(続き)
【3ーb、女の小便】
性転換での収穫は、トイレにいくたびに、「男」じゃなくなってしまったんだと
毎回気付かされることであり、それがおれにとって最大の感動でもある。
おれはいまだに小便の出方が女のようになってしまったと思うたび興奮する。
ドアをあけて個室の方に入らなきゃならない。滴った尿のために糞したわけでも
ないのに肛門まで拭かねばならない、この屈辱。出てる最中は、小便が割れ目の中
で暴れたり股間に滴ったりして、尿の生暖かさを感じるし、小便が便器の中の水に
当たる音、女の小便に独特の広がって渦巻いて流れ出る「シュワージュルジュ
シャー」という独特な音が聞こえる。
これも大きな快感だが、股間を拭くだけではなく、小便が散らばったり垂れて
きたり引っかかったりして、ふとももや尻まで拭かなければならない。
そしていつまでも切れの悪い小便。尻を上下にふってみっともない思いをしながら
雫をきったつもりが、パンツをはくと冷たかったりする。
和式なら、便器を飛び越したり足首に引っかかったりハミ出して床に垂れ流したり。
おれはしゃがみ方や足の位置を工夫したりカカトと尻を浮かし気味にして左右に尻
を動かして調節したりと必死だがかならず無駄な抵抗に終わる。
洋式なら便器から飛び出して前の方にこぼしたり、尻と便座の間に尿が回って
ふとももまでびしょびしょになったり。洋式は尻の位置は固定されるため和式の
ように工夫すらできない。なされるがまま。中腰にして尻を浮かしてやると飛び
散ってもっと悲惨なことに。(それでも汚い公衆トイレでは便座から尻を浮かして
中腰でやるが。)
・・・など、屈辱と羞恥にまみれた毎日のたいへんな手間がある。それでおれの
排尿器官は壊れた水道管みたいに形状も機能も破壊されてしまったと思い知る。
いちいちズボンとパンツを降ろし、糞するわけでもないのに女のようにケツを
さらしてやってるのに、おれは小便も満足にできない、生まれもつかぬ女になって
しまった。いや、ほとんどの女性はトイレできちんと用を足しているのだから、
女以下になってしまったことを否応なしに思い知らされる。その屈辱妄想を、股間
を拭く時の指の刺激がますますヒートアップさせ、トイレの中で射精してしまう
ことすらある。
(続く)