【しかし子供は何をするでもなかった。自分と男との間に遥かな力量の差を認めているからだろう。寧ろ喜色を満面に浮かべて安堵しきっているようだった。】
【ただしまだ腰が抜けているのか、その場を動こうとはしない。】

本当じゃろうね? とっぽこきよったらき、き、き、きかんぞなもし。

【言葉とは裏腹に、子供は男のことを信用しきっているようだった。】

ごめんよぉ〜、だんだんねぇ〜。
あずべりこいちゃったぁ。手かしなはいや、めんどしいけん。

【そう言って子供は手を差し出す。】