奇妙な出来事に悩まされてたよな、俺は)
―顔が半分溶解していた女性
(通学最中の電車内で確かに見たんだ)
―自分の影に逃げられた女性
(でもその翌朝、幼馴染みのタマや他の連中にこれを話したら、何も覚えてなかった…)
―矢野さんに※された女生徒。
(明らかにアレは、手が胸を貫…ん?女性ばっかか、被害者(?))
「…何してるの?置いてくわよ」
「あ?!すまん、待ってくれ!今行く!」
今日綾と公の二人は、この世界の真理を知るという「妖精の王様」に会いにいく、
という話で、二人して綾の自宅を出て先を急いでいる最中でもあった。
(過ぎた過去の話…として忘れた方がいいのかな)
「王様に会えれば、いよいよこの世界の全ての「謎」が解けるわ…」
「謎、ねえ」
「…どうしたの?普段のあなたはもっと喜ぶと思ってたけど」
「その妖精の王様とやらに会って、この世界の謎が分かるなら、それはありがたい話なんだけどさ」
公が腑に落ちないのは、綾自身の焦りにあった。
「君がそこまでして探そうとしてる割に、自分のしている事に今一つ自信を持てていない、
そんな気がしてね」
それを聞いた綾は。
「あなたに私のなにが分かるって言うのよ?!」
珍しく、感情を剥き出しにして大声で叫んだ。
「あ…ご、ごめん」
「いやいい。綾の、君の気持ちを推し量るような事を言ったのは、こっちに非があると思うし」
「そ、そう?…あと、なにげなく今私の名前を呼び捨てにした事は忘れてあげる」
「和辻綾さん、ごめんなさい」
「殴るわよ!!」
二人はそんなこんなで、妖精の王様の所への旅を続けた。