それは不器用で、見ていてハラハラするほどだ。
けれど最後にはきちんと成し遂げて、その度に多くの人たちの運命を変えたと思う。
控えめに言っても、それは幸福よりだったろう。

不器用な戦いは無駄ではなかった。傷ついた分、死に直面した分だけきっちりと、そいつは人々を救えていたんだから。

……けれど、そこに落とし穴が一つある。目に見える全ての人、と言うけれど。
人は決して、自分を見る事だけはできない。

だから結局。

そいつは一番肝心な自分自身というやつを、最後まで救えなかった。