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 常人にはとうてい耐えられない臭いになっているのだが、日常強烈な汗臭の充満する面の中で長時間過
ごす彼らにとって、汗臭はつきものであり鈍感になっているのだ。
 そして汗臭い防具は激しい鍛錬のあかしであり、決して恥じるべきものではなく、むしろ誇りとなるべ
き存在である。剣士たちはそれが発する臭いを、嫌悪してはならず、むしろ好ましいとすら思えるように
なることを強要される。そのため毎日猛暑の中を、取れないようにされた防具の中で堪え忍び、鍛えられ
るのだ。