3時間ほど経過しただろうか、
彼女の目つきがだんだんとおかしくなってきたのを感じた大輔は、
「そろそろ、電車もなくなるので、このへんで、、」
と切り上げようとする。
このあたりで彼女をやめさせないと、ほんとに困ったことになる。
「私が家まで連れていくわよ!!都内なら2分以内で着くんだから、終電なんて気にしないで」
が、大輔は帰ることにした。
半年ほど前に、フライト能力で家に連れていってもらおうとした。
ところが、酔っぱらった彼女に抱きかかえられ、両腕と肋骨を骨折し、全治3か月の大けがを負った。
地球人の数千倍という彼女の腕力。力加減を誤れば、抱かれるだけで胴体真っ二つというのもありある。
だが、大輔を帰らせようとするのはそれではない。
大輔は秘密を話したことが聞かれていないのか、気が気でない。とりあえずこの状況下から逃避したかったのだ。