私はとにかく気を紛らわそうと、もう一度本を開いて内容に集中しようとしました。したのですが……
一度火のついた私の煩悩は、私をあらぬ妄想に駆り立てます。
ほら、今にもわずかな客車の揺れで、目の前の二つのふくらみがプルルン!と美味しそうなほどに大きく揺れて……

「〜〜〜〜〜〜〜っ!」

駄目です、さっきはちゃんと理性で踏みとどまったんです!
頑張れ私、負けるな私。
え―と、早く次のページへ!81ページ、81……
そういえば真琴のバストはたしか81センチ。
数字の上では私と1センチしか違わないはずなのに、ずっと艶やかで美しく、張りも格段に良く見えるから不思議です。
いっそのことその秘密をこの手で調べて……

ぶんぶんぶんぶん!

何を考えてるんですか私は!
いえ、そうじゃないんです。きっとこの本が悪いんです!
こうも都合よく連想させるようなページ数になるなんて絶対何かの悪意です!陰謀です!
私はページが乱れるのも構わずにすごい勢いで本をカバンの中に突っ込むと、何か気を逸らせるものを探します。
そう、とにかく景色とかそういうものを見て気を紛らわせるんです!たとえばあの遠くにある二つの大きな山とか……やま……ふたつの……おっぱい型の……

んがーーーーーーー!

大体暑すぎるんですこの客車っ!
いくら冬だからってこんなにガンガン暖房かけることもないでしょうに!
きっとさっきから私が暴走してるのも周りが熱すぎてヒートアップしてるからなんです!
その証拠に私たち二人ともコート脱ぎっぱなしで真琴なんか首筋にうっすらと汗までかいちゃって、首筋がその、色っぽいというか首筋が首筋でおっぱい……