大方僕達のショーが予想以上の収入になったので、稼ぐ為の投資なんだろうけど、僕達は冒険者であって風俗職じゃないんだけどなあ……。
彼女は床に手を突いて盛大に項垂れ、後輩はこんなに多くの人に自分の裸体を晒す事に、ちょっとしたハイテンションになっているようだ。



店内にショーの始まりを告げる音楽が流れ出す。僕、彼女、後輩が大勢の観客の待つ、ステージに上がった。
普段なら最初から全裸で踊ったり、忍び装束を来て客の前で少しずつ脱いで楽しませるのだが、今回の『いつもの』は少し違った。
全員忍び装束は着ているが、よく見ると正規の物とは違うように見える。
次の瞬間、彼女は手刀を後輩へと繰り出した。後輩も事前に察知していたかのように、迎撃の為に手刀を突き出す。
忍び装束の薄い布地で覆われているだけなのに、彼女と後輩の手刀がぶつかった瞬間、金属と金属がぶつかった音が響き渡る。
初見の観客等は驚きの声を上げる中、その衝撃は凄まじく、手刀が激突した部分の布地には、切れ目ができてしまう。
続いて二撃、三撃と手刀の応酬は続く。僕の目前で彼女と後輩は手刀を紙一重で躱す、相殺を繰り返す中、衣類全体に切れ目が増えていく。
切れ目が増えていく反面、切れ目から覗き見える素肌には、傷も打撲も出血も見当たらない。
全裸でも問題なく戦闘を可能とする忍者の強靭な身体。素手で敵対する者の首を切断する程、業物の武器に匹敵する鍛え上げられた手刀。
そして扱う人間の技量、この全てが組み合わさる事でこのような演武ははじめて成り立つ。
全力でぶつかり合いつつ、相手にかすり傷さえ負わさず、衣服のみを切り裂くという……。
舞台の外には、様々な視点・角度からの彼女と後輩の演武が投影されており、それが一層の迫力を醸し出す。
この為に僕も、彼女も、後輩も、装備としての忍び装束ではなく、一番安い布を使った、悪く言えばパチモンの忍び装束もどきを着ていたのだ。
この演武の為に本物の忍び装束を一々切り裂いていたら、一体どれだけの出費になるのか……考えたくもない。
彼女と後輩は忍び装束もどきが切り裂かれ、肌の露出が増えつつも、一進一退の攻防を繰り広げた。
彼女は後輩が僕達の隣に並ぶ資格があるか見極める為に。後輩は想い焦がれていた僕の隣に並びたいが為に……。
男冥利に尽きるが、何もこんな所で確かめなくても……。でも股間は正直で、布地の上からでもわかるくらいに僕のペニスは勃起していた。
やがて後輩が大きな賭けに出るかの如く、一気に距離を詰めて大振りの蹴りを彼女へ放った。
鍛えられた忍びの蹴りは、手刀と同じ鋭さを誇る。彼女はとっさに回避するも避けきれず、胸元は大きく切り裂かれて、乳房が零れ出る。
彼女は目もくれず、反撃の手刀を放つ。その際に身の詰まった片乳が美味しそうに揺れ、男の観客の視線が集中する。
手刀は後輩の太ももの布地を裂き、カモシカのような美脚を露わにさせる。後輩は頭部へ向けて手刀をカウンターのように撃ち込んだ。
彼女は紙一重で避けるが、被っていた忍び頭巾は切り飛ばされ、素顔が外気に晒される。
だがいつまでも負けている彼女ではない。懐に近づけたのをいい事に、後輩の胸元へ手刀を横薙ぎした。
忍び装束は真横に大きく裂け、2つに実った熟しつつある果実を連想させる胸が飛び出し、ブルルンという音が聞こえる位に盛大に揺れる。
その反動で僅かにバランスが乱れたのか、後輩の体勢が崩れそうになる。追撃のチャンスが来たと思った彼女はさらに追い打ちをかける。
しかしそれは後輩の罠だった。後輩は崩れそうになる体勢を利用して、下から上へと振り上げる勢いで手刀を斬り上げた。
追い打ちをかけようとした彼女は回避する暇もなく、右の足元から股間を経由し、まだ布地で覆われている左半身まで一気に切り裂かれた!
忍び装束もどきが切り裂かれる音が店内に響き渡り、彼女はよろめきながらも体制を立て直そうとする。
布地はまだ身体には残っているが、既に左右の乳房、恥毛が露出していて、右脚と左肩も隠してある部分は殆どない。
それでも闘志を捨てず、僕と一番付き合いの長いのは自分なんだ。と言いたいが如く、彼女は後輩へと突撃を仕掛ける。
後輩も蹴りと手刀を織り交ぜた迎撃を繰り出し、彼女は両腕で凌ぎながら接近するが、代償に一番多く残っていた布地がドンドン減っていく。
やがて左脚以外の布地が殆どない、ほぼ全裸の状態になった彼女は、最後の一手とばかりに全身全霊の蹴りの乱打を撃ち込んだ。