「本当にテンプレ通りのセリフだな」
「本当にタダ、ヤリたかったダケですな」
「でも、テンプレというのは、それが一番効率的だからこそ、テンプレートとなる訳で」

とはいうものの、カリノさんも、ただぐりぐりしている訳ではなく、親指と人差し指を駆
使して、ぐにぐにぐねぐねと器用に刺激してらっしゃる。
「……私、あんな風に出来るでしょうか」
よいしょっ、と、私も足を出して親指と人差し指を動かしてみる。
「アンジュサン、オレ達移動スルんデ、真正面カラどうZO!! ト言うカ、カリノ嬢!
終わったラ、是非是非、次ハオレにその足コキをば――!!」
「目的を忘れないで下さい」
自分も戒める為に、早口で言って、速攻で足をしまった。
「全くだ、これはただの寄合でなく、最早犯罪スレスレの黒サバトだというのに」
伸び縮みできる教鞭で器用にAさんの乳首をつついているハヤトさん。
カリノさんはさりげなくスカートの中身もAさんに見せている。中々に効果的。
「ほらAさん? ああ、こんなんで興奮してんだからMさんかな? あれれ〜? なんか
ブルブルしてるけど、もしかして、もうイッちゃうの? 大した事無いスパイの癖にM男
で堪え性も無い早漏とか、マジありえないんだけどぉ?」

中々に語彙もある方だとカリノさんの評価が上がって行く。
やっぱりちょっとMっ気もあるのだろうか、Mさんはわかりやすく身体を震わせ、わかり
やすく達した。
そして、少しの沈黙の後。

「っ……う……うううう……」

「あ、泣いた」
「あ、泣いた」
「あ、泣イタ」
「あ、泣きました」
素人観衆の眼の前で絶頂に誘われたMさんは、とうとう咽び泣いてしまった。
「最初から思っていましたけど、貴方、弱い・わかりやすい・メンタル朧豆腐で、よくも
まあ、こんな職業をやっていられますね? あ、カミュさん、お尻お願いしま」
言うが早いか、カミュさんは黙っていれば相当数の女性を落とせる程のイケメン顔で、ム
ーディーに私のお尻を揉んだ。
私は無言でカミュさんの足を蹴ってバランスを崩した所で踵をこめかみに叩きこむ。泡を
吹いて白眼を剥いたカミュさんを放ると、Mさんはガクブルしてこちらを見ていた。
あ、もうお尻の穴付近だけ露出をさせて云々はしないでも良さそうかも。

「カミュさん弱っ。元警官って設定どこよ」
「初耳だ。ただの言葉の怪しい虚言癖の30代としか知らんかったぞ」
「私、この間ピチピチの大学生とか聞きました」

さて、戦意喪失して子供のように泣いているMさんを、とりあえず正位置に戻してあげる。
「ごめんなさい、こんな酷い事をして」
そうして、涙とか鼻水とか涎とかで、ぐっちょぐちょのお顔でも構わず、抱き締める。と
いうか、おっぱいに顔を挟む的にする。
ボールギャグを外して、これみよがしに、お高いレースのハンカチで顔を拭いてあげる。
「え……え? え?」
拘束はされたままだけれど、あんまりの急展開に思考が追い付いていないみたい。つくづ
く密偵の素質が無い子だ。
「貴方はきっと、忠誠心が強過ぎて、あのままでしたらリオンさんの為に命を捨てる覚悟
だったのでしょう?」