>>85
 佐々木は、安中にひとしきり犯された後、自身の心を悟られまいと振る舞うのに必死だった。
 (い、今の気持ち…聞かれたら、流石に―)
 「…―ん?佐々木、さん?」
 「―…ッン!な、何?安中…ま、まだ私を、犯し足りない?」
 尻の牝穴から安中のペニスを抜き、解放された佐々木は、無意識の内に、M字開脚で
秘所を相手に見せつけるようにして相手の方を向き、それに自分で気づき、慌てて股を閉じた。
 「い、今の!さ、誘ったんじゃないんだ!…」
 「そ、そう」
 (…アレ?なんだ、この不発感…)
 「なら、今日はもうこれで―」
 「え?もう帰る?」
 (…こ、こんな不安になるなんて、俺っても、う―…ッ?!!)
 それは。
 振り返り様の、安中の突然のハグとキス。

 「―嫌なら、僕を突き飛ばしてでも拒否してください」
 「ん」

 (…舌、入れちゃう)
 佐々木は言われるまでもないと、そのハグ、そのキスを更に求め―
 「…女、だよ。もう、とっくの昔に―安中の」
 「まだ…続けるんですか?」

 佐々木は言葉でなく、舌使いと目線、指先で安中の肉体を擦り、甘く荒い吐息をたてて肯定の意思を表した。

 そして、それから安中の徹底した意識としての(佐々木壊し)が始まった。
しかし、それは安中が意図して行っていたわけではなく―

 (お、「俺」が………「私」に、なって……い…く…)

 佐々木自身に牝としての感覚、快感を前に為す術がなかっただけの話だった。