「かばんさん!?どうしたのだ!?じゃぱりまん、食べ過ぎたのかー!?」
「アライさん、それはないと思うよ」

手すりの付いた木の椅子に座り込んでゆったりとしているかばんちゃん。膝の上には毛布がかかっていた。
じゃぱりまんをたらふく食べたからと言ってこんなにもお腹が膨らむだろうか。フェネックは考えてみるけれど、やっぱり分からない。

「アライさんに、フェネックさん、びっくりしましたよね」

当のかばんちゃんは特に問題無さそうだ。いつも通りにアライさんとフェネックに話しかけてくる。

「僕、実はその…

『にんしん』したみたいなんです」
「「にんしん?」」

にんしんという言葉を初めて聞いたアライさんとフェネック。『にんじん』は知っているけれど、『にんしん』は分からない。一体どういうことなのだろう。

「にんしん、というのはお腹の中に『赤ちゃん』ができることなのです」
「かばんのお腹に赤ちゃんが出来たのです」

会話を聞いていた博士と助手がにんしんについて、完結に説明した。
赤ちゃんかお腹に…それはつまりどういうこと?赤ちゃんが何なのかすらいまいちピンと来ないアライさんとフェネック。フレンズには赤ちゃんという概念がないためだろう。

「うーん、なんと言えばいいのかな。僕のお腹の中に、人がいる感じ…かな」
「お腹の中に人!?かばんさん、痛くないのだ!?」
「今はなんだか、凄い落ち着いてて、大丈夫ですよ」

「かばんさん、なんだか大丈夫そうだね」

「お腹の中に人…なんだか不思議なのだ…」
「かばんさん、最近見ないなと思ってたけど、そんなことになってたんだね、びっくりしたよ〜」

「心配させてしまって、申し訳ないです。にんしんしたらしばらくは安静にしていた方がいいらしいので、博士さんと助手さんが安全である程度過ごしやすい図書館にいさせてくれたんです」

そう言われて、アライさんはかばんちゃんが持っている本に気づく。文字は読めないが、そこの表紙には今のかばんちゃんと同じように、お腹膨らんだ人の写真が載っていた。

「かばんちゃ〜ん!ボスからじゃぱりまん貰ってきたよ〜!」

サーバルが手にいっぱいのじゃぱりまんをもって図書館にやって来た。かばんちゃんに頼まれてじゃぱりまんを持ってきたようだ。

「うん、持ってきてくれてありがとう、サーバルちゃん」

「じゃあ一緒に食べよ…って、アライさんにフェネック!来てたんだね!じゃあ一緒に食べよっか」

そう言ってサーバルはかばんちゃん、アライさん、フェネック、そして博士と助手にじゃぱりまんを配る。本来博士と助手はあまりじゃぱりまんは食べないのだが、楽しい雰囲気に水を射さぬよう、ここはありがたく受けとるこたにした。


「かばんさんがにんしんって、サーバルは知ってたの?」

フェネックがサーバルに問う。

「私もびっくりしたんだよ。朝、起きたら、かばんちゃんのお腹が膨らんでたの!図書館に行って博士と助手に聞いたら、これはにんしんって、言われたんだ

凄いよねっ、かばんちゃん、後少ししたらで生まれるんだって、赤ちゃん」

それを聞いたアライさんは大層びっくりした。

「ええっ!?かばんさんから、その、ヒトが生まれるのだ!?かばんさん、凄いのだー…」

「かばんちゃんのお腹に耳を当ててみると、なんだかお腹で赤ちゃんが動く音が聴こえるんだよ」