アナウンサーで百合だのかんだの [無断転載禁止]©bbspink.com
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0001名無しさん@秘密の花園2020/03/16(月) 00:16:11.55ID:9l5tEsoy0
雨が降ってきた。早く車に乗って、次の仕事に行かなくては。衣装や道具の入ったバッグを持って、慌てて出入り口のゲートを通る。こんな時にマネージャーがいないのは辛いなあ。
外を見ると、相合い傘して、寄り添う男女。そういや、そんなことこの業界に入って久しくないし、下手にやったら写真誌に撮られる・・。
それにしても、あの女性見たことが・・・もしかして、新美さんじゃない。何気に見つけた、あの左手中指の指輪はそうだったんだ。
寄り添う姿と表情、とても幸せそうで、うらやましいと言うより、どこか嫉妬を感じてしまう。頭の中が混乱してしまって・・・。
「こじるり、何突っ立ってるの?早く荷物持って、車に入ったら?」運転手の方に言われて、我に返った。さっさと車に荷物を入れる。中に入って、スタジオを出る。
車は相合い傘のカップルのそばを通っていく。わかっていても、二人を見ることはなかった。ひたすら涙を我慢してた。
「次は麹町のスタジオね、そして朝まではしご酒だよ。」運転手からの連絡を聞いて、今日は見知らぬお客さんにくだを巻いてしまうかも知れない。申し訳ないと思いつつ。
0037名無しさん@秘密の花園2020/03/28(土) 22:14:50.85ID:oDBalPOV0
>>36
その後どうしたのか、どう帰ったのか、記憶が曖昧だ。海老原アナの時とはまるで正反対の、しどろもどろな言葉の羅列。まっすぐに見られなかった彼女の笑顔。
そしてホームに入ってきた電車でも、彼女から離れて、押し黙って座っていた。行きの電車では隣同士であれだけ楽しく話をしていたのに。
「るりさん、今度のプレミア、楽しみにしてますね。」「うん、それじゃあ、またね。」
彼女の後ろ姿が、どこか幸せそうに見えた。その姿をいつまでも、いつまでも眺めていた。その姿が消えた頃、涙が溢れてきた。素直に「にぃみちゃん、良かったね」と言えなかった私。
0038名無しさん@秘密の花園2020/03/29(日) 20:34:48.63ID:fS+wFlra0NIKU
支援保守
0039名無しさん@秘密の花園2020/03/29(日) 20:54:36.56ID:HZKxOGgvaNIKU
>>37
あれほど仲が良かった私と彼女は、あの日を境に、話をすることが次第に少なくなっていった。
「るりさん、次回の内容のことですが・・・。」そう言われても「次回は次回で決めましょ。」そう言って、逃げるようにスタジオを去っていく。
あの日の告白の後も、収録日の時は何事もなくハシャいでいたけど、とても辛かった。
「こじるり、今日はやけにテンション高かったね。」と天野っちから言われたかと思えば「今日は、何ぼんやりしてるんだ?」とマネージャーさんから言われたり。あれ以来、心が不安定だった。

そんなある収録日。いつものセット裏に、見慣れたカバン。彼女が先に来てるんだ。普段からきちんとしてる彼女なのに、この日はなぜかファスナーが開いていた。
やっちゃいけない、と思いつつ、つい中を覗いてみた。いつもの化粧道具、いつものノート、いつもの資料、の他に見つけた、いつもとは違う、それは明らかに指輪のケース。
やっちゃ、いけなかったんだ。私はスタジオを飛び出し、駐車場に止めてある車の陰で泣いた。ただただ泣いた。涙が枯れるまで泣いて、そうでないとスタジオに戻れない、と。

そして、雨の日に見掛けた、幸せそうな彼女と彼。私は彼女の元カノになってしまった。彼女だったことなど、なかったけど。
0041名無しさん@秘密の花園2020/03/31(火) 11:56:15.97ID:KhZXx4EpM
支援
0042名無しさん@秘密の花園2020/03/31(火) 23:57:50.74ID:2p8Lxc2J0
>>39
収録日が辛かった。彼女に会うのが辛かった。でも、今日も行かなきゃ。重い足取りでスタジオに入り、セット裏に向かう。天野っちと篠宮さん・・・あれ、彼女がいない。
「あれ?知らなかったの?フジも働き方改革とやらで、新美ちゃん今週お休みだよ。」そんな話、聞いたような聞かなかったような・・・。
「僕らも働き方改革してもらえんやろか。」「一生改革してろと言われるだろ。」「うちは吉本ほど悪こぎではないですよ。」相変わらず即席漫才を披露する天野っちと篠宮さん。

「それで新美ちゃん、メッセージとか言って、僕らにパズルを置いてったようなんだよ。何でもマイブームだって。」
そこには「小島瑠璃子様」と書かれた、彼女の作ったクロスワードパズル。ヨコの行に文字を嵌めれば、メッセージがタテの列に出てくる、初歩的なパズル。
「ホントに簡単だったよ。僕は「こんどのもしツアたのしみです」だって。」
「うちなんか「かんじドリルでるといいね」ですわ。フジで出してくれるんすか(笑)」
そうだ、私もパズル解かなきゃ。どれどれ・・・ホントに簡単だった、けど。
「きょうのよるたずねていいですか」
えっ。
「こじるりは何書かれてた?」「いや、あの、「おみやげはひよこでいいですか」だって。もう、東京育ちはこれだから、はっはっはっ・・・。」

「はい、収録の準備できましたよ。」みんなセットの方へ向かう。私は彼女のメッセージを何度も何度も反芻した。心臓の鼓動が高まるのを感じた。
0043名無しさん@秘密の花園2020/04/01(水) 00:28:17.65ID:aTxD6Wdj0USO
ワッフルワッフル
0044名無しさん@秘密の花園2020/04/04(土) 15:48:54.77ID:wivR5EjB00404
>>42
いつの間にか、雨音がして来た。その音を聞きながら、ベッドに膝を抱えて、座っている私。
(会いたい、なのに会いたくない、でも会いたい・・・。)
ずっとその繰り返し。そのまま居留守でも使おうか、会うと湧き上がる思いが噴き出てしまう。それは、私も彼女も傷つけてしまう。でも、やっぱり会いたい、そして、思いのままに抱きしめたい。
次第に暗くなってきた。でも電気もつけずに、ベッドに横たわる。床はいつの間にかまた本や雑誌の山に埋もれてる。こんな部屋見せるの、恥ずかしい。
「ピーンポーン」ベルが鳴る。「新美有加です。るりさん、今いらっしゃいますか?」何も反応しない。「ピーンポーン」もう一度ベルが鳴る。何も答えない。
どれくらい経ったのだろう。ベッドから降りて、防犯カメラを見る。彼女の姿にハッとする。
深緑のシックなワンピースに、私服では見たことないヒール。そして、ハンドバッグも、傘も、その服に合わせたかのようなデザインと色使い。
私は鍵を開け、ドアを開けた。「新美さん、少し片づけるまで、待っていただけませんか?」
0045名無しさん@秘密の花園2020/04/04(土) 20:44:43.12ID:2dVSwGvk00404
支援
0046名無しさん@秘密の花園2020/04/07(火) 22:08:01.84ID:ONpSWcAv0
>>44
遠くで雷鳴が響いている。テーブルを挟んで、向かい合う私と彼女。いつものように澄んだ眼差しで私を見ている彼女と、その彼女を見つめるの私。どちらから話すでもなく、ただ黙っている。

目を瞬いて、私の方から口火を切る。
「新美さん、あなたのパズル、解いたわ。今日は一体、何の用事?」自分でも冷たく言い放つ私。
「るりさん、この頃どうされたんですか?いつも以上にハシャぐ日もあれば、廊下の壁に寄っかかったままの時も。いつものるりさんらしくないです。」
彼女にはすべてお見通しだった。
「駅の公園で二人で話した時から、私が本気で結婚を考えている人のことを話してから、私を避けるようになって。」
彼女の目から涙が溢れる。私の心の中からも、思いが溢れようとしていた。
「もしかして・・・あの、その、るりさん、私を、私のことを・・・」
「そうよ!私はあなたのことが、新美さんのことが、好きよ、大好きなの!」
ついに、思いを告げてしまった。

「初めて会った時から、私は一目惚れしたの。それがなぜなのか、よくわからない。最初は単に美しいから、キレイだから、ただそれだけだったかもしれない。」
私も次第に涙が頬を伝わってきた。
「そのうち、みんなに気を使い、率先してアイデアを出したり行動したり。私はそんなあなたに、大人の女性の姿を見たの。」
もう、互いに涙で顔がグシャグシャになっていた。
「私は、普通の女の子が普通の女性になる過程も経験を捨ててこの世界に入ったから、子どものままスレてしまったの。だけどあなたは、そんな私を、普通の、学校に通っていた時の友達のように接してくれて。」
涙を拭う彼女。流れるまま、さらに堰を切ったように話す私。
「だから、あなたから好きな人が出来ましたと告白された時、素直に「良かったね。頑張ってね。」って、言えれば・・・良かった
・・・けど、そう言うには、あなたを好き過ぎてしまったの。」
もう、歯止めが利かなくなっていた。
「ただ好きなだけじゃない。あなたにキスをしたい、唇だけじゃなく、あなたの至る所を、ずっと、ずっと愛したい。そして、あなたを彼から奪いたい。それほどあなたが好きなの。もう、私は止められない。」
・・・何か、すべてが終わったような。でも、心の叫びをすべて口に出した開放感。

「私、るりさんに見せたいものがあります。」いつもの大きな肩下げバッグとは違う、黒革のハンドバッグから、手帳とビニールのパックを取り出した。
「そのパック・・・。」私は戸棚から、以前部屋に落ちていた、薬のパックを持ってきた。「もしかして、これと同じもの?」一瞬彼女の顔が引きつっていた。「私、るりさんのところに落としていたの・・・。」
0047名無しさん@秘密の花園2020/04/08(水) 12:27:28.50ID:PX8Nh457M
支援保守
0048名無しさん@秘密の花園2020/04/11(土) 21:04:49.70ID:PQmDvEd80
>>46
「ごめんなさい。部屋に落ちていたのを拾ったの。でも、何だか尋ねてはいけないような気がしてきて、ずっとだまってた。」
彼女は台所に行き、そばにあったコップに水を注ぐ。そしてパックを破り、取り出した薬を飲むと、コップの水を一気に飲み干した。
「そう、私は今でもこのお薬を、毎食後に欠かさず飲んでいます。おかげでだいぶ良くなって来てる反面、これからもずっと続くのかなって。そこにある手帳を開いてみて下さい。」
緑色のカバーの掛かった「保健福祉手帳」を開く。私は言葉に詰まってしまった。
「この事を知ってるのは、家族と上司と同期と・・・彼。」
「そして、私。」頷く彼女。

「とくダネにレギュラーが決まって、張り切って取材やプレゼンやって、自分のペースが掴みかけてた時でした。少しずつ、次第にやる気を失い、ついには家から出られなくなりました。」
淡々と話す彼女。涙が乾き、化粧が取れて初めて彼女の素顔を見た。いつもよりも凛とした表情だった。
「熊本地震の取材後だったから、その衝撃かと思ってた。スタッフからも「これでショック受けて会社に行けないのなら、何もやれないぞ。」とも言われました。でも、どうしようもなく、ただただ辛い日々でした。」
私は苦しむ彼女をただ推し量るしか術がなく、何も言えず黙っていた。
「もう、フジも、アナウンサーも辞めるしかない。そこまで考えてた時に、大学時代の仲間たちが連絡し合い、私のために動いてくれました。
ある人はアナウンス室の上司に掛け合ってくれ、ある人は毎日のように家に顔出してくれ、そして今のお医者さんを紹介してくれたのが、彼でした。」
彼女は手帳と薬のパックとごみをハンドバッグにしまい込んだ。
「るりさん、うつ病って脳の病気だって知ってました?脳内物質の分泌が大きく乱れる為に引き起こされるんです。きっかけがある場合もあるんですが、私はそうではなく、今も不明です。」
科学番組の司会やってたのに、そんなメンタルな部分のこと、全く知らなかった。ただ心が弱いからなってしまうとしか思ってなかった。
「この手帳が交付され、その現実を受け入れられずにいた時、彼は懸命に励ましてくれました。何があってもあなたらしく生きようって。アナ室の同期に告白するときも、彼がセッティングしてくれて・・・。」

また、涙が溢れてきた。そんな事情を汲み取れずに、ただ思いの丈をぶちまけた自分が恥ずかしくなった。
「ごめんなさいね。私、プレミアの収録の度に、あなたの視線を、好意を超えた視線を感じてました。」彼女もまた、涙が頬に伝う。
「いつか、あなたのその視線にあったものを確認しなければ。そう思っていました。」心なしか、いつもより高ぶる声。
「以前、私と勝負服の話をしましたよね。それがこの服です。もちろん、勝負下着も、履いてきました。」そう言うと、彼女は椅子から立ち上がり、背中のファスナーを下げた。バサッとワンピースが床に落ちた。
「に、新美さん。」私は勝負服を脱ぎ捨て、乳白色の勝負下着の姿の彼女を見つめた。
0049名無しさん@秘密の花園2020/04/11(土) 23:59:46.34ID:Gceues+X0
支援
0050名無しさん@秘密の花園2020/04/12(日) 23:54:15.31ID:kTHcjOwL0
>>48
「これが、私の、勝負下着です・・・恥ずかしいですけど、まだ大人しいですか?そして、満足してくれますか?」
乳白色の高級な下着と、余り意識していなかった彼女のスタイルの良さがとても合っていて、わたしの胸は高鳴っていく。
そして彼女は、左手の薬指にはめていたリングを取り外す。
「ごめんね、今日だけは見逃してね。」リングに向かって言い聞かせ、ハンドバッグにしまった。
「るりさんの熱い気持ちが聞くことができたので、私はあなたを受け入れることを覚悟できました。るりさん、いつでも私の胸に飛び込んでもいいですよ。」

「ずるいよ・・・新美さん。1人だけそんな準備をしてきて。今の私を見て。普通のトップスにボトムス、ただのワイヤレスブラにショーツ。勝負服でも下着でもない。何の準備もしてないよ。」
そして自分でも意識しないまま、いきなりアウターもトップスも脱ぎ、そして下着も脱ぎ捨てた。
「私が今勝負できるのは、この生まれたままの姿だけよ。」そして、彼女に近づき、固く抱きしめた。
0051名無しさん@秘密の花園2020/04/13(月) 08:37:57.36ID:1l7C2y2wM
支援
0052名無しさん@秘密の花園2020/04/15(水) 01:52:16.25ID:xcaSGty00
>>50
「るりさ・・・」彼女が言うより早く、キスをする、何度も、何回も。「新美さんの唇、柔らかい。」「るりさんも。」そして、指で自分の唇を触ってみる。彼女のルージュが微かに付いている。
「るりさん、私をあなたのように勝負姿にさせて。」躊躇せず背中のブラのホックを外す。きれいな形の胸が露わになる。「新美さん・・・私、あなたの彼氏が羨ましい。こんな姿をいつも見られるなんて。」
「そんなこと言わないで。今日はるりさんのための私だから。」彼女の胸にキスをしながら、私は少しずつしゃがんでいく。胸からへそへ、そしてシルクのショーツに、頬ずりをする。
「あ・・・」興奮気味にするか彼女のため息。いつも冷静沈着で、丁寧に話す彼女を、思い切り乱れさせたくなった。
「新美さん、脱がして、いいよね。」「ああ、気持ちが・・・私のこと、有加と呼んでいいよ、るりさん。」「私も瑠璃子と呼んで、有加。」「はぁ・・・瑠璃子・・・もう、立っていられない。」
静かに床に横たわる彼女。その彼女の、整った叢の奥に近づき、そっと口づける。「瑠璃子、もっとしてもいいよ。もう、あなたの前では、もう恥ずかしくないわ。」
私も彼女も気持ちが高ぶるのが手に取るようにわかる。私は気持ち良さにゆだねる彼女を愛し続けた。そして私もせがむように彼女に囁く。
「・・・有加も、私を愛して。私がやったように」そして、私と同じように、彼女も私の色んなところを愛してくれた。
私がただ必死に自分の思いの丈をぶつけていたのに対し、彼女は私を思いやって、優しく愛撫してくれた。「どう、瑠璃子。私初めてだから、これでいいの?」「いいよ有加、もっと、もっとお願い!」
そして、お互い何度も何度も果てていった。
0053名無しさん@秘密の花園2020/04/15(水) 07:48:09.86ID:2nvJFc6+0
支援
0054名無しさん@秘密の花園2020/04/16(木) 00:40:03.91ID:gIP/TDdk0
>>52
二人で裸のまま、床に横たわっている。彼女が笑みをこぼすと、私の頬にキスをする。私はお返しに彼女のリップラインにキスをする。
「るりさん。」「にぃみちゃん。」うつむき加減に呼び合う二人。
「私、一度でいいから、るりさんを「瑠璃子」って呼びたかった。まさか、るりさんからそう呼んでってせがまれて、うん、とても嬉しかった。」
「私も、まさかにぃみちゃんが「私を有加と呼んでいいよ。」だなんて。本当は情熱的なんだね。私も一緒に燃えてしまった。」
「実は、小さい頃から、親以外で有加と呼ばれたことなかった。いつも「新美、新美」って。」ふと、彼女は天井を見上げていた。その横顔を私は見ていた。
「フジのアナウンス室にも、「ゆか」が3人もいるの。カレンダーで一緒の海老原さんも、名前は「ゆか」って。」
「海老原さんとも「私を有加と呼んで。」「有加さん、愛してる」とか言い合っているんだ(笑)」
「そんなことないです。」拗ねて私に背中を向ける彼女。そのまっさらな姿も可愛らしい。

「るりさん、あれからまた積ん読ですか。道も消えちゃってますね。」
「結構、雑誌とか本とか買って読んだままにしちゃうんだ、面目ない。」
彼女がふと何かに気が付き、起き出すと、一冊の雑誌を手に取る。
「るりさん、カラフルなビキニがきれい。夕陽の方を向いてる姿も美しいし。自分のこと子どもみたいだなんて言ってたけど、大人の階段を登るシンデレラですね。」
「ちょっと、それ「想い出がいっぱい」のフレーズじゃない。にぃみちゃん、昭和っぽいよ(苦笑)」
「今度は、これ着てやりましょうか?カレンダーもいいなあ・・・(笑)」
「そのビキニはレンタル品。洗濯してもう返しちゃったよ。それににぃみちゃん、その布の向こう側を散々見たじゃない(苦笑)」
そう言ったら、彼女も私も、顔が赤くなってしまった。つい余計なことを言う、私の悪いクセ。

「そろそろ私、帰りますね。」さっきまでの瑞々しさに溢れた裸体に、散らばっていた勝負下着が、勝負服が着せられ、そして、普通の女性へと戻っていく。
「私はシンデレラにはなれなかったけど、続けていけるまでアナウンサー頑張ってみます。みんなに支えられているから。彼氏からも、そして、るりさんからも。」
そして、裸で佇む私に一礼して、薬とリングの入ったハンドバッグを手に、帰っていった。彼女が帰った部屋は、寂しさに満ち溢れていた。
私は立ち上がり、脱ぎ捨てた下着やジャージを拾っては元通りに着ていく。(私は、ガラスの靴を失った、12時過ぎのシンデレラ。)
0055名無しさん@秘密の花園2020/04/16(木) 00:42:17.55ID:gIP/TDdk0
>>54
いつものスタジオのセット裏、どうやら今日は、私が最後みたいだ。「すみません、前の仕事が押してしまって、遅れちゃいました。」そこで待っていた、天野っち、篠宮さん、そしていつもの衣装の彼女。
「新美ちゃん、今週から戻ってるよ。」「何でも、お土産用意しとるって。うちらもさっきいただいたばっかりや。」ニコニコした、いつもの彼女が、後ろからテーブルに差し出した。「るりさん、ひよ子です。」
「いくら私がひよ子大好きだからって、なんで東京土産なの!ちょっと安直すぎるよ!」そういいながら、結局箱から取り出していただく私。やっぱりおいしい名菓ひよ子。
「るりさん、その包装紙をよく見て下さい。」そばにおいてた包み紙を見てみる。「えっ!これ住所が福岡市って!ひよ子は東京土産じゃないの?」
「これ、同期の福岡出張土産なんです。何でも、こっちの方が本家だそうです。」
「・・・新美ちゃん、やっとサプライズで驚いた人が現れてよかったね。僕はすでにもしもツアーズで知ってたから。」
「オレかて福岡のひよ子、阪急うめだや阪神百貨店で見たことあるで。こじるりは大阪で仕事してへんかったっけ?(笑)」
「何、みんなグルだったの!もうイヤ!にぃみちゃんなんか、キライ、大キライ!」そんなむくれた私の表情を見て、ドヤ顔する彼女の表情が愛らしかった。

でも、そんな楽しい日々は、突然終わりを告げた。「プレミアの巣窟、全面リニューアルですって!」
0056名無しさん@秘密の花園2020/04/16(木) 16:06:49.50ID:BBky69I30
支援
0057名無しさん@秘密の花園2020/04/17(金) 11:46:45.77ID:T7wuJBl10
>>55
あれから半年経つのだろうか。リニューアルしてからは天野っちと二人だけで進行してる。相変わらず楽しいけど、どこかポッカリ穴が開いたような。
時間が経てば、いずれは忘れる、忘れてしまう、そう思ってた。けど、はがされたカレンダー、箱詰めの衣装、作り残しのクロスワードパズルを見る度に、彼女を思い出してしまい、胸が締め付けられる。
そして、今日も穴の開いたセット裏へ・・・あれ?何でここに、篠宮さんが?「こじるり、オレ忘れたんとちゃうか?ついに漢字ドリル出版したから、宣伝に来たんやで。」
「ああ、機関車トーマスがどうたらこうたら、でしたっけ(笑)」「アホか!キカンキワ、キョウアチョアチョアチョアチョ、ヒミーだろ。ホンマに進学校卒か(笑)」「しょうがないよ、大学中退だから(苦笑)」
何か少し昔を思い出して来たような。
「おい、こじるり、篠宮。いや新美ちゃんテレビに出てるぞ。こっちに来て、モニター見ろよ。」
セットにいた天野っちが声をかけてきた。急いで二人でセットに入ってく。
「ほら、新美ちゃんがペヤングの紹介してるぞ。」天野っちがモニターを指差す。
「いつもコンパニオンの服か、大道具さんの服しか見んかったから、普通の服初めてや。けど、こうして見ると、結構色っぽいな。」篠宮さんが感心してる。私は彼女の、その服の向こう側も知ってるけどね(笑)
「さあ、今日発売した、ペヤング獄激辛をいただきましょうか。」そして、彼女は左手でペヤングを持つ。あっ。

薬指には彼氏からのリング。そして小指には、彼女との最後の収録の時に、こっそり送ったピンキーリング。
だけどそのリング、小指の第二関節で止まったまま。ああ自分のサイズで買ってしまった。なんで一緒に愛し合ったとき、こっそりサイズを測らなかったんだろう、一生の不覚(苦笑)

「このペヤング、意外といけ・・・ぐふっ、ゲホッ!」そしてテロップに「ギブアップ」の文字が。
「新美ちゃん、やっちゃったよ。」「バラエティ進出されたら、こっちの仕事が無くなるわ。」
天野っちと篠宮さんが話してるその向こうのモニターには、コップ一杯の水を一気に飲み干す、涙目の彼女。「やっぱり、ダメでした。」三人して大笑い。
何だか、久しぶりに四人揃った気分。そして色々あったあの時を懐かしく思い起こしていた。またいつか会えればいいね、その時はちゃんと小指のサイズ測らせて、にぃみちゃん。

〜終わり〜
0058名無しさん@秘密の花園2020/04/17(金) 18:53:11.43ID:vKAomPyIM
乙です
いい百合でした
0059名無しさん@秘密の花園2020/04/24(金) 03:16:27.02ID:rbzOoZwM0
・・・一週間経ったけど、次回作が思い浮かばないです(苦笑)
そもそも、タイトルすらつけてなかったよ。何で今をときめくこじるりと、フジ一地味な新美アナを選んだじゃったんだろ(笑)
0060名無しさん@秘密の花園2020/04/24(金) 03:27:03.67ID:rbzOoZwM0
ここは自由に書ける場なんで、構わず色んなアナウンサーの組み合わせで書いて下さい。

この頃気になってるのは、元TBSの青木裕子が「(田中)みな実ちゃんだったら抱ける気がする」と言われ、みな実が「青木さんだったら、いいかな」と言ったこと(笑)
でも私はTBSのことはよく知らん(同僚間で仲が悪いことは知っている)青木もみな実も嫌いなんで、誰か別の人に当てはめて、書いて下され。
みな実は「青木さんのお子さんのお父さん、お母さんになるという選択肢もある。」とまで踏み込んでた。矢部が可哀想(笑)
0061名無しさん@秘密の花園2020/04/24(金) 03:34:47.66ID:rbzOoZwM0
もう一つ、書こうかと思ってたネタがあって、ドラマ「カルテット」で主役(松たか子・高橋一生・松田龍平・満島ひかり)を引っ掻き回す吉岡里帆が主役(おい、アナウンサーじゃない)
吉岡はついに、カルテットに演奏場所を提供してるレストランのシェフ、サンドウィッチマン富澤たけしにまで手を出そうとするが、「ママ(妻)のこと愛してるから」と言われ、最後まで落ちなかった。
その時吉岡は、ママ=八木亜希子さんを誘惑する、つうネタ考えてた(笑)でも、モタモタしてる間に、八木さんが線維筋痛症になっちゃった、だからボツ。
0062名無しさん@秘密の花園2020/04/24(金) 03:37:18.68ID:rbzOoZwM0
ということで、なんか考えつくまで、みなさんでいいアナウンサー百合作品書いて下さいませ。すみません、大型連休に入るけど、当分書けません、はい。
0063名無しさん@秘密の花園2020/04/24(金) 21:26:53.65ID:QAI99BaA0
     ∧_∧
 ピュー (  ^^ ) <これからもナメクジのように動く舌と芋虫のように動く指を持つ人外の貞松を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                                       赤いダンカン似のAV男優 貞松大輔
0065名無しさん@秘密の花園2020/05/02(土) 23:40:42.18ID:bw86Rngp0
「ねえ新美ちゃん、連絡事項は伝えたけど・・・久しぶりに旦那さんが見てみたいな。」
「何行ってるの、陽子ちゃん。仕事にプライベートは持ち込まない、でしょ。」
昨今のコロナ禍で、フジもリモートワークが主流になってきた。いつ取材が来るかわからない私は、平日は出勤しなきゃならないけど、レギュラー日が決まってる新美ちゃんは、今日はリモート日。
「何だい、フジのアナウンス室も日に日に少なくなってるね。」
「ちょっとあなた、まだ仕事の連絡があるから。」
画面には愛しい旦那さんと、それを隠そうとする新美ちゃん。
「ああ、こっちが当てられちゃうから、この後は今度の金曜にリモート飲み会で、しっかりお聞きしましょうか。」
「もう、陽子ちゃんの意地悪!」
「意地悪で結構ですー!」
こんな会話も、つい1ヶ月前ならアナ室のソファーで、いちゃいちゃしながらやってたのに。
そういえば、新人もリモート研修と聞いてたな。便利になる反面、人との触れ合いがドンドン減ってしまってる。
元から同期とは会う機会が減るものだけど、マスクも有って、みんなとの絆がうっすらと消えかかってる。特に、東京五輪・パラリンピックが延期になったまなちゃんは・・・。
「おう、相変わらずだな、陽子は。」
「ウッチーこそ、もう出勤?」
「そろそろウッチーは止めようよ、それは内田さんがいるだろ。」勝手にウッチーと呼んでる内野君は、色々と気配りが聞いて、みんなからも慕われている。もちろん私も頼りにしてる。
「何だか、まなちゃんの様子が・・・つらそうなんだ。今度のリモート飲み会で、少し気分晴らせられるかな?」
「それはオレたち次第だな。上手く話をしてくれればいいんだけど、そうするほどガマンしてハシャぐタイプだからね。」
「うん、あまりそのことには触れずに、楽しい飲み会になればいいね。」
0066名無しさん@秘密の花園2020/05/03(日) 11:36:55.51ID:TpRYPmGN0
同じ人?
支援
0067名無しさん@秘密の花園2020/05/05(火) 18:39:15.72ID:j5HnfUef00505
>>65
「同期の入社6年目に、カンバーイ!」
「カンパーイ!」
モニターに映る同期に向かって、グラスを上げる私。
缶チューハイのストロングがお気に入りの内野君。いつもウーロン茶の新美ちゃん。ちょっと高めのワインを用意した私。そして・・・。
「今日はたくさん飲んじゃうわよ。実家から、山田錦で作った日本酒送ってもらったからね。」妙にご機嫌なまなちゃん。
久し振りの同期の飲み会が画面越しなのは、昨今の事情なので仕方ないけど、それでもみんなが元気そうで、特にこの頃肩を落として廊下を歩くまなちゃんが笑顔で会ってくれたのは、とても嬉しかった。
「九州は焼酎ってイメージ強いけど、福岡は日本酒の宝庫なのよ。なのに、生野さんも井上も藤本も私より酒豪なのに、日本酒は飲めないって!」
まなちゃん、みんなに絡み出してきちゃったよ。
「でも、宮司は山田錦の日本酒好きなんだろ。」
「山田錦だけじゃないよー、吟のさとも、夢一献もあるからね、ウッチー。」
「だから、それは内田さんに言ってくれよ。女性と間違われて、顔出したらガッカリされるんだよ。」
みんなで大笑い。こういう時にうまくフォローを入れてくれる内野君。
「何か黙ってるようだけど、新美ちゃん、そろそろ旦那さんと喧嘩してんじゃない?」
「私はそう言うときは、わざと夫をスルーします。一々相手にしませんよ。」
「あ、もうこれは危ないな。「にいみ婚、早くも破局」の見出しも近いね。その時は、私が日本酒持って待ってるから。」
「ちょっと、その前に私が先でしょ。コレクションしたワインの数々が、新美ちゃんを待ってまーす!」
「おい、オレの立場は・・・。」
やっぱりみんなで大笑い。早くリモートでなく、一緒に飲みたいな。

「最後に、入社6年目を祝して、6の字になろう・・・新美ちゃん、画面上なのに丸の形にしたら、8の字になるでしょ(笑)」
「じゃあ、スナップショットで「はい、にいみ!」」
ちゃんと撮れたかな、あとでインスタに登録しなきゃ。
「みんな、あとで空いてる日教えてね。それで次回のリモート飲み会のスケジュール決めるから。」
「ウッチー、OK!」
「ハイハイ、ウッチーでもサッチーでも、何でもいいよ(苦笑)」
そうして、新美ちゃんと内野君が画面から消えた。そこはかとなく寂寥感。さあ、私も切ろうかと画面を見たら。
まだ、まなちゃんが映ったままだ。さっきとは違って、どこか虚ろな表情だ。
「まなちゃん、まなちゃん・・・まだ話しよっか。」
0068名無しさん@秘密の花園2020/05/06(水) 10:33:51.52ID:MRZZY4k00
支援保守
0069名無しさん@秘密の花園2020/05/09(土) 04:00:55.99ID:MK1UDsEQ0
>>67
「ヨーちゃん・・・いつも笑顔で、羨ましい。ヨーちゃんというと、太陽のような笑顔と、すぐ泣くこと(笑)」
「もう、この頃泣きませんって。」
「そう?この間、日曜報道卒業した時もベソかいてたくせに。」
「あれは違うって。自分の進行が下手なのは今に始まったことじゃないわ。
でも一緒だった山本昌さんが、野球だけでなく、東京五輪・パラリンピックだからって色んなスポーツに挑戦してたのに、新型コロナで何もできなくなって・・・余りにも哀しくなってきて。」
やっぱり涙が出てしまう私(苦笑)
「ヨーちゃんは入社した時から、研修のたびに泣いて、めざましで噛んでは泣いて、卒業になったら泣いて(笑)でも、成長したよ、自分のふがいなさじゃなく、人のことを思って泣いてるのだから。」
まなちゃん、手元のボトルから日本酒をグラスに注ぎ、一気にぐいっと飲んでいた。
「その点私は、スポーツの世界に飛び込んで、無我夢中になり、フォトブックまで出版してもらったというのに・・・気がつけば週休6日。たまに来ても、アスリートとはリモートでしか取材ができない。」
上を向いて、涙を堪えてるまなちゃん。
「便利なようで、ガラスに隔てられてインタビューしてる気分。すごくもどかしい。今日もそう。みんなと近いようで、壁に遮られてる感じ。そしてモニターの後ろはガラスと違って、誰もいない。」
そしてため息をついて呟くまなちゃん。
「4ヶ月前の、あの高揚感は、どこかへ消えてしまった。」
0070名無しさん@秘密の花園2020/05/09(土) 22:29:20.45ID:S3N+4igj0
支援
0071名無しさん@秘密の花園2020/05/10(日) 01:52:58.37ID:7iTtj6Nc0
>>69
大型連休が明け、まだ緊急事態宣言なのにというほど混雑する電車を乗り継ぎ、お台場に着くと、会社員しか歩いていない。フジに入る人もまばら。
報道フロアで取材の打ち合わせする前に、一度アナウンス室に寄る。元から全員揃うことは希だけど、この頃はホントにひともおらずに静か。本来新人がやる郵便の区分け、佐々木さんがやってる。

「おはよう、20年くらいぶりかしら。これでもだいぶ少なくなってるわ。今じゃみんなで手分けしてやるの、年賀状とバレンタインくらいだから(笑)」
カバンを自分のデスクに置き、ホワイトボードの名札を裏返し「報道取材」と書いた後、佐々木さんのお手伝いをする。あっと言う間に区分け完了。
「どうもありがとう。はい、アメちゃん。取材頑張ってね。」私もあの位の年齢になると、アメちゃん配るのかしら(笑)
さあ、報道フロアに行かないと。ふと周りを見渡す。人の気配が感じられない。とりわけ、まなちゃんの席に彼女を見たのは、今年になってからは、あの東京五輪の民放各局発表の時だけ。

「まなちゃん、進行やれるかな。」
「大丈夫だよ、強心臓なのはうちの女性アナの伝統だよ。」
「でも、安住さんや桝さんや弘中さんを迎えてだよ、緊張するよね。」
同期や同僚たちが、アナ室のソファーに集合し、民放各局のエースアナが揃った番組を見ていた。懸命に進行するまなちゃんの姿は凛々しかった。
「いやあ、緊張したあ。大変だったよー(笑)」充実感に満ち溢れて、部屋に帰ってきたまなちゃん。席に座ると、内野君が肩を揉みだす。
「あーいい気持ち。でも肩だけよ。他はダメよ、セクハラだからね。」
「別に減るもんでもないし。」
「元からないんで、減りようがないよー(笑)」
部屋中大笑い。私は自分の机に置いてあったのど飴を持って行った。
「はい、まなちゃんにアメちゃん。」
あっ、私アメちゃん配ってた(苦笑)
「さあ、これからみんなで作り上げる、東京五輪・パラリンピックが始まるぞ!」雄叫びをあげるまなちゃん。

もうその時には、中国で新型コロナが猛威を振るっていた。そして、あっと言う間に世界に、そして日本に飛び火した。なのに、それを無視していた報いが、一気に私たちに降りかかってきた。
0073名無しさん@秘密の花園2020/05/11(月) 00:38:12.59ID:D2OlLIHh0
支援
0074名無しさん@秘密の花園2020/05/11(月) 23:26:15.31ID:m70Jua8E0
何だか、緩んじゃってない?と思うような満員電車を乗り継ぎ、今日も人気の少ないフジに入る。いつものようにアナウンス室に寄ると、今日はめざまし終わりの三宅さんが郵便の区分けをしていた。
「勤続30年過ぎて、まさかまた郵便の仕分けの当番が回ってくるとは。いつまでも、新人の頃の気持ちを忘れるなと言うことなのかな。」いつものように、今日は三宅さんのお手伝い。
「小澤君ありがとう、助かったよ。そう言えば、笠井と軽部の机の片付けの時に、たくさんの付箋紙が見つかったから、好きなだけ貰ってっていいよ。」
そう言って三宅さん、戸棚の箱に目をやった。金属の箱の中には、たくさんの付箋紙。庶務の方が、当面購入を頼まなくてもいいくらいの量。
きっと2人は、地震が来たら雪崩を起こす資料の山に(笑)ベタベタっと貼るのに使ってたのだろう。私はマーカー派だったから、使ったことないわ。
でも付箋紙も、この頃は色んな形あるんだ。蝶ネクタイのは、明らかに軽部さんのだな(笑)それらの中に、ハート形の付箋紙を見つけた。2人はどこで使っていたのだろう(苦笑)
「そうだ!」胸ポケットに入れてた手帳のペンで、ハート形の付箋紙にメッセージを書き込んだ。そして、今日も姿の見えないまなちゃんの机の上に貼って置いた。「Fight! by陽子」
「三宅さん、付箋紙ありがたく頂戴いたしました!」めざましと郵便ですっかり疲れてる三宅さんにお礼して、早速報道フロアへと向かっていく。まなちゃん、見てくれるかな。どんな返事、してくれるかな。

取材から帰り、伝票書きのためにアナウンス室に戻ったのは、陽もとっぷり暮れようとしてた時のこと。流石に遠出は疲れるなと、自分の席に戻ると、そこに見知らぬ付箋紙が。
「ヨーちゃん、ありがとう!」あ、まなちゃん早速見てくれたんだ。何だか胸がキュンとなってきた。でも、その下に「でも私、生野さんにお礼したら、キョトンとされちゃった(笑)」
ああ、やっちゃった(苦笑)今度からはちゃんと名字から書こうかしら。
0075名無しさん@秘密の花園2020/05/13(水) 00:56:22.31ID:YocOUGQ40
支援
0076名無しさん@秘密の花園2020/05/13(水) 15:48:44.32ID:VnLT8w9/a
>>74
こうして、まなちゃんとのアナログなツイッター交際は始まった(笑)
最初は単なる挨拶からだった。
「おはよう、まなちゃん。」と書いたら「こんばんわ、ヨーちゃん。」と返ってくる。
そのうち、自分の近況報告に。
「取材中のマスクが、辛くなってきたよ。」と書くと「私も辛い、けど一緒に頑張ろう。」と。
「ミツさんとのインスタライブ、頑張ってね。」と励ましたら「ミツさんが画面の前にいた方が、女性受け良かったかな。」って。そんなことないって(笑)
そのうち、だんだんと違う話になってくる。
「佐野さん、尿路結石落ち着いたみたい。」と書いたら「ビール飲まないようにと伝えておいたよ。」ビールだけでは済まない気が(苦笑)
「新美ちゃんが番組で覚えたドローンを操作したら、榎並さんに墜落(笑)」と書いたら「それ絶対、わざとだよ。」私もそう思う(爆)
「ねえ、ウッチー!と呼んだら、男女2人振り向いちゃった。」と失敗談を書くと「竹内さんのつもりで「ゆかさん」と言ったら、三人振り向いた。」それ、この間の生野さんネタと同じ(笑)
次第に付箋紙が貯まっていく。ノートを買って、日付とまなちゃんの付箋紙を貼り付け、感想をちょこっと書く。少しずつ形に残っていく、愛の記録(笑)
仕事の合間にチラッと見ては、ニヤニヤしてて、それをスタッフさんが不気味そうに見ている、すっかり私の仕事の定番(苦笑)
0077名無しさん@秘密の花園2020/05/13(水) 21:11:12.74ID:YocOUGQ40
支援
0078名無しさん@秘密の花園2020/05/15(金) 11:40:05.38ID:nydNn8cw0
>>76
「えー、私の背景にあるものを、この自撮りカメラを使って、説明いたします。」
リモート日の新美ちゃんが、私にリモート部屋を説明してくれる。
「私は着道楽なので、人に一通り貸せるくらいの衣装など一式を、予め何パターンも用意してます。お気に入りはこのモスグリーンのワンピースとその一式。これ着てる時は、勝負してると思って下さい(笑)」
新美ちゃん、この頃番組など取り上げたものを色々と試すのが好きなようで、最近は自撮りカメラがすっかりお気に入り。
「ねえ、そのそばにあるベットは、旦那さんとのダブル?」
「えっ、こ、これは・・・。」
「そこで「有加を一杯愛して」「有加、愛してるよ。」とか言ってるでしょ。妬けるねえ。」
「もう、ふざけないで陽子ちゃん!」
顔を赤くして怒り出す新美ちゃん(笑)

一通り説明し終えて、モニターに向かい合う。この頃付箋紙でしか会っていない、まなちゃんの話になる。
「愛海ちゃんは「真っ直ぐ」だから、突然今までと違うやり方でやらなきゃいけないことに対して、拒否反応を示してるんだと思う。そうしないと命にもかかわるという状況なのは、頭で理解してるんだろうけどね。」
こう冷静に分析してくれる新美ちゃん。
「でも、普段から少しずつ生活は変わってきて、それに順応してるじゃない。例えば普通の電話がケータイを経て、今やスマホがパソコンの代わりにまでなって。だけどそのスマホを、愛海ちゃんは普通に使ってるよね。」
そういえば、私も何かというとスマホを使うのが当たり前になってる。
「みんな急激な変化を強いられ、戸惑っている。特に東京五輪・パラリンピックが延期になって、愛海ちゃんはとても辛いと思う。
その彼女の辛さを受け止めてあげられるのは、大学時代からの付き合いの長い陽子ちゃんよ。あなたなら、しっかりと受け止められる。」
えっそうなのかな。何か照れるな(笑)
「私が色々と辛かった時期も、何かと話を聞いてくれてたじゃない。聞くだけだったけど(笑)でも、それが一番大切なのよ。」
何だか大事な同期から、ヒントを授けられたような気がした。
0079名無しさん@秘密の花園2020/05/16(土) 07:57:10.14ID:g9CS9dbtM
支援
0080名無しさん@秘密の花園2020/05/16(土) 23:34:53.24ID:e8bgA0C60
>>78
そうこうしてるうちに、まなちゃんとの付箋紙の愛の交流(笑)は、いつの間にか色んなところに伝わってしまってたようで。まあ、大っぴらに机に貼ってるから、気付かれちゃうのは当たり前だけど(苦笑)
まず、私の机に貼っていたまなちゃんの付箋紙の隣に、別の付箋紙が貼られていた。「明日は渋谷駅で、人通りがどれだけ減ったかの取材です。it取材班」
わざわざアナウンス室まで来てたんかい!確かに付箋紙ノートを見て、ニヤニヤしてたら、スタッフも気付くわ(笑)
私もまなちゃん宛に付箋紙を貼りに行ったら「次のフジアナインスタリレー、お願いします。軽部」インスタって、いつの間に業務になってたんだ?(苦笑)
しまいには、私の机に「僕のインスタに付き合って下さい。榎並」ものすごーくやな予感。そして、やっぱりその通りだった(苦笑)
「夜な夜な宵より酔い 異様に酔う模様」と早口言葉を言う動画なのに、
「夜な夜な宵より酔い 陽子に酔う模様」と変な言葉にされ、あげくには「もっと色っぽい声で、表情も艶っぽく。」
それ、明らかにセクハラですよ。一回偉い人に怒られません?(爆)

流石に机に貼り付けるのは、まずくなったなあ・・・ふと、ホワイトボードに目をやった。行き先と時刻を書く他に、名札を裏返して、出欠を示してるんだっけ。そうだ、名札の下に付箋紙を貼ってみよう。

早速、今日も欠席のまなちゃんの名札の下に、付箋紙を貼ってみた。ここならバレることもないだろう。「今日からここに貼ります。気付きました?」
そして数日経った朝。いつものルーティンで業務を開始する。榎並さんが郵便の区分けをしてたが、それは無視して(爆)ホワイトボードの名札を裏返した。
あっ、その名札の下に付箋紙が貼られてた。そこにはまなちゃんからの、こんな言葉が書かれてた。
「今度の金曜7時空いてる?リモートで話がしたいの。愛海」
0081名無しさん@秘密の花園2020/05/17(日) 11:14:09.13ID:R2iVyGjR0
支援
0082名無しさん@秘密の花園2020/05/22(金) 00:03:34.21ID:pflPh3Tc0
>>80
今日は思ったより早く仕事が終わった。急いで帰宅し、着替えもそこそこに、ワインとチーズを用意して、パソコンを起動する。
まだ7時までには時間があるなあ、それまでちょっとワインの味見でもと思っていたら、モニターには、もうまなちゃんがスタンバっていた。
「お待ちしてましたよ。はい、遅れちゃったけど、はいプレゼント。」
モニターに映ったまなちゃんの目の前には、ローソクとイチゴの乗ったショートケーキが置かれていた。
「まなちゃん、お互いの誕生日は7月でしょ、まだ早いわよ。」
「ふふふ、フィギュア班に配属おめでとう!」
「え?」
そして、一本だけ刺された小さいローソクに灯された火を、まなちゃんは自分でフッと消してみた。
「こっそり見たんだ、就活の時のヨーちゃんのエントリーシート。フジに入ったらフィギュアスケートを担当したいって。でも自分が踊ってる姿を描いて、何か勘違いしてないかと(爆)」
「何でそれ見たのよぉ、あのエントリーシート、面接で三宅さんに笑われたんだよ、うちはスケート連盟じゃないって(苦笑)」
「平昌五輪の時、私はスポーツから縁遠いと思ってたから、何もかも知らなかった、もちろんフィギュアも。羽生結弦選手は知ってたけど、彼の背景を知らなかった。それを教えてくれて、ありがとう。」
「いや、あの話はほとんど三田さんの請け売りよ(笑)三田さんがフィギュアのファンから色々言われて、それでもコツコツ勉強して努力して。その姿を見て、私はただの憧れに過ぎなかったんだなって。」
そのことを思い出すと、やっぱり涙目になってしまう。私はやりたいことがやれずに、報道や競馬やバラエティに回され、どんどんやりたいことから遠くなっていって、焦っていた時期だった。
「まなちゃんが平昌で活躍してるのに、私は競馬があるから、会場へ行けず、ビデオで繰り返し何度も見て。まなちゃんがどんどん遠くなって、とてもつらかった。
でも、一緒にまなちゃんとめざましやってた頃からわかってた。私が戦うのはまなちゃんじゃない、自分自身なんだって。そう思ったら、どんな仕事もやる気が出てきたの。」
0083名無しさん@秘密の花園2020/05/24(日) 12:44:15.11ID:Q1gEG0HpM
支援
0084名無しさん@秘密の花園2020/05/25(月) 23:57:19.46ID:D+5GcuNk0
>>82
「ヨーちゃん、強くなったね。思えば、シンガポールでの海外インターンで初めて会ったときは、常にメソメソしてた。うまく行かないと言えば、仕事がうまく行かないと言えば必ず、近くの海で泣いていたね。」
「そ、そんなことないわよ。でも、まなちゃんから色々教えられ、仕事は甘くない、ましてや海外での仕事は。助けられて、今でも感謝してる。」
「あの時、まだこれからの夢がはっきりしてなかったけど、二人で共通してたのは、どの企業に行っても、海外を股に掛ける部署で働くということ。それが、まさか二人ともフジテレビのアナウンサーになってるなんて(笑)」
「内定式で逢った時は、これは運命だと思ったよ(嬉)しかも同じ生年月日だなんて。勝手に同期を超えた・・・親友というか、恋人というか(笑)」
「そのうち愛人とか言い出して、新美ちゃんやウッチーが変な顔して、こっちも恥ずかしくなったわよ(苦笑)」
そんなこと言ったっけ。珍しくお酒に、そしてまなちゃんに酔いしれたあの日。
「まなちゃんはその後、色んな経験積んで、海外でも仕事してるじゃない。それに比べると、私はこの年にしてまだ新人みたいなもんだし・・・。」
「ヨーちゃん、そんなこと言わないで。堂々とした態度で、インタビューする姿に、惚れてしまってた自分が。」頬に涙がこぼれるまなちゃん。抱きしめて、慰めたい。だけど・・・。
「もう、モニターごと抱きしめちゃうぞ。まなちゃん、思いっきり泣いていいよ。同期でしょ、辛いなら一緒に泣こうよ。」
パソコンをまるごと抱きしめる私。そんな私に泣きながらも「抱きしめるなら、モニターよりも、Webカメラの方がいいんじゃない?」やっぱりどこか冷静なまなちゃん(笑)
「なら、Webカメラでまなちゃんにキスしようか。どこにする?額?頬?それとも・・・唇に?」
0085名無しさん@秘密の花園2020/05/26(火) 14:53:27.52ID:mp8+szOV0
支援
0087名無しさん@秘密の花園2020/05/31(日) 02:34:14.24ID:LABxShxA0
>>84
「・・・どこでもいいよ。ヨーちゃんがしたいところを言ってくれれば。」いつも凛々しいまなちゃんが、トロンとした目で、私に訴えてくる。そして、その目はいつしかつぶり、カメラに近づいてくる。
「私・・・」とっさに右頬をカメラにくっつける。レンズの冷たい感触なのに、彼女の唇の柔らかさが伝わってくる。
「ああ、ずるい。私、ヨーちゃんの唇を奪おうとしてたのに(笑)」
「まなちゃんの唇を奪うときは、本物がいいと思っただけよ。いつか新型コロナが終息するまで待ってて。」
「それまで待てない!今度会った時にはマスク越しにキスするんだからね!」
「いくら何でも、そこまで心の準備は・・・。」
「先に言ってきたのはヨーちゃんなのに(笑)」
モニターで顔を膨らませるまなちゃん。いつもの、みんなを元気にさせてくれる姿に、私はホッとした。
0088名無しさん@秘密の花園2020/05/31(日) 02:45:14.04ID:LABxShxA0
>>87
「実は今日ね・・・あれだけ張り切ってた東京五輪が延期になって、途方に暮れていたまなちゃんを励ましたかったの。
付箋でメッセージを貼ってったのも、心底ガッカリする姿を見て、何も話しかけられなかったから、せめてこんな形ならって思って・・・。」
まなちゃんは、涙に濡れた私を見つめていた。
「そうだったんだ。ヨーちゃんなりに、色々考えてくれたんだ。ありがとう。
でも、もう何も心配することはないよ。確かに、延期が決まった時、これだけ盛り上げてくれたみんなのことが脳裏に浮かんだのは事実。」
そして、笑顔になって話してくれた。
「でも、私たちよりつらい立場のアスリートの皆さんが、少しでも前向きに捉えて歩み出そうとしてる姿を見たら、私の悩みなんて、ちっぽけに思えて。それに、仮に中止になっだからと言って、スポーツがそこで終わることはないわ。」
モニターの向こう側には、いつもの力強いまなちゃんの姿が映し出されていた。元気を出してもらうつもりが、いつものように泣き虫な私が元気をいただいてしまった。
「それにしても、榎並さんのインスタ早口言葉、笑っちゃったね。「夜な夜な宵より酔い 陽子に酔う模様」って(笑)」
「まなちゃん見たの!あの為に何回も榎並さんから演技指導されたんだから(苦笑)」
顔を真っ赤にして怒った後、私もふと呟きたくなった。
「まなみの「み」は「海」じゃろ。「愛する海」じゃろ。私が「愛する海」じゃろ・・・。」
「ヨーちゃん・・・。」
そして、モニター越しに互いを見つめ合っていた。どれだけ時間が経ったのだろう。その時、その空気を打ち破るかのように、突然モニターに二人の顔が現れた。
「宮司に陽子、何抜け駆けしてリモ会してんだよ!」
「二人だけで楽しまないで、私たちも仲間に入れてよ!」
0089名無しさん@秘密の花園2020/05/31(日) 20:34:46.59ID:+Djk2fNT0
支援
0092名無しさん@秘密の花園2020/06/04(木) 01:18:11.22ID:HtEMU9Ym0
>>88
6月に入り、衣替えの時期。なのにマスクして満員電車に揺られ、朝なのに暑苦しい。そして、フジにも心なしか人の出入りが多くなってきた。
緊急事態宣言の解除で、街に人は戻ってきた。もしかしたら、私にも取材の仕事がさらに舞い込んで来そうだ。

いつものように、アナウンス室に入ると、区分け係だった二年目の堀池くんと万梨乃ちゃんが、新人ちゃんに郵便の区分けの仕方を教えていた。やっと、普段の生活に戻ってきたのかな。
いや、そうでもない。机の境にアクリル板やビニールシート。隣同士は当面交互に出勤。休憩用のソファーには、フィジカルディスタンスを守るため、クッションやテディベアがたくさん置かれていた。
これがこれからの「新しい生活様式」というのだろうか。

それでも、今日は久しぶりに人が集まっている。今郵便の区分け真っ最中の、新人ちゃんたちの挨拶があるからだ。
いつものようにホワイトボードに「報道取材」と書いて、名札を裏返す。あれ、そこに付箋紙が、それも二枚。
「間違えて陽子の名札をひっくり返して、ゴメン・・・で、次のリモ会はいつにする?内野」
自分のではなく、その下の私の名札をひっくり返し、おかげで私より先に、二人だけの秘め事(笑)を知ってしまったウッチーに、あの後まなちゃんと二人で説教してやった(爆)
「愛海ちゃん、しっかり立て直してきたね。陽子ちゃんのおかげよ。ところで、二人の画像が曇ってるように見えたけど、リモートの調子が良くなかったの?にいみ」
しまった、キスの後にお互いWebカメラの汚れを拭き取ってなかった。こういう細かいところに目を付けるのは、相変わらずな新美ちゃん(苦笑)
あれ?もう一枚、付箋紙が足りないなあ。どうしたのかな、もしかして仕事で忘れちゃったのかな・・・。
「お・は・ヨーちゃん!そのファッションマスク、医療的には効果無いから、せめて夏マスク買った方がいいよ。」
「ビックリした!まなちゃんこそ、隅っこに目玉マークの刺繍してきて。そんなに器用な方でしたっけ?」
「ハッハッハッ・・・実はS-PARKの衣装さんからの差し入れよ。これでインタビューすると、モニター越しにもわかってくれて、結構好評なんだよ。布製でもないのに洗えば何度も使えるし。これで今日はマスク越しに唇を奪いに・・・。」
「みんなのいるところで、何言ってるの。その前に、フィジカルディスタンス!」

「はい、だいぶ遅れましたが、今日からアナウンス室に配属される新人のみなさんに、これから挨拶をお願いします。」里佳室長の言葉の後に、緊張の面持ちの新人ちゃんが挨拶をする。ふと、5年前の自分たちの姿を思い返してた。
初々しいのに堂々としていたウッチー、歴戦の強者たちを前に硬くなっていた新美ちゃん、妙にウキウキしていた私。そして、みんなを前に「まっすぐ」に自分の信条を披露したまなちゃん。
そして、新人ちゃんの挨拶を見ていたまなちゃんは、あの時と同じ、前を向いて「まっすぐ」に進んでいく姿だった。

〜これからも、二人の間はまだ続く〜
0093名無しさん@秘密の花園2020/06/04(木) 14:28:38.70ID:HYTmu8yV0
一区切りってことですかね
乙でした
0120名無しさん@秘密の花園2020/06/19(金) 16:11:00.68ID:EphWH6spr
「支援」しかレスがつかないあたりで作家先生は察してほしいものである
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