■有田聖孝の凋落 ― ■4.沙羅の思い出 (3/7)

当時リアンアロー社もシステム運用の要員を増やす計画があったので聖孝は
冗談半分に沙羅に持ち掛けてみた。
「一晩付き合ってくれたら派遣要員の増員を検討してもいいよ」
「え・・・、それは・・・」
あまりに予想外の言葉で何の話かもわからない様子だった。しばらくしてそ
の言葉の意味を理解したようだが顔を赤らめるだけでそれ以上の言葉は出て
こなかった。

しかし次に会社を訪問してきた日には沙羅から話を振ってきた。
「せ・・、先日のお話ですが・・・」
緊張して声が裏返っていた。その時は聖孝はそんな話を沙羅にしたことすら
忘れていたが、すぐに思い出して取引は成立となった。

その週の週末にこの皇国ホテルのワインバーでしこたま飲ませた後で、客室
に連れ込んだ。シャワーを浴びたいというので、聖孝が先にシャワーを浴び
てベッドで待っていると沙羅もバスタオルを巻いてバスルームから出てきた。
聖孝が待つベッドに入って来たがガチガチに緊張していることが伝わって
くる。それでもキスをすると目を潤ませてとろ〜んとしてきて多少は緊張も
少しだけほぐれてきた。

「灯りを消してください」
小さな声で沙羅が懇願したが、聖孝は無視して明るい照明の下で沙羅からバ
スタオルを剥がした。腹筋のシックスパックの割れ目がうっすら見えるくら
い締まっているにも関わらず、張りがある胸は上を向いても形を保っていた。
(いつも着ている地味なスーツの下にはこんな豊満な身体が隠されていたの
か・・・、これはとんだ拾い物だったな。)
そう思ったのを聖孝は覚えている。