「そう、だった…!」
 光一の瞳に意思の光が宿る。
 相手は、得体の知れない宇宙人勇者―
 それでも。
 「…相手の事をよく知ろうともせず、いきなり嫁になれだの、するなんて発言をするような人に」
 光一は、勇者の目の前に立ちふさがって。
 「(彼女)は渡せない!」
 堂々と宣言した。
 (光一ッ?!!…)
 祥子(元・卓也)は、少しだけ、彼のその言葉に、そしてその雄々しさに震えた。
 (く、悔しいけど…何か嬉しい…)

 しかし「勇者」側も引く気配は全くなく。
 「少年よ。私もここまで来て、なんの収穫もなく、ただ黙って引き下がる気はない」
 勇者の姿が、全身を覆う何かの金属製の鎧姿へと変わり。

 「より強い子種を得るきっかけを見出だした今、障害となる者は、全力で排除させてもらう!」
 学生服の男子生徒へ、勇者は無情な全力の一撃を放っていた。

 「「「?!」」」

 しかし、訪れたのは惨殺死体が転がる校庭の景色ではなく―
 「ま、間に合ったわ〜!」

 ミラクル・マーチが展開した、現実から隔離された異次元の空間だった。