「佳奈さん達は、悠々自適の生活をしてるみたいです。最近はプライベートジェットで世界中を旅行してるとか」
葵はそう言って説明を終えた。そして拘束されている私の体を撫でる様に触りながら笑顔で言った。
「実際のお姉ちゃんの顔や声を知りたいけど、ここまでしか拘束を解くことはできない。ちょっと残念だけど佳奈さんから頭部の模型と声を録音してるレコーダーを貰ってるからそれで満足してる
 やっぱり私のお姉ちゃんだね。因みに私たち3人とも同じ歳。丁度お姉ちゃんがこのクラブに通い始めた歳と同じだよ」
その時、スマートフォンの着信音がなり、葵は白衣のポケットからスマホを取り出し話始めた。
「はい・・・。うん、丁度説明も終わったから今から行く・・」
「それじゃあ、お姉ちゃん。後でお部屋に案内するからここで待ってて」
そう言うと、葵は部屋を出て行ってしまった。
(あれがあの時小さかった葵・・・。それだけの年月が経過してたんだ・・・)
私はその時のことを思い出していた。
(またあの頃みたいな日常が始まるのかな・・・)
漠然とそんなことを思っていた。