これでオレは、部屋だった。
もう人ですらない。
オレは部屋だ。
「あっ……うあっ…」
体が石膏色に染まってゆく。
逃れるすべなどない。
部屋がオレを浸食しているのか。
違う。
オレが部屋と一体化しようとしているのだ。
ぐももぅ…!
胃袋が石膏で埋め尽くされる。
それを吐き出そうとするが、喉元で硬化してゆく。
一瞬で、呼吸不可能となる。
口の中まで石膏がごつごつと上り詰めてくる。
体中のすべての隙間が、石膏で埋め尽くされてゆく。
耳の穴、鼻の穴…
そして眼球を押し出し、代わって球状の石膏が奥から現れる。
すでにオレは人としての意識などない。
無機質の意識。
それに取って代わっていた。
エイス…ソー…テルプ…
最後の痛みをあなたに…。
無機質の言葉が、最期の瞬間に、理解できた。
………
……