■有田聖孝の凋落 ― 9.社長室の屈辱 (2/10)

聖孝は少しくつろぐことにして、社長机の前に設置されているソファーセットに
腰をかけて、TVの電源をを入れCS放送の経済ニュース専門チャンネルをつけた。
TV会議や役員や幹部たちとの小規模な打ち合わせでは
プレゼン用ディスプレイとして使っている70型のサイズのものだ。

しばらくするとドアがノックされ秘書の桜井美咲がアイスコーヒーを
お盆乗せて入ってきた。聖孝が座るソファーの前のテーブルに歩み寄ると、
床に膝をつけ、立て膝の姿勢になって低いテーブルにコースターとグラスを置いた。
低いテーブルにお茶を置くときに社長である聖孝やお客様よりも目線が
高くならないようにという配慮でそうしているようだが、マドレーヌで星玲奈が
飲み物を出してくれるときの動作と似ていて個人的には少しエロティックな
印象を受けてしまう。そこまで丁寧にしなくても良いのではないかと聖孝は
内心思っているのだが、秘書リーダーの竹内晴香が社長の聖孝に良かれと思って
やらせていることなのでそのままにしている。
「どうぞ」
アイスコーヒー出し終えた美咲は盆を脇にかかえドアのところで振り返って
お辞儀をして部屋から出て行った。

今日は早瀬沙羅がリアンアロー社に視察に来ていて、新機能リリースの開発状況に
問題がないかをチェックしている。技術担当の役員の相馬諭が朝から
早瀬沙羅と将司ファンドの融資担当者の対応をしていた。
本来は聖孝も同席して対応する予定だったのだが、一度ならず二度までも
沙羅にアナルで絶頂する恥ずかしい姿を見せてしまったことで、
沙羅と会うことに恐怖心を抱いていた。
沙羅との打ち合わせに一日中同席することには耐えられない。
聖孝は別の予定を入れて沙羅には急用ができたため同席できない旨連絡し、
視終了後に社長室で打ち合わせすることにした。