■有田聖孝の凋落 ― 11.もう一枚の契約書 (1/9)

カーマイン・ナイツが第二戦を快勝した翌々日の火曜日、
有田聖孝はリバーフロントシティを訪れていた。将司ファンドが入居している
高層のビジネス棟を見上げる。五十階を超える高層建築でありながら
ところどころに古典的で格式ばった装飾を取り入れているその建物は
見るものに威圧しているような印象を与える。
これから将司ファンドからの融資の契約に臨まなければならないと考えると、
聖孝は不安で足がすくんでしまう。

高層階用のエレベーターで将司ファンドのフロアに向かう。エレベーターは
豪華な金色の枠で囲まれた鏡張りの内装で聖孝の姿を映している。
仕立ての良いビジネススーツに包まれたがっしりとした体格。
外見は普通のビジネスマンだが、スーツの下は今日も真っ赤な女性用のランジェリーを
身に着けさせられている。スーツの下に何を着ていようが他人に
気付かれることはないはずだが、何かの拍子にこの変態的な行為が
バレてしまうのではないかと緊張が解けない。

エレベーターが将司ファンドのフロアに着くと受付で早瀬沙羅を呼び出してもらった。
沙羅はすぐに現れ、会議室に案内された。最初に訪問した日には
沙羅にクンニを強要され、次に来たときはアナルを犯された部屋だ。
何度もディルドでアナルを犯され、絶頂して失神するという失態を
見られたこと聖孝は沙羅に対しては従順な犬のようになっていた。