「女自動販売機」

 (…まんま過ぎるな)
 とある田舎の田んぼの畦(あぜ)道の脇に、その自販機はポツンとあった。
 「どれ、今100円くらい小銭は持ってたよな?一体何が出るかくらい試してみるか」
 その日の仕事の帰路について車を飛ばしていた田中だったが、ちょっとした
童心をくすぐられた思いにかられ、車から降りてその自販機に近づいていった。
 「げ?!一回500円かよ…」
 (さすがにやめとくか?得体も知れなさ過ぎだしな―)
 しかし。

 小銭をまさぐって握った手に丁度良く500円玉が。

 (ま、一回ならいいか)

 ガチャ―ガラ、ガラガラガラ……ゴトン!!
 田中は500円を投入口に入れて、ハンドルを回した。
 (なんだかエラい重たかったが…当たりの品の良い景品か?)

 「女セット(Aパーツ)…?」

 田中はその箱を見て、そして中身を開けてみて、笑った。
 「あっはっはっは!な〜んだ、「単なる女装セット」かよ!!そりゃそうだよな!はっはっは!」

 (…あ、ありえねぇ)
 田中はそれから15分後に―
 本当の「女」になっていた。