ロッカールームで、プレートに私の名前が書かれたロッカーを見つけ、扉を開けると私の着ていた服と靴が綺麗に入れられていた。
 (誰かが入れてくれたんだ・・・)
 私は、今着ている服とブーツを脱ぎ、ラバースーツの上からその服を着て、靴を履きなおした。さらにゴーグルとマスク、コルセットを偽装する器具を装着して、最後に帽子を被った。
 そして壁にかかっている鏡で自分の姿を確認した。
 (これなら、大丈夫かな・・・。でも、近くに来られたら気づかれるかも・・・)
 少し不安に思いながらも、私は空の紙袋も服やブーツと共にロッカーに入れて、扉を閉めた。
 (他の人達もここを利用しているのかな・・・)
 ふと、そんなことを考えて他のロッカーを見てみると、私のロッカー以外のプレートには何も書かれていなかった。
 (ここを使っているのは、私だけ・・・?)
 そう思いながらも、私は流動食が入った紙袋と持って来たショルダーバックを持ちロッカールームを後にした。
 (そうだ・・・。あれだけ持ってれば・・・)
 下にエレベーターで降りる途中、私はショルダーバックからお財布取り出し、電子マネーのカードだけを服のポケットに入れた。
 (ある程度、チャージしてるからこれさえあれば・・・)
 エレベーターで1階に降りると、結月さんがいた。
 「お疲れ様。ごめんなさいね。今日は仕事が忙しくてあなたのことを見れなかったわ」
 「どう?今日一日過ごしてみて」
 「千晶さんにも言いましたけど、何とかやっていけそうです。気を遣わせてしまってすみません」
 「そう。それじゃあ、気をつけて帰って。また明日」
 「はい。お疲れ様です」
  そんな会話をして、私はクラブを後にした。