随分と、気力を使ったような気がする施錠式も、首輪以外の枷の中に49番さんを入れ終えたところでそろそろ峠。
そう。こうしてみてみると、枷を巻いて填める。というよりも枷の中に入れるっていったほうが私にはしっくりくる。

厳しい装具を体に受け入れる間ずっと、49番さんの手足を縛って封じていた拘束台と革袋の役目もこれで終わり。
49番さんを立たせた後は、耳管プラグ用のスタンドと一緒に部屋の隅にどいててもらう。
ただし、装具ワゴンはそのまま。で、私はいったん49番さんの後ろにさがる。
....でよかったっけ。ダメ出しの声が降ってこないってことは、きっとあってるはず。

「ふ....んふ....」

枷だらけの体で立つ初めての地面を踏みながら
舞台、みたいにさえ見えてくる処置室の真ん中で、席を背に立つ49番さん。と、49番さんに向かうように立つ井上主人。

私はというと、49番さんの後ろ脇にいるだけ。
下着だけで立った49番さんを見てると、枷の太さというか幅が変らないからだろうか。
私のよりかなり小さいサイズで作られているはずなのに、なにか、どこか私のよりかえってごつく見えてしまう。

お尻の間を通る2つのシールドの間を繋ぐようにしてお尻の穴だったはずのところに作られた立派な鍵穴。
鍵穴のサイズだけで言えば枷に嵌め込む錠前についてるものよりも大きくて、地上のその筋の人が見れば、
世の中にはアナルで施錠するタイプの貞操帯もあるのか! なんて思う人もいるんじゃないかってぐらいの大きさ。

鍵穴と一体になった筒がおしりの、体の中へ伸びている事の意味は、その大きさが中までずっと続いていることで。
やっぱりそんな大きさ長さの異物のやり場がないのか、じっと立っていながらも時折おしりがぐぐっと動く。

人前で服を脱ぐことがあんまりないのと一緒で、
他の子もみんな私と同じものを着こんでるのは知ってても
他の子の“下着姿”を実際にまじまじと見ることはこんな場所だとしても意外となくて。

体中に固い金属がまとわりつく窮屈さとか、体の穴の中、言ってしまえば内臓に埋め込まれたものの悩ましさとか
それか、この先の施錠式の続きへの緊張とか。
そんな内に抱いたものまで見えてきそうな姿、あるいは仕草を眺めてしまうのは、ちょっと後ろめたい。