インドのニューデリーでは今、街のいたるところで目にも鮮やかな真っ赤なポスターが掲示されていると米メディア『washingtonpost.com』が伝えている。左下に小さく描かれているのは日本でいう「和式」タイプの便器。
これはナレンドラ・モディ首相が打ち出した「クリーン・インド運動」の一つで、2019年までに数百万台のトイレを設置する計画が含まれている。
インドの乳幼児の高い死亡率を考える上でもトイレの設置と上下水道の完備は急務なのだ。
複数種類用意されたポスターにはこんな言葉が添えられているそうだ。

『おじさん、立派な靴を履いてネクタイもしめているのに、そんなところで堂々と排便して恥ずかしくないの?』

『おじさん、高そうな携帯電話を持っているね。それなのに電車の線路で排便するなんて恥ずかしくないの?』

『おじさん、薄型テレビ、冷蔵庫、バイクを持っているんでしょう? それなのにトイレは持っていないの?』

右の少年が指さしながら嘲るように笑っているのは、もちろん『おじさん』の恥ずかしい排便の姿である。
ソフトウエアやITサービス事業などで大変な存在感を示してきたインドの人々は、徐々に富を得てスマホももちろん普及してきた。
先進国をお手本に現代的な生活を目指すべき時に来ているが、道端で下着を下ろして排便する人々がいるうちは「インドもまだまだ」と言われてしまう。

デパート、空港、ホテルなどはともかく、多くのインドの人々はトイレットペーパーや水洗トイレとは縁がない生活を送っている。
国民の生活レベルの底上げに必死なインド政府にとって、悩みの種は人々の意識が追いついてこないこと。
慣れ親しんだやり方を変えようとしない頑固さもインドの国民性といえる。
カーストの最下位シュードラやその下の不可触民と呼ばれる人々が人の排泄物を水で流してわずかなお金を得ていた歴史が長く、
今も人々は桶に溜めた水で自分の尻を洗おうとするのである。


http://japan.techinsight.jp/2016/09/yokote201609151342.html/2