>>42
いつの間にか、雨音がして来た。その音を聞きながら、ベッドに膝を抱えて、座っている私。
(会いたい、なのに会いたくない、でも会いたい・・・。)
ずっとその繰り返し。そのまま居留守でも使おうか、会うと湧き上がる思いが噴き出てしまう。それは、私も彼女も傷つけてしまう。でも、やっぱり会いたい、そして、思いのままに抱きしめたい。
次第に暗くなってきた。でも電気もつけずに、ベッドに横たわる。床はいつの間にかまた本や雑誌の山に埋もれてる。こんな部屋見せるの、恥ずかしい。
「ピーンポーン」ベルが鳴る。「新美有加です。るりさん、今いらっしゃいますか?」何も反応しない。「ピーンポーン」もう一度ベルが鳴る。何も答えない。
どれくらい経ったのだろう。ベッドから降りて、防犯カメラを見る。彼女の姿にハッとする。
深緑のシックなワンピースに、私服では見たことないヒール。そして、ハンドバッグも、傘も、その服に合わせたかのようなデザインと色使い。
私は鍵を開け、ドアを開けた。「新美さん、少し片づけるまで、待っていただけませんか?」