返されている地獄。
レスリーの豊かな胸が激しく上下し、溺死の苦しさを訴える。
そこからさらに足までが暴れ始めれば、そこでおおよそ五秒だ。
「ぶはぁっ!!」
顔を赤らめたレスリーが、布のどけられた口で大きく息を吸う。
バドはまさにその瞬間、彼女の腹部へと拳を打ち込んだ。
「ん゛ごはぁああ゛っ!ぐ、くくっ…………!!!」
当然、レスリーはあられもない声を上げて身悶える。
唇からは新たな吐瀉物が溢れ、地面に飛び散っていく。
瞳はきつく閉じられ、開くと同時に目尻から一筋の光を流す。
それでもなお、プレートを持つ手だけは微動だにしない。
矜持は穢させないと、見る者すべてへ示すように。
「生意気な女だ」
追い込む立場にあるバドは、余裕の表情で再度拳を打ち込んだ。
それはちょうど水責めの始まったタイミングであり、レスリーの喉から激しく水を逆流させる。
「げほっ、げえぇほっ、うえ゛あはあっ!!!!」
まさに悶絶というべき有様で、レスリーは首から上を暴れさせた。
「……もう、やめてくれよ…………!!」
一人が痛切な声と共に頭を抱えた。
その横に立つ兵士もまた、辛そうに目を伏せていた。
ドン、ドンという打撃音が、鳴るたびに彼ら若き兵士の肩を震わせる。
レスリーの腹部は、一打ごとに拳を深く受け入れるようになっていた。
各所が赤く窪んだ腹筋は、もはや鎧としての役目を果たさない。
水を注がれるタイミングで殴られれば、混乱と共に多くの水を飲まされ。
布のないタイミングで殴られれば、飲んだ分以上の水を吐瀉物として吐き零す。
レスリーは人形の如く、これら2つの動作を不規則に繰り返していた。意思とはまったく無関係に。
「ごほ、がはっ……!!おおお゛うう゛う゛え、あ゛げええ゛お゛っっ!!!」
かつて誰か一人でも、レスリーのそのような汚い姫を聞いた事があっただろうか。
少なくともマーシャル・アーツの模擬戦においてすら、彼女はそのような声を上げた験しがない。
まさに極限に近づいている人間特有のえづき声に、場はいよいよ騒然となる。
悲喜交々の歓声が上がっていた。
「へへへ、美人ぶりが見る影もねぇな。ゲロやら涙やらでズルズルだぜ」
「ずっと蛙みたいに喘いでるばっかりだしな」
男達はレスリーの顔の布を剥がしながら、獲物が刻一刻と限界に近づく様を愉しんでいる。
またしても、強烈に肉を打つ音が響く。
バドはもはや、目の色すら変えてレスリーの腹筋を叩き続けていた。
「ぐぅっ、ごぼぉっ!!ご、がは……あ゛ぐお゛お゛ぉっ!!!」
レスリーからは絶え間ない悲鳴が上がる。
とうに腹筋は張りを失い、内臓を直に叩かれている状態だ。
地獄のような苦しみだろうが、幾重もの拘束帯を全身に巻かれては身を捩ることすらできない。
「どうだ、苦しいか。苦しかろう、ええッ!
貴様の腹を叩き潰しているのは、私の腕だ。『鍛錬が足りん』と貴様の言い放った、私の腕だ!!」
バドが肩を入れて放った打撃が、今一度レスリーの腹部に沈み込む。
「がぁああ゛ああ゛っ!!!」
台ごと軋むような衝撃を受け、レスリーの肢体が痙攣する。
そして拳が引き抜かれた瞬間、ズボンの尻の部分がかすかに変色しはじめた。
染みは次第に濃く広がり、台を伝って背中の方へと流れだす。
「ふん、失禁か。あわれなものだな!」
バドは笑みを深めながら、なお打ち込みを続けた。
たっぷりと身を仰け反らせてのテレフォンパンチ。通常では当たるはずのない、最大限に体重を乗せた一打。
それが今だけは、易々とレスリーの腹部を叩き潰す。
拘束台が生命を持ったかのように暴れ回る。
一撃、一撃。また一撃……。
「ご、あがっ!!あがあげっ、ごがっ…………!!っぐ、げぇっ……!!!
ぐ、ぐるじ……が、ああっ……いぎ、がっ…………むうう゛っ、むげごあぁあ゛っっっ!!!!!」
レスリーはいよいよ危険な声を発しながら悶え狂う。
涙を流し。
唾液を零し。
空嘔吐を繰り返し。
挙句にはとうとう口から泡があふれ出す。
ついに意識が途切れたのだろう。
それまで頑なに握り締められていたプレートは、とうとうレスリーの指の間から滑り落ちた。
回転しながら落下するプレートは、キン、と冷たい音を立てて地面に転がる。
「おーお、とうとう落としちまいやが…………」
女軍人の陥落に、水責めを繰り返していた男達が喜びに湧きかけ、そのまま固まる。
その沈黙を破るように、重い打撃音が響き渡った。
「お、おいおい……」
さしもの男達も顔を引き攣らせる。
その視線の先では、無我夢中でレスリーの腹部を殴りつけるバドがいた。
瞳は赤く凹凸の出来たレスリーにしか向いておらず、足元に転がるプレートを意に介していない。
病的な集中力でレスリーの腹部を叩き続けている。
「ごぁああ゛っ……!!?」
哀れなレスリーは、腹部への更なる打撃で無理矢理に覚醒させられた。
そしてまず手にプレートが無いことに驚愕の表情を見せ、
続いて、なおも視界で暴れ狂うバドの拳を見て顔を歪める。
「ま、待って、もう…………」
必死に訓練の終了を訴えようとするが、その言葉を言い切る暇は無い。
「いいぞ、柔らかくなってきた……いい女の肉になってきたぞ。心地良い……心地良い!!」
歯止めのきかないバドの拳が、すぐにその腹部を抉りこむからだ。
「あ゛あぁあああ゛っ!!がふっ、げぶっ!!あごろろえげぇえあ゛っっ!!!!」
まさに悲鳴と呼ぶべきものが迸った。
口から夥しい量の水を吐き零しつつ、レスリーは溺死さながらに悶え狂う。
傍観者の誰もが、しばし固まるほどの光景だった。
危険を察した者達がバドを止めに入るまで、追加で10発以上が叩き込まれていた事がその証明だ。
すべての終わったレスリーは、美貌が見る影もなくなっていた。
完全に白目を剥き、半開きの口から泡を噴き、鮮やかな金髪には垂れた吐瀉物が絡み付く。
全体としての表情は溺死の恐怖に引き攣っている。
腹部には余す所無く赤い陥没ができ、何かの事故に巻き込まれたかのような有様だ。
仮にも現役の軍人が何十発も殴ったのだから、当然といえば当然なのだが、
レスリーを信奉する者達にはさぞや衝撃的だろう。
「フウ、フウ…………結局この女も、私のようにWater boardingに耐え抜く事はできなかったな。
貴様等も証人としてよく憶えておけ。この女は、この程度が限界だった。
よって今から、腑抜けたこの女の性根を叩き直す事とする。誰も私のテントに近づくなよ」
荒い息を吐きながら、バドは目を輝かせた。
状況はどうあれ、彼はついにレスリーを屈服させたのだ。
レスリーを慕っていた男達が膝から崩れ、バドに従う男達が下卑た笑みでレスリーの拘束を解いていく。
その様は、実に対照的なものだった。
以来、レスリー側だった若き兵士達は耳を塞いで夜を越すようになる。
指を離せば聴こえてくるからだ。
「やめて、もうやめてっ!…………お願い、休ませてよ…………!!」
あの逞しく美しいレスリーが、バドの思うままに弄ばれている様。
狂気じみたスタミナで夜毎犯され、殴られ、苦悶の声と共に果てる様が。
テントの周りは、おこぼれに預からんとするバドの側近達が固めている。
加えてテントの主は『絶対的な』上官だ。
レスリーを慕う兵士に、乱交を止める術はない。
たった一つの命と、引き換えにでもしない限りは……。
終 このスレすげーな
定期的によくこんだけのシコリティ高いSS落ちてくるんだからな
腹責めたまんねぇわ 本当に、期間空いても質の良いssが来るのは凄いな
ナイス投下でした 色々な作家がいて、ソフトなやつからグロテスクなものまで様々だったけど、
色紙は結構な確率でみんな腹パン絵を描いてたよ。ゲットできなかったけど。
スケブお願いしたら描いてくれたし。 >>526
アフターで本当にされてたよ
色々すごいイベントだった 投下します。
2回に分けています。
前半は急所攻撃メイン、後半が腹責めメインとなります。
拷問系ですがソフトです。
タイトルと本文はあまり関係がなくなってしましました。 石造りの壁にかけられた松明だけが辺りを照らすその部屋は、
じっとりと肌に纏わりつく澱んだ空気に満たされていた。
部屋の隅では、酒瓶を抱えた赤ら顔の男が椅子に座ったまま寝こけている。
所々がどす黒く変色したテーブルを挟んだ反対側にも、数人の男達がいた。
髭を蓄えた屈強そうな男や、老婆のように背を丸めた男。
皆一様に服はくすみ、埃まみれで、脂ぎった顔をしている。
その中で一際目立つのは、雪のように白い肌の女だった。
簡素な肌着を胸と腰に纏ったのみの身体は、肉付きの良い太股や、
薄い肌着を内側から盛り上げる双房とその谷間、女性らしく僅かに膨らんだ下腹部と縦長の臍、
いずれを見ても男の目を引き寄せる。
くびれた腰と、対照的に大きく膨らんだ丸い胸、涼やかな目元に整った顔立ち。
美しい女だ。
ごみ溜めのような臭いの篭るこの一室で、ひときわ異彩を放つその女を、
男達は下卑た目で嘗め回すように眺めている。
この部屋に置かれたテーブルがどす黒いのは、血が染み込んでいるためだ。
その上に乱雑に積み上げられた工具の数々は、多くの人間の肉を切り裂き、
引き千切った過去を持つ。
それを扱ったのは、ここにいる男達だった。
一方で、女の手足には鎖のついた枷が嵌められ、両腕は天井、両足は大きな鉄球へと
それぞれ繋がっている。
「ひっ、ひひひっ。い、いいオンナじゃねぇか。は、はやく。や、やややっちまおうぜ」
引きつった笑い声を漏らしたのは、老婆のように背を丸めた男だ。
「それにしたって、なんだってぇコイツぁこんなにとんがった耳してやがんだ?」
俯いた女の、垂れ落ちた長い髪の間から飛び出た耳を摘んだのは、頭のハゲ上がった男だった。
途端に女が顔を上げ、男を真正面からキッと睨みつける。
「下衆が手を触れるなっ」
「おぅおぅ。おっかねぇ女だぜ」
ハゲ男がおどけた様子で手を離す。
「お、おおお前、知らねぇのかかか。そそそ、そいつは、えるふだ。
ひ、ひひひ人より、が、頑丈にで、出来てんだ」
「コイツがエルフか。初めて見たぜ。頑丈ってんなら都合がいいや。
どうするよ。いたぶりつくしてからヤるのか? ヤってから痛めつけるのか?」
ハゲ男は品の無い目つきで女の腰を眺めながら、背後に控える男達に問いかけた。
女が腰に巻いた肌着は、股下に当てた長めの布を紐で縛った簡素なものだ。
余った布を垂らして下腹部と臀部を隠している。
その布に手をかけようとしたハゲ男を制して、背の曲がった男が前に出た。
「さ、さささ最初はお、おおお俺に、やらせてくれ。ひ、ひひひ久しぶりだ」
長くて鋭い耳の女は、鎖に拘束されたまま、冷たい視線を男達に向けて突き刺していた。
透き通るように白い肌の所々には、痣や傷跡が残っている。 「やってもいいが壊すなよ。それと残るような傷もつけるな。商品価値が下がるからな」
2人の醜男の後ろでは、腕を組んだ屈強な男が、蓄えた髭をゆらしていた。
放っておけばすぐにでも女に飛び掛りそうな2人に比べれば、落ち着いて見える。
頭目なのだろう。
「わ、わわわかってるぜ。だだだ、だが、う、うう売っぱらう前に、お、おお大人しくさせて、
ややややらないとな」
背を丸めた男は、引きつった笑い声を上げながら女に近づく。
醜い顔が自分の臍の辺りに近づくのを、エルフの女は氷のように冷たい表情で見下ろしていた。
「やめておけ。私に触れたら死ぬぞ」
「ひっ、ひひひひひっ! お、おおおお前の生命は、お、おおオレらが握ってんだ。
し、ししし死にたくなけりゃ、お、おおお大人しくしてるんだな」
男の指の爪は異常に長く、尖っていた。
その爪を女の太股に当てると、ハリのある肌が押し返して来る。
女の肌を確かめるように、男は爪をツツと上らせて、足の付け根へと向かう。
前垂れ越しに僅かに膨らんだ下腹を通って、臍の窪みを爪が通過すると、女が微かな吐息を漏らす。
そして引き締まった腹部から鳩尾、短い衣に収まりきらなかった乳肉に到達すると、
柔らかな感触に爪が埋もれ始めた。
背を曲げた男は小さく、頭は女の臍の位置にある。
両腕を頭上に上げて、ようやく乳房に手が届く。
頂上に辿り着いたところで、男の腕はそれ以上伸ばせなくなった。
彼は両手を開き、たわわな膨らみを一気に鷲掴んだ。
「ひゃっひゃはははははっ。い、いいいっ、いいさささわり心地だぁ」
男は女の臍に頬をつけて頭上を見上げたが、肌着に包まれた乳房が邪魔で、彼女の顔は見えない。
「どどど、どうだぁ、どんな気分だぁ」
それは男を見下ろすエルフ女にとっても同様だった。
しかし、男が舌を伸ばして臍にしゃぶりついたのは感覚で判る。
骨ばって爪ばかり伸びた醜い手に蹂躙される自分の乳房を憎悪を持って見下ろしながら、
女は呟いた。
「死ぬがいい」
腰が下がり、女の太股が勢い良く振り上げられる。
鎖で繋がれた鉄の塊の重さなどものともしないスピードで、女の膝が男の顎を打ち砕いた。
「ぎゃぶっ」
唾液塗れの舌を噛み千切りながら、背を曲げた男が飛び上がる。
何が起こったのか、男達は一瞬では理解出来なかった。
背を曲げた男が突然に飛び上がった後、ひっくり返って血の泡を吹いている。
その向こうでは、鎖に繋がれた筈の女が膝を持ち上げていた。
「てめぇ、コイツになぁにしやがった!」
ハゲ男が女目掛けて飛び掛る。
その動きより、ほんの少しだけ早く、女が身体ごと腰を回した。 頭上で繋がれた手首を支点に、踊るように足をまっすぐ持ち上げて素早く回転する。
足の先についた大きな鉄球が浮き上がり、飛び掛った男目掛けて激突した。
ゴキッと骨の折れる音が確かにして、男がテーブルを越えて壁まで吹き飛ぶ。
「赤鼻っ! 飛び起きやがれ」
組んでいた腕をほどくと同時に髭の男が叫んでいた。
女は再び、太股を持ち上げた体制を取る。
両腕を拘束された女にとって、これが構えの姿勢なのだろう。
前垂れが持ち上がって、股下にあてた布がちらりと覗いていた。
これまでの女の動きはまるで踊っているかのように滑らかで、そこが舞台の上であったなら、
観客達はその艶やかな肢体に目を奪われた事だろう。
だがここは、奴隷を鞭打つ血なまぐさい地下室だ。
大きな鉄の塊が、女の足の動きに合わせてズルズルと床を移動する様は、
もはやそれが彼女の動きを拘束するための道具ではなく、
彼女の武器と化している事を男達に思い知らせた。
「う、うでぇっ、俺の腕ぇがダメになっちまったぁ」
頭から血を流したハゲ男が泣き声を上げる中、髭の男とエルフ女は互いに睨み合った。
女が、持ち上げた足を僅かに引いてためを作るのを、髭の男は鋭い目つきで観察している。
肉付きが良いとは言え、女らしい身体つきをしたこのエルフのドコに、
それだけの怪力が秘められているのか。
彼女が足を前に蹴り出すと、一抱えはある鉄球が男に向けて飛び上がった。
髭の男はすんでの所で身をかわし、女に向けて大きく踏み込む。
エルフ女は氷のように冷たい表情を崩さぬまま、蹴り上げた足を強引に引き戻した。
すると、一度はかわした鉄球が、背後から再び男目掛けて落ちてくる。
命中する直前、鎖に引っ張られた鉄球は落下する方向を変え、男の背中ではなく、
その脇から落ちて床石を砕いた。
丸太のように屈強な腕が女の膝を抱えて、その向きを変えたのだ。
もし、まともにぶつかっていたならば、見るからに頑丈そうなこの男とて
ただでは済まなかっただろう。
「くっ」
女の顔に焦りの色が浮かんだ。
彼女の脚力に劣らず、男の豪腕も凄まじい怪力だったのだ。
髭の男は片手で女の足を抑え込みながら、空いた片手をすかさず女の腹に叩き付けた。
並の女がこの丸太のような豪腕で突き抜かれたとしたら、
腹の内側にある臓物まで潰れたに違いない。
しかし、滑らかな肌からは想像も出来ない力強さで、エルフ女の腹は男の拳を拒んだ。
「くふっ」
それでも全てを跳ね返せるわけではない。
女は呻き、苦悶の表情を浮かべた。
このまま何度も打ち抜けば、いずれは女も力を失うだろう。 だが、男は気が短いらしい。
もっと効果的な攻め手を狙って、今度は下から拳を突き上げる。
ぐるんと腰を回転させる体重の乗った一撃に、女の腰が浮き上がった。
ズムッとした重い衝撃と確かな手応え。
「くああああっ!」
女が目を見開き、ビクッと痙攣してから、初めての悲鳴を上げた。
彼女にとっても予想外の攻撃だったのだろう。
鉄球よりも重い体重を乗せた男の拳は、女の急所を正確に突いている。
「この腐れマ○コがっ。大人しくしやがれ」
そのまま男がごつごつとした固い拳を、薄い布越しに柔らかい女性器へと押しつけるのだから、
エルフ女もたまらない。
「くっ、うううううっ」
屈辱と苦痛に表情を歪まて、巨大な拳から逃れようともがいた。
「かしらぁっ! イテェよっ、腕ぇが痛ぇぇぇっ。助けてくれぇよ」
「うるせぇっ。この女黙らせるのが先だっ。赤鼻っ、さっさとこの女の足押さえつけろっ」
髭の男が怒鳴り散らし、ぬめり始めた拳をようやく股間から離すと、
ほんの微かに頬を上気させたエルフ女は吐息を漏らした。
壁際で泣き喚く血だらけの男。
背後で飛び起きた赤ら顔の男。
髭の男の視線が彼らに向けられる。
その一瞬の隙に、女は両足を上げて男の胴体を引き寄せた。
そのままカニ挟みにすると、鉄球をも振り回す脚力で、強烈に締め上げる。
「ぐおおおっ」
みるみる男の顔が真っ赤に充血していった。
自分の胴に回った足を引き離そうと筋肉の塊のような豪腕に力を込めたが、
エルフ女もそうはさせじと密着した相手の鼻っ柱に容赦の無い頭突きをみまう。
「死ねっ、死ぬがいいっ」
「ぐぬああああっ。いい加減にしやがれぇっ」
男は太股を引き剥がすのを諦めて、女の腰肉に両側から手刀を食らわせた。
「くふぅっ」
女は呻くが、それでも男を締め上げながら頭突きを繰り返すのをやめない。
ひしゃげた鼻から鼻血を飛び取らしながら、男が握り拳で女の横腹を殴り返す。
絡み合った2人の肉と肉、骨と骨が何度と無くぶつかり合った。
「ぐむぅっ」
再び女が苦痛に喘いだ隙に、鼻血で髭を赤く染めた男が、お返しの頭突きを女の額に見舞った。
「きゃふっ!」
呻いた女が仰け反る。
間髪入れず彼女の腰肉に、両側から臍まで押し潰す勢いで巨大な拳が殴りかかる。 「ぐふぅっ」
「ぬがあああああっ」
そして女の脚力に負けない怪力に、とうとう彼女の太股は引き剥がされたると、
大股を開いた股間に、恥骨が砕けるかという程の頭突が命中する。
ばふっ!
打撃の音は僅かだったが、女が受けた苦痛は甚大だった。
「きゃふうううううううううううううううう!!」
再び女としての急所を痛打され、エルフ女は涼しげな目元をいっぱいに見開いて、
長い長い悲鳴を上げた。
止まらない悲鳴に、閉じる事の無い唇から涎が零れる。
「赤鼻ぁっ! こっち持ってろっ。鉄球振り回すような足だ。死に物狂いで押さえときやがれっ」
「へ、へいっ」
2人の獣のような争いを前にあっけにとられていた赤ら顔の男は、
抱えていた酒瓶を慌てて投げ捨てた。
そして、悲鳴を上げるエルフ女の、肉付きの良い太股に両腕を回してしがみつく。
「人の鼻つぶしやがって、容赦しねぇぞこの腐れ女ぁっ」
髭の男が顔を真っ赤にしながら吼えた。
浮かび上がった血管の一部が何所かで切れていてもおかしくない。
怒りに任せて拳を振り降ろす。
「ひぐぅぅっ!」
両足を抱え上げられて、腰を浮かせたエルフ女の下腹に拳が落ちると、彼女の尻が沈む。
拳を跳ね返す力は明らかに弱まっていた。
唾液が飛び、唇から垂れ落ちる涎が増えた。
「女の急所はエルフも同じだな。子宮もあるなら覚悟しやがれ。今からそいつをぶっ潰してやるっ」
女の下腹を踏みにじるように、そけい部の内側に男の拳が何度も激突する。
エルフ女は長い髪を振り乱して身を捩ろうとするが、男達は彼女の太股を掴んで離さない。
「ふぐっ、ぐぅぅぅっ……はぐぅっ!!」
繰り返し正確に下腹部を突いてくる男の巨大な拳は、数を重ねるごとに女の肉の奥まで
入り込んで来た。
衝撃が子宮まで届いているのが、女にも判る。
「げえっ、げぇふっ……ぐっっぷ」
彼女の悲鳴が篭るような嗚咽に変わり始めると、両腕で太股を抱えた赤ら顔の男が喚きたてた。
「かしらっ。女が漏らし始めやがった。壊しちゃマズイんじゃねぇの」
見ると仰け反った女の頭がぐらぐらと揺れている。
視線が虚ろになりつつあり、朦朧としてきているようだ。
吹き出た汗に豊満な肢体がじっとりと濡れた姿は艶かしいが、
股下に当てた布には、確かに汚物が染み出している。 「うるせぇっ。腐れマ○コが残ってりゃ、子宮なんざ潰した方が都合がいいんだよっ」
ヤケクソ気味に叫んだ髭面の男が、悔し紛れか止めとばかりに女の下腹部に5本の指を突き立てると、
布に覆われた臍下を内側から握り締めた。
無骨な指に腹が歪み、肉が波打ち、臍に溜まった汗が下腹に向けて流れ落ちる。
「うっ、ぐっ、ふぶうううううううううううっ!」
呻き声と同時に、女の股間から汚物が一気に溢れ出た。
「き、汚ねぇっ。こっちに飛んできたっ」
赤ら顔の男が、エルフ女の太ももを抱えたまま騒ぐ。
女の漏らした液体は、殆どが秘部に張り付いた布に受け止められたが、
隙間から飛び出た一部が赤ら顔の男まで飛んだようだ。
髭の男は気にするそぶりもなく、女の髪を掴んでその頭を引っ張りあげる。
「よがってねぇで良く見てみやがれっ。テメェの腐れマ○コが俺達の前で
ションベン漏らす姿をよっ」
強引に頭部を固定され、自分の下半身が目に入ると、女は悔しそうに唇を強く噛み締めた。
下衆で脂ぎった男が、ニタニタと笑みを浮かべる目の前で、
確かに自分は、尻を震わせながら放尿している。
それは今すぐ舌を噛んで、死んでしまいたい程の屈辱だった。
或いは、コイツらを全て殺してしまえばいい。
必ず皆殺しにしてやる。
憎悪に燃える女の瞳に、髭の男が拳骨を振り下ろす姿が映った。
自分の下腹がそれを受け止めて、石のようにゴツゴツとした骨太の拳の型が、
臍下にくっきりと刻み込まれるのが見える。
「ぐえええええええええっ!!」
憎しみとは裏腹に、彼女の口は唾液と共に無様な悲鳴を迸らせた。
肌着姿の美女は、更に勢い良く失禁してしまう。
その上、男の打ち込んだ拳がグルンと半回転して、窪んだ腹が捻れて肉の皺が膀胱を圧縮して来る。
腰がビクンと跳ねた。
「ぎゃっ、汚ねぇっ。汚ねぇっ!」
赤ら顔の男は、たまらずエルフ女の太股から両手を放した。
顔面に小水を浴びたのだ。
人間だろうとエルフだろうと、女は女だ。
急所を打たれ、下腹部も潰されて、平然としていられるわけもない。
悲鳴を上げ、ヨダレを垂らして、小便を漏らし、
それでも瞳の奥に憎悪の炎を絶やさずにいられたのは、
彼女の精神が、肉体以上に強靭である事の証明だった。
待ち望んだ好機に、精神が高ぶり、肉体が力を取り戻す。
反撃の時が来たのだ。 自由になった片足を鉄球ごと持ち上げると、まず最初に、髭面男の脇腹目掛けて
憎しみを叩き付けるように膝を突き刺した。
「ぐぬっ」
十分に勢いさえつければ、アバラさえ折っただろう。
今は骨にヒビすら入らなかっただろうが、男はよろめいて腕を離した。
両足が自由になれば十分だ。
足を拘束するのが鉄球だけなら、女にとって振り回すのに問題はない。
次に、赤ら顔の男の顎を一撃で打ち砕く。
今度は十分にためを作り、爪先で男の顎を全力で蹴り上げる。
「ぎゃぶっ!」
男はクルクルと踊るように回転しながら倒れていく。
それを見届けるまでもなく、女は鉄球ごと身体を回した。
残るは、髭面の熊男ただ一人。
長い髪と、下腹に垂らした布をはためかせながら、女は舞い踊るようにして勢いをつける。
最後は、髭面の男のこめかみ目掛けて渾身の回し蹴りを放った。
綺麗な足技が、屈強な大男の脳を揺さぶる。
鎖に繋がれながら、この美麗な女エルフは、ついに全ての男を打ち倒したかに見えた。
しかし、彼女は最後に判断を誤っていた。
赤ら顔の男よりも前に、倒すべきは髭面の男だったのだ。
視線だけで男を切り裂くように鋭い女の瞳が、信じられないモノを見る眼に変わる。
そして、
「はぐうっ!」
呻き声とともにまたヨダレを吐き出してしまう。
彼女は、攻撃する方法を誤った。
足を高く上げすぎた。
守るべき場所を、晒しすぎた。
一度は突かれたソコを、もっと秘めておくべきだった。
必殺の一撃は、自分の一番弱い場所を剥き出しにする行為でもあったのだ。
彼女は、倒す順番を誤った事を、思い知らされた。
「くっ……はぁっ!」
丈の短い肌着だけを纏った、胸の大きなエルフ女は、ヨダレを零しながら再び失禁し始めた。
「不恰好な漏らし方だな。犬の小便かよ」
片足を上げたまま、だらしなく小水を垂れ流す女の姿に男は呟いて、唾を吐く。
血が混じっていた。
脇腹をやられた時のものだろう。
「くあああああああああああああっ」
女は返す言葉も無く、叫び声を上げた。
男が拳を動かしたせいだ。
最初は自分が何をされたのか、エルフ女は判らなかった。 女の爪先は髭面で屈強なこの男のこめかみに届いていたが、男の拳もまた、
エルフ女の急所に届いていた。
強引に割り開かれた秘唇の深部で、恥骨が直撃されている。
「あ……あぅっ……はぐぅっ……」
目に涙が浮かび、女は激痛に震えながら嗚咽を漏らす。
自分がここまで太股を広げていなければ、巨大な握り拳が、これ程奥まで届く事は無かっただろう。
しかし、それだけではないのだ。
男は彼女の秘部を守る唯一の布を引き裂いて、淡い茂みの下で重なり合う柔らかな2枚の花弁の
隙間に指を突き込んでいた。
回し蹴りを放つ自分の急所へと、しかも正確に女の部分を刺突する技を男が持っていようとは、
彼女に予測できよう筈もない。
通常の性行為とは桁違いの破壊力で膣を貫かれたと知る前に、
女がショックで放尿したのは仕方の無い事だろう。
そして今頃になってようやく彼女は、血がついた男の拳に向けて、
自分が敗北の証を垂れ流している事を思い知る。
「テメェのココが使い物にならなくなろうが、もう知った事じゃねぇ」
怒りに震える声を押し出しながら、男は無骨な指を女の中に突き入れたままで、
力任せに女の秘部を握り締めた。
「いぎぃっ! ひっ、ひぐっ! ひぎいいいいいいいっ!」
唾液を飛び散らせながらエルフ女が絶叫する。
これまでの押し殺した呻き声とは違う、泣き叫ぶような悲鳴だった。
彼女は、自分が完全に敗北したのを自覚した。
「この俺をさんざんコケにしやがって。思い知れこのアマッ。テメェは俺がブチ壊してやらぁっ!」
股間を握り締めたまま、男は女の臍を突き抜いた。
もはや跳ね返す力を失った女の腹が、男の拳を受け入れて変形する。
ボスゥッ!
「ぐぶぅっ!!」
スボッ!
「へうっ!」
ズブッ!
「ぐはぁっ!」
立て続けに腹へとブチ込んでから、男は、ぬるぬるになって滑る女の性器を手離した。
髪を乱して俯いた女は、油汗を浮かべながら、ハァハァと激しい呼吸に乳房を揺らしている。
その胸が束の間だけ停止したかと思うと、今度はビクンと跳ね上がった。
女が顔を上げ、
「げはぁっ」
唾液まみれの口から汚物を吐いた。
「俺の許可無くゲロ吐いてんじゃねぇクソアマ。服が汚れるじゃねぇか」
男が女の肌着を掴んで引っ張ると、隙間からたわわに膨らんだ胸の作る谷間が覗く。 2人の顔が近づくと、女は男に向けて、口に残った汚物ごと唾を吐きかけた。
男の顔に、髭に、薄黄色の唾液がまとわり付く。
「まだ歯向かってるつもりか?」
男は肌着が引き千切れそうな程に力を込めて、更に女を引き寄せる。
女は敗北を自覚してなお、乱れた髪の隙間から、憎悪の瞳を男に向けた。
「貴様は、遠からず、死ぬ。私が、殺す。覚えて、おくがいい…………ぐふぅっ!」
女の肌着を引きながら、男はまたしても相手の臍に拳を捻じ込む。
「俺の許可無く口をきくんじゃねぇ」
女の腰が引け、尻肉が震えるのが見えた。
口づけさえ交わせそうな距離にある女の口から唾液の粒が飛んで顔にかかったが、
男は構わず女の臍を何度もブチ抜く。
「いいか。テメェは自分で俺に唾かけたんじゃねぇ。俺に吐かされてんだっ。
これからテメェはっ、俺の許可がなけりゃっ、何も出来ねぇんだっ」
「げふっ、ぐぅっ、かはぁっ! ぐぶぅっっ」
至近距離からの強打に、女の臍は続けざまに潰れていく。
逃げるように腰を引いていたが、胸元を掴まれていては、衝撃の殆どを腹部で受け止めるしかない。
やがて胸の布がビリビリと音を立てて裂け始めた。
艶やかな腹部を無残に打撲する衝撃の惨たらしさを、それは顕していた。
女の腹部はぐちょぐちょに濡れた拳のせいで、殴られる度に飛沫を散らす。
何十発もの拷問の全てを臍で受け止めて、唾液を吐かされ続ける女の、乳房を覆う肌着が千切れる。
残ったボロ布の隙間から、柔らかく揺れる二つの乳房が溢れ出た。
「うぶぅっ!」
それが契機となったのか、女は途端にまたゲロを吐いた。
鎖の長さが許す僅かな距離で腰を引いて尻を突き出しながら、
先ほどとは比べ物にならない程に大量の吐瀉物を、足元目掛けて一気にブチ撒ける。
「げおおおおおおっ」
手に残った布を投げ捨てると、髭面の男は、大の男3人を一瞬でぶち倒した女エルフを
憎々しげに見下ろした。
今は情けない声を上げながら、殆ど裸で嘔吐しているただの奴隷だ。
石の床にビチャビチャと音を立てて跳ねる汚物が、男の足にも飛んで来る。
女の素足にも張り付いた。 GJ
エルフって肉体的には弱い印象だけど
普通に強いエルフっていうのもありだわ >>531さん
丁寧で官能的な描写にすごく興奮します。
おへそ責めも好きなので感謝ですw
後半、どんな責めになるのか楽しみにさせて頂きますね! ひっ、ひひひっ。>>531のつ、つつつ続きだぜ。
よ、よよよ読んで後悔しても、お、お、俺はししし知らねぇぜ。
後半投下します。
前半より腹責めメインですが、それ以外に変態的な責めも多いので
ご注意下さい。
>>540-542
コメントありがとうございます。
物凄く嬉しかったです。 「俺の許可無く吐くなと言ったろうがっ。さっさと覚えろこのイカレ頭がっ」
男は俯いた彼女の髪を掴みあげると巨大な手で女の頬を打ち、
掴む衣服の無くなった相手の片乳を下から掴んで持ち上げる。
「くっ、うぅ……」
たっぷりとした乳房を潰れる程に握られて、エルフ女は呻き声を上げた。
「いつ俺がゲロ吐いていいって言った? ああっ?」
長く鋭い耳元で、神経を圧し潰すような怒鳴り声が上がり、
今度は縦に筋の入った臍上の肉が殴りつけられた。
「うぶぅっ!」
唾液が飛び、すかさず顎を掴まれる。
「そんなにゲロが好きか? なら吐かせてやる。嬉しいか? 嬉しいと言ってみろ」
すぐに顎から手が離れ、代わりに片手で乳を持ち上げられたまま、
片手で臍上を、力任せに打ちのめされる。
「げはぁっ!」
ゴツゴツとした拳がちょうど胃袋の辺りにめり込んで、女はまたヨダレを吐き散らした。
「判るか? ここが胃袋だ。これからテメェの胃袋をぶっ潰してやる。たんまり吐けて嬉しいだろ」
「ぐふっ……ごぶっげふっ……」
ビクンビクンと震える胸元に、汚物混じりの唾液が、唇から糸を引いて見苦しく張り付いた。
男はその唾液ごと女の片乳を正面から鷲掴みにすると、片手で女の髪を掴んで、
唾液とゲロに塗れた汚い唇にむしゃぶりつく。
無骨な指にピタリと吸い付きながら、隙間から溢れ出るだけのボリュームがある乳肉の感触と、
弱々しい吐息を感じる柔らかな唇の感触を同時に味わいながら、男は女を引き寄せた。
口内を陵辱してくる舌を噛み切ってやろうと女は考えたが、
あまりに激しく動き回る舌と唇の動きに翻弄されて、
歯を突きたてるタイミングがつかめない。
そのうちに男は再び女の髪を掴んで、その頭を乱暴に引き剥がす。
たっぷりと相手の唾液を絡め取った舌と舌が、互いの間で唾液の糸を引く。
「これからテメェが吐き出すこの汚ぇヨダレが…………」
男は女の胸元へと、その舌を這わせた。
徐々に先端へと向かった舌が頂点を通りすぎる時、女は目を閉じ、小刻みに震えたが、
男は構わず下乳を舐め、鳩尾の筋に合わせて頭を下げていく。 「ここを通って…………」
汗に塗れた女の身体に自分と相手の唾液を擦り付けながら、男の舌は臍まで辿り着く。
嘔吐するまで殴られたそこは変色しており、臍に舌が入ってくると、
その刺激だけでビクンと反応する。
臍の下は更に敏感だった。
「テメェの腐れマ○コにこうやって届くまで…………」
ピクっと太股が動くのを見て、男は黙って両手で太股を押さえ付ける。
この足をまた振り回されては面倒だ。
そのまま拳の痕がまだ残っている下腹を、急所を守る淡い茂み近くまで嘗め回してから、
男はやっと顔を上げ、女の鼻先まで近づいた。
「テメェの胃袋を殴り続けてやる。テメェの全身がゲロまみれになるまで、ずっとな」
獣のような目つきをした男の顔を間近に押し付けられて、女の瞳に初めて恐怖の色が浮かんだ。
「ひぃっ」
か弱い悲鳴を上げそうになり、女はそれを無理矢理飲み込む。
過敏になった女の腹に男が手を触れたのだ。
臍に触れながらその上、縦にうっすらと線の入った場所へと指が這う。
その内部には男の言うように、胃袋が収められている。
女の胸が大きく上下し、彼女の息が荒くなった。
男は数歩下がって、丸太のような豪腕を見せつけるように、大げさな動作で力を溜める。
「最初の一発だっ。たっぷり吐きやがれ!」
助走をつけ、腰を回し、肩の入った、完璧な打撃が、
天井から吊るされて、肝心な場所の破れたボロ布だけを張り付けた、
裸同然の女エルフに向かって、襲い掛かる。
女は咄嗟に太股を上げて身を守ろうとした。
しかし、膝を僅かに曲げた程度で、鎖に繋がれた足はそれ以上動かない。
鉄球を振り回し、男たちを薙ぎ倒した力は既にない。
それは、何の意味もない行為となった。
それでも男の拳が自分の腹に命中するまで、見守る以外に何も出来ない女が、
反射的に身を捩って、少しでも苦痛を避けようとするのは、仕方の無い行為だ。
破れた肌着から零れた乳房の下に、男の拳が消えていく。
そこから先は見えなくとも、ズブズブと肉を掻き分けて、
彼のパンチが自分の中に埋まっていくのは判る。
その重量を受け止めきれずに、足が浮いて彼女は爪先立ちになった。
「ぐあああああああああっ!!」
のけぞった喉から悲鳴が迸る。
苦痛は、後からやってきた。
胃袋が完璧に潰されている。
「ごっ、ごぶぅっ」
尿意が先に来て、尻が震える。
吐き気は後から喉元を駆け上がる。 彼女は天井を見つめながら、弱り果てた身体が起こす生理反応を黙って受け入れようとしていた。
それすらも男に支配されるのだと、この瞬間にはまだ、理解していなかった。
ボスッッ!
二度目の衝撃と音の意味を理解したのは、自分の乳房を見下ろした後だ。
いつの間にかさっきとは別の腕が胸の下に突き刺さっている。
自分の胸元で、柔らかな乳肉が勝手にブルブルと震え始めた。
悪寒が這い上がって来る。
そして窪んだ腹に埋まった男の拳が引き抜かれる感触と、三発目が向かってくる風圧。
「ひっ…………」
続けざまに襲いかかる苦痛に、今度こそ悲鳴を上げようとした矢先、
重い衝撃が胃袋を直撃した。
「おげっ!……ごぶぅぅっ」
唇から胃液が溢れ、震える乳房の上にボタボタと垂れ落ちる。
「おらよっ」
「ぐぷぅっ!」
まだ吐き終わっていないうちから、男が足を挙げ、靴の底で女の腹を打った。
肺の中の空気と共に胃液が飛ぶ。
息を吸う暇すらない。
男は足で女を押すように蹴った。
天井に手首から吊るされた女の身体が、振り子のように揺れる。
戻ってきた女の腹を、またも男の靴が待ち受ける。
ズブッッ!
「くはぁっ」
男の足に貫かれて、女はしばしゲロ交じりの唾液を垂らす。
しかし幾ら垂れ落ちようが、それは大きな胸にまとわり付くばかりだ。
「まだまだ全然足りねぇな。テメェの全身がグショグショになるまでゲロ吹けや。
おっぱいに吐いてるだけじゃ腹にも届かねぇぞ」
その大きなおっぱいを、片手で両方持ち上げると、伸びた鳩尾に一発、
「ぐふぅっ!」
胃袋にもう一発
「おごぉ…………」
男は思う存分、女の柔肌に拳骨を叩き込んだ。
「あがぁ…………うげぇ…………」
腹をビクビクと震わせて、女は半開きにした口から胃液を溢れさせた。
もはやその瞳に抵抗の意思は感じられない。
「だらしねぇおっぱいも少しは濡れて来たか?」
女は頭を垂れ、男が持ち上げた自分の胸の谷間へと顔を埋めながら、
ひたすらそこを胃液塗れにしていた。
繋がれた手首にぶら下がるようにして揺れる姿からは、
彼女が既に両足で自分を支えきれない事が伺える。 すると男は女の乳肉から手を離し、彼女の手枷に繋がった鎖を緩め始めた。
鎖と共に女の上半身が前のめりに落ち、途中で停止する。
女の腰が曲がり、尻を突き出す屈辱的な格好となった。
「まだまだ吐き足りねぇよなぁ」
男は女の横に立ち、白い臀部を突き出した女の背に両手を当てると、
彼女の腹を、今度は膝で思い切り突き上げる。
「おがぁっ!」
目を剥き、いっぱいに開いた口からヨダレの糸を引く女エルフの胸が揺れた。
「どうだ。またゲロぶちまけたくなったろうが。
テメェはこれからまた、無様に吐かされるんだよっ」
「げえっ! ぐふっ!」
2度、3度と男が膝を突き上げて来る。
それは彼女の口から、胃の内容液が放出されるまで止まなかった。
跳ね上がる背中を両手で抑えられ、硬い膝頭が女の胃袋を圧し潰す。
その度に垂れた乳房と突き出した尻肉が震えた。
腹が何度も陥没し、女は頭を反らせて呻く。
「ゲェッ! うぶぅっ……うへぇっ……げはッ……うげへえええええええええええええッ!!」
男の期待した通り、女はたまらず吐瀉物を吹き出し始めた。
勢い良く逆流した胃液が、女の口から床石目掛けて滝のように落下する。
ビチャビチャとした音が立ち、たちまち彼女の下に胃液の水溜りが出来上がった。
「がはははっ。やりやがった。立ったまんまでそれだけ吐いてりゃ、
テメェの股まで濡らしただろうによ。全身ゲロまみれになったなら、
俺も約束どおり終わりにしてやれたってもんだ」
胃液を吐き終わった女が、唇を噛み締め、憎々しげな表情を浮かべる。
男はその顔を見て、初めて満足そうに笑った。
女の髪を取り、上半身を起こしてから、さんざんに痛めつけた腹をまた撫で回す。
「まだ吐くモンが残ってるといいな。テメェのココにっ」
ビクビクと痙攣する女の腹部は、泣いているようで男にとって心地が良い。
そしてまだ意識のある女を、もっとブチのめす事が出来る快感。
ズムッ。
胸と臍の間に穴が開くほど拳を捻じ込むと、起こした女の半身が、くの字に折れ曲がる。
「ぐぶぇっ!」
胃液交じりの唾液が飛んで、男の厚い胸板に張り付いた。
「足りねぇな。ゲロ塗れになりたけりゃ、テメェで立ってな」
男が髪から手を離すと、支えを失った女はたたらを踏んだ。
鎖が緩んで胸の辺りまで降りて来た手をぐっと握り締め、なんとかその場に踏みとどまる。
両足が震えていた。
しかしどれだけボロボロにしてやろうとも、裸同然の姿であろうとも、
彼女はどこか凛々しさを失っていない。
乱れた髪の隙間から覗く目は、時に弱気になりながら、必ず鋭い力強さを取り戻す。
男には、それが気に入らなかった。 「しっかり立っときやがれっ」
間髪入れずに女に向かって踏み込んで、腰から拳を突き上げると、
胸の真下から鳩尾を抉ってやる。
「ぐぶうっ!!」
ブルンと音を立てそうな程に乳房が振動し、女の足元がおぼつかなくなる。
肺を圧迫したから呼吸が止まった筈だ。
アバラを折るつもりで強烈に打ち込んでやったので、意識まで吹き飛ばしたかもしれない。
女の太股が傍目にも判る程震えて、やがて膝をガクンと折り曲げた。
鎖に繋がれた身だ。
放っておいても停止する。
そうと知っていながら、男はわざわざ片膝を立ててそれを受け止めた。
そうすると女は自分から、彼の膝に尻を落とす事になる。
「あっ……ああぅ…………はうう……」
せっかく屈辱的な責め苦をしてやったと思ったが、反応は静かなものだった。
呆けた表情でヨダレを垂れ流す女の顔は、既に焦点を失っていた。
股間を押し付けるように男の太股を跨いだ格好で、ゆるやかに失禁している。
男の足に暖かい染みを広げながら、白目を剥き始めた。
半開きの口から糸を引く唾液は胸元に溜まってようやく谷間を抜ける程になっていたが、
臍へと届くのにさえ、まだまだ量が足りない。
男の決めた拷問の終わりには程遠かった。
それだけ、いたぶり倒せるという事だ。
「おい。気をやって終わるなんて思うんじゃねぇぞ」
男は、力の抜けた女の腰に手を回して引き寄せる。
脱力して無防備な下半身を持ち上げてから、手を放した。
女の股間が、膝に落ちる。
ドスッ!
「げはっ」
白目を剥いたまま、女は口から唾液を吐いた。
膝から落ちそうになる相手を捕まえてもう一度、持ち上げる。
ゴツッ!
目の前で女の乳房が揺れた。
尾てい骨に膝が直撃した音が聞こえる。
「ひぐぅ」
尻の急所をしたたかに打ったとあって、意識を失っていても、女の口から悲鳴が漏れる。
今度は丸い尻肉をギュっと掴んで、もっと高く持ち上げた。
そしてまた、自分の膝に目掛けて突き落とす。
股を開いた女のケツが落ち、硬く大きな膝頭に激突した。
「ひぎぃっ」
背を反らして短く呻いた後、女は脱力した。
白目を剥いたまま、揺らした胸を押し付けるようにしながら、しなだれて来る。
泡を吹き始めていた。 男はしばらくそうやって、人形のように力の無い女の身体を弄んで楽しんだ。
くびれた腰に手をかけて持ち上げると、彼女の全身が打撲で変色しているのがよく解る。
特にへそ周りが最も酷いようだ。
呼吸とは別の動きでヒクヒクと痙攣するそこを見ていると、男の嗜虐性が刺激され、
もっと嬲ってやりたくなる。
男が女エルフを膝から下ろすと、彼女は天井から伸びた鎖にぶら下がって、
床に膝がつくギリギリの高さで揺れた。
臍を蹴るのに丁度よい高さだ。
たっぷりと痛めつけた女の臍は、少し触れただけで勝手にビクビクと痙攣する。
男は女の前に立ち、片足を上げると、膝を曲げ、ぶら下がって伸びきった彼女の臍を、
全力で蹴りつけた。
ドボオッ!
「うぐぅっ!」
大きく腹を凹ませて、女が吹き飛んだ。
鎖に繋がれて戻ってきた彼女の身体を男が受け止める。
グチュッ!
「へえうっ!」
受け止めながら拳を突き立ててやると、女の腹と胃袋から水っぽい音がたち、
唇から瞬く間に胃液が溢れ出た。
仰け反って横に広がっても、まだ盛り上がっている胸がビクビクと暴れ出す。
喉の奥から溢れた液体に気泡が生まれていた。
「ごぶっ、げぶっ、げぼっ」
苦しさに咳き込みながら、女が目覚める。
自分で吐き出した胃の内容物で、溺れかけているのだ。
男は女の髪を掴むと、その身を強引に立ち上がらせた。
途端に唇から顎を伝ってボタボタと零れ出した胃液が、咳き込んで揺れる谷間に一旦留まり、
下乳から痙攣する鳩尾を伝って流れ落ちる。
「げっ、げほっげほっ、げほっ、げふっ」
窒息しかけた女が咳き込みながら必死に空気を取り込んでいる。
谷間にたまった胃液が全て零れて、黄色い液体が痙攣する臍の窪みに入ったところで、
男の拳が臍ごと女の腹をペシャンコにした。
「うぐぅっ、ぐっへええええええええっ!」
女の腹から胃液が飛び散る。
意識が戻った途端、女は目を見開いて、血反吐を吐く羽目となった。
腹の中をぐちゃぐちゃにかき回された気分だ。
意識を失う前より酷い苦痛が彼女を襲い、制御の利かなくなった下半身がすぐに漏水し始めた。
「また漏らしやがったか。ゆるい股しやがって。ここがそんなに弱いか」
男の無骨で太い指が臍に触れると、それだけで女は絶叫する。
「うわあっ、うわあああああああああっ」
何度となく小便を漏らした股が、再び勢い良く潮を吹いた。 今の女にとって、臍は舐められただけで気絶しかねない程に、敏感な器官へと変貌したらしい。
女は泣き叫びながら男の首に腕を回して抱き付いた。
腰が砕けて一人では立っていられないのだろう。
「何だ? そっちの方に目覚めたのかよ」
男は下卑た笑いを浮かべると、何度と無く圧し潰した女の臍に指を入れた。
「ひぃっ、ひぃぎいいいいいいいっ」
男にとっては軽く押し付けただけだったが、もはやそれだけの刺激で、女は泣き叫ぶ。
男の肩に爪を突きたて、強く掴んだ。
押しただけで泡を吹きそうな勢いだ。
男は試しに臍穴の奥にある皮膚を指で押しながら、なぞりあげてみる。
「ひぎぃっ、ふひいいいいいいいいいいいいいいっ!」
すると女は、男から離れようと仰け反りながら自分の腹を見た。
臍に指の入った女の腹はビクビクと波打っている。
「まるでヘソマ○コだなっ」
そう言って女の顔を覗き込むと、今にも泣き出しそうな表情で、女が首を振る。
男の指を包むように、臍がヒクヒクと蠢いた。
追い討ちをかけるように、男は臍の内側を指でぐるっとかき混ぜる。
「げはぁっ! ふげっぐおおおおおおおおおおおおおおっ!」
もはや獣のような悲鳴を上げて、彼女は再び男にしがみつき、その背に向けてゲロを吐く。
「何してやがるクソがっ。人に汚ねぇモン、ブチ撒けやがって」
途端に男は臍から指を抜き、今度は大きな手で臍ごと女の腹を鷲掴みにした。
彼女は悲鳴を上げながら男の前で再び首を振る。
涙目で許しを請うているようだ。
男はニタリとした笑みを漏らすと、女の腹をじっくりと捩じり始める。
「や……やめろ……」
掠れた声で女が囁く。
「やめて下さいだろうが」
男は殊更下卑た笑みを浮かべてみせた。
彼ら拷問者の役割の1つに、奴隷の調教がある。
男、女、少年、少女。
男は手下と共に、多くの奴隷を売り物に変えて来た。
その経験で判る。
この女は商品になる。
それも、とびきりの上玉だ。
何人死んだか知らないが、手下3人の命と引き換えなら、安い買い物だったのかもしれない。
そう考えながら、男は女の腹を掴み、捩じり上げる。
女は再び首を振り、潤んだ瞳で許しを請う。
「うっ……くぅっ……や、やめ……て……」
男は女の腹から手を離した。 安堵したのか、女が下を向き、深い吐息を漏らす。
その目の前で、男の指がまっすぐに揃って手刀を作った。
先端に、自分の臍がある事に気付いた女が顔を上げる。
驚愕の表情を浮かべた女に向けて、男がニタリを下卑た笑みを浮かべて見せる。
「テメェのヘソマ○コの具合を確かめてやる」
「や、やめ……て……下さ……」
「時間切れだ」
男の手刀が女の臍と腹を突く。
触れただけで泣き叫び、いじっただけでゲロを吐いてしまう程、今の彼女の臍と腹は過敏だった。
もはや性器以上の反応だと言える。
そこに男の指が埋まったら、どんな反応を起こすか。
「かはっ!」
女は短く呻いて仰け反った。
男はあらかじめ女の腰に腕を回して逃げ場を奪っている。
剥き出しのおっぱいを突き上げるように、目いっぱい仰け反って震える女の頬に、
黄色いヨダレの筋が幾つも出来上がっていった。
彼女は何度も何度も叫んでいた。
悲鳴さえ、声にならないのだ。
ただ目を見開き、胃液交じりの唾液を吐き続け、盛り上がったおっぱいをブルブル震わせて、
幾度となく身体を跳ね上げ、遂に彼女は脱糞した。
「んぎいいいいいいいいいいいいいいっ!」
絶叫と共に透明な液体が、女の尻肉の間から音を立てて吹き出している。
「あがっ、ひぃっ、んあああああああああああああッ!」
長い間、水と塩しか与えられなかった女の腸には水分だけしかなかったようだ。
しかしそれは確かに、尻の穴で行う排泄行為だった。
それはこれまで以上の恥辱を、彼女に与えた事だろう。
「ひゃひぃっ! うっ、う、うわあああああああああああああっ!」
犯して大人しくなる奴隷もいる。
殴って大人しくなる奴隷もいる。
この女に必要なのは、屈辱だと、男は考えていた。
重要なのは、自我を奪う事。
自我を奪うには、絶望を与える事だ。
その相手が最も嫌悪する事を、繰り返し繰り返し、実行してやればいい。
女は排泄している間中、長い髪を振り乱して首を振り、叫び続ける。
そうやって、精神を保っているのだろう。
しかし、男の目には、彼女のプライドが、水と一緒にケツの穴から吹き出しているように映る。
叫ぶ女の尻肉を、男は両手で掴み上げた。
指の隙間から余った肉が溢れる程強く握り締める。 「うわああああっ、あ、あへぇっ! あっ……うっ……ひっ、ヒィィィィィィィィッ!」
排泄中に尻を捕まれるなど、初めての経験だろう。
そしてそれは、この恥ずべき行為が男に監視されているだのという事実を、
嫌でも女に自覚させる筈だ。
羞恥のあまり、女が再び白目を剥く。
一際唾液が溢れ返り、舌がだらしなく伸びる。
そして屈辱にまみれた排出がようやく終わると、女はただ呆然としながら男の胸に凭れて、
荒い呼吸だけを繰り返していた。
「男の前でクソまで漏らした気分はどうだ?」
たっぷりと後悔の時間を与えてから、男は女の顎を掴んで、その顔を自分へと向ける。
その目は虚ろで、開きっぱなしの口からは変わらずダラダラとヨダレが落ち、
胸の谷間に驚く程溜まっていた。
痛々しい程に卑しい女に見える。
「聞こえてんのか? 自分の名前を言ってみやがれ」
「……………………イル、マ……」
長い耳の女エルフは、掠れた声で呟いた。
「いいか、テメェは奴隷だ。これから俺の命令には全て服従しろ。いいな」
女は呆けたままコクンと頷く。
「返事をしろっ」
男がイルマの臍に触れると、彼女は必死に何度も頷いた。
「は、はいっ……。ゆ、許して……下さい……」
涙目で許しを請う。
無事に自我が崩壊したようだ。
「まずはテメェが汚した俺の身体を綺麗に拭え。テメェの口と舌でな」
「は、はい……」
イルマは長い髪を揺らして頷くと、男の首に回した腕を引っ張って、まずはその首筋に、
そして胸元に、吸い付くようなキスをする。
同時に自分の舌で、男についた自分の汚物を舐め取った。
それは、自尊心を投げ捨てた行為だった。
首に手を回したまま、自分がゲロを撒き散らした男の背中まで回る。
うなじから肩にかけて、同じように唇を押し付け、舌を伸ばしてチロチロと愛撫するように、
汚物を丁寧に舐め取っていく。
「赤鼻、背むし、坊主。誰か生きてるか?」
男は女の愛撫に身を任せながら、周囲に転がる男達に声をかけた。
誰からも返事は無い。
坊主は腕が折れたと泣き喚いていた筈だが、今はピクリとも動いていない。
「お前ら死んだのか? まだ生きてやがったら、俺が天国を見せてやる」
女のはだけた乳房の先端が、背中に当たっているのが分かる。
十分に従順な奴隷となった今、女エルフの豊満な身体付きは、
男の性欲を沸き起こすのに満ち足りて有り余る。 汚れた服など脱ぎ捨てて、このまま全身をしゃぶらせようかと思い始めた。
手下の誰かが生きていれば、同時に慰めさせてやろう。
「赤鼻、背むし、坊主。お前ら………ぐぅっ」
突然、男が呻き声を上げた。
自分の首に手をやると、何かが喉元に食い込み、気道を塞いでいる事に気付く。
「貴様が見るのは天国ではない。地獄だ」
そう言ったのはイルマだ。
イルマが男の背に足を立て、手元に繋がれた鎖を使って男の首を締め上げている。
その声は、弱々しく許しを請うていた先程とは、まるで別人だった。
男は鎖を緩めようともがいたが、既に首に深く食い込んで、
そうそう外せるものではなくなっている。
窒息させる前に、その首をヘシ折るつもりなのか、全体重をかけた女が鎖を引いているのだ。
もともと鎖を緩めたのは男だ。
その余った鎖の長さを用いて、イルマは男の首を絞める機会を、ずっと探していた。
鎖を首に巻くために、イルマは男の首に腕を回して抱き付いた。
しかし、そのまま正面から首を絞めたところで、損傷の大きな今の彼女の身体では、
腹を一発殴られたらお終いだ。
硬直し、ヨダレを溢している自分の姿が浮かぶ。
相手の反撃を受けない場所から締め上げる必要があった。
男は両腕を振って暴れたが、背中に足を立てたイルマの身体を掴む事は出来ない。
背後に回るため、イルマは男にキスをした。
完全に回り込むまで、男の気を逸らせる必要があった。
どうやっても背中の女に手が届かない事を知ると、男は身体を振って暴れ回り、
ついには背中から倒れこんだ。
自分の体重で押し潰そうとしたのだが、その前にイルマは飛び退く。
彼女にとっては、想定の範囲だった。
逆に男は自分の体重で、首の鎖が更に締め上がる結果になる。
「あ………がががががっ……」
男が口から泡を吹いた。
最後の時が近いようだ。
「覚えているか? 私は、貴様は死ぬと言った。私が殺すと言った。その約束を、今果たす」
裸のエルフが雄叫びを上げ、髭面の男は断末魔の叫びを上げる。
イルマが力の限り鎖を引くと、天井の留め金が外れ、男の首の骨が音を立ててへし折れた。
熊のような男が倒れる。
引きずられてイルマもその場に崩れ落ちた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
男に重なるように仰向けに倒れた女は、乳房を激しく上下させながら荒い吐息を繰り返した。
もう彼女以外に、この部屋で息をする者はいない筈だった。
「う、うげぇっ!」
吐き気がこみ上げ、痛めつけられた腹を押さえて、イルマは何度かその場で吐いた。
起き上がろうとしただけで、紫色に変色した腹が悲鳴を上げている。
「ぐっ……ハァ、ハァ、ハァ」
死んだ男に向けて胃液をブチ撒けながら、彼女はなんとか立ち上がる。
それから男達の身ぐるみを剥ぎ、鍵を探してまずは手足の枷を外した。
そしてボロ服で身を包む。
傷が癒えるまで、何処かに身を隠さねばならない。
ニンゲンの目が届かない場所へ逃げおおせるまで、彼女の苦難は続く。 これはまたGJ
勝ったのにダメージ残ってる描写はいいよな
ダメージが累積したまま苦難の旅路が続くんだろうなあ スゲぇ・・・こうもハイレベルでGJなSSが定期的に降りてくるスレってそう無いわな
やっぱ腹責めの潜在需要て結構あるんかね? ピンチに堕ちた女が、ギリギリのとこで自力で反撃して脱出って素晴らしいシチュ
が、往年の西村寿行ぽくて良い。 むっちり美女新入社員のパッツンぱっつん気味のブラウス越しに腹パンAge 投下します。
長いので前後にぶった切りますが、途中規制かかった場合、
そこから先は後半に含めます。
腹パンチで感じる子達の
イチャラブエロレズ系となります。
エロレズ描写が強めで、スレ的にはかなり斜め上な感じになっていると思いますので、
取扱い注意願います。
『パラフィリアって知ってる?』
『C組の加奈子って、彼氏とエッチの時使ったっら全然痛くなかったって言ってたよ』
『あれ違法なのよ。一斉取締りがあって…………』
『今はまだ合法だから使うなら今のうちらしいってさ』
『すっごい気持ちいいんだってさ!』
『全然気持ちよくなかったって』
『めっちゃ流行ってるみたい』
『男子には効果ないらしいよ。藤木が使ったって』
『なんでも地下クラブがあって……』
『アイツこの前ガッコやめたじゃん? 普通のお水よりずっと稼いでるって噂だよ』
『ボコボコに殴られて入院しるけど、意識不明だって……』
『違う違う。薬自体に依存性はないんだけど、あの気持ちよさ知ったら
普通のセックスじゃ満足出来ないんだって』
『会員制の配信ってのがあってさ……』
「いらっしゃい。おや、今日は友達連れかい」
大きなマンションの一室で、扉を開けて私達を出迎えたのは、サイドの長いショートカットの女性だった。
ブラトップにホットパンツ姿のラフな格好。
「色々ストレス溜まってる子だからさ。無理やり引っ張って来ちゃった。いいかな? 聡子さん」
ここに来るまでずっと考えていた台詞を言おうと私も口を開きかけたのだけど、隣の美香に先を越された。
ショートカットの女性のどこか眠そうな瞳が、私の頭から爪先までをざっと見回す。
ふむ、と呟いて彼女は私達に背を向けた。
「取り合えず入りな」
「あのっ……!」
意を決した私の声に、部屋の中に戻ろうとしていた彼女が振り返る。
何?
瞳だけでそう語っていた。
「私、やっぱり帰ります。お金、持ってないですし」
どうしても不安が拭えない。
美香を信頼してないわけじゃないけれど、よく考えもせずに知らない事に首を突っ込むべきじゃないと思う。
「お金? いらないよ。玄関開けっ放しヤだから、取り合えず入っておいで」
私の苦悩の決断をあっさりと否定して、女性は部屋の奥に向かっていく。
鞄を両手に抱えたまま、立ちぼうけの私の背を、美香が押してきた。
「ほら、入るよさくら。おじゃましまーす」
そうして強引に、私は聡子という女性の部屋に上がる事になった。
通されたのは20畳位ありそうな広いリビングダイニング。
いかにもドラッグパーティーを開けそうな雰囲気だ。
「今日はどっち? 見る? やる?」
「聡子さん、先週はやったの?」
美香は鞄を置くと、TVの前のソファにどかっと腰を降ろした。
キッチンから「やったよー」と返事がくる。
「勝った? 負けた?」
「アタシが負けるわけないっしょ。イかせまくってやった」
私は所在なく美香の隣にとりあえず立っている。
何の話かも判らない会話に強引に割って入れる性格じゃないし。
「それも見たいなァ。でもさくらにはどっちが先がいいだろう。
あ、この子の名前、さくら、ね」
ソファーの上で胡坐をかいた美香は、仕事上がりにネクタイを外すサラリーマンみたいに
制服のリボンを外していた。
美香は私より小さいけど、物怖じしないタイプで、堂々としている仕草はおじさんくさいとよく言われる。
スポーツが得意で活発な子だ。
一方の私はどちらかと言えば大人しいタイプ。
「は、はじめまして。さくら、です」
突然話を振られて、慌ててキッチンに向かっておじぎする。
思わず深々と下げた頭を上げると、背中の長い髪が肩からバサッと前に落ちる。
私は物怖じする方だ。
顔を上げると目の前に聡子さんが立っていた。
「よろしく。聡子ダヨ。とりあえずコレ、お近づきの印」
聡子さんは片手に挟んだ2本の小瓶を胸の前で振っている。
ブラトップから僅かに胸の谷間が覗いていた。
しっかりとした身体つきで、ラフな格好だけれど、健康的な色香の漂う人だ。
小瓶のうち1本を私に、1本を美香に手渡す。
それはプラスチック製のアンプルみたいだった。
脱いだリボンを片手にぶら下げたまま、美香はさっそくアンプルの中身を飲み干していた。
促されるまま、私もそれを飲む。
アンプルの先端をポキっと折って、小さな容器の内側で揺れる透明な液体を口に運ぶ。
臭いはなく、微かに甘かった。
「それがパラフィリア。理解するにはまず飲んでみるのがてっとりばやい」
これが、噂の薬。
私、飲んじゃった。
合法かどうかも怪しい薬を、まさかホントに飲む事になってしまったなんて、まだ実感がない。
別に騙されたわけではないし、事前に美香からパラフィリアを飲むとは聞いていた。
いいストレス解消になるし、悩みなんか全部吹っ飛ぶからって。
でも、結局最後まで自分は手を出さないで終わるんじゃないかって、そんなつもりでいたのに。
なんとなく、どこか他人事にように物思いにふけっていた私を、聡子さんの次の一言が現実に戻した。
「じわじわ効いて来るから、今のうちにさくらちゃんも制服脱いじゃいな」
「え? ぬ、脱ぐ!? 私『も』!?」
言葉通りだった。
美香は既に制服を脱ぎ、ソファの上で下着姿になっている。
「え? 嘘っ、美香。何やってるの?」
てっきり美香が錯乱しているのかと慌てる私の前で、美香は下着姿のまま平然とソファの上で胡坐をかいる。
「聡子さんは飲まないの? 3人でやろーよ」
「アタシは今日はやらない。初心者がいるんだから、危なくないように見張っとくヤツが必要だろ。
それより、美香は下着の替えあるだろうからその格好でいいんだけど、さくらちゃんは持ってんの?」
私は黙って首を振る。
聞いてない。
「ごっめーん。言い忘れてた」
美香はカラカラと笑っている。
酔っ払ってるんじゃないだろうかと思う事もあるが、だいたいこの子はいつもこんな調子だ。
美香の調子に呆れたのか、額に指をあててため息をつく聡子さん。
それより気になるのは……。
「あの、やっぱり、危ないんですか?」
「ハメ外しすぎなければ危ない事はないよ。それより、替えがないなら裸の方がいいと思うんだけど?」
「こ、ここでですか? む、むむむ無理です」
ブンブン首を振る私。
髪が凄い勢いで揺れたに違いない。
聡子さんが慌てて仰け反っていた。
「ならせめて水着に着替えな。アタシの貸したげるし、シャワールーム使っていいから」
「さくらってば、すっごい巨乳だよ。聡子さんので入るかなぁ」
な、何て事言うのこの子。
慌てて否定しようとしたら、脇から伸びてきた腕が私の胸をムギュっとする。
「きゃあっ!」
思わず悲鳴を上げてしまう。
「さくらとなら、私も一緒に裸になってもいいよ」
下から胸を持ち上げるように揉んでくる背後の美香を振り払うと、私は胸を庇った。
顔がちょっと熱くなってくる。
「酔っ払ってるんじゃないの美香!?」
美香は下着姿で両手をニギニギしながら、げっへっへと変な笑い声を作っている。
むしろ私の方が酔っ払ったみたいに真っ赤になっているかも。
「失敬な。アタシだって胸はそこそこある」
人の水着を借りるのは変な気分だ。
ほのかに洗剤の香がして、綺麗にされているし、嫌な気分ではないのだけれど。
「だいぶ際どいよね、コレ……」
鏡に映った自分の姿を見ると、恥ずかしくて再び真っ赤になっていた。
もともとハイレグタイプの水着だと思うんだけど、縦にざっくりとV字の切れ目が入っていて、
谷間どころか下乳まで見えているし、お臍も丸出し。
一応左右の布地は横紐で繋ぎとめられていたが、横幅が足りないせいで左右にも乳肉がはみ出している。
包まれている感じが全然しない。
この、隠しようのない無駄に大きな乳を呪いたい。
「終わった? 入るよ」
「え? ちょっと、ちょっと待って」
美香の声が聞こえると、私は慌てて自分の髪を胸に向かって垂らした。
せめてもの抵抗だ。
すぐに扉が開いて、私のいるシャワールームに美香が入って来る。
「うわっ。なんか下着よりエロいよ、それ」
「口に出して言わないでよ」
下着姿の美香に言われると余計にへこむ。
私は両手で顔を覆って俯いた。
「おや。ほんとにおっぱい大きいな。似合うじゃん。アタシのリンコス」
聡子さんの声も聞こえる。
リンコスって何?
気にはなったが、顔を上げたくない。
「さくら。ほら、もう顔上げなよ」
私は俯いて顔を隠したまま、首を振った。
こんな格好して何やってるんだろう、私。
涙が出る程恥ずかしくて、頭がぼーっとしてくる感じだ。
「顔上げないなら、このまま始めちゃうよ?」
始めるって何を?
わけが判らなくなってくる。
そもそも私はなんで、ここにいるんだろう。
「もうパラフィリアの効果出てるよね。私が使い方、教えてあげる」
美香の手が、私の肩を掴んでそのまま壁際に押し付けた。
露出した素肌に当たる壁が冷たい。
パンッ! という音がシャワールームに響いた。
何を始めるの?
そう尋ねる前に、私の口から別の声が出る。
「うぅっ!」
不意にお腹にやってきた衝撃に、私は呻き声を上げていた。
顔を覆っていた両手を開くと、お臍のあたりに美香の腕が見える。
美香が、私のお腹を、殴ったの?
「なに……を……」
驚きと、悲しみと、怖ろしさと、色々ごちゃまぜになった感情に押し潰されそうになっていたのに、
すぐにそれらが全部、消し飛ばされた。
「はぅうっ!!」
自分でもびっくりするような、これまであげた事のない種類の声で、私は叫んでいた。
美香は、相変わらず悪びれない様子で腕を引き、再び私のお腹にパンチする。
「やっ…………きゃうっ!」
私が抵抗しようするより早く、美香のゲンコツは私のお臍の上あたりを押し上げた。
「くふぅうっ!!」
またおかしな声が上がってしまう。
パンチされたお臍から下腹のあたりまで、生まれて初めての感覚に満たされていくのを感じる。
「大丈夫? 苦しくない? さくら」
優しく問いかけてくれるのに、美香は私のお腹をまた殴って来た。
「はぐぅっ」
声があがる。
私はビクンと震えた。
痛いし、苦しいよ。でも……。
「気持ちいい?」
下から見上げて来る美香の問い掛けに、私は、微かに頷いた。
息が荒くなって、水着からはみ出した胸が大きく上下するのが自分の目に映る。
何がどうなってるの?
視線を走らせると、ドアに凭れかかった聡子さんと目があった。
「もっと強くするよ? もっと、気持ちよくなるから」
ドブッ!
「ぐふぅっ!」
私のお腹が音を立てる。私は声を上げ、口から唾が飛んだ。
最初は、凄く苦しい。
聡子さんは腕を組んで黙ったまま、こちらを見ている。
彼女が動かないのは、まだ、危険ではないのだ。
そう、信じる事にした。
私のお腹から下腹部へと、脈打つような感触がじわじわ下りていく。
その間中、痺れるようなパルスが全身を駆け巡っていた。
それは、脳の奥まで蕩けるような、とてつもなく気持ちのいい感覚だった。
ドボッ!
「ぐふうっ!」
また衝撃がやって来た。
ポニーテールの友人は、私を壁際に押し付たまま、逃げ場のないお腹にパンチを食らわせる。
むき出しのお臍周りのお肉がへこんでしまう程、本気のパンチ。
でもそれは鈍い痛みで、すぐに腰が溶けてしまいそうな感覚で上書きされる。
「痛いのもすぐに消えて、もっと気持ちよくなるよ」
美香の言葉に私は首を振って、何かを口走った。
それを聞いた美香は嬉しそうに私の肩から手を離す。
「パラフィリアは痛みが強いほど、その何倍も気持ち良くなるの」
どんどんと、頭がぼぅっとしきた私は、美香の言葉を理解出来ているだろうか。
もう、頭の中が真っ白になりそう。
私は立っていられなかったみたいで、ずるずると壁添いに落ちていく。
背の小さな美香の顔が正面に来て、それから私の上に来る。
眼下を何かが横切った。
一番の衝撃が私を貫く。
「げぶぅっ!!」
我ながら酷い声で叫んで、私は口内に溜まった唾液を一斉に吹き出していた。
気付けばその場に崩れ落ちている。
そして美香の背後に鏡があるのに気がついた。
そこには知らない少女の顔が映っている。
その少女は水着姿で、鏡餅みたいに兎に角大きな乳が目立つ。
少女は美香にお腹を踏まれながら、シャワールームに殆ど寝そべるように転がっていた。
両足を投げ出して座り込む様子はだらしがなく、無駄に大きな乳なんか水着から片方がはみ出てる。
乱れた長い黒髪に埋まった顔なんて、どこか嬉しそうに頬を染めながら涎を溢していた。
完全にイっちゃってる人の顔だ。
彼女は何か呟いていた。
「いい……気持ちいいよ、美香ぁ……私、どうなってるの? 今、凄く、気持ちよくなってる………」
鏡の中の痴女は、自分と同じ声をしている。
「あはははっ。さくら可愛いっ。しっかりパラフィリアが効いてるね。
私にお腹踏まれて感じるてるの?」
美香が、私の顔を上から覗き込んでくる。
ポニーテールの可愛い顔が近づいて来るにつれて、
私のお臍の乗った彼女の足もぐっと私の中に踏み込んでくる。
「うっ、んっ! ……気持ち、いいよ。美香の足、気持ちいい……お腹……気持ちいいよぉ……あっ!
な、何!? 何か……くっ……来ちゃっ……!!」
唐突に下半身を貫いた快感に、私の腰が勝手に大きく跳ねあがって、美香の足を持ち上げる。
「イクの? イキそうなんだね? 私がさくらをイカせてあげる。いいよねっ、聡子さん」
美香が振り返る。
「胃の辺りを軽く踏んでやりな。多分イクから」
聡子さんの声に美香は頷いて、仰け反った私の腹を踏んづける。
「ダメッ、何か来ちゃっ…………げお゛お゛ぉっ!」
足の裏で踏まれた胃から中身が逆流し、口から零れる。
僅かではあったけど、私は嘔吐がこんなに気持ちのいい行為である事に、初めて気がついた。
どうして今まで、こんなに気持ちのいい事を、私はしていなかったんだろう。
真剣にそう思うほど、それは素敵な体験だった。
そしてその悦びは、私の陰部にトドメを刺した。
「あっ! イクっ、イクッ。美香っ、私、多分イクッ! いっちゃっ……はぅぅぅっ!!」
美香の足に踏まれて感じるお腹の快感が、私の腰、もっと細かく言うと足の付け根、
ううん、もっと直接的に言えば私の股間に響き渡る。
これって、アクメ?
エッチの経験もないそこに、いきなり性的な快感が津波のように打ち寄せて来る。
一発で下半身が崩壊し、何処かがきゅぅっとなる感覚だけがかろうじて判った。
「気持ちいい? さくら」
「いいっ、ひぃぃぃっ! きっ、きもっ、きもひいいよぉ………ひぃっ!
わっ、わらっ、わらひっ、はっ、初めて………いっ………ひぃっ!」
絶頂の津波は止まる事なく、繰り返し私の下腹部を打ちのめしにやって来る。
目を開いている筈なのに、辺りは真っ白で何も見えない。
きっと美香の足が私の胃袋の上に乗ったままなせいだ。
「あっ……ひぃ……とっ、とまららひよぉ…………」
呂律が回らない。
誰かがシャワーから水を出したのか、どこかでビチャビチャ音がする。
イクのって、こんなに気持ちいいの?
止まらない。
気持ちよすぎるのが止まらないよ。
なんだか辛くなって来る。
「さくら?」
「あひぃっ、あひっ! あひぃっ! 」
答えたいけど、言葉にならない。
叫び続けていないと自分がどこかに吹き飛んでしまいそうになる。
アクメって、こんなに長いの?
さっきからずっと目の前で強烈なフラッシュが炸裂していて、何も見えない。
「さくら…………さくらっ、さくらっ」
何度も美香の声がする。
待ってよ。まだ声が出ない。
私の名前を呼び続ける美香の声を聞き続けながら、私はなんとか答えようと頑張った。
「あ……美香……」
ようやく喋れた時には、目の前のフラッシュも収まって、美香の顔が見えた。
とても困った顔をしている。
「どう、したの?」
「どうしたのじゃないよ。いきなりさくらが気絶しちゃうから、心配したんじゃんか」
「え? 嘘っ。いつ?」
「今っ! 今までさくら気を失ってたのっ。白目になって返事しなくなってたのっ。ちょっとの間だけど」
「やだっ。なんかそれ、恥ずかしい……」
頬に手を当てて俯くと、もっとずっと、恥ずかしい物が目に映った。
水着がずれて、左の乳首が丸出し。
「ひゃっ!」
慌てて水着を戻して、両手で胸を隠した。
その後、座り込んだ私の周りだけが、水浸しなのに気付く。
いつの間にか水着もぐっしょりと濡れている。
気絶している間に誰かが私の腰にシャワーを当てたのでなければ、どうみても…………。
「ヤ、ヤダッ。コレッ。私っ、借りた水着に…………ごっごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなさい」
私はまた両手で顔を隠して俯いた。
そういえば、気を失う直前に、水が落ちる音が聞こえていた。
あれはシャワーの音じゃなくて、私?
最悪だ。この年でお漏らししてしまうなんて、羞恥のあまり顔から火が出る。
「それが判ってて水着にさせたんだから気にするな。最初は皆そうなる。
美香なんか未だにおしっこ漏らすし、うちにパンツ干して帰るぞ」
「いいじゃん。気持ちいいんだし、シャワールームだし…………」
涙目の私が顔を上げると、若干バツが悪そうに美香は視線を逸らした。
微かに頬が赤い。
彼女も恥ずかしいのだと判ると、少し安心した。
「あと、気付いてなさそうだから言うけど、さくらちゃんのはおしっこじゃなくて潮吹き」
「なっ…………!?」
続く言葉も出てこない。
「ふっふっふ。さくらってばぁ〜。私に踏まれてそぉんなに気持ちよかった?」
腰に手を当てながら、美香がしたり顔でにじり寄って来る。
おしっこと潮とどっちが恥ずかしいのよ。
そう思ったけど、とても口には出せない。
私はほっぺをつつかれながら、美香に踏まれたお腹に手を当てた。
そして、黙ったまま、小さくコクリと頷いた。
本当に、恥ずかしい。
でも、気持ちよかったよ?
美香の言った通り、イヤな事が全部吹き飛ぶくらい。
その思いだけは、少しだけ、美香に伝えたかった。
「うひゃぁ。さくら大胆。素直〜」
すかさず美香が茶化しながら抱きついてくる。
「飲んでから20分位か。もっと2人でやったら?」
聡子さんは脱衣所の壁にかかった時計を見ていた。
放置失礼しました。
連投規制にすぐ引っかかるので、これ以降の投下は諦めます。 好き放題使える会場も提供されました スッキリしませんか?
【ストレス】荒らしの気分を味わい隊【発散1】
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mog2/1398392710/ 韓国ドラマ「感激時代」17話で今年一番のパンチ発見!
http://tvpot.daum.net/mypot/View.do?ownerid=hv_-_euaoS90&amp;clipid=57201387&playlistid=4101853
1:50あたり〜 >>571
待って頂いてありがとう。ごめんなさい。
まとめwikiさんの方に投稿させて貰ったので、
良ければそちらを。
(_ _ ) < ごめんなさい
ヽノ)
ll 傍線部b、「職人が消えた」理由とは何か。
30字以内で簡潔に述べよ。
『不沈の無神経女』。
それが、女子ボクサー・細貝理緒奈のニックネームだ。
相手選手や観客に対し、配慮のない発言を繰り返す様……だけが由来ではない。
理緒奈が、『痛みを感じない人間』でもあるからだ。
彼女はボクサーとしてデビューして以来、ボディで倒れた経験がない。
そればかりか、苦悶の表情を浮かべた事さえない。
どれほどボディを打たれ続けようと、締まりのない笑みを浮かべたまま相手を蹂躙する。
いかにフライ級のパンチといえど、その様は異常極まるもので、過去には幾度も薬物使用の疑いがかけられた。
しかし、検査で異常は出ていない。
ゆえに理緒奈は“無痛覚症”なのか、と噂されている。
種明かししてしまえば、理緒奈は無痛覚症ではない。
世間が暗黙の内に疑っている通り、試合のたびにドーピングを施している。
仕掛け人は、理緒奈のセコンドである谷内。
スポーツ医学の権威でもある彼の開発した薬が、理緒奈に異常な耐久力を与えていた。
谷内の薬は、摂取した者の交感神経を刺激する。
結果としてアドレナリンの過剰分泌が起き、選手の痛覚を劇的に鈍らせる。
試合中のボクサーが一般的に分泌するアドレナリンの6倍もの量だ。
そうなれば、たとえ車に撥ねられようとも痛みを感じない。
品性と引き換えに、一切のダメージを無視できる体となる。
何人ものボクサーが、このペテンの餌食となってきた。
数知れぬ努力の結晶を踏みにじり、理緒奈は今宵、とうとうフライ級のベルトを獲りにかかる。
日本中の大多数が、王者による返り討ちを期待している事だろう。
『ストイック・ヴィーナス』弓木麗佳……。
アイドル級のルックスを有しながらも、比類なきストイックさで自らを鍛え続けてきた古強者。
その試合内容に博打性はない。どのような相手にも、ボディ打ちを基本とした堅実なボクシングをする。
それはまさしくボクサーとしてのあるべき姿であり、ボクシング界の最後の良心ともいえた。
「調子に乗んなよ、このマグロ女!」
「お前なんかが麗佳さんに敵うもんかよ! 選手としての厚みが違わぁ、厚みが!!」
「麗佳ー、そのガキにボクシングの怖さ教えてやれー!!」
途切れることのない怒号が、四方からリングに浴びせられる。
理緒奈はコーナーに背を預けたまま、トップロープ越しにグローブを突き出す。
親指を下にした、『地獄へ堕ちろ』の形で。
ブーイングがいよいよ苛烈さを増し、ドームに響き渡った。
実にふてぶてしい態度だ。半目の柄の悪い目つき、締まりの無い口元。
鎖骨までのダークブラウンの髪は、その性格を示すように緩くカーブを描き、先端のみ淡い朱に染まっている。
体型は至って普通。ただし、“ボクサーとしての普通”ではない。“一般人としての普通”だ。
腹筋はたるみこそ無いが、割れている様子も無い。
その辺りを歩いている女子校生のセーラー服を捲り上げたような、平々凡々な腹部だ。
とても、タイトルマッチに挑めるような肉体には見えない。
その点で言えば、麗佳などはまるで違う。
腹筋はしっかりと六つに割れ、側筋が実に美しい。
手足もアスリート特有のエッジの利いたもので、けれども女性らしさが損なわれていない。
顔立ちは完全にハーフのそれで、化粧栄えのするものだ。
癖のない黒髪は邪魔にならないよう後ろで括られており、実にスポーティーな印象を与える。
どこを取っても優等生という風で、全く嫌味が無い。
常に喧嘩を売り続けるような理緒奈とは、なるほど好対照といえた。
「タイトルマッチだからと言って、気負う必要はないよ。いつも通りにやりなさい」
谷内は理緒奈の額の汗をタオルで拭いながら、淡々と告げる。
理緒奈は、その忠告を聞いているのかいないのか、小馬鹿にするような表情で対面の麗佳を眺めている。
セコンドアウトが命じられ、リング中央に歩み出る間にも、その表情は変わらない。
「ここで負けて、身の程を知りな。小細工で取れるほど、ベルトってのは軽くないんだよ」
麗佳は静かに告げた。
記者からのインタビューには模範的な回答しかしてこなかった彼女だが、内心では思うところがあったらしい。
しかしその決意をぶつけられても、理緒奈の笑みは消えない。
「残念だけど、無理矢理もぎ取っちゃうから。勝てるわけないじゃん、今のあたしに」
妙にギラついた瞳は、完全に薬物中毒者のそれだった。
かくして、ボクシングの威信を賭けた一戦は始まった。
理緒奈は開始直後にビーカブースタイルを取る。
グローブを噛むような鉄壁の頭部ガード。頭は打てないぞ、さぁ腹を打て。そう誘っているかのようだ。
麗佳はボディ打ちの名手と名高く、本人にその自負もあろう。当然、狙いに行く。
「シッ!」
電光石火。相手の正面に踏み入った次の瞬間、右膝を深く沈めて斜め40度の角度でフックを抉り込む。
ドッ、という鈍い音が、観客席後方にも届いた。
リング上で幾度となく叩き込まれてきた、肝臓直撃の殺人ブロー。
それをもろに喰らった相手の反応は皆同じだ。顔を歪め、体をくの字に折って膝をつく。
しかし……理緒奈は違う。
「ふふっ」
両グローブの端から笑みを覗かせ、挑発するように麗佳の瞳を覗きこんでいる。
「くっ……!」
麗佳が表情を強張らせた。噂には聞いていても、実際にパンチが効かないとなると別物らしい。
特に彼女は、直に殴った事で気付いたはずだ。
理緒奈の腹筋が、事実として柔な事に。
脂肪に隠されたしなやかな筋肉……ではなく、素人の腹筋も同然ながら、ボディブローが効かない。
その異常性にはオカルトめいた怖さがあるだろう。
とはいえ、麗佳も歴戦の猛者だ。特殊な相手と戦うのは初めてではない。
一発で倒れないのなら、二発。二発で倒れないのなら、三発。三発で無理なら……百発でも。
相手が限界を迎えるまで殴り続ける覚悟が出来ている。
「フッ、シィッ!……シッ、フゥッッ!!」
麗佳はボディを打ち続けた。
鋭い息を吐きながら、あらゆる角度から、緩急を織り交ぜて。
後のビデオ映像によれば、丸2ラウンドの間、ほぼ2秒に一発という頻度で攻撃がなされていたそうだ。
当然、理緒奈の腹部には変化が表れた。
刻一刻と赤い痣が広がり、繋がりあい、特に良く打たれた部位は赤黒く染まっていった。
そのダメージは放送打ち切りが検討されるほどの凄惨さで、過度の損傷を理由にTKOが宣告されてもおかしくなかった。
そうならなかったのは、憎き理緒奈がさらに苦しむように、という目論見もあったのだろう。
しかしそれ以上に、理緒奈自身が僅かにも闘気を萎えさせていない事が大きい。
「フーッ……フーーッ…………」
理緒奈は、いよいよ病的にギラついた瞳で麗佳を観察していた。
獲物が弱ったところへ襲い掛からんとする獣のように。
「はっ……はぁっ、はぁっ、はぁっ………………!!」
いつしか息の荒さは、攻める麗佳の方が酷くなっていた。
2ラウンドの間打ち続けだった疲労もあるのだろうが、それ以上に精神的な消耗が激しいのだろう。
深呼吸の合間に見られる、左目尻の痙攣……それが麗佳の動揺を如実に表していた。
転機は、3ラウンド中盤に訪れた。
それまで何十と打ち込まれてきた麗佳のフックが、理緒奈の左グローブに弾き落とされたのだ。
疲労の蓄積で甘く入ってしまったのだろう。麗佳は容易に体勢を崩し、体を開いてしまう。
「っ!」
麗佳が顔色を変えた。
男をそそる絶望の表情。
勘の鋭い女性だ、その表情は、自らの置かれている危機的状況を正確に把握した結果だろう。
ドッ、と鈍い音が響き渡った。
疲労を全く感じさせない、憎らしいほどに綺麗なフォームのフック。
それが深々と麗佳の腹部に沈み込んでいた。
「っがァ…………!!」
麗佳の反応は生のものだ。
目を見開き、口を半開きにして苦悶を表す。
体はくの字に折れ、腕で腹部を庇いながら力なく後退する。
『お、おいおい……効かされたのか!?』
『いや、ありえねぇだろ。麗佳の鋼のストマックだぜ……』
観客席からざわめきが漏れた。
麗佳の耐久力は、同階級の中でもけっして低い方ではない。
しかし疲労が溜まった状態でのボディ打ち、それもほぼカウンターで喰らっては、平静ではいられないらしかった。
理緒奈は渾身の一打を打ち終えた後、静かに構え直す。
ビーカブーではなく、ほぼノーガードに近い構え。もはや守りを固める必要なしという意思表示だろう。
そもそも、力なく後退する相手に追撃しない時点で、舐めた態度と言わざるを得ない。
「へーぇ……フツーはボディ喰らったとき、そういう反応するんだ、チャンピオンでも。
明日からはアタシがチャンピオンだから、参考までに覚えとくよ。
って言っても、アタシにはそんなみっともないマネ、とても無理だけど」
理緒奈は挑発の言葉を投げかける。
誇り高き王者として期待を受ける麗佳は、その挑発を受け流せない。
「煩い!」
短く叫ぶと、足を使って一気に理緒奈との距離を詰めた。
無論、ただ近づくだけではない。ようやく覗いた相手の顎に向けて、踏み込みつつの右ストレートを放つ。
しかし、その動きは万全ではなかった。疲労と腹部のダメージが、1割ばかり彼女のスピードを奪っていた。
ほんの1割、されど致命的な1割。
理緒奈は上体を傾けて悠々とストレートをかわしつつ、斜め下から突き上げるように右拳を振り上げる。
ドッ、と先ほどより重い音がマイクに拾われた。被弾箇所は臍の真上だ。
「うう゛−−−っ!!」
絶望的な呻き声が上がる。アイドル顔負けとされる桜色の唇から、漏れだした声。
『うわぁあーーっ、麗佳ぁっ!!』
どこからか悲痛なファンの声が響き渡る。
その直後、二度目の悲劇が襲った。動きを止めた麗佳に対し、理緒奈が返す刀の左拳を抉り込んだのだ。
防御を捨てた代わりに、相手を痛めつける技術だけは面白半分に鍛え上げたのだろう。
二発目の理緒奈の左拳は、一発目と寸分違わぬ場所……麗佳の優美な臍の真上を抉り上げた。
不意を突かれて力を込め損ねたのか、それとも疲労で力が入らないのか。
6つに割れた健康的な腹部には、理緒奈のグローブが半ばほども沈み込んでしまっている。
『そんな…………!!』
観客の声が先に響き渡った事を考えると、実被害までには一瞬の猶予があったのだろう。
「おご、っが…………ァ………………!!!!」
麗佳はとうとう、顔一面に苦悶の余波を広げた。
目はこれ以上なく大きく開き。
口は女の拳がそのまま入ろうかというほどに開かれ、舌と下部の歯並びを綺麗に覗かせ。
たとえば四肢の一本を失うときでも、人間はもう少しまともな表情をしているのでは。
そう思わせるほどの壮絶な顔つきだった。
ダ、ダン、と耳障りな音がドームに響く。
それは麗佳の右膝、そして左膝が、わずかな時間差でマットに叩きつけられた音だ。
「ダ………………ダウン!!」
レフェリーが、苦虫を噛み潰したような表情で宣言する。
彼も、本心では麗佳の側だろう。ボクシングに真摯な麗佳が、不真面目な理緒奈に制裁を加える事を望んでいるのだろう。
しかし現実には……自らの言葉で、英雄の不利を告げているのだ。なんという皮肉だろう。
『ひぃいいっ、立ってくれぇ麗佳!!』
『う、ウソだろ! あんなに鍛えまくってるの、テレビでやってたじゃねぇか。効かねぇよなあ、なぁ麗佳っ!!』
狂乱が場に渦巻いていた。
その状況を、ニュートラルコーナーの理緒奈は満面の笑みで眺め回す。
「ひひひ、啼いてる啼いてる…………」
デビュー戦で期待のホープを血塗れにして以来、理緒奈には常にブーイングが付き纏ってきた。
そして、それを完勝で黙らせる事を、全ての試合でやり遂げてきた。
今回もそれは同じ。そして今日それが為された時、自分は全国一の強者という称号を得るのだ。
笑いが止まらないというものではないか。
「うう、ぅふぅううぅぐっ…………うふぅっ………………」
麗佳はカウント5が過ぎても、左手で腹部を押さえ、右手でマットを掴みながら這い蹲ったままでいた。
青コーナー最前列からなら、腕の間の表情が覗ける。
右目は閉じ、左目はやや上を向いており、口からは3本の濃密な涎の線がマットと繋がっていた。
目頭から鼻の横を通って流れ落ちる涙の線が、妙に女性らしさを感じさせた。
もう無理なのでは……表情を見た人間の何人かは、早くもそう感じたらしい。
しかし、麗佳はカウント8でマットを押しのけて跳ね起きる。
ボクサーとしての性か。たとえ内股気味であろうとも、確かなファイティングポーズを取る。
『おおおっ、あっさり立ったぞ!?』
『わざとカウント8まで休んでたって訳か。流石だぜ!!』
客席から歓喜の声が上がる。レフェリーもまた安堵の表情を浮かべた。
「ボックス!!」
その掛け声で、闘いが再開される。
肉体的損傷は、比べるまでもなく理緒奈の方が大きい。
しかし現実に表情を歪めているのは麗佳の方だ。
その不釣合いさが、理緒奈というボクサーの異常性を改めて観客に認識させる。
恐怖からか、その余裕すらなくなったのか、いつしか理緒奈へのブーイングは聴こえなくなっていた。
代わりに、希うような悲痛な麗佳への声援ばかりが搾り出されている。
「はぁっ!!」
麗佳はそれに応えようとする。応えることを義務付けられている。
しかし、その動きはいよいよ精彩を欠くものとなっていた。
理緒奈は余裕ある動きで麗佳の攻撃をかわしつつ、積極的に攻勢に出る。
最初の2発で麗佳の動きを止めた後は、小気味良いリズムで左右のフックを繰り出していく。
「ウっ、くぶっ、ン、う゛っ…………!!」
麗佳は左右の脇腹に叩き込まれるフックを受けてよろめき続けた。
そしてコーナーに追い込まれる寸前、尻餅をつきそうになるのをロープに手を掛けて防ぐ。
しかし、素直にダウンしていた方がまだ良かったのかもしれない。
眼前に迫る理緒奈に対し、麗佳はその痛んだ腹部を晒す格好になったのだから。
ギヂッ、とロープが痛々しく軋んだ。
中心から大きくしなったロープ。しならせているのは、腹部に痛烈なストレートを叩き込まれた麗佳だ。
打ち込みは今度も絶望的に深い。
「むぐぅっ………………!!」
右頬の奥を噛みしめ、凛とした表情で前方を睨み据える麗佳。
しかし一見力強いその視線は、どこか焦点がおかしい事に気付くだろう。
強靭なロープが元に戻り、麗佳の肉体を理緒奈の拳に押し付ける方向へと作用する。
そこに生まれるエネルギーを前に、麗佳の体内は耐え切れなかった。
「ぶふゅっ」
その小さな破裂音が麗佳の唇から漏れた。
続いて、しかと引き結ばれていた右唇から、一筋の液体が零れ落ちる。
白いそれは、初めは唾液かと思われた。しかしその一瞬後、誤魔化しようもないほど濃い黄線が上書きされる。
『きゃーっ、吐いてるっ!!』
『うっわマジかよ!?』
『オォイ、マスコミは映すのやめてやれよ、あんなトコよ!!』
場が一気にざわついた。
『ストイック・ヴィーナス』弓木麗佳の嘔吐。そんなものは、今まで有り得なかった。
スクープ性こそあるだろうが、けして公の場に晒されてはならないものだった。
なにしろ、アイドル顔負けのルックスを持つ日本チャンプだ。その広告塔の放送事故など、あってはならない。
数台のカメラが慌てて中継を切る中、麗佳はさらに幾筋かの吐瀉物を吐き出していく。
理緒奈は、それを冷静に観察していた。
そしてちらりとセコンドの合図に目をやった後、追撃として拳を放つ。
しかし、力はない。拳は、軽く麗佳の顎を叩く。失神さえしない程度の軽さで。
『え…………?』
麗佳と観客が、一様にその行動に疑問符をつける。
ヒントは理緒奈の表情にあった。麗佳を見下すような、嘲るような表情に。
そう、彼女は舐めているのだ。本来ならここで仕留められた、けれども慈悲で活かしておいてやる……そう言っている。
その真意に気付いた瞬間、誇り高い王者は激昂した。
「っあ゛あぁ゛ぁ゛っっ!!!」
荒々しい咆哮と共に理緒奈に殴りかからんとする。
しかしその動きは、あろう事かレフェリーによって遮られた。
「くッ!?」
なおも暴れる麗佳に、レフェリーは同じ言葉を繰り返す。
「…………まれ、止まれ! 弓木、ゴングだ、止まれ!!!」
その言葉を認識した瞬間、麗佳は唖然とした表情で動きを止めた。
試合中にゴングを聞き逃すなど、初めてのことだ。
理緒奈の嘲笑が響き渡った。
「あっはっはっ! 基本ルールぐらい守ってよね、チャンピオン。
あとゲロ臭いから、ちゃんと口ゆすいで次始めてよ?」
タブーに躊躇なく踏み込みながら、『不沈の無神経女』理緒奈はコーナーに戻っていく。
場は完全に彼女に掌握されていた。
観客席から失意の溜め息が漏れたのは、けして気のせいではないだろう。
この試合における麗佳の戦いぶりを、蔑むファンはいないだろう。
チアノーゼの症状をありありと顔に浮かべながら、麗佳は果敢に前へと出続けた。
ポイント勝ちに逃げず、あくまで理緒奈の強みである腹筋を攻略して勝とうとする。
それはボクサーとしての、いや人間としての尊厳に満ちた姿だった。
しかしその勇敢さが、麗佳を刻一刻と崩壊へ導く。
6ラウンド中盤、状勢は決定付けられた。
それまで懸命に打ち合いに応じていた麗佳の拳が、むなしく空を切る。
入れ替わりに理緒奈の強烈な一撃が入った。
縦拳の形で接触し、内へと捻り込むように打つ、コークスクリューブロー。それが麗佳の下腹部に突き刺さる。
麗佳の身体がよろめいた。
ロープへ肩を預けるように倒れ、目を半開きにしたまま、グローブで腹部を押さえている。
明らかに様子がおかしい。
「弓木、大丈夫か? ……弓木?」
レフェリーが麗佳の顔を覗き込み、はっとした表情を見せる。
「ふう゛っ…………!」
麗佳は涙を零していた。
優美な顔をこれ以上ないほど歪め、止め処なく涙を零していた。
黒い瞳に宿るのは絶望。自らの身体ゆえに、現在の損傷の度合いもよく解るのだろう。
それでも、諦めない。
ほとんど立っているのがやっとの状態。両の脚を痙攣させながらもなお、麗佳はファイティングポーズを取る。
「やれるのか、弓木!?」
レフェリーは縋るような声で告げた。
本来であればストップも已む無しという状況にありながら、麗佳の勝利を諦めきれない様子だ。
「う……うぅ…………ぁぁ…………あ!!」
麗佳はその期待に応え、猛然と前へ突き進む。
しかしその道の先には、獰猛な肉食獣が大口を開けて待ち構えていた。
麗佳のファン達は、幾度同じ光景を目にしただろう。
麗佳の研ぎ澄まされた打撃が防がれ、逆に理緒奈の拳が優美な腹筋に叩き込まれる光景を。
スタンスを広く取り、十分に力を乗せてのボディ。
それは、麗佳の片足を僅かにマットから浮かせるほどの威力があった。
「う゛っ、ぐぅう゛うっっ!!!」
もはや麗佳に声を抑える余裕などない。
凄絶に顔を顰めながら倒れる麗佳は、その勢いで仰向けに寝転がる。
「はっ、はひっ……ひっ…………!!」
形のいい胸を病的なほど上下させる、痛々しい寝姿だ。
「ダウン!」
レフェリーが苦々しく宣言し、理緒奈へコーナーに戻るよう指示を出した。
しかし。
「ったく、しつっこいなぁ」
理緒奈は苛立ちも露わに告げ、麗佳の傍らに歩み寄る。
「何をしてる。早くコーナーに…………」
レフェリーがなおも告げた、直後。
「さっさと…………落ちろ!!」
理緒奈のグローブが振り上げられた。狙いは、無数の赤い陥没が残る王者の腹筋。
「ッ!? よせっ!!」
レフェリーの空しい叫びと同時に、拳は風を切る。
鈍い音が響き渡る。
そのとき、場の皆が目撃した。六つに割れた麗佳の腹筋へ、グローブが根元まで埋没する様を。
「…………ごっ……ッォぉおおお゛っ…………ッあ………………!!」
えづき声と共に、麗佳のすらりとした右脚が宙へ投げ出される。
焦点を定めず見開かれた瞳、舌を突き出した大口……深刻なダメージが表情から見て取れた。
「ッハァ!」
嬉々として2打目を狙う理緒奈。
それを、レフェリーが突き飛ばすようにして止める。
「もうやめろ! ダウン後の攻撃は反則だ!!」
ロープ際で指を突きつけて注意を与えるが、理緒奈の顔に反省の色は見られない。
レフェリーは思わず減点を宣告しようとする。
そのやり取りの最中、レフェリーの背後では、王者の最後の意地が燃えていた。
腹部を抱えて苦悶しながらも、麗佳は徐々に身体を起こす。
「負け………………る……か………………ッ!!!」
完全に2本足での直立を成した瞬間、麗佳は猛然と駆けた。
レフェリーを押しのけるようにして、全力で拳を突き上げる。
執念の拳は、見事に理緒奈のボディに突き刺さった。
「んっ」
理緒奈が小さく呻く。
さらに一撃、さらに一撃。理緒奈の身体は左右に揺れ、観客席から歓声が沸き起こる。
効いていない筈がない。死力を振り絞った麗佳の連打は、そう思わせるほどインパクトのあるものだ。
けれども理緒奈は、その連打の中で反撃を試みた。
鋭いフック。麗佳は素早く後ろへ下がってそれをかわし、しかしそこで呼吸の限界を迎えてしまう。
「ハッ……はっ、はっ…………ハァッ、はぁあっ…………!!」
顔中に汗を浮かべ、苦しげな呼吸を繰り返す麗佳。
理緒奈は口元に笑みを浮かべ、悠然と歩を進めて彼女に止めを刺そうとする。
しかし、ここで初めて理緒奈に異変が起きた。
歩みだした足がもつれ、そのまま膝から崩れ落ちたのだ。
「ダ……ダウン!」
レフェリーが信じがたいという様子で叫ぶ。客席からの歓声はいよいよ会場を揺るがす程のものとなる。
それもそのはず。これが理緒奈のキャリアにおいて、初のダウンなのだから。
やはり麗佳はこれまでの相手とは違う。ならばこのまま、逆転もありえるのでは。
理緒奈がキャンバスに膝をつく光景は、観客にそうした希望を持たせるに十分なものだった。
けれども……現実は残酷だ。
大多数の人間がどれほど切実に願おうと、結果を決めるのは事実の積み重なりでしかない。
勝利を期待される麗佳に、もはや追撃の余力はなく。
敗北を期待される理緒奈は、生涯初のダウンを奪われた屈辱で、その相貌を獣のように歪める。
「…………よくも………………この……このォアマアァァアッッッ!!!」
理緒奈が吼え、ヒステリックな音を立てながら麗佳に迫った。
「くうっ…………!!」
麗佳はとうに力の全てを出し切っており、構えを保つだけで精一杯だ。
力ないガードは怒り狂う理緒奈の拳によって突き崩され、悪意の塊が臓腑を抉る。
割れんばかりだった歓声がぷつりと途絶えた。
「ごあ゛っ!!!」
痛々しい悲鳴が響き渡る。
麗佳の腹筋は、すでに内臓を守る鎧としての用を為さない。
ただ薄いだけの柔肉となって、暴虐の拳がもたらす衝撃をそのまま内へ伝えてしまう。
「お゛っ、おう、う゛んっ!!」
腹部への連打を受けて後退を続ける麗佳の体は、ついにコーナーへと追い込まれた。
いけない―――!
誰もがそう思っただろう。そしてその直感の通り、そこから王者への残虐な処刑が始まる。
「ぐごぉおお゛あえ゛っ!!!」
拳が深々と腹部へ埋没し、麗佳は喉を潰したような叫びを上げる。
あまりの苦痛に身を捩って逃れようとするが、コーナーに追い込まれては碌に身動きが取れない。
理緒奈の片手で首をコーナーに押し付けられ、もう片手で連打を浴びる。そればかりだ。
「がぁおおお゛ぼっ!!!」
王者の肉体が痙攣し、マウスピースが口から零れ出た。
唾液を纏いつかせたマウスピースは、キャンバスを空しく転がりまわる。まるで、応援する者の感情のように。
本来であれば、即座に試合を止めるべき一方的な展開だ。
しかし、それは麗佳の負けを決定付ける事を意味する。
誰もが麗佳の負けなど望んでいなかった。それがあってはならないと思い続けてきた。
ゆえに、レフェリーも判断に迷う様子で状況を見守っている。
誇り高い王者の公開処刑を。
理緒奈の拳は雨あられと降り注ぎ、元より傷ついている麗佳の腹筋を徹底的に叩き潰した。
ボゴリボゴリと腹が蠢く様からして、表皮だけという事はありえない。
恐らくは内臓までが、跳ね回る水袋のように蹂躙されている事だろう。
「ごお゛っ、おぼぇ゛ええ゛っ!!! があ゛っ、ごッ、おぶぇっ……!! お゛っ、ぉおおお゛お゛お゛っ!!!」
泣き崩れるような麗佳の表情からは、感情を読み取ることができない。
王者としての屈辱か、それとも単純に、死に瀕する者としての恐怖か。
間近で見守るものには、麗佳の美しい腿を、黄金色のせせらぎが伝い落ちていく様が見て取れた。
それはやがてキャンバスに滴り、より多くの肉眼とカメラに捉えられる。
左右の拳は、それでも麗佳の腹部を叩き続けた。
麗佳はただ、その美しい脚を強張らせ、シューズで空しくキャンバスを擦るばかりだ。
その無力な有様は、スラムの路地裏で強姦される娘と何も変わらない。
『同階級の男性ランカーより強いのでは』……そう噂されたフライ級絶対王者は、そこにはいない。
「らあぁっ!!!!」
理緒奈が殊更力を込めて打った一撃が、強かに麗佳の腹部を抉る。
「お゛、げぼ、がっ…………あ゛げ…ごぼぉ゛…………………っっ!!!」
その一撃で、とうとう麗佳は人の姿を失った。
見開かれた瞳の中で、天井のライトを凝視するようにぐるりと黒目が上向く。
身体中の痙攣がとうとう頚部にまで行き渡り、顎と、頬が膨らみ、一秒後。大量の吐瀉物が吐き出される。
その様を見て客席から悲鳴が上がり、レフェリーが頭上ですばやく両手を交差させた。
ゴングがけたたましく打ち鳴らされ、強制的な試合の幕引きを世に示す。
その瞬間、理緒奈は拳を止めて高く振り上げた。
暴虐からようやく開放された麗佳の肉体が、理緒奈に縋りつくようにズルズルと崩れ落ちる。
理緒奈はそれを汚らしそうに押しのけ、麗佳を文字通り“キャンバスに沈めた”。
自らの吐瀉物に塗れながら、尻だけを高く突き上げ、乱れた黒髪を放射状に拡げる醜態。
それは、レフェリーや観客達の理想が敗北した姿だ。
「はっはっはっはっは! さて、あたしがこいつに敵わないとか、ボクシングの怖さ教えてやるとか言ったお馬鹿は誰?
必死に必死に、極限まで教科書通りの鍛え方した結果、あたしに全く歯が立たなかったねぇ!
これで分かったでしょ、このあたしが、ボクシングの常識なんかより遥かに上だって事がさぁ。
このミジメなザマをよーく目に焼き付けときなよ。あんたらの硬い頭が祀り上げた、スケープゴートの成れの果てをさ!!」
理緒奈は拳を振り上げながら、目に映る全てを侮辱し続けた。
絶望の溜め息、すすり泣く声…………それが場内を覆いつくしていた。
「ふふ、くくくっ…………くっくっくっくっく………………!!」
ただ1人、理緒奈のセコンドである谷内の忍び笑いを除いては。
※
その日の深夜。
一夜にしてヒーローとなった少女は、ショーツ一枚という姿で拘束されていた。
手足には鎖で繋がれた枷を嵌められ、凧のように身を開いている。
窓のない部屋は極めて無機質だ。
少女と男が一人、カメラが一台…………その殺風景さが、異様な雰囲気に拍車を掛ける。
「さて。心の準備はいいかな、女子フライ級新チャンピオン」
男……谷内は、何とも愉快そうな口調で切り出す。
一方の理緒奈は、そんな彼を敵意むき出しの視線で睨み据えていた。
「やるならさっさとしなよ、ゲス野郎」
理緒奈から悪意ある発言をされても、谷内は微塵も動じない。
「そうだな。私もいい加減、お預けの限界だ」
涎も垂らしそうな言い方でそう告げると、懐からひとつの錠剤を取り出す。
理緒奈から痛みを奪った薬の、解毒剤だ。
「さ、口を開けなさい」
谷内は理緒奈に命じ、開かれた口の中に解毒剤を放り込む。
ごくり、と理緒奈の喉が鳴った。
そこから、ほんの数秒後。理緒奈の雰囲気が変わる。
「…………あれ………………あ、あたし………………?」
そこにいるのは、理緒奈と同じ肉体を持ちながら、リングでの理緒奈ではないもの。
膨大なアドレナリンに支配されていない、臆病で繊細な少女だ。
「落ち着いてきたようだね。今の気分は、どうだい?」
谷内は、ひどく優しい口調で語りかける。
しかし理緒奈の瞳に映る表情には、一かけらも情らしきものが見当たらない。
それは、薬を投与したマウスを見守る研究者の目だ。
理緒奈は優しげな垂れ目を惑わせ、素人そのものの肉体を震わせはじめた。
薬が解毒されれば、まずは攻撃的な気分が消え、その後1分ほどで麻痺していた痛みが感じられるようになる。
リングの上で感じているはずだった痛みが、全て襲い掛かってくる。
「あ、あたし……こっ、怖い。ドクター。あたし、怖くて、たまらない!
あのチャンピオンの人、ものすごく鍛えてた。凄く強かった」
「ああ。強かったね」
「あたし、そんな人のパンチを、避けずに何発も何発も受けちゃって…………
最後の方には、意識とは無関係に膝までついちゃった。
あたしの身体、どれだけボロボロになってるんだろ。どんな痛みが、この後来るんだろ。
ね、ドクター…………あたし、死なないよね? この後も、生きてられるよね!?」
「……ああ、大丈夫だ理緒奈。おまえの脳は、痛みの許容力が極めて大きい。
だからこそ、実験のパートナーに選んだ。
だからこそ、あの捨て置けば死んでいた状態から、二度目の生を与えたんだよ」
理緒奈と谷内の会話はそこで途絶えた。
谷内は嬉しげに笑みを深める。逆に理緒奈は、恐怖で顔を歪ませた。
「ああぁぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
咆哮とも呼ぶべき、凄まじい悲鳴が密室に響き渡る。
手足を繋ぐ鎖が煩く鳴り散らす。
痣だらけの理緒奈の腹部が、ひどく蠢いていた。
痛みを感じたゆえの反射的な反応なのだろうが、傍目には不可視の何かに殴打され続けているように見える。
「あがあぁあああ゛っ、げぉっ、ふげぇええお゛ごごごおごごぇえ゛ぐっ!!!」
目を剥き、大口を開き、唾液を垂らし。
まるで鍛えていない素人同然の腹部は、プロのパンチに耐えられる代物ではない。
本来リングの上で見せているはずだった醜態が、今この場で遅い再現を見せているのだ。
「ふふふ、いいぞ。いい表情だ、理緒奈。
これが表の世界では、フライ級王者というのだから傑作だな。
愚民どもは、痛みを感じないターミネーターのようにお前を見始めるだろう。
真実を知るのは私だけだ。回ってきた“ツケ”に苦しむお前を見られるのは、この私だけなのだ」
谷内は恍惚とした表情でビデオカメラを回す。
そのフレームの中で、理緒奈は地獄の苦しみを味わい続けていた。
幾度も幾度も、ボクサーとして試合をする度に繰り返されてきた事ではある。
しかし、麗佳は強かった。パンチ力もさる事ながら、打たれても打たれても諦めず戦い続けた。
最後には、身に残った全ての力を振り絞って理緒奈からダウンをももぎ取ったのだ。
そのダメージの総量は、今までの相手の比ではない。
何人もの犠牲の果てに築き上げられた『ベルトの重さ』が、それを愚弄した理緒奈を押し潰す。
「げぼっ、おおぉええ゛っぼっ!! あああっ、もうイヤ゛ぁーーっ!!
ギブアッぶ、ギブアップしますうっ、ご、ごめんなざいっ、もうイヤッ、もうぐるじいの……ごぶぅ゛ぇっ。
んん゛もぉ゛ぉえ゛っ、げぼごろっ、ウ゛……っ……!! う゛っ、んん゛ごお゛お゛ぉォお゛っっ…………!!!」
祝勝会で口にしたものを余さず吐き戻しながら、理緒奈は赦しを請い続ける。
すでに全てが過去の事。
どれだけ泣き叫ぼうが、今さら赦される事などないと知りながら……。
終 「グワアアアアアアアアアアアアア!」
今日もまた怪人の断末魔と、爆散の騒音が街に夜空に轟いた。必殺技のポーズを決めていた女性が、小さく息を吐く。
「なに、まだ終わってないの?」
彼女は首をだるそうに回しながら後ろへ振り向いた。その先では女性と似たようなコスチュームに身を包んだ男性がいて、今ようやく怪人を倒したところのようだった。
あはは、と乾いた笑いを含ませながら彼は頬をかいた。
「キミが早すぎるんだよ。新記録じゃないか?」
「ええ、もちろん。最近たるんでるんじゃないの? 下級怪人くらいパパッとやっちゃいなさいよ」
「いやはや、面目ない」
苦笑いを浮かべる彼に対し、女性は「まったく」と腕を組んだ。
二人とも普段着とはいえない格好をしている。コスプレといえば納得するが、実際のところこの姿が本当の姿ともいえた。
名称は長すぎるので省くが、端的にいえばライダースーツに近いものを着込んでいる。どちらも薄赤色で男性は若干ごつごつしているが、
女性の方は余計な装飾がなく、体の線が手に取るように分かるほどぴっちりしていた。腰のくびれはもちろん、臍の窪みまで確認できるほど。
ただし胸はあまり豊かではない。
「あなたを追いかけてきたはずが、いつの間にかわたしが追い越しちゃってるじゃないの」
はあ、と彼女はため息をついた。その眼差しや言葉の端々から感じられる親密な気配が、二人の間柄を静かに表している。
お互い似たコスチュームを着てるうえに、髪も、瞳の色も赤。圧倒的な存在感を放つ佇まい――二人は夫婦なのだった。
妻であるスカーレット・クレアはセミロングの髪を撫でながら彼を見つめる。
夫のスカーレット・ガイは、たくましい体ながらも気弱そうな雰囲気をまとわせていた。いつからこんな、立場が逆転している状態になってしまったのか……
不満げにクレアが唇を歪めていると、夫の背後から新たな気配が動き出すのを感じ取った。彼はまだ気づいていない。
「ねえスカーレット・ガイ、こっちを見て?」
幼い印象を受ける声色で囁かれたガイは、馬鹿正直に後ろを振り向いた。途端に体がぴくりと強張って、硬直する。
「あなた――!」
クレアが夫に駆け寄ろうとしたとき、彼のすぐ背後に現れていた新たな気配がするりと前に躍り出てきた。
背の低い少女だった。声の印象どおり幼い顔つきをしていて、小悪魔的というか、やけに意地悪そうな笑みを浮かべている。
当然、ただの女の子ではない。少女の背中からは、コウモリのような羽が生えていた。
「怪人……!」
「はぁい、リリスでーす! きゃはっ」
今までとはタイプの違う怪人に、クレアは少々面食らった。
リリスと名乗った怪人は人間の姿とほぼ一緒だが、決定的に違うのはやはり纏っている雰囲気だった。黒のチューブトップ、赤いチェックスカート。
上下ともに薄いし短いし、肩や二の腕、臍、太ももを大胆に露出している。ごつごつしたブーツだけが重々しい。
「ざんねーん、遅かったね。彼はもうあたしのモノよ」
軽くウインクしてみせる怪人少女。なにを言っているんだこいつ、とクレアは眉根を寄せながら、夫を叱咤する。
「ちょっとあなた! なにをボーッとして――」
振り向いたガイの目を見て、妻は言葉を止めた。口をあんぐりと開けて呆然となる。
夫の青い瞳に、文字通りハートが浮かび上がっているのだった。
「ああ、すまないクレア、僕はもうキミとは一緒にいられない……新たなパートナーを見つけてしまったんだ……!」
まるで舞台劇でのセリフを叫ぶかのような調子で、彼はすぐそばにいる怪人少女を抱き寄せた。やんっ、とリリスが耳障りな声を洩らす。
クレアはわざとらしく、大げさにため息をついた。夫のダメさに呆れ果てる。まさかこんな、いかにも男受けしそうな怪人にまんまと”洗脳”されるなんて。
そんなクレアの心情を知ってか知らずか、リリスは勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
「あはっ、そうだよね〜。もうおばさんの体なんかより、あたしの方がいいよね〜」
「お、おば……! わたしはまだ二十代よ!」
「えーでも四捨五入したら三十歳でしょ? 十分おばさんよ。お、ば、さ、ん」
「ぐうう……! 黙りなさいこのギャル怪人! 今すぐ撃滅してやる!」
「きゃーこわーい! ガイ、助けてぇ〜!」 「任せてくれ!」
言うが早いか、スカーレット・ガイはギャル怪人をかばうように前へと出てきた。
その表情はというと真剣そのものだが、瞳に”洗脳”されている証拠であるハートが浮かんでいるせいで迫力の欠片も感じられない。
「きゃははっ! 分かってると思うけど、あたしを倒さない限り洗脳は解けないよ。さあスカーレット・クレア、夫婦同士で戦う覚悟が――」
挑発するような笑みを浮かべているリリスに構わず、クレアは目の前にいる夫の頬を、何のためらいもなく殴り飛ばした。
ふげっ、と間抜けな呻き声と一緒にすっ飛んで、停まっているワゴン車へと突っ込む。
あまりにもあっけない出来事。リリスは目を白黒させながら、
「え……ええええええええ!? ちょっとなに、あんたたち夫婦でしょ? そんな親の仇みたいに――!」
「あ、うん。なんかムカついたし」
半ば反射的に繰り出した拳をさすりながら、クレアは心の中で自分に言い聞かせる。
悪いのはガイだ。いかにも若くみずみずしくて、上半身は細身だけど露出している太ももは妙に肉感的で、胸も明らかに自分より大きいし――
「なんか余計に腹たってきた……! 怪人リリス、覚悟!」
「やっ、あの、あたしってばさ、洗脳するだけで戦闘能力ないっていうか、だからその――やだその目怖い! ちょ、ちょっと、やだああぁぁぁ!」
いかにも女の子らしい悲鳴。それさえ癪に障る。一撃で滅してやろうと、クレアは己の右拳に力を込めた。
しかし、けたたましい騒音が彼女の鼓膜を叩いた。視線を向けると同時、拳をそちらへ突き出す。
その瞬間、襲いかかってきた物体は野球ボールのごとくあさっての方角へと跳ね返った。
白いワゴン車――クレアは殴り返したその車がビルの壁に激突してスクラップになっていることを気にせず、飛ばされ来た方向を注視する。
夫、スカーレット・ガイは、蹴りの体勢を元に戻した。さらに膝をぐっと曲げると勢いよく跳躍し、三十メートル近い距離を即座に縮めてきた。
再びリリスの壁となるように立ちはだかった彼はびしりと妻に指をつきつけて、
「待ちたまえ! リリスを傷つけることは、この僕が許さないぞ!」
「……あー、はいはい」
もはや怒りも通り越した。本当に、本当に情けない。こんなのが夫だなんて。結婚する前の、あの誓いの言葉を交わす以前の彼はどこに行ってしまったんだ。
もう遠慮はいらないだろう。こうなったら可能な限りこてんぱんにして、強引にでも目を醒まさせてやる。
「もういいわ。悪いのはあなたの方よ。うらまないでね」
「さっきは油断しただけさ。ここからは本気で行く」
「本気ぃ? ふん、あなたは特訓のときも本気を出すけど、わたしに勝ったことがないでしょ!」
先手必勝。クレアは言葉を終える前に動いていた。胸を張って仁王立ちしているお間抜けな夫の顔面めがけて拳を放つ。先ほどよりも速く、強く、正確な攻撃だ。
その完璧であるはずの一撃が、あっさりと避けられてしまう。
「は……?」
意味が分からなかった。真っ直ぐとはいえ驚異的なスピードを誇るパンチが、首を傾げるような動きだけで回避された。 「ぐぅぉっ……!?」
呻き声が無理矢理押し出された。クレアの体がくの字に折れ曲がり、爪先立ちになっている。
九十度近く曲がった彼女は、己の腹部、ライダースーツの中心にガイの腕がめり込んでいる光景を捉えた。
よろよろと後ずさると、自然に拳が引き抜かれた。くっきりとした陥没が残る腹を押さえ、膝が小さく震え始める。
痛みが通り抜けた直後、腹部の奥底から違和感が駆け上ってくた。喉元がゴクッと蠢き、引き締まった肉体がびくんと跳ねた。
「ぐぷっ、ぉ゛えっ……!」
生暖かい透明な胃液が口からこぼれた。唾液と混ざって粘性を増し、幾筋もの線をつくって滴り落ちる。
こんな――こんなのおかしい。特訓のときはいつも、彼の拳なんか弾き返していた腹筋が――
「クレア、キミは、僕が本当に本気を出していたと思っていたのか?」
「ぅ、げほっ! ぇ゛ほっ! ぇ……?」
「哀れだね。僕が本気を出したら、キミなんて相手にならない」
腹部を抱えて前のめりになっているクレアの顎を、ガイは膝で蹴り上げた。
「づぁッ……!」
砕かれそうなほどの衝撃が脳まで震わせた。揺れる視界が空を映す。弓なりにのけ反りながら浮き上がる。
前面をさらけ出す格好になっていた美しくしなやかな肢体。その腹部の中央めがけて、ガイのボディブローが打ち込まれた。
「ぅうっ!? ぐっぇ……!」
伸びきった腹筋がむごたらしくへこまされ、暴力の塊を内部へと受け入れる。
一瞬にして再びくの字に折れたクレアは、両目がこぼれ落ちそうなほど見開いて苦痛の声を洩らした。
鍛えているはずの腹筋が軋む音と、奥の胃袋が歪む音を彼女は聞いた。
「ぐっ――ぅ゛、ふっ、む、ぐ……!」
内臓が蠢く感触と共に、渦巻くような嘔吐感がこみ上げる。クレアは腹部を突き上げられ宙に浮かされたまま、反射的に口元を押さえた。
「まったく、キミには呆れるよ。自分の方が僕より強いだなんて、本当に、呆れるほどの勘違いだ」
はは、と夫が馬鹿にしたような笑いをつくる。
「本当はね、キミの腹筋なんて簡単に貫けるし――」
彼は妻の背中へ片方の手を回し、めり込ませた拳をぐりぐりねじって内臓をなぶり始めた。コスチュームに浮かぶ螺旋状の皺が左へ右へと忙しく渦を巻く。
「んぐぅ!? んん゛ぅ゛ぅう、うぅうっぅ゛!」
体の中でぐちゃぐちゃと響く異様な音。びくびくと痙攣する肢体。
吐き気も強さを増していき、いつしかクレアの目には涙が浮かんでいた。
「胃袋なんて、こうして――」
左右にねじり回していた拳を、ガイは一際大きくひねりながらさらに奥へと突き上げた。
拳全体が埋まってしまうほど、クレアの腹筋は暴虐を歓迎する。
瞬間、ぐちゅっ、と周囲に響くほどの異音が鳴った。
「ぅげっ……! んぐっ、ぇぐお゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉおおおぉ゛ぉ゛!」
獣の咆哮かと思えるほどの低い呻きがほとばしる。柔らかな胃が拳によって抉られ、背骨に押し付けられてぺしゃんこに潰された。
消化しきれていなかった内容物が行き場を失って即座に逆流し、薄い唇を割って盛大に吐き散らされる。
地面にぼとぼと落ちていく吐瀉物を見下ろしながら、妻を拳で持ち上げている夫は妙に優しげな笑みを浮かべた。
「ほら、内臓なんて簡単に潰せるんだ。ずっと手加減していたんだよ、僕は。キミが勝手に、自分の方が強いと思い込んでいただけだ」
素早く拳が引き抜かれ、支えを失ったクレアは地面へと真っ直ぐ落下した。自分が吐き戻した嘔吐の中へと、無様に顔面から突っ込む。
「んぶっ……! ぅっ、ご、ぼっ……!」
凛々しい顔がべっとりと汚れていく。そんなことを気にしてはいられなかった。拳を打ち込まれ、内臓をねじり潰された痛みが止まらない。
拳が抜かれても胃袋の形が戻っていないことが分かった。薄くプレスされた状態でそのまま残っている。
「あぁ〜、ガイはなんて優しいの。自分は一歩引いて妻を引き立ててあげるなんて、理想の旦那さまって感じ〜」
耳障りなリリスの声も、今のクレアには構っていられない。激痛でそれどころではなく、潰れたままの胃から次々に溢れてくる胃液を押さえ込むことに精一杯だった。
喉の奥で排水溝が詰まったような音が連続して響いている。
「ぇぶっ、ごぼっ、ぉ゛お゛っ……!」
「ガイ、その女はまだ意識があるみたいよ。今日が最後なんだから、イクまでもっと愛してあげて」
赤い戦士は深くうなずくと、悶絶している妻を強引に引き起こした。 髪とコスチュームの肩を掴まれたクレアはされるがまま。脱力した体は膝が完全に曲がっていて、夫に支えてもらわなければすぐに崩れ落ちてしまう状態だった。
「んっ……ぅぅっ……」
「ふむ、まだ目が死んでないね。さすがクレアだ」
その言葉通り、スカーレット・クレアはぼろぼろにされながらも、力強い瞳だけは衰えていのだった。
負け惜しみというとそれまでだが、彼女の心には確かに抵抗の意思が存在している。
絶望を感じていないわけではない。今まで自分の方が強いと信じていたことが、ただの勘違いで、しかも夫がそのように仕向けていたっていうのだから――悔しい。
「次は肝臓を潰そうか」
ガイの硬い拳が、脇腹のあたりをさりげなく撫でる。
「いや、子宮という手もあるな。それとも、さっきの胃を破裂させた方がいいか?」
「ぁ、ん……!」
下腹部、そして先ほど猛打を打ち込んだ箇所に拳をぴたりと触れさせた。それだけで、クレアのなめらかな肢体が敏感に反応する。
イヤだ。どれもイヤだ。腹を殴られ、内臓を潰されることがこんなに苦しいだなんて。これ以上やられたら――本当に死んでしまう。
夫に殴り殺されてしまう!
「ぇ゛ほっ! あなた……! 目を、ぅぶっ、覚ましてっ……!」
濁った胃液を垂れ流しながら、息も絶え絶えに、クレアは目と言葉で訴えた。自分の方が強いと自信を持っていたときの彼女は、もはや存在しない。
状況が一挙に有利へと傾いた怪人リリスは、余裕の笑みを貼りつけている。
「きゃはっ、無様ねスカーレット・クレア! さっきも言ったけどあたしの洗脳は、あたしを倒さない限り解けない。だから絶対にもう無理よ。ム、リ」
実際、クレアがいくら声を投げかけても、ガイの心には届いていないように感じられた。ハートマークが浮かんでいる瞳は揺れもせず、次はどこを抉ってやろうかと模索している。
そんな――そんなはずはない。ガイはこう見えても――いや、本当は強かったわけだが――とにかく、正義を貫く精神を持っていた。
それは絵に描いたようなスーパーヒーロー然としていて、だからこそ、クレアは彼に憧れたのだ。
そう簡単に、その心が操られるわけがない。支配されるわけがないんだ。声が届かないなら、体に聞いてやる。
「よし、次はやはり肝臓を――んっ!?」
攻撃する目標を定めたらしい夫の唇に、妻は己の唇を押しつけた。
何ヶ月ぶりか分からないキス。初めての時とか、感触とか、そんな甘ったるい思い出に浸る余裕はない。
クレアは舌も彼の口内へと侵入させた。汚れてしまった舌で無秩序にかき回すと、唾液がぐちゅぐちゅと混ざって下品な音を奏でた。
「んっ――くちゅ、ぢゅるっ――!」
腹部を殴打されたことで今や立っていられない彼女だったが、自然とガイへともたれかかる格好となっている。
薄いながらも確かに女としての存在感を示している胸をぴったりと押し付けていた。
夜の街で、体を密着させながらただひたすらに、妻が夫の口を貪る。その光景にリリスは唖然としていたが、ふと我を取り戻して檄を飛ばす。
「あ――な、なにやってるの、ガイ! はやく振りほどきなさい!」
そうはいかない……! クレアは抱きつくようにして夫にしがみついた。硬い体の感触が返ってくる。口の中では熱く柔らかい舌の感触が返ってくる。
キスが影響しているのか、ガイは妻の体を引き剥がすことができないでいた。
これは効果がある。そう確信したクレアは彼の舌をさらに強く吸い上げた。
「ガイ! あなたはあたしのモノなのよ! 言うこと聞いて!」
リリスの瞳が一瞬淡い光を帯びると同時に、ぴくっ、と小さくガイの肩が震えた。 目の浮かんだハートマークの色濃く表れ、密着状態ながらも彼の腕が引き絞られた。
そしてクレアは脇腹に突如襲ってきた痛みで、殴られたことを理解する。
「ん゛ぐぅ!? むぐっ……!」
目が見開かれ、瞳に苦悶の色が宿る。ほぼ至近距離のためか最大限の威力ではなかったが、肋骨がみしりと響くほどの衝撃があった。
「ふむんぅ……! んぢゅ、むぅ、ちゅぷっ――!」
それでも彼女は唇を離さない。舌を抜かない。
だから、脇腹の肉が、べこっと陥没する。
「ふぐぅ゛ぅぅ! んぷぅっ……!」
再び同じ箇所に拳をめり込まされて、肝臓が変形した。溢れた唾液が二人の唇の接点から溢れ出してくる。
舌が絡む粘っこい音と、引き締まった肉体を打つ音が交互に入り乱れる。クレアのくぐもった呻きも混ざって、苦痛が周囲を彩り尽くしていった。
「ちゅぷっ、んっ……ぶぐっ! ぇふっ! ぢゅ、ちゅぅう!」
「ああもう、見せつけてんじゃないわよぉ! ガイ、ガイってば! もっと本気で殴りなさいよ!」
「――ッ!」
再度瞳のハートマークが鮮明に浮かび、ガイは両の拳を構えた。密着している妻のくびれたウエストを、左右から挟みこむ形で拳を突き入れる。
ボゴッ、と重低音が鳴り響いて、クレアの腹が潰れた。
「ごぶふっ……!?」
突き刺すような圧力が両方の脇腹を遅い、クレアは一際大きく苦悶した。肋骨が浮かび上がってきて、めきめきと悲鳴をあげている。
それだけでは済まされず、夫は左右の拳をそれぞれ逆方向にねじりまわしながらさらに奥深く突き込んだ。
「ぅ……ぇ゛ぉ……っ!」
肋骨の一部が異音とともに砕ける。内臓がめちゃくちゃに動かされて、よじれて、潰れた。
ぐちゃっと何かが破裂するような音も聞こえた。
ガイの拳は手首まで埋没していて、クレアの体は砂時計のように変形している。
「ふぐっ、ぇぐぶっ……ぉごっ……!」
瞳をむき出しにした彼女の食道を熱いものが駆け上がった。喉元が大きく蠢くと、キスしている口元からそれが溢れてくる。
生命の色。それは真っ赤な血。肋骨が折れるくらい内臓を蹂躙されたのだから無理もない。
吐血したクレアの体から今度こそ力が抜けきって、夫を抱きしめていた腕がだらりとぶら下がった。
ガイの拳がぐぼっと引き抜かれると、意識が飛びかけているクレアは体ごと彼にもたれかかる。
そして代わりに、彼の方から抱きしめられた。
その背後に立っている怪人リリスが、目を驚愕の色に染めている。
「な、まさか――きゃっ!?」
彼女は目に痛みを感じたのか、両目を押さえてよろよろと後退した。
「……怪人リリス」
名を呼ばれた怪人が肩を硬直させる。低く、心臓に突き刺さるかと思うくらいに鋭利な声。
妻を抱きしめたまま、声の主は振り返った。口元が唾液や血液で赤く染まっている。
その瞳も真紅の色を強くたぎらせていて、洗脳の印はもうどこにもない。
「今すぐ去れ。僕の気が変わらないうちにだ」
「ひっ……! ひぃっ……!」
恐怖に顔を引きつらせたリリスは、文字通り脱兎のごとく逃げ出した。途中で転びそうになりながらも助走をつけ、小さなコウモリ羽をはばたかせる。
夜空に消えていった怪人にはもう目もくれていない。ガイは意識を失って断続的に痙攣を繰り返している妻を抱き上げる。
「クレア、キミの血が僕の意識を呼び起こしたらしい……ありがとう」
静寂に戻った町の中を、彼はいずこかへと歩き始め始めた。 二人のマイホームは一般的な家ではあるが、もちろんそれは表向きだ。
地下室には秘密基地ともいえる施設があって、どちらかというとこの場所で過ごすことが多い。
「あなた! 時間でしょ! 早くしてよ!」
「ま、待ってくれ。まだ着替えていないんだ」
学校で言うところの体育館並みの広さがあるこの部屋は、スーパーヒーローである二人が存分に体を動かせる場所である。訓練場と称して、結婚してからいつも組手をおこなっていた。
ぴっちりとしたコスチュームに身を包んだクレアは、同じく戦闘服に着替えたガイを睨みつける。対して夫は乾いた笑みを浮かべて、
「なあクレア、やはり僕は――」
「ダメ! 手加減なんてしたら離婚よ離婚!」
そう言い放ちながら、クレアはあらかじめ用意しておいた一枚の紙を見せつけた。いわゆる離婚届である。
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ早まるな! 頼む!」
「じゃあ本気で私の相手をしなさい! でなきゃ特訓にならないでしょ!」
リリスとの一件以後、クレアは体力や損傷した内臓の治療に時間を要した。
しかし回復が七割程度済んで時点で、彼女は夫に組手を申し込んだのである。
特訓自体はいつも行っていることだ。だが、ガイがこれまで本気で相手をしてくれていなかったことが、クレアにとっては一番悔しい現実だった。
「言っておくけど、手加減はすぐ分かるからね。わたしのお腹殴って内臓が潰れなかったら、その時点で離婚決定だから!」
夫の困った様子などお構いなしに、妻は戦闘態勢に入る。
何より許せないは自分の浅はかさだった。夫の実力も推し量れないで、自分の方が強いなんてうぬぼれて。
見苦しすぎる。なんて馬鹿なんだ。
ただ、そこで挫折するようなクレアではなかった。本気のガイを相手にすることで本当の意味で強くなれる――彼女はそう思ったのだ。
「いくわよ、あなた!」
絶対に彼を超えてやる……!
熱意が伝わったのか、ガイの表情に真剣な色が差し込む。クレアは嬉しくなって口元を緩めながら、夫に向かって拳を突き放った。 こういうのすげぇ好み!
GJでした。
また書いてくれ。 GJ
ラストの雰囲気とかすごい好きだ
ここへの投下は減ったけどここに書いてた人が色々活動しだしてて嬉しいやら悲しいやらだね 女の子のお腹をギュッとして上下のお口から涎を垂らさせたい。 スレ的にはお腹パンチで合うんだろうけど気分的に良くない人がいそうだからなぁ。控えといた方が良いんじゃないかな? 注意書き付けて投下すれば別にいいと思うよ
腹パン専門みたいな扱いになってるけど、一応切腹とかグロも対象なんだし 旦那様の子を身篭ったメイドが、旦那様の毒嫁に監禁されて腹責め堕胎拷問age 堕胎中絶手術なんてものがあるから平気でやっちゃうんだろうか…
中絶の方法が帝王切開だけしか無かったら…もっと慎重になるんだろうか? もはやSS投稿しても読んでくれる人すら居なさそうだね ろくでなし子は置いといて↓
あけおめ!お正月早々にとんでもないことやらかした結果
奇跡が起きた!
ワイルドだろぉ
http://Bnn2ch.net/s11/0101yumiko.jpg
Bをsに変更する 「たあっ!」
美しく力強い声と共に、細腕から繰り出された拳が敵の顔に叩き込まれた。
すると土で形成された人型怪人がきりもみしながら吹き飛び、ビルの壁に衝突して木っ端微塵に砕け散った。
「ぬうう、おのれ、スイート・キャンディめ……!」
手下がほとんどやられてしまい、怪人の幹部マッドメイカーはむき出しの歯を強く噛んだ。というより、彼は骨が全部見えてしまっている。
端的に言えば”ガイコツ”なのだ。
とんがり帽子と木の杖を持っており、いわゆる魔法使いという風体だがいかんせん体が骨そのものなので、かなり不気味な存在感を周囲に放っている。
顔らしい顔がないため表情は分からないが、それでも彼のしゃがれた声色から、かなり焦っている様子が感じ取れた。
ふふっ、とガイコツを困らせているスーパーヒロインは、瑞々しい唇でそっと微笑む。
「懲りないわねマッドメイカー。いくら土の人形をつくったってダメなものはダメ。量より質だって、前に言ったでしょう?」
透き通った声は力強く、彼女の奥底にある精神の芯が垣間見えるようだった。
腰のあたりまで伸びた美しくなめらかな長髪は鮮やかなレモン色。
背も高く、戦闘用の白いミニドレスはしなやかな肢体にぴったりフィットしており、女性らしい部分をあますところなく主張している。
短めのスカート丈から伸びる肉感的な太ももは白いオーバーニーソックスに包まれ、髪と同じ色のショートブーツを履いていた。
遠慮がちに言っても彼女の容姿がセクシーなので、思春期の男子には少し目のやり場に困るような雰囲気を醸し出している。
人々を守るスーパーヒロイン、スイート・キャンディ。それが彼女の名前だ。
「いい加減あきらめなさい。わたしがいる限り、あなた達は絶対に悪事を成し遂げられないから」
「だまれっ! お、俺はもう後がないんだ! ここでお前を倒さなければ、俺は、俺は……!」
マッドメイカーは体――骨全体を震わせながらキャンディを睨みつけた。眼球はないが、とにかくキャンディに大きな敵意を向けている。
「そう、あなたのところの王様に始末されちゃうってわけね。それじゃ、ここでわたしが直接倒してあげるわ!」
キャンディはその驚異的な瞬発力でもって敵幹部に肉薄する。
一呼吸する間もない瞬間に、彼女はマッドメイカーの頭蓋骨に拳を叩き込んでいた。
「グベェ!」
間抜けな呻き声をあげながらマッドメイカーが吹き飛んでいく。
十数メートルほど先にある車に激突しつつも勢いが死なず、跳び箱の上を転がるようにそのまま向こう側へと倒れこんでいった。
「あら、高そうな車が……! ごめんなさいね」
とっくにこの場から逃げ出しているであろう車の持ち主に、彼女は苦笑いしながら謝罪する。
もし持ち主が男性だったら、キャンディの美貌であっさり許しているかもしれない。
「カ、カカカカッ……!」
車の向こうから不気味な笑い声が聞こえる。キャンディは少し呆れたような表情で肩をすくめた。
「どうしたのマッドメイカー。今のパンチで頭おかしくなっちゃった?」
「クカ、クカカッ……! スイート・キャンディ、こいつを見ろ……!」
車のルーフに這い上がってきた骸骨の左手――まだ小学生になったばかりと思われるほどの小さな男の子が首根っこを掴まれていた。
ぴたり、とスーパーヒロインの足が止まる。凛々しく整った美貌に、険が色濃く表れていた。
「その子を放しなさい」
「そういうわけにいくか。こいつは人質だ……!」
今度はキャンディが歯を噛む番だった。まさか逃げ遅れた人がいるなんて……気づけなかった自分の失態を呪いながら敵幹部を睨みつける。
「見損なったわよ……! あなたは数ばかりで攻めてきて学習しなかったけど、それでも正面から私を倒そうとしていた。それなのに、そんな卑怯な手を使うなんて……!」
「黙れ! 黙れ黙れ! 俺はもう失敗できないんだ! 卑怯でもなんでもいい! 出でよマッドマンども!」
びしり、とアスファルトに亀裂が走った。それはいくつも生まれて、下から何かせり上がるようにして割れていく。
やがて現れたのは土だけで形成された怪人である。
マッドメイカーは基本的に土を操って手下を生み出し、数でもって蹂躙する戦法が得意なのだ。
拳を構えたキャンディに対し、マッドメイカーは捕まえている子供を見せ付けるように掲げた。
「抵抗するなよスイート・キャンディ。分かっているだろ?」
「くっ……!」
悔しさに息を洩らしながら、彼女は構えを解いた。 人質である男の子は顔を引きつらせて震えている。大きく丸い瞳には涙が浮かんでいて、必死に何かを訴えようとしていた。
キャンディは彼に優しく微笑む。
「あなたは悪くないわ。安心して」
少年は今にも泣き出しそうではあったが堪えているようだった。キャンディが頷きかけると、彼も小さく頷き返す。
「どうすればその子を放してくれるの?」
「何もしなければいいだけだ……そこで突っ立っていろ。マッドマン!」
マッドメイカーの言葉に反応し、手下である土怪人たちがゆったりとした動きでスーパーヒロインに近づいていく。
「……」
キャンディは無言のまま、目の前に立つマッドマンを睨みつけた。彼女は背が高い方だが、それでも成人男性と同じくらいだ。
土怪人どもはシルエットこそ人間に近いが、体格や質量は一般的な人間のそれを凌駕している。
人間ならざる土の腕が振り上げられた。次の挙動も予想できる。
その動作はキャンディからすれば止まっているも同然の動きだったが、今の彼女にはそんな程度のものさえ避けることを許されていないのだった。
「づぁっ……!」
太い土の腕から繰り出されたフック気味のパンチが、美しいスーパーヒロインの頬に叩き込まれた。鋭い痛みと共に頭が揺れて、脳にまで振動が届く。
雑魚キャラといってもいいこんな土怪人の攻撃を受けたのは初めてだった。
スイート・キャンディは初体験ともいえる殴打の痛みに、大きな衝撃を感じている。
(こ、これがマッドマンの……こんなに強かったなんて……!)
スーパーヒロインたる彼女だって肉体は常人を遥かに超越している。
ナイフで斬りつけられようが、拳銃で撃たれたようが、キャンディの体には一切通じない。
ただそれはあくまで”人間”の攻撃方法だ。マッドマンはマッドメイカーが操るただの人形とはいえ、”人間”の常識なんて持ち合わせいない。
実際のところ、マッドマンの拳はコンクリートなんて簡単に打ち砕くのだ。
それをまともに、しかも腹部に打ち込まれれば――
「ぅ゛うっ!? ぇはっ……!」
スーパーヒロインといえど、膝を着くしかなかった。美貌が一瞬で蒼白に変わる。
激痛を押さえ込むようにして腹部を抱えたキャンディは背中を丸めて苦悶した。
(ぐっ……お腹、やば……!?)
もろに食らったボディブローの壮絶な痛みに、キャンディは目を見開いて咳き込んだ。
敵が目の前にいることなんてお構いなしに、無防備に悶絶する姿を晒している。
「ごほっ……! がはっ! っ、かはぁっ、ぁっ……!」
腹が重い。鈍痛。なぜだか気持ち悪い。
言い様のない感覚に唾液がどんどん溢れてくるが、キャンディは口を結んで堪えていた。
「ク、カカカッ! いい姿だな、スイート・キャンディ! カッカッカ!」
キャンディに対してここまで優位に立てたのは初めてだからか、マッドメイカーは骸骨の顔でケタケタ笑い始めた。
勝てるかもしれない、という期待が彼を興奮させている。
「くっ、は……ホント、見損なったわ……」
呼吸を乱していながらも、キャンディの声にはまだ芯の通った強さが残っていた。
「抵抗できない相手を痛めつけて、満足? こんなのでわたしに勝って、嬉しい?」
「グゥゥ……! だ、黙れと言っているだろっ!」
一瞬口をつぐんだマッドメイカーだったが、迷いを振り払うように腕を振り上げてマッドマンたちに指令を飛ばした。
先ほど頬と腹を殴りつけた土怪人が、うずくまっているキャンディを強引に引き起こす。
「あっ……!」
無理矢理立たされたかと思えば、今度が突き飛ばされた。足がもつれて倒れ込みそうになった背中へ衝撃が走る。
「があっ……!」
蹴り飛ばされたと分かった。背骨がみしりと軋む音。骨を通して伝わってきた。
前方へと突き出されるかたちになった彼女の腹部へと、別のマッドマンがさらに拳を加える。
「ぅごふっ……!?」
瞳をむき出しにして、低い呻き声を洩らす。
さらけ出すようになっていたキャンディの腹には、むごいほど深く土の腕が突き埋まっていた。
拳の部分が見えなくなるくらいにめり込んだその打撃は、体内に隠れている内臓たちまで歪ませる。
(ぁっ……! 胃が、抉れて……!)
もはや岩といっても過言ではないほど重量感のある拳が、ずしりと沈み込んでいた。
余計な腹肉や内臓器官を押しのけて、胃袋に拳がめりこんでいることをキャンディは自覚する。
土の腕が引き抜かれたとき、ぐぼっ、と体内から濁った音が聞こえた。同時に腹の奥からぞわぞわしたものが駆け上がってくる。嘔吐感だった。 (やばっ、ダメッ……!)
「んぅぐ!? ぶ、むぐっ……!」
陥没した腹を左手で押さえながら、咄嗟に彼女は口元を覆った。生暖かいものが喉を通ってきたが、無理矢理飲み込む。
白い喉元がごくりと脈動した。
む、とマッドメイカーが何か気づいたように唸った。すぐさま彼は命令を飛ばす。
「マッドマン! スイート・キャンディは何かを隠している……! 徹底的にやれ!」
くの字に折れて悶絶しているスーパーヒロインへと土怪人の一体が近づく。その太い脚部が攻撃の前動作を見せた。
痛みと吐き気をこらえているキャンディは目で追いつつも、繰り出される蹴りを受け入れるしかない。
土の足が叩き込まれた瞬間、彼女の体は弓なりに折れ曲がった。
「げぅうっ!」
すさまじい激突音と共に易々と蹴り飛ばされてしまう。めぎっ、という鈍い音と激痛で、あばら骨に傷が入ったことをキャンディは知った。
吹き飛んだ先で別の土怪人が待ち受けていて、彼女の体を乱暴に受け止めたかと思うと、正面を向かせてボディへとさらなる一撃を食らわせた。
「ふぐぅっ……! ぉごっ……!」
再びくの字に折れるしなやかな肢体。そしてすぐさま別のマッドマンへと突き飛ばされ、蹴られ、飛ばされ、殴られ――
まるでキャッチボールをするかのようにスーパーヒロインはいたぶられた。そのたびになめらかな長髪と短いスカートが振り乱れる。
(こ、こんな、ヤツらに……!)
彼女からすればこいつらはザコも同然なのに、好き放題痛めつけられている。
それは肉体的にも精神的にも、キャンディに深い傷を刻んでいった。
しかも、攻撃される箇所はほぼ腹部であった。マッドメイカーの指示は大雑把だったが、手下たちはそれに従っている――
彼はなんとなく気づいているんだろう、とキャンディはさらに危険を感じた。
(耐えなきゃ、絶対に! 今は耐えて……チャンスを待つ……!)
己を鼓舞するスーパーヒロインだったが、暴力の嵐はとどまるところを知らなかった。
「ぐっぶ! ぁぐあっ……!」
土怪人の膝が腹の中央に突き刺さり、内臓器官が全て揺れ動いた。
目も見開いて硬直しているところへ、別のマッドマンのボディブローが鳩尾を抉った。
ぼふっ、と毛布でも殴るような音。幾度も打撃を受けたキャンディの腹は抵抗力を失って、人間を殴り殺せる威力を持つ拳を真正面から受け入れた。
「ぅ゛げぇっ……!?」
致命的な猛打を受け、キャンディは爬虫類じみた呻き声を洩らした。
鉄塊ともいえるマッドマンの拳は完全に埋没し、手首あたりまで沈み込んでいる。
セクシーなコスチュームは拳の着弾点に向かって吸い込まれ、幾筋もの皺が生まれた。
「ふっ、ぐぶっ――ぅ、ごふぅ゛っ――!」
くの字に折れた肢体がぴくぴくと痙攣する。
(ぁっ――ナカが、ぐちゃぐちゃ、なって――!)
連続する殴打でスーパーヒロインの内臓はどこもかしこも変形していた。
胃も肝臓も子宮さえも、何もかもが元の形を覚えていない。
そのうち硬い拳がズボリと引き抜かれる。強制的に動かされていた内臓器官たちは再び体内を泳ぎ周り、元の位置へと戻っていく。
「ぅ゛っ――!? んぅぅ゛っ! うぶっ――!」
その反動で猛烈な嘔吐感がこみ上げ、キャンディは痛む腹よりも、咄嗟に口を両手で押さえた。
(だ、だめっ、ぜったい、吐いちゃ、だめ……!)
しかしその喉元は下から上へと不規則な脈動が数度繰り返され、押さえた手の指の間やわずかな隙間から透明な唾液や胃液が漏れてくる。
「いいぞ……! とどめだ……!」
マッドメイカーの命令が手下たちへ伝わっていく。その内の一体はキャンディの背後から近づき、両腕を彼女の胸へと回した。
そして、艶かしい体躯を強引に締め付ける。形のよい乳房が土の腕でぐにゃりとつぶれた。
「ぐむぅっ……!?」
かなり強さで胸の上から締められ、口を押さえている手からさらに粘ついた唾液があふれてきた。
背後からベアハッグを決められている。
背中もぴったりとマッドマンの胴体と密着しており、若干前に突き出されるような格好になってしまった。
そこへ、先ほど鳩尾を抉った土人形がゆらりと近づいてくる――
正義のヒロイン、スイート・キャンディは、無意識の内に首をイヤイヤと振っていた。
(や、やだぁ……また、お腹殴られたら、絶対潰れちゃう……!)
まったく抵抗ができず、無防備に晒された健康的な肉体。主張するように押し出されたスーパーヒロインの腹部。
もう何度も殴られて腹筋が機能しなくなった柔らかい腹のど真ん中を、土怪人の凶悪な拳が――
ボディアッパーが壮絶に突き上げた。 轟音。
肉体を殴ったとは思えない音が響いたと同時に、キャンディを背後から固定していたマッドマンが粉々に砕け散った。
腹にめり込んだ拳の威力がキャンディの体内を突き抜けていき、その衝撃が伝わってしまったのだった。
「ッ……! ぐぷっ……! ぇ゛……!?」
突き上げられたまま、体が折れ曲がった美しい肢体。剥き出しになった瞳。
深々と突き刺さった土の腕は手首を越えて、腕半ばまで埋まっている。
銃弾をも弾く腹筋は内臓ごと薄っぺらくなるまで抉り潰され、その中で胃袋は脊椎にまで押し付けられていた。
(ぁっ……!)
喉がうごめくと同時、ぐぼっ、と生々しい音。キャンディの瞳孔が急激に細くなっていき、もう堪えることなんてできなくなっていた。
「ぅげっ、ぇ、ぅえ゛え゛ぇ゛ぇ゛えぇぇぇ!」
必死に飲み込んでいた唾液や胃液を盛大に吐き出し始める。
黄色く濁った粘液がどぷりとあふれ出してきて、それは決壊したダムのように地面へびちゃびちゃと広がった。
戦闘前からすでに空腹だったこともあってか、固形物まで嘔吐していない。しかし、吐き出された胃液の中で、ころりと何かが転がった。
……飴だった。胃液に溶け込んでいるそれは、レモン味のキャンディである。
「げふっ! ぇっ、ぇほっ! ぁぁはっ……! げぼっ……!」
電流を流されたようにキャンディの全身が大きく震えた。白い喉元や肉付きの良い太ももがびくびくと痙攣する。
拳で突き上げられたまま、その艶かしい体躯が突如として淡い光を帯び始めた。
「む、な、なんだ……? マッドマン! そいつを放しておけ!」
マッドメイカーは戸惑いながら手下に命令しつつ、スーパーヒロインを凝視した。
自分が吐き出した胃液にどさり転がった光の粒子。その集合体は次第に輝きを薄れさせていき、やがて宙へと舞い上がり、完全に溶けていった。
「げほ、げほっ……! ひぐっ、ぅおぇ……!」
光の渦が消失した後には、あの艶かしくも凛々しい正義の戦士は消え去っていた。
代わりに、痛みに悶絶する、白いワンピースを着た小さな女の子が残されていた。
(ぁ……変身、が……)
観察力のある者なら気づくかもしれない。その少女の顔立ちには、スイート・キャンディの面影があることを。
「……クカ、クカカカ! そうか! スイート・キャンディの正体は、まだこんなに幼い子供だったのか……!」
怪人の幹部は失笑にも似た笑い声を洩らした。
苦悶する少女は本当に小さく、手足も細い。それこそ今人質として捕らえられている少年と年齢が同じか、わずかに上というくらいだった。
スイート・キャンディの正体――それは、まだ小学三年生になったばかりの少女だった。
彼女は飴を口に含んでいる時のみ、スーパーヒロインとして覚醒するという能力の持ち主なのである。
「ぅ、ぐ……ぇ……」
「なるほど、なるほど……! お前の強さにも納得がいく。あの姿は限定的なものだったというわけか! 何かを吐き出すまいとしていたのはそういうことか! クカカッ!」
勝ち誇ったように笑うマッドメイカー。実際、戦いは決していた。スイート・キャンディの変身が解けた時点で彼女の敗北は決定的なのである。
「勝った……! 俺はスイート・キャンディに勝ったのだ! あとは、とどめを刺すのみ……!」
敵幹部は右手をスッと掲げる。
スーパーヒロインのボディを殴り潰したマッドマンが、ゆっくりと右足を上げた。
今や小学生の身体となっているキャンディでは、その分厚い土の足で踏み潰されれば、骨なんて簡単に砕けてしまうだろう。
また腹部にくらってしまえば、今度こそ心臓さえ潰されてしまう。
「ぅあ、ま、待って……!」
あの凛々しい声色は、年齢相応の幼い声になっていた。
ぐちゃぐちゃに潰れた内臓の痛みに意識が朦朧となりながらも、少女は消え入りそうな声を絞り出す。
涙を溢れさせて、口元を胃液で汚しながら。
「おねがい、げへ、げほっ! 待って、待ってぇ……! 助けて……!」
「なんだ、命乞いか? スイート・キャンディともあろうものが情けない! カカカカッ!」
勝利の愉悦に浸っているマッドメイカーは、歯をかちかちと嬉しそうに鳴らした。
「最期に言いたいことがあるなら言ってみろ。その言葉、この町に者どもに伝えておいてやる」 「……なんだと?」
「死ぬ前に、ちゅー……キス、したい。わたし、したことない」
それは女子小学生の、あまりにも正直な願いだった。
だからマッドメイカーはしばらく呆然としたものの、すぐにまた歯を鳴らして笑い始める。
「カカカカッ! こいつはとんだ正義のヒロインだな。クカカッ、いいだろう。このガキとさせてやる。マッドマン、連れて来い」
足を下ろした土怪人が、うずくまる少女の頭をむんずと掴んで持ち上げた。
身体を動かされて体内でぐぽりと音がして、少女は新たな胃液をこぼした。
車の上で待っている幹部へと歩み寄っていくマッドマン。
やがて少女からも、泣きながら震えている少年の表情がはっきり読み取れるほどに接近した。
マッドマンはやや乱暴に、ずいっと少年へ少女を近づける。視界いっぱいに広がる、年下の少年の泣き顔。
「泣かないで。だいじょうぶ、だよ」
鼻先がくっつくほど接近した幼い二人。少女の方が痛みに口元を歪めながらも、首を伸ばして少年の唇へと吸い付いた。
カカカッ、と笑い声があがる。
ムードもなにもない。これは死を目前にした一人の少女が、命乞いの果てに懇願した哀れな願い事――
たとえマッドメイカーでなくとも、この場に人間の目撃者がいたとしたらそう感じたに違いない。
ふと、少年が驚いたように頭を動かした。
「んく、ん、ぢゅるっ……!」
幼い少女の、いやに艶かしい声。どこで覚えたのか、彼女は少年の口内へと舌を滑り込ませていた。
マッドメイカーにまで、そのじゅるじゅるとした舌と唾液の音が聞こえている。
「クカッ、最近のガキは欲求不満なのだな。まあ、死ぬ前に望むことがコレでは――」
半ば呆れている幹部は、だがすぐに気づいた――その時点でもう遅かった。
少女の身体が、大気に音を響かせながら再び強い光で包まれる。
「ぬっ、し、しまった! このガキ、飴を……!」
光が一際強く輝いた瞬間、そこには圧倒的な存在感を誇る正義のスーパーヒロインが再降臨していた。
同時に、その光の輝きだけで土怪人は砂へと霧散する。
「だあぁぁぁぁぁ!」
怯んだマッドメイカーの手から、少年を奪還して腕に抱きこむ。
そして、彼女は敵幹部の剥き出しになっている肋骨へと、渾身の蹴りを叩き込んだ。
「グゥゥガアアアアアアアアア!」
至近距離で放たれたキャンディのキックは轟音を響かせ、マッドメイカーは空き缶のごとく宙を舞った。
向かい側に位置していたビルの壁に激突し、骨の欠片をぱらぱら撒き散らしてぐったりと倒れこむ。
蹴りを受けた肋骨部分は、見事に砕けてぽっかりと穴が開いたようになっていた。
(イチゴ味なんて、可愛いわね)
再び変身後の姿になったスイート・キャンディは、戦闘開始時とは違い、赤色の髪に変貌していた。彼女は飴の味によってカラーが変わるのである。
「ごめんね、ファーストキス奪っちゃった?」
キャンディは小さく微笑みながら少年を降ろすと、その小さな頭を撫でた。彼の顔は真っ赤になっており、思わずキャンディはくすりと笑ってしまう。
スイート・キャンディの正体がただの小学生であること――少年はそれを知ってしまった。
純粋そうな彼を見つめ返しながら、その口元に指を当てる。
「今日のこと、二人だけの秘密にできる?」
頬を赤く染めながら、こくこくと首を縦に振る少年に、キャンディはウインクしながら口の中の飴を舌で鳴らした。
「ありがとう。さあ、危ないから逃げて。あとはお姉さんに任せなさい」
少年の背中を軽く押してやる。彼はよたよたと歩きながら、一度振り返る。
キャンディが微笑みながら頷きかけると、名残惜しそうにしながらも、人々が逃げた先へと駆け出していった。
建物の陰に消えるところまで確認すると、視線を敵幹部へ移す。瞳に鋭い色をみなぎらせながら、静かにそちらへと歩み寄っていった。 近づいてくるブーツの足音に、マッドメイカーは全身をぶるりと震わせた。
蹴りや壁に衝突したことで彼の身体は変形しており、もはや自力で立つこともできないようだった。
「グッ、お、のれ……! まだこんな力が……!」
「言っておくけど、立ってるのがやっとだからね。あれだけお腹殴られて、胃も肝臓も潰されて、変身も解けたし……すぐに回復するわけないでしょ」
実際、彼女の身体はボロボロだった。一度変身が解除されてしまったこともあるし、内臓はまだほとんど歪んだまま。
呼吸するだけで腹部に激痛が走り、時折ぐちゅりと胃が音を鳴らしている。
気を抜けばすぐにでも意識が飛びそうなほどだが、キャンディは腹を押さえつつも、己の気力を総動員してマッドメイカーの前に立っていた。
「マッドメイカー、わたしは、あなたのこと嫌いじゃなかった」
「なっ……突然何を言い出す……!」
当然というか、言葉の意味を汲み取れない彼はいぶかしむ声色になった。
「あなたの戦い方は、不器用だけど正直だった。だからわたし、あなたと戦うのが結構好きだったのよ」
内臓の痛みを堪えながら、彼女は凛々しい美貌に微笑を含ませる。
これは本心だった。
「数にモノを言わせた戦法だけど、いつも正面からだったでしょう。回りくどい姑息な戦法なんて取らない。それに、あなたは人々に危害を加えない」
びく、と骨の身体が震えた。
「みんなが逃げてから、わたしと戦い始める。気づいてないと思ったの?」
「偶然だ……!」
「そう? でも、今回でちょっと幻滅しちゃった。人質なんか取っちゃって」
小さくため息をつく。今までは人間を盾にすることなどしなかった彼からして、今日の戦いは本当に最後のチャンスだったのだろう。
それほど、彼らの親玉――デスサタンは恐ろしい存在ということなのだ。
「勝手に幻滅していろ! 俺はもう、終わりだ……! さっさと殺すがいい!」
「殺すなんて物騒な言葉使わないで。わたしのは”浄化”よ」
そこだけは譲れない、とキャンディは胸を張って腰に手を当てた。そしてマッドメイカーにゆっくりと、手を差し伸べる。
攻撃的な意思がない――彼の手を取ろうとするような、優しげな手だった。
「なんのつもりだ……」
「あなたに”悪”は似合わないわ。デスサタンが怖いなら、こっち側に来たら?」
「……馬鹿か! 誰が”正義”側になど……!」
「別にヒーローをやってくれなんて言ってない。あなたの土を操る能力って、人の役に立ちそうじゃない? ほら、建物つくったりとか」
「ば、馬鹿か本当に! お前は、本気で言っているのか…! そんな真似誰がするか!」
「あら、じゃあ、この前うっかりアパートを壊しちゃって、それをこっそり直したのも偶然なのかしら?」
ぐぐ、とマッドメイカーは今度こそ口をつぐんだ。
勝利を確信したようにキャンディが微笑みを深くする。
「ほーら、あなたやっぱりこっち側がお似合いよ。周りはわたしが説得する。誰にも文句言わせないわ。だから、”悪役”なんてやめちゃいなさい」
優しく諭すように、耳元で囁くように、彼女は柔らかく言葉を紡いだ。
差し伸べられた右手。細腕だが怪人を一発でノックアウトしてしまう力を秘めた白い右手。
マッドメイカーは骨の身体を小刻みに震わせながら、すがるように右手を伸ばし始めた。
「いいのか……今更、俺なんかが、お前たちの……」
「わたしが許す。だから――」
ふと、キャンディは新たな殺気を感じ取った。右側から、それもかなり遠い。しかしその殺気が向けられているのは自分ではない。
ぐしゃ、と壮絶な破砕音と共に、目の前にいる骨の顔が弾け飛んだ。風船が内側から破裂したみたいに、マッドメイカーの頭部が粉々に砕け散ったのだ。
「ぁ……!」
キャンディは素早く殺気の元へと視線を巡らせる。攻撃が放たれた地点はビルの屋上だった。
殺気はその一瞬だけで、距離が遠すぎるせいもあって、攻撃者の姿はほとんど確認できずに終わってしまった。
万全の状態であれば追いかけることもできたが、腹部に残っているダメージが重いため無理はできない。
悔しさに強く歯を噛んだキャンディは、手を握り返そうとしていたマッドメイカーの亡骸を見下ろした。
おそらく、彼はデスサタンの命により処理されたのだろう――しかも、手負いである自分を無視している――ヤツは遊んでいるのだ。
「デスサタン……!」
血管が浮き出るほど拳を握り締めて、スイート・キャンディはイチゴ味の飴を思い切り噛み砕いた。 おー、久しぶりすぎる投下乙です!
徹底的な腹責め興奮しました
スイートキャンディの今後の活躍(?)も期待してます 早く腹パンチしたくなるような子が良くわかる薄着の季節にならないかなぁ。
呼吸。
人間が普段無意識に行っているこれは、生の基本にして、最も重要な要素でもある。
呼吸を正しく行えば、人の心は安らぎ、肉体は飛躍的にその性能を増す。
空手において息吹などの呼吸法が重視されるのもこのためだ。
その中でもとりわけ、呼吸に特化した格闘の流派がある。
名を、『風和呼神流』という。
特殊な呼吸法によって神を宿し、邪を祓うのがこの流派の理念だ。
その源流は神道にあり、政を担う表の人間の陰で、密かに人の世の闇と戦ってきたと伝えられる。
時代が下るにつれ、中国拳法の気功法・錬氣法などを取り入れながら、その技術は脈々と受け継がれてきた。
現代にも、その後継者がいる。
『風和呼神流』第36代目継承者、神代 香澄(かみしろ かすみ)。
齢15にして奥義を見につけた、天賦の才の持ち主だ。
もっとも、香澄が正式に36代目となる事は、まだ決定した訳ではない。
この流派を継ぐにはひとつの条件がある。“邪を祓う”力があると宗家筋の人間に示めさせる事だ。
香澄はまさに今、この試練に臨んでいる最中だった。
暴力が支配する街、多寡見町の高校に入学し、自らが頂点に立って治安を回復すること。
それを高校卒業までに達成すれば、晴れて正式な継承者として認められるという。
とはいえ、容易な事ではなかった。
地域でも札付きの不良が集う多寡見の闇は深い。
強盗に恐喝、強姦に殺人、薬物……ありとあらゆる犯罪が日常的に繰り返されるスラムだ。
ある広域暴力団がこの街の経済力に目をつけて“戦争”を仕掛けたが、一週間ともたずに敗走したという逸話もある。
多少武術の心得がある程度の女子高生ならば、まず3日と処女を守れまい。
しかし香澄は、その街に身を置いて1年あまり、未だに純潔を保っている。
それどころか、多寡見の各区画を牛耳る人間を次々に倒し、街中の注目を浴びる1人になっていた。
正義感に溢れる彼女の人気は相当なものだ。
通う高校にはファンクラブができ、常に10人以上の女生徒が取り巻きになっている。
下手な男を頼るより、香澄の目の届く場所にいた方が安全なのだから、当然といえば当然だが。
無論、そうした香澄の台頭を煙たがる人間は多い。
今日もまた、校門を出た香澄達の前に数人が立ち塞がる。
「よぉ、クソ女。昨日は弟分が世話んなったな」
タンクトップとジーンズを着用し、拳にバンデージを巻いた男が声をかけた。
線は細く、しかし肩幅はやや広い。見るからにボクサータイプだ。
「皆さんは、下がっていてください」
男の口調から敵意を感じ取り、香澄は取り巻きの女生徒に命じる。
「やーん、早く早く!」
女生徒は我先にと校門の陰へ隠れていく。
急いでこそいるが、誰一人として不安がってはいない。むしろ、アイドルのコンサートを心待ちにするような浮かれぶりだ。
そこには香澄に対する、絶対的な信頼が窺えた。
「おっ、また香澄が喧嘩するらしいぜ!」
「マジだ、しかも制服じゃん! パンチラ見れっかなぁ…………ま、無理だろな」
女生徒だけでなく、近くを通りかかった人間も次々に足を止め、野次馬に加わっていく。
その人の輪の中心で、香澄とボクサー風の男はゆっくりと歩を進めた。
そして、数歩分の間を空けて相対する。
「一応、名乗っとくか。俺は岡崎、テメェにボコられた藤野の兄貴分だ」
「そうですか。では岡崎さん、貴方にも忠告します。怪我をしたくなければ退いてください」
岡崎という男に対し、香澄は凛として言い放った。
『麗しい』という印象の強い見目に反し、声質はやや幼い。しかしその声は、一流のオペラ歌手さながらによく響く。
ただ一言を聞くだけで、特殊な呼吸を会得した稀有な人間である事が窺い知れる。
岡崎の頬に一筋の汗が流れた。
しかし同時に、彼は笑う。相手を屈服させた後を想像して。
岡崎の身長181cmに対し、香澄は170cmほど。体重は格闘家である事を加味すれば60kg前後だろう。
女子としてはかなりの高身長であり、同時にスタイルも群を抜いている。
セーラー服に包まれた胸は、首元の赤いスカーフを押し上げるほどに豊かだ。
腰も細く、紺のスカートから覗く脚線がまた極めつけに美しい。
モデルの世界へ足を踏み入れれば、すぐにでも一線で活躍できる逸材だろう。
顔立ちも整っていた。
瞳や鼻梁、唇といったパーツの全てが主張しすぎず、妙に好感が持てる。
瞬きをしたり、口を開いたり、それら全てに品がある。
風に靡く黒髪は艶やかで、揺れるたびに光の帯が流れていく。
まさに極上。
この後の人生で、もう二度とは巡り合えぬと確信できるほどの和風美人。
もしもその香澄を屈服させた暁には、街のルールに則って公然で陵辱できるのだ。
1匹の雄として、これほど狩猟本能をくすぐられる事はない。
「可愛い義弟の礼だ。悪ィが、初っ端からマジで行くぜ」
岡崎は義を貫く人間を演じながら、曲げた膝で軽やかなリズムを刻み始める。
そして猛然と踏み込んだ。常人の目では追えない速さだ。しかし、香澄の反応はさらに早い。
岡崎が迫るまでのコンマ数秒の間に、香澄は両腕を開いた。
「コオォォォォ…………ッ!」
桜色の唇が薄く開き、空手の息吹に近い呼吸が為される。
「っらァ!!」
まさにその顔面へと、岡崎の鋭いジャブが放たれた。
しかしそれは空を切る。間一髪で香澄に避けられたのだ。
「ッチ!」
相手の運の良さを呪いながら、岡崎はよりコンパクトにジャブを連発する。
しかし、それすらも当たらない。常に間一髪でかわされてしまう。
肩や視線でのフェイントを混ぜても、フックを振り回してもかすりもしない。
香澄の身体はただ、春風に舞う葉のごとく揺れているだけだというのに。
「ハァッ、ハァッ……クソッ、なんで当たらねぇ!!」
数分後、岡崎は肩で息をしながら香澄を睨み据えた。
対する香澄は、呼吸に一切乱れがない。静かな……否、あまりにも静かすぎる呼吸を繰り返している。
その呼吸法こそが香澄の強さの秘訣だ。
『風和呼神流』の極意は、呼吸を通じて風と調和し、遍在する神の力を身の裡へと呼び込む事にある。
無論、ここでいう神とは概念的なものに過ぎない。しかし、その効果は事実として顕著だ。
香澄が信仰する神は『四獣』。
『青竜』の青息(せいそく)、『白虎』の白息(びゃくそく)、『朱雀』の朱息(しゅそく)、『玄武』の玄息(げんそく)。
それぞれ効果の違うこれらの呼吸法を使い分け、あらゆる状況に対処する。それが香澄の戦い方だ。
まさに今、香澄の行っている呼吸が青息にあたる。
青息は、その特殊な呼吸によって、体内の筋やそれを包む膜を伸びやすい状態にする。
伸びやすい柔な筋肉は、動きを軽やかにし、衝撃を吸収し、疲労も溜めにくい。
そして鞭のようなそのしなやかさは、打撃の威力を何倍にも引き上げる。
挙句には、脳に新鮮な空気が循環し続けることによって、反射神経や動体視力が向上する効果さえ期待できる。
いわば究極のドーピングだ。
長年武術の鍛錬を積んできた香澄がそれを使えば、ボクサー崩れのジャブをかわす事など造作もない。
むしろ、リズムとタイミングが全てと言われる近代ボクシングこそ、呼吸を制する者にとって絶好のカモだ。
「ハァッ、ハァーッ…………!!」
香澄を睨みながら、荒い呼吸を繰り返す岡崎。
香澄は冷静にその様子を観察し、相手が息を『吸う』瞬間に動きを見せた。
人間は、吸気の瞬間が最も無防備になる。岡崎も香澄の動きに気付いたが、反応が間に合わない。
「がっ……!」
ガードしようとした手をすり抜ける飛び膝蹴りで顎を打ち抜かれ、鮮やかに意識を断ち切られる。
まさしく電光石火。ボクサーである岡崎を遥かに凌駕する機敏性だ。
見事な決着。しかし、戦いはまだ終わらない。
「こんの、アマァァああああっっ!!!」
香澄が着地しようとした瞬間、ギャラリーの輪の中から1人の男が飛び出した。
名は浜川。岡崎の仲間であり、香澄が岡崎の猛攻で追い詰められた所を羽交い絞めにする役目の男だ。
しかし香澄があまりにも軽やかに岡崎をいなすあまり、決着が付くまで機を逸していたのだった。
「オラアァッ!!!」
浜川は叫びながら、突き上げる形のボディブローを放つ。
「っ!」
香澄の視線が横目にそれを捉えた。
彼女の身体はまだ空中だ。回避は間に合わない、と浜川は確信した。
彼は動きこそ鈍いが、体重は100kgを超える。腹に一発見舞えれば、レスラーでも悶絶させる自信がある。
しかし、この時も香澄は素早かった。
足の先がかろうじて地面に着いた瞬間、素早く両脚を踏みしめ、両腕で身体の前に十字を切る。
「カッ!!」
鋭い呼気が一度発され、美貌が鋭く引き締まった。
直後、叩き込まれるボディブロー。巨体が突進する勢いを乗せた、丸太のような右腕での一撃。軽いはずがない。
美しい香澄の身体がくの字に折れ、吹き飛ぶ……そのイメージを何人のギャラリーが抱いたことだろう。
しかし、現実は違った。
肩幅に地を踏みしめた香澄のローファーは、衝撃で十数センチほどアスファルトを擦る。しかし、それだけだ。
地面に二筋の擦り跡を残して、止まった。
「なっ…………!!」
愕然としたのは攻撃した浜川だ。
体重に裏付けられた攻撃の重さには自信があった。
それを、少々体格が良いとはいえ、女子高生ごときに真正面から受け止められるとは。
動揺する男を他所に、一部のギャラリーからは歓声が上がっていた。
「おおっ、久々に白虎きた! やっぱカッケェなぁ!」
「避けらんねぇって判った瞬間に白虎って判断が流石だわ」
「バカねあいつ、よりによってお腹狙うなんて。香澄さんの一番丈夫な場所なのに!」
声を上げているのは皆、香澄の喧嘩を見慣れた人間だった。
幼い頃から丹田での呼吸を叩き込まれてきた香澄の下腹部は、ゴムタイヤのようにしなやかで強靭だ。
さらに今は、体内の筋肉や膜を故意に収縮させる『白息』を用いている。
その硬さと耐久力は、まさしく鉄板並みだと噂されていた。
「終わりです!」
香澄の鋭い声が響いた直後、自失した浜川の右腕が払い除けられる。
そして、鮮やかな右ハイキックが浜川の側頭部へと叩き込まれた。
「があ゛っ…………」
岡崎と同じく、浜川もまたこの一撃で意識を刈り取られる。
巨体が重々しく崩れ落ちると同時に、歓声が湧いた。
香澄の強さと美しさを称える声、暴力を撥ね退けた事への賞賛、そして……
「ううおおおっ、見えたぁっ!!!」
「ひゃひゃっ、今日はレースつきのピンクか。また可愛いの穿いてんなぁ!」
そう野次を受け、浜川を見下ろしながら残心を取っていた香澄の表情が変わる。
頬を染め、目を見開き。
「あ、あっ………………み、見世物じゃありませんっっ!!!」
通りの果てまで響き渡る香澄の叫びに、ギャラリー達は笑いながら逃げていく。
多寡見の街には長らくなかった、和やかな雰囲気だ。
こうした情景が見られる事こそ、香澄がこの街の“邪を祓っている”証拠と言えるかもしれない。
「相変わらず化け物じみた強さねぇ、あのガキ。……どう、同じバケモノとしては。勝てそう?」
ビルの一室から校門を見下ろし、白人の女が告げた。
返事はない。
女が訝しんで振り返ると、その視線の先では、大柄な男が女を激しく抱いている所だった。
「ん、んん゛っ……うあぐ、ふっ、太いい゛っ…………!!!」
女の悲痛な喘ぎが響く。
「はーっ……アナタねぇ。そいつらを宛がってやったのは、アナタなら神代香澄を潰せるかもって期待してるからよ。
せっかく、その香澄の戦ってる所が見られるチャンスだっていうのに」
女が呆れたような口調で告げると、男は後背位で激しく交わりながら背を伸ばした。
どれだけの時間をトレーニングに費やしたのかと問いたくなるほど、全身が筋肉で膨れ上がっている。
特に、僧帽筋、三角筋、上腕二等筋などは、充分にマッシブな人間を1人用意し、
その上に戯れで別人の筋肉ブロックを上乗せしたような有様だ。
身長は低く見積もっても190cmを超え、体重は150kgを下回る事は有り得まい。
よく大柄な人間を指してヒグマのようだというが、彼に限っては比喩にならない。
まかり間違っても人を殴ることを仕事にしてはいけない。そう感じさせるほどの異形だった。
その彼がトレーニングすらした事のない素人だと言って、信じる人間がいるだろうか。
「なら訊くがよ、アベリィ。アンタは道向こうのショーウィンドーに肉が飾られててだ、それで涎垂らすのか?
肉ってなァよ、こう目の前でジュウジュウ言ってて、ソースやらの匂いがして、ナイフが簡単に入る……そこで涎が出んだろうが。
女も同じだ。手の平でグチャグチャに出来るって状況じゃなきゃ、勃たねぇよ」
男はそう言って、眼前の女の腰を掴む。そして力任せに引きつけながら、自らも腰を打ちつけた。
女はすぐに暴れ始める。
「い、いたいっ、痛いーっやめてっ!! お願い、もうやめてぇえっ!!」
まさに決死の形相で叫ぶ女。しかしそれを蹂躙する男は、彫りの深い顔に笑みを深めるばかりだ。
「ウルセェぞ。テメエもゲロ吐かされてぇのか?
なら、せめて2発は耐えろよ。どいつもこいつも1発こっきりでオチやがって、クソ面白くもねぇ」
男が盛るベッドの周りには、彼に壊されたと思しき若い女が6人転がっていた。
その全てが腹部を押さえ、涙と吐瀉物に塗れたまま気を失っている。
「それで最後になさいよ。それとあの女も、本当に目の前にあれば平らげてくれるんでしょうねぇ……矢黒(ヤグロ)くん?」
アベリィと呼ばれた女は、男に向かって問う。
「当然だ」
異形の男……矢黒は、泣き喚く女を仰向けにしながら答えた。
※
神代香澄の元に果たし状が届くと、すぐに街中へ噂が広まる。
ある者は、救世主がまた一つ暴力の種を潰してくれるのか、と期待を寄せ。
ある者は、あの生意気な女が今度こそ地を這うのか、とほくそ笑み。
またある者は、戦いに挑む香澄の姿そのものを目当てに集った。
予め戦いになると判っていれば、香澄も相応の格好をする。吸汗性や通気性、動きやすさを重視した服装だ。
となれば当然、身体に密着した軽装……という事になる。
今日もやはりそうだった。
上はピンク色をしたノースリーブのスポーツウェア、下は3分丈の黒スパッツ。
密着性は高く、理想的な椀型の両乳房や、引き締まった腹筋、くびれた腰、流れるような脚線が浮き彫りになる。
さらにはポニーテールに纏めた髪型がいよいよスポーティな印象を強め、ギャラリーの視線を男女問わず釘付けにした。
「いつ見てもすげぇチチだ。たぶん本物だよな、アレ。蹴られてもいいから揉んでみてぇわ」
「スパッツ姿もエロくて堪らんわ。締まった尻とか、股下の三角の隙間とか、太腿への食い込みとか……」
「スパッツがエロいなんて、運動部系なら大体そうだろ。むしろあの子の場合、腹筋じゃね?
バキバキに割れてるって程じゃねーけど、やたら綺麗だし」
「息止めてる間は鉄板みたく硬いらしいな。流石にそこまでにゃ見えねーが、確かに無駄がなくてカッコいい腹だよな」
快晴の中、指定の場所に現れた香澄を、ギャラリーが口々に品評する。
香澄はそれに一瞥をくれる事もなく、ただ静かに呼吸を整えていた。
だがやがて、その瞳が大きく見開かれる。
「ん、何だ?」
香澄の開眼を訝しむギャラリー達は、視線の先を追って息を呑んだ。
ゴリラか、あるいはヒグマか。明らかに人間としては不自然なシルエットが、ゆっくりと近づいてくる。
「え…………誰、あいつ?」
「し、知るかよあんなバケモン。ここらじゃ見たこともねぇ」
「っていうか、まず人間なの……?」
「強そうなのは強そうだけどよ、歩き方とかブラッとしすぎじゃね? すごい素人臭いっつーか……」
香澄を相手に軽口を叩いていたギャラリーも、ただ戸惑いの色を浮かべるばかりだ。
ゆったりとした歩みのまま、男……矢黒は香澄と対峙する。
矢黒がまず行ったのは、香澄の瑞々しい肉体を舐め回すように眺める事だった。
「ほぉ……ナマで見ると、また美味そうだな」
口元を緩めて告げる矢黒。小物めいた言動だが、しかし、彼の纏う雰囲気が蔑む事を許さない。
至近に寄れば、その印象はいよいよ獰猛な獣そのものだ。
香澄の顔に汗が伝った。
「あら。流石に余裕なくなっちゃったみたいねぇ、多寡見の救世主さま?」
矢黒の後ろからアベリィが姿を現す。
「なるほど……貴女の差し金ですか」
香澄は正面の矢黒を警戒しつつ、アベリィに鋭い視線を投げた。
香澄とアベリィには因縁がある。
多寡見町を訪れたばかりの香澄に洗礼を浴びせようとした結果、逆に手痛い敗北を喫したのがアベリィだ。
ある意味、香澄が“救世主”と呼ばれるようになったきっかけとも言える。
しかし、香澄の栄光の始まりは、アベリィの挫折の始まり。
力が全ての街で、新参者に後れを取る……それがどれほど致命的な事かは、香澄にも想像がつく。
当然、いつか何らかの形で復讐に来ることは予見していた。
「そういう事。お前には、私が受けた以上の屈辱を味わって貰わないと。
とりあえず彼にボコられた上で、犯されてちょうだい。そこでどのぐらい惨めに啼くかで、後の処遇を考えてあげるわ」
アベリィは矢黒の腕を撫でながら、血色の悪い唇を歪めた。
「無闇に人を傷つけたくはないのですが……退いては頂けませんか?」
香澄は矢黒の顔を見上げて問う。
岡崎の時も身長差はあったが、矢黒相手ではさらに違った。およそ頭一つ分……いや、それ以上の差か。
そしてその身長差以上に、上腕のサイズが違いすぎる。香澄の腕4本で、ようやく矢黒の1本分。
至近で邂逅したヒグマと少女、まさにその図だ。
そしてヒグマは、飢えていた。交渉の余地など端からなかった。
「残念だがそうもいかねぇ。俺ァたった今、お前を喰う事に決めたんだ」
矢黒はそう告げ、無造作に腕を伸ばした。そう、無造作に。そしてその腕の先は、容易く香澄の左胸を掴む。
「なっ!!」
ギャラリーから驚愕の声が上がった。
ボクサーのジャブすら難なく回避する香澄が、立会い直後に乳房を掴まれるとは思いもしなかったのだろう。
香澄自身も掴まれた左胸を見下ろし、唖然とした表情を浮かべている。
「ふふっ」
アベリィが塀に寄りかかってほくそ笑んだ。
矢黒という男は、格闘技の経験が一切ない。路上の喧嘩のみで勘を養った、正真正銘の素人だ。
そして素人の動きは、時として玄人の裏を掻く。
今もそうだ。『漫然と乳房に手を伸ばす』という無謀な動きが、かえって香澄の虚を衝いたのだろう。
こと神代香澄に対しては、なまじ格闘技が染み付いた人間よりも、全くの素人の方が勝つ可能性が高い。
アベリィは、自分のその読みにいよいよ強い確信を抱いていた。
「チッ、さすがにナマ乳じゃねーか。とはいえ、なかなかの揉み心地だな。
変な呼吸法を使うらしいが、スーハーしてっと乳まで膨らむのか?」
パッドごとスポーツウェアを揉みしだき、矢黒が笑う。
ギャラリーの中から生唾を呑む音がしはじめた。まさに男の胸を実現している矢黒を羨んでの事か。
しかし、香澄とてされるがままの女ではない。
「………………っ!!」
最初こそ唖然としていた香澄も、胸を揉みこまれるたび、表情に怒りを孕ませ始める。
そして、一瞬にして反撃に転じた。
胸を掴む矢黒の右肘に手を添え、後方に反動をつけてから勢いよく飛び上がる。
跳ね上がった長い両脚は、そのまま蛇のように矢黒の肩に絡みつく。
同時に全体重をかけて腕を引き込んだため、矢黒の巨躯は為すすべなく前転する。
鮮やかな飛びつき腕十字だ。
「うおおっ!?」
姿勢を崩された矢黒が、驚愕の声を上げた。そして直後、その声は腕関節を極められる苦悶の声に変わる。
「ぬ、うぐぐっ……!!」
彫りの深い顔を顰めて逃れようとする矢黒。しかし香澄のポジショニングは完璧であり、固めは微塵も緩まない。
「ウソ、もう決まっちゃうの? 格好よすぎなんだけど香澄さん!」
「だろうな。いくら筋肉あっても、素人が関節外すのは無理だろ。決まりだわこれ」
「まぁあいつも、負けて本望じゃね? スパッツ穿いた香澄の股に挟まれてギブとか、最高じゃん」
ギャラリーは口々に噂する。大半が香澄の瞬殺劇だと考えているらしい。
しかし。壁に寄りかかるアベリィは、口元の笑みを消していない。
「非を詫びて、降参して下さい!」
香澄は背を反らせて極めを強めつつ、よく通る声で叫ぶ。
「ぐぬっ、ぬぐぁ…………お、面白ェ…………!!」
矢黒はしばし両足を暴れさせていたが、やがてその動きをぴたりと止める。
ギャラリーには、それを降参と見る者もいたが、足裏を地面につけて力を溜めているのだと見る者もいた。
そして、正解は後者だ。
「うるぁ…………ああぁおらァっっ!!!」
矢黒は獣のように吼え、極めで伸ばされた右肘を強引に曲げ始める。
「あっ!?」
驚愕したのは香澄だ。渾身の力で伸ばしていた肘関節が、重機を用いたかのような凄まじい力で戻されていく。
背中が地面から離れ、矢黒の腕にしがみ付いたまま宙に浮く形となる。
――まずい!
その直感が香澄を救った。
矢黒は持ち上げた香澄の身体を、腕の振り下ろしで地面に叩きつけようとする。
香澄はそれより一瞬早く技を解き、頭を庇う形で受身を取った。
もしも反応が遅れれば、後頭部からアスファルトに激突していたところだ。
「うわっ、危ね…………」
ギャラリーの声がした瞬間、香澄の頭上を影が覆う。矢黒の影だ。
右腕を地面に振り下ろした直後、体を反転させる勢いを利用して左拳を振りかぶったらしい。
岩のように巨大な拳が、香澄に迫る。狙う場所は、フック気味の左拳がもっとも自然に狙える場所……腹部だ。
それを察した瞬間、香澄は即断する。
まだ地面に叩きつけられた直後で、矢黒の丸太のような腕が胸の上にある。横に転がって避ける事は不可能。
ならば耐えるしかない。
「カッ……!!」
鋭く大量の息を吸い、肺に留める。身の内の筋肉や膜を極限まで収縮させ、石の一塊と化す。
「おおっ、白虎だ!」
間に合ったか、という響きの声がギャラリーから漏れた。
彼らは『白息』をよく知っている。体重にして倍近い巨漢の突進をも、苦もなく止める受けの奥義だと知っている。
だからこそ、その次の瞬間の出来事を、誰一人として瞬時に理解する事はできなかった。
「ぐふ……っ、……ご、ほ…………っ!!!」
香澄の唇から漏れる、苦しげな息。
瞳孔が開いている。顎が上がっている。
そして、爆心地……左拳を叩き込まれた場所は、岩のような拳の半ばまでが隠れるほどに陥没していた。
その衝撃を物語るかのように、伸びやかな両脚が宙を彷徨う。
股座に食い込んだスパッツもまた衆目に晒され、主の窮地を喧伝すると共に、否応なく男達の鼓動を早めた。
「っぐ、けふっ…………かほっ、あがはあっ…………!!」
香澄は苦しげに咳き込みながらも、跳ねるように数度横転して矢黒と距離を取る。
一方の矢黒は、叩き込んだ左拳をただ見つめていた。
「おお、硬ってぇ……」
そう呟き、視界の端で香澄が立ち上がるのを認めると、逞しい顎を歪めて笑みを作る。
「最高だ、立ちやがった。他の女どもは、一発殴っただけで血ヘド吐いて壊れちまうのによ!」
飢えた獣が威嚇するようなその笑いに、ギャラリーは言葉を失う。
その不穏な空気に影響されたかのように、晴れていた空までもが曇り始めた。
しかし、香澄の心が折れる事はない。
「今の言葉が事実なら、あなたは女性の敵です。…………その悪行、ここで止めます!」
凛と響き渡る声で一喝し、呼吸を整える。
両腕を開いて行う、空手の息吹に酷似した呼吸。『青息』だ。
「ほぉ、生意気なオンナだ。せっかくだが、説教は俺の鬱憤を呑みこんでからにしてくれや。出来るんなら、なァ!!」
矢黒も肩を回して戦いに応じた。
まさに柔と剛。対照的な2人が、互いの瞳を睨みながら間合いを詰めていく。
「――カァッ!!」
矢黒のワークブーツが強く地を蹴った瞬間、静寂は終わりを告げた。
「アイツ、マジで化け物かよ…………」
数分の後、ギャラリーの1人が漏らした言葉は、その他大勢のそれを代弁するものだった。
『青息』を使った香澄の反射神経の良さは、街中で広く知られる所だ。
曰く、ナイフや七首を持った不良6人に襲われても、かすり傷一つ負わなかった。
曰く、生で観たボクシングの世界ランカーと、反応速度がほぼ同じだった。
他にも、多重ドーピングだと揶揄されたり、ピストルの弾すら避けられるのではと本気で語られたり、
その異常性を物語るエピソードは枚挙に暇がない。
しかし矢黒の身体能力は、その『青息』の反応速度をも凌駕する。
「くっ!」
突き出された矢黒の右拳を捌ききれず、香澄の身体が泳いだ。
そこへ間髪入れず左フックが襲う。香澄は頭を下げてかわすが、その首筋を矢黒の右手で押さえ込まれてしまう。
直後、矢黒の左膝が腹部にめり込んだ。
「がはっ……!!」
香澄の瞳が見開かれ、口元から唾液が散る。爪先立ちになった脚が、膝の突き上げの強烈さを物語る。
さらに矢黒は、駄目押しとばかりに右のフックを叩き込んだ。
「ぐうう゛っ!!」
香澄は咄嗟に左腕で脇腹を庇うが、直撃した以上は身体が泳ぐ程度では済まない。
暴風に吹き飛ばされたかのように錐揉みし、地面に2度バウンドして転がる。
無論、自ら飛んで衝撃を殺した部分もあるが、間違っても優勢と言える状況にはない。
パワー、スピード、そして当て勘。矢黒はその全てが人間離れした域にあった。
「やだぁっ、頑張って香澄さん!!」
「そうよ、負けないで!」
香澄の取り巻き達が声を限りに叫ぶ。
香澄という後ろ盾を失えば、たちまち食い物にされる身なのだから必死にもなろう。
またそれを抜きにしても、純粋に香澄に憧れている女生徒もいるようだ。
彼女達は、自分達の強さの象徴である香澄を涙ながらに見守っている。正義が暴力に屈する事のないよう、祈っている。
そうした事情を背負っている以上、香澄に負けは許されない。
「はぁ、はぁっ……」
『青息』を使い続けた挙句にそれを破られ、並外れた肺活量を誇る香澄も、ついに呼吸を乱し始めていた。
しかし、その程度ならば持ち直せる。まだ手は尽きていない。
「すーっ、ふぅーーーっ」
香澄は迅速な深呼吸で肺の中をリセットする。そして次の瞬間から、また異なるリズムの呼吸を始めた。
「ほぉ。まだ何か隠し玉があるみてぇだな?」
矢黒は指を鳴らしながら香澄に歩み寄っていく。
彼は気付いただろうか。繰り返される香澄の呼吸が、彼自身の呼吸と全く同じタイミングである事に。
『玄息』……水に身を映すがごとく、呼吸を通じて相手と同化する、玄武の技。
対象は1人に限られるものの、風のように舞う『青息』以上に精密な回避行動が期待できる。
事実、香澄が『玄息』を使い始めてから、矢黒の攻めは明らかに精彩を欠き始めた。
「ぐおあ゛っ!!」
ビルの合間に野太い声が響く。
右フックを鮮やかにかわされ、巴投げの要領で背中から投げ飛ばされた矢黒のものだ。
矢黒は声ならぬ声で吼えながら跳ね起き、アッパー気味に拳を突き上げる。
「はっ!」
香澄は冷静にそれをかわし、逆にハイキックで矢黒の側頭部を舐めた。矢黒の巨躯が横ざまに倒れ込む。
「っと……フン、馬鹿が。スカりやがって」
片膝を立て、拳を地に突いて立ち上がろうとする矢黒。しかし、すぐに崩れ落ちる。矢黒の表情が変わった。
「脳を揺らしました。眩暈や吐き気もするはずです。これ以上は危険、と忠告しておきます」
矢黒を見下して香澄が告げる。
「…………へへ、う、嘘だろ。なんでだ、なんで立てねぇ。なんで、足がシャンとしねえ。
この俺が、女の下で地べたを這うだと? ……………クソが…………………クッッソがァあああぁぁッ!!!」
矢黒は吼え、顔中を歪ませた。歯を食い縛り、太い青筋を浮き立たせ。
笑みにも見えるが、そうではない。脳の血管が破れそうなほど激昂した人間が見せる、憤怒の表情だ。
この表情が出た人間の馬力は恐ろしい。
いや……矢黒の場合、理性を飛ばした時の怖さは馬力だけではない。
男としての矜持を傷つけられた屈辱は、生まれついての天才に“執念”を植えつける。
眼前の獲物は生かしておかない。必ずや息の根を止める。そう決した瞬間、規格外の怪物は内なる進化を遂げていた。
ダウンから立ち上がった矢黒の変貌は、傍目にも明らかだった。
つい数分前まで矢黒の攻撃を華麗に捌いていた香澄が、再び後手に回り始めたからだ。
「っ!!」
鼻先を矢黒の拳に舐められ、香澄の表情が強張る。
絶えず『玄息』は用いているが、それで呼吸を合わせてもなお、矢黒の猛攻を凌ぎきれないのが現状だ。
呼吸のリズムから予想されるタイミングと、実際に攻撃の来るタイミングとがズレている。
闘争本能が肉体の望むリズムを振り切っている、という所か。
また、問題なのはタイミングだけではない。
「ッシャア!」
矢黒は香澄の突きをダッキングでかわし、その状態で右腕を振り回す。
上体を水平にまで下げたテレフォンパンチ、という風だ。
普段ならば当たる筈もない。しかしカウンターで出された今は、香澄とて避けきれない。
ならば防ぐしかないが、豪腕から繰り出されるパンチを防ぎきるには、両腕を使うしかなかった。
「ぐっ!!」
両腕をクロスさせて頭を庇い、膨大な衝撃を殺す。その代償として、香澄の脇腹は完全に空いてしまう。
怒りに狂う今の矢黒が、その隙を見逃す筈もない。
「貰った!」
矢黒は腰を捻り、渾身の力を込めて左のフックを叩き込む。
それは香澄の無防備な脇腹へ深々と抉りこまれ、スポーツウェアに歪な皺を刻んだ。
「ほぐうっ…………!?」
悲鳴が響く。豊かな肺活量を持つだけに、曇天へ吸い込まれるかのような悲鳴が。
香澄の身はフックの衝撃で軽々と吹き飛ばされ、アスファルト上でパウンドし、横ざまに数メートル転がった所でようやく止まる。
「…………ァ゛ッ、はっ…………」
桜色の唇から、苦悶の呻きが吐き出された。
右腕はぶるぶると痙攣しながら、患部である右脇腹を抱えている。左手は堪らないといった様子でアスファルトを掻く。
アスファルトに突っ伏し、尻だけを高く掲げる格好はそれ以上に無様だ。
広い輪を形成するギャラリー達は、誰もが目を見張っていた。
いかにも育ちの良さそうな香澄が取る無様な姿に、興奮とも、絶望ともつかぬ感情を覚えているのだろう。
「どうした、もっと楽しませてくれよ。オンナの敵である俺の悪行を、止めるんだろ?」
矢黒は指を鳴らしながら香澄との距離を縮める。
香澄は涎を滴らせながら立ち上がるが、矢黒の猛攻を捌く手立てはなかった。
風に揺れるような『青息』では、反応速度が追いつかない。
相手の呼吸に合わせる『玄息』でも、格闘素人ゆえの出鱈目な動きは読み切れない。
状況が変わらない限り、同じ事態が繰り返される。
「きゃああっ!!」
香澄の悲鳴が響き渡った。
強引なアッパーを避けようとして体勢を崩した所へ、一手早く腰を落とした矢黒からのボディブローを受けたらしい。
『白息』をする暇もない、正面からの直撃被弾。
香澄の身体は再び吹き飛ばされ、背後にあった廃ビルの扉を突き破る。
咄嗟に背を丸めて後ろ受身を取り、空中を蹴り上げて即座に立ち上がる辺りはさすがと言えよう。
「う゛っ!かはっ……けはっ……!!」
しかし、直立できたのも一瞬のこと。すぐに内股で壁に寄りかかり、腹部を押さえて咳き込みはじめる。
「へっ。第二ステージへ突入、ってか」
矢黒もまた老朽化した扉の片方を蹴り破り、廃ビルの中へと踏み込んだ。
「香澄さんっ!」
「やめとけ、危ねぇぞ!!」
香澄の取り巻きの女学生が後を追おうとするが、男達がそれを止める。
その判断は正しかった。化け物2人の戦いに、普通の人間が介入するべきではない。
彼らに許されるのはただ、朽ちたビルを囲み、漏れる音を手がかりに中の様子を想像することだけだ。
※
長い間換気がなされていないのか、廃ビルは空気が淀んでいた。そして妙に蒸す。
いや、あるいはその熱は、矢黒の肉体が発するものか。
矢黒はシャツを荒々しく脱ぎ去った。汗ばんだ胸板が空気に晒され、興奮が増していく。
下半身も硬く隆起していた。
あと何時間、いや何分か後には、香澄を屈服させられる事だろう。そうすれば、あの瑞々しい肉体を貪れるのだ。
そう考えれば、局部に血が巡って仕方がない。
「そこか」
矢黒は2階の廊下で足を止め、前方に立つ香澄を見やった。
数分前までは腹部を押さえて逃げ惑っていたようだが、いつの間にか呼吸が整っている。
しかし、その見目は変わり果てていた。
解けかけのポニーテールに、皺だらけのスポーツウェア、初めと比べてひどく裾の上がったスパッツ。
頬は切れ、両腕には痣が残り、ウェアに包まれた腹部は呼吸と共に蠢き、膝は細かに震えている。
「ひでぇ有り様だ」
矢黒は言った。無論、同情などではない。あえて言葉に表すことで、嗜虐の快感を高めているに過ぎない。
矢黒は元々、弱者を虐げるのが好きだ。
もっとも、目に映る全てが弱者なのだから、単に『人を殴るのが好き』と言い換えてもいい。
中でも女は最高だ。女の腹は、殴ればぐちゃりと潰れて小気味いい。いい匂いもするし、泣き顔がまたそそる。
唯一の不満が、女は皆、ボディブローの一発限りで潰れてしまう事だった。
しかし、香澄は違う。今まで会った中でも指折り数えられるほどに美しく、凛とした品がある女。しかも、潰れない。
今までに何発も直撃弾を見舞っているにも関わらず、なお静かな闘志を向けてくる。
「あなたのように、理不尽な暴力を振るう人には負けません!」
香澄は矢黒を睨み据え、やや幼い声を響かせる。その声すら、今の矢黒には愛おしかった。
健気だ。健気な人間は誰でも愛でたいものだ。普通の人間なら撫でるだろうし、矢黒のような人種は…………殴る。
キュッという音を立てて、ワークブーツが床タイルを蹴った。
目的は、香澄の“中心”に拳を叩き込むことだ。ただその為に、戦闘の勘を研ぎ澄ます。
「シッ!」
近づく矢黒に対し、香澄がローキックを放った。
恐ろしく鋭い呼気で放たれるそれは、当たれば電気ケーブルを押し当てられたような痺れが走るだろう。
ただし、防ぐのは簡単だ。矢黒は突進の勢いを利用し、香澄に喉輪責めを掛ける。
矢黒と香澄とでは実に20cm以上の体格差がある上、肩幅に恵まれた矢黒はリーチも長い。
その条件下で前屈み気味に喉輪を極めれば、香澄のあらゆる打撃はむなしく空を切る。
「がはっ!」
香澄は顔を引き攣らせていた。喉輪の苦しみか、それとも状況の悪さを察してか。
「なーるほど、最初っからこうすりゃあ良かったんだな」
一方の矢黒は余裕たっぷりに舌なめずりをし、喉輪をかけていない方……利き腕の右を引き絞る。
「ああ、うあ゛っ…………!!」
いよいよ焦りを見せた香澄が脚をばたつかせるが、それも艶かしい股関節がスパッツ越しに強調される効果しかない。
「…………いくぜぇ………………!!」
矢黒は声を震わせながら宣言する。セックスで膣内射精を宣言する時と同じ調子で。
引き絞りに引き絞った右腕を解き放ち、同時に喉輪を極めた左手を引いて、正面から衝突させる。
拳が空気と擦れ合う感覚の後、膨大な肉の壁にぶち当たった。
香澄も『白息』とやらを不完全ながらに行い、必死に力をこめているのだろう。そもそもの腹筋もよく鍛え込まれてはいる。
しかし、そんな壁では止められない。
拳先は易々と香澄の肉壁を突き破った。力を込めた腹筋はウインナーと同じ。一度表皮を破ってしまえば、後は柔らかいものだ。
ぐじゅりっ、と一気に深くまで埋没する。
どくんどくんと脈打つ臓器が手首を押し返そうとしてくるが、拳を捻りこめば簡単に更なる奥まで入り込んでしまう。
「げぇあっほごおお゛ぉえ゛っっ!!!」
抉る感触も会心ならば、漏れる悲鳴も会心の出来だ。
育ちの良さそうな顔からは想像もできない、ヒキガエル以下の濁った声が響き渡る。
「っらぁっ!!」
気合一閃、拳を振りぬけば、香澄の細い身体は為すすべなく壁へと叩きつけられる。
「げほっ、げほっげはっ、ぁはっ!…………ん゛っ、ごぶっ…………!!」
壁沿いにずるずると崩れ落ちながら、香澄は数度激しく咳き込み、口元に手を当てた。
そこでまた咳き込むと、指の合間からどろりと茶褐色の液体が漏れる。
眉根は寄せられ、瞳はきつく閉じられ、目の端には涙が光り。
その姿は、矢黒の歪んだ性癖をひどく満たす。精神的な射精というものがあるとするならば、彼はまずここで達していた。
今まさに嘔吐したばかりの香澄は、俊敏には動けない。
壁際にへたり込んだ所を矢黒の蹴りが襲えば、よろめくように横に避けるしかない。
当然、その動きは矢黒に読まれる。後ろからポニーテールを鷲掴みにされ、そのまま仰向けに引き倒されてしまう。
さらに腹部へ膝を乗せられれば、もう逃れる事はできない。
「う゛ああああーっ!!」
香澄は悲鳴を上げた。
散々痛めつけられた腹部へ、150kgを超える体重が、全てではないにせよ掛かっているのだから当然だ。
「ハハハッ、どうだ。小技使いのテメェでも、こうなりゃ呼吸もクソもねぇだろうが!」
膝頭でグリグリと腹部を虐め抜きながら、矢黒は笑う。
膝を押し込むたび、香澄の美貌が苦痛に歪む。スパッツに包まれた太腿が暴れる。
一度絶頂を迎えた嗜虐心が、また緩々と扱きたてられていくようだ。
「がはっ、かはぁ…………っ!!」
矢黒の言う通り、丹田を潰されては如何な香澄でも呼吸どころではない。
膝で下腹部を抉られるたび、口の端から涎を零して苦悶するしかない。一見、絶体絶命に見える。
しかし、それでも彼女の瞳は、細く開いて矢黒を観察していた。
溢れる涙を瞬きで払い、入念に観察を続けた。
彼女は一瞬を待っている。どんな人間であれ、常に力を篭め続けることは不可能。
力を篭めるためには、どこかで必ず息継ぎをしなければならない。
「すーっ…………」
今、その一瞬が訪れた。膝の力が緩み、矢黒が大きく息を吸う。
「コヒュゥ――ッ」
その瞬間、香澄も息を吸い込んだ。常人には真似できないほど、深く、素早く。
そしてその膨大な空気を肺に留め、一時的とはいえ爆発的な力で背を反らせる。朱雀の力、『朱息』だ。
「な、なにっ!?」
矢黒は完全に意表を突かれた。盛り上がった香澄の腹に押し上げられ、股を開いて体勢を崩す。
空中での大股開き。それはすなわち、男が最大の急所を晒した状態だ。
そこへ、香澄の蹴りが襲った。
一切の容赦なく利き足の甲で蹴り、さらにインパクトの瞬間、内側へ抉り込む。最も効くローキックの蹴り方だ。
「がっ、あ…………ぐぎぉああああがぁあおオオ゛オ゛オ゛っっ!!!」
咆哮が響き渡った。いかに屈強な男といえど、金的を渾身の力で蹴り込まれては堪らない。
「はぁーっ、はぁーっ、はっ…………!!」
矢黒が股間を押さえて苦悶している隙に、香澄は彼の下から腰を引くようにして脱する。
しかし、ここで誤算があった。
矢黒が極度の興奮状態にあった事だ。その興奮状態は、彼に睾丸の痛みをも超えるほどの怒りを湧き上がらせた。
「クォォ……オ゛…………!!」
矢黒は、閉じた瞳を無理矢理に開き、立ち上がろうとする香澄を視界の端に捉える。
そして、見つけた、とばかりの笑みを浮かべた。
「んだらっすぞオラアアァァァッ!!!」
言葉の体を成さない叫びと共に、怒り任せの拳を振るう。
闇雲に放ったそれが、よりにもよって香澄の顔面を捉えるなど、一体どれほどの確立だろう。
だが、結果として不運は起きた。
「ぐぶあっ!!?」
香澄は避ける暇もなく顔面に被弾し、壁に備えられた火災報知機へと後頭部を叩きつけられる。
廃ビルにも関わらず、ジリリリリとけたたましい警報が鳴り響いた。
「うわ、何だっ!?」
「か、火災報知機だ。中はどうなってんだよ、一体……!」
ビルを囲むギャラリー達は、一際耳障りな警報を耳にし、ただ顔を見合わせるばかりだった。
「うぶっ……うぶぁっ…………あぐ、ぅっ」
崩れ落ちた香澄の右目は閉じ、左の鼻から鼻血が噴出している。
呼吸は完全に乱れていた。
大の男に馬乗りになって甚振られ、渾身の力を振り絞って脱した直後に、顔面へ直撃を喰らったのだ。
ショックと恐怖を考えれば、正常な呼吸が出来ている筈もない。
とはいえ、香澄は冷静だ。腰を抜かしつつも距離を開け、呼吸を整えようと図った。
しかし、矢黒がそれを許さない。瞬時に追いつき、横臥した香澄の腹部を痛烈なフックで抉る。
「ぐはっ…………!!」
香澄の目が見開き、口から空気が抜けていく。
「さっきのでよーく解ったぜ、テメェの呼吸は厄介だ。なら、その力の源を止めてやるよ!!」
矢黒は叫び、もがく香澄の腹部をいよいよ集中的に狙い始めた。
香澄も抵抗はするものの、双方共に息が切れた状況下では、単純な筋力が物をいう。
「げはあ゛っ!!」
またしても腹部を抉られ、吹き飛ばされる香澄。
今のままでは勝ち目がない。そう判断し、彼女は受身からの立ち上がり様に逃走を図る。
「逃がすか!」
矢黒はすぐに追いかけるが、当然香澄とてそれを予測している。
香澄は、矢黒との間に充分な距離を稼いでから振り返り、素早く呼吸を行った。
肩幅に開いた両手を、親指を上にした状態で垂直に降ろしつつ、膨大な酸素を取り込む呼吸法。
「コヒュゥ――ッ…………」
独特の呼吸音は、矢黒にも覚えがあった。先ほど、矢黒の押さえ込みを一瞬にして跳ね除けた時のものだ。
さらには香澄自身、総身の毛が逆立つかのような気迫を発し始めている。
流石の矢黒とて、これには追う足を止めた。
「ふっ!!」
直後、気合と共に香澄の身体が凄まじい速度で回り始める。
腰を切り、足を振り上げ、腕を回して、その勢いでまた腰を切る。そうした繰り返しで加速度を増しながら、一息の間に矢黒に詰め寄った。
「うおっ……!!」
矢黒が声を上げた時にはもう遅い。香澄は跳躍しつつ腰を引き上げ、目にも止まらぬ速度で矢黒の鳩尾を蹴った。
「ぐぅえ゛っ!」
思わず噎せかえる矢黒だが、香澄の猛攻は止まらない。
鳩尾に埋まった右足を軸に、振り上げた左脚で首元を蹴り付ける。さらにその反動を利用し、矢黒の髪を掴んだまま、顔面へ右膝を叩き込む。
「ぐぶあああっ!!」
これには矢黒も堪らず、後ろ向けに倒れ込んだ。
明らかに人間離れした動きだ。身体中の筋と膜を格闘用に特化させ、短時間だけ意図的にリミットを外す、これが『朱息』。
この奥義を使った以上、香澄もただではすまない。
「あうっ!」
為すすべなく腰から落下し、呻きを上げた。とはいえ、鳩尾、脊髄、顔面への3連撃を喰らった矢黒よりは回復が早い。
ぜぇぜぇと息を切らしながら立ち上がり、階下に逃れる。
矢黒は、壁に寄りかかりながらそれを眺めていた。
鉄臭い鼻に手を当てると、ぬるりとした感触がある。手の平を見やれば、真っ赤に染まっている。
「…………最高だぜ。大層なジャジャ馬じゃねぇか」
矢黒は鼻の下を拭いながら、愉しげな笑みを浮かべた。
そして、立ち上がる。
階段の一段一段を降り、1階へ。そこには苦しげにへたり込んだ香澄の姿がある。
「なっ…………!!」
香澄は、矢黒を振り返って驚愕の笑みを浮かべた。まだ追いつくはずがないのに、という風だ。
しかし、香澄が化け物なら、矢黒もまた化け物。
スタミナもタフネスも回復力も、一般的な人間の範疇から逸脱している。
矢黒が並みの人間なら、死力を振り絞った先の猛攻で充分な時間を稼げただろう。
矢黒が並みの人間なら、逃げ惑う香澄はポニーテールを掴んで殴り飛ばされ、ガラスに叩きつけられる事もなかっただろう。
廃ビルの1階は、至る所に天井から床までガラスが張られ、通りから中が覗けるようになっている。
とはいえ劣化は著しく、土煙で曇りガラス状になっているものや、激しくひび割れている箇所も多い。
矢黒はその一つに香澄を追い詰めていた。
背中をガラスに付けさせ、細い両手首を纏めて右手で掴み上げて。
「くっ…………!!」
口惜しげに睨む香澄に、矢黒は一発を見舞う。狙う腹だ。
「ふも゛ぐぅっ!!」
目を見開き、口元から唾液を飛ばす香澄。矢黒は笑いつつ、香澄のスポーツウェアを捲り上げる。
香澄の腹部は赤く腫れ、陥没している。
呼吸するだけでも激痛で悶えかねない有様で、よくもあの猛攻を、と矢黒は感嘆する。
「どうだ、苦しいか? 救いが欲しいのか?」
赤く腫れた腹部を撫で、矢黒は訊ねた。
哀願どころか、呼吸を深め、汗まみれの顔で睨みあげる。
「いい顔だ。その顔で何発耐えられるか試してやろう」
矢黒は拳を握り、小さく引いて突き込んだ。
「ぐっ!!」
香澄が苦悶の表情を浮かべる。だが、まだまだ前菜だ。
一旦引き抜かれた矢黒の拳が、より大きく引かれ、腰を切って打ち込まれた。
拳が固められた腹筋を突き破る。後方のガラスから、ビシ、と音が響く。
「ぐぁあ……っかは…………!!」
ストロークを増した分だけ、香澄の反応も大きい。口が開かれ、空気が漏れる。
「もっとだ。もっと苦しめ」
矢黒は対照的に笑みを深めながら、さらに容赦なく拳を抉り込んだ。
徐々に強めていくつもりが、やや力加減を誤り、本気に近い一撃になってしまう。
拳は半ば以上が腹部にめり込んだ。
「ぐぅうおえ゛っ……がは、ぁ、か……っぐ!!」
拳が臓腑を押し上げる事で、肺が圧迫されたのだろう。呻き声はひどく窮屈そうだ。
鳩尾近くまで跳ね上がった右膝が、苦痛をよく物語る。
1本筋の走った大腿部の引き締まりは、アスリート少女特有のものだ。
さらによく観察すれば、やや内股に閉じたスパッツの隙間から、透明な筋が流れ落ちていくのも見えた。
「ははっ、何だ。漏らしちまったのか?」
矢黒は嘲った。香澄の見せる羞恥の表情が、いよいよ矢黒の興奮を底上げする。
そこからは、ひたすらの連打だ。幾度も幾度も、腰の入った拳を叩き込んでいく。
「がへぁっ、ごびゅっ……!ぐぶっ、げごぁっ、カはっ……むごぅあ゛、ォう゛ウ゛っぐ!!!」
苦悶の声が響いた。
ファーストコンタクトで矢黒に鉄を感じさせた腹筋は、跡形もない。
ガラスに力の逃げ場を塞がれ、腹部を断続的に潰され、いよいよ少女の生の反応が出始めていた。
緩い腹肉へ手首まで拳を埋没させるたび、肘付近に涎や唾液、吐瀉物に汗などが雨あられと降り注ぐ。
矢黒に掴まれた手首が無駄な抵抗を繰り返し、スパッツを穿いた腿が跳ね上がる。
打点を左に寄せれば左腿が、右に寄せれば右腿が。まるでそうプラグラムされたゲームのようだ。
足裏が地面に着いている時でも、モデル級に長い両脚はガクガクと激しい痙攣を続けていた。
尋常ではない。女にとって最大の山場といえる出産の瞬間でさえ、香澄をここまで苦しめる事はないだろう。
香澄の窮地は、ビルの外から見守る人間にも余さず伝わっていた。
ポニーテールがついに解け、汗を吸ったスポーツウェアがガラスへ楕円形に張り付いている。
そこへ矢黒の豪腕が襲うと、香澄の背中全体がべたりとガラスに押し付けられる。
元々細く走っていたガラスの亀裂が伸び、枝分かれし、事故を起こした車のフロントガラスのようになっていく。
そしてその都度、聞くに堪えない香澄の呻きが上がった。
『げぼっ、ごぇっ! んも゛ぇっ、ぐぶ、がふ……っ! ぐむっん、げおぉ゛え゛っっ!!』
元は、大人びた見目とギャップがあるほど幼く澄んだ香澄の声。それが、反吐を吐くように濁りきっている。
ぐぇっ、おえっ、という声が聴こえるたび、女学生達は泣き腫らした目を惑わせる。
興味本位で集った野次馬達すら、助けに行くかどうかを談義しはじめるほどの異常事態だ。
しかし結果として言えば、助けに行く必要はなかった。
劣化したガラスの亀裂が広がりに広がった末、とうとう派手に割れたからだ。
心臓を刺すような破砕音と共に飛び出した香澄は、そのままアスファルトへと倒れこんだ。
「がはっ、アは……っげほ、えぼっ……ぐひゅっ…………!!」
香澄は仰向けのまま、喉からの吐瀉物を吐き溢す。
あの類稀な美貌が見る影もない。
美しかった髪は薄汚れて乱れに乱れ、顔は酸欠で青ざめている。スパッツは一部が変色し、つんとした臭いを漂わせている。
手足には数える気をなくすほどの打ち身跡や裂傷があり、見るも痛々しい。
そして、やはり最も変貌著しいのが、スポーツウェアから覗く腹筋だ。
健康的などとは程遠い。さながらネズミに齧られ続け、大部分が赤く変色したチーズ、といった所か。
それは矢黒という化け物が、彼女の丹田から出る力をどれほど危険視したかの表れでもあった。
「カスミさん、カスミさんっ! しっかりして!!」
「ひどい……こんなの、酷すぎる!」
女学生達が香澄に駆け寄り、涙ながらに訴える。
「フーッ、フーッ、クフーーッ…………」
香澄はひとしきり吐瀉物を出し終えた後、風変わりな呼吸を始めた。
息に精通する彼女のことだ、特殊な気道確保の法なのだろう。
確かに、矢黒が追ってこない今はチャンスだ。圧倒的劣勢ではあるものの、ここで呼吸を整えれば多少は持ち直せる。
“不運さえなければ”、まだ香澄にも勝ちの目は残っている。
しかし、それも所詮は空しい願いだ。今日の彼女にはツキがない。
無作為に放たれた矢黒の一撃を、まともに顔で受けてしまったように。
立会いの時点では晴天だった空が、香澄の戦況悪化につれて曇っていったように。
「きゃああああっ!!」
突如、廃ビルの中から悲鳴が上がる。
香澄達が見上げると、ビル2回の窓際で、1人の少女が矢黒の人質になっていた。
「ミユキ!?」
女学生達が少女の名を呼ぶ。香澄もその美由紀という取り巻きの少女は知っている。
普段は臆病なものの、ここぞという時には妙に思い切りのいい娘だ。
矢黒は美由紀の首に鉄パイプを押し付けて人質にしているが、おそらくそれは彼女自身が持ち込んだものだろう。
ビル2階……おそらく火災警報器が原因だ。
警報を聞いて黙っていられず、香澄を心配するあまり、鉄パイプ片手にビルへと忍び込んだものと考えられる。
もしも香澄が窮地に陥っていれば、物陰から矢黒を殴ろうとでも思ったか。
「オラ、早く戻ってこいよ! じゃねぇと、こいつがガキ産めねぇ身体になっちまうぜ!?」
矢黒は香澄を見下ろしながら叫び、美由紀を一旦開放した。
しかしよろけるように歩みだした美由紀の横で、矢黒がフックのモーションに入る。
「危ない、美由紀ちゃんっ!!」
香澄が叫んだ直後、美由紀の姿は窓辺から消えた。
「がぁ゛ああ゛ーーーっ!!」
直後、痛々しい声が響き渡る。大人しい少女が発するものとは思えぬ、断末魔じみた声だ。
女学生達も、ギャラリーも、眼前の悲劇にただ立ち尽くすしかない。
ただの女学生が、異形の怪物に襲われた。無事では済むまい。すぐにでも助け出したいが、では誰が、どうやって?
その絶望的な考えが場を支配した、その時だ。
ギリッ――。
歯軋りの音が、重い静寂を切り裂いた。音の主は香澄だ。
「コフーっ…………ふーーーっ…………」
彼女は満身創痍の身を地面から引き剥がし、廃ビルの入り口へと歩みだす。
「お、おい、何やってんだ、やめとけよ! アンタだってもう、まともな状態じゃねぇんだぞ!?」
「そ、そうよ! ミユキは確かに心配だけど、今行ったら、カスミさんまで殺されちゃうよ!」
何人かが止めに入る。しかし、香澄は静かに首を振った。
「ありがとうございます。でも私は、誰一人として見捨てたくないんです」
覚悟を決めたその表情に、誰もが言葉を失う。
彼らは勇気ある犠牲者のために道を開け、ただ祈りを込めて凛とした後姿を見守るばかりだった。
※
「お願い、もぉ゛やめでぇ゛っ!!」
2階フロアに上がった途端、悲痛な叫びが聴こえてくる。
フロアの中央……吹き抜けになった場所に、腹部を抱えて倒れ伏す美由紀がいた。
矢黒はその身体を無理矢理に引き起こし、ボディーブローを叩き込む。
「うげぇえ゛お゛っっ!!」
格闘の経験など皆無であろう少女は、その華奢な身体を海老のように丸めた。
細めた瞳からは涙が零れ、開いた口から吐瀉物があふれ出す。
「やめなさい! あなたの相手は、私ですっ!!」
フロア中に響く香澄の怒声に、矢黒の笑みが深まった。
「当然、そのつもりだ。こんな素人のガキじゃあ歯ごたえがねぇ。やっぱテメェの腹じゃねぇとな」
矢黒は無造作に美由紀の体を投げ捨てる。
反応もせずどちゃりとタイルに落ちる美由紀は、精巧な肉のマネキンのようだ。
そして、今まさに人一人を肉に変えた巨岩のような拳が、その矛先を香澄に向ける。
香澄の頬に汗が伝った。
ビル外で多少のインターバルが取れたとはいえ、香澄は本調子には程遠い。
並外れた力で腹部を殴られ続け、肺も臓器も損傷している。アバラも数本逝っているだろう。
呼吸として最も自然にできるはずの『青息』ですら、苦しさのあまり吐き気がこみ上げる。
勝ち目が、ない。
「フン、すっかりブルっちまったか。だが、もう手遅れだぜ。
テメェはいい女だが、ちっとばかしおイタが過ぎた。この俺に、人前で膝をつかせちまった。
後々はダッチワイフとして贔屓にしてやるにしてもだ。その前に今日この場で、躾を済ませとかねぇとな」
岩山のような肩が、ゴグッ、ゴグッ、と鳴らされる。
鉄骨を思わせる10の指が握り締められ、パキパキと音を立てる。
腰が左右に捻られ、ヒグマのように分厚い上体が空を圧する。
無造作に暴れるだけで人を殺傷しうる異形の肉体。それが、その本領を発揮するべく解されていく。
これからその絶大な暴力を向けられる香澄の心中は、穏やかであろう筈もない。
「………………ッ」
気丈に濁りのない瞳を見開いてはいるが、引き結ばれた唇の中心はヒクヒクと痙攣している。
そして矢黒は、まさにその反応に沸き立つ。
「さぁて、仕置きの時間だ。その生意気な腹、ベコベコにしてやらぁッ!!」
ワークブーツが床を蹴り、巨体が猛然と駆け出した。
「シッ!」
気合と共に香澄の突きが放たれる。しかし矢黒の反射神経は、それを悠々と回避させた。
その返礼として浴びせられるのは、巨岩のごとき剛拳だ。
下から突き上げるようなそれが、深々と香澄の身を抉り、爪先を宙に浮かせる。
「げお゛はっ!!」
身体をくの字に折ったまま、香澄は床に倒れ伏した。
身を起こそうとする動きの中で吐瀉物がこみ上げ、口から零れていく。
と、その頭上をブーツの影が覆った。
香澄は咄嗟に横転して踏み付けをかわすが、それも矢黒の術中だ。
体勢不十分で立ち上がった香澄の喉を、矢黒の巨大な手の平が押さえ込む。喉輪だ。
「むぐっ、はぁ、う゛っ!!」
無理矢理に天を仰がされながら、香澄の身は震えていた。
嫌というほど、骨の髄にまで染みこんだ痛みがフラッシュバックする。
そして、その悪夢はすぐに現実となった。ズン、と腹部へ沈み込む鉄塊として。
「ぐぅううおっお゛ぉえ゛あお゛あああ゛…………っっっ!!!」
香澄の長身はくの字に折れ、彼女自身の肩より高く突き上げられた。
垂れ下がった胸の果実が揺れる。美しい手の指が、宙に救いを求めるように蠢く。
「っらぁあっ!!!」
突き上げる右拳が引き抜かれた瞬間、入れ替わるように左拳が叩き込まれた。
「げぶぐぅうお゛っ…………!!」
頬を膨らませながら、香澄は呻く。それ以外に行動の余地はない。
カハッと口が開き、唾液と胃液、そして僅かに赤いものが空中に散る。
そして香澄の肉体は、硬質なタイルの上を転げまわった。
「ぐふっ、がふぇあ゛っ! う゛、んう゛、ふむ゛んぐくくっう゛っ…………!!」
腹部を両腕で押さえ込み、額を床に着けて呻く香澄。その声色は泣き声と酷似していた。
「今のは中々良かったぜ、イイ感触が拳に染みてきやがった」
矢黒がゆっくりと香澄に歩みより、苦しみの渦中にある下腹部を蹴り上げる。
「ぎゃうっ!!」
「おう、これもいい声だ。お前の悲鳴は股間に響く……特に、腹ァ痛めつけた時のはな!!」
ただ香澄だけを視界に捉えて笑い続ける矢黒。その一途さは、さながら玩具遊びに興じる子供だ。
玩具役となる香澄にとっては、地獄でしかないだろうが。
激しい格闘の音がフロアに響く。
靴底が床のタイルに擦れる音、荒い呼吸音、拳が空を切る音に、骨が肉を抉る音。
攻撃の応酬ではない。繰り広げられているのは、完全なワンサイドゲームだ。
「オラどうした、立てよクソ女。俺ァ、テメェのその生意気な腹を100発ブン殴るって決めてんだ。
もし途中でヘバったりしたら、このひ弱そうなガキに肩代わりさせんぞ?」
矢黒は口汚い挑発と共に、美由紀の髪の毛を掴み上げた。
「ま……まだ、です…………!」
香澄は口内の血を吐き出し、痙攣する足を叱咤して身を起こす。
もはや彼女を支えるものは使命感だけだ。
しかし、それにも限界が来ていた。
酸欠で意識は朦朧とし、視界も定まらない。腹部の痛みは極限に達し、死が甘美に思えてしまう。
「ンだよ、フラフラしやがって。しゃあねぇ、もう一発、強烈な活入れてやるよ!!」
矢黒の声がし、身を灼くような殺気が発せられる。
-―――ああ、駄目だ。あれを喰らったら、今度こそ死んでしまう。
香澄がそう思った瞬間、無意識に身体が動いていた。矢黒の突きを嫌がるように。
ピシッ、と肉を打つ音がした直後、矢黒の殺気が途切れる。
「んおっ!?」
不意を突かれて矢黒はよろめいた。そして首を傾げ、再び打撃の姿勢に入ろうとする。
しかしその予備動作を、また香澄の打撃が止める。矢黒はこれにより、溜めた動作エネルギーを霧散させてしまう。
「なっ……テメェ、さっきから何をしてやがる!」
矢黒が動揺も露わに怒鳴りつけた。
何をした、という物でもない。香澄はただ直感的に、矢黒の嫌な動きを防ごうとしたに過ぎない。
香澄が直感で突いた箇所に、後出しで矢黒が力を篭めようとし、勝手に自滅していく。
強いて言うなら、相手の行動を先読みする『先の先』の呼吸。
いや、更にその上、相手の動こうとする意思そのものを読み取る『先々の先』の呼吸だ。
これにより矢黒のあらゆる行動は、その動作が起ころうとする段階で潰されてしまう。
しばしそれを繰り返した所で、香澄はふと、自分が無意識の内に行っている呼吸に気がついた。
「ぜっ、ぜっ、は、はっ……はっ…………」
「ぜっ、ぜっ、は、はっ……はっ…………」
香澄がやや荒い呼吸をした直後、正面に立つ矢黒から、まったく同じ呼吸が発せられる。
矢黒が香澄の呼吸を真似ているのか。
いや違う。香澄が、矢黒の一手先の呼吸をしているのだ。だからこそ、矢黒が動作に移ろうとする予兆を見抜けるのだ。
なぜ急に、そのような技術が身についたのだろう。
『玄息』でも読めないほどランダムだった矢黒の動きが、勝ちに執着するあまり単調になってきたせいか。
それとも呼吸というものを追求し続けた成果が、この死の淵で結実したのか。
理由はどうあれ、今にも意識の途切れそうな香澄にとっては、これが最後の光明だ。 矢黒は、氷のように冷たい汗を掻いていた。
死に体だった筈の香澄が、どういう訳か矢黒の攻撃をことごとく封じ込めてくる。
肩を動かそうと思った時には、香澄の手が肩の付け根を押し込んでおり、ビクリと体が硬直してしまう。
肘を動かそうとしても、足を動かそうとしてもそうだ。
痛みがある訳でもなく、運動機能を損なった訳でもない。しかし、動けない。
「ぜハッ……ゼハッ…………」
香澄は、虚ろな瞳でこちらの目を覗き込みながら、苦しげな呼吸を繰り返している。
鬼気迫るその様は、燃え上がる矢黒の嗜虐心を鎮火していく。
眼前に立つのはもはや、彼が好んで屠る弱者ではない。この世ならぬ何かだ。
「な、何だっつぅんだよ、クソが…………」
矢黒は顔を引き攣らせ、踵を返して逃げようとする。
しかし、香澄はそれを許さない。足首を掬って巨体を転倒させ、背後から被さるように後三角絞めに入った。
2本の長い脚が首に絡みつき、強烈に締め上げる。
「ぎひぃいいいっ!?」
矢黒は恐怖からの悲鳴を上げた。瞬く間に気道が狭まり、脳への酸素供給が寸断される。
「あ゛、ががかっ…………!!」
苦しい、息が苦しい。
もがく矢黒の脳裏に、ふと酸欠で苦しむ香澄の様子が浮かんだ。
なるほど、これは報いか。散々腹部を殴り、肺を痛めつけてきた自分への罰というわけか。
藻掻けど足掻けど逃がれられず、矢黒はついに観念する。
しかし、それにしても苦しみが長い。
いっそもう絞め落としてくれ、という嘆願を込めて視線を横に向けると、ガラスに映る香澄の体は力なく後ろに垂れていた。
すでに意識を失っている。矢黒の首に脚を絡みつかせた所で限界が来たのだろう。
「ぬぅう、おッ!!」
矢黒が改めて渾身の力を篭めると、ようやくにして脚が引き剥がせた。
支えを失くした香澄の肉体が、どさりと床に倒れ伏す。
「ハァーッ、ハァーッ、ハァァァッ………………チッ」
矢黒は喘ぎながら香澄に一瞥をくれると、口惜しげに舌打ちし、背を向けて歩き出した。
1階への階段を降り、廃ビルの外へ。
矢黒の勝ちを確信していたらしく、ビルの入り口にはアベリィが満面の笑みで寄りかかっている。
「ハァイ、ダークヒーロー。お愉しみの割には早かったわね。
……って、あら? お土産の肉はどこ?」
周囲からの冷ややかな視線を意にも介さず、矢黒に問いかけるアベリィ。
矢黒はそれを黙殺し、怯える観衆の波を割って進む。
アベリィの表情が変わった。
「……ま、まさかアナタ、あの女にトドメを刺さなかったんじゃないでしょうね。
何を考えてるの!? 今があの女を倒す、千載一遇のチャンスだっていうのに!!
ねぇ、答えて! アナタ、あの女をボコボコにして、犯したいって言ってたでしょう、なのに何でっ!!」
アベリィはヒステリックに喚き立てる。
矢黒が歩みを止めた。
「少し黙れ、ビッチ」
ゆっくりと振り返る形相は、正しく猛獣そのものだ。
「…………テメェなら殺せるぞ?」
唸るような一言を残し、異形の化け物は都会の雑踏へと消えていく。
放心状態のアベリィは、ペタリとその場に崩れ落ちた。
「香澄さん! 香澄さん、しっかり!!」
「美由紀、大丈夫!?」
女学生とギャラリーによって、ビル内から2人の女性が運び出される。
「う゛っ、ゴボッ…………な、なんとか大丈夫…………」
先に意識を取り戻したのは美由紀だ。無事とは言い難いが、意識ははっきりとしていた。
そして、それを救った“救世主”も。
「ん、うぅんんっ…………」
呻き声と共に、香澄が弱弱しく目を開く。そして歓声の沸く周囲を見渡し、数度瞬きを繰り返した。
「ここは……そっか。私、負けちゃったんですね」
香澄が苦笑すると、すぐに周りの人間が首を振る。
「いえ、香澄さんの勝ちですよ。アイツ、ビビリまくって逃げていきましたもん!」
「そうだ。アンタはまた一つ、この街の暴力を潰したんだよ!」
その言葉をきっかけとして、満身創痍の香澄に惜しみない拍手と声援が送られる。
まさに救世主を讃えるが如くだ。
「え、えっ!? あ、あの、ええっと…………ありがとうございます」
香澄は照れながら笑みを見せた。麗しい見目とは裏腹に、童女のようなあどけなさで。
傷が癒えれば、香澄はまた暴虐との戦いに身を投じる事になるだろう。
そしていつまでも、弱きを助け、強きを挫き続ける筈だ。
その身に、息吹が続く限り。
終 久しぶりに見たらすごい好みなのきてた!
投下乙です! オレも久しぶりに覗いたら今夜のオカズが見つかったw
腹責めの何がエロいのか未だにわからないが、何故か毎回フルボッキしてる 女城主切腹ものを書いてるんだが。
需要あります?というか人います?
需要が有るんなら、明日か明後日にあげようと思います。 ここよりなろうとかシブの方がリアクションあると思う >>649
テンプレにも「切腹して自害したり」って載ってるし、このスレでは切腹も腹責めに含まれる
ここ最近じゃ反応は期待できんかもしれないけど気が向くようだったら投稿もいいかもしれない 甲鉄城のカバネリの無名ちゃんにカバネの腹責めage SSちょっと廃れすぎじゃない?
更衣室の仕置きとか最高だったよ
そりゃ絵の方がインパクトあるかもだけど
もうちょい盛り上がって欲しい 今年入ってまだ8レスしか付いてない時点で諦めろ
職人はシブとかなろうに流れたよ そうは言ってもこうして覗きに来てる奴らがまだいるっていう・・・ 需要に左右されるからオールジャンルの中で探すとそうなるかもな
エロ・快楽系>ホモ>>>>>リョナ だ >>656懐かしい作品ですね
以前は作者さんのブログをwebarchive通せば修正版が読めたんだけど、当時のログはもう流れてしまった…
スクショ保存してて良かった >>661
修正版ですと??
スクショうpして下さい頼みます ≫663
ありがとうございます!
本当にありがとうございます!
更衣室の仕置きは、自分の中では傑作なんです! うpしたものです
良い作品ですよね。
展開も描写も大好きです。
ヒロインの体型が司淳さんの絵みたいなところも良いですね。 どうもありがとうございます。
またこのスレが賑わうといいですね! まさかの作者様登場で、びっくり。
ここまだ見ていらしたんですね。
続きをッ!どうか続きをッ!お願いしますッ。 >>668
名前忘れてたけど、ひょっとして、と思って調べたらその人だった。
俺もずっと待ってる。 >>670
他にもいて良かった
ゼロ対ナイトプリンセス・先生対男 とても見たい
良いSSが投稿されれば人も集まって賑わう好循環を期待できるかもしれない?
自分は文才なくてそういうSS書けないから尚更・・・ 文才無くてもチャレンジして書いてた人もいるんじゃない?
そういう書き手に必要以上に冷たく当たってたじゃん。
その結果がこの現状でしょ。
感想もロクにもらえない投稿にはデメリットばかりで、そんな場所に投稿してくれる奇特な先生がまだ残ってるのかねえ・・・ ぐらり…
自分の意志とは関係なしに両下肢が脱力する。
いくら精神力で耐えても、身体はいつの間にか限界を迎えていた。
「あ…」
情けない声が出る。
女子校生ボクシングの試合とはいえ、今まさに相対しているチャンピオンは
プロ団体からも一目置かれる実力を持っている。
そのような相手への対戦機会を得ることが出来たのは光栄だった。
勝つために、一生懸命練習してきた。
しかし今、薄く6区画に割れた私の腹部には、強大な威力を持つであろうブローが
止めとでもいうかのように凄まじい勢いで迫っている。
もう腹筋を固めることは叶わない。これまでの嵐のようなボディによって
筋組織は駄目にされているのが分かっていた。
まずフットワークを奪われ、ガードの隙間からも散々叩き込まれた。
徐々にガードも出来なくなり、次第に守るもののないボディを打たれるようになっていた。
実力も、戦略も完敗だった。
闘ってみて分かる。私なんか、もっと簡単に倒せたはずなのに。
わざわざ手間のかかる方法で攻められたのは、遊ばれていたのかもしれない。
悔しい、悔しい…。
「また闘ろ。次はもっと攻めてきて」
声援の中、かろうじて聞き取れたチャンピオンの声で我に返る。
声の主は、笑っていた。
微塵の湿っぽさもない、晴天の草原のような、爽やかな笑顔。
そして気付く。
この人は、もっといっぱい打ち合いたかったんだ。
それなのに私は、相手が相手だけに余計な策を練ったりして、そこで止まってしまった。
こんな終わり方は情けないけれど、結果を受け入れよう。
この一撃を、彼女をリングへ沈めるための第一歩にしよう。
ずぼぉっ!
何かが潰れる音が、幻聴のように響く。
"うん"と言いたかったけれど、言うことは出来なかった。
「ゔっ!!ぶぅぇぇぇ!!!」
代わりに汚い返事をしたところで、私の意識は途切れた。 いいねえ
短いシーンだけど濃密でカタルシスを感じる
決着シーン書くときの参考にしよう >>319 :名無しさん@ピンキー
2013/09/30(月) 22:57:02.26 ID:MgGlMXH8
ランサー氏や夜凪氏が下地を作って
55氏が腹パン同人誌の可能性を見せて
イベントが始まって年々規模が大きくなって
荒らしやデータコピー厨が湧いて
そして誰もいなくなった
>>331 :名無しさん@ピンキー
2013/10/15(火) 21:53:34.60 ID:0Rz0RkfH
だれかポスト55氏になれよ
新しいSSが読みたいんだよ
>>338 :名無しさん@ピンキー
2013/10/18(金) 11:42:19.53 ID:ikOmpcUJ
実質ランサー氏か55氏しか、選択肢がない。
>>374 :名無しさん@ピンキー
2013/10/26(土) 11:50:37.34 ID:APd5SbnJ
正直、なんでここまでブーム去ったとか騒ぎ立てるのかが解らん。
今はちょっと谷の時期なだけで、またそのうち55氏が時代を先導して盛り上げてくれるだろ。
まあ、この流れが全てを物語ってるわな まあランサー氏とか55氏みたいな文章力あったら山のように書きたいのは確か 見るに堪えないとかはないのでどんどん投稿されてほしい でも実際そういう風にランサー氏か55氏かっていう線引きがある訳だし、ランサー氏55氏以外に投稿して欲しくない所じゃね
現実的にその二人以外じゃ盛り上がらないし……
ランサー氏55氏降臨待ちしかないわ そういう線引き勝手にしてるの>>682くらいだと思うけど
盛り上がるかとは別にして>>682でも誰でも投稿してくれればいいのに >>679もランサー氏とか55氏みたいなって言ってるじゃん、暗にそれ以外にダメ出ししてるようなもんだろ >>338 :名無しさん@ピンキー
2013/10/18(金) 11:42:19.53 ID:ikOmpcUJ
実質ランサー氏か55氏しか、選択肢がない。
>>374 :名無しさん@ピンキー
2013/10/26(土) 11:50:37.34 ID:APd5SbnJ
正直、なんでここまでブーム去ったとか騒ぎ立てるのかが解らん。
今はちょっと谷の時期なだけで、またそのうち55氏が時代を先導して盛り上げてくれるだろ。
この二つも俺以外の誰かだし、俺だけじゃなくて何人もいるぞ 678のレスを受けて書いただけで特にそれ以外ダメ出ししてるつもりはないよ >>686
わざわざ自分で名指しして限定したのに人のせいとか 678へのつもりだったからそこに名前載ってる人以外書いてもおかしいかなと思って
特に誰のせいにもしてないけど紛らわしかったかな
ランサーさんとか55さんの投稿を待つにしても、全体として投稿し辛い雰囲気を作っちゃうと
その二人も投稿し辛いんじゃないかな >>683
いや、俺も同じでランサー氏か55氏みたいな文章力あったら書いてるわ >>689
だからって名前出てる二人に限定したって事はそういう事だろ
これだけ名前が挙がってて投稿しづらいとか贅沢だろ、投稿されれば一気に空気変わるよ この二人以外でも文章力羨ましいなって思う人はいるから
そういう事とはまた違うと思うけど
何かあるたびにランサーさんがいい〜55さんがいい〜
ってやってたらただ衰退するだけだよ
衰退してほしいなら何も言えないし好きにしてもらうほかないけれど
そうではないなら>>691でもそれ以外の人でもSS投稿してほしいね
何分マンネリ化しやすい分野ではあるけど気にしてたら進まないし だけど現実問題何度も何人もの人間が言ってきた事で
現状見たら衰退を危惧するようなレベルなんか通り越してるだろ
これ以上どうにもならない所まで来てるのに何言ってんだ?
それなら本当に必要な人間の名前を挙げて投稿してもらう可能性上げた方が良くないか 実際何人が言ってるのかなんて分からないけど
まだどうにもならないってほど深刻ではないと思うよ
続けてたらそれこそスレ自体危なくなってしまう
そこまで特定の人に絞るというのが違うような
SSを投稿する訳でもなくランサー氏だけがいい55氏だけがいいって
延々と書き続けてて満足なのであれば何も言わないよ
素晴らしい作品を送り出してくれてる人たちなのは間違いないしね
ただ、個人的にはその二人以外でも素晴らしい人はいるし
最近腹責めSSを知って挑戦しようとしてる人もいるかもしれない
そういう人たちが書きにくい環境にはなってしまっているだろうと
思われて、ちょっと寂しいというかね でも実際ランサー氏と55氏以外じゃ盛り上がってねえじゃん
この前の投稿も含めてその二人以外だと申し訳程度の感想しか出てないだろ
そりゃ感想するにも困るようなもんに感想出す方だって大変だって
お前だってランサー氏と55氏が投稿したら掌返して感想書まくるんだろ?
寂しくなくなるぞ その二人以外でも素晴らしい人 って誰だよ、思い浮かばねえぞ イイな。是非ともニーナ南をモデルにした腹責めSSをランサー氏か55氏に書いてもらいたい。 ファンのフリをした荒らしなのか
ファンのフリをした荒らしと同程度だと気付いていない真性なのか ファンだから求めてるに決まってるだろ
それとスレ住民の言動を元に最適化した意見を書き上げただけ
現に何人も似たような意見を見てるだろ?仮に荒らし行為でも少なくともスレの意向として正論だ ランサー氏と55氏さえ居れば問題無い
それ以外の奴がいくら投稿してもランサー氏と55氏が居なきゃこのスレに価値は無い
発言と投稿後のレス見りゃ自明の理だろうが 名指しされる人がそれを聞いてどう思うかまでは考えたことがないようだから
時間を割いて教えてあげよう
自分だけが崇拝されてしまい、それを是認してしまうと
掲示板の、多人数による情報共有場という性質を否定し
ひいては自分以外の参加を拒むことになり
もしそれが実現すれば掲示板という場で自分以外の作者の作品に触れる機会を奪われることになる
新たな経験の欠乏は新たな創作に対して負の影響こそあれ、正の影響はありえない
他人に対しても自分に対しても不利益しかない状況を作り得る崇拝は受け入れ難いし
また崇拝が善意によってであれば無碍にすることも出来ないので
その狭間で揺れることになる
一般論として日本文化はモノづくりに対して非常に冷淡であると言われている裏には
最高位のクリエイターだけを崇敬し、それ以外のクリエイターをゴミクズ扱いすることで
多くのクリエイターの創作意欲や生活の仕組みを奪うだけでなく
最高位のクリエイターさえそれ以上成長できなくなってしまうという構造がある
幼稚で無垢な崇拝と、それを自己肯定する為の排他は非常に罪深いことだと
気に留めておいてほしい すまんがセンシティブなところなので注釈させて欲しい
「最高位」というのは「受け手個人にとって最高の人」という意味であって
絶対的な存在者という意味ではない 文章難解過ぎておバカさんには理解出来ないと思われ
それよか何か書いてくれ ご高説どうも。わざわざ国民性から文化に対する特徴を例に挙げてくださってまで、おバカさんには有り難すぎる説明だったわ。
流石、偉い人は言う事が違う。現状このスレに瀰漫する特定作家以外への等閑視と暗に迫る圧排、粗慢極まるスレ住民の態度を目の当たりにしておきながらよくそこまで自己妄信した物言いができるもんだと脱帽だ。
でもそんなに偉すぎるとおバカさんは困るんで、あまり偉い位置から喋らないでくれるか
それからそこまで長文書き込む労力を費やせるなら偉い次いでに一作執筆してみちゃどうだ?
感想コメントもそこまで考えて充実した物を書き込めば賦活の足しになるだろうに。 >>673
遅れたけどGJ!
読みやすかったです。
何か変な流れになってるけど、気にせずまた書いてくれたら嬉しい。
たまにしか覗かないけど、必ず感想書きに来るから 4行も書くなら感想に費やせや
ホント、感想や腹責めはてんで喋らねえくせに荒れるとよく喋るよなお前ら そんな、存在意義を失った腹責めSSスレでランサー氏55氏降臨祈願age 55氏とミスト氏って仲悪いの?
当て付けみたいなツイートしてるのを前に見たんだけど どっちがどっちに?
ミスト氏しばらく見なかったよね 俺も気になってた
55氏が腹パンチ以外も書きたいみたいなこと呟いたらたらミスト氏がは?って一言返して、その後55氏が数日間何も呟かなくなったから
お互いフォローも外してるみたいだし、何かあったんだろうな >>719
両方とも
ミスト氏はたまに攻撃的なツイートしてるけど、55氏のは珍しいから印象に残ってた
単なる勘違いかもしれないけど ミスト氏この前まで不快害人って名前変えてたよね
気持ち悪い画像や攻撃的なツイートばかりしてたから何事かと思った
名前戻した後も血祭りに上げてやるとか言ってるし あれは怖かった
最初誰が分からなくてこんな人フォローしてたっけ?って思った あとはヤンデレない氏にも攻撃的なエアリプしてたな
何か揉め事とかあったのかな ぶっちゃけ糖質っぽいなって思ったよ
ネット制限されてるから深夜に抜け出してツイッター見てるとか、仕事もとっくに辞めてもう働くことはないみたいなこと呟いてたから、措置入院でもしてんのかなって
障害者施設での事件もあったし、イベントで最悪なことにならなければいいけど 55もランサーも俺より評価されてやがるから気に入らねえ
ヤンデレないもそのうち血祭りに上げる >>726
気に入らねえはともかく血祭りはauto 本物ならトリップ付けるなりツイッターでやるなりするでしょ りょなけの打ち上げで嫌なこと言われた的な呟きしてたよね。
何があったか分からないけど、狭い業界だからトラブル起きたら居づらくなるんだろうね
このスレで知った作家さんの中でもトップクラスに好きだから心配だなあ トリップ付け忘れてたわ。
ヤンデレないは特別にフォローしてやってるだけだ、有り難く思え。 それより55氏の心配する方が普通じゃね
なんで毎回乙やGJしか感想もらえないスレ汚し野郎の話してんだよ
三流以下のゴミクズにスレに必要な神作家が迷惑被ったんだろ?話題にあげるなら55氏の話をすべき。 >>737
お前も本当は55氏とランサー氏以外はどうでも良いと思ってる癖に
このスレのコメントだけでもそれが総意だって分かるだろ? >>738
偽トリップを使ってなりすましで他人を欺こうとしたり
特定の作者さんを崇拝してそれ以外を無価値だとしている君の嗜好と同じ人しか居ないと思っている君を精神病ではないと考える人はそれほど多くはないかと
世の中の大半の人は君ほど愚かではない(君は最も愚かな人々の群に属する)ので他人を率いれるとは今後一切考えない方がいい 相手するくらいなら犯罪予告食らった本人に伝えて通報してもらった方が有意義じゃないかな
血祭りとか言ってるし普通に捕まるでしょこれ 御託並べるよりぶちまけちまえよ。
実際ランサー氏と55氏以外には皆塩対応じゃん
>>739が言うその特定作家以外だと読んでなくても書き込めるような反応しか無いとかザラだし
雑魚掴まされたくないからさっさと流して神作家崇拝してなんとか捕まえようとしてただろ?
>>739お前の言う通りなら俺以外の多くの声をどう説明すんだよ。
むしろこのスレじゃお前みたいな脳内お花畑の方が少数派に見えるが。 83 :
名無しさん@ピンキー
2013/05/22(水) 07:42:04.84 ID:rxBETL4r
ミヤビの新刊、表面上はニコニコして買うけど、その後は燃やすわ。
燃えてる様子はつべにでもUPするからよろしく
145 :
名無しさん@ピンキー
2013/06/15(土) 15:40:02.64 ID:z+Pj2zKW
こういう時は、読んでみたい腹責めシチュを挙げてみるといいんじゃないかな。
俺は、東方の輝夜みたいな不死身かつ高貴な娘が、ストーカーから出会うたびにボコられる小説。
146 :
名無しさん@ピンキー
2013/06/17(月) 08:04:52.78 ID:NeWULG3e
ここの人間が、そういう建設的な方向に協力しないのは、もう解ってるだろ。
文句言うかスレ違いの話を繰り返すしか能のない連中だよ。
315 :
名無しさん@ピンキー
2013/09/30(月) 13:16:27.39 ID:XGwTGqyI
SS投下された後は何も言わんで数日放置なのに人の文句とかだとすげぇ勢いあんのな
331 :
名無しさん@ピンキー
2013/10/15(火) 21:53:34.60 ID:0Rz0RkfH
だれかポスト55氏になれよ
新しいSSが読みたいんだよ
338 :
名無しさん@ピンキー
2013/10/18(金) 11:42:19.53 ID:ikOmpcUJ
実質ランサー氏か55氏しか、選択肢がない。
374 :
名無しさん@ピンキー
2013/10/26(土) 11:50:37.34 ID:APd5SbnJ
正直、なんでここまでブーム去ったとか騒ぎ立てるのかが解らん。
今はちょっと谷の時期なだけで、またそのうち55氏が時代を先導して盛り上げてくれるだろ。 >>740
荒れるの大好きな癖に。クズSS投下より荒れる方が好きな癖に。 詐称だとしたら自演もバレバレで恥ずかしいし
挙げてる人物全員に迷惑かかる上にそれ以外の人も書き込みにくくなる悪手
あり得ないと思うけどもし仮に本当に本人なら心が疲れてるみたいだから少し休みなよ 支配する方法もあるが本能的に最も近い力を行使していちばん馬鹿な奴を完膚無きまでに血祭にあげるのがいちばん手っ取り早く分からせられるんだが
10月24日のミスト氏のつぶやき
何を支配して何を分からせたいんだかまったくわからん たしかに引く発言ではあるけど…
作品が良ければ本人の性格なんて気にしないな 俺は好きだけどなあ
当時リクエストしたシチュも作品に拾ってもらったし
機会があれば挨拶くらいしたかったよ
もう公の場に出ないと言ってるのは残念だねえ お前一人がいくら評価してもここはランサー氏と55氏のお蔭で繁栄するスレ
神作家の邪魔するようなゴミは消えるのが当たり前 >>750ってリアルではヒットラー信者みたいな人なんだろうな このスレで執拗にランサーと55を崇め奉るレスをしているのがミスト氏というのはマジですか? >>754
違うだろ、と思いたいけど書き込みとツイートが微妙に一致しててなあ…
もし本当にそうならいい作品書く人なだけに残念 本人がツイとかで明言しない限り決めつけはやめた方がいいんじゃない 本人と断定はできないけどツイートの内容とか時期からここ見てるみたいではあるんだよね
本当に荒らしならわざわざ自白はしないだろうけど、違うって否定はして欲しいな こんな事言いたくないけどさ>>755と>>758の言いぶりからますますミスト氏本人としか思えなくなったんだけど
内容とか時期って具体的にどう一致してたの? >>759
最近だとここで>>733-734あたりの書き込みがあったのが11/5
フォローはされたままでいるがある時期を境にぱったりといいねもリツイートもリプライも消えた。監視目的か他に穏やかではない理由があるのだろうと俺は思ってるがな。この際言っちゃうと。
このツイートが11/6
少なくともここ見てる可能性は高いように思える 嵐で糖質で薬物中毒者の基地外、確かに触らぬ神に祟りなしかもね 本人か確定してないのにそういうのはやめようよ…
元々SSアップしてたんだからここ見ててもおかしくないでしょ 「ちかげーッ いっけーッ!」
「やっちゃえみまるぅ! ほら、ソコ!!」
黄色い声援が交わる中心で、ボクと隣のクラスのみまるちゃんは
お互いに拳を交わしていた。
といっても、別に決闘ってワケじゃないよ?
去年入学したこの学校が少し「特殊」で、体育の授業にボクシング「のようなもの」を取り入れているってだけで
お陰でボク達は週に一回、こうしてクラスメイトと殴り合いをさせられてる。
学長曰く―。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」
「筋肉は裏切らない」
「肉体言語は世界共通」
なんていう脳ミソがお筋肉で出来てるようなヒトが作った私立高校だとわかっていたら
こんな所には入学しなかっただろう。
・・・うん。きっとしない。絶対しない。むしろ通報してた。
女子高生が殴り合いってだけでも、その筋の変態さんには眉唾モノなのだそうだけど(担任談。)
ココで行われている授業は更に特殊だ。
ぼごぅぅ・・・
「ッッ・・・ぐ。」
1R2分で、今は2R目。
その間、こうしてお腹に喰らったパンチは数えきれない。
腹筋には自信がある方だけど、こうも執拗にお腹ばかり狙われちゃぁね・・・
自慢の4つにうっすら割れたおなかは、たび重なる打撃にほんのりと赤みがかかってる。
(けはッ・・・もぅ、なんで「おなかだけ」なのよぉ)
ぎちぎちとめり込もうとするグローブは、ボクシングの其れではなく
MMAで使われるようなオープンフィンガータイプのグローブだ。
そう、ボクたちがやってるこの授業では「おなか」以外を狙ってはいけない。
だからボクシング「のようなもの」―――ついた名前が「ボディ・ボクシング」
女子生徒の間では「腹ボク」やら「腹ボッコ」やらと呼ばれてる。
昔は総合格闘技のようだったこの授業も、生徒や保護者からの苦情でこういうスタイルに落ち着いたらしい。 ドッ、ドッ、ドスゥッ!
「ッ・・・ふッ・・・ぅ・・・。」
(なんで・・・授業そのものが無くならなかったのかな・・・げふ。)
恨み事をぼやいたって仕方が無い。
その間にもぼすぼすと、ボクのお腹にはパンチが打ち込まれている。
パンチ力と胸筋は比例するって先生が言ってたっけ・・・
確かに、みまるちゃんのパンチは見かけによらず重い。
確実に内臓を揺さぶってくる・・・。これがFカップの威力か。くそぅ。
ボクはマウスピースを噛みしめて必死にお腹の筋肉を硬直させて、耐えた。
ん?なんでお腹しか殴らないのに、マウスピースなんて加えてるのかって?
それは―――こーゆー事、だッ
――ずむッッ
「う”っっ!? 〜〜〜〜げ、はッ」
みまるちゃんの肉付きのいいカラダの、丁度みぞおち辺りに
ボクの渾身のアッパーが吸い込まれた。
タイミングはドンピシャ。しっかり体重も乗せればボクのちっぱいが生み出すパンチでもしっかり、効く。
みまるちゃんの柔らかいお肉の感触をグローブ越しに感じていると
ずるずると彼女は崩れ落ちた。
かわいい口から零れたマウスピースには、数分間のお腹の打ち合いでたっぷり唾液がまとわりついてる。
・・・うん。確かにちょっと、エロいかも。
お腹を抱えて蹲ってしまった彼女に対して、レフェリー役の生徒はカウントを取らなかった。
このRで、みまるちゃんがマウスピースを吐き出したのがこれで3回目だからだ。
ボクはずくずくと痛むお腹をさすりながら、みまるちゃんの背中をさすってあげる。
(ああ・・・苦しいよねそこ・・・ゴメンね。でも、これってお互い様だよね?)
げほげほとむせてる彼女を駆け寄ってきた彼女のクラスメイトに託し、ボクは簡易リングを後にした。 よかったよ乙!
ところで12月に入って規制強化された?
携帯から書き込めなくて焦ったよ。 さんくす。
実は続きあるんだ。もう少し御眼汚しさせてください。 この「ボディ・ボクシング」なるものを競技として成立させている要素はいくつかある。
まず大前提として、勝敗要素。
10カウントでKOとなるのは普通のボクシングとかと一緒なのだけど、
そもそもお腹しか殴り合っちゃいけないのだ。なかなかボディだけでKOというのは例え素人の女子高生でも珍しい。
打たれるのがお腹ってわかってるんだから、いくらでもガードができちゃうんだもん。
そこで付け加えられたのが
1.ボディはガードしてはいけない
2.お腹を手で庇ったり、蹲るのもダウンとみなす
といった特別ルールだ。
その為、相手のパンチは全て己の腹筋のみで受けないといけない。
避けるのはアリらしいんだけど、そもそもボディブローって避けにくいんだよね。
ただこれが結構いい腹筋運動になってお陰で我が校の女子生徒のウェスト平均は全国でもトップらしい。
ほんとかどうかは、知らないけど。
でもグローブをつけたパンチってお腹の奥まで響いて内臓にダメージを与えやすいらしいから
結局のところ・・・総合的な「お腹のタフさ」を競っているのだと思う。
ほんと、地味なスポーツだと思う。TVで見る様なボクシングの華々しさはかけらも無いよ。
ただそれだと決着がつきにくい事がしばしばあったらしくて、
3.マウスピースを1Rで3回吐き出してしまったら、TKO
っていうルールが追加されて、今の形式になったらしい。
最初のうちは、おなか殴られてマウスピースなんて吐くのか疑心暗鬼だったのだけど
意外とボディを効かされてみると、ただでさえあのシリコン特有の・・・ぬぼっとした感触に
口の中いっぱいに溢れる唾液が混じってキモチ悪くてしかたなくなる。
それこそ授業を受けたての頃は、ボクもよく吐かされて負けてたっけ。
マウスピースを吐いてしまったらカウントが始まって、10カウントまでに自分で拾わなくちゃいけない。
一説だと、その為にブローブがオープンフィンガーになったのだとかなんとか・・・。
「ちかげー、どうだった?」
「ん? あー、へへへ。ぶいッ」 「さっすがw ほんとタフだよねあんたww」
同じクラスの親友が体育座りしてるボクの隣に腰を降ろす。
ピースサインで勝利報告をすると、彼女は苦笑いをしながら自分のお腹をさすっていた。
「なに、さっちょん負けちゃったの?」
「だって、相手はあの矢城サンだよ・・・ちゃちゃっとボディ効いたフリしてマウスピースげぼってきたw」
「・・・それバレたら補修確定だよ?」
「だーいじょうぶだって、レフェリー役は小金井さんだから全然気付かれて・・・げほッ
それに彼女とまともにやり合ってたら午後の授業もたないってw ッげふ、げふ。」
それにしては良くよく「えづく」彼女の顔は、よくみると青ざめてた。
ちょっと見せてと彼女のさするお腹を覗きこむと、そこには赤を通り越した紫色の斑点が3つ。
おへそに一つ、胃のあたりに一つ、最後の一つは両胸の下――みぞおち。
「え、えへへ・・・ちょっとイイの・・・もらっちゃってサw いやあ効いたのなん・・・の・・・うっぷ」
「・・・さっちょん。トイレ、付き合うよ。」
「・・・・・・。ごめん。」
ボクは彼女に肩を貸し、体育館の通路にあるトイレまで連れて行った。
相当無理をしてたのか、女子トイレに入った矢先に彼女は朝ごはんをぶちまけた。
(・・・・・・朝からお肉とか、重たいもの食べるからだよ)
背中をさすって介抱していたボクは冷静に嘔吐物を分析していた。
極めて、冷静だった。と思いたい。
きっそそうしてなければ、黒い感情に押しつぶされてしまうから―。 一通り吐き切った親友を保健室に送り届けて体育館に戻ると、体育の先生から呼びとめられた。
「どこいってた真壁。」
「あ。すみません、ちょっと新藤さんを保健室に。」
「ん。なんだ新藤、吐いたのか? まぁ吐いたら吐いただけ強くなれる。心配すんな」
この女教師はどこか頭のネジというネジが一本といわず全部抜けてるんじゃないかとたまに思う。
「・・・あの。普通は大丈夫だったか、とか。ないんですかね、教師として?」
「こんな授業やってるんだ、吐いた倒れたなんざ日常茶飯事だろ? お前も散々それで打たれ強くなったんだし」
だからそれが異常な事なんだとつっこもうとした矢先、キチガイ女体育教師は複数ある簡易リングの一つを指差した。
「真壁、ご指名だぞ。お前、もう一戦やってこいな?」
・・・。
ああ、今日の双子座の運勢は12位だってお母さん言ってたっけ。 広い体育館には全部で9つの簡易リングが生徒の手によってその日の授業の始めに作られる。
マット等は敷かずに、ポールを4本数メートル四方に設置されてる金具に突き刺し
ロープを張って完成だ。慣れるとバレーのコートを作る位の時間で仕上がる。
女子の体育は大抵2クラス合同で行われるが、人数の都合上、こうして複数のリングで試合が同時進行される。
そうでもしないと1時間半の間に捌ききれないからだ。
また、服装は体操着とはまた別に定められてる。
といってもその規定はただ一つ――
「おなかが見える服装」
だ。胸から下はおヘソが見えるまで、おなかを出さなければいけない。
大抵の女子はスポーツブラやタンクトップを買って、下半身はジャージや半ズボンの裾を捲ってお腹を露出している。
もちろん周りは女子だけなのだから恥ずかしがる理由はないのだけど、それでも最初は抵抗があった。
中には服を忘れてブラと制服のスカートで授業を受けさせられた子も居たが、それに比べればマシだ。
どうしてお腹をわざわざ出さないといけないのか、一度キチガイ女教師に質問した事がある。
「そりゃおまえ。その方が狙いやすいからに決まってるだろう?」
だ、そうだ。
まあお陰でかどうかは知らないけど、少なくともボクが入学して2年間、肋骨が折れたりだとか大きな怪我は耳にしてない。
(・・・それでも、だったら冬場はせめて上下ジャージにしてよね)
お気に入りのスポーツブラに全校指定のハーフパンツ姿のボクは、しぶしぶリングインした。
目の前にいる対戦相手は、腕を組んで仁王立ちして待っていらっしゃった。 「おっそい! せっかくさっさと済ませて時間を作ったのに・・・台無しじゃない!」
金髪ツインテールに形のいい胸(たぶん、ボクのそれより大きい)を黒のスポーツブラが包み込む。
下半身はスパッツなので全身のシルエットはくっきり出ていた。
ほんと、恥ずかしくないのかな・・・このヒトは。
ただ、自身あり気にさらけ出された彼女の肉体は
一言で表すなら洗練されていた。
くっきりと筋が浮かぶ腕やふとももは決して太くなく細くない。
なによりその腹部には、くっきりと縦横に区画整理でもされたかのようなコブが6つ。
正に映画にでも出てきそうなスタイルの持ち主。
―――それが矢城あかり。
嬢に嬢を重ねた、生粋のお嬢様。
ボクの親友を保健室送りにした、その人だった。
自然と、グローブの握りが強くなる。
(ダメだダメだ、冷静に・・・冷静に・・・あくまで授業中なんだから・・・)
そう、あくまでもこれは体育の授業だ。
決闘なんかじゃない。復讐劇じゃない。
試合でもない。練習だ。
「ラウンド、ワン・・・ファイッ!」
レフェリー役の生徒が開始の合図に手を降ろすと、ボクは両手を高く構えた。 だらだらとすまない。
でも肝心なシーンの前座って結構好きなんだ・・・。 乙!
前書きがあると物語に深みが出て、より楽しめると思います。
矢城さんの腹筋がパンチを跳ね返すのを期待してます。
これからの展開が楽しみです! 投稿乙
矢代さんが主人公を責める展開になりそうだけど、主人公が彼女の鍛えた腹筋とプライドを破壊する展開も是非見てみたい… ジリジリと構えたまま、距離を詰めるなんて事はこの授業においてマイナスでしかない。
打つ手が決まっているという事は、つまるところ射程距離が決まっているという事。
接近戦オンリー。息が届くほどの距離まで一気に詰めて、肉弾戦。
――ドッ!
「・・・ッふ!」
距離を詰めた勢いを乗せてのボディフックを打ち込む。先手必勝というワケではないけど
ボクにしてはめずらしくアクティブなスタイルだ。
挨拶代わりにしては強めなパンチは、だがしかしお嬢様に息を短く吐かせるだけにとどまった。
(・・・硬ったぁ。なんだよコレ・・・木の板かなにか埋め込んでるんじゃ・・・)
見た目通りの感触に、ぞっとする。
でも手を休めてる場合じゃない、硬いのがなんだ。所詮女の子のお腹じゃないか。
ドシッ、バシンッ、ドフッ
「ふッ、んッ、ふッッ」
腰の回転を効かせて、左・右・左とフックを見舞う。
しかしながら彼女の引き締った腹部にはさほどめり込む様子は無い。
「・・・ふふ、やっぱり。さすがA組のエースだけあって、いいパンチね」
「それは買いかぶり過ぎだよ。ボクなんかより強い子は他にもいっぱいいるし」
「そうかしら?」
「・・・おしゃべりは、拳でしよう?」 それもそうね、と。彼女は余裕ぶる。
正直、彼女―――矢城あかりとはなるべくなら当たりたくなかった。
だからこっちだってしゃべっている余裕なんてない。
先に打たせてくれたアドバンテージなんて、今の所これっぽっちも無い。
(・・・・・・・・来るッ)
ボクは必死にお腹に力を入れる。
中学の頃は一応運動部だったし、お腹だって引き締ってる方だと思う。
この授業のお陰で薄っすらと割れ出したなけなしの腹筋は、しかしながら彼女の拳を
半分程も受け止めきれなかった。
――どむッッ!
「ウッ・・・ッッッ!?」
腹・・・胃袋にモロ。ストマックだ。
体の奥からチャポンと音がして、息が詰まる。
上半身が意思に反してゆっくりと前屈みになってしまう。
これほどまでとは。ボクが彼女を相手にしたくない理由が、コレだ。
「さ、さっすが・・・お嬢様。ボクシングやってるって噂、本当だったんだ?」
「? ええ。ボクシングも嗜んでるわよ。」
聞き間違いであって欲しい。
これだから金持ちってヤツは。
「どうしたの? まさか・・・一発で効いちゃったなんて事はないよ、ねッ!」
ドゥフッッ!
「お”ぅッ・・・は・・・」
(ま、また・・・ストマック・・・入っ・・・)
洗練されたフォームからのキレイなボディアッパー。
さっきと寸分違わずボクのおヘソの少し上にめり込んだ・・・
完全に効かされたボクの口から、ぽろりとマウスピースが零れる。
「ダウン! 1・・・2・・・3・・・」 ばかげてる・・・たった2発で、こんな。重い。重すぎる。
女の子のパンチじゃない。
そりゃぁ確かに2戦目だから少しはダメージが溜まってるっていうのはあるけど
それを差し引きしても、この破壊力。
「・・・けほ。へへ、これでもちょっとは、おなかに自信あったんだけど、なぁ」
ひとりごちながら呼吸を整え、マウスピースを拾って咥える。
最初の内は床に落ちたものをまた口に入れるだなんて抵抗があったけど
そんな事は言ってられない。
彼女の強さは全校でも話題になってる。今年転校して以来、負け無しの女王。
ついた二つ名が「不落の城の女王」―――
そんな子からわざわざご指名を頂けるなんてとても光栄だと言いたい所だけど
あいにくと今口の中はよだれで一杯で、あまりしゃべる余裕もない。
レフェリーの再開の合図で再びボクは彼女のボディを狙う。
ドッドッ、ドスッ・・・ドシィッ
「〜〜〜〜ッッ、ふッく・・・ふふふ」
とにかくあの防壁を少しでも崩さないと。
どんなに強固な腹筋でも、ずっと力を込めてる事なんてできないハズ。
コンビネーションで手数を稼いで、呼吸を奪ってやる・・・
多少の被弾は根性で耐え―――
どッぱん!
「ッぶ・・・・・・!?」
先と違い、振り抜くようなパンチじゃぁない。
逆にコンパクトなジャブが、さっきと同じ場所に入る。
まったく見えなかった。
どッ・・・どどぱンッ
「ぶッ・ふぁ”・・・ッッ!?」
何発入った? 2発、いや3発?
波打つ自分のお腹を見て唖然としていると、じわりと奥深くに感じる息苦しさ。
(ジャブなのに・・・おなかのなか・・・揺れて・・・)
どッどッ・・・どどどッ・・・どどッ!
「ふぶッ・・・ぐッ・・う”・・・ぶはッ・・・こ、のッ!」
遊ばれてる――完全に。きっと最初のダウンで相手の期待を裏切ったんだろう。
あったまにくるなぁ、そーゆー上から目線はッ ボクはジャブの嵐の中、彼女の腹筋を削るべく一発一発ボディを返す。
・・・ドシッ
「ッふ」
どどどぷッ!
「う”・・・ぶッ・・・」
1発撃てば倍以上返ってくるけど、かまわない。かまってられないッ
・・・ドスッバスッ
「ふッ、んッ」
どぽぽッ・・・どどどッ・・・どどッ
「ぅぶ・・・ぶッふ・・・ぐッふぅぅ・・・!」
よだれが口から飛び散ってくのが見えるけど、これはボクのだ。
彼女は依然と眉ひとつ動かさない。まったく割りに合わない・・・
なら、これでどぉだ!
――ドゴゥッ!
「ッ!?・・・・・・・ぅ」
ようやく嵐が止んだ。一瞬の静寂、彼女の顔が陰るのを見逃さない。
ボクのパンチは相変わらず彼女の6パックを貫けないでいたけれど
寸分違わずみぞおちにクリーンヒットしている。
どれだけ腹筋を鍛えても、人体の急所のひとつであるココは鍛えようがない。
そう授業で教わった。だから、もう一発―――
――ズンムッッ!!
「かッ・・・は・・・」
効いてるっ! 彼女の眼が見開かれ、飛散した唾が球となってボクの顔に降り注いだ。
とどめのもう一発―――
「すとぉーっぷ! 第1ラウンド終了だよ!!」
大きく振りかぶった所で、レフェリーの制止が入った。 お腹の鈍痛を引きずってコーナーに戻ると、観戦していたクラスメイトが集まってきた。
セコンドなんてのは無いんだけど、生徒同士で意見交換は自由にしている風習がある。
「すっごいよ、ちかげ! あの女王相手に1R耐えるなんてっ♪」
「なに言ってんのよ、それどころかあと一歩でダウン奪えそうだったじゃんッ!!」
みんな口々に勝手な事言ってくれるよね。
こっちは蓄積したボディの苦しさで、それどころじゃないのに・・・。
呼吸を整えるだけで、精一杯。
でも・・・確かにあと一歩だった。手応えはあった。
十八番のみぞおちアッパーをしかも2連発だ。
効いて無ければ人間じゃないんじゃないかと思う。
ただこっちのダメージも深刻だ。ふとおなかを見る。
おへその1cmほど上に、ただ一点丸く赤い円が刻まれていた。
「痛ッ・・・つ」
指で触れるとほんのり熱をおびており、激痛が走る。
恐るべき精確さにゴクリと唾を飲み込んだ。
もし、またここにあの強烈なボディブローをめりこまされたら・・・
想像するだけで吐き気がしてきた。
インターバルは1分。その間に少しでも息を整えて、少しでも内臓のダメージを和らげとかないと・・・
レフェリーの合図で、ボク達はまたお手製の簡易リングの中央で相対する。
打ち倒すべき相手は―――不敵に笑っていた。
「ふふふ・・・びっくりしたわ。さっきのパンチ、久々に効いたわよ?」
「・・・そりゃぁどうもw」
あのボディアッパーで蹲らなかった女子なんていなかったんだけどね・・・
なんて言葉は間違っても表に出さない。
「だから悪いけど、このラウンド・・・本気でいかせてもらう事にしたの」
「へへ・・・最初っからそうしなよ。矢城さんのパンチなんて効かないんだからサ」
あれで本気のパンチじゃないだって?
だめだ、その先を考えちゃだめだ。
心が折れる前に、ボクは本能的に精一杯強がった。 「ラウンド、ツゥ・・・・・・・ファイッ!」
打たれる前に打つっ!
大きく振りかぶった渾身のストレートを、彼女の赤くなったみぞおちめがけてッ―――
「あ・・・れ・・・?」
ブゥンと大きな音を立ててた拳は、虚空を突いていた。
―――彼女が、いない。
と、目を疑っていると不意にカラダの奥からの違和感。
「あ・・・うッッぶ!?」
次いで、強烈な吐き気。
恐る恐る目線を下に送ると、そこには丁度おへそから腕が一本生えていた。
(あ・・・この距離で・・・ダッキングして・・・ボ・・・ディ・・・に)
げぶッ
吐き出しそうになるマウスピースをこらえ、よだれだけをだらしなくボタボタと零す。
ボクは彼女の腕にもたれかかるように身体をくの字に折り、
未だ引き抜かれない剛腕の味を、腸全体で味わっていた。
「言ったでしょ・・・本気だってw」
ぐりぐり・・・ぐちゅぅ・・・
「ぅう”・・・え”ッ・・・」
ボクの背中に手を回し、突き込んだ拳を右へ左へ掻き回す。
その度に腸がおなかの中で動かされて、体の力が抜けていく・・・。
ほんの数秒の拷問がとても長く感じた。
やっと解放されたボクの体は、言う事を聞いてくれずよたよたとたたらを踏んだ。
(やば・・・い。打ち返さな・・・きゃ)
振りかえったボクを待っていたのは、追い打ちの洗礼だった。 ―――先ずは、横殴りのフックを1発。
どぶッ
「ぉうはッ・・・・!」
返す手でおなかの反対側にもう1発。
ずむぅッ
「うぐぶッッ・・!!」
必死に腹筋を締めてるつもりなのに、なんなく拳半分はめりこんでる。
極めつけは、ボディアッパー。
ドンッ、ズボゥァ!!
「うッ、ぶぅッッッ!!?」
しかもへそとストマックへのダブル・・・効く。飛び出ていきそうなマウスピースをぐっと堪えても、体が言う事を聞かない。
前のめりにボク上半身が落下する。
床がどんどん目前に迫る。
時間がゆっくり流れる。
ふと、さっちょんの背中をさすっていた光景が頭をよぎった。心配をかけまいと必死に強がっていた親友は、反吐まみれになっても
それでも涙を見せず、笑ってたっけ。
――――ドボォッ!!
「!? ぐ・・・ふぁッ!?」
ボクの脚は寸前の所で地面を踏みしめていた。
そのままの勢いで体を起こし、掬い上げるように女王のみぞおちを射抜く。
弛緩しきったそのおなかにボクのグローブはまるまるめり込んでいた。
「へ・・・へへ・・・隙ありぃ・・・ごふッ」
息も絶え絶えに撃ち込んだボディアッパーは、女王を一瞬浮遊させる。
信じられないといった表情が小気味いい。
重力に従って沈み込む彼女の上半身を、ボクは抱き止めた。正直、ボクもおなかの痛みで立っているのがやっとだ。
「ほら、さっきの・・・お返しだよッ♪」
ギュチ・・・ギチギチ・・・・ッ
めり込んだグローブをサディスティックに捻ると、革と皮膚とが擦れ合う独特の音色を奏でる。
ボクの肩越しからカハッと息が吐き出されるのを確認する。 この授業のミソは、如何に相手のパンチを耐えきるかっていう
いわばプロレスじみた所にあるとボクは思ってる。
どんなに強靭な耐久力をもったおなかでも、攻撃の終わりには必ず緩むタイミングがある。
そこを突けば、ボクにだって勝機はあるんだ。
どむッッ
「うぶぅッ!!」
一度引き抜いた拳を、再度彼女の腹に埋めた。
3度みぞおちを抉られた女王の腹筋は、なんなくボクのパンチを迎え入れてくれる。
そこには最早、形だけの6つの肉団子が痙攣しながら並んでいるだけだ。
「げぅ・・・・こ・・・のぉ・・・調子に乗るなッ!」
ずぶッ どっぼ どちぃッッ
「ぶふッ んっぐぅ ぅうぶッ!? は・・・どうしたのサ、さっきよりパンチ・・・軽くなってる、ヨ!!」
ドブッ! ぐりぐりぐり
「ぉ・・・ッえ”・・・けほッ、けほ。い、今の貴女には、十分・・・よッ!」
どぽぉッッ
「う”ぅ〜〜〜〜ッ・・・ッげぶ。」
お互い抱き合ったまま、パンチをひたすら交互に打ちこむ。
背中にかかる相手の唾液に確かな手応えを感じる。
もちろん、こっちも腹筋なんてとっくの昔に効かなくなってる。
単純なガマン比べ―――テクニックなんて関係ない。根性のある方が、勝つ。
そのラウンドの残り時間全てを、ボクは内臓を痛め痛めつけられる事に費やした。 「・・・バケ・・・ツ。」
コーナーに戻ったボクがクラスメイトにかろうじて発する事ができたのは、この一言が限界だった。
察しのいい女の子が、すぐさまバケツを差し出してくれる。
「〜〜〜〜ぅげぇぇえぼッッ」
びしゃびしゃびしゃッ―――
ボクはマウスピースを外す間も無く、そこへ胃の中のモノを思う存分吐き出した。
授業で吐くのは久々だ。喉がヒリヒリと辛い・・・。
でも、おかげでスッキリした。
息を整えようとしても、呼吸をするたびおなかが鈍痛を発する。
おなかはすでに至る所が赤紫に変色してる。
ここまで腹筋も内臓も痛めつけられたのは初めてかもしれない。
(こりゃお昼ごはん、無理・・・かぁ)
お昼どころか、数日は何も胃が受け付けないかも。
ふと、背後からマウスピースを差し出された。
反吐まみれのバケツから掬い出し、きれいに拭われているボクのマウスピース。
―――さっちょんだった。
保健室から帰ってきたのか。
彼女と目が合う。お互い、言葉は発さない。
ただ一事、ありがとう、と言ってボクはコーナーを後にした。
彼女もただ一事、ありがとう、と言って笑っていた。 「ふふ・・・やっぱり貴女は、期待した通りの子だったわ・・・」
最終ラウンド、女王は早速ボクの弱り切ったおなかに拳をめりこませながらそう言った。
豆腐のように柔らかくなったボクの腹筋は彼女のグローブを丸ごと受け入れてヒクヒクしてる。
ボクは無様な呻き声でしか応えることが出来なかった。
「ぉ”え”えッ・・・げほッ・・・!!」
足がガクガクと震える。
しっかりめり込んだパンチはボクの吐いて空になった胃袋を、さらに押し上げていた。
(き・・・効く・・・ぅ・・・)
ドボッドボッ・・・ずむり・・・ずどぼぉッ
何度も胃袋を突き上げられ、途中で一発レバーを抉られる。
「う”ッ・うッ・う”ぅッ・・・・げぁッ・・・ぐぼぉッっ!」
吐き気をぐっと堪えて、ボクはお返しのパンチを振るう。
レバーに深く一発、それからストマック。しっかりと左右の拳を奥まで捻りこんでやった。
どずんッ・・・どぶんッッ!!
「んぐッ〜〜〜〜〜ッッぶふぅ!!」
彼女の口からマウスピースがもっこり頭を覗かせる。
ほっぺたを膨らませて、まるでリスみたい。
どぼぉッ!!
「ウッ!?・・・・・・・げぇぼッ」
びしゃびしゃッ
見入っていると、こんどはみぞおちにアッパーをもらってしまった。
今までで一番深く、しかも鋭角に。
もう吐くものなんて、胃液しかないよ・・・。
たまらず蹲ると、カウントが取られる。1・・・2・・・3・・・ カウント8まで休んで、お返しのボディ。
―――どっむ!
「おぅぅゥッ・・・ぶはぁ」
女王がふらつき、ロープにもたれかかった。
チャンスだ。ボクはラッシュをしかけに重い足を引きずり、女王の腹を追いかけた。
ずっどッ・・・!!
渾身のストレートが女王のヘソに突き刺さる。
「おぐぅぅぅぅ・・・・ッッ」
更にストレート、左右のボディを連打、アッパーを二発、お見舞いする
ヅン・・・ばむッぼむッどぶッずぼッ・・・どむッ!ぼぐぅッ!!
「んはぁ”・・・うッウッぐッぶっ・・・う”ッ! ぅう”ッッ!! げ・・・え・・・ぼ」
びしゃびしゃと液体の滴る音といっしょに、ぼとんと彼女のマウスピースが床で跳ねた。
同時に彼女はおなかをかかえて膝をついて蹲る。
1・・・2・・・3・・・
立つな、立つな、立つな・・・ボクだって立ってるのがやっとだ。
4・・・5・・・6・・・ 女王がマウスピースに手を伸ばす。
7・・・8・・・
悪夢でも見ているようだった。
な、9・・・
白いマウスピースを咥えなおした彼女が、ボクの目の前に再び立ち塞がった。
試合再開の合図をレフェリーがかけようとしたその時だ。
―――――――――。
・・・授業終了のチャイムがボクを救った。
目が覚めると、白い天井があった。
ぐるりとカーテンに囲まれたベッド、鼻につくエタノールの匂い。
久しぶりに嗅いだ、匂い。
「・・・なんだ、保健室・・・かぁ・・・」
頭にもやがかかって現状把握に時間がかかる。
「あ、ちかげ・・・気がついた? よかったぁ」
「んあ・・・さっちょん」
「もう、ちかげ無理しすぎ。」
「・・・ん。どしたのさっちょん、なんで泣いて―――ぅッッッ」
涙ぐむ親友の頭を撫でるため、体を起こそうとすると腹部に激痛が走った。
一瞬息が止まる。ずぐんずぐんと重く疼くおなかの中の痛み・・・お陰で意識がはっきりしてきた。
「まだ寝てなって。あの矢城さんのパンチをモロにあれだけ受けたんだから・・・
「ぅぐ・・・そっ・・・か。ボク、負けちゃったのか」
「―――。」 実の所、2R以降の記憶がはっきりとしてない。
が、さっちょんは意外にも首を横に振った。
「のーこん。」
「??」
「だから、ノーコンテスト・・・引き分けだよ。もぅ、あの後大変だったんだから―――。」
彼女の話によると、ボクはあの後気を失って倒れたらしい。
幸い保険の先生によれば、肋骨とかにヒビは入ってないだろうって事だった。
どこかの附属病院で腕ききの名医だったって噂だから、きっとそうなのだろう。
相変わらずうさんくさい学校だなぁ・・・ほんと。
それにしてもおなか殴られて失神なんて、テレビの中だけの事だと思ってた。
・・・なんだか、貴重な体験をしたような気がする。ふへへ。
数人の生徒に保健室まで運びこむのも大変だったらしいが、
もっと大変だったのは・・・女王サマだったとか。
「あー・・・うん。なんか、わかる気がするよ。」
・・・それもそうだよね。
自分が指名しておきながら、その相手に自慢のお腹をボコボコにされた挙句
あまつさえダウンを許してしまったのだから。
プライドの高そうなお嬢様にとっちゃ、相手をKOできなかっただけでも不本意だったろう。
「・・・なんか、矢城さんに悪い事したなぁ」
「はぁあ!? なに言ってんのっ私達あの子にぼこぼこにされてるんだよ!?」
「そ、そりゃそうだけどさ・・・ほら、時間がもっとあれば、お互いスッキリできたんじゃないかな、って」
「バカ。いつからあんた、スポ根JKになったのよ・・・。」
折角、お互いお腹を殴り合ったのだから、優劣なり何なり結果が出ていればって思っただけなんだけど
さっちょんは全力でそれを否定した。 「ちかげ。あんた間違っても本人にそんな事言っちゃダメだよ?」
「もう聞いちゃったわよ。」
―――カーテンに囲われた空間の空気が凍りつく。
どきッとした瞬間に腹筋に力が入ってしまい、ボクはしばらく悶絶したが
聞き覚えのある声の主は、そんな事どこ吹く風とカーテン越しに話を続けた。
「・・・立ち聞きする気は無かったのだけど。ずいぶんな言い様ね」
「や、その・・・別に悪気が・・・あって言ったわけじゃ・・・う・・・ぐッ」
お腹の鈍痛に言葉が途切れ途切れになり、余計にいいわけ感満載になってしまった。
なんだようこの重い空気・・・女王のボディより重いよなんとかしてよ。―――沈黙を破ったのは、カーテンに映る陰がついた溜め息だった。
「・・・はぁ。貴女が気に病む事なんて何もないわ。事実は事実、ドローはドローよ。」
「え。あ・・・ありがとう、ございます?」
返ってきた言葉に意表を突かれてしまって・・・御礼を言ってしまった事も、同級生なのに敬語になってしまった事も、どうでもよかった。
「それだけおしゃべりできる元気があるなら十分ね。でもまだしばらくは動けないわよ?
暗くなる前には帰れるとは思うケド・・・ボディのダメージは地獄の苦しみ。しばらく残るから。
盛大に嘔吐してたからお腹空いてるとは思うけど、そうね・・・今日はご飯は抜いておきなさい。
どうしてもって言うならご飯は流動食にした方がいいわ。もっとも―――」
より地獄を味わいたいというのなら止めはしないケド。
と、言い残して彼女は保健室から出て行った。
・・・なんだったんだろう? 早口で言われて最後の方はよくわからなかったや。
「・・・さっちょん。アレってもしかして、気遣ってくれた・・・のかな?」
「・・・あの不落の城の女王様が?」
ボク達は顔を見合わせた。
「「・・・まっさかぁ。」」
その日は結局、午後の授業は全部休んだ。
嫌いな勉強を合法的にサボれる事だけが、この授業の唯一のいい所じゃないだろうか。
でもそんな矛盾した授業を取り入れてるって、ほんとにココ学校としてどーなんだろう。
ちなみに晩御飯はおなかが空き過ぎてガッツリ食べちゃったんだけど、夜中に全部吐いた。 読みにくい稚長文ですまない。とりあえずココで区切りです。 面白かった。投稿乙
主人公の心理描写も含めてとても濃密な作品でした。
同じ試合を矢代さん目線で想像したくなる。
ボコられながらも向かって来て腹を責めてくる真壁さんに、次第に精神と腹筋の余裕が無くなっていく過程とか、真壁さんサイドと違った精神的リョナが楽しめそう。 おつあり。そういって頂けてとても嬉しいです。
なるほどなぁ…女王目線という発想は無かったのでとても新鮮、参考にします。ありがとうございます。 ミスト氏完全に沈黙したな
やっぱりここ見てるのか? >>792
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙ッ!乙ラッシュを矢城お嬢様の腹に叩き込め!! ミスト氏ツイート復活したけど支離滅裂だな
死刑宣告受けたとかやることが決まったって言ってるけどマジで事件だけは勘弁して欲しい 喋る内容さえ制約を強いられてるのに生活サイクルまでとか勘弁してくれよ?
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
え、こんな時間から寝ろとは言わんよな
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
最後の最後まで居場所は見つからなかったな。それでも俺の行き先は決まってるから後はそれまでに早くやる事をやらないと
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
不格好でも最大限努力した。できる限りの事をした。
それが不格好にしか捉えられずに終わった。
ただそれだけだ
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
まあ良いか。どれほど尽力しようが認められない存在ってのはいるもんだ。それが自分だったというだけの話。笑い者として存在する事で話題を提供できたって事で良しとしよう
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
さぞかし滑稽な存在だろうな、連中から見ればよ
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
それでもやるだけやったさ、その上での結果だからこそ否も応も無い
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
マイノリティだからこそ固い結束を感じる事ができた所もある。尤もその世界からも死刑宣告を受けた俺には今や遠すぎる場所だがな
1件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日
リョナや腹パン腹責めもマイノリティな事には代わりは無いだろうがそれでもずいぶん認知度も上がったし発展したもんだ
0件の返信 0件のリツイート 0 いいね
ミスト ?@mistomach 2016年12月28日 一応それ関係の仕事についているが、過去ツイさかのぼって見たけど誰かのツイを自分あての非道中傷だと勝手に思い込んでるだけの糖質患者の典型的な被害妄想
JJJ氏になにがあったか聞かれてもとんちんかんな返しばかりで具体的な話を全くしていないしな
ミスト氏がいくつかは知らんが、ここまで長引いているならおそらくかなり昔から患ってるんだろう。家族は大変だよ フリス全盛の頃から知っている人間からすればまたか、って感じたよこの人
はじめは人当たりいいんだけど、何かスイッチ入っちゃうと氏ねだころだ大騒ぎで入院 >>811
星野さんなら健在ですわな > えほんやさんの出張所 現役だったのか…
新規の人が入ってくるのもいいけど、古くからの人が現役で
活躍してくれるのは嬉しいね 55氏また変なのに絡まれてるな
ポはアスペかなんかか? ブログ見る限りだと過去のよりかは遥かにまともなような 純粋なファンをこじらせちゃったのかね
55氏以外の米にも返信すりゃいいのにとは思うけど むしろ脳内で補完しよう。
それにしても、もう10年経ったとは… シャー復活したね
純粋な腹パンチャーで創作してくれる人は絶滅危惧種
精神病は元気なってからがヤバいから無理せず
頑張って欲しいね 昔「腹パンチえほん」みたいな感じのHPで
初々しい高校生カップルが彼氏の家で初腹パンチプレイをする小説があったんだけどあれもう一度読みたいな 俺も好き
昔は色んな個性的なサイトがあって良かった ピクシブも良いのは大抵読んでしまった。
もっと読みたいなぁ。 このスレ初期は賑わってたけど、
前途有望な新人さんを辛辣な批評するやらスルーするやらして潰してしまったんだよな 言葉の寄せ書きってサイト見つけた。
かなり良いな。 ミヤビいきなり消えたな
またメンヘラか?
ミストといい、精神状態やばい奴多くね ミスト氏はリンドリや女子ボクシング界隈にいた頃から時々ヘラって他人に攻撃しまくってたけど、ミヤビ氏は兆候あったっけ? 昔からメンタルは弱かったぞ
しかし、いきなり消えた割には元フォロワーが誰も反応してないのが怪しいな
なんかあるのか?
あったとしても予告なく消えるとか、せっかく応援してくれてた人らに対して、失礼極まりないが
散々ファンやフォロワーを大事にしようとか言っといて、本性はこれかい 久々に書き込まれてるから新作の話題かと思ったのに…
どうせ粘着が影で何かやってたんじゃないのか ミヤビの失踪はこれで二度目だから、またかって感じ
ツイッターであれだけ僕ストイックに頑張ってますアピールを繰り返す自己顕示欲の塊なんだから、
また目覚めただの本当に大切な事に気付けただのの厨二発言しながらすぐ戻ってくるって 音葉の寄せ書き本当いい
個人的に更衣室の仕置きレベルのがゴロゴロしてると思う
他にいいブログやサイトがあったら教えてくれ >>846
音葉氏のは非常によい
個人的には55氏のブログroom number 55と星野氏の えほんやさんの出張所やな
ただ星野氏は支部でちょこちょこ新作見れる 噂で聞いたけどミスト氏過去何回も周囲と揉めてるらしいね
ソシャゲとかでも過去気に入らないことがあると公式や2次創作してる作家さんに脅迫まがいのことして距離置かれたみたいだし、今回の腹パンチ関連も似たような感じだったんじゃないの? 今さらそんなネタ蒸し返さなくてもツイッターとか見てたらわかるじゃん ツイッターは一時期マジでヤバかったよな
不快害人って名前変えて気持ち悪いイラストあげたり血祭りに上げてやるとか言ったり、措置入院してるっぽいことも言ってたし
りょなけや他の作家に恨みあるっぽいこと言ってたから会場で凶器持って暴れるんじゃないかと思ったから行かなかったわ >>853
いやそんな大層なもんじゃなく単なるメンヘラの症状だったよ
合同誌もやってたし繋がりもあったはずなのに、完全に黙殺したりょなけ側はむしろ信頼できると思ったわ
あれでミスト氏に媚びるような事言ってたらそれこそ行かなかったわ >>854
俺はその黙殺が怖かったけどな
りょなけ側ではなくミスト氏側が
普通あれだけヘラると他の作家が声をかけててもよさそうなのに不気味なほど総スルーしてたから、見えないところでもかなり暴れてたんじゃないかと思ってる >>855
絡みのある範囲にヘラってるとこに構うような作家居たか?
nns氏なんかはアドバイスはしても構うようなタイプじゃないし 同じ人かな?
どんなss書きさんか知らないけど、名前出して人格
バッシングするのは
スレ違いだから
あと絵師さんの名前も出すなよ・・・。 せっかくスレが盛り上がってたのに857のせいで止まった 連日コメントされてた辺りこのスレにしては盛り上がってたんじゃね 燻製ねこさんいいな
とりあえずスパイもので一発抜いた
いっぱい書いてるな そういう話いらんから
それよりミヤビはどこいった? ミスター慶応が女子大生の腹蹴って捕まったらしいな笑 ミスター慶応のチャラい大学生が女子大生の腹蹴って捕まったらしいな笑 >>867
ニュース見たけどここで言うって事は作家の誰かだったりすんの?誰? ミスター慶応かはともかく、逮捕されたらいきなり消息不明になって周囲から騒がれるわな
長期食らったら俺ならツイッターとかの垢消すな 最近マウスユニットから出た某常夏娘のフィギュア
責めがいのありそうな素晴らしい腹筋だったなあ... 仕置きの続きも彩並初音先生への腹パンも読みたいんよ 仕置きは傑作だよなぁ・・・。
王道&お手本って感じ
続き読みたいよなぁ ランサーさんのSS初出が10年以上前
まさか2020年でもお世話になってるとは思わなかった 腹パンSS書いてる人減ったよな
新規参入ほとんどないし ピクシブ結構書いてくれる人いるぞ
リョナSSの中にあったりするし ピクシブでSS検索する時
「腹パンチ」じゃなく「リョナ」で検索すると良いね
んで、本文を、「腹」でワード検索する
これで結構良作が見つかる まとめ時代のが良作すぎてあまり探す気力が湧かんなぁ >>154
最近は成長したガビと試合で闘ってるミカサが腹筋とともにプライドも打ち崩されていく妄想してる
このスレ長生きね 20前の小娘に自慢の腹筋が蹂躙されるアラサーミカサ
良い ずっと>>883を思ってるけど流石に最終投稿から10年ほど経ってるしないか? サシャを撃たれた恨みよりも内臓の苦痛が上回って無様な姿を晒すミカサ
数年氷漬け、もう一方は数年統治者でどちらも戦闘から離れて久しいけど殴り合いになったとたん目つきがそれらしくなるアニとクリスタ
ハンジとピークの頭脳戦腹狙いキャットファイト 「一撃でラクにしてあげる。」
優しそうに聞こえても、これはとどめのセリフです。 一撃さんが夏だから戻ってきている
才能があると全然ツイートやらしなくても伸び率は凄い pixivの
「少女とお腹と学生鞄」
超お勧め
最後無理やりハッピーエンドにする余計な
一文が浮いてるのでそれさえ無かったら完璧なレベル >>890
いいね
たぶん参考にしたのはランサーだろうな 多分隠れた名作
燻製ねこさんの、このSSの前編
腹パンチが盛りだくさんでお得
買うべし
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ233445.html
後編は腹パンチ1回しか無いので買わなくてOK 一生絵や文字でシコシコするしかないのか
こんな性癖に、日陰者にうまれとーなかった >>900
ウニコーン氏の絵が間に合ってないらしいな
小説の方は出来てるらしいが >>904
あの人一時期あちこちに噛みつきまくって干されたんじゃなかったっけ?
よく戻ってこれたな 過去がどうだろうが抜けるSS書いてくれたらそれでいい 抜けるかあれ
完全に病人のそれじゃん
まぁどうでもいいけど 【アイドル】●シャイニーカラーズでエロパロ●【マスター】 [無断転載禁止]・bbspink.com
http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1525249738/108
ここのSSよりはより、マシだったんじゃないかな?しらんけど >>905
噛みつきまくったとかですまないじゃん
イベント主催を血祭りに上げてやるとか、明らかに脅迫してたし、ヤバいよ
同じ時期に気持ち悪い鬱画像ツイートしまくってたし、マジで事件起こしそうな勢いだった
抜けるからオーケーとかお花畑かよ >>910
アンカーを打ちたかったのは、レス内容を見るに>906の方じゃないのか、それ?
それとこれの↓>946=910だろ?
937: 名無しさん@ピンキー [] 2017/05/04(木) 19:21:55 ID:owWaqRpl
このスレのローカルルールの実在人物を題材にしたものの投稿は禁止するってのは今の情勢とそぐわないなとは思う
昔から殺人鬼なんかの実在人物を題材にしたホラー映画はあるしね
この記述は2007年からある記述だから見直してもいいかもしれない
946: 名無しさん@ピンキー [] 2019/12/29(日) 01:56:58 ID:PH4GUEAB
>937
昔、くろまんが大王ってキチガイ書き手が居てソイツが「女子高生コンクリ」「スーフリ」を題材にしたSSを描いて大荒れ
不謹慎だと批判された結果開き直って、キモヲタAA大量投下して自分を非難したコテを煽りまくるってバカ丸出しムーブをやらかした事がある
だから、実在の事件はネタにしない方がいい
スレが荒れる
過去にあった実在の事件を積極的にネタにしてSS化する姿勢が正しいとは思わんし
言うつもりもないがここは18禁エロパロ板なんだからこれの↑(>946)は、個人的道徳感の押し付けだろうとしか思えん。
不快と思うならば見ないようにスレを出ていく、無視をする、せいぜい事前に
作者にはトリップやタイトルを付けてもらうか、最低限注意書きをしてくれ、と言う
以外に掲示板での読み手としてする、できる事はないと思う レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。