「よっ。どうしたんだい、こんな時間に?」
 一人目の男性従業員の個室を訪ねたところ、
 明るい雰囲気が好印象の青年が出迎えてくれた。
 年は僕より幾分か上だ、おそらく大学生だろう。休みを利用してバイトしている、といったところか。
「あの、私が用があるんじゃなくて……この人が話を聞きたいらしくて」
「ふーん……まあ、そんなところとは思っていたけど。
 君、確かさっきいろいろ話してくれてた人だろ? とすれば……聞きたいところってのは事件のことか」
 彼が僕のほうに向き直る。
 まあ先ほどの状況説明は殆ど僕がしていたのだから、覚えられていて当然か。
「久瀬です。及ばずながら、事件の犯人を突き止めようと思いまして。
 それで、このロッジの従業員であるあなたに、いくつかお聞きしようと参りました」
「なるほどな、確かに頭良さそうだもんな。
 俺なんかはどっちかというと、肉体労働のほうが得意だけどさ」
「……無論、あなたが拒否をするのであれば、深く聞くことは致しませんが」
「オーケー。別に疚しいことをした覚えはないし、じゃんじゃん聞いてくれ。
 頑張って犯人を推理してくれよ、探偵君」
 彼は割りと気さくに質問することを許してくれた。
 なるほど、確かに彼女がいい人だと言うのも頷ける。印象は総じて悪くない。
 さて……何を聞くか。

A 八時過ぎから九時ごろまでのアリバイ
B オーナーとの関係
C 犯人の心当たり
D 従業員の女性のスリーサイズ

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