撮影開始は、午前11時からとなった。
それまで、撮影用の着替えを済ませて現場に集合、との指示が後藤から出された。
撮影用の着替えといったって、俺はそのままじゃないか。

そんな惨めな俺の気持ちをよそに、俺が隠れている部屋の外では、巧と明美の無邪気な笑い声が響いていた。
「本当に何もない島よね〜。でも、海がきれい。」
「撮影の後、泳ごうか?」
「え〜!?  水着持ってない。」
「水着なしで泳げば?」
「バカ!! 巧のスケベ!!」

扉の外での後輩たちの無邪気な声。
彼らは、自分の背後のドアの向こうに、先輩が水着なしで息を潜めていることに気づいていないらしい。

やがて声は遠のいて行った。彼らは一足早く、撮影現場へと向かったらしい。
俺も、行かなければ…。
だが…。俺はまた、自分の股間のモノに目を移した。
さっきほどではないが、それはまだ、十分に固く勃立したまま、おさまる気配がない。
全裸を晒すことは、まのがれないにしても、せめてこれだけは何とかならないだろうか。
これでは、本当に変態である。