正義の味方などいない。
おまえの理想は偽りだと、誰よりも思い知った心で、その心を叩き伏せた。
歪だった心は耐え切れず崩壊する。
少年が、己が矛盾に食い殺されるのは明白だった。

だが、屈する気配など何処にあるのか。
綻びた肉体、解けようとする精神を抑えつけて剣を握る姿に、一辺の偽りもない。

鬩ぎ合う剣戟の激しさは、今までの比ではない。

少年はがむしゃらに剣を振るう。
拮抗する両者の剣戟。

空間は火花に満ち、立ち入るモノは瞬時に切り刻まれる。

それは、反発しあいながらも溶け合う、両者の心の具現だった。