そういう意味では、この錠にはお飾りぐらいの意味しかないかもしれないけれど、
それはこの貞操帯のつくりをよく知ってよく感じさせられている私だから考えられること。

事前に説明として知ってはいたにしても、

おなかに居座るものに否応なく息を上げさせられる感じとか
胸やあそこの先に体の中から力がかかる感じとか
いくつもの責め具でいじくりまわされた上からみっしりとそこを押さえつけられる感じとか

自分で体に受け入れてみないと知りようがないことは、やっぱりたくさんあって。
それを知ったころにはもう手遅れ。からだを締め付け手足を縛られたまま、錠が下ろされるのを待つだけの姿。

「やだ....やめ....」

こんな、むちゃくちゃな矯正器具みたいな帯と
それを人の体に鍵をかけてまで身につけさせようとするここの人たちは
49番さんには、どういうふうに映るんだろう。

「お願い―――」

下半身を押さえつける板が全部集まる下腹のあたり、そこに番号入りの錠前がぴったりと填めこまれる音は
49番さんには、どういうふうに聞こえるんだろう。

「あ....ああぁ....わたし....」

カツン。そんな感じの。

私が聞いたのは想像していたよりも随分と軽いというか、あっけない音だった―――