>>33
夕暮れ時の海のそばにある、終着駅。遠くに橋がかかって、もう光り輝き始めている。
「忙しいところ連れてきて、ごめんなさいね。一度るりさんと一緒に行きたかったの。」「そんなことないよ、にぃみちゃん、こういう場所が好きなんだね。」
さっき降りた電車はドアが閉まり、反対方向へと折り返していった。

ここは鉄道マニアにはお馴染みの駅らしく、駅から出られない駅として有名なのだそうだ。この頃は訪れる乗客のために、小さな公園が用意されている。
私と彼女は公園の中を歩いていく。
「私、今年もカレンダーのプロデューサーを担当することにしました。でも、早朝の仕事もレギュラーで入ってきて、去年以上に辛いんです。」
「タイトルは「にいみだらけ」?(笑)」
「もう、それはやめてください(苦笑)」
そうしていくうちに、陽は沈み、工場や橋の光が、辺りを、二人を包んでいく。