>>78
 それは、佐々木にとってある意味、「残酷にして幸せな拷問」の時間だった―
 (く、くぅうう!!…身体に力が!は、入らない?!――)
 「それにしてもよくできた身体ですね、佐々木さん?―」
 「?!んあああっ!や?!い、いきなりオッパイを、ん!んっ!も、揉み…しだく、な!」
 (ふああッ!や、安中に!俺、ぎゅむぎゅむオッパイ揉まれ――てッ!?)
 佐々木の頭の中で、真っ白に何かが弾けていく。そして目が泳ぎ、表情から凛とした精悍さが抜けていく。
 「は……はっ……あ…」
「すごい、いい顔になってますよ、佐々木さん」
 (顔?……俺、の…)
 部屋の壁の一角に、一面鏡の壁のところがあり、あらためてここがラブホだと納得する。
 そしてその鏡には―
 全裸で、長い黒髪の、乳首を勃起させている見知らぬ若い女が、
虚ろな顔をして映っていた。
 (こ、これ……俺、なのか?!)
 「じゃあ、そろそろ―」

 佐々木は。

 その言葉を言った安中に対して、もはやこれから起きる事を避ける事はできないと悟った。
 (ああ――これは、もう…)

 だと言うのに。

 鏡に映った佐々木のその顔には、期待に満ち溢れたかのような「微笑み」が浮かんでいた。

 「入れますよ」
 「……ん」

 安中の合図に、佐々木は首を小さく縦にした。
 男の側の亀頭が、花弁の上をなぞり―
 やがてズブリ、と沈み込む。
 この瞬間。

 佐々木にとって安中という男は、もはやご主人様以上の存在へと格上げされた。