それは、佐々木にとってある意味、「残酷にして幸せな拷問」の時間だった―
(く、くぅうう!!…身体に力が!は、入らない?!――)
「それにしてもよくできた身体ですね、佐々木さん?―」
「?!んあああっ!や?!い、いきなりオッパイを、ん!んっ!も、揉み…しだく、な!」
(ふああッ!や、安中に!俺、ぎゅむぎゅむオッパイ揉まれ――てッ!?)
佐々木の頭の中で、真っ白に何かが弾けていく。そして目が泳ぎ、表情から凛とした精悍さが抜けていく。
「は……はっ……あ…」
「すごい、いい顔になってますよ、佐々木さん」
(顔?……俺、の…)
部屋の壁の一角に、一面鏡の壁のところがあり、あらためてここがラブホだと納得する。
そしてその鏡には―
全裸で、長い黒髪の、乳首を勃起させている見知らぬ若い女が、
虚ろな顔をして映っていた。
(こ、これ……俺、なのか?!)
「じゃあ、そろそろ―」
佐々木は。
その言葉を言った安中に対して、もはやこれから起きる事を避ける事はできないと悟った。
(ああ――これは、もう…)
だと言うのに。
鏡に映った佐々木のその顔には、期待に満ち溢れたかのような「微笑み」が浮かんでいた。
「入れますよ」
「……ん」
安中の合図に、佐々木は首を小さく縦にした。
男の側の亀頭が、花弁の上をなぞり―
やがてズブリ、と沈み込む。
この瞬間。
佐々木にとって安中という男は、もはやご主人様以上の存在へと格上げされた。