『では…さようなら“私”』
「はい、さよならですよ“わたし”」

----始まりは静かだった。
 
《全システム起動開始、対象DOGMAの破壊を優先事項に入力完了》
<術式起動・魔力炉:出力最大・肉体強化を開始>

お互い持ちうる力の全てを開放していく。目の前の存在を抹消するために、と
 
《特殊武装“七つの大罪[The seven deadly sins]”の封印解除、武装を展開します》
<肉体強化終了・回路:撃鉄接続・対魔族用概念武装“神の裁き[Wrath of God]”起動>

戦う前の二人が浮かべている表情は怒りや哀れみなどではなく、ただただ笑顔だった。
悟りきったような穏やかな笑顔、本能むき出しにしたことへの生理反応か、それとも一番許せない存在を自らの手で無くせることへの喜びか、それは二人にもわからない。
 
《起動完了“DOGMA”、対象の抹殺を開始してください》
<全工程終了・DOGMA・神の名の下に救済を実行せよ>

----どうせ、どうでもいいことなのだから
 
 
『「“あの人は渡さない”』」
二人だけの負けられない戦争が始まった。