海士が海底から手綱を引っ張るタイミングを推し測り、阿吽の呼吸で全力で引き上げられないと事故につながるのでその役目は運命共同体と言える夫や家族にしか任せなかったそうです。
手綱を引っ張る役目は神経をすり減らすから短命になると言われていたそうです。
危ない目に合うと海士は激しく叱責したそうです。手綱を引っ張るタイミングが上手ければ上手いほど海士は海底でぎりぎりまで漁撈活動が出来る訳です。それでも手綱を引っ張るタイミングを誤って海士が岩場の間に引っかかるような事故は時々あったそうです。
そうなるとよほどの海士の手助けがないと現場に救助にいけません。

海士の恥である失神状態で引き上げられた時は容赦なく髪の毛引っ張ったり、顔を叩いたりして起こしたそうです。それでほとんど蘇生できたので大したものです。
海士は耳は遠いが目は良いというのは当然です。目が良くないと獲物は探せません。
兎にも角にも海士稼業は厳しい世界なのでその婿養子に入る者はロマンも妄想も何もなく、海士の厳しい統制下で神経すり減らし、妻よりも短命だったそうです。
でも海士は大都市で男を誘惑する時はうちへ婿養子に来れば食いっぱぐれは無い、美味しいものを一生食べていられるし好きな学問もやってて構わない。という必殺文句で釣り上げていたそうです。

大変長くなりました。興味のある方がいらっしゃるかとも思いカキコしました。