路上喫煙者に"顔面パンチ"した男の末路 ■“正義感”の発露。その代償とは

昨夏のある晩、見知らぬサラリーマンと路上でケンカになった。
泥酔していた私が路上喫煙していた相手に腹を立て、激しい口論の末、相手の顔面に、思い切りパンチを打ち込んでしまったのだ。
ヤジ馬の通報で警官が駆けつけ我に返ったものの、時すでに遅し。私の両手には手錠がかかっていた。
告げられた容疑は、傷害。呆然とするなか、顔から血を流していた相手は救急車で運ばれていった。
一方、私がパトカーで連行されたのは地元警察署の取調室。そこで私服の刑事から3時間以上、調書を取られた後、指紋登録や写真撮影などが行われた。
いかにもな犯罪者扱いに気が滅入ったが、私が本当に絶望したのは、取り調べを終えた刑事の言葉だった。
「じゃ、今から留置場に入ってもらうから準備しようか」 留置場! 罰金を払っておしまいではないのか!
逮捕された人間は留置場に入れられ、いずれ起訴となる。
知識ではもちろんわかっていたものの、“逮捕”という事実が我が身に及ぶと、現実として受け入れられなかった。
刑事によれば、留置期間は最低でも2日、場合によっては約3週間におよぶ可能性もあるという。
目の前が真っ暗になりつつも、まず私が思ったのは妻に連絡を取ることだった。すでに時刻は真夜中。
私が帰らぬことを心配しているに違いない。スマホの入ったカバンに手を伸ばすと、刑事の声が飛んできた。
「ダメダメ!  留置中は外部との接触は一切禁止だから」
妻に連絡が取れない。それはつまり、会社を無断欠勤するということとイコールである。もう最悪だ!