デート〜恋とはどんなものかしら〜でエロパロ2 [無断転載禁止]©bbspink.com
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前スレの続き、お待ちしています!
また巧と依子に萌えて行きましょうね! >>1
感謝申し上げます!
私も前スレの続きを楽しみにしています >>1
感謝申し上げます
前スレ落ちるとは…ごめんなさい本当に
とりあえず1から
未婚 非DTSJ エロは4と5
ラブホネタです 長くてすみません
1
〈依子〉
せっかくのデートだけど、秋の連休の中華街はひどい混雑。私は花火大会を思い出す。
しかも歩きやすいようにとスニーカーで来たのに、誰かに靴ひもを踏まれた。
ほどけてしまったみたい…放置すると危険だわ。
とっさに私は谷口さんと組んでいた腕をほどき、靴ひもを結び直すため雑踏の中でかがんだ。
「あっ、あれっ?藪下さんっ!」
うかつだった。複数の通行人が私の背に当たり、不満の声をぶつけられる。
立ち上がった時は、谷口さんは人波に流され、はぐれてしまっていた。
「いけない…」
すぐに私は彼が見つけやすいよう道の端に寄り、背を伸ばす。
進行方向の遠くに目をやり、長身だけど目立たない彼を懸命に探す。
そうしてしばらくたった時。
「いた…!藪下さん…」
彼の声がしたと同時に、後ろから抱きしめられた。
肩ごしに彼を確認でき、体に巻きつく腕に私はほっとした。
「谷口さん、なぜ逆方向から?」
「きみが急に腕を離すから、急いで引き返したんです…
目立つ服を着てくれてて助かったな」
今日のファッションは動きやすさ重視。
ピンクを基調としたスポーツTシャツにパーカ、ジョギング用スパッツ付きスカートだったから。
待ち合わせ場所では谷口さんに
『まさか、ここまで走って来たの?』
なんて冗談を言われたけれど。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした…谷口さん?」
彼の腕はまだ私を離さない。その手を重ねて握ると、ひどく汗ばみ冷たかった。
「すみません…ちょっと…立ちくらみが…」
「顔色が悪いです。どこかで休みましょう」
青ざめた彼に肩を貸し、歩きだした。 2
「…だからってなあ…こんな場所にしなくても」
「一番近くにあった、休めそうな場所がこのラブホテルでした。
幸い部屋も一つだけ空いていましたし」
谷口さんはスポーツドリンクを飲んで少し横になると、比較的早く回復した。
「昨夜から小説を5巻ぶっ通しで読み返しちゃいまして…」
夕食も取らず徹夜で読みふけり、さらに朝食も取らずわずかな仮眠をして寝坊し、そのせいで昼食も取らず。
それでデートに来たなんて!
「スティーブン・キングは一気に読むことにしてるもんですから」
あまりの不摂生に、あきれるわ…
彼はルームサービスのピザをパクパクかじりながら、
「これで“手作りピザ”を名乗るのか?なんてマズさだ!
残念ながら作り手のやる気が全く感じられないね。これならいっそ冷凍にすべきだよ」
なんて言いつつ平らげた。
「ありがとうございます藪下さん。
僕なんかのために、こんないかがわしい所に…すみません。
もう大丈夫です。そろそろ行きましょうか」
「良かったです。しかしご休憩は2時間、という表示がありました。まだ早すぎませんか?」
「えっ?そ、そのご休憩ってのはそういう目的の事でしょ。
ならそれぐらい滞在するかも知れないけど…」
彼のまわりくどい表現には慣れている。
「そういう目的、とは性行為を指しますか」
「…無論です。ここがどこだかわかってますよね。
いずれにせよ僕はこんな所は落ち着かないよ。
…そういう目的なら、きみの部屋か僕の部屋がいい」
目だけこちらを向いて言われ、少しドキリとする。
「では、先ほど見たところ、ここにはジャグジーバスがあったのですが、それは試しても良いですか」
こんな場所でも、マッサージに関しては、やはり興味をそそられてしまうから。
「なるほど、別に構いません」 3
〈巧〉
僕は部屋を改めて見回した。
ここはまるで穴ぐらだ。男女が享楽にふける魔窟…
一見モノトーンでシックな雰囲気を装ってはいるが、その実、安っぽい淫靡な調度。
性的で下品な物ばかり並ぶ自販機。
壁一面を占める鏡。
ガラス張りのバスルーム。
さあどうぞ、と言わんばかりの大きなベッドは、官舎にある物の倍以上はありそうだ。
ダーツの的やカラオケセットなど、普段の僕たちには馴染みのない物ばかり。
市井の人間は、こんな所で愛の営みが可能なのか?
僕の聖域や藪下さんの清潔な部屋とはあまりにかけ離れている。
「ジャグジーは肩こりに良いからね」
そんな無難なセリフはやすやすと口をつく。
「はい」
藪下さんはニッコリした。
彼女が湯を張ると、丸見えだったバスルームのガラスは薄くくもり、僕は少し安堵した。
行きがかり上やむを得ないとはいえ、僕がこんな所に来るなんて。
バスルーム横のカゴに藪下さんの眼鏡、きちんと畳まれた服、そして派手な下着が見え、ぽおっと頬が熱くなる。
もともと、デートのあとはそのまま官舎へ行く予定だった。
だから、ここで行為に及んでも何ら不思議はないのだが…
したい気持ちはあっても、いつもと違って変に緊張してしまう…
「お・お!おぉ〜!」
ジャグジーの音と一緒に聞こえるのは藪下さんの声だ。
肩こりがほぐれる時のあの声…思わずフッと苦笑する。
ややあって彼女が顔を出し僕を呼んだ。
「…谷口さん、あなたもどうぞ…」
僕は迷いながら服のボタンに手をかけた。
湯気にけむるバスルームに入る。
ボディソープのいつもと違う香りにすら心がざわめく。
背中を流してくれる藪下さんの手のひらが、くすぐったい。
「谷口さん、このボタンを押せばいいのです。
長時間の使用は体力を消耗するのでご注意ください」
僕はシャワーを止め、立っている彼女を見た。 4
ストイックなトレーニングによって整えられた綺麗な体だ。
「僕は後でいいです…」
彼女に近づく。手を伸ばし、軽くアップにしていた髪のヘアゴムを外した。
濡れた黒髪が下ろされる。
「あ、谷口さん…」
とたんに色をまとい、微笑む彼女。ジャグジーで血行が良くなった唇が、紅くて…
長い髪に指を通して、恥ずかしそうに頬に当てる仕草も妖艶で…
神話にサキュバスという淫魔がいたな。
まさか彼女の背中に黒い翼でもありはしないか?
背中を向けさせ、肩甲骨を舐め、キスをした。
…もちろんそんな物はない。なめらかな肌に唇をすべらせる。
「ん、あぁっ」
可愛く震える。いつもの、彼女…
「んっ…谷口さん、無理はしないでください。
今は体調が回復したと思っても、あなたの体力はおそらく平均値を下まわって…」
僕は藪下さんの脇と膝裏に腕を回し、抱え上げた。
「ひゃあっ?」
足早にバスルームを出る。
驚き僕にしがみついた彼女と自分の体を投げ出すように、ベッドに倒れこんだ。
「た、谷口さん…重くありませんでしたか?
私の体重は45kgありますから、普段本より重い物を持たないあなたにお姫様抱っこは…」
僕は彼女に口づけた。
「大丈夫。僕だって男です」
指と指を絡ませ、ベッドにそっと、でも力強く押さえつける。
藪下さんは、なぜそんなに饒舌でいられるんだ?
呼吸が整わず、飢えた獣のように息を乱して彼女の首筋を舐めた。
「あっ…んっ、た…にぐち…さ…」
僕は布団をひっ被り、まわりの景色を遮断すると、彼女の膝をつかんだ。 5
〈依子〉
彼は勢いづくと止まらない。
私の言葉など、きっと聞こえていても理解していないわ。
それでも訴えずにはいられない。
「あ、あっ、そんなに…そんなにしたらっ…もう…十分ですっ!」
足はこれ以上むりなほど押し広げられ、中心の弱い部分を熱い舌が這いまわり…
時おりジュッと吸い上げられる。
粒を転がしたり、奥まで舌を差し込んだり…そんな事の繰り返し…
「ああ!あぁん、ふぅっ」
さっきから、ずっとここばかり苛めるなんて…
しかも性感が高ぶりだすと責めが弱まり、焦らされる。これではなかなかピークに到達できない…
私が彼を愛撫したくても、彼の頭はずっと私の内ももの位置にあり、それもかなわない。
「谷口さん…谷口…さん…」
ちっとも触れてくれない、うずく乳首を私は自分で慰めようと指を乗せて…
「ぐはっ、暑いっ!」
谷口さんは唐突に被っていた布団をめくった。
「谷口さん…?」
「…きみと愛しあうのに、このみだらな部屋を視界に入れたくなくて…」
「……」
「…ごめん」
「…こんな、アンバランスで一方的な性行為は不本意です」
「…そうですね」
「私の性感帯はご存知のとおり複数箇所に点在していますし、私だって、あなたを愛撫したい」
「…すみません」
「なのに、もう挿入して欲しくて仕方がなくなったじゃありませんか…!」
私は彼の首にすがった。
「あっ、藪下さん」
「早くください…」
体を離し、油断した彼の男性器を頬張る。
「うっ…」
彼もすっかり準備できている…貫かれる期待に鼓動が高まる。
「藪下さん、もう少し待って…」
再びベッドにあお向けにさせられる。
浅ましく待ち構えて、とがる胸に彼の手が触れた。
「くぅっ、うぅん…」
「うん…やっぱり見たかった、きみのそんな顔」
もうそんなに全身を丁寧に愛撫しなくていいの。
彼の固い男性器が中を往復するたびに、私の体がいやらしい音を響かせているのに。
のどから出る声は高く甘えた私らしくない声になってしまう。
「藪下さん…なんだか、普段とちょっと違いますね…」
耳たぶにキスする彼が、いつもの調子を取り戻しているのがなんだか悔しい。
「か…環境のせいでしょうかっ」
「そんなきみも、素敵です…」
包むように優しく抱きしめられる。ああっ、谷口さん…その抱擁だけで、私が先に絶頂を迎えてしまうなんて。
終わり だらだらと妄想書かせてもらってありがとうございます
けど雑談やエロなしとかも全然ありだと思います 新スレでさっそく続き投下感謝申し上げます!
ラブホテルで依子希望のプールは有ったのか気になりますw
可愛らしくもエロい二人をありがとうございました! >>10
ありがとうございます
プールw想像できないので、はぶいてしまいました
楽しそうな依子とドン引きの巧は浮かびますがw エロなし 子どもネタ
創作キャラ(少女)出ます
2015年春くらいDTSJ
1
二人は今日はデートだ。
待ち合わせは噴水前に12:00。
巧は腕時計を二度見した。
そして三度目に見た時、冷や汗が吹き出た。
“12:02”
待ち合わせはいつものここで時刻も間違いないはず…
確か11:55には着いた。今日は間に合ったと自信満々にここに立ったのだ。
時計が故障したのかも知れない。巧はデジタルの腕時計を無意味にパシパシと叩いた。
「藪下さんが遅れるなんて…しかも連絡も無く!」
巧は周りの目もはばからず、伸び上がりおろおろと行ったり来たりした。
少し前。依子は駐輪場にスクーターを停めると、いつもの待ち合わせ場所に向かった。
時間には十分余裕がある。巧を待つ時間は苦にはならない。
小学校低学年くらいの少女の前を横切る。
と、直後にそのまま3歩後退した。
少女の正面に立つことになる。
「…迷子ですか?」
依子は無表情に見おろし尋ねる。
少女は泣いているわけでもなく、そのせいで誰一人関心を寄せることもない。
ただ、決意を秘めた目でたたずんでいる。
「否定しないわ」
少女は答えた。
「保護者のかたとは、どこではぐれたのです?」
「お母さんとファミレスに行く途中、あのゴミ箱にゴミを捨てに行ってたら、はぐれたの。
私がいないのに気づいたら探しに来るはずだわ。だから動かず待ってる」
依子はしゃがんで視線を合わせた。
「賢明ですね。安心なさい、おそらくあなたの予想どおり、お母様はすぐ来られるでしょう」
「もう行っていいよ。お姉さん、急ぐんでしょう?」
うつむいて少女は言う。
「…なぜそう思いますか」
「私の前を通りすぎてから、引き返してきたわ。
行こうかどうしようか迷ったってことだよね。つまり、急ぐ用事があるから」
「なるほど、なかなか論理的ですね。私の好きな回答です」
「…私、変だってよく言われるけど」
「堂々としていればいいのです。
数というものの謎の解明に比べれば、他人の誹謗など小さなこと…
私はそう思います」
「数というもののナゾ…?」 2
遠くから誰かの名を呼ぶ女性の声がして、少女がハッと顔を上げた。
「お母様ですか?」
「うん!」
母親は手をひろげ駆け寄り、少女はその胸に抱きつく。
頭を撫でられると、とたんに子どもらしい表情になった。
頬ずりして甘えながら、それでも経緯を筋道だてて説明する。
「お姉さんとお話してたからさみしくなかったよ」
少女の言葉を聞き、母親は依子に礼を言い頭を下げた。
「お礼にはおよびません。それでは私はこれで失礼します」
「お姉さん、何しに行く途中?」
「…婚約者とデートです」
「わあっラブラブだ。カレシにごめんなさいって伝えてね」
「承知しました。お元気で」
二人は去って行った。依子はきびすを返し、待ち合わせ場所へ急ぐ。
依子の携帯が鳴った。
巧の姿が見える。自分の携帯を耳に当て、右往左往している。
「あっ、藪下さん!」
気づいて手をふり、電話を切って駆けてくる。
「やあ、6分も遅刻ですよ?心配したじゃないか」
「申し訳ありません。そして伝言です。『ごめんなさい』」
「へ?」
巧は頓狂な声を出した。
腕を組み、二人は歩く。
「幼い頃の私に会ったんです」
「ええっ?」
「比喩的表現です」
「まぁ、そうですよね。なんだか珍しいな…」
「…子どもが欲しいです」
「ごほっ!げほっ!…や、や、藪下さん…」
「私たちのどちらに似るかは、わかりませんけれど」
「…ど、どうしたの急に」
「隔世遺伝や突然変異の可能性もありますし…」
「……あのぅ…」
「谷口さん、早急に私の卵子を受精卵にしてください!」
「ちょ、ちょ、ちょっと!やめて!何があったんです」
肩を揺すぶられて、依子は我に返る。
「…谷口さん、遅刻の理由を説明させていただけますか」
「別に怒ったりしてませんよ。
でもまあいいや、昼飯食う場所探しつつ、散歩がてら…のんびり話を聞くよ」
日差しは柔らかく風もない。短い話も、ゆったり時間をかけて語り合えそうだった。
終わり エロです もちろん非DTSJ
マイルド言葉責め系
キャラ違ったらすみません
1
官舎のベッドに二人潜る時刻。
「…寒くなりましたね、藪下さん」
「この秋の最低気温を更新したそうです。放射冷却の影響で、これからもっと冷えますよ」
「寝ぼけて布団を落としたら大変だ」
「そうです!寝袋を購入しましょうか?」
「…僕は反対します」
巧は依子を抱き寄せ、足を絡める。
「あっ」
「こう、できないでしょ」
依子は嬉しそうに、恥ずかしそうに、困ったように…
その人形のような瞳は巧を見つめ、くるくると表情を変える。
巧が依子の額にキスをした。依子は巧の唇に軽くキスを返す。
…やがて互いに舌を差し入れて。
音をたてて口づけあううちに、だんだん二人の息が上がる。
そのあとは… 2
「ん、んっ、はぁっ」
巧に唇で頬骨をなぞられて、思わず依子は震えた。
「藪下さん…脱がせる他に、して欲しいこと…ありますか?」
「あ、あまりそんなことを聞かないでください…」
「もっと言えばいいのに。いつものきみらしくハッキリと」
巧は耳もとでささやき、依子の胸に手のひらで触れる。
「あ、あ」
「僕は知ってます。きみが、ここをどうしたら喜ぶか…指がいい?舌がいい?」
「う、うっ」
依子は目を固く閉じ、かぶりを振る…とても言えなくて。
「じゃ…どっちもするよ…」
両の乳首を、手の甲を下に中指と人差し指ではさむ。親指で先端をこねる。
「はんっ」
時おり舌でチロチロと違う刺激を与える。
「あぁ…あぁん、非常に…いいですっ」
「きみのここ、きゅっと縮んだよ…吸いましょうか?どうする?」
「ま、またそんなことを聞い…」
おしまいまで聞かず、チュウッと吸い上げる。片方も…
「あぁっ、あはぁっ!」
「好きでしょう…このぐらいの加減が」 3
震える膝を閉じたいが、巧の被さる胴体に押さえられ、開かされたままだ。
依子は合わさった二人の肌の隙間を縫って、自分の中心に指を伸ばす。
「……っ」
胸の愛撫だけですっかり濡れ、巧を待ち望んでいる…
腿に当たるのは力強く構える巧自身。それを依子はもう一方の手で愛しげに握りさする。
「自分でさわってるんだ…もう、僕が欲しい?」
濡れてしまった手をつかまれ、指先を舐められて依子は赤面した。
「は、はいっ…挿入して欲しいです…
最初はゆっくり…次第に早く…下から突き上げて、そして…そして…」
「了解しました。もっと言っていいんですよ…」
「早く挿入してください、あ、あぁ…!」
巧が依子の脚を押し上げて入ってゆく。
「…藪下さん、ぐちゃぐちゃだ。熱い…」
「や、やっぱり動いて!動いてくださいっ!あぁん」
――シャワーを頭から浴びて、また布団に入る。
「ああ寒い…髪、ちゃんと乾いてないのかなぁ」
「ん…乾いていますよ。湯船に入っていないので寒いのでしょう。
次回から0:00…いえ、1:00までは暖房をつけておくことにします」
「…それはつまり…」
「裸でも布団を被っていなくても大丈夫なようにです。
性行為のバリエーションも広がることでしょう」
「恥ずかしいことを言うなあ」
「さっきまでのあなたの方がよっぽど恥ずかしいことを言っていました!」
「ぐっ…閨房の秘め事を掘り返すのは反則だろ!」
布団を被り、小声で二人は気が済むまで言い争った。
終わり >>13自己レス
婚約は夏でしたね
だから婚約者じゃなくて恋人でした、すみません 新作感謝申し上げます!
言葉責め巧がエロいし依子が可愛いですね!
ピロートークで言い争う二人がらしくて萌えました
ありがとうございました! >>18
ありがとうございました
言葉責めともつかぬライトさですが
どうもこの二人にあまり激しいプレイはさせられなくて… 杏ちゃん双子おめでとう
依子も少子化に貢献できますように〜 杏ちゃん双子誕生おめでとう!
依子にも双子ちゃん生まれて欲しいです! 杏ちゃんご出産おめでとうございます!依子もがんばー
エロほとんどなし
非DTSJ 想定外デート
1
大型家電量販店を出た依子は、やや不満そうにため息をついた。
結婚したらもう少し大型に買い替えるだろう冷蔵庫。
「なかなか良い物が無いわね…」
目星をつけて巧に提案したいが、今日は当たりがつけられなかった。
依子は日が暮れるまでにもう一軒回ろうかと足を踏み出した。
「あれぇっ?藪下さん!」
「…谷口さん!」
ばったりと鉢合わせしたのは巧。
「わは!…奇遇ですね。こんな所できみと会うなんて…バスのとき以来だ」
最後の方は独り言のように言った。
「お一人ですか?」
「そうですよ。きみは…ああ、家電量販店巡りだね」
「あなたが休日に繁華街をぶらつくなんて…すっかり一般人ですね」
「世間的には、ただの迷惑な奴ですよ。
無職のくせにわざわざ休日に外出し、繁華街の混雑の一因となっている」
二人はフフッと笑いあう。
「何か目的がおありなのですか」
「そこの百貨店で近代絵画展をやってて…母に何か画集を買って来いと頼まれまして。
教室のガキたちの鑑賞用にするんだって。まったく、猫に小判でしょ?
汚い手で絵の具だらけにされるのがオチだってのにねぇ」
巧は紙袋を掲げた。 2
「ではこのあとはお暇ですか?」
「この僕に急ぐ用事など無いに等しい」
依子はガッと巧に腕を絡める。巧は少し驚くが、依子の言葉を待つ。
「では私と夕食はいかがですか」
「フッ。良案ですね。喜んでご一緒します」
「服がデート仕様ではありませんが、ご了承ください」
「そんなこと…十分素敵ですよ」
「…下着もデート仕様ではありません」
そう言う依子の頭に巧は口を寄せ、ささやいた。
「…きみの下着は全部知ってます。僕が一日おきに洗濯してるんだから」
すっかり暗くなった官舎の玄関で、ドアを閉めるとすぐ巧は依子を抱きしめた。
キスをしようとして、依子が拒むように巧の唇に指をかざす。
「まず靴を脱ぎ、うがい手洗いをしましょう」
「…はい」
結局シャワーまできちんと浴び、二人はベッドにもつれるように倒れこんだ。
「“家電量販店前であなたと私が偶然会う確率”を考えながら、あなたと歩いて…」
「……?」
黙って聞きつつ巧は依子の髪を撫でる。
「けどなかなか計算できないんです。
心の中であなたの存在を20%以下にすらできなかったせいでしょう」
「藪下さんともあろう人がね…」 3
「20%どころか…増大して、飽和して……
つい、予定では明日なのに、今日あなたを官舎にお招きしてしまいました」
「いいじゃないか。予定は未定にして決定に非ずだからね」
ベッドにあお向いて、巧の腕に閉じ込められていた依子の瞳は熱くうるむ。
「あ、谷口さん…もう、こんなに大きく?」
「浮かれた若造みたいで恥ずかしいな。
まさかあんな所で会えるとは思ってなかったから、気分が高揚してるんだと思います。
あ、でも夕食にうなぎなんかごちそうになったせいかも…」
「あれはちょっとしたお祝いです」
「お祝いって…?」
巧は待ちきれないように依子の首筋に何度も口づける。
「『数の法則による運命的邂逅を祝すべきね』と、母が…」
「ん?なんて?」
「いえ、何でもありません」
依子は巧の肩に腕を回し、キスをせがんだ。
巧はそれに答え、たちまち取り込まれる。
唇を吸いあう音が響き、さっきの依子の不自然な言葉も、二人を覆い包む愛欲に立ち消えた。
終わり 新作感謝申し上げます!
大人な二人が可愛いですね
ラブラブな依子と巧にも早くベビー来い来いw >>25
ありがとうございます
いつか公式での進展があるといいな… ラブラブ小ネタ・春
新婚さんかな
「あれぇ?変だな」
キッチンで中華鍋をあおっていた巧は首をかしげた。
「どうかしましたか?」
依子は風呂上がりに乾かしたばかりの髪を編みながら巧に近寄った。
「酢豚が変なんです」
「具体的には、何が変なんですか?」
依子が鍋を見た。
「なんだか水っぽいでしょ」
「はい。お心当たりは?」
巧は菜箸で一口食べる。
「特には…いつものレシピどおりなんですが、なぜだ。
味はそう悪くないな…きみも一口食べてみて」
そう言い菜箸で具材を少し取り、手皿で依子に近づけ、巧はハッとして固まった。
「どうかしましたか?」
依子はさっきと同じセリフを言い、きょとんとする。
耳まで真っ赤になった巧が言った。
「あ…あの…あーんしてください」
依子の頭の中にある恋愛辞書には“あーんして”の文字はなかったのだろう。
素直に巧に向かって口を開ける。
ピンク色の薄い舌をほんの少し唇からつき出し、鳥の雛のように巧を見つめる。
巧はどぎまぎしつつ、その口内にそっと箸を入れた。
咀嚼する姿を固唾を飲んで眺める。
「…これは、材料が違います」
「えっ?」
「玉ねぎではなく、水分量の多い新玉ねぎを使用したようですね。
旬の物ですから、本日はこれで構いませんよ。
味は若干変わりますが、いつもどおり消費しましょう」
「そ、そうか…なんか違うと思った」
「…そんなに怖がらないでください。
私は食事を作っていただいてる立場です。これくらいで怒ったりは…」
「い、いや、違うよ。逆だよ!可愛いな、って…思って…」
「は?な、何を根拠に…こ、この状況で…理解不能です…」
「ごめん。さ、食べよう。すぐ用意しますから」
巧は思わず依子の腰をグッと抱く。二人の体が思いのほか密着する。
「し、しますか?…のちほど」
依子はわけがわからず、それでもサインを受け入れる。
「あっ、ごめん、いや…そうですね。のちほど」
二人の思いは始めはちぐはぐでも、結局いつも同じ場所に収束するようだ。
終わり 3話のお見合いパーティー後の話
こんなやりとり無く、流れでなんとなく一緒に歩いててほしい気もするけど
まぁ書いちゃったので投下します
1はエロなしDTSJ
2と3はエロで非DTSJ
1
2014年12月
さんざんなお見合いパーティーの帰り。僕たちはホテルを出た。
あの胡散臭い心理カウンセラーは、とうに支払いを済ませて逃げたようだ。
抜け目ない奴め…イテテ…眼帯の下が痛む。
「…今日は電車で?」
「はい」
「じゃあ駅まで送ります。あんなことがあった後だ。いくらきみだって不安だろ」
「ご心配なく。この時間帯の単独行動は残業等で慣れています。
アセトアルデヒドの分解も進んでおり、歩行にも支障ありません」
「素直に送られておきなよ。
たとえ僕なんかでも男が一緒なら、不埒者への牽制程度にはなる」
こう見えて、このひとも隙のあるうら若い女性の一人だったわけだから。
行き掛かり上、連絡先カードをやり取りし…
駅に着いた。藪下依子は立ち止まる。
「本日は重ねてありがとうございました。ここで結構です」
帰るんだな。ご丁寧にペコリと最敬礼してきた。
「あのさ。眼帯…」
「はい?」
「眼帯、あの、これ…返さないと…いつ…」
「差し上げます。お気づかいなく、お大事になさってください」
「あ、あ、そう。それじゃ遠慮なくいただきます」
僕はくるりとバス停に向かう。
そのまま振り向かずに歩いた。
あっちも振り向かずに行ったに違いない。
ああ、早く僕の部屋に帰りたい。色々あり過ぎて、もうへとへとだよ… 2
2016年1月
しばしば藪下さんとは口論になる。
本当に僕のことを愛してくれているのか、不安になる程やり込められる事もあるけど。
…だけど、こうして二人きりのベッドで。
僕なんかに、その裸身を素直にゆだねるのを目の当たりにすると…
「腰、少し上げて…足を胸のほうに倒して…
苦しくない?もう少し開くといいかも。ね…」
「は、ん…こんな体勢は不自然です…」
「でも…いつも藪下さん、こうした方が気持ちよさそうだから。動くよ?…」
「はい、確かに…あん、ううっ、ハァッ」
「いいでしょう?」
僕たちだけが知る、二人のやりかた。
しばし彼女の締めつけと艶めいた声を楽しむ。
いつも四角四面な理論を浴びせてくるその口が、熱い息と意味のない言葉を不規則に吐き出す。
僕が、そうさせてるんだな…
「…た、谷口さんっ!あ、あ、あっ…あぁっ!く、うぅっ!」
彼女が震え絶頂に達するのを見て、僕は一気に自分を解放する気になれる。
「ああ、僕もいきます。もう少し、こらえて…」
早くいってあげなきゃ。彼女はもう爪先まで快感に苛まれ、苦しそうですらある。
「ん、ん、あぁん!駄目です…体が…粒子になって飛び去りそう!抜いてくださいっ…」
「そんなの、無理だよ…」 3
ぐったりベッドに手足を真っ直ぐにして横たわる藪下さん。
その髪を撫でていて、僕の頭にあるシーンがフラッシュバックした。
「ほんとに…あの時きみが、あんなやつに手籠めにされなくて良かった…」
「あんなやつ、とは?」
「鼻持ちならない心理カウンセラーさ!あいつ、酔いつぶれたきみを…クソッ」
「2014年の話ですね?もう問題なく解決した事案です」
「そりゃそうだけどさ!」
「泣いているのですか?」
「泣いてない!」
「なぜそれほど激昂するのです」
「わからないよ!あの時もそりゃ恥ずかしかったけどさ。これほどじゃなかったのに…
いま思い出すとあの時にも増して、恥ずかしくて…そして、悔しくて…情けなくて…
ああ、もう穴があったら入って潜るから土をかけてくれ…」
「承知しました」
ひんやりとした藪下さんの腕が僕を包んだ。
裸の胸に抱き寄せられる。僕とは違う女性らしいラインが目の前にある。
汗ばんだ彼女の匂い。心拍。落ち着いた呼吸。
「どこに穴を掘りましょうか。官舎の敷地内は許可されないでしょうね」
彼女は微笑む。
「フッ…」
僕も思わず笑った。
「公園も勝手に穴は掘れません。あなたのご自宅が妥当でしょう。うふふ」
藪下さんは楽しそうに言う…
たまらず僕は彼女の乳首にむしゃぶりついた。
「ひゃっ!あぁん」
「…ありがと…藪下さん」
僕は愛撫を続ける。彼女は困ったように小さくあえぎながら、僕を見つめていた。
終わり お見合いパーティーで
一人の依子に声をかけに行く巧の、子どもっぽいムスッとした表情が好きだ
演技細かいなぁー
依子がカウンセラーにチョップして「ギョエ!」て言うのも好きですがw >>28
自己レス また間違い
「重ねて感謝申し上げます」
でしょ〜へこむわ…
最近見返してないせいかな…
きちんと推敲してから投下すべきですよね
でもつい勢いでエイッと行く…特にエロは またまた新作感謝申し上げます!
無意識に可愛い依子に、嫉妬する巧が可愛エロくて素敵です!
あのカウンセラーを助けるエピは王道の恋愛ドラマでしたよね
デートは風変わりドラマに見えてしっかり王道を押さえててそがまた大好きですね!
ありがとうございました! >>33
感謝申し上げます
ほんとデートは異色ラブコメだけど、実はいろいろ王道を行っていたのも魅力ですよね エロなし普通のデート
SP冒頭で確か依子が混ぜてなかったと思うので
1
「谷口さん、歩きどおしでお疲れですか?そろそろ休みましょうか」
「賛成です。少しお腹すきましたし」
「高校の時の歩け歩け大会に比べたらまだまだですが。何しろあの時は…」
「…今日はデートですよ。ひとまず休める場所を探そう」
「しかしこのあたりの飲食店は調べたことが無いので、わかりかねます」
「僕も不案内です…別にベンチでもいいんだし、歩きながら探そうか」
依子はピタリと足を止めた。
「見つけました。まさにあれは喫茶店ですね。早速入りましょう」
依子は巧の手をグッと引く。
「おわっ!えっ?ここ?もう?」
入ったのはごく普通のカフェ…のようで、流れる音楽は昔のフォークソングだ。
「おっ、吉田拓郎だ…悪くないな」
「私はメロンソーダフロートをお願いします」
「じゃあ僕は…えー…」
アルバイト店員の女性は、にこやかに告げた。
「本日フロートご注文のカップルのお客さまに、お二人ぶんサービスしております〜」
「谷口さん、壁に貼り紙がありますね。『店主新婚につき各種サービス有り』」
「へえ。店主って、あのジイさん?!やるなぁ。
じゃ、僕の飲み物は必要ないな。ソーダでも構わないもの。
僕はこのタマゴサンドで」
「はい。ご注文を繰り返します…」 2
運ばれてきた物を見て、依子は言う。
「確かに『お二人ぶん』です。嘘いつわりはありません」
「しかし…これは…」
どーんとテーブルに乗った大きなグラスになみなみと注がれたエメラルドグリーンのソーダ。
小さな島のような二つのアイスに飾りのパラソル。
そして一本のストローはハートの形を描き、吸い口は二つ。
「悪趣味とまでは言わないが…まるで昭和のアイドルのレコードジャケットだよ」
「素晴らしいサービスです!」
依子は目をキラキラさせている。
「こういうストローって、きみとしてはどうなの」
「どう、とは?機能面についてでしょうか。
これは弁がついていませんね。つまり、二人同時に吸いこまなければうまく吸飲できません。
恋人同士としての協調性が試されます。頑張りましょう!何事も努力です」
「なんでソーダを飲むのに頑張らなきゃならないんだ…休憩に来たのに余計に疲れるよ」
「では衛生面についてですか?
確かに唾液が混じりあう可能性は否定できません。
しかし私たちは既にキスを経験していますし、今さら気にする事はないでしょう。
むしろバクテリアの交換は体にいいのですよ」
「ぐ……」
周りを気にして巧はうつむいてしまった。 3
依子は飾りのパラソルをつまんで、矯めつすがめつ眺めて言う。
「単なる飾りかと思いきや、開閉自在ですね。
傘は骨が多い方が強度は上がりますが、そのぶん重量が増してしまい…」
巧は適当に相づちをうちながら、スプーンで自分のアイスをすくい取る。
「漱石もアイスは好物だったんですよ…あ、美味い。
そう言えばクリームソーダを混ぜる派と混ぜない派、とかあるねぇ…くだらないけどさ」
「…くだらないですか」
依子はアヒル口になる。
「え、怒ってるの!?まさか、きみもこだわりが…」
「あったら不都合でも?」
「ど、どっち派?」
「言いません」
「混ぜていい?」
「いけません!」
「…なるほどねぇ」
依子は頬を染め、巧はそれをニヤニヤと見ている。
「私は何も言っていませんよっ。
さあ、谷口さん、飲みましょう。用意はいいですか。始め!」
剣道の試合でもするかのように号令をかけられ、巧はあわててストローをくわえた。
終わり 非DTSJ 今くらいの季節
結婚してて欲しいけど想像力が無いので未婚
エロは4
1
巧は官舎の鍵を開け、中に入った。
「あれ、電気がついてる…あ、そうか。日曜だっけ」
ドタドタ、と音がする。
「たっ谷口さん。予定より8分も早いですよ」
依子がリビングから顔を出した。
「そんなの誤差の範囲内です。遅れたら怒るくせに。こんにちは」
「こ、こんにちは。本日も半同棲よろしくお願いいたします」
依子はペコリと頭を下げる。
「……藪下さん?」
「何ですかっ」
「…いえ、別に…」
「さあ、早速食事の準備をしてください」
「いや、まず洗濯物をたたんで…」
「私がやります!」
「えっ!ほんと?じゃ、僕は掃除…」
「もうやりました」
「…そうなんだ。いつもは頑なに僕の家事には手を付けないのに…
まあいいや、ラクできる。ありがとうございます」
夕食後。巧は割烹着姿でお茶のトレイをリビングのテーブルに置き、正座した。
「今日は少し暑いからアイスティーにしてみたんだけど…」
夜、巧もホッとできる穏やかな時間。
「煮出しより水出しの方が良かったかなぁ」
そう言いながら、マドラーで氷をかき混ぜる。 2
「このお寺、つつじが綺麗だったよね。あじさいも見ものだそうですよ」
テーブルに開いた雑誌を見ながら巧は言った。
「そう言えば商店街の和菓子屋も、あじさいを模したお菓子が出て…」
ふと、巧は自分ばかり話していることに気づいた。
「…藪下さん。どうかしました?」
「あ、はい。この写真ではピンク色のあじさいですね。
という事は、土壌がアルカリ性を帯びているのでしょう。私もぜひ見たいです」
「……こっちのお寺ですよ。青いあじさいの」
「あっ、あっ…申し訳ありません。
お茶、大変おいしいです。やはり水出しは…いえ、煮出しですね…」
「…ははっ。大丈夫?今日はずっと何か変ですよ、うわの空で」
「…谷口さん…私…」
依子は正座したまま巧に体を向けて近寄り、頭をゆっくりと下げた。
額を巧の膝に乗せる。
「えっ、ど、どうしたの」
「私…あなたに謝罪しなくてはいけません」
「えぇっ?な、何を?ちょっと…頭、上げてください」
巧は依子の背中をさする。体勢を戻した依子の肩を抱き、依子も横座りして巧の肩に頭をもたせかけた。 3
「…私もう、疲れてしまいました。やはり黙っているのは無理です」
「い、一体なにをしたって言うんです…」
巧は青ざめてゴクリと喉を鳴らした。
依子は無言でおずおずと指さした。
巧が目で追うと、それは壁ぎわの彼のスペース。
いつもどおり雑然と積み上げられた愛読書と宝物のフィギュアたち。
「…ん?」
フィギュアの作る彼の世界が乱されている。巧はそっと立ち上がった。
「ああ!仮面ライダーと009が戦っている…
まぁ、どっちも石ノ森章太郎の作品だから、ありっちゃあり…」
「戦わせたわけではありません。考えなしに置いただけです…申し訳ありません」
「も、もしかして落としたの?」
巧は立ち上がり、宝物を手に取る。
「はい…かなり派手に」
「げっ、本当だ!仮面ライダーの腕が関節キメられてやがる。こ、これ直るかな…」
「…弁償します」
「店頭にはもう売ってない物だよ!」
「…申し訳ありません…」
依子の声はだんだんトーンダウンする。
巧は髪を掻きむしり、腕の曲がったフィギュアと依子を交互に見た。
長身の依子がずいぶん小さく見える。巧はふぅっと小さく息を吐き、目を閉じた。
「うむ、まあ、これなら多分…直る…かな。宗太郎に工具を借りれば…あるいは」
うなずきながら巧はフィギュアを置いた。
「私が掃除機をかけていて、ぶつけました。
なぜ掃除をしたかと言うと、私がしておけば、その分谷口さんの家事が早く終わるからです。
直そうとしましたが、あなたが来たので…何度も申し出なければと思ったんです…でも…」
巧はまた座って依子の手を取り、顔をのぞきこんだ。
「藪下さんはいつも自分に正直でしょ。なんで今回はすぐ言わなかったの?」
「私…今日は、あなたと性行為をしたくて…」
「……!」
「喧嘩したくなくて…だから…だって、これを目にしたら谷口さんはきっと…」
そっと巧は手を離し、両手で輪を作り依子を囲い込むように抱く。 4
「僕が怒ったら嫌だから、ずっと思案してたのか」
「はい…谷口さん、申し訳ありません」
「全く、子どもみたいだな…」
望んでいる事は大人だけど、という言葉は心の中でつぶやく。
巧がキスしようと近づくと、依子は少し顔をこわばらせた。
「藪下さん。僕は怒ってません。安定の悪い置き方をしてた僕にも…一応、責任があるし」
「許してくださるのですか」
「はい…誠心誠意の謝意を受け取りました。だから…」
依子はまばたきすると、そうっと唇を重ね、すぐに離れた。
巧は依子の髪を撫でて手を握る。優しく額に唇をあてた。続いて頬、手の甲と指にも。
しばらく視線が絡み合う…
「僕に、もう一度キスして」
依子はうなずくと、巧に深く口づけた。さっきより長く、幾度も角度を変えて。
「はぁっ…」
唇を離し、巧の手を両手で握り返して服の上から自分の胸に押し当てる。
「うゎ」
巧は驚いたが、意図を察してフッと笑うとゆっくりと撫でさすり始める。
「あ、んっ…」
依子は目をなかば伏せ、まつ毛を震わせる。
「ベッドへ行こう…」
ゆっくりとしたキスから始まる性行為は、ゆっくりとしたペースで進む。
「ああ…いい…です、そこ…」
依子の足が巧の背に絡み、上半身を快感によじらせる。
「ここ…?…こんなふう?…」
巧は依子が反応する角度で、ぐちゅっ、ぐちゅっと同じ動きを繰り返す。
「ああっ、はいっ、ああ…!好き…です、あっ、好き…」
「藪下さん…!」
巧は依子をこれ以上なく抱きしめる。 5
今日は就寝時刻がピロートークタイム。
「ごめんなさい、藪下さん」
「?」
「僕もきみに謝らないと…」
「谷口さんも?」
「あの…きみの、ブ、ブラジャー…パープルに白いレースの新しいやつ…」
「…インポートの一点ものですね」
「うん、それ…洗濯失敗してリボンが一つ取れて。
直そうと縫ってたら、慣れない針仕事のせいで、レース破いちゃって…」
「あ…あれはあなたが初めて見立ててくださった物なのに…!」
「ごめんなさい。どうせ数日のうちにばれてしまうから…きみにならって今言うよ。
ごめん、ほんっと、ごめんなさい」
巧はパジャマでベッドに正座して、手を合わせた。依子はため息まじりに笑う。
「うふ…谷口さん…私たちの間に隠し事は禁物ですね。契約書に追加を検討しましょうか」
「よしなに、お計らいください」
巧は頭を下げた。
終わり 長々と、もどかしいエロです 未婚非DTSJ
ランジェリープレイ…ではないか
1
わかっているわ、谷口さん。
何がきっかけかは確信が無いけれど。
彼は今日、性行為を望んでいる…
彼が伏し目がちに自室のドアを後ろ手に閉める。
今は私たち以外誰もいないはずのこの家で。
何も気にしなくていいのに閉めるのは…そういうこと。彼が、恥ずかしいから。
谷口さんからは切り出しにくいだろうから、私は先にピョンと彼のベッドへ乗った。
彼を見てみると、ほっとしたように本をまたいで私の隣へ来る。
ふと本棚に、私は巻数のズレを見つけた。
手を伸ばし、取ろうとして…
「あっ」
「藪下さん…」
谷口さんが後ろから私の手首を握る。
反対の手で腰に抱きつかれる。
そのまま、両手は私の胸の位置へと…
「ん…」
「そんなの、あとでいいでしょ」
掛け布団の上にふわっと引き倒される。
仰向けに体が沈みこむと同時に、彼の手がスカートの中に入る。
「ん、谷口さん、少々ハイペースですよ」
「あ…嫌ですか?」
「いえ…」
私がそう言うと、彼は思い切った様子で巻きスカートをスリットからまくり上げた。
そこでビクッと固まる。
「…す…すごいね」
私の下着を見た谷口さんは、ボッと音が聞こえそうなほど赤面した。 2
“フェミニンファッション×小悪魔ランジェリー=彼もガン見で気分もアガる!”
下着カタログの、そんなおかしな乗法の見出しを思い出す。
黒いレースをあしらったアイボリーのガーターベルトに、谷口さんは同じ解を得たかしら。
「気に入っていただけましたか?」
「え…それは…うん…綺麗だよ…でもこれ、どうやって取れば…」
「まずショーツを脱ぎ、ウエストのホックを外すのです」
「そ、そうか…なるほど」
布面積の少ないショーツの中に、彼の右手の指先が入ってきた。じりじりと下げられていく。
今度は逆にずいぶんとスローペースね。
私は両手を谷口さんの肩にかけている。
谷口さんの左手は私のブラウスをたくしあげ、背中を探り器用にブラジャーをはずす。
ふっと下着の締めつけがゆるむと、彼は口でブラジャーを引き上げ、出てきた乳首をちろっと舐めた。
「あ、あんっ」
たったそれだけして、彼は動きを止めた。私をじっと見る。
なぜ?もっと、舐めて欲しいのに…
下げられたショーツも膝上でとどまっていて。
私はきっと、もの欲しげな顔をしてしまっている。
なのに、彼は目を閉じて首筋に顔をうずめてきた。
「…藪下さんの髪…いい匂いですね」
「いつものシャンプーがリニューアルして…少々香りが変わりました」
「これも好きです。風のようで素敵だ」
風に一定の香りがあるかしら?でも、彼の言葉は不思議と嬉しい。
「感謝申し上げます」 3
ゆるく巻いた髪を、今日は結わずに下ろして来た。
谷口さんは私の髪を手ぐしでまとめると、右肩に寄せた。
「あの、谷口さん。私の衣服をこんな中途半端な状態のままにして…
あちこち手をつけて放置は困ります…」
「ご、ごめんなさい。放置だなんて、誤解だよ。
きみにいっぱい触れたくて。でも気持ちばかり逸って、手が追いつかないんだ」
そういうこと…
私の眼鏡を取り大切そうにベッドの脇に置く。それから彼は自分の着衣を脱いだ。
ゆっくりスカートを、そしてブラウスを脱がされ…ずらされた下着だけになる。
私が自分でショーツを脱ごうとすると、その手をそっと制止された。
「僕がしていい?あの、全部…」
私はうなずいて手を顔の横に投げだした。
恋人に、裸にされる。ただ、それだけのこと。でも…心音は高まっていく。
彼は静かに私の腕からブラジャーを抜き取り、乳房を撫でる。思わずはぁっと声がもれた。
谷口さんは微笑み、甘いため息とともに耳にキスをしてきた。
あ、だめ、そこも私の性感帯。ブルッと震えると彼は満足そうな顔をする。
仕返しに彼の男性器を探る。触れるとすぐに固さを増した。
「うあ……待って」
私の手を捕まえ、上半身への丁寧な愛撫を始める。
「んっ、ん」
ようやくショーツに手をかけ、しばらく動きが止まる。
じっとあらわな部分を見つめる彼の目…なんだか…恥ずかしくなってくる。
「これは、視姦というプレイですか?」
「ええっ?違いますっ!僕はただ、藪下さんの体が好きなんです。
あ、いや、体だけという意味じゃなくて…」
「違うならいいのです」 4
持ち上げられた足からショーツを抜き去ったところで。
私たちは、それ以上脱ぐ必要がないことに気がついた。
思わず顔を見合わせる。
「もういい…よね?」
ガーターベルトにストッキングのままの私の両足をつかんで、
彼の頭はその間へ下りていき、舌が届くまでうずめられる。
「あ、んっ…あ、ああ!谷口…さん」
「こんなの、卑猥だ…いやらしいよ…」
彼はガーターベルトを指でなぞって、ストッキングに覆われた足を撫でる。
尖らせた舌で敏感な粒をなぶられる。
「ひゃあん!そこ、だめですっ!感じ…、あぁんっ」
たまらず体を左右によじる。
ドドッ、バサ!
積み上げられた彼の蔵書の一部が崩れた。
「わっ」
「あ、も、申し訳ありません」
「…いや…今はいいよ」
彼は体を起こし、簡単に本の山を直すと私の足を両手でかかえた。
挿入されるわ…
「あっ、ごめん!」
谷口さんはあわてて動きを止めた。
「何でしょう?」
「ストッキング…すみません…」
「え…?」
見ると、破れてしまっているようだ。
よく見ようと足を曲げると、ビビッと一気に破れが広がった。
「うわっ」
谷口さんはあわてて手で押さえるが、どうしようもない。
彼の指は少し荒れてささくれていた。日頃の炊事のせいだろう…不可抗力だわ。
「…今はいいです」
彼の真似をして答えた。
すまなそうな表情が柔らかくなる。
けれど、破れたストッキングが彼の性欲を少なからず刺激したのを、私は見た。 5
「んぁ、あっ、あっ…」
いつも私に負担の少ないように優しくしてくれて…
それでも谷口さんの突き上げに合わせて声が出てしまう。
もう、絶頂へ行ってしまう。
「くっ、う…」
彼も恐らく、もう限界で…ああ、せり上がってくるような感覚が来たわ。頭が真っ白になって…
「あっ、いきます…!谷口さんっ、来て、くださ…」
彼は噛みつくようにキスしてきた。その切なげな表情…
私の興奮と快感は最高値を記録する。
いつも思うこと。
《私は谷口さんを愛してる》
こうして、そのただ一つを証明するのに、なんて多くの過程を要するのか。
あてはめる公式も数列も無い。けれど、何度でも求めてしまう。
解を導く過程の一つ一つが、たまらなく…いとおしい。
終わり 未婚非DTSJ エロは3かな
似たようなネタで書いた気もしますが
1
ふと見ると、藪下さんは僕が数分、本を読み返していた間にもう眠ってしまった。
「ほんと寝つきがいいなぁ」
そっとブランケットをめくって隣にもぐり込む。
彼女はアニメのプリンセスみたいに無防備に寝息をたてていた。
いつも理知的で僕をまっすぐ見つめる、その瞳を閉じて。
…キスしようか。顔を近づけた。
薔薇色の唇はほんの少し開いていて。これまで幾度も重ねてきた唇…
プリンセスならキスで目覚めてしまうな。
いや、僕なんかが王子役なんて、おこがましいにも程がある…
自嘲気味に小さく息をついて離れ、何もせず体を横たえた。
こうして、23時以降・週2回以上の約定は履行されない事もままある。大抵は、僕のせいで。
「谷口さん」
「えっ?!は、はい」
「魔法を信じますか」
「……は?」
起きていたのか。唐突な質問の内容が理解できず僕は戸惑った。
けれど体を半分起こし、ちゃんと話をしようと藪下さんの方に向く。
彼女は天井を見ていた。
「魔法…ですか」
どうしたんだろう。なぜ急にそんな子どもじみた質問を…しかしここは、真面目に答える事にする。
「僕は、信じてません。でも…あればどんなに素敵だろうか。そんな風に思うかな。
突然こんな事を聞いて、そういう藪下さんはどうなんです」 2
「思い出したんです。私が幼い頃…父がよく物語を読み聞かせてくれました。仙女や魔法使いが登場する童話です。
しかしそれらはみな非科学的で非論理的、ご都合主義的、画一的で子どもだましな物でした」
「おいおい…グリムやぺローが気の毒だよ。何よりお父さんが」
「…事実なので仕方ありません。
けれど私個人の見解によると、誠実な登場人物は80%の割合で最終的に幸福を享受しています」
彼女は体をこちらに向けた。パジャマの胸元が少し広がり、鎖骨がのぞく。
「お父さんがそういう物語をチョイスしてたんだろうね…」
「しかも、女性が主人公の場合は100%結婚するんですよ」
「『そしていつまでも幸せに暮らしました、めでたしめでたし』でしょ?」
藪下さんは目を見開く。
「よくお分かりですね。さすがは谷口さんです」
僕は思わず吹き出した。
「おとぎ話のラストの定型文じゃないか」
僕は目の前に垂れ下がる彼女の三つ編みに触れた。
黒く滑らかなそれはとても心地いい。
彼女は僕の手を見つめ、されるがままでいる。
「逆算すると、魔法があったから幸せに暮らせたわけです」
藪下さんはニコリとして人差し指を突きだし、魔女の杖のようにクルクル回した。
僕はトンボにでもなった気分でそれを見つめる。
「ふむ…」
「私もあなたと幸せに暮らしたい。ゆえに、私は魔法を信じます。これが私の考えです」
「なるほどね…」
彼女の三つ編みが少しゆるんで。僕は頭から彼女の髪を撫でる。
嬉しそうにはにかむ表情は、こういう時しか見られない。 3
次第にいとおしさが高まる。
体を寄せて首筋に顔をうずめた。パジャマ越しに腰に触れる。
「あ、もうっ、谷口さん」
「…藪下さん」
ぼうっとしてきた。自分の声が低くて遠い。
彼女の右手を取り、さっき回していた人差し指を舐める。指の間を、手のひらを。
「んっ」
「まるできみが魔法使いだね。僕は…魔法にかけられたのかな?」
「あっ…」
「きみを可愛がらせて…」
両手でパジャマの上から彼女の体をかき回す。
「はぁっ…あぁんっ…」
その声にあおられ、僕は藪下さんに覆い被さり、抱き締める。
重いかな?ごめん…でも、気持ちは走りだしてしまった。
「…本日は…どのように可愛がってくださるのですか?」
藪下さんは僕の背に腕を回し、吐息のかかる距離で微笑む。
ああ、キスする前に目覚めた早起きの眠り姫。その唇に今度は迷いなく吸い付いた。
「あぁ…んっ、んっ」
パジャマを脱ぎ、脱がせながら体を愛撫しあう。
お互いに繰り返し吸い上げるキス。唇以外にも愛しい場所には全て。
「う…ぁ」
藪下さんの口内に僕の中心が捕らえられ、温かい舌が絡みつき前後する。
その快感と音が僕をさらに高ぶらせる。
「谷口さんっ…いつだって…私を求めてくださって、いいんです…」
「うん…藪下さんと…何回でも一つになりたい」
「私…私も、いつもそう思って…」
僕は彼女を離れさせ、ベッドに押し倒した。波紋が広がるようにシーツがよれる。
熱に浮かされたような気持ちになって、挿入後は何をしゃべったかあまり覚えていない。
「藪下さん、どうしたら気持ちいい?」
僕ばかりいい思いをしているんじゃないかと気になる。
「ああ、あ…こっ…この、ままで…」
僕が何か言うたびに彼女の中がびくびく震えて。大丈夫、喜んでくれてる…
「きみも、すごくいい…感じてる声」
「あ、あ、谷口さん…!」
自分の恋心に正直になる、小さな勇気をくれてありがとう。
「魔法…僕も信じます」
「なら私と一緒にめでたしめでたしを目指しましょう」
僕はこっくりとうなずく。
たまには、童話を読み返すのもいいかも知れない。自室の本棚の奥に、おそらくあるはずだから。
終わり エロなし
ゴジラで小ネタ
1
「うわぁ!藪下さんっ!」
谷口さんはガバッと跳ね起きた。悲愴な顔つきで辺りを見回し、隣で寝ていた私と目を合わせた。
「はい。私はここです」
「あれっ?ゴジラは!」
「?」
「あ…ああ、ゆ、夢か。そりゃあ…そうだよな…ハハッ」
ふーっと谷口さんは長く息を吐き、うなだれた。
起き上がり時計を見ると、まだ起床時刻まで2時間6分ある。
さっき谷口さんが発した単語…思い出した。
「谷口さん。私、ゴジラは知っていますよ。日本映画に登場する、実在しない巨大な蛾、でしょう」
「なんだかずいぶんと自信満々だけど、そりゃモスラですよ」
「…違いましたか」
お父さんが昔、パンフレットを見せてくれた記憶があったんだけど。
「あ〜夢で良かった」
手をぎゅっと握られる。肩に谷口さんが額を乗せてきた。
「悪夢だったのですか」
彼の髪に頬を寄せる。
「ふっ…歴史ある映画シリーズの登場人物になったよ。
起こしてしまってごめんなさい…もうひと眠りできるね」
「おそらくレム睡眠だったので、すっかり目が覚めてしまいました」
「すみません…ああ、やばい、まだドキドキしてる」
「お水を入れて来ましょう」
私はベッドを下りた。 2
そもそも第一作は…から始まり、谷口さんは半世紀以上に渡るその映画の歴史を語った。
興味のある分野ではないけれど、谷口さんがあれだけ慌てた理由が何となく理解できたわ。
「実際にあんなパニックが起こったら、僕はきみを守りきる自信なんかないよ…」
「自分の身は自分で守りますので、ご安心ください」
「そうですか、アハハ。じゃあ僕も自分の心配だけすりゃいいな」
「そんなことはありませんよ」
「んっ?」
「子どもが生まれたら、幼いうちは私たちが全力で守らなくてはいけませんからね」
「え…こ、子ども?!藪下さん、に、妊娠したの?」
谷口さんは私のおへそ辺りを撫で回した。
「くすぐったいです!してませんよ、まだ!例え話です」
「なんだ…驚かさないでくれよ」
ちょっと残念そうに言われた。
「私の防災対策は万全です。
ただ、有事の際は国家公務員として出社を要請される可能性もあるので…」
想像してみた。混乱の中、この人と子どもを置いて…そんな…
「藪下さん?…っ」
不安感にたまらず彼の肩を押さえこみ、私はキスした。
「嫌です…そんな時にあなたと離ればなれなんて、心配です」
谷口さんは私の頬を両手で包みこむ。
「大丈夫だよ。家の事は僕にまかせてください」
「実在し得ないとわかっているのに…恐ろしいものですね」
「フフッ」
私は谷口さんのパジャマの胸元を握りしめ、ぴったりと体を寄せる。温かく、ほっとする。
彼も私を抱き締めてくれた。
「映画見てみる?」
私が目を閉じてふるふると頭を振ると、もう一度彼の短い笑い声が聞こえた。
終わり エロなしだけど非DTSJ
未婚妄想
1
二人はこの夏、二度めの衣替え作業をしている。
「やっぱ納得いかない。先月、したばかりなのに」
「谷口さんは夏でも長袖を着用していますものね」
「肌を出しすぎると汗吸わないから、かえって荒れるよ。それに日焼けして痛いじゃないか」
「日焼け止めや制汗スプレーを併用し、気温の微妙な変化に合わせてマメに衣服を替えるべきです。
初夏、盛夏、晩夏、初秋…」
「それじゃ毎月のように衣替えすることになるだろ!普通は一年に二回くらいだ。
だいたいなんだよこの靴下だって、2cm短いのと入れ替えって。
これとこれ、どう違うって言うんだ」
巧は並べた靴下を、手にしていた定規でパシパシ叩いた。
「衣類全てを入れ替えるわけではないのですよ。
前回の衣替えで『今度から僕がやるから教えて』と言った責任を果たしてください」
「わかりましたよ。ああ…せっかくあの本、手に入ったのに…」
横目で巧は自分の荷物を見た。空き時間に読もうと持ってきた本が入っている。
が、今日は残念ながら読めなさそうだ。
「このTシャツは首まわりが伸びてきたので、掃除用のウエスにします」
「この小さな箱は?開けるよ?」
「どうぞ。念のため保管する物です」
依子の顔を見て巧は小ぶりのプラケースをパチリと開けた。
「一応陰干ししますか…ん?なんだこれは…おわっ!し、下着?」
「水着です」
「み…水着?こんな小さな布切れ…ビ、ビキニじゃないか!しししかも白…!」
「大学生の頃、木更津の親戚と海に行った時に着用したのです」
「…きみがこれを……」
巧の喉がくっと鳴った。
「お気に召しましたか?」
「お気に召し…って」
「試着してきます」
「あ!ちょ、ちょっと!」
巧の手から水着をさらりと奪うと、依子は脱衣所へ消えた。 2
「いかがですか?
毎日のトレーニングでスタイルは学生時代の頃を保っていると証明できましたね!」
巧がぼやっと座りこんでいる間に依子は白いビキニ姿で颯爽と現れた。
「あ……」
「昔より胸は若干きつくなったように感じます。おそらく谷口さんがよく揉んで…」
「わっ!言わなくていいっ!」
解せない表情で、それでも腰に手をあてモデルのように堂々と立つ依子。
巧は上目遣いにその姿を見て固まっている。
「…谷口さん。そんな怖い顔をして。もしかして、お嫌でしたか?」
依子が近寄ると、巧はビクリと後ずさった。
「こっ、怖い顔?そんなつもりは…決して嫌じゃないです…むしろ…あ、いえ…」
赤くなって自分の頬を手のひらでゴシゴシこすり、口をアー、イーと動かした。
「ちなみに、この胸と腰のひもは縫いつけられているので引いてもほどけません。ご安心ください」
「あ、そう…」
「…谷口さん、なんだか逃げ腰ですね。
週に二回以上はお互いの一糸まとわぬ姿を見ている仲でしょう」
「う…そうなんだけど…やっぱりさ、水着って…違うよ」
「公的に許された最も肌を露出する衣服だからでしょうか」
「…まぶしい」
「電気はいつもと変わりませんよ?」
「きみが、だよ。僕の理性はそう長く持たないかも知れない…
藪下さん…服を着るか、もっと脱ぐか。今すぐ決めて欲しい」
そう言ってゆっくりと立ち上がろうとした。
「!……あ、あの、着替えてきます。作業を続けなくては!」
「この箱は何?」
「それは高校のセーラー服です」
「は?」
「着ましょうか?」
「着なくていいよ!なんでここにこんな物が。
実家にスペースあるんだから置かせてもらえばいいでしょう」
「あなたが初めてここに来ることになった時に、実家から持って来たのです。
あなたの性的嗜好によってはイメクラごっこをする可能性もあると思いまして」
「馬鹿げてる!」
作業は遅々として進まない。
終わり 七夕ネタ 新婚さん妄想
エロは少しだけ
「ごちそうさまでした。本日も大変美味しかったです。感謝申し上げます」
「お粗末さまでした。今日は、デザートがあるんだよ」
「デザート?今日はデザートの日では…」
「またそんなこと言って。まあ、七夕だから特別にさ。
1か月に3回まではメニューを入れ替えてもいいってこの前言ってくれただろ」
「七夕…そうでしたね。失念していました…実家の庭の笹をもらって来なくては」
「そこまでしなくていいよ!
スーパーにレシピカードがあったんだ…さあどうぞ、ゼリーです。こういうの、好きでしょ?」
「…可愛いです…!」
「2層にするのにコツがあってさぁ。
あと果物を星形にカットするんだけど、その残りはちゃんと刻んでここにちりばめて…」
「食べたいです」
「どうぞ。スプーンを出しますね…ん?何?」
「あなたを食べたい…!」
「え?いや、だめだよ、まだ片付けがあるし…時間も早すぎま…えっ?…」
「まずキスをします………」
「んぅ……ちょっと…あ、だめだってば、そんなとこ触っちゃ…」
「動かないでください。ファスナーが挟まりますよ」
「ええっ?!それは困る!…うっ…待って、まず割烹着ぬぐから…き、きみゼリー冷蔵庫に入れて」
「あ、ん、うぅん…」
「ああっ…いいよ、すごくいい…」
「私…あなたの子どもが欲しい…欲しいです…」
「…」
「ですから…」
「……うん…そうだね。僕たちの子…宿してくれますか」
「夜間の降水確率は30%の予報でしたが、ずいぶんな大雨になりましたね」
「織姫と彦星が妬いてるんじゃないの」
「7月7日の終了まではまだ2時間43分あります。希望を捨ててはいけません」
「誰に言ってるのさ…」
「…ごちそうさまでした。ゼリー大変美味しかったです。感謝申し上げます」
「ハハッ、夕飯の時と同じセリフだね」
「…むむむ。だって、美味しかったですし、感謝していますし…」
「わかってますよ。僕の大事な奥さん」
「…愛する人と一年間も会えないなんて、信じられません…」
「全くだ」
「短冊には書いていませんが…私たちの願い、叶うといいですね」
「ふふ、きみの味も素っ気もない言を借りれば『我が家の人口密度が増加しますように』だね」
「…はい」
終わり 二人が好きなんだー
だらだら長いです
エロは3あたり
1
バサッ、という音をたてて。強引に視界を変化させられる。
私は谷口さんに、ベッドへ押し倒された。仰向けで頭の上に両手首を重ねる形で。
彼は自分で自分が信じられない――といった形相で私の手首を押さえつけている。
「ご、ごめんなさい藪下さん…大丈夫?」
「……はい…」
ついさっき、23時をちょうど15分超過した時点で。
寝入る様子もなく、かすかなため息とともに何度も寝返りをうつ谷口さんに、私は業を煮やして言った。
「性行為に及ぶ意思がある時は、もっとわかりやすく真正面からアピールすべきです」
谷口さんはギクリと震え、恐る恐る私を見た。
「そ…そんな破廉恥なことをこの僕があっさり出来ると思って…」
「もう通算何回目になるとお思いなんですか?初回は未遂として除外しても既に…」
「せっ、性行為の回数は口に出さないでくれってお願いしたはずだ!」
「…前回は月曜日に行いましたが、水曜日の夜はあなたが寝不足だと言って寝てしまいましたよね」
「なんだかがっついてるみたいで、嫌だったんだよ…」
「自分に正直にがっつけばいいでしょう。愛しあう事を躊躇する理由などないはずです」
「あるよ!『恥ずかしいから』だ。立派な理由だろ?
ああ、勘弁してくれ。こんなこと話題にするのが既に恥ずかしい!」
彼は腕で目をおおい、かぶりを振る。けれど私は、自分の考えは主張したい。
「羞恥心を解消するには慣れが必要ですね。まだまだ回数をこなさなくては。
順当にいけば金曜日の本日もしくは日曜日が行為の日に当たりますから…」
「やめてくれよ。またサクサク進めて…僕には僕のペースってものが…」
「男性の生理機能に無理のないスケジュールを立てているつもりです。
カレンダーと照らし合わせて、本日行った場合の今後の進行を計画しましょう…」
ベッドサイドの卓上カレンダーに手を伸ばした時、
「よせったら!」
私はその手を取られて仰向けに倒されたのだった。 2
谷口さんは息を乱し、それでも微動だにせず私を真上から見下ろす。
前髪だけがかすかに揺れて…
腕一本で私を押さえられるの?
谷口さんは、就寝前のストレッチも嫌々してるだけじゃない。
私は毎朝、筋トレを欠かさないのよ…
――でも、驚いた。両腕に力が全然入らない。
彼の男性的な面を意識させられる。
がっつけ、などと自分から言っておきながら、
以前谷口さんに組み敷かれた経験が脳裏によみがえり、動悸は高まる。
「くっ、んんっ…」
無理に身をよじると、なぜか谷口さんはハッと息を飲んだ。
彼の体重の一部に加えて、腕による垂直荷重もかかるんだもの、動けないのも当たり前だわ。
そんなことにもすぐには思い至らないほど、私は動揺している。
彼の表情は固く、私を解放する気配もない。
「自分に正直に…確かにそうするべきだ。藪下さんの言うとおりですよ」
「谷口さん…」
「僕には性行為に及ぶ意思がある」
「……」
「それじゃ、真正面から、行きます」
決意したようにゆっくりと、彼の唇が私ののどに降りてきた。
「あっ…」
――まるで、子どもの頃たまたまテレビで見た吸血鬼――
『ばかみたい、人間が血液だけを栄養源にするなんてあり得ないわ』
そう言った幼い私。
チュ、チュッ…と彼の唇が移動するたびに体がピクピクと反応してしまう。
色白な彼の頬が徐々に赤らんで。
頭がぼんやりして血液が吸いとられているような錯覚に陥る。
もう生殺与奪を谷口さんに委ねるしかない。
「…私は、一体…どうなるのですか」
「え?…どうもこうも…今から僕に抱かれるんです」 3
シーツを握っていた彼の左手は、私のパジャマのズボンに入って来た。
ぴったりと合わせていた私の足。その付け根の隙間に指先をねじ込まれる。
「んっ…」
「駄目です、動かないで…」
ショーツと太ももの間をランダムに這い回る指の、動きの先が読めない。
足をもじもじとすり合わせても、彼の爪はクロッチを優しくこすり続け、逃れようもない。
それどころか、さらなる快楽を得ようと私の膝は徐々に開いていってしまう。
「あっ、あ…」
「…感じる?」
震えるようにうなずくしかない。
彼の表情に変化が見られた。
かすかに微笑み、私の顔をじっと見つめ…
そして今度は前かがみになり、パジャマの上から私の乳首をくわえこんだ。
「あぁ…!」
クチュ。
愛液が分泌されたのを自覚した。
クルクルとこねるようにうごめいていた谷口さんの指が一瞬止まる。
「…」
なんだか嬉しそうに私の顔を見ながら、指先はショーツの中にもぐりこんで来た。
「あ、た、谷口さん、離して…ください」
「もう好きに動いていいですよ?」
気がつくと、押さえられていた手は、指を組んでただ握られているだけになっていた。
「…!」
与えられる快感で、まるで気づかずにいて…
谷口さんが羞恥に性行為をためらう心理状態を、ここにきてようやく理解できる。
今ここで粒子になって消えてしまえたらどんなにいいか。
「私、私…まるでバカなんです。欲情に理性が負けたんです」
「…僕もですよ」
「性行為を望むあまりに谷口さんの心理状態を無視して、
理解に大いに欠ける発言を繰り返してしまいました。
申し訳ありません」
「藪下さん…」
「いつもあなたを傷つけてしまう…認識しているつもりで私、」
谷口さんの顔がぐっと近づく。 4
一瞬ひるんだ隙に、唇をふさぐように口づけられた…私を黙らせるため。
柔らかい唇、温かい吐息。いつもいつも優しい谷口さん。
「僕だって同じです…
なかなか勢いがつかないし、はっきりしなくて藪下さんを困らせてしまって…ごめんなさい。
きみはただ一生懸命なだけだよ、謝る必要はないんだ。
だから今は、もっと…愛の言葉を語ろう」
両手は完全に解放された。
弾かれるように抱きしめあう。パジャマが肌を隔てるのが、わずらわしい。
耳もとで低く丁寧にささやかれる言葉。差し込まれる舌と唾液。私の中をうがつ男性器。
私に入ってくる彼の要素の全てが、血流を激しくさせる。
私も彼の耳に唇を寄せ、いかに快感であるかを伝える。
彼は私の直接的表現に時おり驚くような様子を見せるけれど、それでも優しくうなずいていた。
谷口さんの語彙の豊かさには感心する。
言葉で官能を与える愛撫がある事を、彼によって知った。
「先ほどのあなたの発言は全て、『藪下依子を愛している』という一文に収束しますね」
「う…それはそうだけどさ…情緒も何も無い言いざまだな」
「高く評価しているのですよ」
「…ありがとうございます」
「あなたになら、私の血液を全て差し上げても構いません」
「また、わけのわからない異色の表現だね。それ、喜んでいいんだよね」
「…」
私は無言で腕を肘で曲げ、垂直にクロスして見せた。
「…ん?何ですかそれ。スペシウム光線?…ウルトラマン好きでしたっけ」
「スペシウムなんて元素は周期表に存在しませんよ。これは吸血鬼の弱点、十字架です」
「え?」
谷口さんはキョトンとした。
「どうやらあなたは違うようですね」
「…また何か妙なこと考えてるでしょ」
終わり 祝・巧誕生日。
エロなし新婚さん妄想
1
(キスされてるな…)
僕は目を閉じたまま、ぼんやりと思った。
目覚まし時計が鳴った気がしたから、起きなくちゃ。
僕の愛する妻は土曜日でも早起きだから。
ああ、でもまだ眠いよ。きみが休みの日くらい、だらだらさせてくれ。
唇を合わせるだけのキスを何度もしてくる。
寝ぼけた頭で腕を伸ばし、いとおしい体を抱きしめた。
「おはよう…」
「おはようございます」
「わかりましたよ…起きるよ。えっと、第4土曜だから…朝食は…」
「37歳のお誕生日おめでとうございます」
「えっ?あ…そうか…ありがとうございます。僕の誕生日なんて…どうでもいいのに」
「どうでもよくはありません。
あなたが誕生しなくては、私の現在は違うものになっていたでしょう。
現在の状況に至上の幸福感を得ている私には」
話の途中らしいのに、またキスされた。朝だけど、そういう気持ちなのかな?
「6:08のキスです」
「は?」
意味がわからず、しばらく見つめあう。
手の甲に触れると、すべすべとなめらかだ。そのまま僕は肘まで撫で上げる。
「…至上の幸福感を得ている私には、あなたの誕生日を祝うことは重要事項の一つです」
時計を見て、またキスしてきた。
「6:09のキスです」
「ちょっと…いつまでやる気なんだ?」
「耐久キスマラソンというものがあるんです。世界記録はなんと連続50時間を上回るんですよ。
本日はそれに挑戦しようかと思いました」
「何だよそれ。無茶だよ」
「連続はさすがにあなたの同意が得られないでしょうから、24時間1分に1回、計1440回なら可能かと」
「唇がはれあがってしまうよ!」 2
「実際やってみると会話が寸断されますし、恐らく食事もトイレも大いに支障があるでしょう。
徹夜も体に良くありませんし、現実的ではなかったようですね」
「考えただけでわかりそうなもんだ」
またキスした。6:10か。
「37歳…あなたと出会って初めての、素数の年齢の誕生日ですから…何か特別なことをしたくて」
「なるほどね…ありがとう。まあ気持ちは嬉しいけど…」
「ではせめて6:37まで継続しますか。素数で統一するなら7:37…あっ」
僕がパジャマの中に手を入れると、彼女は小さく声をあげた。
「きみがキスばっかりするから、そういう気持ちになってしまいますよ」
「…では、本日は筋トレは中止し、今後の予定を全て繰り下げます」
「いいの?マラソンは終わり?」
彼女はキスしてきた。
「…6:11。終了します。素数だからちょうどいいと思います。さあ、バスルームへ」
遅めの朝食をとりながら、のんびり語らう。
「きみは31歳だから僕ら二人とも素数だね」
「…はっ!本当です!私としたことが…次は6年後になってしまいますね。
大変です。早急に何かしら記念になる行事をおこなわなければ」
どうでもいいことに焦る姿。可愛いなあ。思わず頬がゆるむ。
「ボーッとしてないであなたもお考えなさい」
…前言撤回す。
「そんな表情も愛していますが」
……ああ、翻弄される。
終わり このドラマ大好きだけど、まさかエロパロスレがあるとは今知った。
あとでゆっくり遡って読ませていただきます。
またSPあるといいな。 >>62
いいドラマでしたね
依子と巧の愛のあるけんかもおもしろかったけど
仲いいとこがまだまだ見たいです エロは3と4
新婚でも未婚でもどちらでも
1
依子は風呂から出た。
巧の用意した夕食のいい匂いが漂うが、まだ盛りつけられてはいない。
ダイニングテーブルの上にはロングの缶ビール2本とグラスが一つ、枝豆の小鉢。
それを無表情に見つめる。
巧は玄関で宅配業者に応対していた。
そう言えば伯母から、依子が送ったお中元の礼とお返しをした旨の電話があったのを思い出す。
缶を手にすると薄く水滴をまとい、よく冷えている。
プシュ、と涼しげな音をたてて栓を開けると依子はグラスに注ぐこともなくゴク、ゴクとあおった。
喉を通る炭酸の刺激、素材の苦味、キンとくる冷たさ。
くはっ、と息をつくとリラックスできた気がした。
「はぁ…」
「伯母さんからだよ。素麺だ。いいねえ、夏の風物詩だ」
巧が顔を向けると、ちょうど依子は飲み切った缶をテーブルに勢いよく置くところだった。
カン、とアルミの軽い音。
「あ、飲んだのかい。
最近暑いでしょ。実家にあったの持って来たんです。
あのクソのような親父に、あんなにたくさん必要ないからね…
あれっ?もう2本ともあけちゃったのか!さすがだな」
はっと依子は我に返って目を見開いた。無意識に2本目を空にしていたのだ。
「…もしかして片方はあなたのぶんでしたか」
カアッと赤面したのは酔いのせいではない。
「いやいや、きみのだよ。僕のはここに1本あるんだ」
ワゴンの隅に350ml缶とグラスがあった。 2
「…用意してくださったのに断りもなくイッキ飲みなんかして申し訳ありません」
「ビールは久しぶりだし、今日は暑かったからねぇ。そんなに、うまかった?」
「……はい。とっても。でっ、でも、妊娠はしていないのでご安心ください!
基礎体温を記録し排卵日は確実に算出…」
「…僕のも、飲みなよ」
フッ、と笑うと巧は自分の缶を差し出した。
「け、結構です!」
「きみが、うまそうに飲むところを見損ねちゃったから」
そう言って依子の目の前に缶を置く。
「……後で、あなたが飲んでください」
依子はそれを冷蔵庫に入れた。
「僕はいいよ。そうだな、ほんの少しだけ…くれたら」
巧は近づいて依子の両腕をつかみ、うかがうように見つめる。
ドキリと依子の胸が弾む。知っている…こういう時、巧がどうしたいかを。
はにかむ瞳の意図を察して依子が目を閉じると、すぐ巧は口づけた。
なぜこのタイミングなのだろう、と依子は少し思う。
巧の考えることがわからない場面も多い。しかし、恐らくそれはお互いさまだ。
いつもの、不格好な、真っすぐなフォーム。
けれど愛しさに満ちた激しいキス。
「うっ…」
「…まだ冷たいね、口のなか」
温かい舌が口内を味わうように這いまわる。
「顔、真っ赤だ。酔ったの?」
「…あれぐらいでは私は酔いません」
巧の手がTシャツをまくり、依子の胃のあたりを撫でた。
「だよなぁ…あ、こんなとこまで冷たい」
「恥ずかしいです…」
「なんで?ロング2本用意したのは僕だよ。むしろ足りないくらいでしょ」
ゴッ、と依子の腰がダイニングテーブルに当たった。
「んっ」
「ごめんなさい」
言いながらも、テーブルに押し倒す。依子の足が少し浮いた。
「ひゃっ」
「夕食前だけど、その…」
「性行為はベッドでお願いします!」
「…うん」
巧は体を離した。 3
脱がされたTシャツを胸に手繰り寄せ、既に全裸の依子は巧が脱衣するのを落ち着かない様子で待つ。
「私、食前にあんなに飲んでしまって。
ビールの熱量を考慮すると、本日の夕食は950キロカロリーなので量を44%減らすべきですね」
「ふん、細かいなぁ。せっかく作ったんだから、いつも通り食べてくれよ」
眉をひそめて巧は依子をベッドに横たえた。
「ウフフ。確かにそうですね。
では平常時より私のCO2排出量を増加させ、エネルギー消費をうながしてください」
「えっと、要するに…息を…」
「…喘がせて欲しいです」
巧は一瞬で真っ赤になる。依子のこういった物言いにはなかなか慣れない。
「きみって本当に大胆だなぁ」
「今現在のあなただってそうでしょう?」
「う……」
依子は両腕を広げた。苦笑いしていた巧は、それでも誘われるように倒れ込み二人は抱きしめあった。
「…きみがして、って言ったんだよ。すぐには、やめないからな」
依子の頬にキスをし、耳に舌を入れる。
「…あぁ、んんっ!あ、あ…」
知り抜いた体を手指が這う。
依子も負けじとばかりに巧の鎖骨に舌を這わすが、巧の愛撫は繊細で、ジリジリと追い詰められていく… 4
まだ前戯のうちにひどく汗ばんだ依子の額を、巧はそっと撫でた。
「ちょっと、声が枯れてきちゃった?息苦しくない?」
「はぁっ、問題ありません…いくらでも…して欲しくなってしまって…」
二人はそのまま額を合わせて見つめあう。
「『人間は欲に手足のついたものぞかし』。
欲望に忠実なきみの姿…初めて見た時は驚いたっけ。
でもそういうのもまた、いいと…今は思っています」
巧は依子の首筋を甘噛みする。
「ほんと言うとこうしたくて、きみが帰宅するの待ってた」
「…さみしかったのですか?」
「やだねぇ、蜻蛉日記じゃないんだから。
でも家事も慣れてきて、ここでひとり、きみを待っていると。こういう気持ちになる日もある…」
胸が重なり、動悸が伝わりあう。
幾度も突き上げられ依子のつま先に力が入ると、それを巧の指が握りこんだ。
足の甲、足首と撫でさする。
その足は、巧の動きに合わせ湿った音とともに揺れる。
「あはぁんっ…あぅ…」
「っ……く…」
「もう…いっぱい…です…あ、あ」
「きみが…ぐしょ濡れだから、僕もこんなに…」
「あなたが…制止も聞かず舐め続けたせいじゃ、ありませんか…
あっ、足首は強く握らないで…跡が…ついてしまいます」
「あ、ごめんなさい…」
「ん、んっ…抱きしめて、ください…」
「ああ…」
徐々に言葉少なになり、二人は絶頂へ近づく。
すっかり冷めてしまった夕食が、温め直されるのを待っている。
終わり 人いないけどSP1周年記念投下
2015年11月の話
非DTSJ未婚(でも10/24に結婚してたらいいのに)
エロは浅く広く4くらい
1
「いらっしゃいませ谷口さん本日はようこそお越しくださいましたどうぞお上がりください」
藪下さんは官舎の玄関で一気にまくし立てると、ペコリと45度に礼をした。
「あ、お、お招きありがとうございます。お邪魔します」
僕も反射的に頭を下げる。
端から見たら婚約者同士には見えない挨拶だろうなぁ…
しかし起き上がりニコッと僕に向けた柔らかな笑顔は、かつてのロボットのようなそれとは段違いだ。
心にポッと小さな花が咲くような気持ちになる。なのに、僕はつい憎まれ口を叩いてしまう。
「ふ、いつもの半同棲と何が違うって言うんですか」
「本日は半同棲の日ではありませんよ。
あらかじめお伝えしたとおり、交際一周年記念食事会の日です」
部屋を見回すと、ハートのバルーンやガーランドが派手に飾りつけられている。
「大げさだなぁ、こんなにするとは。
さっき電話してくれなかったら、ご飯はどうせ僕が作るんだろうと思って材料買って来るとこだったよ」
テーブルには既にさまざまな料理が並んでいた。
「例外的に今夜は私がパーティーメニューを振る舞います」
「…あ、この鍋もそう?」
「はい、それはポトフですよ。こちらがオードブル、サラダ、キッシュ、あと…」
「…すごい…具材が全部四角だ…久しぶりに見たな」 2
「い、いただきます」
「どうぞお召し上がりください」
「……あ、うまい。うん、さすが藪下さんだ」
「おほめいただき感謝申し上げます」
「ほんと美味しいよ…ん…?」
軽いデジャヴ。
ほどよく煮えたポトフ、そのシンプルでいてバランスの良い味わい。これは…
「どうかなさいましたか」
「いや、別に…おかわりって、ありますか?」
「ありますよ。お口に合ったようで良かったです」
「うん。でもこれ作ってくれたの、初めてだよね?…なんか、食べたことがあるような…」
「……もしかして、昨年のクリスマスパーティーで召し上がりましたか」
「…ん?あ、ああ!…覚えてる。翌日、鍋に残ってたの食べて…
母の料理はいつもいまいちなのに、なんだか美味しいなぁと思ったんだっけ…」
「あの味付けをしたのは私です」
「えぇっ?あ、あれ藪下さんが?
で、でも僕の家にはビーカーもメスシリンダーも無かっただろ?」
「…目分量、で調味しました。大変な緊張を伴いましたが、単純な味付けのみでしたから」
「そうだったのか…」
ゆったりと食事の時間は過ぎた。
「ご馳走さまでした。とても美味しかったよ。お茶くらいは僕が淹れます」
「お粗末さまでした。では、よろしくお願いいたします」
「しかし普段僕が作る料理なんて、きみのに比べたら…ハハッ、情けないよ」
「いつも美味しくいただいているものの、確かに及第点を下回ることがありますね。
過剰に火を通す、味が濃すぎる、などにより」
「あんまり正直に言うなよ!
大抵は、きみが残業で煮込み過ぎたり、急に話しかけて来るから驚いて手元が狂ったりしたからだ」
「否定しませんが、ご自分から言ったんじゃありませんか!
…それでも谷口さんに作っていただいた物を食べる事は私の楽しみの一つなんですよ。
肩こりも緩和しますが、これはリラックス効果により血行が良くなるせいでしょうね」
「……あ、ありがとう」
「こちらこそ感謝申し上げます」
ぱちりとまばたく瞳。アヒル口なんてしなくても、その唇は魅惑的だ。
きみを抱きしめたい。今日は、できる日だ。週に半分の、きみを抱きしめられる日。 3
僕はティーポットのお茶を二つのカップに注意深く均等に注ぐ。片方を彼女に差し出して言った。
「…藪下さん。僕と結婚してください」
――空気が固まった。
彼女は怪訝な顔で僕を見る。
「…当然、します。
私からもプロポーズして、ご了承くださったでしょう」
「…わかって言ってます。一緒になってください。藪下さん、僕と。
僕は…毎日をきみと暮らしたいんだ」
半同棲ではなくて。という言葉は口に出さなかったが。
藪下さんの目もとがカアッと赤らんだ。
「結婚契約書の要検討項目はまだかなりありますから…すぐには…」
身を乗りだし、彼女の両手を包むように強く握った。
「わわっ、さ、さては私の体目的ですねっ!」
茶化さないでくれよ。恥ずかしいのは僕も同じだ。
「……そうですよ。きみの体、心、人生も。全てを僕と重ねて一つにしましょう」
「い、1+1=2です…あなたと私を足しても1にはなりません。
証明して見せましょうか。ペアノの公理を使えば比較的短時間で…」
「もう、黙って……あの…キス、します、ね」
「あっ…はいっ」
藪下さんの眼鏡をそっとはずす…これから、それだけの事をするんだ、という宣戦布告だ。
つい目が据わってしまっていたのを自覚し、ブンブンと顔を振る。
ゆっくりと、日常生活ではあり得ない距離に顔を近づける。
「藪下さん、まぶたを閉じるのを忘れてますよ」
「はいっ」
唇が触れる。何度も触れあわせるうち、頬やあご、髪、鼻同士もかすめる。
あ、あ、と小さく息をつく彼女の甘く湿った呼気が心地良い。
膝をにじり寄せ、お互いの背や手をなで、腕も肩も胸も、距離は限りなくゼロに近づく…
ドキドキと興奮しているのが伝わっているだろう。恥ずかしくなり、少し離れた。
彼女のまつ毛がそっと上げられ、うっとりと揺れるのを見てちょっとホッとする。
これ以上の行為を求めたくなる…
文章で表現するとただ「僕は藪下さんとキスをした」だけなのに、めくるめく官能の矢に心は射ぬかれる。 4
僕はきみに…もう何度も、こういう事して…
あまつさえ週2回以上も…あんな事をしていて…
「まだ慣れないよ…たかがキスなのに」
「私の見解では、キスは性行為に含まれます」
「えっ」
「粘膜同士を接触させ、摩擦や舌の挿入によって快感を得、愛情を確認し合う。
それは性行為に属する要素でしょう」
「…」
「ただ、キスだけでは十分なエクスタシーが得られません…」
意識してるのか、してないのか。上目遣いが誘う。濡れた唇。
「や、藪下さん」
「1+1=1を今すぐ証明してください…私を用いて」
彼女はブラウスのボタンを外しだした。
藪下さんの目が、じっと僕を見る。
全てのボタンを外した彼女のブラウスに僕はおずおずと手をかける。
そして意を決してバサッ、と開いた。
「あっ…」
…そんな下着をつけて。僕を急激にこんなどうしようもない気持ちにさせて。
「…派手過ぎやしませんか。下着が下着の体をなしていない」
「そんなこと言って、勃起してきていますよ」
「…!」
「全部お見せします」
自分でスカートのホックをはずす彼女。
「こ、こっ…こっちに来て!」
腰を抱いて立たせ、ベッドへ引っ張り込む。
「んっ、谷口さん…あぁっ…」
「…藪下さん…」
彼女は決してふしだらではない。品行方正で、しとやかだ。
だけどベッドでは乱れる。身をよじり、僕を欲しがって。
「私たち…1、に、なっていますか…?」
「なってます…今」
「証明…終、了…あっ、あぁんっ」
結婚契約書は、いつ完成するんだろう。
「…まだ、いってないでしょ…藪下さん…」
そもそも、完成するのか。
「あ、あ…」
……そういうことは、後で考えるとしよう…
終わり 駄文にGJ感謝申し上げます
もう懐ドラだし人いないの仕方ないな
けどデートメンバーの多くをメディアでよく見るのは嬉しい >>74
感謝申し上げます
依子巧幸せになれ〜愛こそ全てだ! >>76
感謝申し上げます!
また投下させてください
2^10の日の記念にw 全て忘れて今さら初夜ネタです
相当無理はあるけど2015年10月24日結婚てことで
結婚までDTSJの設定
エロは4
1
依子と巧が結婚式を終えた夜、官舎にて。
巧は湯を沸かし、お茶の用意をした。茶葉の種類を間違えることはない。
依子はニッコリとして言った。
「本日はお疲れさまでした。感謝申し上げます。なんとか無事完遂しましたね」
「やっと人心地つきました…ふうっ、結婚式がこれ程までに困難なものだとは…まさに地獄を見た。
ほら、あの、式場の可愛らしいテレビCMなんか安易に流すべきじゃないですよ。僕のような哀れな男が増えるばかりだ。
いや、決してきみと結婚した事そのものを否定するんじゃないんですよ?」
今日という日にしてしまった自らの失態の数々。
巧はそれらを脳裏から振り払い、お茶を一口飲んだ。
「ふふ。しかしあなたと協議を重ねた甲斐あって、双方が納得する形で挙式ができましたよ」
「もちろん、めおとの契りを結ぶ大切な場であるからには、真剣に臨みました。
…きみは、満足できましたか」
「はい。総合的視点ではいいお式でした。人生最良の日になりつつあると言えます」
「なんだい、そのなりつつあるってのは」
「本日の終了まで、まだあとおよそ5時間ありますからね。肝心な共同作業が残っていますし」 2
「え…」
「初夜を迎える、という」
「ぐっ…そんな…さ、作業だなんて…」
「語弊がありましたか。ウェディングケーキの入刀も共同作業と言うでしょう。
では儀式と言い換えます」
「それもなんだか、ものものしいな」
「私たちの結婚式は厳粛で素晴らしかったです。惜しむべき点はありますが。
まずあなたが緊張のあまりヴァージンロードで私のドレスを踏みましたね」
「うぐ…で、でも転んだのは幸い僕だけだったでしょ」
「次にあなたが緊張のあまり神父さまの『永遠に愛する事を誓いますか』の問いかけに『誓いまふ!』などと噛みまくりました」
「そ、それもちゃんと言い直せましたよね?3回めに。
きみこそ神父に『病める時、とは怪我も含まれますか?自覚症状の無い場合はどうなるのでしょう?』
なんて食い下がって場を凍らせてたじゃないか」
「むっ。では他にも列挙しましょうか?あなたが緊張のあまり指輪を私の中指にはめようとしましたね。
あなたが緊張のあまり誓いのキスで深呼吸とともに唇を合わせたせいでチューッポン!と音をたて失笑を買い。
さらにあなたが緊張のあまり…」
「もういいだろ!…僕はあれでも精一杯やったんだ」
「理解しています。だから総合的視点ではいい式だった、と言っているでしょう」
「責められてるとしか思えない!」
「それは誤った認識です。失敗はありましたが、父をはじめ皆さん大変満足してくださってました」
「まあそうだったけど…何もかも初めてで…
例えば指輪を付けてあげるなんて、僕はしたこともされたことも無かったんだよ?
案外難しいもんなんだ。こうして向かい合って、さ…」
巧は依子の手をとり再現しようとした。
「………」
その指に既に光るリング。自分の指にも同じものがある。
付け慣れない違和感はずっとある。すぐにでも外してしまいたいが、依子はそれを許さないだろう。
昨日とは違う自分たち。 3
「結婚…したんですね僕たち、とうとう」
「そうです」
「…僕なんかが夫でいいんですよね」
「当然です。あなたこそ、私が妻でよろしいんですよね」
「ももっ、もちろんです!」
巧は依子の手を両手で握りしめた。
カチと指輪のぶつかるかすかな音。一瞬目と目を合わせるが、巧は視線を落とす。
「夫婦の定義とは…」
依子が言いかけたが、巧はその言葉に唇をかぶせた。
「んっ…はぁっ、はぁっ…あの…小休止を」
先にねを上げたのは依子の方だった。
長い長いキス、唇を合わせるだけの。なのにすっかり力を抜かれてしまった。
「ごめん…」
「……謝罪の必要は…ありません」
まだこれ以上の行為に及ばなければいけないから。依子はひそかに自分に喝を入れた。
「この後の段取りは?予習や準備はなさいましたか」
「ええっ?何も考えてませんよ。勢いとか、流れでどうにかなるかなって…」
「そんなことで初夜という大仕事をを乗り越えられるとお思いですか!」
「べっ、別に必ずしも今日しなきゃいけないものでもないだろ!」
「今日がいいんです!あなたと永遠の愛を誓いあった2の10乗の今日が!」
「………」
「………申し訳ありません」
「いえ…きみがこんな風に言ってくれて…夫冥利に尽きると言うべきでしょう。
でも……は、破瓜は辛いと言うよ?」
「ロストヴァージンの肉体的苦痛は覚悟の上です」
「先に言っとくけど、僕は多分すごく、その…ダメかも知れないよ?」
「技術的な面は判断材料が少なくて結果の正確な予測は不可能です。実地調査するしかありません」
「うん…それ、『何も考えずに、ただ愛しあいましょう』って意訳していい?」
「もとより日本語ですよっ。でも、素敵ですね…はい。その訳で結構です」 4
それから長い時間をかけて。初めて深く繋がりあった二人。
押し倒した依子の両足を、巧はどう支えればいいのかわからないまま事を推し進めていた。
――なんだ、この快感は。この人の見たこともない可憐な表情は――
行為の一つ一つに戸惑い、驚かされ、巧は興奮が治まらない。
自分を信じて身をまかせる依子の体を開くのは、花嫁の純潔をけがすようで少し気がひける。
しかし後戻りはできないし、する気もない。
一方の依子は。
――もっと触れて。ああ、触れないで。ずっと望んでいた行為。でも、早く終了して欲しい。けれど、継続して――
巧から、絶え間なく与えられる快感と痛み。依子の思考は今、混沌を極めていた。
ただ、とても大切に扱われている…そういう感覚には、ずっと包まれていた。
「あ…あっ…ん」
「う……もうちょっと、動いても…いい?」
「待って…い、いえ…はい。どうぞ。動いちゃってください…」
「本当にいいのかな…」
「はいっ…何事も…努力っ…」
「力を抜いて…さっき僕を受け入れた時みたいに」
依子をリラックスさせようと、巧は遠慮がちにその胸に手を這わせる。
ここまでに何度か触れたことで、要領を知って少し大胆になれた。
丸い形をなぞり、先端を親指で弾く。
「んあっ、またそんな箇所に触れて…エッチ!」
「ええっ!こ、この状況で他に何しろと言うんだよっ。意味がわからない!」
頬を真っ赤にして言いつつ、手はまた動き出す。
自分の動きに顕著に反応する依子の締め付けは、巧の心をも離さない。
「だって…はぁんっ…うう、変な…声が出て…」
「変なんかじゃない。もっと出してください」
「そ、そんな…」 5
ようやく二人は頂を乗り越える。巧は、ぐったりと身を寄せる依子の髪を夢見心地で撫でていた。
「ね…大丈夫?横になっててください。後のこと僕がやるから」
「…私たち…ついに…めくるめったのね…」
「前も言ってたけど、それ何?」
「何でもありませ…あっ!」
「どうしたの」
「奇跡ですよ…愛の奇跡!」
「えっ!何が」
「現在の時刻です!10:24PMに初夜の営み終了です。素晴らしいでしょう?ほら…」
「ん?えっと…10:25ですよ」
「…………」
「あ、26分になった」
「…早く見ないからです!バカ!バカ!」
「な、なんだよ!ひどいな!」
「バカ〜…」
「えっ!泣いてる?ごごっごめんなさい!…んっ!?」
依子は巧の頬を両手で覆い、口づけた。
少し離す。鼻と額は触れあったまま。
「…バカ…」
唇を合わせ、再びの静寂。
仕掛けた勢いとは裏腹に、控えめに差し込まれる依子の薄い舌。
「はぁっ……」
巧はかすかなため息をつき、愛しげに迎え入れた。
お互いの甘さを味わうように舌と唇が触れあう。
その音の響くなか、巧の腕は依子の背をそっと抱きしめた。
やがてゆっくりと顔が離れる。
「私、本日の出来事を一生涯忘れませんから」
「頼むから変なことは忘れてください」
「拒否します。全て記憶にとどめます」
「参ったなぁ…」
二人は、また唇を寄せあった。
終わり >>83
こちらこそありがとうございます
>>82
の話が長い割りにはエロが少なかったのが心残りなので
別のバカ話もう1つ書かせてください ワンパタのエロです
長くなりすぎてすみません
未婚半同棲で非DTSJ
媚薬ネタを書きたかったけど出来なくてこんな感じに
1
“自由時間”に僕は寝そべり岡本綺堂の怪談を読んでいた。
藪下さんは僕に背を向け、デスクでパソコンをいじっているようだ。
「うむ、綺堂は捕物帖もいいが、怪談も実に見事だ…」
僕は藪下さんの事はあまり気にせず本に没頭していた。
「谷口さん、5円玉もしくは50円玉はお持ちですか?穴あきならデンマークの5クローネコインなどでも…」
「うん、うん…」
僕は適当に相づちを打ち、本から目を離さないまま小銭入れにあった5円だか50円だかを、藪下さんに渡した。
ふと時計を見ると、いつの間にか自由時間を大幅に超えていた。
「あ、やばい…」
立ち上がらなきゃと手をついた時。
チャリーン。
藪下さんの方からコインが落ちる音がした。
そちらを振り返ろうとして、突然自分の周囲が薄暗くなった。読んでいた本が本だっただけにドキリとする。
「え…?」
「谷口さぁん…」
藪下さんがゆっくりと僕の上に倒れ込んできた。
「…藪下さん?」
なんだか様子が変だ。体をすり寄せるように覆い被さってくる。
「ああん…谷口さん…」
「えぇっ?な、何?」
彼女の声は甘えるような湿り気を含んでいた。そう、まるで性行為の時のような…
「あなたの…くわえさせてください…男性器」
「うわわっ!」
いきなりベルトのバックルをはずされ、ズボンをまさぐられる。
あまりに突然襲われて、気持ちの切り替えができず戸惑う。
でも…だけど…そこは男の哀しいさがで… 2
藪下さんの唇がたてるジュポ、ジュポという音。
僕は口淫される恥ずかしさに腕で顔を覆いそらす。
そうしながらも頭は快感にしびれ、ぼんやりとそれを聞いていた。
「あ、谷口さん…硬度が増してきています…素敵」
「なんなんだよ、もう…」
自分で自分が格好悪くて情けない声しか出せない。どうしたんだ、藪下さんは。これではまるで痴女だよ。
しかし彼女は焦らすように何度も唇を離し、達するまではしてくれない。
「私に触れてみてください、ほら」
藪下さんは仰向けの僕の右肩に頬をあずけてきた。四つん這いの腰を高く上げる。
スカートは半分裏返ってひどい姿だ。
強い力で僕の左手を下着の中へ導く。彼女のそこはもう濡れそぼっていた。
「うぉっ、ねえ、ちょっと!」
そのまま僕の指をつかんでさらに温かい奥へと入れる。
「あ、ああんっ…はぁん…」
グチュッ…クチュ…
僕と彼女の中指が重なって中を往復させられている。
「な、なんでこんなこと」
「あ…あっ…いい…快感です…もっと…」
はぁ、はぁと荒い息が耳にかかる。時おり、れろっと舐めてくる。
こんなの、たまらないよ…
しかし彼女はビクッビクッと体を震わせて、何を聞いても答えないし、いくらなんでもおかしい。
「どうしたんですか、藪下さんっ」
僕はどうにかずり上がって彼女から身を離した。
「嫌ぁ…休止してはダメです」
追いすがってくる、その瞳の光がいつもと違う。
藪下さんのパソコンが見えた。もしかしたら…僕はマウスを取った。
催眠術のサイト…
「こんな事だと思ったよ…」
セックスを盛り上げる、男を長持ちさせる、女をその気にさせる、媚薬効果…見出しも胡散臭すぎる。
しかもやり方と言えば50円玉に糸を付けてゆらゆら。
「こんなのに今どきかかるやつがいるかよ!……いや、いたんだなあ、ここに…」 3
「もっと欲しいです…あなたの卑猥な男性器…」
「や、やめてください。そういうこと言うの。うっ…」
萎えかけた物を、またくわえられる。
乱暴に快楽を押しつけられるばかりで、美しい情愛などかけらもない。
こんなのは嫌だ。
ああ、どうすれば解けるんだ?…僕は画面をスクロールさせる。
『オーガズムが解除キーなのでバッチリ長〜くギンギンヌレヌレ!』
恐ろしく下品な文章だな!最悪だ!なぜ僕がこんなに程度の低い文章を読まなきゃならないんだ!
しかし、要するに、それしかないんだ…
藪下さんの一方的な愛撫を受けながら僕は目を閉じた。気持ちを盛り上げよう。
二人で愛し合う時。どんな時にそういう気持ちになるか思い出すんだ…
以前彼女が数学について語った時。ある漫画に出てくる少女が愛を語るのと同じような、艶やかな目をしていた。
また、僕の大好きな映画の女優と同じように髪を結っていた時。まるでお忍びの王女のようだった。
…いやいや、そういうのじゃなくて。
ええっと…そう。思わぬいじらしさを見せた時や、風呂上がりの色っぽいうなじ。
お茶のカップを温かそうに包む指、あごや耳元にしてくるお休みのキス…
「谷口さん、○×△…」
う…露骨な言葉に萎えそうだ…くそ、あんないまいましいwebサイトなんかに負けるか!
目を見開き、藪下さんの両肩を強くつかんで下腹部から引き離し僕は言った。
「この人を返してもらう!」
瞬間、彼女はハッとしたように見えたが、すぐさま押し倒し口づけをした。 4
そのまま何かに乗り移られたかのごとくの勢いで、彼女の体中を愛撫し舐めしゃぶった。
服の脱がせかたなども多分めちゃくちゃだが、どうでもいい。
同時に今までに彼女を絶頂に至らせたきっかけになったワードを思い出す。
それらと頭に浮かんだ映画や本の甘い言葉をない交ぜにし並べ立てた。
「藪下さん、愛しています。僕の可愛い小鹿。いやらしい姿を見せて。きみがお菓子なら頭から食べてしまいたいくらい…」
こっぱずかしいが、やむを得ん。どうせ解ければ覚えちゃいない。
こんな事でオーガズムを早める効果があるのかは、わからないが。
藪下さんは暗示のせいか普段より感度が上がっていると思う。
乳首なんかはサッと撫でただけで、のどを鳴らし震える。
ましてや吸い上げた時など息も止まらんばかりに悶えて…
さらに舌を使って転がせば、ぶんと頭を振り、僕を潤んだ目で見つめ抱きしめてきて。
その、なまめかしさ。むしろ僕の方がおののいてしまう。
「あ、あ、はぁっ…」
彼女はあれだけ饒舌だったのに、形勢が変わってからは、もうあえぎ声しか発さない。
焦点の合っていなかった目も、今は快楽の涙をにじませて僕を見つめている。
「入れます…藪下さん」
言って彼女の膝を押し開くと、思いがけずこぶしが二つ、僕の胸を弱々しく押してきた。
抵抗なんて今さら…
「駄目なの?」
尋ねると、首を横に降った。
「いいんだね」
ややあって彼女はコクリとうなずく。
…ああ、なんて愛しい。
言葉は無かったが、僕は押し入った。絡み付き、飲み込まれる…
「あぁんっ…!」
力を込めてきたその手を引きはがし押さえつけ、欲望のままに腰を打ち当てた。 5
あまりの具合の良さに夢中で、彼女も僕にしがみつき、何度もいって…
すぐ果てるかと思っていたのに、自分にも少し驚いた。
…ようやく全てを出しきって僕は彼女の体を解放した。
サイトの内容を信じれば、意識は戻っているはず…
ほどけた三つ編みもしどけなく、性行為の名残もそのままにぐったりと倒れ息を乱している。
そのさまに、満足と言うよりむしろ心配になり声をかけた。
「しっかりして…」
藪下さんは、ちらりと僕を見てふうっ…とため息をつく。
「…大丈夫です…」
声が聞けて僕はほっとし、彼女の髪を撫でた。
もうこんなサイト見せちゃ駄目だ。パソコンを消そうとして…ドキリとした。
小さく書かれた注意書き、内容について追及された時に逃れる為のいわゆる保険だろう…そのひとつ。
“催眠術が成功しても体への衝撃等で暗示が解ける場合があります”
や、やっぱりか。そんな気はしたが…
腹をくくって両肩をつかんだあの時から、既に藪下さんの意識は戻って…!
は、は、恥ずかしい!
藪下さんは頬を染めてジトッと僕を見ている。
「谷口さん……あんなに突然、野獣のように襲いかかって来られては困ります」
誰の口が言ってんだよ。
「…そもそも挑んで来たのは、きみですよ」
「なぜか朦朧として、事のいきさつをあまり明確に記憶していないのです…
谷口さんと性行為をしたい、とは思っていた気がします」
「だよな…まあ、とりあえずシャワー浴びましょう…」
うなずき浴室へ向かった彼女の背中を見て、僕はひっそりとパソコンの電源を落とした。糸の付いたコインを回収するのも忘れない。
狭い浴室で一緒にシャワーを浴びる。
「谷口さんがあんなに性行為に激しく燃えるかただとは、新たな発見でした。
マグネシウムが燃焼するような激しさ…」
藪下さんが恥ずかしそうに言う。完全に誤解されている。
「…もう、それでいいです」
説明する気にもなれず僕は諦めた。
「…ところで谷口さん、私はあなたから何かお借りしていましたか?」
「え!あれはその…ゲホ!ゴホ!」
慌てて振り向いたせいで、僕の顔にはまともに湯がかかった。
終わり 最近このスレの存在を知った
しぶよりこっちの方が好き >>91
>>90です
私はしぶの作品大好きですよ
今はほとんど見れないんですけど
雑なエロだけど読んでいただいたみたいで感謝申し上げます
依子と巧大好き 11/14はスーパームーンということで突貫ネタ
矛盾やミスあったらすみません
してるけどエロなし
1
とある旅館。
依子は窓のそばに椅子を寄せ、曇った夜空を眺めていた。
「あんまり長く窓辺にいると湯冷めしてしまうよ、かぐや姫」
巧は声をかける。
依子が着ている白地に麻の葉模様の浴衣は、この旅館の物だ。
「私の実家は月ではなく板橋区なのでご安心ください」
「知っています。ねぇもう、季節外れのお月見は諦めた方がいいんじゃないかな。予報では明日まで雨だ」
揃いの浴衣の巧は、背中から近づき依子の両肩に手を置き、軽く揉んだ。
「だって、降水確率は60%でしたが、雨はやんでいるのですよ?雲が晴れる可能性もあるはずです」
「うん…でもせっかくの有給休暇なのに体調を崩しては元も子もないでしょ」
言いながら巧は依子の正面に回って髪をさらりと撫でた。
「ご存じのように、本日は月と地球が非常に接近します。
その距離はなんと356,520q。
これは、2015年9月28日、くしくも修善寺を訪れた日ですが、そのスーパームーンと比較しても380kmも近いんですよ。
そして通常の満月より14%大きく、30%明るく見えるそうです。大変に、興味深い!」
「しかもここは偶然『月』の字がつく旅館だね。だがお天気ばかりは、どうしようもないだろ」
「そうですが…」
むぅとアヒル口で依子は反抗心を表す。
「夜じゅう、そんな口してるつもり?」
巧がフッと笑うと、依子も微笑んで巧の顔に腕を伸ばし、自分の唇へ導いた。
巧の片膝がギシリと依子の椅子に乗る。
深く重なっていく唇。絡まる指先。
巧の足先が依子の浴衣の裾を開く。依子の膝が現れる。ペディキュアの色はボルドー。 2
しばらくあと。
「…どっちが僕の浴衣だったかな」
「まったくもう、しわくちゃですね」
「……僕だけのせいじゃないからな」
「帯は紺色が男性用、私はエンジ色です」
「ありがとう。浴衣はこっちでいいか。あれっ、少し短いかも…」
依子が帯を締めていたとき。ふと窓の外に意識をやった。
ハッと目を丸く開き、眼鏡をしっかり支えて駆け寄る。
「見えた!見えましたよ!」
「ほんと?」
巧は衿を整えながら依子を追った。
雲の切れ間からのぞく真円。明るく、大きく、光は二人へと届く。
「おお…なんて美しい月だ」
「…私もです」
「……え?」
「文脈がおかしい事は承知しています」
「…うん」
「でも、言いたいのです。あの時…私はあなたに言えませんでしたから」
巧はカッと赤面した。
「…う〜ん、よし。じゃあこの光に照らされている間だけ、僕らはスポットライトを浴びる演者だ。
どんなセリフだって、言っていい、どうだい?」
「良いアイディアです。では率直に申し上げます。私は、あなたを、愛しています!今後も継続して!」
依子は歌劇のように宣言する。
「…僕もです。空に月がある限り!」
巧も歌手が歌い上げるようにこぶしを握る。
二人は同時に吹き出した。
「率直過ぎるよ、きみらしいけどさ!ハハ!」
「月は地球の寿命と同じく、あと50億年は存在しますよ、諸説ありますがね!ホホホ!」
「…シーッ」
両隣は空き室とは言え、二人は同時に唇に指を立てる。
月はまた雲に隠れてしまった。
布団は二組敷かれているが、二人はいつものように一組に身を寄せあって横になる。
「きみと今夜の満月をここで見る事が出来て嬉しいよ。
だけど、たとえ月が満ちていても、欠けていても。たとえ…見えなくても」
「はい。とっても…綺麗です」
終わり しまった
途中で間違えて消去したので書き直したのですが
依子の有休を利用して小旅行した日が偶然スーパームーンの日だった、といういきさつを書き忘れました いろいろ盛ったら長くなってしまったので、エロ少とエロに分けます
緊縛っぽくやろうとして、やっぱり無理でした
未婚で非DTSJ
こちらはエロ少、あとは後日また
1
谷口さんは、通販サイトのロゴマークが側面に入った段ボール箱を嬉々として開く。
その姿を私は眺めていた。
「本当にこんな物で良かったのですか?谷口さん」
「こんな物とはなんだ!素晴らしいじゃないか!うわぁ…本当にありがとう」
賞与が出たので、谷口さんの日頃の家事に感謝して彼の好きな物をプレゼントする事にした。
私が金額やサイズなど各種条件を提示し、彼が希望したものは…漫画。
それが今しがた届いたのだ。
キッチンに立っていた谷口さんは、インターホンが鳴るやいなや、飛び上がり玄関へ走っていた。
「28冊も必要なのですか?」
「全28巻なんだよ。いや〜嬉しいな。読みたかったんだ」
「納品書に『少女漫画』の記載がありますが、成人男性のあなたが読んでも支障無いのですか?」
「無論です。名作に男向けも女向けも無い。価値ある芸術は広く尊ばれるべきだろ?」
話しながら、もうページをめくりだしている。
夕食の準備中ではあったけれど、あまりの彼の喜びように、私はその自堕落を大目に見た。
働きアリだってグループ内の20%はサボる。ましてや、この人は高等遊民だもの。
やがて夢中になっていた彼は、ハッと時計を見た。
「ああ、だめだ。夕食の時刻だ。あとは魚を焼くだけだから待っててください」
「豚汁の具の種類が足りないようですが」
「す…すみません。ゴボウ、ですよね…つい面倒で…
あっ!ごめんなさい!今すぐ入れるから漫画は捨てないで!」
慌てて段ボール箱を背中にかばう彼。
以前けんかした時の事を私は思い出して、胸がチクリと痛む。
「捨てたりはしません。ですが、責務は全うしてくださらないと。
ゴボウは後から入れても美味しくないので、もう結構です。次回から、留意してください」
「あ、ありがとう…漫画は捨てないんだよな?本当に捨てるなよ?」
大丈夫なのに。谷口さんは不安げに振り返りながらキッチンに戻った。 2
翌朝。谷口さんはやっぱり起床時刻が遅れた。
休日だって平常通り起きないと、かえって調子が悪くなるわ。私はいつものトレーニングをこなす。
朝食のトーストを食べながら正面の谷口さんを見る。普段以上に食欲が無いみたい。
「昨夜は何時に就寝したのですか」
「うーん…夜は明けてなかった…かな」
「本日は、これからペアマグカップを探す目的で陶器市にてデートの予定ですが。
体調は問題無いですか?」
「はい…大丈夫です。多分。デートは以前からの約束だからね。ちゃんと行きます」
いささか不信だったけれど、こちらを向いてしっかりうなずく谷口さんを見て少し安心した。
そうとなったらスケジュールどおり支度をしなくては。
ダイニングで濃いコーヒーをがぶ飲みしている彼を横目に私はベッドルームに来る。
あらかじめ今日着ると決めていたニットがなぜかタンスの上にあった。
谷口さんったら、しまい忘れたんだ…全く!
私は眼鏡を置き、勢いよくジャージを脱いだ。
「ぎょえっ!」
予想外の事態に思わず声が出た。
「どっ、どうかしたの藪下さん?…あっ!ごめん!着替え中にっ」
彼は部屋に飛び込んで来たけれど、私を見てすぐさま赤くなり顔をそらした。
「服が…服が異常に小さいのです!なぜ!」
最近買ったニットのトップス。伸縮性と肌触りと発色がとても良くてお気に入りの、デート用。
それが頭と腕を通したところで、動かなくなってしまった。
私の年齢で、数日のうちに体型が変わるほど成長ホルモンが過剰に分泌される事はあり得ない。
胸だって、頻回に性行為があるとは言え、急激に肥大したわけではない。
ブラジャーは普通に着用できたのだから。
なのにニットは胸の上で引っ掛かってしまっている。
シルクのインナーシャツに透ける黒いブラジャー。そのバラの刺繍が丸見え…
「あっ!そのセーターかぁ!」
谷口さんは顔を覆っていた指に隙間を開け、私を見て言った。
「一体、何をしてくれたんですか!」
「普通に洗濯したら縮んじゃったんだよ、よけてあっただろ?言い忘れてたけど」
そんな理由だったなんて!
「ニットは専用洗剤で手洗いするのが基本でしょう!早く脱ぐのを手伝ってください」
「僕はクリーニング業者じゃないんだ、悪かったな!」
彼はしぶしぶ私に近づき、目をそらしながら服に手をかけた。
「う〜ん、にっちもさっちもいかないぞ。えい!」
「あっ…」 3
どっ、とベッドに倒れニットが頭から抜けた…インナーシャツを巻き込んで。
谷口さんが強く引っ張った服は、クルクルと丸まりひじと手首の中間で固くとどまった。
「藪下さん!…ごごっ…ごめんなさい…」
上半身はブラジャー。下半身はボックススカート。
スカートはニットをインする為にホックを留めていなかった。
それは太ももまでずれてしまい、ブラとお揃いの黒いショーツが見えている。
デート用の下着ではあるけれど、今ここで見せる予定は無かった。頬がカアッと熱くなる。
「…んっ、早急に取り外してください…」
谷口さんは、ぽおっとベッドに膝をついて横たわる私を見ている。
「谷口さんっ」
「アンドロメダ…」
「?それは地球から230光年離れた位置に存在する銀河の一つです。そんな事は今どうでも」
「…ギリシャ神話のアンドロメダ姫だよ…生け贄として手足を拘束されて…
鯨の化け物から救ってあげるから僕の物になってくれ、ってペルセウスは囚われの彼女を助ける…」
「何を言ってるんです!」
「あ、あ、すみません。今はずすよ。うわぁ固いなあ」
谷口さんが絡まる服をほどこうと揺すると、ブラジャーの肩ひもがずれてきた。
カップが浮き、こすれて…
「んぅっ」
私がうめいたのを聞き、谷口さんの動きが止まる。
「ごめん痛かった?」
「…いいえ、痛くは…」
「もう少し待ってて」
集中する谷口さんの、今度はひじが当たって…
「ふぁっ…」
「…なんだい、その声」
「あなたのひじが胸に…」
「……あ。ごめんなさい…」
チラチラと私を見てくる。私は呼吸するのが難しくなってきた。
なぜか整えようとすればするほどにリズムがずれていく。
さっきから顔が熱い。でも発熱ではなくて。 4
「はっ…はあっ…」
「藪下さん」
いけない。
私の体をまたいでいる谷口さんは、さっきからずっと私を見つめている。
彼のスイッチが入ってしまったんだ。重心が前に移動してきている。
両手が私の顔の横につかれ、彼と私の間の角度が徐々に小さくなる。
サインシータを求める計算式が脳内を駆けめぐる。
まだ午前中なのに。予定だってあるのに。接近して来る。彼の放射熱を感じる。
だめ、だめ…でも…
―――――
谷口さんのおかげで助かった…と言うべきよね。私は無事自由になった腕をさする。
でも、予定外に行われた激しい性行為の余韻に頭がまだしびれる。
ああ、谷口さん…
ほてる体にシャワーを浴びながら、今日の予定の変更について考えた。
髪をタオルドライしつつ浴室を出る。
彼は『ほんの少し寝るので、10分たったら起こしてください…』と先に出ていた。
濡れた髪のままベッドでバスタオルにくるまり、寝息をたてている。
なんて隙だらけな人。私は谷口さんに顔を近づけた。ちらっと時計を見る。3、2、1。10分たったわね。
もう少し寝姿を眺めていたいけれど…本人が指定した時間だから。すうっと息を吸う。そして大声で。
「敵だぞー!」
「ん?えぇっ!敵!?どこどこ、逃げなきゃ!」
彼は飛び上がり、私の肩にしがみついた。キョロキョロと辺りを見回す。
「…あれっ?あ、そうか…もう藪下さん、たちが悪いよ」
「ほほ…やはりあなたは英雄にもなれないようですね」
「当たり前なことを言うなよ。僕を誰だと思ってるんだ!」
ちょっぴりムッとした顔で、昼飯は蕎麦だろ、と言いながら谷口さんは服と割烹着を取り出した。
終わり >>99の4の中盤のエロ部分です
延々Hしてます
どうしても長くなってしまう…
1
恥ずかしくて、でも動けなくて。私は谷口さんを凝視する。
ゆっくりと覆い被さってくる彼。ほんのり赤面して、私の唇を見つめながら。
そして…キスされて。耳を噛まれて、ぴちゅ、と首筋に吸い付かれ。
私の好む愛撫を覚えてくれていて、それは回を追うごとに濃厚さを増していく。
「はあっ、ん…」
抱きしめるように背中に手がまわり…ブラジャーのホックをはずされる。
「こんなに、とんがってる…」
現れた乳首を指先で、つうっと刺激される。その強い快感に、我に返った。
「あああっ、やはりいけませんっ」
「なんで?」
少し驚いていたけれど、優しい目のまま彼は私を見る。
「と、当然でしょう。こんな朝からするなんて契約違反もいいとこです。
しかもそろそろデートの出発予定時刻ですよ。早くこれを外さなければ」
「…うん、まぁ…そうですね……うん…」
言うと彼は起き上がり、ベッドに畳んであったブランケットで私の体を覆った。
そしてふぅ、と息をつくと再び腕にからむ服をほどきにかかる。
「…痛くない?」
「大丈夫です」
黙々と作業にかかる谷口さんを見て、私は少し気がとがめた。
――しばらく試行錯誤して。
「お。よいしょっと」
「わっ」
服がスルッと滑り、腕から抜けた。
「よし取れた!」
「ブラボー!やりとげましたね!」
「うむ、やったぞ!」
「感謝申し上げます!」
私は思わず彼に抱きついてしまった。
「………」
「…あ。申し訳ありませ…」
半裸の私。固まり、私の背を抱けずにいる谷口さん。
「藪下さん…きみと言う人は」
「あ、あの」
「せっかくの僕の努力が…水泡に帰するような事を…」
「故意ではありませんっ」
私が思わず唇をとがらせて少し距離をとろうとした時。
ブラジャーの肩ひもが両方ストンと落ちた。
結果的には、それがスタートのフラッグになった。 2
がばっ、と谷口さんは私を抱きすくめた。切ないため息が耳に届く。
「…藪下さん、やっぱり、いけませんか?」
おずおずと腰を撫でてくる。思わず震え、私も彼の背に腕を回す。
ルールを遵守したい意思とせめぎあう、私の体。
…でもやっぱり。想定内だったとは言え、昨夜の独り寝の寂しさも手伝い、鼓動が高まっていく。
深層心理では、こうなる事を望んでいたんだろう。
「…本日の昼食は外食で蕎麦を食べる予定でしたが、予約をしているわけではないです。
陶器市は17時まで行われていますね」
「つまり?」
「否定する理由は、無いということに…なります」
彼のシャツの裾をスラックスから引っ張り出そうとすると、そのままギュッとその手を握られた。
ふ、と谷口さんは表情をやわらげる。
「それじゃあ…藪下さん、あの、お願いがあるんですが」
なぜか私の手は、左手を乳房に。右手をショーツの中に導かれる。
「?」
私は視線で谷口さんに無言の質問を投げかける。
彼は少したじろいで、それでもはっきりと私に要請した。
「勝手なこと言うけどごめんなさい。僕が脱いでるあいだ…自分で触れてて」
「は?今、ここで、じっ、自慰をするのですか?」
「うん……見せて欲しい」
谷口さんは耳まで赤くなっている。おそらく私も。
いかなる性的嗜好も受け入れる、それは谷口さんと初めて会った時に通告した。
嫌なら拒否する事もできるだろう。谷口さんはきっと了承してくれる。
けれど…私はスカートとショーツを脱ぎ、全裸になってベッドにぺたりと座った。
合わせた太ももの隙間に右手を入れ、中指を駆使して気持ちのいい所を探る。
「ん…んっ…あふ」
しばらく胸に触れていた左手は、口に持ってきて指を噛みしめる。切なさにもれる声を押し殺すために…
彼はこちらを向く勇気が無いのか、私に対して体を約45度斜めに向けてゆっくりと服を脱ぐ。
けれど視線は私に置いたまま。
「藪下さん。いつも、そんな風にしているんですか…指を、そうして…?」
そう言ってまぶしい物でも見るように目を細める。
彼に会えない日の密かな愉悦を暴かれて。
ああ…目の前に存在している彼が、触れてくれないなんて。 3
「ん、その質問に答える義務はないでしょう…
あ、あ、谷口さん、お願いです…早く」
「僕はまだ脱いでる途中です」
「もう限界が近づきつつあります…はぅ、ください、あなたの物」
「僕だってさっき、きみが欲しいのをこらえたんだ」
「復讐のつもりですか?囚われた姫を救う英雄どころか、それではまるで悪役ですよ!」
「…悪役の存在は、ある種の物語には不可欠だ」
彼はほんの少し笑う。そして逡巡する様子を見せたけれど…
突然私の膝をグッとつかみ、一気に両肩に付きそうなほど押さえつけた。
「ひゃっ!ああっ!」
過剰に興奮した彼に、幾度か要求された事のある体勢。
何ひとつ隠せない…それを、まさかこんな明るい時刻から予告もなくさせられるなんて。
通常ならごめん、とか、いい?などと逃げの言葉を羅列するのに。
さらされた部分に彼の乱れた息がかかる。それだけでヒクヒクと感じてしまう。
「きみの、全てだ…」
「ああ、ううっ…」
さっきまでとはまるで違い、真正面から熱を持った瞳に見下ろされる。
身動きがとれず、顔をそらす事すらできない。
――もう、粒子になって消えてしまいたい。
谷口さんは困ったように言った。
「……藪下さん…この先、どうしたら悪役にふさわしいかな」
少し力を弱めて私に尋ねてくる。
今そんな事を聞かれたって、オーバーヒートしそうな思考回路はろくな解を導き出さない。
「えっ、あの…例えば悪役らしい発言…ですか?
なら『さあ楽しいお仕置きの時間だ』とか。
もしくは『もっと足を開かぬと木馬をくれてやるぞ』などと言えばよろしいかと…
そして私は『お屋形様!ご無体な』と言って…えーと…」
「セリフがなんだか変だよ。しかし、それなら僕に悪役は無理みたいだ」
「なぜです」
「どうしたって、こんなあなたを愛せずになんて、いられるものか…」
そう言って太ももを優しく撫でて、ゆっくりと足の間に顔をうずめられる。
「ひぅっ!…うぅ」
「あ、閉じないで」
ひだは指で左右に開かれ、あらわにされた粒に熱く濡れた舌がくねって…
だけど、いつもと異なる動き。これはさっきの自慰の!…指の動きを再現されてる…!
彼の指が私の歯に当てられた。噛めと言うの?ああ、もう冷静な思考なんて不可能。 4
「あふ、そこは!そんなに刺激しては…!あ、もうっ!あぁんっ…!」
体が快感に痙攣する。いってしまった…彼も、わかってるはず。
残りの服を脱ぎ捨てた彼は、私の中に挿入して来る。
抱きしめられ、私もすがりつき、腰を揺らす。
「……藪下さん…きみが、欲しかった…」
「あっ、たに…ぐち…さん」
密着したまま転がり、口づけ、激しく愛しあう…
「ああ…すごいよ…」
「あなたも、はぁ、つ、通常より摩擦が強くて…維持する時間も長く…」
「もっと、いって見せて。もう一度」
「そんな短時間で、複数回なんて、…あっ、あっ?」
どうして?彼の動きに体が強く反応する。
「中、びくびくしてるよ…」
…わかったわ。現在行っているのは、いわゆる対面座位というものの一つ。
重力が作用して挿入が深まる。その到達箇所が私のスポットで、みだらに高ぶってくるのだわ。
「びくびくしてるのは体位が原因です…」
「ん?」
「…あっ、は…初めての体位なので、今気づきましたが」
「えっ?」
「古来日本には性行為に48もの体位があると言うのに。
あなたときたら本日やっと…そのうちの21個めを達成しましたね」
「……そうなの?」
「これはほんの43.75%でしかなく、まだまだ検証すべき…」
クスッ、と谷口さんが笑った。
「やっぱり藪下さんだな。まだ…僕たち、こうして…繋がってるのに…」
そう言って頬をそっとすり寄せ、体を揺らす。
「あ、はぁんっ…申し訳…ありません」
「悪に染まらない、素晴らしいヒロインだ」
「たっ、谷口さん…ああ!あぁん…!ハァッ、あ、あぁ…ん」
なおも突き上げられ、キスをされて。
彼の指はさまざまな方法で私を責めさいなみ、2回めの絶頂を越えた。
相当時間が経過した気がしたのに、時計を見ると予想外にまだ早い時刻。
「…こんな時に時計なんか見てはいけないよ」
そっと頬に手を当てられ、もう片方の手はまた体を這う。わき腹を撫で続ける手のひらに焦れて…
「ん…もっと上部、もしくは下部に…」
自分で発言してハッとした。思わず口に手を当てた。
ふしだらにも程がある。私ったら…どれだけ求めれば気が済むの。
「……貪欲ですね、藪下さん。もっと…どうして欲しいって?」
まだまだ終了する兆候の見えない、この行為に溺れて…
終わり ありがとうございます!
優しくてエロイ巧がいいです >>104
感謝申し上げます
文章力も語彙も無いので長くなると収拾がつかなくなる
でも幸せで仲良しな二人をあれこれ書きたい… クリスマスイルミデート
依子の上司出していろいろ捏造してます
エロは3から
1
藪下さんとデートの日。彼女の希望で僕たちはクリスマスイルミネーションを見に行く事になった。
腕を組み、通り道のショッピングモールを歩いていた時。
「ただ今からタイムセールで、赤いシールの商品全て30%オフで〜す!」
彼女は突然立ち止まり、声のした店を凝視した。
「あの店舗で30%オフ!聞きずてなりません。さあ行きますよ谷口さん!」
腕をつないだままなのに方向転換し、僕を引きずるように勢いよく歩きだす。
「ん?じょ、女性下着の専門店じゃないですか!」
ショーウインドウにはヒラヒラ、キラキラしたヒモのような下着が恥ずかしげもなく展示されている。
「時間制限があるのですから、早く歩きましょう!」
「…え?!何言ってるんだ、僕があんな店に入れるわけないだろ!」
「……わかりました。単身、討ち入りして参ります」
「健闘を祈るよ」
僕が腕をほどきゲンコツを出すと、藪下さんもゲンコツを僕のそれに打ち当てて、うなずいた。
そしてカードケースからメンバーズカードらしき物を取りだす。
ああ、いつもここで買っているのか…
そして「いざ行かん!」と足早に入店して行った。
僕はコートのポケットに手を入れ、少し離れたベンチに腰を下ろす。
「あの…」
一つ分あけて隣に座っていた男が僕に声をかけてきた。
見も知らぬ、しょぼくれたオヤジだ。眼鏡の向こうの目は、穏やかにこちらを向いている。
僕は無言でそいつを見た。
男は両手に持っていた缶コーヒーの片方を僕に差し出した。
「せっかく買って来たのに、家内が買い物に行ってしまいまして…よろしかったらどうぞ」
「…はあ…なるほど。ああ、払いますよ」
僕が小銭入れを出すと、そいつは缶を僕に押し付けて頭をぶんぶん振った。
薄い髪がフワフワと揺れる。
「いやあ、ぬるくなりかけてますから結構です、それでも良ければどうぞ。
しかしねぇ、あんなに買って何が楽しいんだか」
妻の買い物中、退屈しのぎに話し相手が欲しいと言うわけか。 2
少々面倒だったが、このオヤジ、何か憎めない。
僕は礼を言い、缶をプシュリと開けて言った。
「…おなごというものは、本当に良くわからない事に夢中になるものですね」
「全くですねぇ。いくら計算してもわからない、謎に満ちた生物ですよ」
僕は男を見た。愛嬌のある顔で笑っている。僕もなんだか釣られて笑った。
「ふ、僕の連れもタイムセールにすたこら入って行きましたよ。
イルミネーションを見に行こうと言うから来たのに」
「そうそう、そういう所が不思議です。お互い待つのも大変ですよねぇ。
しかし、謎はまた魅力なのだとも私は思いますよ」
地味な外見と裏腹に、キザな事をさらっと言う男を見て僕は言葉が詰まった。
そう熱くないコーヒーをゴクリと音をたてて飲む。
「…同感です」
変わった男だな。いや、僕もそうかも知れないんだが。
「じき点灯ですな。実は穴場があるんですがね」
「え……よろしければ、その…」
「私は昔から何度も来てるのでねぇ。
あの木の向こう、花壇があるでしょう。その奥、ちょっと遠いけれど全体が見渡せるんですよ」
「ああ…なるほど」
「後で行ってごらんなさい、人もそう多くないから」
男と僕は缶コーヒーを同時にグイッと空けた。
店に目をやると、レジに並んでいる人だかりの中に、背丈のあるニコニコ顔が見える。
「藪下さん、そろそろかな…」
「では、私も家内のいる店に行ってみます。どうも」
男は立ち上がり、トンと肩を叩いてきた。
「…どうも」
会釈して去っていく後ろ姿が楽しそうに見える。
なんだか、何もかも見すかされていたような、変な気分だ。 3
「谷口さーん!赤いTバックにトールサイズのベビードールも買えました!」
「ぐ…Tバッ……」
「本日着用できなかったのが残念です。お正月の姫はじめ用にしましょうか、おめでたい赤ですし」
「…そういう話は、部屋でしましょう。ねぇ、点灯を見る穴場があるんです、行きましょう」
「ほう…あなたらしからぬ、素晴らしい情報収集能力ですね!」
「一言余分だよ!さあ、こっちだ」
「本当に…LEDライトによる色相は、イルミネーションの可能性を飛躍的に広げましたね…」
「芸術と科学が溶け合い、醸す新しい幽玄だ…」
「人類の進歩を谷口さんと見る事ができて幸せです。
ああ、LEDは白熱電球ほど熱を持ちませんから…寒いです」
「藪下さん…」
彼女を片腕で抱きしめ、頬を近くに寄せあう。見つめあい、短いキスをする。
彼女の歯が冷たくて、少しだけのつもりが、暖めるようについ舌を入れてしまった。
その熱さを官舎へ持ち帰る。
「ん、ん…」
「…くはっ…んむ…」
コートを脱ぎながらキスをする。
少しずつベッドへ近より、足が当たると二人で倒れこんだ。
僕が藪下さんのカーディガンのボタンを外していると、彼女はスカートとタイツを脱ぎ、眼鏡を外した。
ブラウスもはだけ、見せたピーコックブルーに赤いラインの下着。僕はその赤を指でなぞる。
「クリスマスカラーなんだ」
「あ…はい、そうです」
律儀に答え、立てた膝を自分からゆっくり開く。僕はドキッとした。
彼女はショーツの中心を指で押し、欲情の証を僕に見せつける…
こんな煽りかたをするなんて。
「藪下さん。激しくして欲しいの…?」
「…できるんですか?」
「……できます」
僕は上半身しか脱いではいなかったが、もうこらえきれなかった。
「あ、あ、はあっ!ああん…っ!」
「うっ、ああ…」
望みどおり、藪下さんの弱い所を激しく吸い、こすり、突き、何度も…
「あ、もう…いき、過ぎてっ……やめ…て、くださ…」
「ん…わかりました…やめます…これで…ごめん」 4
ぐちゃぐちゃに責めつつ、彼女から休止を申し出られれば、もちろんやめるつもりだった。
しかしここまで耐えていた自分の欲望を解放するために、やむを得ず動きを早める。
「あ、ああん!た、谷口さぁん…そんなに…ああ、もう…ダメぇ…!」
彼女の口元から唾液がつうっとこぼれる。
潤んだ瞳。ひうっ、ひうっと鳴るのど…
それに合わせて僕を締めつけてくる…
「……藪下さん…」
「んんぅ、きもち、いい…です…」
「僕も、です…」
別の日。僕たちは一緒に夕食を取っていた。
「今日、仕事の合間にイルミネーションの話になったのです」
「ふうん。まあ行った人は多いだろうな」
「こっそり主任に穴場を教えてあげようとしたんですが、なんと既に知っていました」
「へえ。あんな所を知っている人、いるもんなんですねえ」
「毎年家族で行っているそうなので。だからでしょうか」
「ふうん…」
何かがひっかかった気がした。
「あ、年末のおせちを一緒に作る件ですが…」
「ああ、はい…」
まあ、大したことじゃないだろう…
僕はすぐに藪下さんとの会話に意識を向けた。
終わり 投下ありがとうございます
未だにデートロスなので、このスレはありがたい >>110
ありがとうございます
性懲りもなくまた投下します 非DTSJエロあり
すみません 巧がちょっと怪我をします
1
「フフン〜フフフ〜ン…」
官舎の居間で、巧は機嫌良く乾いた服をたたんでいた。
終わった物を手に重ねて立ち上がる。
「感謝申し上げます。チェストにしまうのは私がやりますので、こちらにお願いします」
巧は寝室の依子の方を向いて歌いながらウンウンとうなずく。
ガツン!ドサッ!
「あ痛てッ!」
洗濯物を抱えて視界が悪かった巧は、床のわずかな段差につまずいた。
「大丈夫ですか谷口さん!」
「クソ……右の膝を…打ちましたが、大したことは無いです」
「見せてご覧なさい」
「わっ」
依子は巧のスラックスのすそをまくり上げた。
「…大丈夫ではありませんね。軽微ですが擦過傷に加えて、よろけて膝をついた時、ここの敷居で打撲傷を負ったようです。
恐らく明日までには内出血が広がるでしょう。受診可能な外科は…」
「そんな。医者なんかに行くほどじゃない。舐めとけば治ります」
「打撲傷に唾液の成分が効果を表すはずがないでしょう」
「心配ご無用って意味ですよ」
「……本日は、騎乗位しか出来ませんね。私に全ておまかせください」
「は?!…何の話だよ!そっ、そんなこと…どうだって……そもそも、するかどうかも決めて無いし…」
深夜。
「谷口…さん…はぁ、あぁ、んっ…んっ…」
既にベッドに全裸の二人。仰向けの巧にまたがり腰を揺らす依子。濡れた音がかすかに響く。
行為は依子の口淫から始まり、巧の服を脱がせるのも全て依子によって強引になされた。
巧が幾度か体勢を変えようとしても、それは頑なに拒否されて。
巧の中心は既に依子に深く飲み込まれ、熱い固さを持ち、その中でこすり上げられている。ズクズクとした快感を与えられ、巧は繰り返し浅いため息をつく。
しなやかな依子の裸体を見上げると、汗がその胸の間を伝い落ちるのが見えた。その妖艶な姿に、横たわっていながらもめまいを覚える。
愛撫に応えたくても、上腕に両手を置き体重を掛けてきている依子を跳ねのける訳にもいかず、その腰や太ももをさする事しか出来ない。
「や…藪下さん…くぅっ……」
「はァッ…ん」
前傾し、また胸を反らし、体を震わせる。感じては、いるようだが…巧は依子のいつもと違った様子に敏感に気づいた。
「藪下さん、ちょっと」
巧はトントン、とタップして依子の動きを止めさせた。
「なん…でしょう…」
「ねぇ。とても気持ちがいいんですが…きみはなかなか、いけないんじゃ…ない?」
「申し訳ありません。私の技術が未熟なのです。まだまだ努力が足りません」
「そ、そんなことは決して…しかし、やはりそうなのか……ねえ、藪下さん。僕にも少しは自由にする権利をくれよ」
「性行為にお誘いしておきながら、怪我人のあなたに、さらに負担をお掛けするなんて…私のプライドが許しません」
「大した怪我じゃないったら。だからそんなプライド必要ないだろ。僕はほんとに大丈夫。すごい汗だよ?だから休憩だけでも、しなよ」
「……では…お言葉に甘えて小休止を…」
依子は巧のたぎりをそっと体から抜いた。 2
「…交代!」
巧はいきなり依子を抱きしめた。身をよじり、押し倒す。ベッドのスプリングが大きくたわんだ。
「谷口さん!…卑怯です」
依子は焦りの色を隠せない。巧はいたずらっぽく笑みを浮かべつつ、押さえつける力をゆるめた。
「不意討ちして、ごめん。でも、藪下さんだって僕をあんなにして…」
「だって…痛みがありますよね」
「平気ですって。それに藪下さんがしたい時は…僕だって、したいんです。今度は僕の番でもいいでしょ?」
「うう…ですが、ま、枕があちらに…まず頭の向きを修正しなくては」
依子はおずおずと指差す。体はベッドとは90度の位置に向きを変えており、二人の足ははみ出していた。
「はぐらかそうとしてもダメですよ。そんなの今は、いらない」
巧は片膝を曲げてベッドにつき、それなりに痛む足の方は伸ばして床につけた。
不安定な体勢のまま、額にキスをすると依子の足に手をかけ、支える。
「あ…」
「いや、やはり…いります」
片手で枕を取り、依子の腰の下へ差し込んだ。ぬめった秘部があらわにされ、挿入のたやすい角度になる。
「んんっ」
「見えたよ。さっきまで、僕がいたところ…」
まだ十分に、それどころかますます熱を持った自分自身を、巧は依子の入り口に当てた。
ハッとして手の甲を口に当てた依子の、体の力がフワリと抜かれていく。つまりは了承を得られた、ということ。
巧は中へ再び入れる。ズブリとした感触と同時に、すぐ強い締め付けがきた。
「あ、あぅ…あァん…!」
「ううっ…」
「谷口さん、か、角度が…通常と違います」
「違ったら、良くない?」
「い……いえ…あ、あっ…良くなく、ないです!」
「えぇっと…うん。良いってことですね…」
巧は依子に腰を打ちつける。斜めの体に力が入りにくいが、依子は確実に高まっている。
それは握り締める巧の肩に無意識に立てられていく爪と甘くなっていく声でわかった。
巧は仕返しとばかりに倒れこんで依子の乳首を舐めながら、抱えていた足を押し開き撫でるように指を這わす。
「ふああ、いく…私、いきます……谷口さぁん…!」
「はい…良かった…きみを、そうしてあげられて……」
巧は依子の恥態をいとおしく眺め、ゆっくりとうなずいた。そして真剣な表情になると、舌の動きと抽送のスピードを上げていく。
「あ、あ、ああ……!」 3
依子はピンセットで綿球をつまみ、消毒液を染み込ませた。それで巧の背中をトントンと叩く。
「いてて……うわ、しみる!」
「さらなる怪我を負わせてしまい、お詫びの言葉もありません。しかし消毒はきちんとしておかなくてはなりませんよ」
「爪、立て過ぎなんだよ…」
「今後は決してこのような事は無いように留意します」
「ああ、せいぜい頼むよ。でも…きみが満足してくれたなら、それはやはり嬉しいです」
「それは…あの、もちろん満足しました…全てが一体となって……
あなたの愛情に加えて角度、力加減、声、匂い、肌の質感、手指や男性器の摩擦で合成される官能…」
「痛い!ちょっと、綿、傷にグリグリしてますったら!」
「あ、私としたことが!申し訳ありません。
しかしあまりにも痛むのでしたら、やはり外科で診察を受けるべきですね。いえ、皮膚科でしょうか?」
「どっちも嫌に決まっているだろ!
背中の、つ、爪跡で医者にかかるなんて、歌ってて転ぶより恥ずかし過ぎる!死んだ方がマシだ」
「では我慢してください。救急絆創膏を貼りましたから」
「……はい…ありがとうございます…」
依子は、手当てのためパジャマを腕に通しただけでいる、巧の背中をじっと眺めた。用は済んだ、と思った巧はパジャマを羽織ろうと前立てを引きかけた。
「谷口さん…」
こつん、と依子はその背に額を当てる。巧が片眉を上げ、依子の方を見ようと首をかしげる。
依子は目の前の背中を撫で、頬をすり寄せた。
「……あ、あの…藪下さん?」
「私には、性行為の最中は、あなたの背中は見えません。せめて今、観賞させてください」
「そ、そんなこと。どうぞ、いつだって…」
「谷口さん…家事の時に歌っていた歌を、もう一度お願いします」
「え?……あぁ、あんなの…ただの…」
「いいんです」
観賞などと言いながら依子は目を閉じる。巧は鼻歌を歌い始めた。依子は背中に当てている手で規則正しく拍子をとる。
巧は、依子の温度を感じながら真っすぐ前を見ていた。
終わり 過去にすごくいいコスプレネタを投下していらっしゃるかたがいるので二番煎じです
エロなしですみません
節分ネタ
1
巧は風呂上がりの髪を無造作に拭く手を止め、じとっと依子を見ていた。
「……ふざけてるんですか」
「節分ですから、これから豆まきをするのです。のぼせたのですか?顔が赤いですよ」
「なんでそんな格好なんです」
巧が風呂に入っているうちに着替えたのだろう。依子は虎柄のビキニにツノ付きカチューシャという出で立ちだった。
「鬼の扮装をするのは不自然ではないでしょう」
「厳密にはラムちゃんは宇宙人だけどね」
「せっかくですから、リアルを追求するよりも谷口さんの趣味嗜好に合わせたのですが。
あなたの本棚を整理した際に、確かこの鬼の女性を複数回、目にしましたので」
「ああ、天文コーナーに分類してくれた『うる星やつら』のことですか。しかし…なんて完成度の高い仕上がりだよ」
「お褒めにあずかり光栄です」
「だが一点残念なことに、ラムちゃんのブーツが虎柄じゃなく黒になっている」
「あいにく完売していまして…まさか節分にコスプレ衣装が購入出来ないほど人気のある人物だとは思いませんでした。
ともかく夜間ですし、取り急ぎ豆まきを行います」
「ちゃちゃっと済ませましょう」
「無事終了の儀と相成りました。本年も無病息災、家内安全、五穀豊穣を祈念し……」
依子の口上をウンウンと聞き終え、巧はベッドへ向かった。
「やれやれ、さあ寝ますよ……ん?なぜアヒル口…いや、怒ってるんですか」
「この格好なら彼氏が大喜びだと、コスプレサイトに書いてあったのですが…あなたは違いましたか」 2
「素晴らしいクオリティですよ。しかしあいにくラムちゃんは僕の理想の女性には入っていないからね」
「なるほど理解しました。ではパジャマに更衣します」
「わ、ちょっとまたこんなとこで…少しは恥じらいを……」
依子が虎柄ビキニのブラを外すと、下には黒いストラップレスブラを着けていた。虎柄マイクロミニパンツの下も黒いショーツ。
カチューシャを外しロングブーツを脱ごうとして、依子は巧の視線に気づいた。
「……どうかなさいましたか?一応下着を着用していたのです。シンプルな物なのでお見せするほどでは……」
巧は真っ赤になっていた。体には異様に力が入り、口に手の甲を当て、依子の姿にくぎ付けだ。
「メ、メ…メーテルだ……メーテルだよ」
「その名前は、あなたの理想の女性の一人ですね。確か漫画のキャラクターで、黒いコートを着用しており、このような下着姿ではないと記憶していますが」
「あの下は…そういう格好なんだ」
「……」
「ヤバい…クオリティが高過ぎる…!」
「………しますか?」
「やめろよ!そんな格好で言うの!」
「谷口さんはイメージプレイに抵抗は無いと思っていましたが」
「だからそういうこと言うなって…」
「…003にはキスしようとしたくせに」
「う、うるさい!それとこれとは別だよ!」
「こういうシンプルな下着にも萌えるものなのですね」
「メーテルの格好で言うなったら!もう、脱げよ!」
「………」
「………あっ…ごご、ごめんなさい…」
「…谷口さん……」
依子は下を向き、目を閉じている。
「すみません藪下さん。言い過ぎました」
「……もう一度言ってください」
「ごめんなさい」
「その前です」
巧は首をひねる。
「……………ぬ、脱げよ?」
「…はい………では、脱ぎます」
「う、うわ、あのっ…」
「全て脱衣しました。これで、私です。大丈夫ですよね……」
依子は、巧ににじり寄る。
「う、うん………藪下さん」
終わり ありがとうございます!
エロかわいい二人に萌えました 読んでくださるかた、ありがとうございます
アダルトDVDを見つけてあれこれ話
またエロなしですみません
1
夕方4時過ぎ、依子の部屋。たたずむのは巧ひとり。
依子のデスク、パソコンの隣に鎮座するのは、なんと1本のアダルトDVD。
「これは藪下さんから僕に対する、何かのアプローチなのか?」
割烹着を着こみ、三角巾を頭に着けた掃除中の巧はハタキを脇に挟み、しかめ面で腕を組んでいた。
「そんな遠回しなのは彼女らしくないな。しかし単なるしまい忘れにしては、これ見よがしだし」
いくら首をひねっても答えは出ない。
「まさか鑑賞しろって事ではないだろ、ハハッ」
そう笑うと巧はさっきまで凝視していた依子のデスクにハタキをかけ、ウンウンと細かく首を縦に振り、掃除を再開した。
……再開出来なかった。
「くそ!何だよこれは?」
巧は三角巾を床に叩きつけ、頭を金田一耕助のようにかきむしった。しかし推理がひらめく事もなく、気持ちは乱れるばかり。
床にあった座布団を拾うと盾のように構え、恐ろしい怪物に近づくかのように、それに手を伸ばした。
「『爆乳美乳ドエロギャル大集合スケスケみずぎでぬるぬるすいえいたいかい……』」
後半は読経するような声で巧はタイトルを読み上げた。
「ぎゃぁあ!僕は!なんて下品な物を音読してしまったんだ!ヤバい!口が腐る!」
二つ折りした座布団にDVDを挟み、梱包用のビニールひもを引っ張り出すと鬼のような形相でそれをグルグルと巻き始めた。
「ただいま帰りました……谷口さん?35時間ほどお会いしないうちに若干老けられましたね」
出迎えた巧はいつも以上に猫背で、髪はボサボサ、服はしわだらけ。目は据わり、ゲッソリやつれているように依子には見えた。
「お帰りなさい……そう見えるなら、きみのせいですよ」
「私は、あなたの外見に作用するような事をした心当たりはありませんが」
「ああ…そうですか…まぁ、まずはご飯を…」 2
「ごちそうさまでした。本日も美味しかったです…と言いたいところですが。
お味噌汁は過剰に煮沸し、ふろふき大根は生煮え、キンピラゴボウは甘過ぎ、サンマの塩焼きは塩を忘れている上に焦げています。
注意力散漫過ぎますね。何か悩みでもあるのですか?」
「ありもあり、大ありですよ。なんなんですか、あれは」
巧はグルグル巻きの座布団を指さした。
「座布団がなぜあのようなことに!」
「中身の話だよ!」
「…綿がどうかしましたか」
「綿なんかじゃ無く、DVDですよ。な…なんであんな物がこんな所に!おかげで心は千々に乱れて、何も手につかないありさまだ!」
膝でこぶしを握り、震わせる。
「DVD…」
「あんな下劣な物、パッケージすら見たくもないからね。目につかないように、す巻きにしたのさ」
「あ!もしかして『巨乳美乳ドエロギャル大集合……』」
「言うな言うな!」
「申し訳ありません。単なるしまい忘れです」
「そんなわけあるかよ!あ、あんなに机にきちんと置いて…」
きちんと置いてあるのは、何に於いても四角四面な依子なら有りうる話だ。それに気づいて巧は勢いを失い、握っていたこぶしをゆるめた。
「私が私の物を私の机にどのように置こうと自由だと思いますが」
「まぁ、た…確かに……え?私の物?あ、あ、そうだよな……えっ!藪下さんの?そ、そりゃそうだけど……えぇっ?!買ったの?」
「支離滅裂で何をおっしゃってるか理解し難いです」
「つ、つまり…藪下さんは胸の豊かな女性の裸をしっかり見てみたかった、と。そしてあれはその資料だと言うわけか」
巧は温かいお茶をすすりながら、ようやく落ち着きを取り戻していた。
「谷口さんとは頻回に性行為を行っています。
そうなると、以前ある時に聞いた『男がむしゃぶりつきたくなる体』とは、どのようなものかと今さらながら興味を引かれまして」
「お、男がむしゃぶりつきたく?……」
「そうです。私には非常に少ない要素を多く含むと思われるので。胸部や腰の脂肪量が多く、丸く柔らかい…」
依子は珍しく自信無さげにうつむいた。
「……藪下さん。僕に何か、その、不満があるなら言ってくださいよ」
「?料理も洗濯も掃除も70%以上はこなしていただいています。及第点につき、特筆すべき事はありません」
「………僕以外の男に、その、触れられたり、どうこうされたいんですか?…性的に」
「何を言っているのです。そんな事はありえません」 3
「なら、問題無い。僕がむしゃぶりつきたくなるのは、他でもない藪下さんだけだから」
「………」
「ここにある、その、体だよ」
「………」
「だいたい、ひどいよ。今夜は恋人とそういう事をできたらいいな、と期待しながら来たやつの目の前にこんな物を置いてさ。僕だって男なんだぞ」
「………」
「きみが帰るまで、どんな心持ちでいたと……ねぇ、何かしゃべれよ」
「………」
「藪下さん、僕……何か失言したかな……」
「………」
「す、すみませ」
「資料はあくまでも単なる資料です。未来永劫、私の最愛の恋人は谷口さんです。肉体関係も谷口さんとしか結びません。
あなた以外の人なんて、嫌です。あなたと、したいんです。私も本日はあなたと、したいと思いつつ帰って来ました」
ぎ、と力のこもる目とアヒル口で依子は巧に近づく。
「うっ」
ひるむ巧に対して依子は肩をいからせ、正座して身構える。
「……さあ!そういう事でしたらどうぞ、存分に、むしゃぶりついてください。谷口さん」
「………言ったな…僕は、ほ、ほんとに行くからな。見てろよ」
にらみ合いから始まる性行為は、初めてだった。
終わり
(エロ成分が少ないので付け足し。けどR15くらい)
4
巧は目をぎゅっと閉じて依子の体を抱きしめた。
覚悟はしていたものの、その力に依子はビクリと震えた。その時、巧の鼻を香水のかすかな甘い香りがかすめた。依子の両肩をつかんで、あれっ、と若干体を離す。
「今つけてるの、新しい香水?…この前と少し香りが違う」
「香水は、経過時間や体温で香りが変化していきます。この前あなたがこの香水について感想を述べてくださった時は、昼間でしたから」
「そ、そうか。では改めて仕切り直しだ」
またガシッと抱きしめる。
「あくぅっ」
油断して力を抜いていた依子の体が締め付けられ、そののどが鳴った。
「…!」
巧は思いがけないその色気のある声にハッとして再び体を離し、依子の顔を見る。依子は赤面して言う。
「…さ、先ほどのは…胸部の圧迫による物理的な作用の結果としての発声です」
「そ、そうですよね。よし、もう一度…」
ギュッ。むにゅ。巧の指が依子のヒップに食い込む。
「あぁっ」
依子が軽くのけぞる。
「あ、ごめんっ。わざとじゃなくて。変に、ち、力が入って」
「あふ……き、気になさらず継続して…ください」
「…そうか…藪下さん、ここ、弱いんだ……」
「うんっ、ふぅっ…」
「…柔らかい。きみの体はサラサラして、こんなに感じてくれて、僕もすごく気持ちがいいです。
胸がどうとか……そんなのに、こだわる事に意味は無いよ」
「…感謝申し上げます……」
まだまだ前戯の段階だ。
終わり 巧がSです
エロを結構ガッツリにしたくて、夢オチに頼りましたすみません
1
照明は紫がかったピンクで、それは私の赤面した顔色をカムフラージュしてくれているだろう。
ドレープの揺れる天蓋がおおった広く丸いベッド。
どうやら私の寝室らしい。でも、周囲の物の構成や縮尺がおかしい。なのに違和感なく受け入れてしまうのはなぜか、自分にも理解できない。
私はベッドに全裸で仰向けに横たわる。私の上に重なっている谷口さんは、まだいつもの着衣を身につけている。
そして、私の手首は革手錠でゆるく拘束され、ベッドの柵に繋がれていた。
「はあ…やぁん…」
脇や首筋、胸の至るところを撫でられる。そうしながら、音をたて這う彼の舌と唇に感じてしまう。体はびくびくと震え、手首の鎖がカシャリと音をたてる。
何度もきゅっと吸われ、いくつもの跡が残る。やめて…今、吸引するその箇所は、着衣の状態でも見えてしまうのは谷口さんもわかるはず…
便宜上、全裸と表現したけれど正確にはそうではない。衣類はなぜか紙のようにあっさりと破り取られ、三つ編みもほどかれてしまった。
なのに、眼鏡と靴下だけは取り去られなかったから。『八割裸』と言うべきか。
「谷口さ…ん…あぁっダメ…もう、やめて、くださっ……!」
甘い愛撫のさなか、突然の荒々しいキスに私は言葉を奪われる。野生動物のように湿った息を吐いている彼は、その舌で私の口内をとことん凌辱する。
やがて離れがたい、と言うように小さなキスを繰り返し、ようやく距離をとり彼は言った。
「ダメとか、やめてとか…そんなの嘘だ。藪下さん、ほら僕の指を見て…きみの泉は、こんなに潤ってるんですよ?乳首だって、こんな尖って」
革手錠は、抜けそうで抜けられずもどかしい。
彼に手のひらでクルクルと固い乳首を不規則にこねられ、あえぐ呼吸が途切れ途切れになる。
閉じた膝の隙間には彼の長い指が侵入し、うねる度にクチュ、と卑猥な音が聞こえた。
「先ほどから私の性感帯ばかり責めて…ひどいです」
「でも、気持ちいいくせに。可愛い…ほら、もっと感じて。大きい声、出せるでしょう?
ビデオだって、そこで自動録画してるんですから。後で一緒に見ましょうね。プロジェクターで、きみの恥ずかしい姿、大写しにしてあげます」 2
「そんな…もう…許して、ください…谷口さん」
「ダメです。まだまだ許さないよ?さっき、きみのせいで僕の大切なフィギュアの腕が取れちゃったんだから」
「あのロボットは、腕が取れるように出来ているはずでは…」
「そうだっけ?さあ、足、自分から大きく開いて。早くしなきゃ、僕が力ずくで開きますよ…」
谷口さんは目を細めて首をかしげる。前髪の影になり、表情はよく見えない。
「だって……」
「遅いよ…お仕置きです」
迷っているうちに彼は薄く微笑み、ふくらはぎが強く押し上げられた。秘部をじぃっと見つめられ、彼の吐息がかかる。
上目づかいに私の反応を確認されるのが恥ずかしくてたまらない。
そして顔が近づいたと思うと、長い舌先が濡れている奥まで入り込んだ。太ももの内側に髪と鼻先、夜の薄い髭がこすれる。上腕で私の足を押さえつけ固定し、手は両方の乳首をいじる。
「あぁ!はぁんっ!…や、いやぁ…もう、こんな…」
私はせりあがる快感に身をよじり、足をばたつかせようとしたけれど、谷口さんの意外な力に両足は開かされたまま彼の目の前に全てをさらしている。
「無駄だよ。やめないに決まってるでしょ。こんなに熟れた果実を目の前にして…」
人間が果実であるはずがないのに、蜂蜜でも溢れているかのごとくベロベロと舐めすすられる。
おそらくぷっくりと主張している粒は、つつ、と下りてきた指が添えられて、今にもむき出しにされようとしていた。
彼のひじは私の足が動かないよう力をこめ、反面指先は足の谷間のひだを優しく開き、ツンツンと粒を弾いた。
その刺激にあふん、と喉が鳴り、おかしいくらい腰が揺れる。
「お願いします…あなたの行為で平常心を失いそうです…あ、あぁん…!」
「身に余る言葉です。狂わせてあげる。論理的な思考なんか出来ないくらいよがり狂って…藪下さん」
彼は親指で秘部の皮膚をグッと押さえた。むき出しにされてしまった粒を格段に速度を上げた舌が往復運動して…
「ふぁあっ!いや、ダメ、谷口さん!…私、粒子に…なってしまうぅ……!」
「責めは、まだ続くんだよ。わかってますか?これから入れるんですから、僕のを」
彼が男性器を私にあてがう。
「あっ、待ってください!今入れたら…か、感じ過ぎます……!」
「大丈夫、ほら…ズブズブ飲み込んでいく。ごらんよ…ここで、僕たち繋がってる。ああ…すごいや、ぬるぬるで熱い。奥まで一杯に入れさせて…さあ、思いきり、動くよ」 3
「あぁぁっ!」
「すごい…こんなに締まる。僕は服着ててごめんなさい。でも、感じてるんだね。いい子だ…こう突く?それとも…こう?」
「いいっ!全部いいです…あぁん、素敵…もっと…私、めちゃくちゃに、なります…」
「そうか…良かった。ごめん、ちょっと一度抜きますね」
「あっ…」
「このまま、いかせてもらえると思った?いきたいよね。フッ、そんな風に僕を欲しがる顔した藪下さん、すごくいいです。
今度は口に、ボールギャグ付けてみますか…?きっと色っぽいと思うよ」
「ああ…そんな…」
「さあ、後ろ向きでしましょう。ひじをついて腰を上げてください。恥ずかしいならベッド下りて立って、してもいいよ…
どっち?どっちでも、突きながら指で責めて、いかせて、いかせて、絶対やめないで泣きたいくらい気持ち良くしてあげるから。きみが決めて……」
「……無理です!」
「えっ?な、何が!」
目が覚めたら布団の中だった。パジャマはちゃんと身につけ、隣には寝ぼけまなこの谷口さんが、お揃いのパジャマで半身を起こしている。
「……夢…」
体がうずき、汗をかいている。この前ラブグッズを扱うwebサイトを閲覧したせいだわ。何ておかしな夢を見てしまったの…!
時計を見た谷口さんは、布団をかぶり直した。
「うぅん…まだ起きるのは早いよ」
「谷口さん…」
「ふぁぁ…はい?」
「あなたはサディストのド変態ですか?」
「はぁ?何言ってんですか」
「当然違いますよね…」
「馬鹿馬鹿しい。寝ますよ」
「たまにはちょっとくらいド変態でもいいのですよ」
「は?!朝っぱらからふざけてるんですか。しかもちょっとド変態って、日本語が変だよ!」
「申し訳ありません…」
谷口さんは、ふ、とため息をついて私の手を握った。私はハッと彼に顔を向ける。
「…女性でも、そういう夢を見ることがあるんですね」
眠そうな彼の目は、ほんのり熱を持って私を見ていた。
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