「フフフッ・・・あの写真を見た時の、アイツの顔ったらなかったわね」
和室でお茶を飲んでいる着物姿の静香は、今朝の出来事に思い出し笑いをしていた。するとそんな時、部屋に設置されている警備システムが、異常を伝えてきた。
『邸内に侵入者発見!これより第一級阻止体勢に入ります!』
そのモニターには、豪介と山田の姿が映っていた。すでに見つかった事など気付かずに、キョロキョロと辺りを見回している。
「まあ、アイツったら、あんなアホ面さげちゃって・・・」
豪介達の滑稽な様子を見た静香は、クスリッと笑みを零した。美崎家の警備システムは厳重である。そのセキュリティーに挑むとは、無謀にも程があるというものだ。
「さあて、あたしはお風呂にでも入って寝ようかしら。・・・あいつら、どこまで来れるかしら?」
余裕の笑みを浮かべる静香は、入浴の為に着物を脱ぎ始めていった。

「誠くぅん・・・ボク、もう疲れちゃいましたよぉ〜・・・す、少し休みませんか?」
広い美崎邸の庭を進む豪介達。しかし、なかなか邸宅へと辿り着かない為、疲れた山田が弱音を吐いた。そんな山田を励ます様に、豪介が声を荒げた。
「バーカ、まだ屋敷まで随分あんだぞ!もう少し我慢しろっ!」
すると、そんな彼等の目の庭先が盛り上がり、突然警備員達が現れた。
「チッ、待ち伏せされてたのか!?こうなったら強引に敵を突破してやらあっ!俺に続けえッ!!」
豪介はそう言うと、警備員達に立ち向かっていこうとする。そんな豪介を尻目に、逃げる山田。
「な!?てめえ、なんで逃げんだよォ!」
「誠くんだって逃げてるじゃないしゅか!!」
警備員達の攻撃に、豪介達は逃げまくった。警備員達は迫撃砲でも使っているのか、豪介達の後方が爆発を繰り返している。まるで戦場の様に、あちこちで爆発し、粉塵が美崎邸の庭に舞っていく。
かなり危機的状況ではあったが、おかげで周りが良く見えなくなってしまっていた。その為、豪介達を追跡していた警備員達も、その姿を見失ってしまった様である。豪介達は、この隙に逃げ切ろうとした。
そんな時、何とか逃げ続ける二人の身体が、突然ガクンッと落ちた。
「え?」「おわっ!?」
二人は美崎邸の庭にあった穴に落ち、深い暗闇の中へと消えていった。