【パチ、パチ、と。静まり返る街の中、微かに響く破裂音】
【線香花火が弾けるような、切れかけの蛍光灯が瞬くような、コンロを点ける時のような、小気味よい音】
【的確に言うのであれば……コンビニに設置された誘蛾灯に、惹かれた虫が“燃え尽きる”音か】

飛んで火に入るなんとやら……ってね

【人気の無い駅前の広場にて、独り佇む少女が静かに呟く】
【白金色に淡い桃色のリボン。ビビットピンクを貴重としたその出で立ちは、仄暗い街中でなお映えて】
【爛々と輝く碧の瞳、そして時折走る“電流”が、きらりと闇に軌跡を残す】

【目を凝らしてみれば、彼女の体に回る青の稲妻は、周りを飛ぶ“虫”へと向けられているようで】
【また一匹、彼女の鮮血を求め導かれた哀れな蚊が……青電に打たれて消し炭と化す】

ま、この街じゃあ惹かれてくるのは虫だけじゃないけどさあ
私も含めて……この街に住んでるような連中は“そういう人”だもんね

【回送電車が過ぎ行く音を背に、呆れたように言葉を残せば】
【闇の中にあって尚輝く瞳をおもむろに向け、広角を少しばかり釣り上げて見せた】


ねぇ、キミもそうでしょ?

【――――――その視線の先に居るのは、果たして。】