アナウンサーで百合だのかんだの [無断転載禁止]©bbspink.com
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0001名無しさん@秘密の花園2020/03/16(月) 00:16:11.55ID:9l5tEsoy0
雨が降ってきた。早く車に乗って、次の仕事に行かなくては。衣装や道具の入ったバッグを持って、慌てて出入り口のゲートを通る。こんな時にマネージャーがいないのは辛いなあ。
外を見ると、相合い傘して、寄り添う男女。そういや、そんなことこの業界に入って久しくないし、下手にやったら写真誌に撮られる・・。
それにしても、あの女性見たことが・・・もしかして、新美さんじゃない。何気に見つけた、あの左手中指の指輪はそうだったんだ。
寄り添う姿と表情、とても幸せそうで、うらやましいと言うより、どこか嫉妬を感じてしまう。頭の中が混乱してしまって・・・。
「こじるり、何突っ立ってるの?早く荷物持って、車に入ったら?」運転手の方に言われて、我に返った。さっさと車に荷物を入れる。中に入って、スタジオを出る。
車は相合い傘のカップルのそばを通っていく。わかっていても、二人を見ることはなかった。ひたすら涙を我慢してた。
「次は麹町のスタジオね、そして朝まではしご酒だよ。」運転手からの連絡を聞いて、今日は見知らぬお客さんにくだを巻いてしまうかも知れない。申し訳ないと思いつつ。
0004名無しさん@秘密の花園2020/03/17(火) 12:39:30.46ID:ULkOgLNsa
>>1
初めて彼女と出会ったのは、数年前の「プレミアの巣窟」。深夜番組だから、楽屋も控室もなく、直接スタジオへ。一番若いから、最初に入らないとみんなに失礼だから。とはいっても、多忙で自分が最後と言う時もあるけど(苦笑)
スタジオに入り、セット裏に。すでにスタッフが誰かと打ち合わせ。「遅れてすみません。」スタッフとともに顔を上げたのは、イベントコンパニオンの衣装を着た、見知らぬ女性だ。
その衣装はアシスタントが代々着ているのだが、まるでその衣装に着せられているような。「小島さん、今日からこの番組の仲間になる、新美アナウンサーだよ。」
すくっと立ち上がった彼女は、今まで出会ったどの女子アナと比べでも、本当に普通だけど、子供みたいな自分と比べて、大人の落ち着いた印象で、好感が持てた。
「新美・・・有加と申します。これから小島さんのように、新しい美が有るように、そして加わるように頑張って行きます。」と一礼をする。挨拶の中に自分の名前を織り込んでるのがわかり、昨日から考えてたのかな(笑)
0006名無しさん@秘密の花園2020/03/18(水) 23:35:07.27ID:PGmBg3nS0
>>4
「遅くなってすまんなあ」レギュラーの天野っちとオジンオズボーンの篠宮さんが入ってきた。派手な衣装の彼女に、二人が声をかける。
「おや?もう大阪万博がはじまるんかいな?」「まだ東京五輪もやってないのに(笑)しかも万博大阪でやるか、まだ決まってないだろ。」
即席で漫才する二人に向かって、微笑みながら彼女は挨拶をする。「フジテレビアナウンサーの新美有加です。新しい美しさの有る女性が加わるので、よろしくお願いします。」
「ちょっとぉ、私の時と挨拶ちがうじゃないの!」セット裏は笑いに包まれる。もしかして、自己紹介何パターンも持ってるのかしら。侮れないわ新美さん(笑)
「はい、本番始めますよ!」スタッフの声に、一同セットの方に歩み出す。どこがセットか迷ってる彼女の左腕をつかんで、歩いていく。
「一緒に頑張りましょう、新しい美しさの有る加藤さん!」「違いますよ、大島さん。」「小島だよ!」何だか、自分たちまで漫才コンビになったみたい(笑)
0008名無しさん@秘密の花園2020/03/20(金) 00:03:21.22ID:xEU6c26x0
「今日から新美さんが仲間に入ったので、歓迎会を始めます。カンパーイ!」
収録が終わり、いつもは次の仕事のために自然解散なのだが、今日はレギュラーみんなで、新美さんの歓迎会を開いた、と言っても、いつものセット裏でお菓子と缶ビールだったけど(笑)

「そういや、篠宮が難しい漢字を簡単に書く覚え方をやたらネタにしてたな。」「天野さんご存知で。例えば「うつ」だったら「キカンキワ、キョーワチョワチョワチョワチョ、ヒミ〜」と。」
「篠宮さん、何言ってんだかわからない(苦笑)」「そんなこと言わんといて。ねえ新美さんならわかるやろ?」すると彼女は、そばにあったボールペンで、台本の隅にスラスラっと書いた。「これですか?「鬱」」
0009名無しさん@秘密の花園2020/03/20(金) 00:04:34.52ID:xEU6c26x0
「おいおい、こんな字何も見ないで書く人、初めてみたよ。篠宮いらねえじゃん(笑)」がっかりする篠宮さんに「何だか申し訳ありません。」と謝る彼女。
「これなら「バラ」も書けるのかな?」さらにスラスラ書いて「はい「薔薇」」「夏目雅子が伊集院静に惹かれた気持ちがよくわかる(笑)こじるりは当然・・・」
「もちろん「小島瑠璃子」バランスを取るのが難しかったです。」「えっ、練習してきたんですか?」「い、いや、レギュラーになるから、みんなの名前はちゃんと覚えないと。」
「でもさっきの収録で「篠宮・・・何さんでしたっけ」と言ってたやろ。」みんなにイジられ、顔を染める彼女。

みんなでワイワイしてるその横で、私は彼女の書いた、自分の名前を眺めていた。今まで何とも思っていなかった自分の名前が、急に愛おしくなった。
でも、一緒に書いていた難しい漢字に、彼女が隠していたもう一つの顔があるとは、その時は思ってもいなかった。
0010名無しさん@秘密の花園2020/03/20(金) 17:17:33.03ID:zPQmEu4y0
支援保守
0011名無しさん@秘密の花園2020/03/21(土) 21:22:50.40ID:9BY0Bila0
>>9
アンティークな雰囲気の喫茶店。柱時計の音が静かに響く。お客は私と彼女だけ。大量の服の入った紙袋を二人で持って、いや、彼女はさらに大きなバッグを肩に掛けていた。

「ゴメンね、新美さん。明日グアムで撮影なので、宅配も使えず、一緒に運んで貰って。」「小島さん、気にしなくていいですよ。通ってた大学の近くだったから、この辺り知ってたので。」
「じゃあ、運んだお礼に、今日は私が奢るわよ。」「ホント?それじゃあ、この「コピ・ルアク」がいいなあ。」メニューを見てビックリ。ケタが一つ違う。「普通にアメリカンに、致しません?」
「私、大学時代から通っていたけど、高くて手が出せなくて。フジに就職して初めて頂いたコピ・ルアク、ホントにおいしかった。ぜひこの香りと味わいを、小島さんにも味わってほしいの。」
痛いとこをついてくるね新美さん(苦笑)「ならば、頂きましょう!・・・でも割り勘ね。」「ふ、ふ、ふ。」
0012名無しさん@秘密の花園2020/03/21(土) 21:25:38.17ID:9BY0Bila0
>>11
「ところで新美さん、いつもそんな、スタッフさんみたいな服で通勤してるの?ジャンパーに紺のパンツ、大きなバッグにスニーカー、ホントに女子アナさん?(笑)」
「そりゃあ、大事な時用の服もあるわ。」「勝負服に・・・勝負下着も?(笑)」「あるけど、滅多に履かないわ。特に勝負下着は(苦笑)」
「新美さんの勝負下着、見たいな見たいなあ。」「小島さんの勝負下着見せたら。」「エッチ!(苦笑)」ガーリーな女子会のつもりが、居酒屋のおじさんノリになってしまった(笑)
0013名無しさん@秘密の花園2020/03/21(土) 21:27:14.75ID:9BY0Bila0
>>12
話題を変えよう。「そのバッグ、ちょっと大きくない?何入ってるの」「これ?ちょっと開けるね、恥ずかしいけど。」
バックのファスナーを開ける。「えぇ、これ化粧道具一式!」「何かあった時に、あのリップがないとかあったら困るでしょ。」「それはメイク室に全部揃ってるでしょ(笑)」

「後は、今度の「プレミア」の台本、ナレーション台本、調べ物の資料・・・。」私はふと一冊のノートを見つけた。ふとした隙に取り上げた。「なーんだ、これ。」「ちょっと、待ってよ、見ないでよ!」
「どれどれ。」パラパラとページをめくると、モデル画とそばに「山崎、白、コムデギャルソン」の文字が。「何です、これ?」彼女はため息ついて、観念して話し始めた。
「私、妄想で女子アナカレンダー作るのが趣味なの。」「は?」「昔と違って、今フジのアナウンサー、世間に知られてないから、どういう形ならアピールできるかって、人に見られないように、こっそりと。」
0014名無しさん@秘密の花園2020/03/21(土) 21:31:08.18ID:9BY0Bila0
>>13
「・・・新美さん、それいいアイデアじゃない?服のブランドも、ポージングも。妄想で終わらせないで、手を挙げて私にプロデュースさせて!と言えば、いいんじゃない?フジなら絶対ノるよ。」
「そ、そうかなあ。みんなに笑われるかと思って隠してたの。」「そんなことないよ、もっと自信持ってさ。」そこに、いい香りのコーヒーが運ばれてきた。これがコピ・ルアクか。
カップに口を付けてみる。今まで飲んだことない味わい。「さすがは新美さん、センスあるわあ。で、これはどこ産の豆を使ってるの?」
すると、運んできたマスターが「これ、ジャコウネコが食べた豆を使って、焙煎したコーヒーだよ。」「えっ、食べたって、食べたら後は・・・」
「そう、フンになって出てくる。そうすると、発酵されていい味と香りになるんだよ。」
「新美さん・・・こんなにおいしいのに、私、どう反応すればいいの!」「小島さんには、まだアメリカンの方が良かった?(笑)」うーん、やられた。奥が深い新美さん(苦笑)
0015名無しさん@秘密の花園2020/03/22(日) 13:31:49.52ID:Yx1YL3UtM
支援
0016名無しさん@秘密の花園2020/03/23(月) 12:02:09.35ID:o/jquD1yM
支援保守
0022名無しさん@秘密の花園2020/03/23(月) 22:17:39.92ID:nLmly0Jx0
>>14
「皆さん、お疲れさまでした。」「ほな、次の仕事があるから、今日はお先に。」「僕もこれからもしもツアーズのロケがあるんで。」スタッフも機材を片づけて始めてる。セット裏で差し入れのお菓子を食べている。私と彼女。
「にぃみちゃんと一緒に仕事して、もう半年になるね。」「そうですね、るりさん。」最初は互いに堅かったのに、いつの間にかずいぶんと馴れ馴れしい呼び名(笑)
いや、馴れ馴れしいのは私だけで、彼女はやはり礼儀正しく、みんなにさん付けだ。でも私にだけは名前で呼んでくれることが、とても嬉しくて、内心ニヤニヤしてしまう。
「そう言えば、アナウンサーカレンダー、どうなっているの?企画が通りました!って喜んで入ってきたのは、春頃だったけど・・・。」
「ええ、企画書のようには進まないもので。協力する人も集まらないし、当然アナウンサーも集まらない。挙げ句には、榎並さんが私のカレンダーにしよう!と言い出す始末(苦笑)」
(それ、ぜひ欲しい!できればポスターで)そんな心の叫びを必死に押さえる(笑)「ねえ、にぃみちゃん、明日お休みだったでしょ、私も午後は珍しく空くから、カレンダー会議しよう。
どうすれば、みんながにぃみちゃんに協力してくれるかを、私なりに考えるから。」
「えー、そんなことして、申し訳ないです。それに後で協力者に私の名前を入れてとか、事務所にアイデア料振り込んでとか言わないで下さいね、フジも火の車みたいだし(苦笑)」「榎並さんの名前が入るよりはマシでしょ(笑)」
にぃみちゃんに会えるんだ!仕事じゃなくても会えるんだ!嬉しくてハシャぎたくなる気持ちを、やはりここは押さえる。あ、その前に汚部屋を片付けないと、呆れかえってすぐ帰っちゃうよ(苦笑)
0023名無しさん@秘密の花園2020/03/24(火) 07:56:00.74ID:IZOS5QutM
支援
0026名無しさん@秘密の花園2020/03/24(火) 18:47:00.38ID:ibp+Z8340
>>22
「・・・るりさん、何ですか?これ」あーあ、結局片付けられないまま、例の大きいバッグを担いで、彼女がやってきた。「あ、あの、その、片付けてたんだけど、結局片付けれなくて・・・。」
「見たところ、書籍類だらけですね。勉強家なんですね。」いやあ、それほどでも。「取りあえず、新聞と雑誌と単行本と新書・文庫本とに分けて、空いてるとこに置きましょ。」
こうして、二人掛かりで数時間、それっぽく片付いた、ように見える(苦笑)
そして、彼女はテーブルに例のバッグを置き、例の化粧道具を取り出し、中にあった企画書を私に見せる。「これが今回のアナウンサーカレンダーの企画書です。どうです?」
うん、これなら女性にも買いやすい、みんなにアピールできる内容・・・ふと、バッグにまだたくさんの書類が。「にぃみちゃん、これなーんだ!」「あ、るりさん、やめてください!」
0027名無しさん@秘密の花園2020/03/24(火) 19:08:46.47ID:ibp+Z8340
>>26
驚いた。たくさんの写真の山、それがみんなモデルが彼女。「風景やモデルのポージングとか、生の人物でないとイメージが湧かないからと言って、私をドンドン撮影していって。」
しかも、そこにはなぜか「にいみまみれ」というタイトルまで。これなら、この間のコーヒーより高くても買う(苦笑)
「からかわれてばかりで、私どうしたらよいのか。全くトホホな気分。」「じゃあ、誰ならばみんな言うこといくのかな?」「うーん、思い出した。三田さんかな。」「あの、グッディに出てるアナウンサーね。」
「みんなから頼られて、男性アナたちの中では「ミタパンの会」まで作られていて。」「何その・・・ミタパンの会って・・・だからフジテレビは面白いわ(笑)」困った顔の彼女に話す。
「にぃみちゃん、この際、ミタパンさんに時間を取ってもらって、端的にカレンダーのコンセプトを話し、他のアナにいついつ三田アナ撮影てますと情報流すのよ。そしたら、撮影日にミタパンの会メンバーみんな手伝うよ(笑)」
「そんなんで来てくれます?」「将を射んとする者はまず馬を射よ、と言うじゃない。周りからその気にさせないと、プロジェクトは動かないよ。」「どっちかというと、三田さんが将のように見えますけどね(笑)」
思わず二人で笑ってしまった。そうこうしてるうちに日が沈み、夜になろうとしていた。
0028名無しさん@秘密の花園2020/03/25(水) 00:20:05.45ID:u2y2Beoi0
支援
0029名無しさん@秘密の花園2020/03/26(木) 22:25:57.52ID:K+h9fN6L0
>>27
テーブルにはいつの間にか、缶ビールと実家からの落花生、そして彼女は普通にウーロン茶を飲んでいる。喫茶店でコーヒーを頂いていたように落ち着いた姿に、つい見惚れてしまう。
「るりさん、私の顔に、何かついてます?」「えっいや、どう?この落花生。千葉では結構極上ものなのよ。」
「・・・このピーナッツ、甘味があって、とても柔らかいですね。」
「違うよ、あくまでも落花生!千葉特産の!」
にこやかな笑顔で彼女は私に話す。
「いいですね、るりさんには誇れる地元の名産があって。私は東京生まれの東京育ちだから、ひよこくらいしかなくて。」
「ひよこ、大好きよ。東京に来てからも、見つけたら買って食べるんだから。実家帰りも、お土産はひよこ一択!」
「・・・ひよこを食べるるりさん、一度見てみたいなあ。」
「にぃみちゃん、それウーロン茶なのに、ホントは酔ってる?(笑)」
本当に酔っているのは私なのに。
0030名無しさん@秘密の花園2020/03/26(木) 22:29:34.23ID:K+h9fN6L0
>>29
「でも、普段お酒は飲めないの?」
「大学の頃はもっぱらハイボールでしたね。」
そして彼女は、ポツポツと自分の身の上を語り出した。
大学時代は学園祭の実行委員として駆けずり回ってたこと。大学生の意識調査の研究発表を見ていた人に誘われて、エミー賞の視聴者レポーターに抜擢されたこと。そこからアナウンサーという職業を意識し出したこと。
私は大人しそうに見える彼女の行動力を垣間見た気がした。
「アナウンサーって、舞台できらきら輝くミスやミスターがなるものと思っていたから、その舞台裏にいた自分がなれるなんて、思わなかった。」
「すごいよ、それこそシンデレラストーリーじゃない。こういう人こそ、アナウンサーになるべきなのよ!」鼻息が荒くなった私に、彼女は淡々と話した。
「私はシンデレラへの階段を昇っていった。でも、シンデレラにはなれなかった。」
私は彼女の言葉を理解できなかった。理解する前に酔いが回り、いつしかテーブルに突っ伏して寝ていたようだ。
0031名無しさん@秘密の花園2020/03/26(木) 22:33:38.70ID:K+h9fN6L0
>>30
気がつくと、私はベットに運ばれていたようだ。早くに目は覚めたけど、少し頭が痛い。今日はロケがあるのに、大丈夫なのかな。そう思って枕元を見ると、お菓子とメモ書きが。
「同期が福岡で買ってきたお土産です。ほんの少しですみません。機会があれば、今度はひよこ買ってきますね。にいみ」
早速袋からお饅頭を取り出し、口に頬張る。別の人の福岡土産なのに、なぜか彼女の思いのこもった味がした。
「さあ、準備しないと。」ある程度部屋が片付いたので、久しぶりに通り道ができている(笑)シャワーでも浴びて、酔いを少しでも覚まさないと。
そう思ってベットから降りる。その通り道に、何かが落ちている。「新美有加様」と書かれた、ビニールの包みが。そして中に、いくつもの錠剤が。
私は、彼女が今まで見せていなかった、そして、彼女の見ては行けない姿を見てしまったようだ。
0032名無しさん@秘密の花園2020/03/27(金) 08:05:40.06ID:XexGX7e/M
支援
0033名無しさん@秘密の花園2020/03/27(金) 14:42:08.41ID:UdSPwfF7a
>>31
「プレミアの巣窟」のセット裏。テーブルには、やっとできたフジテレビアナウンサーカレンダー。シックな出で立ちの彼女の立ち姿。卓上カレンダーも、アナウンサー勢揃いの中、後ろではにかんでる彼女。
「るりさん、何でそこばかり見てるんですか?他のアナウンサーも見てやってくださいよ。」あきれる彼女を横目に、このカレンダーの中の彼女を見つめる私。
「篠宮、これは大正ロマン輝くモダンガールだね。」「天野さん、これは今日取り上げる、例のアナウンサーカレンダーですよ。ところで、ショーパンやカトパンどうしたんですか?(笑)」さらにガッカリしてため息をつく彼女。
「にぃみちゃん、売り上げの方はどうなの?」「去年よりも好調で、評判ものく、お陰様で重版出来、はいいんですが・・・。」例のバッグから取りだしたるは、ランキング雑誌オリコン。
「女性アナランキングに、山崎さんしか入ってないんです。山崎さんより下の代は、未だに入れない状況で・・・。」
(私ならば、絶対にぃみちゃんに入れるのに、オリコンモニター何してる!)
怒りは腹の底にしまっておいて(笑)
「本来の目的は、みんなにフジテレビアナウンサーを興味を持ってもらいたいことなので、売り上げだけでは目的が・・・。」
「にぃみちゃん、一回だけでは効果がでないよ。この際毎年にぃみPでカレンダー作ろうよ。」「ええ!もう今年で矢折れ刀尽きてしまいました。来年やるかなんて白紙ですよ。」
「でも通しで見て、センスあるし、統一感があって、アナウンサーでありながらちょっと違う雰囲気が出てるよな、篠宮。」
「そうですね。これにショーパンカトパン入れば言うことないですね(笑)」
「もう、篠宮さんそればっかり。そもそも加藤さんフジやめてますよ!」
ふくれっ面して珍しく怒る彼女。「にぃみちゃん、次まで時間あるし、感想とか分析してみてから、もう一度やるか考えでもいいよ。でも・・・またにぃみPカレンダー見てみたい。でしょ、みんな。」
「そろそろ収録ですよ。」セットに向かうレギュラー陣。ん?彼女がさっきのカレンダーを手にしている。そして、セットの片隅にカレンダーをこっそり貼り付けていた。
「るりさん、番組見ている人にもアピールできるよう、ここに貼っておきますから。」そんな隅じゃ、アピール出来ないでしょ(苦笑)それにしても、早くカレンダーめくりたいな、大正ロマンの新美さん(笑)
0034名無しさん@秘密の花園2020/03/28(土) 18:47:26.32ID:vAKBUQL4M
支援
0035名無しさん@秘密の花園2020/03/28(土) 22:11:51.79ID:oDBalPOV0
>>33
夕暮れ時の海のそばにある、終着駅。遠くに橋がかかって、もう光り輝き始めている。
「忙しいところ連れてきて、ごめんなさいね。一度るりさんと一緒に行きたかったの。」「そんなことないよ、にぃみちゃん、こういう場所が好きなんだね。」
さっき降りた電車はドアが閉まり、反対方向へと折り返していった。

ここは鉄道マニアにはお馴染みの駅らしく、駅から出られない駅として有名なのだそうだ。この頃は訪れる乗客のために、小さな公園が用意されている。
私と彼女は公園の中を歩いていく。
「私、今年もカレンダーのプロデューサーを担当することにしました。でも、早朝の仕事もレギュラーで入ってきて、去年以上に辛いんです。」
「タイトルは「にいみだらけ」?(笑)」
「もう、それはやめてください(苦笑)」
そうしていくうちに、陽は沈み、工場や橋の光が、辺りを、二人を包んでいく。
0036名無しさん@秘密の花園2020/03/28(土) 22:13:32.00ID:oDBalPOV0
>>35
「今年のかれんだー、私は11月、去年入った海老原さんと一緒です。」
(いいなあ、海老原さんと交代してよ)己の願望はいつも通り押し込めて(笑)
「でも海老原さん、とくダネを半年で卒業になって、心が折れてしまい、フィールドキャスターやっていても、心ここにあらずと言うか。私は彼女をどう励ませばいいのか・・・。」
「・・・冷たいこと言うようだけど、自分が気付いて動かない限り、にぃみちゃんがどうこう言っても、どうすることもできないよ。」
こんなきついこと、言うつもりじゃなかったのに。彼女の顔が強張ってるのがわかる。
「できることは、いつもあなたを見ている、気にしていると伝えること。海老原さんから聞かれる時のために、何気ないことでも書き留めて置けばいいよ、その妄想カレンダーノートに(苦笑)」
思わず笑う彼女。その笑顔にちょっと救われる。
「そして、尋ねられたときに、アドバイスをする。海老原さんももう子どもじゃないんだから。私は子どもっぽいけどさ。」「そんなことないですよ、私の何倍も経験してきた人の発言ですよ。」
遠くで汽笛が響いている。こんなロマンチックな風景の中に、私と彼女。まるで恋人のようだ。

「私、ここにるりさんを連れてきたのは、誰もいないところで、どうしても相談に乗って欲しかったからです。」
えっ、突然のことに、戸惑う私。
「今、私には好きな人がいます。」
もしかして、それは、わ・た・・・。
「一緒に大学祭の実行委員をしていた人です。」
0037名無しさん@秘密の花園2020/03/28(土) 22:14:50.85ID:oDBalPOV0
>>36
その後どうしたのか、どう帰ったのか、記憶が曖昧だ。海老原アナの時とはまるで正反対の、しどろもどろな言葉の羅列。まっすぐに見られなかった彼女の笑顔。
そしてホームに入ってきた電車でも、彼女から離れて、押し黙って座っていた。行きの電車では隣同士であれだけ楽しく話をしていたのに。
「るりさん、今度のプレミア、楽しみにしてますね。」「うん、それじゃあ、またね。」
彼女の後ろ姿が、どこか幸せそうに見えた。その姿をいつまでも、いつまでも眺めていた。その姿が消えた頃、涙が溢れてきた。素直に「にぃみちゃん、良かったね」と言えなかった私。
0038名無しさん@秘密の花園2020/03/29(日) 20:34:48.63ID:fS+wFlra0NIKU
支援保守
0039名無しさん@秘密の花園2020/03/29(日) 20:54:36.56ID:HZKxOGgvaNIKU
>>37
あれほど仲が良かった私と彼女は、あの日を境に、話をすることが次第に少なくなっていった。
「るりさん、次回の内容のことですが・・・。」そう言われても「次回は次回で決めましょ。」そう言って、逃げるようにスタジオを去っていく。
あの日の告白の後も、収録日の時は何事もなくハシャいでいたけど、とても辛かった。
「こじるり、今日はやけにテンション高かったね。」と天野っちから言われたかと思えば「今日は、何ぼんやりしてるんだ?」とマネージャーさんから言われたり。あれ以来、心が不安定だった。

そんなある収録日。いつものセット裏に、見慣れたカバン。彼女が先に来てるんだ。普段からきちんとしてる彼女なのに、この日はなぜかファスナーが開いていた。
やっちゃいけない、と思いつつ、つい中を覗いてみた。いつもの化粧道具、いつものノート、いつもの資料、の他に見つけた、いつもとは違う、それは明らかに指輪のケース。
やっちゃ、いけなかったんだ。私はスタジオを飛び出し、駐車場に止めてある車の陰で泣いた。ただただ泣いた。涙が枯れるまで泣いて、そうでないとスタジオに戻れない、と。

そして、雨の日に見掛けた、幸せそうな彼女と彼。私は彼女の元カノになってしまった。彼女だったことなど、なかったけど。
0041名無しさん@秘密の花園2020/03/31(火) 11:56:15.97ID:KhZXx4EpM
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