【NTR】 

「……んんっ…?」
はじめは不意に目が覚めた。腕時計を見てみると、まだ午前1時を回った所だ。
(………まだこんな時間か)
そう思い、目を閉じて再び眠りに就こうとすると、何処からか声の様なモノが聞こえた。
(………?)
「…あ…ん…」
気の所為では無い。確かに女の声…いや、呻き声が聞こえる。
完全に目が覚めたはじめは、ふと隣に敷いてある布団を見た。隣で寝ている筈の友人の姿が無い。
今日、はじめは幼馴染みの美雪と友人の草太の三人で、海へ泊まりで遊びに来ていた。
雰囲気が良いと二人がやけに奨めてくるので、ホテルでは無く、古びた民宿を選んで泊まる事にした。
泥棒などが出ない土地なのか、男二名が泊まる部屋と美雪が泊まる部屋は襖のみで仕切られた、あっさりした造りだった。
着替えを覗けるなどと冗談を云い、幼馴染みに殴られ、友人に苦笑されたのを、はじめは思い出す。
(こんな夜中にどこ行ったんだ、草太の奴…トイレか?……それにしても…この声…)
「…くぅっ…ああっ…」
「うう…ちゃん……」
男の呻き声まで聞こえてくる。間違い無い。その女の声は幼馴染みのモノであり、そして男の声は紛れもなく草太のモノだった。