>>37
あれほど仲が良かった私と彼女は、あの日を境に、話をすることが次第に少なくなっていった。
「るりさん、次回の内容のことですが・・・。」そう言われても「次回は次回で決めましょ。」そう言って、逃げるようにスタジオを去っていく。
あの日の告白の後も、収録日の時は何事もなくハシャいでいたけど、とても辛かった。
「こじるり、今日はやけにテンション高かったね。」と天野っちから言われたかと思えば「今日は、何ぼんやりしてるんだ?」とマネージャーさんから言われたり。あれ以来、心が不安定だった。

そんなある収録日。いつものセット裏に、見慣れたカバン。彼女が先に来てるんだ。普段からきちんとしてる彼女なのに、この日はなぜかファスナーが開いていた。
やっちゃいけない、と思いつつ、つい中を覗いてみた。いつもの化粧道具、いつものノート、いつもの資料、の他に見つけた、いつもとは違う、それは明らかに指輪のケース。
やっちゃ、いけなかったんだ。私はスタジオを飛び出し、駐車場に止めてある車の陰で泣いた。ただただ泣いた。涙が枯れるまで泣いて、そうでないとスタジオに戻れない、と。

そして、雨の日に見掛けた、幸せそうな彼女と彼。私は彼女の元カノになってしまった。彼女だったことなど、なかったけど。