■有田聖孝の凋落 ― 11.もう一枚の契約書 (2/9)

「先週の打ち合わせで持ち帰った新機能の開発状況の資料も詳しく見させて
もらったけど特に問題はなかったわ。契約書には将司会長の印鑑も
頂いてきています。」
その言葉を聞いて聖孝はほっと安堵した。この融資が確定すれば新機能を
リリースしてその売上を回収するまでの当面の運転資金への不安が解消される。
徹夜も厭わず作業を続けてくれている開発グループの仲間たちの頑張りが
無駄にならなくて済むのだ。

「将司会長にはあなたが約束を守る信頼できる人物ならこの契約書を渡して
良いと言われてるわ、その判断は私に一任されているの。」
沙羅は勝ち誇ったような意地悪い笑みを聖孝に投げかけていた。

「あなたが約束を守る人物かどうか、まずは今日の約束が守られているかを
下着姿になって証明してもらいましょうか。」
沙羅の言葉に聖孝はおずおずと上着とズボンを脱ぐ。お揃いの赤いレースの
ショーツとガーターベルト、太腿までの長さの網タイツが姿を現した。
契約書の調印が終わるまでは沙羅の言うことを聞くしかない。
だが契約が終わってしまえばもうしめたものだ。もう沙羅の理不尽な要求に
従わなくてもよくなる。それまでは耐えるしかない。

「今日は契約の記念にブラも持ってきてあげたわ」
聖孝のシャツを脱がせるとブラをつけさせた。下半身のショーツやストッキングは
何度も身につけさせられていたが、ブラまでつけさせられるのは初めてだった。
その会議室にはミラースタンドが準備されていてそれに映る自分の姿を見せられた。
鍛えあげられた筋肉に包まれた身体が不釣り合いな女性用のランジェリーに
飾られている。恥ずかしい姿の自分が鏡に映されて聖孝の顔は恥辱で真っ赤になった。