偶然、姉がいたことを知った私は、そのことを両親に確認した。
素行が悪く、家庭内でも暴力を振るうなど手がつけられず、離れの小屋を自分専用に改造して住んでいた。
それが何時からか行方知れずになり、その後姉が死亡したので書類を作成したいという人が来たのでそれに従った。
「葵にはそんな最悪な姉がいたことを知って欲しくなかったから・・・」
説明の最後に両親はそう言った。その時の私はそれで納得した。
それから数年後、両親が事故で死んでしまい身寄りがなくなった私の援助をしてくれたのが佳奈さんだった。
学費や生活費も全て出してくれ、肉親の様に接してくれた。やがて佳奈さん達が運営しているクラブの手伝いをするようになる。
(こういうことを望む人達の欲求を叶えてあげてるんだ・・・)
私は改めて佳奈さん達を尊敬した。そしてある時、本当のことを知ることになった。
姉と両親の本当の関係、ロビーにあるオブジェが私の姉だということ等を佳奈さん達が話してくれた。
「葵達にクラブの運営を引き継いでほしい。そしてテスターが必要になったらオブジェをテスターとして復活させても構わない」
最後にそう言われた私は、すぐにそれを受け入れた。程なくして、佳奈さん達が引退、私たちが新しい運営者になった。