写真:左がストレート、右が同性愛の男女の平均顔
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そして、その特徴をもとに、男女の性指向を推測させたところ、男性では91%、女性では83%の精度で同性愛者を特定することができたという。
生身の人間が他人の顔画像だけから性指向を特定した場合、その精度は男性では61%、女性では54%ほどだったというから、AIの驚異的な精度の高さがお分かりになるだろう。
研究者らはこの結果を「脳が知覚し、解釈する以上の性指向に関する情報が人間の顔には含まれている」と分析、
また、同性愛者は同性愛者として産まれること、つまり、性指向が誕生前に特定のホルモンに曝されることで先天的に決定するという学説を強力に支持するものであると語っている。

■深刻なプライバシー問題を招く可能性も

有色人種が研究対象に含まれておらず、トランスジェンダーやバイセクシャルの人々を考慮に入れていないなど複数の問題点が指摘されているが、それを考慮しても十分有効な研究結果であると考えられる。
この技術を悪用すれば、ネット上や政府のデータベースに存在する無数の顔画像から、本人の許可を得ることなく、
当人の性指向を特定することができてしまい、極めてセンシティブなプライバシー問題を惹起することになる。
たとえば、同性愛に極めて不寛容なロシアなど、LGBTに否定的な政府が飛びつくことは目に見えているだろう。

「この技術は確かに厄介なものです。新しい技術は常にそうですが、不適当な人物の手に渡った場合、
あらゆる間違った目的のために使用されるでしょう」(トロント大学準教授ニック・ルール氏)

コシンスキ氏らによると、将来的には性的嗜好のみならず、政治思想や心理状態、性格を顔の特徴と関連付けることも可能になるという。
しかし、何度も繰り返すが、このような技術は映画『マイノリティ・リポート』やアニメ『サイコパス』のように、
犯罪傾向にあるというコンピュータの予測だけで、未だ罪を犯していない一般市民を逮捕する理由を作り出してしまうことになりかねない。

内面の自由が許されず、私的領域が確保されない社会は、最悪の社会と言って差し支えないだろう。
今回の研究が監視社会への第一歩とならないことを祈るばかりだ。

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