俺は、春の背中にそっと手を入れた。
まだ起きない。
その手を、ゆっくりと腰へ滑らせる。
彼の肌はとても熱かった。
いや、俺の手が熱いのかもしれない。
そんなことはどっちでもいいのだが。
俺は、腰に当てた手を再びゆっくりと下へ動かし、
春のズボンの中へ指を入れた。
中指が谷間のはじまりに触れる。
そのまま、じっくりと、肌の感触を確かめるように指を這わせる。
どんどん手がズボンの中へ入ってゆく。そして・・・

突然、手首を掴まれた。
心臓が止まるんじゃないかという驚きに、体が硬直する。
見ると、春の手が俺の手首を
がっちりと掴んでいた。
終わった。
どこから起きていたのかは知らないが、
俺の手が春のズボンの中へ
入れられているこの状況を見て、
どう言い逃れできようか。
俺は思わず泣きそうになった。
今まで築いてきた関係が、
音をたてて崩れさってゆく
ような気がした。