アンジュの痛みや不安を少しでも和らげたくて、ついでに僕自身の為にも、頭を撫でたり、
もっと一杯、キスしてみる。
その度に嬉しそうに笑ってくれるけど、本当なら、入れる前にもっとすれば良かったと後
悔してしまう。僕より年上だから、きっと気を使ってくれているんだろうし……
「……アンジュ、ごめんね。もっと、僕が――」
「っ、あ……」
もっとよく顔を見て謝ろうとした時、少し身体を動かしてしまった。同時に、可愛い声が、
漏れた。
「その、今の……」
「……いや……」
声を出した自分が恥ずかしかったのか、泣きそうな声を出す。けれど、聞きたい。見たい。
アンジュが乱れる姿が、見たい。腰を掴んで、出来るだけゆっくり動かすと、中だけじゃ
なくて、アンジュの顔まで蕩けて来る。
少しずつ動きを大きくしながら、無防備だった胸を掴み、立ち上がった乳首を摘まむと、
びくびくと、面白いくらいに身体を震わせる。

「あ、いいの……わた、し、痛いのに……でも……」
徐々に、アンジュの息が荒くなって行く。僕にしがみ付いて、何か、必死に我慢するよう
に、か細い声で戸惑いを口にする。
……僕も、凄く気持ちがいい。だから、嬉しい。アンジュも感じてくれると。
「アンジュ、僕、もう、もう――」
自分でもおかしいくらいに滅茶苦茶に動いて、アンジュを本当に襲っているんじゃないか
と錯覚する。けれどアンジュは僕を受け入れて、キスしてくれる。
「アル、ファ……さ……私も、私も、もう、だめでひゅ……あ、駄目です」
この期に及んで噛んだとか、もう、アンジュが何をしても可愛いとしか思えない。なんか
若干冷静に言い直したのも、照れ隠しにしか聞こえない。
僕のを締め付けるように痙攣して、今までも良かったのに、それ以上の快感を与えられる。
「わた、し……あ、あ……アルファさ……アルファさぁんっ!」
涙を流しながら、アンジュは僕の名を呼んで、果てた。流石に中はまずい、と思って抜い
てから、後の祭。

……綺麗な服が、僕の涙と鼻水と涎で元から汚れていたのに。
更に、僕が出したので、更に汚れてしまった。
……物凄く申し訳ないと思ったけど――それ以上に、悦びと征服感で、もう、訳がわから
なくなっていた。
アンジュは、恥ずかしがりながら、困ったように笑っていた。
「アルファ、さん……」
お、怒られるかな……失望されたかな……ドキドキしながら、僕は次の言葉を待つ。
けれどアンジュは、また天使みたいな笑顔で。
「その、あの……最初は痛かったですけど、でも、凄く気持ち良かったです。アルファさ
んは出来るだけ私を気遣ってくれたから、出血もありませんでしたし……私、幸せです。
あんなにやさしくしていただいて」
そんな、嬉し過ぎる事を、言ってくれた。
……僕はもう、アンジュが女神様にしか見えなかった。



服はもう、お互い脱いでしまって、ベッドの中で抱き合っていた。
妙なくらいに眠くて、でも眠ってしまうのがもったいない気がして、うとうとしていると。

「私は、『太陽の初恋』は持っていません。どこに行ったのかは、私が知りたいくらいです」

僕の胸の中で、アンジュはそんな事を呟いた。