DS  2007/05/04(Fri) 20:35
スタジオの裏は、鬱蒼とした林が続いていた。
俺は、裏口に置いてあったサンダルを履くと、迷わず林の中の小道を駆け出した。
道は、少しぬかるんだ場所もあったが、茂みは思ったほど深くなく、走りやすかった。

足を激しく動かすと、腰の結び目が弾けて、タオルがふっとびそうになる。
俺は、それを手で押さえながら、夢中になって走った。
ペタペタと、サンダルと裸足の足がこすれる音がする。
今はとにかく、スタジオから少しでも遠くに離れなければ…。

昨日、後藤に連れられて行った浜辺。
あの付近に、何艘かのボートが置いてあった。
とりあえず、そのボートでこの島を脱出しよう。

タオル一丁の姿で、俺にそんな大冒険ができるのか。
よくわからないが、このまま、あの男たちの言いようにされるよりは、はるかにましな選択である。

時々、後ろを振り返るが、追っ手は来ていない。
俺の脱走には、誰もまだ気づいていないようだ。