久弥は激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の麻枝を除かなければならぬと決意した。
久弥には経営がわからぬ。久弥は、ただのシナリオライターである。シナリオを書き、鹿と遊んで暮らしてきた。
けれども萌えに対しては、人一番に敏感であった。
今日未明久弥は村を出発し、野を越え山を越え、十里離れたこの奈良の公園にやって来た。
久弥には父も、母もない。十六の内気な妹と二人暮しだ。