「これだけやっても無理なのか。やはり、……女だけで鎮静化させるのは無理なのか。最終的には、男を使うしかないというのか……」
「ま、あたしは困んないけどね! いつでも発情マックスの爆乳かわい子ちゃんを愛しモードの犯りホーダイ、空気のようにレズセックスするエアーエッチの新世界、
 ロック開けたら5秒でレイプな貝合わせ常時接続の最高にイイモビルスーツ整備環境でこいつぁユビマンキタッスね……まだまだヤリ足りないしぜんぜん飽きない。天国では?」
「私はもう疲れたから言っているんだ」
 マコトは心底疲れ切った表情で頭を振った。
 憔悴したマコトと裏腹に、ウェンディの血色は良い。肌艶はいつにも増して輝いて動きは軽く、しぐさと表情にも余裕がある。
 MS整備班長として表で業務に当たっている直の時間以外は、ほぼ不眠不休でこの少女を何度も何時間もかけて繰り返し犯し続けていたはずなのだが、今なおこの状態を維持できてしまっている。
この旧友にして悪友はやはり人間ではないのかもしれない、と今更ながらにマコトはそう思う。
「まあ、それなら最後の手段だね。そのへんの若いの誰か適当に捕まえて、ちんぽブチ込ませちゃえば?
 ゴム付けさせるか、それだけじゃダメで最悪中出しまでさせることになっても、気絶したあとですぐに避妊処置すればなんとかなるでしょ。
 たぶん。それこそガチのゲイでもなけりゃ、あの娘が相手だったら大体誰でもおっ勃つだろうし――」
「それだけはダメだ」
 大前提を崩そうとするウェンディの提案を、マコトは即座に却下する。
「ここで男を使えば彼女を確実に『安全化』することは出来るかもしれないが、男を巻き込めば、その彼に事情を知られることになる。私とウェンディ以外に、秘密を知る人間はこれ以上絶対に増やさない」
「ま、そうだよねぇ。……これ以上、あたしらの事情に巻き込めないか……」
「クライネ伍長の事例がある。男と合体させなくても、どこかに突破口があるはずなんだ。まずは態勢を立て直して、続ける。それでも、このまま無力化できないなら……構わない。むしろ、このままデータを集め続けるんだ」
 静かに呟きながら、マコトはウェンディを睨んだ。
「彼女には、実験台になってもらう。彼女からデータを取っていけば、この謎めいた『力』の正体について、何か新しいことが分かるかもしれない。地球圏は――そして新サイド4は、これから荒れる。
 エゥーゴの新型機に乗っていたあのMS隊長も、『力』の存在を知ったうえで彼女を拾いに来ていた気配があった。気のせいとは思えない。
 おそらくほぼ確実に、私たち以外にも『力』について知ったうえで、利用しようとしている連中がいる」
「となると――」
「一年戦争で異能を示したアムロ・レイたち『ニュータイプ』が、連邦中央へ公に存在を知られてどうなったか。雨後の筍のように林立したニュータイプ研究所とやらで、何が行われたか……。
 私は、……私たちは、ああなってやるつもりはない。これ以上、誰にも知らせない」
 悪いことにあの少女はすでに、自分が不死の『力』を発揮したことを強固に認識してしまっている。
 曖昧さに付け込んで誤魔化すことが出来たアイネのときとは違うのだ。今さら捕虜として表に出すことは出来ない。
 上級部隊に引き渡して情報部が尋問することになれば、『力』の存在をすぐに広く知られてしまうことになるだろう。
 マコトにとってそれは、絶対に避けなければならない最悪の破滅を意味していた。
 マコトは部屋の一点を見ながら淡々と、しかし言葉に強い意志を込めながら続ける。
「私は私たちの平穏な未来を守る。だからあのエゥーゴ部隊は、どんな手を使ってでも確実に潰す。そのためには私たち自身も『力』について知る必要がある。
 私たちは『力』の秘密を暴いて手元に隠すが、その存在を知って利用しようとする者たちは、敵だ。このまま闇に葬らせてもらう」